(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165291
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ミキサドラムの制御装置
(51)【国際特許分類】
B60P 3/16 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B60P3/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081371
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆輔
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
(57)【要約】
【課題】ミキサドラムへの生コンクリートの不正投入を防止する。
【解決手段】コントローラ20は、ミキサ車1に搭載されたミキサドラム2の制御を行うミキサドラムの制御装置を構成する。コントローラ20は、ミキサ車1がミキサドラム2への生コンの投入施設である生コンプラント付近にいるときに、ミキサドラム2内が未洗浄の場合は、ミキサドラム2のホッパカバー17の動作を制限する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサ車に搭載されたミキサドラムの制御を行うミキサドラムの制御装置であって、
前記ミキサ車が前記ミキサドラムへの生コンクリートの投入施設又は当該投入施設付近にいるときに、前記ミキサドラム内が未洗浄の場合は、前記ミキサドラムのホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記ミキサドラムは、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態を有し、
前記未洗浄の場合として、前記ミキサドラムの駆動負荷が、前記ミキサドラムが前記生コンクリート無積載状態か否かを判定するための第1所定負荷より高い場合は、前記ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記ミキサドラムは、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態を有し、
前記未洗浄の場合として、前記ミキサドラムの駆動負荷が、前記ミキサドラムが前記生コンクリート無積載状態か否かを判定するための第1所定負荷以下で、且つ、前記ミキサドラムの洗浄動作をしていない場合は、前記ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記未洗浄の場合として、前記ミキサドラムの積載状態下で、前記ミキサドラムの駆動圧を検出する圧力センサが検出を行う度に検出される検出値の最新値に応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンクリートかを判定するための第2所定負荷より高い場合は、前記ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記未洗浄の場合として、前記ミキサドラムの積載状態下で、前記ミキサドラムの駆動圧を検出する圧力センサが検出を行う度に検出される検出値の最新値に応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンクリートかを判定するための第2所定負荷以下で、且つ、前記ミキサドラムの積載量が所定量以上の場合は、前記ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれか1項に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記ホッパカバーの開度を前記ミキサドラム内への生コンクリートの投入を抑制可能な開度である所定開度に制限することで、前記ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミキサドラムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、残水の検知開始指示や検知結果を利活用し、ドラムに生コンクリートを積込む作業とも連動可能なコンクリートミキサー車のシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、生コンプラントにおいて、ミキサ車のミキサドラムには、建築現場等の現場で必要な分の生コンクリートが投入される。しかしながら、現場で生コンクリートが不足する事態を避けるために、必要以上の生コンクリートをミキサドラムに投入した場合など、投入した生コンクリートが現場で使い切られずに余る場合がある。
【0005】
生コンプラントにおいて、余った生コンクリートが未排出のまま、新たな生コンクリートをミキサドラムに投入する不正投入が行われると、未排出の古い生コンクリートと混ざり合ってしまい、品質低下を招く。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、ミキサドラムへの生コンクリートの不正投入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ミキサ車に搭載されたミキサドラムの制御を行うミキサドラムの制御装置であって、ミキサ車がミキサドラムへの生コンクリートの投入施設又は投入施設付近にいるときに、ミキサドラム内が未洗浄の場合は、ミキサドラムのホッパカバーの動作を制限することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ミキサドラム内が未洗浄の場合は、生コンクリートを投入不能な開度にホッパカバーの開度を制限したり、ホッパカバーを閉じた状態でロックしたりするなど、ホッパカバーの動作を制限できる。
【0009】
また、本発明は、ミキサドラムは、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態を有し、未洗浄の場合として、ミキサドラムの駆動負荷が、ミキサドラムが生コンクリート無積載状態か否かを判定するための第1所定負荷より高い場合は、ホッパカバーの動作を制限することを特徴とする。
【0010】
ここで、ミキサドラムに生コンクリートが積載されている場合は、ミキサドラムは未洗浄であり、生コンクリート無積載状態と比べ、駆動負荷が高くなる。この発明によれば、生コンクリートが積載されている場合にホッパカバーの動作を制限できるので、ミキサドラム内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0011】
また、本発明は、ミキサドラムは、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態を有し、未洗浄の場合として、ミキサドラムの駆動負荷が、ミキサドラムが生コンクリート無積載状態か否かを判定するための第1所定負荷以下で、且つ、ミキサドラムの洗浄動作をしていない場合は、ホッパカバーの動作を制限することを特徴とする。
【0012】
ミキサドラムから生コンクリートが排出され、生コンクリート無積載状態になっても、ミキサドラムが未洗浄の場合は、新たに投入したコンクリートがミキサドラム内に付着した古いコンクリートと混ざり合う結果、品質低下を招く。この発明によれば、生コンクリート無積載状態であっても、ミキサドラムを短時間で繰り返し正逆回転させるといった洗浄動作をしていないときには、ホッパカバーの動作を制限できる。このため、ミキサドラム内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0013】
また、本発明は、未洗浄の場合として、ミキサドラムの積載状態下で、前記ミキサドラムの駆動圧を検出する圧力センサが検出を行う度に検出される検出値の最新値に応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンクリートかを判定するための第2所定負荷より高い場合は、ホッパカバーの動作を制限することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、積載時の最新駆動負荷が第2所定負荷より高い場合は、直近の積載物が生コンクリートであり、ミキサドラム内が未洗浄であることがわかることから、ミキサドラム内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0015】
また、本発明は、未洗浄の場合として、ミキサドラムの積載状態下で、前記ミキサドラムの駆動圧を検出する圧力センサが検出を行う度に検出される検出値の最新値に応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンクリートかを判定するための第2所定負荷以下で、且つ、ミキサドラムの積載量が所定量以上の場合は、ホッパカバーの動作を制限することを特徴とする。
【0016】
ミキサドラムには現場で生コンクリートを使い切った後に、固化防止のために水が注入されることがあり、現場で注入した水がミキサドラム内に残ったままの状態(積載された状態)になることがある。この場合も、そのまま生コンクリートを投入してしまうと、新たな生コンクリートがミキサドラム内に残っている水や古い生コンクリートと混ざり合う結果、品質低下を招く。この発明によれば、積載時の最新駆動負荷が第2所定負荷以下で、且つ、ミキサドラムの積載量が所定量以上の場合は、直近の積載物が水であることがわかるので、直近の積載物が水の場合にホッパカバーの動作を制限できる。結果、現場で注入した水が古い生コンクリートとともにミキサドラム内に残っており、未洗浄のミキサドラムに生コンクリートを投入するという不正投入を防止できる。またこの場合は、洗浄は行ったものの、洗浄後の水が排出されずに残っているミキサドラムに生コンクリートを投入するという不正投入も防止できる。
【0017】
また、本発明は、ホッパカバーの開度をミキサドラム内への生コンクリートの投入を抑制可能な開度である所定開度に制限することで、ホッパカバーの動作を制限する、ことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ホッパカバーが所定開度までしか開かないので、生コンクリートが投入できなくなる。また、ホッパカバーの動作制限はミキサ車が生コンクリートの投入施設又は投入施設付近にいる場合に行われるので、このように動作制限として開度制限を行っても、現場でのホッパカバー内の確認作業に影響を与えずに済む。
【発明の効果】
【0019】
これらの発明によれば、ミキサドラムへの生コンクリートの不正投入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の実施形態に係るミキサ車を上方から見た平面図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係るミキサ車を後方から見た背面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るホッパ周辺部を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るミキサ車の要部を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る動作制御の一例をフローチャートで示す図である。
【
図5】ホッパカバーの動作制限制御の一例を説明する図である。
【
図6】変形例に係るミキサ車の要部を示す構成図である。
【
図7】変形例に係る動作制限制御の一例をフローチャートで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1A,Bに示すように、ミキサ車1は、架装物であるミキサドラム2内に投入されたモルタルやレディミクストコンクリート等の生コンクリート(以下、「生コン」と称する。)を運搬する車両であり、運転室11と架台3とを備える。以下の説明では、ミキサ車1が積載物として生コンを積載する場合について説明する。
【0023】
ミキサ車1は、車両上に回転自在に搭載されたミキサドラム2と、ミキサドラム2の駆動を制御し、ミキサドラム2の制御装置を構成するコントローラ20と、を備える。
【0024】
ミキサドラム2は、架台3に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端には生コンの投入と排出とが行われる開口部2aが設けられる。ミキサドラム2は、その回転軸Oが車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。ミキサドラム2内には、図示しないドラムブレードがドラム内壁面に沿って螺旋状に配設されており、ミキサドラム2とともにドラムブレードが回転することによって、ミキサドラム2内に積載された生コンの攪拌等が行われる。
【0025】
ミキサドラム2の開口部2aの後方上部には、ホッパ16が設けられる。生コンプラントにおいてミキサ車1に投入される生コンは、ホッパ16によって開口部2aへと導かれる。
図2のホッパ16周辺部にも示すように、ホッパ16の上部には、ホッパ16の開口を覆うホッパカバー17がシャフト171を介して回動自在に設けられる。ホッパカバー17はシャフト171を介してアクチュエータである電動モータMOTにより駆動される。ホッパカバー17がシャフト171を中心として回動することにより、ホッパ16が開閉される。
【0026】
図1A,Bに示すように、ミキサドラム2の開口部2aの後方下部には、フローガイド18及びシュート19が設けられる。開口部2aから排出される生コンは、フローガイド18によってシュート19に導かれ、シュート19によって所定の方向に排出される。
【0027】
ミキサドラム2は、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン10を駆動源として、駆動装置4を介して回転駆動される。駆動装置4は、エンジン10の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム2を回転駆動する流体圧装置である。
【0028】
図3はミキサ車1の要部を示す構成図であり、
図3では要部としてミキサドラム2や駆動装置4等とともにコントローラ20を示す。
図3に示すように、エンジン10は、エンジン10の出力及び回転数を調整するためのスロットル弁10aを有する。スロットル弁10aの開度は、エンジン10によって駆動装置4を駆動させる際に図示しないアクチュエータを介してコントローラ20により制御される。また、エンジン10には、エンジン10の回転速度を検出し、検出された回転速度に応じた信号をコントローラ20へ出力する回転センサ10bが設けられる。
【0029】
駆動装置4を駆動する際のエンジン10の回転数は、回転センサ10bによって検出された回転速度が所定の大きさとなるように、スロットル弁10aを介してコントローラ20により制御される。なお、回転センサ10bは、駆動装置4の入力軸である後述のPTO軸9やドライブシャフト8の回転速度を検出するものであってもよいし、後述の油圧ポンプ5の回転速度を検出するものであってもよい。
【0030】
エンジン10の回転は、エンジン10から常時動力を取り出すPTO軸9(PTO:Power take-off)と、PTO軸9と駆動装置4とを連結するドライブシャフト8と、を介して駆動装置4に伝達される。
【0031】
駆動装置4は、エンジン10によって駆動され作動流体としての作動油を吐出する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される作動油によって作動しミキサドラム2を回転駆動する油圧モータ6と、油圧ポンプ5から油圧モータ6に供給される作動油の流れを制御する電磁比例弁31と、を有する。なお、駆動装置4では、作動流体として作動油ではなく、他の非圧縮性流体が用いられてもよい。
【0032】
油圧ポンプ5はPTO軸9を介してエンジン10から常時取り出される動力によって回転駆動される。油圧ポンプ5を回転駆動させる駆動源は、走行用のエンジン10に限定されず、走行に用いられない補機用のエンジンや電動モータであってもよい。
【0033】
油圧ポンプ5は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンポンプである。油圧ポンプ5から吐出された作動油は油圧モータ6に供給され、油圧モータ6が回転する。油圧モータ6の回転は、減速機7を介してミキサドラム2に伝達される。油圧ポンプ5は、ポンプ吐出圧が導かれるアクチュエータ(図示省略)の作動により、アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧が上昇するほど、斜板を付勢する傾転スプリングに抗してポンプ吐出量が小さくなるように制御される。アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧は、ロードセンシング弁(図示省略)によって調整される。ロードセンシング弁は、油圧ポンプ5の吐出圧と油圧モータ6に供給される圧力(負荷圧)との差圧が所定値となるようにアクチュエータに導かれるポンプ吐出圧を調整する。
【0034】
油圧ポンプ5によってミキサドラム2が正転運転されるときには、ミキサドラム2内の生コンクリートが攪拌される。一方、油圧ポンプ5によってミキサドラム2が逆転運転されるときには、ミキサドラム2内の生コンクリートが後端の開口部2aからフローガイド18及びシュート19を介して外部へと排出される。
【0035】
油圧モータ6は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンモータである。油圧モータ6は、油圧ポンプ5から吐出された作動油の供給を受けて回転駆動される。油圧モータ6は、コントローラ20からの二速切換信号を受信して斜板(図示省略)の傾転角を調整する電磁弁(図示省略)を備える。油圧モータ6の容量は、電磁弁が切り換えられることによって、高速回転用の小容量(2速)と通常回転用の大容量(1速)との二段階に切り換えられる。油圧モータ6は、容量が無段階で切り換えられるものであってもよい。
【0036】
油圧モータ6には、回転数検知器としての回転センサ6aと圧力検知器としての圧力センサ6bとが設けられる。回転センサ6aは、油圧モータ6の出力軸の回転方向と回転数を検知し、コントローラ20に回転方向信号と回転数信号とを出力する。圧力センサ6bは、油圧によるミキサドラム2の駆動圧を検出する。圧力センサ6bは油圧ポンプ5に設けられ、駆動圧としてポンプ吐出圧を検出してもよい。
【0037】
油圧ポンプ5と油圧モータ6の間には、閉回路Lが設けられ、この閉回路Lを作動油が循環するようになっている。この閉回路L中に電磁比例弁31が設けられる。電磁比例弁31は、油圧ポンプ5が吐出した作動油をミキサドラム2を正回転させるように油圧モータ6に導く正転位置31Aと、油圧ポンプ5が吐出した作動油をミキサドラム2を逆回転させるように油圧モータ6に導く逆転位置31Bと、油圧ポンプ5から油圧モータ6への間の作動油の流れを遮断する中立位置31Cと、を備える。
【0038】
電磁比例弁31は、一対のソレノイド32a,32b及び一対のリターンスプリング33a,33bを有する。一対のソレノイド32a,32bは、コントローラ20から出力される制御信号によって作動する。制御信号とは、具体的には電流値である。この電流値を調整することで、電磁比例弁31は、正転位置31A、中立位置31C、及び逆転位置31Bによりそのポジションが無段階に切り換えられる。
【0039】
電磁比例弁31は、一方のソレノイド32aへ通電されることで、その通電量に応じた開度で正転位置31Aに切り換えられる。これにより、油圧モータ6には、電磁比例弁31の開度に応じた流量の作動油が、ミキサドラム2を正転方向に回転させるように供給される。
【0040】
反対に、電磁比例弁31は、他方のソレノイド32bへ通電されることで、その通電量に応じた開度で逆転位置31Bに切り換えられる。これにより、油圧モータ6には、電磁比例弁31の開度に応じた流量の作動油が、ミキサドラム2を逆転方向に回転させるように供給される。なお、電磁比例弁31は、ソレノイド32a,32bへの通電量が大きいほど、開度が大きくなり多くの流量が油圧モータ6に導かれる。
【0041】
電磁比例弁31は、一対のソレノイド32a,32bへの通電が遮断されると、一対のリターンスプリング33a,33bの付勢力によって中立位置31Cに切り換えられる。中立位置31Cでは、油圧モータ6への作動油の供給が遮断されるため、油圧モータ6は回転駆動されない。
【0042】
上記構成の駆動装置4では、油圧ポンプ5から吐出された作動油が油圧モータ6に供給されることで油圧モータ6が回転し、供給される作動油の流れの向き、流量や油圧モータ6の斜板の傾転角に応じて、油圧モータ6の回転速度及び回転方向が変更される。
【0043】
駆動装置4の出力軸、すなわち油圧モータ6の出力軸は、減速機7を介してミキサドラム2の回転軸Oに連結される。このため、油圧モータ6の回転速度を増減することによって、ミキサドラム2の回転速度を増減させることが可能であり、油圧モータ6の回転方向を切り換えることによって、ミキサドラム2の回転方向を正回転方向である投入方向と逆回転方向である排出方向とに切り換えることが可能である。
【0044】
このように、ミキサドラム2の回転数及び回転方向は、油圧モータ6の回転数及び回転方向に相関することから、油圧モータ6の回転センサ6aの検出値からミキサドラム2の回転数及び回転方向を把握することが可能である。なお、回転センサ6aは、油圧モータ6に代えて、ミキサドラム2の回転数及び回転方向を検出するものであってもよい。
【0045】
ミキサドラム2が投入方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより攪拌されながら前方へと移動する。一方、ミキサドラム2が排出方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより攪拌されながら後方へと移動する。
【0046】
このようにミキサドラム2を投入方向とは反対の方向である排出方向に回転させることで、ミキサドラム2の開口部2aから生コンを排出できる。ミキサドラム2から排出された生コンは、フローガイド18及びシュート19を介して所定位置に誘導される。
【0047】
なお、ホッパ16を介して、ミキサドラム2内へ生コンを投入する場合には、攪拌時よりもミキサドラム2を高速で投入方向に回転させることで、投入された生コンを速やかにミキサドラム2の前方へと移動させる。
【0048】
コントローラ20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAM等をROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって、駆動装置4の作動が制御される。
【0049】
コントローラ20は、少なくとも、本実施形態や変形例に係る制御を実行するために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ20は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。また、コントローラ20は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、本実施形態における各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0050】
コントローラ20には上記のように、油圧モータ6の回転センサ6a及び圧力センサ6bと、エンジン10の回転センサ10bと、が接続され、これらのセンサ類で検出された検出値が入力される。また、コントローラ20には、上記のように電磁比例弁31とエンジン10のスロットル弁10aとが接続されるとともに、図示しないインバータを介して電動モータMOTが接続され、これらを作動させる指令値がコントローラ20から出力される。
【0051】
コントローラ20にはさらに、ミキサ車1の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satelite System)モジュール21と、ミキサドラム2の自動洗浄を指示するための操作部である自動洗浄SW(スイッチ)22と、ホッパカバー17を駆動してホッパ16の開口の開閉を指示するための開閉操作部である開閉SW23と、が接続される。
【0052】
GNSSモジュール21は、GNSS受信機と、地図データベースと、ナビゲーション装置とを含む。GNSS受信機は、測位衛星からの電波を受信し、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づき測位衛星までの距離を算出するとともに、測位衛星までの距離と測位衛星の位置とに基づきミキサ車1の現在位置を検出する。地図データベースは、地図情報を格納したデータベースである。ナビゲーション装置は、ユーザの操作によってミキサ車1の走行ルートを設定可能であり、走行ルートの設定にはGNSS受信機が検出したミキサ車1の現在位置や地図データベースの地図情報が用いられる。GNSSモジュール21が検出したミキサ車1の現在位置は、位置情報としてコントローラ20に入力される。GNSSモジュール21は情報取得装置に相当する。
【0053】
自動洗浄SW22と開閉SW23とは、例えばミキサ車1の運転室11外に設けられる。自動洗浄SW22をONにすることで、コントローラ20を介してミキサドラム2の自動洗浄動作が行われる。自動洗浄動作では、ミキサドラム2を短時間に繰り返し正逆回転させるミキサドラム2の洗浄動作が自動で行われる。開閉SW23には、電動モータMOTによりホッパカバー17を開方向に駆動してホッパ16の開口を開く開操作と、電動モータMOTによりホッパカバー17を閉方向に駆動してホッパ16の開口を塞ぐ閉操作とが可能なスイッチが用いられる。
【0054】
コントローラ20は、GNSSモジュール21からミキサ車1の現在位置や地図情報を含むミキサ車1の位置情報や各種の設定情報等の情報を取得する情報取得部20aと、情報取得部20aが取得した情報に基づきミキサ車1がミキサドラム2への生コンの投入施設としての生コンプラント付近にいるか否かを判定する第1判定部20bと、圧力センサ6bの検出値Pに基づきミキサドラム2の駆動負荷が後述する第1低負荷か否かを判定する第2判定部20cと、回転センサ6aの検出値や自動洗浄SW22からの信号に基づき、洗浄動作の条件が成立したか否かを判定する第3判定部20dと、第1判定部20b及び第2判定部20cの判定結果に基づき、ミキサドラム2が生コン積載状態でミキサ車1が投入施設付近にいるときに、第3判定部20dの判定結果に基づき、ホッパカバー17の動作を制限する動作制限部20eと、を有する。
【0055】
なお、これら情報取得部20a等は、コントローラ20の各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。また、上記機能はコントローラ20が実行する制御の一部であり、コントローラ20ではこれら以外の機能に関連する制御も随時実行される。
【0056】
次に、
図3に示すコントローラ20の各構成について更なる説明を適宜行いつつ、ミキサドラム2の制御装置としてのコントローラ20が行う制御を
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0057】
図4は、動作制限制御の一例をフローチャートで示す図である。
図4に示すフローチャートの処理は、コントローラ20とGNSSモジュール21とにより構成されたミキサドラム2の制御装置によって行われてもよく、以下で説明するようにミキサ車1が所定エリア内にいることを判定(検出)するといった処理をGNSSモジュール21で行ってもよい。
図4に示すフローチャートの処理は、所定周期毎に繰り返し実行することができる。
【0058】
ステップS1では、ミキサ車1の位置情報に基づきミキサ車1が所定エリア内にいるか否かが判定される。所定エリアは、生コンプラントに対応するエリアであり、ミキサ車1が現場を含む生コンプラント外から生コンの投入施設である生コンプラントに戻ってきたか否かを判定するために、GNSSモジュール21のナビゲーション装置を用いて予め設定される。所定エリアは、現在位置の検出精度や設定エリアの指定方法等に応じて、生コンプラントそのもののエリアに対し余裕を持って設定された生コンプラント付近であってもよく、生コンプラントそのもののエリアとされてもよい。
【0059】
ステップS1は第1判定部20bに対応する。ステップS1で否定判定であれば、本フローチャートの処理は一旦終了する。ステップS1で肯定判定であれば、処理はステップS2に進む。
【0060】
ステップS2では、ミキサドラム2の駆動負荷が第1所定負荷である第1低負荷か否かを判定する。圧力センサ6bの検出値Pはミキサドラム2の駆動負荷を指標し、駆動負荷が第1低負荷か否かは、検出値Pが第1所定値P1以下か否かにより判定される。第1所定値P1はミキサドラム2が生コン無積載状態か否かを判定するための判定値(換言すれば、生コン積載状態か否かを判定するための判定値)として予め設定され、第1低負荷はミキサドラム2が生コン無積載状態であることに対応する。
【0061】
生コン無積載状態は生コンを積載していない状態であり、ミキサドラム2の内壁に付着している生コンが残っている場合など、無積載状態とみなされるみなし無積載状態を含む。また、水と生コンとでは粘性が異なり、生コンはミキサドラム2内に付着することから、生コンを積載している場合は水が残っている場合と比べ、ミキサドラム2の駆動負荷は十分な有意差が得られる程度に高くなる。
【0062】
このため、検出値Pが第1所定値P1より大きい場合は、ミキサドラム2内に水が残っているのではなく、生コン積載状態であると判定できる。一方、検出値Pが第1所定値P1以下であれば、駆動負荷が第1低負荷であり、生コン無積載状態であると判定できる。ステップS2は第2判定部20cに対応する。駆動負荷が第1低負荷の場合、ステップS2で肯定判定され、処理はステップS3に進む。
【0063】
ステップS3では、洗浄動作の条件が成立したか否かが判定される。洗浄動作の条件は、マニュアル操作で洗浄を行う場合の条件(洗浄動作の構成要素を条件とするもの)、及び自動洗浄により洗浄を行う場合の条件(洗浄動作の開始を条件とするもの)を含む。
【0064】
前者の条件は、所定時間内に所定回数以上、正逆回転が繰り返されたこととされ、回転センサ6aからの信号に基づき成立したか否かが判定される。所定時間、所定回数は予め設定できる。後者の条件は、自動洗浄SW22がONになったこととされ、自動洗浄SW22からの信号に基づき成立したか否かが判定される。
【0065】
これらの条件のいずれかが成立すれば、ステップS3で肯定判定され、ミキサドラム2内の洗浄が実行されたことが判定される。この場合はミキサドラム2内が未洗浄のまま生コンを投入するという不正投入は行われないので、続くステップS4ではホッパカバー17の動作制限は特に行われない。ステップS4の後には、本フローチャートの処理は一旦終了する。
【0066】
駆動負荷が第1低負荷よりも高い場合、生コン積載状態であると判定され、ステップS2で否定判定される。この場合、ミキサドラム2から生コンが排出されずにミキサドラム2が未洗浄のまま、生コンを投入する不正投入が行われる可能性がある。このためこの場合は、ステップS5でホッパカバー17の動作制限が行われる。ホッパカバー17の動作制限は次に説明するように、例えばホッパカバー17の開度(動作量)を制限することにより行われる。
【0067】
図5は、ホッパカバー17の動作制限の一例を説明する図である。
図5に示すように、生コンは生コン投入設備によりホッパ16に真上から投入される。このため、ホッパカバー17の開度は、ミキサドラム2内への生コンの投入を抑制可能な開度を所定開度αとして、所定開度αに制限される。結果、開閉SW23を操作してホッパカバー17を開方向に駆動しようとしても、ホッパカバー17は所定開度αまでしか開かず、生コンの投入が抑制される。また、ホッパカバー17の動作制限はミキサ車1が所定エリア内にいる場合に行われるので、現場でのホッパカバー17内(ホッパ16及びミキサドラム2内)の確認作業には特に影響しない。ホッパカバー17が90°以上開いている場合は、真上から見てホッパカバー17がホッパ16と重ならない。このため、所定開度αは例えば90°未満に設定できる。また、所定開度αを45°に設定すれば、真上から見てホッパ16の半分がホッパカバー17で隠れるので、投入をためらわせるのに十分な投入抑制効果が得られる。さらに、所定開度αをホッパカバー17内の目視確認が可能な範囲内で45°より小さい開度(例えば一定程度小さい開度で、一例として20°から30°の範囲内)に設定すれば、より高い投入抑制効果が得られるだけでなく、所定エリア内でのホッパカバー17内の確認作業も可能になる。
【0068】
ミキサドラム2内を洗浄する際、ホッパ16にはホースにより水を注入できる。このため、所定開度αはさらに、ホース等の水供給部材をホッパ16内に挿入して水を注入可能な開度とされる。これにより、ホッパカバー17の動作制限により不正投入を防止しつつも、ミキサドラム2内の洗浄が実行可能になる。
【0069】
ホッパカバー17の動作制限は例えば、ホッパカバー17を閉状態で動作不能にすることであってもよい。このためには例えば、開閉SW23の開操作に応じた指令をコントローラ20で無効にすることや、電動モータMOTを駆動するためのコントローラ20の内部指令を無効にすることができる。或いは、ホッパカバー17が手動式の場合などでは、ホッパカバー17を閉状態でロックする電動ロック装置を設け、コントローラ20で電動ロック装置を制御することでロックを行ってもよい。
【0070】
ホッパカバー17を閉状態で動作不能にする場合、ミキサドラム2に対しては、ホッパ16の開口以外の水注入口を設けて水を注入可能にすればよい。これにより、ホッパカバー17が閉状態のままでも、ミキサドラム2内の洗浄が実行可能になる。
【0071】
図4に戻り、ステップS3で否定判定であった場合は、ミキサドラム2の洗浄動作をしておらず、ミキサドラム2内が未洗浄と判定される。この場合、ミキサドラム2は生コン無積載状態であっても未洗浄なので、古い生コンクリートが付着したままのミキサドラム2に新たな生コンクリートが投入されるという不正投入が行われる可能性がある。
【0072】
このためこの場合も、処理はステップS5に進み、ホッパカバー17の動作制限が行われる。ステップS5の後には、本フローチャートの処理は一旦終了する。
【0073】
その後のルーチンでは、ミキサドラム2内の洗浄が行われるまではステップS1,S2,S3,S5の処理が繰り返し行われる。そして、洗浄が行われるとステップS3で肯定判定され、ステップS4でホッパカバー17の動作制限が解除される(動作制限なし)。ホッパカバー17の動作制限は動作制限部20eにより解除することができる。つまり、動作制限部20eはさらに、ホッパカバー17の動作制限を解除する制限解除部を兼ねる。
【0074】
生コンの排出とミキサドラム2内の洗浄とは、生コンプラントで行うことができる。このため、ステップS2で否定判定の場合は、その後のルーチンにおいて、生コンが排出され、且つ洗浄のために水が注入されれば、直近の積載物が水になる結果、ステップS2で肯定判定され、ステップS3,S5の順に処理が進む。そして、洗浄が行われれば、ステップS3で肯定判定される結果、ステップS4で動作制限が解除される。
【0075】
ステップS3は第3判定部20dに対応し、ステップS4,S5は動作制限部20eに対応する。また、ステップS2で否定判定の場合と、ステップS3で否定判定の場合とは、ミキサドラム2内が未洗浄の場合に対応する。
【0076】
(変形例)
コントローラ20は、以下で説明するようにホッパカバー17の動作制限を行うように構成されてもよい。
【0077】
図6は、ミキサ車1の変形例であるミキサ車1Aの要部を示す構成図である。ミキサ車1Aは、ミキサドラム2の生コンの積載量Aを検出するための積載量センサ24が設けられる点と、コントローラ20の変形例であるコントローラ20Aを備える点で
図3に示す構成のミキサ車1と異なる。
【0078】
コントローラ20Aは、第3判定部20dを有しない点と、積載量センサ24の検出値に基づきミキサドラム2の積載量Aを演算(検出)する積載量演算部20fと、積載量演算部20fが演算したミキサドラム2の積載量Aと、圧力センサ6bの検出値Pとに基づき、ミキサドラム2の積載状態下で、圧力センサ6bが検出を行う度に検出される検出値P(駆動負荷)の最新値である最新検出値PL(最新駆動負荷)を記憶する駆動負荷記憶部(記憶部)20gと、駆動負荷記憶部20gに記憶された最新検出値PLに基づき、最新検出値PLが後述する第2所定値P2未満であるか否かを判定する第4判定部20hと、積載量演算部20fが演算したミキサドラム2の積載量Aに基づき、みなし無積載状態を含む無積載状態か否かを判定する第5判定部20iと、を有する点と、動作制限部20eの変形例である動作制限部20eAが、第3判定部20dの判定結果の代わりに、第4判定部20hと第5判定部20iの判定結果に基づき、ホッパカバー17の動作を制限する点で、
図3に示す構成のコントローラ20と異なる。
【0079】
無積載状態は、洗浄後のミキサドラム2の内壁に付着した水が残っている場合や、生コン排出後のミキサドラム2の内壁に付着した生コンが残っている場合など、ミキサドラム2が無積載状態とみなされるみなし無積載状態を含む。
【0080】
積載量演算部20fは、積載量センサ24の検出値に基づき、当該検出値とミキサドラム2の空重量との差分を演算することで、ミキサドラム2の積載量Aを演算(検出)する。ミキサドラム2の空重量には例えば、ミキサドラム2が空の状態で予め測定した値を用いることができる。積載量演算部20fは、所定周期毎に積載量Aを検出することができ、積載量Aを逐次検出する。
【0081】
積載量演算部20fは、積載量センサ24とともに積載量検出部Dを構成する。積載量センサ24は例えば、ミキサドラム2内の積載残量を検出するように構成されてもよく、積載量検出部Dはセンサ単体で構成されてもよい。また、積載量Aを検出することは、積載量Aを推定することを含む。
【0082】
駆動負荷記憶部20gは、ミキサドラム2が積載状態の場合にミキサドラム2の積載時の駆動負荷として圧力センサ6bの検出値Pを記憶する。ミキサドラム2が積載状態であることは、積載量演算部20fが演算したミキサドラム2の積載量Aに基づき、ミキサドラム2が積載状態か否か(換言すれば、後述するステップS13と同様に、ミキサドラム2が無積載状態か否か)を判定することで判定できる。
【0083】
駆動負荷記憶部20gには、ミキサドラム2が積載状態の場合に圧力センサ6bが検出を行う度に検出値Pが記憶され、新たに記憶された検出値Pが最新検出値PLとして記憶される。結果、駆動負荷記憶部20gでは最新検出値PLが随時更新されながら記憶される。
【0084】
次に、
図6に示すコントローラ20Aの各構成について更なる説明を適宜行いつつ、コントローラ20Aが行う制御を
図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0085】
図7は、動作制限制御の変形例をフローチャートで示す図である。
図7に示すフローチャートの処理は、所定周期毎に繰り返し実行することができる。
【0086】
ステップS11は、
図4のステップS1と同じである。ステップS12ではミキサドラム2の積載時の最新駆動負荷が、第2所定負荷である第2低負荷か否かが判定される。ステップS12では最新検出値PLが第2所定値P2以下か否かにより、積載時の最新駆動負荷が第2低負荷か否かが判定される。第2所定値P2は、ミキサドラム2の積載物が水か生コンかを判定するための判定値として予め設定され、第2低負荷は積載物が水であることに対応する。最新検出値PLには駆動負荷記憶部20gに記憶された値が用いられる。第2所定値P2の具体的な数値は第1所定値P1と同じであってもよい。
【0087】
ステップS12では、積載時の最新駆動負荷を用いることで、ミキサドラム2が現在、無積載状態であったとしても、直近の積載物が生コンであれば、直近の積載物が生コンであることに基づき、ミキサドラム2が未洗浄と判定できる。
【0088】
最新検出値PLが第2所定値P2より高い場合、直近の積載物が生コンと判定される結果、ミキサドラム2内が未洗浄と判定される。この場合、ステップS12で否定判定され、ステップS15で、前述したステップS5と同様にホッパカバー17の動作制限が行われる。
【0089】
最新検出値PLが第2所定値P2以下の場合、直近の積載物が水と判定される。この場合、ステップS12で肯定判定され、処理はステップS13に進む。ステップS12は、第4判定部20hに対応する。
【0090】
ステップS13では、積載量演算部20fが演算したミキサドラム2の積載量Aに基づき、ミキサドラム2が無積載状態か否かが判定される。ステップS13では、積載量Aが所定量A1未満か否かを判定することで、無積載状態か否かが判定される。所定量A1は、ミキサドラム2が無積載状態か否かを判定するための判定値(換言すれば、ミキサドラム2が積載状態か否かを判定するための判定値)であり、予め設定される。
【0091】
積載量Aが所定量A1未満の場合は、無積載状態と判定され、ステップS13で肯定判定される。この場合、洗浄後のミキサドラム2内に付着した水が残っているなど、ミキサドラム2内に水が残っていないとみなせる状態を含め、ミキサドラム2内に水が残っていないと判定される。
【0092】
積載量Aが所定量A1以上の場合は、積載状態と判定され、ステップS13で否定判定される。この場合、ミキサドラム2内に水が残っていると判定される。ステップS13では、現場で注入した水がミキサドラム2内に残ったまま未洗浄の場合や、洗浄後のミキサドラム2内から水が排出されずにミキサドラム2内に水が残ったままの場合に否定判定される。
【0093】
ステップS13で否定判定の場合、処理はステップS15に進み、ホッパカバー17の動作制限が行われる。これにより、水が古い生コンとともに残っている場合を含め、ミキサドラム2内に水が残ったまま生コンを投入するという不正投入も防止できる。ステップS13は、第5判定部20iに対応する。
【0094】
ミキサドラム2に現在、生コンが積載されており、ステップS12で否定判定された場合、その後のルーチンで生コンが排出され、且つ洗浄のために水が注入されれば、直近の積載物が水になる結果、ステップS12で肯定判定される。そして、ミキサドラム2から水が排出されるまでは、ステップS13,S15の順に処理が進み、洗浄後の水がミキサドラム2から排出されれば、ステップS13で肯定判定され、ステップS14で動作制限が解除される(動作制限なし)。
【0095】
ステップS12は第4判定部20hに対応し、ステップS13は第5判定部20iに対応する。ステップS12で否定判定の場合とステップS13で否定判定の場合とは、ミキサドラム2内が未洗浄の場合に対応する。ステップS13で否定判定の場合はさらに、洗浄後の水がミキサドラム2内に残っている場合に対応する。
【0096】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0097】
コントローラ20は、ミキサ車1に搭載されたミキサドラム2の制御を行うミキサドラム2の制御装置を構成する。コントローラ20は、ミキサ車1がミキサドラム2への生コンの投入施設である生コンプラント付近にいるときに、ミキサドラム2内が未洗浄の場合は、ミキサドラム2のホッパカバー17の動作を制限する。
【0098】
この構成によれば、ミキサドラム2内が未洗浄の場合は、生コンを投入不能な開度である所定開度αにホッパカバー17の開度を制限したり、ホッパカバー17を閉じた状態でロックしたりするなど、ホッパカバー17の動作を制限できる。このため、生コンが未排出の場合を含め、未洗浄のミキサドラム2に生コンを投入する不正投入を防止できる。
【0099】
ミキサドラム2は、生コンが無積載とみなされる状態を含む生コン無積載状態を有し、コントローラ20は、上記未洗浄の場合として、検出値Pが第1所定値P1より大きい、つまりミキサドラム2の駆動負荷が、ミキサドラム2が生コン無積載状態か否かを判定するための第1低負荷より高い場合に、ホッパカバー17の動作を制限する。
【0100】
この構成によれば、生コンが積載されている場合にホッパカバー17の動作を制限できるので、ミキサドラム2内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0101】
ミキサドラム2は、生コンが無積載とみなされる状態を含む生コン無積載状態を有し、コントローラ20は、上記未洗浄の場合として、検出値Pが第1所定値P1以下、つまりミキサドラム2の駆動負荷が、ミキサドラム2が生コン無積載状態か否かを判定するための第1低負荷以下であり、且つ、ミキサドラム2の洗浄動作をしていない場合は、ホッパカバー17の動作を制限する。
【0102】
この構成によれば、生コン無積載状態であっても、例えばミキサドラム2を短時間で繰り返し正逆回転させるといった洗浄動作をしていないときには、ホッパカバー17の動作を制限できる。このため、ミキサドラム2内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0103】
コントローラ20は、上記未洗浄の場合として、ミキサドラム2の積載状態下で、ミキサドラム2の駆動圧を検出する圧力センサ6bが検出を行う度に検出される検出値Pの最新値である最新検出値PLが第2所定値P2より大きい、つまり最新検出値PLに応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンかを判定するための第2低負荷より高い場合は、ホッパカバー17の動作を制限する。
【0104】
この構成によれば、積載時の最新駆動負荷が第2低負荷より高い場合は、直近の積載物が生コンであり、ミキサドラム2内が未洗浄であることがわかることから、ミキサドラム2内が未洗浄の場合に不正投入を防止できる。
【0105】
コントローラ20は、上記未洗浄の場合として、ミキサドラム2の積載状態下で、ミキサドラム2の駆動圧を検出する圧力センサ6bが検出を行う度に検出される検出値Pの最新値である最新検出値PLが第2所定値P2以下、つまり最新検出値PLに応じた最新駆動負荷が、積載物が水か生コンかを判定するための第2低負荷以下で、且つ、ミキサドラム2の積載量Aが所定量A1以上の場合は、ホッパカバー17の動作を制限する。
【0106】
この構成によれば、積載時の最新駆動負荷が第2低負荷以下で、且つ、ミキサドラム2の積載量Aが所定量A1以上の場合は、直近の積載物が水であることがわかるので、直近の積載物が水の場合にホッパカバー17の動作を制限できる。結果、現場で注入した水が古い生コンとともにミキサドラム2内に残っており、未洗浄のミキサドラム2に生コンを投入するという不正投入を防止できる。またこの場合は、洗浄は行ったものの、洗浄後の水が排出されずに残っているミキサドラム2に生コンを投入するという不正投入も防止できる。
【0107】
コントローラ20は、ホッパカバー17の開度をミキサドラム2内への生コンの投入を抑制可能な開度である所定開度αに制限することで、ホッパカバー17の動作を制限する。
【0108】
この構成によれば、ホッパカバー17が所定開度αまでしか開かないので、生コンが投入できなくなる。また、ホッパカバー17の動作制限はミキサ車1が生コンプラント付近にいる場合に行われるので、このように動作制限として開度制限を行っても、現場でのホッパカバー17内の確認作業に影響を与えずに済む。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0110】
1,1A・・・ミキサ車、2・・・ミキサドラム、17・・・ホッパカバー、20,20A・・・コントローラ(制御装置)、A・・・積載量、A1・・・所定量、P・・・検出値(駆動負荷)、P1・・・第1検出値(第1所定負荷)、P2・・・第2検出値(第2所定負荷)、PL・・・最新検出値(最新駆動負荷)