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特開2024-165295粘着剤監視装置、粘着剤塗布装置、画像形成装置およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165295
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】粘着剤監視装置、粘着剤塗布装置、画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20241121BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20241121BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241121BHJP
   B05C 11/02 20060101ALI20241121BHJP
   B05C 11/04 20060101ALI20241121BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20241121BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B05C11/00
B65H7/02
B05C11/10
B05C11/02
B05C11/04
B05C13/02
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081377
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 裕也
【テーマコード(参考)】
2C056
3F048
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB29
2C056EC12
2C056EC26
2C056FB03
2C056HA28
2C056HA29
3F048AA05
3F048AB10
3F048BB02
3F048DC12
3F048EB24
4F042AA22
4F042BA06
4F042BA12
4F042BA19
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB19
4F042DD07
4F042DD09
4F042DD16
4F042DD17
4F042DD24
4F042DD46
4F042DD47
4F042DF23
4F042DH02
4F042DH09
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】粘着剤の表面状態を監視する。
【解決手段】布帛を搬送するための搬送ベルト10と、搬送ベルト10の上面10aに粘着剤Paを塗布する塗布手段20と、塗布された粘着剤Paの状態を監視する第1監視手段40とを備えた。第1監視手段40は、粘着剤Paの表面状態を監視する表面監視部44、粘着剤Paの厚さを測定する粘着剤厚さ測定部35、塗布された粘着剤Paの粘着力を測定する粘着力測定部34のうち少なくとも1つである。表面監視部44は、光源45と、粘着剤Paの画像を撮像する画像センサ1とを備え、粘着剤Paは、透明であり、搬送ベルト10は、黒色である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛を搬送するための搬送ベルトの上面に、塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段と
を備えた粘着剤監視装置。
【請求項2】
前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布された粘着剤の状態の良否を判定する判定部をさらに備える請求項1に記載の粘着剤監視装置。
【請求項3】
前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、エラーを報知するエラー報知部をさらに備える請求項2に記載の粘着剤監視装置。
【請求項4】
前記第1監視手段は、前記搬送ベルトおよび前記粘着剤の何れか一方または双方を照明する光源と、前記塗布された粘着剤の画像を撮像する画像センサとを備える請求項1に記載の粘着剤監視装置。
【請求項5】
布帛を搬送するための搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの上面に粘着剤を塗布する塗布手段と、
前記塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段と
を備えた粘着剤塗布装置。
【請求項6】
前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の表面状態を監視する表面監視部を備える請求項5に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項7】
前記表面監視部は、前記塗布された粘着剤の表面に向け光を照射する光源と、前記光源から照射された光の反射光を受光する受光部とを備える請求項6に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項8】
前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の厚さを測定する粘着剤厚さ測定部を備える請求項7に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項9】
前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の粘着力を測定する粘着力測定部を備える請求項5に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項10】
前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の表面状態を監視する表面監視部、前記塗布された粘着剤の厚さを測定する粘着剤厚さ測定部、前記塗布された粘着剤の粘着力を測定する粘着力測定部のうち少なくとも1つを備える請求項5に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項11】
前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布手段を制御する塗布制御部を、さらに備えた請求項5乃至請求項10のいずれか一項に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項12】
前記塗布手段は、粘着剤を供給する粘着剤供給部と、前記粘着剤供給部により供給された粘着剤を前記搬送ベルトの上面で均す均し部とを備え、
前記塗布制御部は、前記第1監視手段による監視に基づいて、前記粘着剤供給部と前記均し部との少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項11に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項13】
前記粘着剤供給部により供給された粘着剤の状態を監視する第2監視手段をさらに備え、
前記塗布制御部は、前記第1監視手段による監視および前記第2監視手段による監視に基づいて、前記粘着剤供給部と前記均し部との少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項12に記載の粘着剤塗布装置。
【請求項14】
布帛を搬送するための搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの上面に粘着剤を塗布する塗布手段と、
前記塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段と 、
前記塗布された粘着剤の表面に、前記布帛を供給する布帛供給手段と、
前記布帛に画像形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項15】
前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布された粘着剤の状態の良否を判定する判定部をさらに備える請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、エラーを報知するエラー報知部をさらに備える請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記エラー報知部によるエラーの報知は、粘着剤の剥離作業を促す旨の報知である請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、前記画像形成手段により画像形成を中断する請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「良」と判定された場合、前記画像形成手段による画像形成を継続する請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項20】
搬送ベルト上に塗布された粘着剤を監視する監視装置に実行させるプログラムであって、
前記搬送ベルト上に塗布された粘着剤の状態を取得する第1ステップと、
前記第1ステップで取得した粘着剤の状態を監視する第2ステップと、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤監視装置、粘着剤塗布装置、画像形成装置およびプログラムに関し、例えば、均した粘着剤の厚みや表面状態を監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
布帛(ふはく)にインクジェットで印字するインクジェット捺染機(なっせんき)が知られている。インクジェット捺染機では、搬送ベルトに塗布された粘着剤に布帛が貼り付けられ、貼り付けられた布帛の搬送中にプリントが行われる。特許文献1では、作業環境および作業効率を低下させることなく、プリント精度の高い捺染物を得ることのできる搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-137420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、粘着剤を薄層化するブレードが搬送方向に対して傾斜している。これにより、薄層化された粘着剤の品質低下が抑制されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、カメラ等の画像センサを備えていない。そのため、特許文献1に記載の技術では、粘着剤の凹凸や光沢等の表面状態を監視することができない。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、粘着剤の状態を監視することができる粘着剤監視装置、粘着剤塗布装置、画像形成装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
【0007】
(1)布帛を搬送するための搬送ベルトの上面に、塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段と
を備えた粘着剤監視装置。
【0008】
(2)前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布された粘着剤の状態の良否を判定する判定部をさらに備える前記(1)に記載の粘着剤監視装置。
【0009】
(3)前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、エラーを報知するエラー報知部をさらに備える(2)に記載の粘着剤監視装置。
【0010】
(4)前記第1監視手段は、前記搬送ベルトおよび前記粘着剤の何れか一方または双方を照明する光源と、前記塗布された粘着剤の画像を撮像する画像センサとを備える前記(1)に記載の粘着剤監視装置。なお、前記(4)に記載の粘着剤監視装置において、前記粘着剤は、透明であり、前記搬送ベルトは、黒色であることが好ましい。
【0011】
(5)布帛を搬送するための搬送ベルトと、前記搬送ベルトの上面に粘着剤を塗布する塗布手段と、前記塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段とを備えた搬送ベルトの粘着剤塗布装置。
【0012】
(6)前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の表面状態を監視する表面監視部を備える前記(5)に記載の粘着剤塗布装置。
【0013】
(7)前記表面監視部は、前記塗布された粘着剤の表面に向け光を照射する光源と、前記光源から照射された光の反射光を受光する受光部とを備える前記(6)に記載の粘着剤塗布装置。
【0014】
(8)前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の厚さを測定する粘着剤厚さ測定部を備える前記(7)に記載の粘着剤塗布装置。
【0015】
(9)前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の粘着力を測定する粘着力測定部を備える前記(5)に記載の粘着剤塗布装置。
【0016】
(10)前記第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の表面状態を監視する表面監視部、前記塗布された粘着剤の厚さを測定する粘着剤厚さ測定部、前記塗布された粘着剤の粘着力を測定する粘着力測定部のうち少なくとも1つを備える前記(5)に記載の粘着剤塗布装置。
【0017】
(11)前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布手段を制御する塗布制御部を、さらに備えた前記(5)乃至前記(10)のいずれか一項に記載の粘着剤塗布装置。
【0018】
(12)前記塗布手段は、粘着剤を供給する粘着剤供給部と、前記粘着剤供給部により供給された粘着剤を前記搬送ベルトの上面で均す均し部とを備え、
前記塗布制御手段は、前記第1監視手段による監視に基づいて、前記粘着剤供給部と前記均し部との少なくとも一方を制御することを特徴とする前記(11)に記載の粘着剤塗布装置。
【0019】
(13)前記粘着剤供給部により供給された粘着剤の状態を監視する第2監視手段をさらに備え、前記塗布制御部は、前記第1監視手段による監視および前記第2監視手段による監視に基づいて、前記粘着剤供給部と前記均し部との少なくとも一方を制御することを特徴とする前記(12)に記載の粘着剤塗布装置。
【0020】
(14)布帛を搬送するための搬送ベルトと、前記搬送ベルトの上面に粘着剤を塗布する塗布手段と、前記塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段と、前記塗布された粘着剤の表面に、前記布帛を供給する布帛供給手段と、前記布帛に画像形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置。
【0021】
(15)前記第1監視手段による監視に基づいて、前記塗布された粘着剤の状態の良否を判定する判定部をさらに備える前記(14)に記載の画像形成装置。
【0022】
(16)前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、エラーを報知するエラー報知部をさらに備える前記(15)に記載の画像形成装置。
【0023】
(17)前記エラー報知部によるエラーの報知は、粘着剤の剥離作業を促す旨の報知である前記(16)に記載の画像形成装置。
【0024】
(18)前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「否」と判定された場合、前記画像形成手段により画像形成を中断する前記(15)に記載の画像形成装置。
【0025】
(19)前記判定部により、前記塗布された粘着剤の状態が「良」と判定された場合、前記画像形成手段による画像形成を継続する前記(15)に記載の画像形成装置。
【0026】
(20)搬送ベルト上に塗布された粘着剤を監視する監視装置に実行させるプログラムであって、前記搬送ベルト上に塗布された粘着剤の状態を取得する第1ステップと、前記第1ステップで取得した粘着剤の状態を監視する第2ステップと、を実行させるプログラム。
【0027】
(21)搬送ベルトと、該搬送ベルトの上面に供給される粘着剤を均す均し部と、布帛を該搬送ベルトの上面に供給する布帛供給手段と、前記上面に粘着した布帛に画像形成する画像形成手段とを備えた装置の制御部に実行させるプログラムであって、前記均し部が降下すると共に、前記布帛供給手段が上昇する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記搬送ベルトが駆動すると共に、前記粘着剤が前記均し部で均される第2ステップと、前記搬送ベルトが反転する第3ステップと、前記第3ステップの後、前記均し部が上昇すると共に、前記供給手段が降下する第4ステップと、前記画像形成手段が前記布帛に画像形成する第5ステップとを実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、粘着剤の状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図(1)である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を側面から見た概略断面図(2)である。
図2A】本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図(1)である。
図2B】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を側面から見た概略断面図(2)である。
図2C図2BのC部を拡大した拡大図である。
図3図1Aで示す概略断面図のIII-III断面図である。
図4図1Aで示す概略断面図のIV-IV端面図である。
図5】照明光が粘着剤に入射し、反射光が第1監視カメラに入射する様子を描いたものである。
図6】本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置および画像形成装置の制御部の機能構成図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置を画像形成装置に切り替えるときの動作を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置および画像形成装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9A】粘着剤塗布の動作を説明するためのフローチャート(1)である。
図9B】粘着剤塗布の動作を説明するためのフローチャート(2)である。
図10】本発明の第2実施形態に係る粘着剤塗布装置に対応する図1のIV-IV端面図である。
図11図10で示す粘着剤塗布装置のXI-XI端面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る粘着剤塗布装置で使用する粘着剤厚さ測定部の概念図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図である。
図15図14が示す概略断面図のXV-XV端面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図である。
図17】本発明の第7実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図である。
図18】本発明の第8実施形態である粘着剤塗布装置に使用されるブレード周辺の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているにすぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素は、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0031】
本発明の粘着剤塗布装置は、粘着剤監視装置を備える。粘着剤監視装置は、布帛(ふはく)を搬送するための搬送ベルトの上面に、塗布された粘着剤の状態を監視する第1監視手段とを備える。第1監視手段は、前記塗布された粘着剤の表面状態を監視する表面監視部、前記塗布された粘着剤の厚さを測定する粘着剤厚さ測定部、前記塗布された粘着剤の粘着力を測定する粘着力測定部のうち少なくとも1つを備える。前記表面監視部は、前記塗布された粘着剤の表面を照明する光源と、前記粘着剤の表面を撮像する撮像センサとを備える。
【0032】
ここで、前記搬送ベルトは、黒色ベルトであり、前記粘着剤は、透明(無色透明、有色透明)である。そのため、照明光の内、透明な粘着剤の上面で反射する反射光が画像センサに入射し、透過光は黒色の搬送ベルトで吸収する。
【0033】
(第1実施形態)
図1A図2Aは、本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置を側面から見た概略断面図である。また、図1B図2Bは、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を側面から見た概略断面図である。ここで、図1B図2Bの左端は、図1A図2Aの右端に接続されるものである。この図1A図1Bの接続図面は、本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置100であって、搬送ベルト10の上面10aに粘着剤Paを塗布する様子を示している。また、図2A図2Bの接続図面は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置であって、塗布された粘着剤Paに布帛(ふはく)Qを貼付し、貼付した布帛Qに画像形成する様子を示している。また、図2Cは、図2BのC部を拡大した拡大図である。図3は、図1AのIII-III断面図であり、図4は、図1AのIV-IV端面図である。なお、図1A図1B図2A図2Bは、X-Z面を示し、図3,4は、Y-Z面を示す。
【0034】
粘着剤塗布装置100は、粘着剤塗布手段30(図1A図2A)と、画像形成手段80(図2A図2B)と、布帛供給手段85(図2A図2B)とを連結したものである。粘着剤塗布手段30は、搬送ベルト10と、塗布手段20と、第1監視手段40とを備えて構成される。これにより、粘着剤塗布装置100は、第1実施形態に係る画像形成装置(捺染インクジェットプリンタ)として機能する。
【0035】
搬送ベルト10は、駆動ローラ26(図1A図2A)や従動ローラ27等(図1B図2B)によって、搬送ベルト10の上面10aに粘着剤Paを塗布するために粘着剤搬送方向A(X方向)に移動させると共に、粘着剤Paを介して搬送ベルト10の上面10aに貼付された布帛(ふはく)を布帛搬送方向B(-X方向)に移動させるものである。ここで、「布帛」とは、天然繊維の場合、綿、麻、絹、等であり、合成繊維の場合、ポリアミド、ポリエステル、アクリロニトリル等、又はこれらを混合したもの等を原糸とする布や織物等の繊維製品を意味し、例えば、ブラウス、ワイシャツ、作業着などの衣料品の材料として用いられるブロード、シーチング等の繊維製品が挙げられる。搬送ベルト10は、例えば、アラミド繊維にウレタン含浸したものである。搬送ベルト10は、黒色であるが、緑色の半ツヤのものもある。なお、搬送ベルト10のY方向の幅D(図2)は、例えば、D=1.0~3.6mである。
【0036】
塗布手段20は、粘着剤供給路25と、ポンプ60と、均し部としてのブレード23aと、フレーム21と、昇降機構22a,22bと、振動センサ31と、圧力センサ33とを備えて構成される。
粘着剤供給路25の端部25aは、搬送ベルト10の上面10aであって、ブレード23aの近傍に配設されており、粘着剤搬送方向A(X方向)に対して直角方向(Y方向)に長い筒型状である。粘着剤供給路25の端部25aは、粘着剤Pを搬送ベルト10の上面10aに連続供給する。粘着剤Pは、無色透明であるが、黄色を帯びた有色透明なものも存在する。なお、粘着剤Pは、ポンプ60を用いて粘着剤貯蔵タンク65から供給される。また、粘着剤供給路25及びポンプ60は、粘着剤供給部として機能する。
【0037】
ブレード23aは、供給された粘着剤Pを均す(ならす)均し部である。これにより、搬送ベルト10の上面10aに、透明(無色透明,有色透明)な粘着層(粘着剤Pa)が塗布される。ブレード23aの下端は、XZ面がV字形状である。これにより、搬送ベルト10の搬送と共に粘着剤Pが徐々に均される。なお、ブレード23aの材質は、金属、非鉄金属、樹脂、ゴム、木材等、ブレードの機能が保てれば何でも構わない。
【0038】
ブレード23aには、フレーム21が取り付けられており、フレーム21は、Y方向の両側に取り付けられている昇降機構22a,22bによって、Z方向に昇降させられる。つまり、ブレード23aは、昇降機構22a,22bによって、Z方向に昇降可能に構成されている。また、ブレード23aには、ヒータ32が内蔵されており、ヒータ32が粘着剤Pを軟化させる。
【0039】
振動センサ31は、ブレード23aの側面に取り付けられている。ブレード23aは、板材なので、搬送ベルト10や粘着剤Paとの接触で振動を起こすことがある。振動センサ31は、この振動を検出する。圧力センサ33は、搬送ベルト10の下面であって、ブレード23aの下方に配設されている。圧力センサ33は、ブレード23aの降下によって生じる搬送ベルト10を介した押圧を検出する。これにより、ブレード23aと搬送ベルト10や粘着剤Paとの接触状態が検出される。
【0040】
第1監視手段40は、表面監視部44と、粘着力測定部34と、粘着剤厚さ測定部35とを備える。表面監視部44は、画像センサ(受光部)としての第1監視カメラ41と、光源45とを備える。第1監視カメラ41は、搬送ベルト10に積層された粘着剤Paを監視(撮像)し、映像信号や撮像画像を制御部50に出力する。なお、第1監視カメラ41には、結像レンズ41aが取り付けられている。光源45は、粘着剤Pa及び搬送ベルト10の何れか一方または双方を照明する照明装置である。光源45は、第1監視カメラ41の側部であって、照明光の光軸(図1の一点鎖線)が搬送ベルト10の法線(図5の一点鎖線)に対して傾斜して取り付けられている。
【0041】
図4は、本発明の第1実施形態に係る粘着剤監視装置のIV-IV端面図である。
表面監視部44は、第1監視カメラ41及び光源45の他にキャリッジ46を備えて構成される。キャリッジ46は、第1監視カメラ41及び光源45を固定し、Y方向に移動可能に構成されている。
【0042】
図5は、照明光が粘着剤Paに入射し、表面で反射する反射光が第1監視カメラ41に入射する様子を描いたものである。
まず、粘着剤Paの上面が光沢面であれば、光源45の照明光(例えば、光軸光)が入射光Iとして、透明な粘着剤Paの上面に入射して、屈折率の相違により、反射光Rと透過光Tとに分割される。搬送ベルト10が黒色なので、透過光Tが搬送ベルト10で吸収される。そのため、第1監視カメラ41(図1)は、反射光Rのみを検出する。なお、入射角θIと反射角θRとは等しい。また、劣化により、粘着剤Paの上面が光沢面から拡散面に変質すれば、拡散光が第1監視カメラ41に入射する。言い換えれば、粘着剤Paの上面での吸収が増加し、光沢面よりも反射率が低下する。
【0043】
図1Aで示す構成の説明に戻り、粘着力測定部34は、粘着剤Paの粘着力を測定するものであり、例えば、歪みゲージである。粘着力測定部34は、粘着剤Paの粘着力が強い程、抵抗値が小さくなり、粘着力が弱いほど、抵抗値が大きくなる。粘着剤厚さ測定部35は、粘着剤Paの厚さを測定するものであり、例えば、レーザ干渉計や接触式測長計等である。
【0044】
第2監視カメラ42は、ブレード23aの先端や粘着剤供給路25の端部25aを、斜め上方から監視する第2監視手段である。これにより、第2監視カメラ42は、端部25aから吐出した粘着剤Pを監視することができる。なお、第2監視カメラ42には、結像レンズ42aが取り付けられている。
【0045】
画像形成手段80(図2B)は、粘着剤Paを介して搬送ベルト10に粘着した布帛にインクジェットで画像形成する。画像形成手段80は、キャリッジ81が主走査フレーム83でY方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ81は、複数のインクジェットヘッド82(82Y,82M,82C,82K)を有している。布帛供給手段85(図2B)は、上下移動可能な布帛押圧ローラ84を備え、布帛押圧ローラ84を降下させたときに、布帛Qを搬送ベルト10に押し当てる。
【0046】
また、制御部50(図1)には、表示操作部70、エラー報知部75が接続されている。表示操作部70は、例えば、タッチパネル式LED表示装置である。表示操作部70は、例えば、次工程の処理内容を使用者に選択させる選択外面を表示する。また、エラー報知部75は、例えば、回転警告灯(パトランプ)であり、エラーを表示操作部70に表示させたり、メールで報知したりするものであっても構わない。エラー報知部75は、エラーの報知や、粘着剤の剥離作業を促す旨の報知が含まれる。
【0047】
図6は、本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置100の制御部50の機能構成図である。
制御部50(図1,6)は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより、画像処理部51、判定部52、センサ制御部53,塗布制御部54、表示制御部55、及び画像形成制御部56としての機能を実現する。
【0048】
画像処理部51は、第1監視カメラ41で撮影した撮像画像を画像処理して、粘着剤Paの表面状態(例えば、凹凸の厚み差や光沢)を演算する。また、画像処理部51は、第2監視カメラ42が撮像した撮像画像を画像処理して、吐出した粘着剤Pの量を演算する。判定部52は、画像処理部51が演算した演算結果を用いて、粘着剤Paの状態(例えば、表面状態)の良否を判定する。判定部52は、例えば、凹凸の厚み差の良否や光沢の良否を判定する。
【0049】
センサ制御部53は、振動センサ31、圧力センサ33、粘着力測定部34、粘着剤厚さ測定部35を制御し、測定結果を判定する。塗布制御部54は、ポンプ60を制御して、粘着剤Pの吐出を制御する。また、塗布制御部54は、粘着剤Paの表面状態および第2監視カメラ42が撮像した粘着剤Pの画像の何れか一方または双方に基づいて、粘着剤Pの吐出時間を制御する。これにより、粘着剤Pの吐出量が制御される。また、塗布制御部54は、昇降機構22a,22bを駆動させることにより、ブレード23aを上下移動させる。表示制御部55は、表示操作部70(図1)やエラー報知部75(図1)を制御する。
【0050】
また、画像形成制御部56は、画像形成手段80(図1)を制御する。画像形成制御部56は、例えば、搬送ベルト10に粘着した媒体(例えば、布帛)にインクジェットで画像形成させる。画像形成時、判定部52が粘着剤Paの表面状態(凹凸の厚み差や光沢)が許容範囲内であり、「良」であると判定したとき、画像形成制御部56は、画像形成手段80に画像形成を続行させる。一方、粘着剤の表面状態が「否」と、判定部52が判定したときには、エラー報知部75(図1A)は、エラーを報知する。また、粘着剤の表面状態が「否」と、判定部52が判定したときには、画像形成制御部56は、画像形成を停止すると共に、表示制御部55(図6)は、次工程の内容を使用者に決定させる操作画面を操作表示部(図1)に表示させる。
【0051】
図7は、本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置の全体動作を説明するための概略フローチャートである。
まず、制御部50は、昇降機構22a,22bを降下させて、塗布手段20(図1A)を降下させる(S101)。S101の処理後、制御部50は、布帛供給手段85(図1B)を上昇させる(S102)。S102の処理後、制御部50は、搬送ベルト10を粘着剤搬送方向A(X方向)に移動させ(S103)、粘着剤Pを搬送ベルト10の上面10aに供給させる(S104)。これにより、搬送ベルト10の上面10aに粘着剤Paが塗布される。S104の処理後、制御部50は、塗布手段20(図2A)を上昇させ(S105)、駆動ローラ26を反転させ、搬送ベルト10を布帛搬送方向B(-X方向)に移動させる(S106)。S106の処理後、制御部50は、布帛供給手段85(図2B)を降下させ(S107)、画像形成手段80(図2B)に画像形成を行わせる(S108)。なお、ステップS104とステップS105との間に、搬送ベルト10の上面10aに塗布された粘着剤Paを監視する監視ステップが含まれる。
【0052】
図8は、本発明の第1実施形態に係る粘着剤塗布装置100の動作を具体的に説明するためのフローチャートである。このフローは、第1監視カメラ41の起動によって、開始するが、予め、画像形成手段80が媒体である布帛に画像を形成しているものとする。
制御部50は、第1監視カメラ41の画像処理結果を用いて粘着剤Paの凹凸の厚み差が許容範囲内か否か判定する(S1)。厚み差が許容範囲内であれば(S1で「許容範囲内」)、制御部50は、画像形成手段80に対して、プリント(画像形成)を続行させる(S2)。一方、厚み差が許容範囲外であれば(S1で「許容範囲外」)、制御部50は、粘着力測定部34(つまり、歪みゲージ)に粘着剤Paの粘着力を測定させる(S3)。S3の処理後、制御部50は、粘着力が許容範囲内か否か判定する(S4)。粘着力が許容範囲内であれば(S4で「許容範囲内」)、制御部50の表示制御部55は、表示操作部70に「粘着剤塗布判断の選択画面」を表示させる(S5)。具体的には、制御部50の表示制御部55は、次工程として、「プリント続行」させるのか「粘着剤塗布」させるのかの選択画面を表示操作部70に表示させる。ユーザが「プリント続行」の工程を選択したら(S6で「プリント続行」)、制御部50は、プリント(画像形成)を続行させる(S7)。一方、ユーザが「粘着剤塗布」の工程を選択したら(S6で「粘着剤塗布」)、制御部50は、粘着剤塗布のフロー(S20(図7A))を実行させる(S8)。このとき、制御部50は、プリント(画像形成)を一時停止させる。
【0053】
一方、粘着剤Paの粘着力が許容範囲外であったら(S4で「許容範囲外」)、制御部50は、粘着剤Paの厚さを粘着剤厚さ測定部35に測定させる(S9)。S9の処理後、制御部50は、厚さが許容範囲内か否か判定する(S10)。厚さが許容範囲内であれば(S10で許容範囲内)、制御部50の表示制御部55は、表示操作部70に粘着剤重ね塗り判断の選択画面を表示させる(S11)。具体的には、制御部50は、「プリント続行」なのか「粘着剤塗布」なのかの選択表示を行わせる。このときに、制御部50は、粘着剤Paの粘着力が許容範囲外であって、厚さが許容範囲内である旨の画面を表示させても構わない。ユーザが「プリント続行」を選択したら(S12で「プリント続行」)、制御部50は、プリントを続行させる(S7)。一方、ユーザが「粘着剤塗布」を選択したら(S12で「粘着剤塗布」)、制御部50は、粘着剤塗布のフロー(S20(図7A))を実行させる(S13)。このとき、制御部50は、プリント(画像形成)を一時停止させる。
【0054】
一方、粘着剤Paの厚さが許容範囲外であれば(S10で「許容範囲外」)、制御部50の表示制御部55は、「剥離作業の催促」画面を表示操作部70に表示させる(S14)。このとき、制御部50は、プリント(画像形成)を一時停止させる。S14の処理後、ユーザは、粘着剤の剥離作業を実行する(S15)。具体的には、ユーザは、ブレード23aを搬送ベルト10の上面にセットする。S15の処理後、制御部50は、粘着剤塗布のフロー(S20(図7A))を実行する(S16)。
【0055】
粘着剤塗布のフロー(S20(図7A))では、制御部50は、昇降機構22a,22bを用いてブレード23aを降下させる(S21)。このとき、制御部50は、圧力センサ33を用いて、ブレード23aの先端が搬送ベルト10又は粘着剤Paに到達したことを検知する。S21の処理後、制御部50は、ポンプ60を用いて粘着剤Pを搬送ベルト10の上面に供給する(S22)。S22の処理後、制御部50は、第2監視カメラ42を用いて、粘着剤Pの供給状態を確認する(S23)。S23の処理後、制御部50は、粘着剤Pの供給量が許容範囲内か否か判断する(S24)。供給量が不足していれば(S24で「不足」)、制御部50は、処理をS22に戻し、粘着剤Pの供給を繰り返す。一方、供給量が許容範囲内であれば(S24で「許容範囲」)、制御部50は、搬送ベルト10のベルトフィードを開始する(S25)。
【0056】
S25の処理後、制御部50は、振動センサ31でブレード23aの振動を測定する(S26)。S26の測定後、制御部50は、振動量の判定を行う(S27)。振動量が許容値をオーバしているときには(S27で「許容値オーバ」)、制御部50は、ブレード23aを昇降させる(S28)。この昇降により、ブレード23aと、搬送ベルト10の上面との距離が拡がり、振動量が低減する。
【0057】
なお、一定以上の振動が発生した場合、ブレード23aと、搬送ベルト10の上面を第2監視カメラ42で監視し、粘着剤Pがなくなっているところに向けて、潤滑剤(界面活性剤)を塗布しても構わない。また、振動がT秒以上一定振動周波数以下を連続していること、第2監視カメラ42の監視結果で、粘着剤Pが全て、潤滑剤に置き変わっていることを確認できたら、ブレード23aを昇降させ、塗布を終了するものとする。
【0058】
S28の処理後、制御部50は、処理をS26に戻し、振動測定を繰り返す。一方、振動量が許容値内に収まっているときには(S27で「許容値内」)、制御部50は、粘着剤厚さ測定部35を用いて、粘着剤Paの厚さを測定する(S29)。
【0059】
S29の処理後、制御部50は、粘着剤Paの厚さが規定値内か否か判定する(S30(図9B))。粘着剤Paの厚さが規定値外であるとき(S30で「規定値外」)、制御部50は、処理をS22(図9A)に戻し、ポンプ60を用いた粘着剤Pの供給を繰り返す。例えば、塗布されていない部分がある場合、ブレード23aと搬送ベルト10の上面10aとの距離を広げる。逆に、塗布量が多い場合には、ブレード23aと搬送ベルト10の上面の距離を狭くしても構わない。一方、粘着剤Paの厚さが規定値内であるとき(S30で「規定値内」)、制御部50は、粘着剤Pを供給するポンプ60を停止させる(S31)。
【0060】
S31の処理後、制御部50は、第2監視カメラ42を用いて、ブレード23aと搬送ベルト10の上面との双方を監視する(S32)。S32の処理後、制御部50は、搬送ベルト10の上面に粘着剤Pが有るか否か判定する(S33)。粘着剤Pが有ったときには(S33で「有り」)、制御部50は、処理をS32に戻し、第2監視カメラ42を用いた監視を継続する。一方、搬送ベルト10の上面に粘着剤Pが無かったときには(S33で「無し」)、制御部50は、ブレード23aを上昇させ(S34)、粘着剤塗布作業を終了する(S35)。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の粘着剤塗布装置100は、布帛(ふはく)を搬送するための搬送ベルト10の上面10aに、塗布された粘着剤Paの状態を監視する第1監視手段40を備える。第1監視手段40は、粘着剤Paの表面状態を監視する表面監視部44(図1A)、塗布された粘着剤Paの厚さを測定する粘着剤厚さ測定部35、塗布された粘着剤Paの粘着力を測定する粘着力測定部34を備える。表面監視部44は、塗布された粘着剤Paの表面を照明する光源45と、粘着剤Paの表面を撮像する画像センサ(第1監視カメラ41)とを備える。
【0062】
表面監視部44(図1A)では、図5で説明したように、照明光の一部(例えば、光軸光(入射光I))が、透明(無色透明、有色透明)且つ光沢性を有する粘着剤Paの上面で反射し、第1監視カメラ41がその反射光Rを入射する。なお、搬送ベルト10が黒色なので、透過光Tは、搬送ベルト10で吸収される。また、劣化により、粘着剤Paの光沢性が無くなれば、第1監視カメラ41は、拡散光を結像する。したがって、第1監視カメラ41は、粘着剤Paの表面状態を容易に撮影することができる。これにより、制御部50は、第1監視カメラ41によって、粘着剤Paの表面状態を自動監視することができる。
【0063】
本実施形態の粘着剤塗布装置100は、粘着剤Paを介して、搬送ベルト10に粘着させた布帛Qに画像形成する画像形成手段80(図1)を有し、画像形成装置として機能する。粘着剤Paが「良」と判定したとき、例えば、粘着剤Paの表面状態(凹凸の厚み差や光沢)が許容範囲内であると判定したとき(S1で「許容範囲内」)、制御部50が画像形成手段80に画像形成を続行させる(S2)。
【0064】
一方、粘着剤Paの表面状態が「否」と判定した場合、例えば粘着剤Paの表面状態(凹凸の厚み差や光沢)が許容範囲外である場合(S1で「許容範囲外」)、粘着剤Paの粘着力が許容範囲内であったり(S4で「許容範囲内」)、粘着剤厚さが許容範囲内であったりしたときに(S10で「許容範囲内」)、制御部50の表示制御部55は、使用者の判断を仰ぐために、表示操作部70に選択画面を表示させる(S5,S11)。また、粘着剤Paの粘着力および厚さが許容範囲外であるとき(S4,S10で「許容範囲外」)、制御部50は、粘着剤Paの剥離作業の催促画面を表示操作部70に表示させる(S14)。これによりユーザは、粘着剤Paの剥離を行わなければならないことを認識できる。
【0065】
(第2実施形態)
前記第1実施形態の表面監視部44は、第1監視カメラ41を使用したが、ラインセンサを使用することもできる。
【0066】
図10は、本発明の第2実施形態に係る粘着剤塗布装置の端面図であり、対応する図1のIV-IV面を左方向(-X方向)に覗いたものである。また、図11は、図10のXI-XI端面図である。
前記第1実施形態と同様に、粘着剤塗布装置101は、搬送ベルト10の上部に塗布手段20が配設され、搬送ベルト10の下面であって、塗布手段20の下部に圧力センサ33が配設されている。塗布手段20は、フレーム21と、昇降機構22a,22bと、ブレード23aとを備えて構成される。
【0067】
粘着剤塗布装置101は、第1監視カメラ41の代わりに、画像センサとしてのラインセンサ47を設け、光源45の代わりに光源48を設けている点で、前記第1実施形態の粘着剤塗布装置100と相違する。ラインセンサ47は、Y方向に長い板状であり、複数のラインセンサ47aがX-Y面内で千鳥配設されたものである。千鳥配列することにより、長尺のラインセンサを使用する必要が無くなる。光源48は、Y方向に長い板状であり、光軸の傾斜角(入射角θI(図5))は、前記実施形態の光源45と同一である。
【0068】
本実施形態の粘着剤塗布装置101によれば、第1監視カメラ41及び光源45をY方向に移動させるキャリッジ46(図4)が不要になる。なお、ラインセンサ47aの個々の画像にひずみの差や特性の差による画像の差が生じることがある。この場合、制御部50は、画像補正を実行する。ラインセンサ47で搬送ベルト10の上面10aを確認する場合、全面を一度に確認することもできるし、分割されたラインセンサ47aと対となる照明を使用し徐々に読み込んでもよい。このとき、照明が干渉しないようにコントロールする必要が生じる。例えば、光源45にコリメートレンズを付加することで直線状に光を発光させる等の工夫が必要となる。また、光源45が縞模様の光を当てて、制御部50がその撮影画像から縞の歪みで表面状態を監視こともできる。
【0069】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態の粘着剤塗布装置100,101の粘着剤厚さ測定部35は、レーザ干渉計や接触式測長計により、Y方向又は面内の粘着剤厚さを測定したが、粘着剤Paの上方で複数のレーザ光を照射して、粘着剤Paの最大厚さを測定することもできる。
【0070】
図12は、本発明の第3実施形態に係る粘着剤塗布装置で使用する粘着剤厚さ測定部の概念図である。
粘着剤厚さ測定部36は、Y方向の一端に配設したレーザ受発光素子91と、Y方向の他端に配設したレーザ反射鏡92とを備えて構成される。レーザ受発光素子91は、レーザ光93を照射するレーザ発光素子(不図示)と、反射光を受光する受光素子(不図示)との組合せ素子が複数、Z方向に等間隔に配列されたものである。
【0071】
搬送ベルト10に粘着剤Paが塗布されていないときには、レーザ受発光素子91のレーザ発光素子から照射されたレーザ光は、遮光されることなく、レーザ反射鏡92で反射して、反射光が受光素子に戻ってくる。搬送ベルト10に粘着剤Paが塗布されると、レーザ発光素子から照射されたレーザ光は、遮光されて、受光素子に戻ってこない。レーザ受発光素子91は、レーザ発光素子と受光素子との組合せ素子がZ方向に複数、等間隔に配列されたものなので、粘着剤Paの厚みが厚い程、受光素子に戻ってこないレーザ光の数が増加する。つまり、受光素子に戻ってくるレーザ光の本数や戻ってこないレーザ光の本数を計測することによって、粘着剤Paの厚みを測定することができる。なお、粘着剤Paは、透明であるが、表面張力により表面が曲面になるので、透過光が少ない。
【0072】
(第4実施形態)
前記第1実施形態の粘着剤塗布装置100には、圧力センサ33、粘着剤厚さ測定部35を設けていたが、これらのセンサは必ずしも必要でない。
【0073】
図13は、本発明の第4実施形態に係る粘着剤塗布装置103の粘着剤塗布装置103を側面から見た断面図である。
粘着剤塗布装置103は、前記第1実施形態の粘着剤塗布装置100(図1A図2A)に比較して、圧力センサ33、粘着剤厚さ測定部35およびヒータ32を設けていない点で相違する。なお、図13では、画像形成手段80(図1B図2B)や布帛供給手段85(図1B図2B)を省略している。
【0074】
粘着剤Pの粘性が低いときには、ヒータ32が不要であり、粘着剤Paを厚く塗布するときには、圧力センサ33や粘着剤厚さ測定部35が不要である。
【0075】
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態に係る粘着剤塗布装置104を側面から見た概略断面図であり、図15は、そのXV-XV断面図である。
粘着剤塗布装置104は、前記第1,5実施形態の粘着剤塗布装置100~103と比較して、ブレード23aの代わりに、ローラ塗布治具24を設けている点で相違する。また、粘着剤塗布装置104は、前記第1実施形態の粘着剤塗布装置100と比較して、粘着剤厚さ測定部35およびヒータ32を設けていない点でも相違する。
【0076】
ローラ塗布治具24は、Y方向の回転軸Oを中心に回転可能にフレーム21に取り付けられており、粘着剤供給路25から吐出された線状の粘着剤Pを均す均し部である。振動センサ31は、フレーム21の側面に取り付けられている点で相違する。ローラ塗布治具24は、昇降機構22a,22bによって、昇降可能に構成されている。
【0077】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態に係る粘着剤塗布装置105の構成図である。
粘着剤塗布装置103は、前記第1実施形態の粘着剤塗布装置103(図13)に比較して、以下の点で相違する。特に、ブレード23aを駆動ローラ26の左端部側(-X方向側)に設けている点、第1監視カメラ41が駆動ローラ26の左下面側を向いている点、第2監視カメラ42が駆動ローラ26の左上面側を向いている点で相違する。なお、光源45、制御部50、表示操作部70,エラー報知部75,画像形成手段80、布帛供給手段85は、図示していない。
【0078】
粘着剤供給路25の端部25aは、駆動ローラ26の回転軸Oを通る水平面に配置されている。ブレード23aの上面は、駆動ローラ26の回転軸Oを通る水平面よりも僅かに下方に水平に配設されている。ブレード23aを固定するフレーム21は、軸体28を中心に回動するように構成されている。また、軸体28は、図示しないモータに接続されている。これらの構成により、制御部50は、ブレード23aを回動させて、粘着剤Paの厚みを調整することができる。なお、振動センサ31は、ブレード23aの上面に取り付けられている。
【0079】
(第7実施形態)
図17は、本発明の第7実施形態に係る粘着剤塗布装置106を側面から見た概略断面図である。
粘着剤塗布装置106は、前記実施形態の粘着剤塗布装置105(図16)に比較して、粘着剤厚さ測定部35を備え、ブレード23aの内部にヒータ32を内蔵している点で相違する。
【0080】
(第8実施形態)
図18は、本発明の第8実施形態である粘着剤撮影装置に使用されるブレード周辺の構成図である。
本実施形態のブレード23bは、下端部が断面視線状の平面である点で、断面視V字状である前記各実施形態のブレード23aと相違する。
【0081】
(変形例)
本発明は、前記各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変形実施が可能であり、例えば、次のようなものがある。
(a)前記各実施形態では、第2監視カメラ42による判定結果を用いて、塗布制御部54がポンプ60を制御していたが、第1監視カメラ41による判定結果を用いて、吐出制御部54がポンプ60を制御しても構わない。つまり、塗布制御部54は、第1監視カメラ41を用いた良否判定の判定結果によって、粘着剤Pの吐出を制御しても構わない。なお、この吐出の制御は、ON/OFF制御に限らず、帰還制御であっても構わない。
【0082】
(b)前記第1実施形態の表面監視部(44)は、粘着剤Paおよび搬送ベルト10の上面10aの何れか一方または双方を照明する光源45と、受光部や画像センサとしての第1監視カメラ41を使用していたが、光源には、塗布された粘着剤Paの表面に向け光(レーザ光)を照射するレーザ発振器が含まれ、受光部には、反射したレーザ光を受光する受光素子が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10 搬送ベルト
20 塗布手段
23a,23b ブレード(均し部)
24 ローラ塗布治具(均し部)
25 粘着剤供給路(粘着剤供給部)
30 粘着剤塗布手段
34 粘着力測定部(ひずみゲージ)
35,36 粘着剤厚さ測定部(レーザ干渉計、接触式測長計)
40 第1監視手段
41 第1監視カメラ(受光部、画像センサ、粘着剤表面状態監視部)
42 第2監視カメラ(第2監視手段)
44 表面監視部
45,48 光源
47,47a ラインセンサ(画像センサ)
50 制御部
52 判定部
54 塗布制御部
56 画像形成制御部
60 ポンプ(粘着剤供給部)
75 エラー報知部
80 画像形成手段
85 布帛供給手段
100,101,102,103,104,105,106 粘着剤塗布装置(粘着剤監視装置、画像形成装置)
P,Pa 粘着剤
Q 布帛
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18