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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016531
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】転舵制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240131BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118733
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】林 毓鋒
(72)【発明者】
【氏名】板本 英則
(72)【発明者】
【氏名】玉泉 晴天
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA63
3D232DC03
3D232DC33
3D232DC34
3D232EB11
3D232EC23
3D232GG01
3D333CB02
3D333CB19
3D333CC15
3D333CC18
(57)【要約】
【課題】カルダンジョイントに起因した操舵トルクの変動を抑制できるようにした転舵制御装置を提供する。
【解決手段】PU52は、トルクセンサ72による検出値Trqとアシストモータ42のトルクとの和に操舵角に応じて変動する係数を乗算した値に応じたトルクを算出する。PU52は、算出したトルクに応じて、アシストモータ42のトルクを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵装置を制御対象とする転舵制御装置であって、
前記転舵装置は、ステアリングホイール、入力軸、中間軸、出力軸、第1カルダンジョイント、第2カルダンジョイント、アシストモータおよび転舵輪を備え、
前記入力軸は前記ステアリングホイールに連結されており、
前記第1カルダンジョイントは、前記入力軸および前記中間軸を連結する部材であり、
前記第2カルダンジョイントは、前記中間軸および前記出力軸を連結する部材であり、
前記転舵輪には、前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクが、前記入力軸、前記中間軸、および前記出力軸を介して伝達され、
前記アシストモータは、前記第2カルダンジョイントよりも前記転舵輪に近い位置にトルクを付与するモータであり、
トルク取得処理、操舵角変数取得処理、およびアシスト制御処理を実行するように構成され、
前記トルク取得処理は、前記第2カルダンジョイントよりも前記転舵輪に近い位置に加わるトルクの検出値を取得する処理であり、
前記操舵角変数取得処理は、前記ステアリングホイールの角度である操舵角を示す操舵角変数の値を取得する処理であり、
前記アシスト制御処理は、前記操舵角変数の値を入力とすることによって、前記アシストモータのトルクを前記操舵角に応じて変動させる変動トルク制御処理を含む転舵制御装置。
【請求項2】
前記変動トルク制御処理は、前記検出値と前記アシストモータのトルクとの和に前記操舵角に応じて変動する係数を乗算した値に応じたトルクに応じて、前記アシストモータのトルクを制御する補償トルク制御処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
【請求項3】
前記変動トルク制御処理は、前記検出値から把握される前記操舵トルクと前記操舵角変数の値とを入力として、前記アシストモータのトルクを制御する操舵トルク依存処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
【請求項4】
前記アシスト制御処理は、前記検出値および前記操舵角変数の値を入力とし、前記検出値および前記操舵角変数の値から定まる前記操舵トルクに応じて前記アシストモータのトルクを制御する処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
【請求項5】
写像データを記憶する記憶装置を備え、
前記操舵角変数取得処理は、前記出力軸の回転角度を示す変数の値を前記操舵角変数の値として取得する処理であり、
前記写像データは、前記操舵角変数の値を入力として前記操舵角を出力する写像を規定するデータであり、
前記アシスト制御処理は、前記操舵角変数の値を前記写像に入力することによって前記操舵角を算出する操舵角算出処理を含む請求項1記載の転舵制御装置。
【請求項6】
操舵角取得処理、および更新処理を実行するように構成され、
前記操舵角取得処理は、前記操舵角を取得する処理であり、
前記更新処理は、前記操舵角取得処理が取得した前記操舵角と、前記操舵角変数取得処理が取得した前記操舵角変数の値とを入力として、前記写像データを更新する処理を含む請求項5記載の転舵制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転舵制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、操舵軸、中間軸、および伝達軸を介してステアリングホイールのトルクを転舵輪に伝達する装置が記載されている。ここで、操舵軸および中間軸と、中間軸および伝達軸と、は、それぞれ、ユニバーサルジョイントによって連結されている。また、この装置は、中間軸にトルクを付与するモータを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-205846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようにユニバーサルジョイントを備える装置の場合、操舵軸に加わるトルクと伝達軸に加わるトルクとの比は、操舵角に応じて変動する。ここで、発明者は、ユニバーサルジョイントよりも転舵輪に近い位置にモータのトルクを付与することを検討した。その場合、転舵輪に近い位置のトルクが操舵角に依存して変動しないように制御すると、操舵軸に加わるトルクが変動する。操舵軸に加わるトルクが変動すると、運転者に違和感を抱かせるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.転舵装置を制御対象とする転舵制御装置であって、前記転舵装置は、ステアリングホイール、入力軸、中間軸、出力軸、第1カルダンジョイント、第2カルダンジョイント、アシストモータおよび転舵輪を備え、前記入力軸は前記ステアリングホイールに連結されており、前記第1カルダンジョイントは、前記入力軸および前記中間軸を連結する部材であり、前記第2カルダンジョイントは、前記中間軸および前記出力軸を連結する部材であり、前記転舵輪には、前記ステアリングホイールに入力される操舵トルクが、前記入力軸、前記中間軸、および前記出力軸を介して伝達され、前記アシストモータは、前記第2カルダンジョイントよりも前記転舵輪に近い位置にトルクを付与するモータであり、トルク取得処理、操舵角変数取得処理、およびアシスト制御処理を実行するように構成され、前記トルク取得処理は、前記第2カルダンジョイントよりも前記転舵輪に近い位置に加わるトルクの検出値を取得する処理であり、前記操舵角変数取得処理は、前記ステアリングホイールの角度である操舵角を示す操舵角変数の値を取得する処理であり、前記アシスト制御処理は、前記操舵角変数の値を入力とすることによって、前記アシストモータのトルクを前記操舵角に応じて変動させる変動トルク制御処理を含む転舵制御装置である。
【0006】
上記構成では、第2カルダンジョイントよりも転舵輪に近い位置のトルクと操舵トルクとの比は、操舵角変数の値に応じて変動する。そのため、操舵トルクの変動を抑制すると、第2カルダンジョイントよりも転舵輪に近い位置のトルクが変動する。そのため、上記構成では、アシストモータのトルクを操舵角に応じて変動させる。これにより、操舵トルクの変動を抑制することが可能となる。
【0007】
2.前記変動トルク制御処理は、前記検出値と前記アシストモータのトルクとの和に前記操舵角に応じて変動する係数を乗算した値に応じたトルクに応じて、前記アシストモータのトルクを制御する補償トルク制御処理を含む上記1記載の転舵制御装置である。
【0008】
上記補償トルク制御処理によれば、第2カルダンジョイントよりも転舵輪に近い位置のトルクと、操舵トルクとの比が操舵角に依存する場合において、操舵トルクが操舵角に応じて変動することを抑制できる。
【0009】
3.前記変動トルク制御処理は、前記検出値から把握される前記操舵トルクと前記操舵角変数の値とを入力として、前記アシストモータのトルクを制御する操舵トルク依存処理を含む上記1または2記載の転舵制御装置である。
【0010】
操舵トルクは、運転者の操舵の意思を反映することから、操舵トルクに応じてアシストモータのトルクを制御することにより、運転者の操舵の意思に応じてアシストモータのトルクを制御することが可能となる。ただし、上記構成の場合、アシストモータのトルクを操舵角に依存しないトルクとする場合、操舵トルクが変動することとなる。これに対し、操舵トルク依存処理によれば、操舵角変数の値に応じてアシストモータが生成するトルクを制御することにより、操舵角に応じてアシストモータのトルクを変動させることができる。そしてこれにより、操舵トルクの変動を抑制できる。
【0011】
4.前記アシスト制御処理は、前記検出値および前記操舵角変数の値を入力とし、前記検出値および前記操舵角変数の値から定まる前記操舵トルクに応じて前記アシストモータのトルクを制御する処理を含む上記1~3のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
【0012】
上記構成において、検出値と操舵トルクとの比は、操舵角変数の値に応じて変動する。これは、検出値と操舵角変数の値とに基づき、操舵トルクを把握できることを意味する。そのため、上記構成では、検出値および操舵角変数の値から定まる操舵トルクに応じてアシストモータのトルクを制御する。これにより、アシストモータのトルクを操舵トルクに応じた適切なトルクに制御できる。すなわち、アシストモータのトルクを運転者の意思に応じた適切なトルクに制御できる。
【0013】
5.写像データを記憶する記憶装置を備え、前記操舵角変数取得処理は、前記出力軸の回転角度を示す変数の値を前記操舵角変数の値として取得する処理であり、前記写像データは、前記操舵角変数の値を入力として前記操舵角を出力する写像を規定するデータであり、前記アシスト制御処理は、前記操舵角変数の値を前記写像に入力することによって前記操舵角を算出する操舵角算出処理を含む上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
【0014】
出力軸の回転角度と操舵角とは、入力軸および中間軸間の折れ角と、中間軸および出力軸間の折れ角と、に依存する。そのため、出力軸の回転角度を操舵角として用いる場合には、操舵角の把握精度が低下する。これに対し、上記構成では、操舵角算出処理を実行することにより、操舵角を高精度に把握することが可能となる。
【0015】
6.操舵角取得処理、および更新処理を実行するように構成され、前記操舵角取得処理は、操舵角を取得する処理であり、前記更新処理は、前記操舵角取得処理が取得した前記操舵角と、前記操舵角変数取得処理が取得した前記操舵角変数の値とを入力として、前記写像データを更新する処理を含む上記5記載の転舵制御装置である。
【0016】
出力軸の回転角度と操舵角との関係が、入力軸および中間軸間の折れ角と、中間軸および出力軸間の折れ角と、に依存することから、出力軸の回転角度と操舵角とによって、上記一対の折れ角を把握することができる。これは、上記写像データを、出力軸の回転角度と操舵角によって求めることができることを意味する。そのため、上記構成では、操舵角と回転角度とに応じて写像データを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態にかかる転舵制御システムの構成を示す図である。
図2】同実施形態にかかる第1カルダンジョイントの構成を示す図である。
図3】同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図である。
図4】(a)~(d)は、同実施形態の作用を説明するためのタイムチャートである。
図5】第2の実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
「システム構成」
図1に示すように、転舵装置10は、運転者によるステアリングホイール12に入力される操舵トルクと、転舵アクチュエータ40の動力との協働で転舵輪36を転舵させる装置である。転舵装置10は、電動パワーステアリング装置である。以下では、右方向あるいは左方向へステアリングホイール12が操作された場合を「操舵」と称する。
【0019】
ステアリングホイール12は、コラム軸14に固定されている。コラム軸14は、第1カルダンジョイント16を介して中間軸18に機械的に連結されている。中間軸18は、周知の収縮可能な構成を有する。中間軸18の軸方向の2つの端部のうちの第1カルダンジョイント16に連結される端部とは逆側の端部は、第2カルダンジョイント20を介してピニオン軸22に連結されている。
【0020】
ピニオン軸22は、ラック軸30と所定の交差角をもって配置されている。ラック軸30に形成されたラック歯30aとピニオン軸22に形成されたピニオン歯22aとが噛合されることでラックアンドピニオン機構32が構成されている。また、ラック軸30の両端には、タイロッド34が連結されている。タイロッド34の先端は、転舵輪36が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。ラックアンドピニオン機構32により、ステアリングホイール12の回転操作が、ラック軸30の軸方向への変位動作に変換される。この軸方向への変位動作がタイロッド34を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪36の転舵角が変更される。なお、転舵角は、転舵輪36であるタイヤの切れ角のことである。
【0021】
転舵アクチュエータ40は、駆動源であるアシストモータ42と、アシストモータ42のトルクを伝達する伝達機構44と、ボールねじ機構46とを備えている。ボールねじ機構46は、伝達機構44を介して伝達されたアシストモータ42のトルクをラック軸30が軸方向に変位する力に変換する。アシストモータ42は、一例として、3相のブラシレスモータである。アシストモータ42の端子には、インバータ60の出力電圧が印加される。
【0022】
制御装置50は、制御対象としての転舵輪36の制御量を制御すべくインバータ60を操作する。制御装置50は、制御量の制御のために、回転角センサ70によって検出されるアシストモータ42の回転角度θmを参照する。また、制御装置50は、インバータ60が出力する電流iu,iv,iwを参照する。なお、電流iu,iv,iwはインバータ60の各レッグに設けられたシャント抵抗の電圧降下量として把握されるものであってもよい。また、制御装置50は、トルクセンサ72の検出値Trqを参照する。検出値Trqは、ピニオン軸22に加わるトルクの検出値である。トルクセンサ72は、ピニオン軸22に設けられた周知のトーションバーの捩れ角に応じてトルクを検出するセンサである。
【0023】
制御装置50は、PU52および記憶装置54を備えている。PU52は、CPU、GPU、およびTPU等の少なくとも1つを備えるソフトウェア処理装置である。
上位ECU80は、車両の制御に関する制御装置50よりも上位の指令を生成する電子制御装置である。上位ECU80は、舵角センサ82によって検出される操舵角θhを参照する。操舵角θhは、ステアリングホイール12の回転角である。換言すれば、コラム軸14の回転角である。
【0024】
制御装置50と上位ECU80とは、通信可能となっている。そして、制御装置50は、上位ECU80が取得した操舵角θhを受信可能である。ただし、操舵角θhのサンプリング周期は、回転角度θmのサンプリング周期よりも長い。
【0025】
「カルダンジョイントについて」
図2に、第1カルダンジョイント16の構成を示す。
第1カルダンジョイント16は、第1ヨーク16a、第2ヨーク16b、および十字軸16cを備える。十字軸16cは十字形状を有している。十字軸16cは、第1ヨーク16aおよび第2ヨーク16bを互いに回転可能に連結する。第1ヨーク16aは、コラム軸14の端部とボルトにより締結されている。なお、第1ヨーク16aをコラム軸14の端部と溶接してもよい。第2ヨーク16bは、中間軸18の端部と溶接により固定されている。
【0026】
なお、第2カルダンジョイント20の構成は、第1カルダンジョイント16の構成と同様であることから、その記載を省略する。
「カルダンジョイントに起因したトルクの変動について」
ステアリングホイール12に加わるトルクである操舵トルクThと、ピニオン軸22に加わるトルクとの比率f(θh)(=Th/Trq)は、以下の式(c1)にて表現される関係を有する。
【0027】
【数1】
ここで、第1カルダンジョイント16の折れ角α1、第2カルダンジョイント20の折れ角α2、および位相差ψを用いた。第1カルダンジョイント16の折れ角α1は、コラム軸14の軸方向と中間軸18の軸方向とのなす角度である。また、第2カルダンジョイント20の折れ角α2は、中間軸18の軸方向とピニオン軸22の軸方向とのなす角度である。位相差ψは、「90-ξ+ε」である。ここで、「ξ」は、コラム軸14の軸方向および中間軸18の軸方向の双方に平行な平面と、中間軸18の軸方向およびピニオン軸22の軸方向の双方に平行な平面と、のなす角度である。「ε」は、第1カルダンジョイント16の2つのヨークのうちの中間軸18側のヨークである第2ヨーク16bと、第2カルダンジョイント20の2つのヨークのうちの中間軸18側のヨークとの位相差である。ここでの位相差は中間軸18の軸方向周りの回転角のずれを示す。
【0028】
上記の式(c1)によれば、たとえばピニオン軸22に加わるトルクが操舵角θhによらずに一定の場合、操舵トルクThは、操舵角θhに応じて変動しうる。操舵トルクThが操舵角θhに依存して変動する場合、運転者はステアリングホイール12の操作に違和感を抱くおそれがある。以下これに対処する制御について説明する。
【0029】
「アシスト制御について」
図3に、制御装置50が実行する処理を示す。図3に示す処理は、記憶装置54に記憶されたアシスト制御プログラム54aを、PU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
【0030】
検出値取得処理M10は、トルクセンサ72による検出値Trqを所定のサンプリング周期で取得する処理である。
トルク算出処理M12は、アシストモータ42を流れる電流iu,iv,iwに基づき、アシストモータ42に生じるトルクであるモータトルクTmを算出する処理である。なお、実際には、モータトルクTmは、アシストモータ42のトルクを、ピニオン軸22のトルクに換算したトルクとする。
【0031】
加算処理M14は、検出値TrqとモータトルクTmとを加算する処理である。
モータ角度取得処理M16は、アシストモータ42の回転軸の回転角度θmを所定のサンプリング周期で算出する処理である。
【0032】
ピニオン角算出処理M18は、回転角度θmを入力としてピニオン軸22の回転角度であるピニオン角θpを算出する処理である。
微分作用素M20は、ピニオン角θpを入力として、その1階の時間微分値を算出する処理である。
【0033】
微分作用素M22は、微分作用素M20の出力値を入力として、その1階の時間微分値を算出する処理である。
慣性項算出処理M24は、微分作用素M22の出力値に慣性係数Jを乗算した値である慣性項Gpを出力する処理である。なお、微分作用素M22の出力値は、ピニオン角θpの2階の時間微分値であることから、慣性項算出処理M24の出力値は、転舵装置10の慣性トルク相当となる。
【0034】
減算処理M26は、加算処理M14の出力値から慣性項算出処理M24の出力値を減算する処理である。
操舵角算出処理M30は、ピニオン角θpを入力として操舵角θhを算出する処理である。操舵角算出処理M30は、図1に示す記憶装置54に記憶された写像データ54bによって規定される写像を用いて操舵角θhを算出する処理である。この写像は、ピニオン角θpを入力として操舵角θhを出力する写像である。写像は、以下の式(c2)によって規定される。
【0035】
【数2】
上記の式は、カルダンジョイントの一対のヨークの回転角度と折れ角との関係を規定する式を、第1カルダンジョイント16および第2カルダンジョイント20に適用することによって導出される。
【0036】
すなわち、以下の式(c3),(c4)の連立方程式を用いて導出される。
tanθ2=cosα1・tanθh …(c3)
tan(θp´)=cosα2・tan(θ2+ψ) …(c4)
なお、上記の「θ2」は、中間軸18の回転角度である。また、「θp´」は、ピニオン角θpの「θh」に対する位相差を示す。詳しくは、式(c3)と式(c4)とから、以下の式(c5)が求まる。
【0037】
θp´
=arctan(tan[arctan{tan(θh)・cos(α1)}+ψ]・cos(α2))…(c5)
したがって、ピニオン角θpは、以下の式(c6)となる。
【0038】
θp=θp´-arctan{tan(ψ)・cos(α2)}…(c6)
式(c5)および式(c6)からθp´を消去することによって上記の式(c2)が導出される。
【0039】
写像データ54bは、第1折れ角α1、第2折れ角α2および位相差ψの値に関するデータ等を含む。なお、上記の式(c1)は、操舵角θhの1階の時間微分値およびピニオン角θpの1階の時間微分値の比率と、エネルギ保存の式とに基づき算出されたものである。ここで、操舵角θhの1階の時間微分値およびピニオン角θpの1階の時間微分値の比率は、上記の式(c2)の時間微分によって算出できる。
【0040】
剛性係数乗算処理M31は、検出値Trqに剛性係数Kの逆数を乗算する処理である。剛性係数Kは、トーションバーの捩れ剛性を示す係数である。操舵角補正処理M33は、操舵角算出処理M30が出力する操舵角θhに剛性係数乗算処理M31の出力値を乗算することによって、操舵角θhを補正する処理である。
【0041】
比率算出処理M32は、ピニオン軸22のトルクと操舵トルクThとの比率f(θh)を算出する処理である。比率f(θh)は、たとえば上記の式(c1)にて表現されてもよい。すなわち、比率f(θh)は、記憶装置54に上記の式(c1)を規定するデータを記憶しておくことで、PU52が式(c1)を用いて算出してもよい。またたとえば、比率f(θh)は、記憶装置54に予めマップデータが記憶された状態でPU52によってマップ演算されてもよい。ここで、マップデータは、操舵角θhを入力変数として且つ、操舵トルクThを出力変数とするデータである。
【0042】
ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理とすればよい。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。また、これに代えて、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の入力変数の値のうちの最も近い値に対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理としてもよい。
【0043】
除算処理M34は、比率f(θh)の逆数を算出する処理である。
減算処理M36は、「1」から除算処理M34の出力値を減算する処理である。
補償トルク算出処理M38は、減算処理M26の出力値と減算処理M36の出力値とを乗算することによって、カルダンジョイント補償トルクTcjcを算出する処理である。
【0044】
操舵トルク算出処理M40は、検出値Trqに比率f(θh)を乗算することによって、操舵トルクThを算出する処理である。
基本アシストトルク算出処理M42は、操舵トルクThを入力として、基本アシストトルクTbを算出する処理である。すなわち、基本アシストトルク算出処理M42は、操舵トルクThが示す運転者の操舵の意思に応じて基本アシストトルクTbを変更する処理である。基本アシストトルク算出処理M42は、操舵トルクThの大きさが大きい場合の基本アシストトルクTbの大きさを操舵トルクThの大きさが小さい場合の基本アシストトルクTbの大きさ以上とする処理であってもよい。また、基本アシストトルク算出処理M42は、操舵トルクThの大きさが同じであっても、切り戻し時と切り込み時とで基本アシストトルクTbを異なる値に設定する処理であってもよい。
【0045】
変動基本アシストトルク算出処理M44は、基本アシストトルクTbを比率f(θh)にて除算することによって、変動基本アシストトルクTbcを算出する処理である。
アシストトルク算出処理M46は、変動基本アシストトルクTbcとカルダンジョイント補償トルクTcjcとを加算することによって、アシストトルクTaを算出する処理である。
【0046】
操作信号出力処理M48は、アシストモータ42のトルクをアシストトルクTaに制御するためのインバータ60の操作信号MSを生成して出力する処理である。なお、操作信号MSは、実際には、インバータ60の各スイッチング素子に対する操作信号である。
【0047】
「本実施形態の作用および効果」
以下の式(c5)は、ピニオン軸22における運動方程式である。
Trq+Tm=Gp+Tp …(c5)
ここで、慣性項Gpは、ピニオン軸22のトルクのうちの慣性項である。また、トルクTpは、ピニオン軸22に加わる慣性項Gp以外のトルクである。
【0048】
上記の式(c5)は、以下の式(c6)と表現できる。
Trq=Gp+Tp-Tm …(c6)
上記の式(c1)の比率f(θh)を用いると、操舵トルクThは、以下の式(c7)にて表現できる。
【0049】
Th=f(θh)・(Gp+Tp-Tm) …(c7)
ここで、アシストトルクであるモータトルクTmを、式(c8)とおく。
Tm=Tbc+{1-(1/f(θh))}・Tp …(c8)
上記の式(c7)に上記の式(c8)を代入すると、以下の式(c9)が得られる。
【0050】
Th=Tp+f(θh)・(Gp-Tbc) …(c9)
上記の式(c9)に「Tbc=Tb/f(θh)」を代入すると、以下の式(c10)が得られる。
【0051】
Th=Tp-Tb+f(θh)・Gp …(c10)
上記の式(c10)において、「f(θh)・Gp」の項を無視すると、操舵トルクThと、「Tp-Tb」との比は、操舵角θhに依存しない。
【0052】
そのため、操舵角θhに応じたトルクTpの変動が小さいのであれば、操舵トルクThが操舵角θhに応じて変動することを抑制できる。
そのため、本実施形態では、モータトルクTmを、変動基本アシストトルクTbcと、カルダンジョイント補償トルクTcjcとの和とした。すなわち、上記の式(c8)の右辺第2項が、カルダンジョイント補償トルクTcjcである。
【0053】
図4(a)に、モータトルクTmを基本アシストトルクTbとする場合の検出値Trqを例示する。図4(a)に示すように、検出値Trqは、ピニオン角θpに応じてほとんど変動しない。これは、検出値Trqが操舵角θhに応じてほとんど変動しないことを意味する。
【0054】
図4(b)は、図4(a)の状態での操舵トルクThを示す。図4(b)に示すように、操舵トルクThは、操舵角θhに応じて周期的に変動する。
図4(c)は、モータトルクTmを、変動基本アシストトルクTbcとカルダンジョイント補償トルクTcjcとの和とする場合の操舵トルクThを示す。図4(c)に示すように、操舵トルクThの操舵角θhに応じた変動は抑制される。
【0055】
図4(d)は、モータトルクTmを、変動基本アシストトルクTbcとカルダンジョイント補償トルクTcjcとの和とする場合の検出値Trqを示す。図4(d)に示すように、検出値Trqは、ピニオン角θpに応じて変動する。これは、検出値Trqが操舵角θhに応じて変動することを意味する。
【0056】
図4(d)に示す検出値Trqの変動は、第1折れ角α1、第2折れ角α2等の値に起因して生じている。すなわち、検出値Trqが操舵角θhに応じて変動することは、運転者のステアリングホイール12の操舵の意思とは無関係である。そのため、検出値Trqを入力として基本アシストトルクTbを算出したのでは、基本アシストトルクTbが、運転者の意思とは無関係に操舵角θhに応じて変動する値となる。そこで、PU52は、検出値Trqに比率f(θh)を乗算することによって算出した操舵トルクThを入力として基本アシストトルクTbを算出した。これにより、基本アシストトルクTbを、運転者の操舵の意思に応じた適切な値とすることができる。
【0057】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0058】
上記第1の実施形態では、ピニオン角θpと操舵角θhとの関係を一定と見なした。これに対し、本実施形態では、都度、第1折れ角α1、第2折れ角α2等を推定することによって、ピニオン角θpと操舵角θhとの関係を更新する。
【0059】
すなわち、図1に2点鎖線にて示すように、コラム軸14は、回転中心OTを中心に回転することによって、ステアリングホイール12の高さを調整可能である。回転中心OTを中心にコラム軸14が回転すると、第1折れ角α1および第2折れ角α2が変化しうる。
【0060】
図5に、写像データ54bの更新処理の手順を示す。図5に示す処理は、記憶装置54に記憶されたアシスト制御プログラム54aをPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
【0061】
図5に示す一連の処理において、PU52は、まず更新フラグFが「1」であるか否かを判定する(S10)。更新フラグFは、「1」である場合に、写像データ54bの更新のための処理を実行していることを示す。更新フラグFは、「0」である場合に、写像データ54bの更新のための処理を実行していないことを示す。
【0062】
PU52は、更新フラグFが「0」であると判定する場合(S10:NO)、起動スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わった時点であるか否かを判定する(S12)。起動スイッチは、車両を走行可能な状態とするスイッチである。たとえば、車両の推力生成装置が内燃機関のみの場合、起動スイッチは、イグニッションスイッチであってよい。また、車両の推力生成装置がモータを備える場合、起動スイッチは、モータとバッテリとの間の電気経路を開閉するスイッチであってよい。
【0063】
PU52は、起動スイッチがON状態に切り替わったと判定する場合(S12:YES)、更新フラグFに「1」を代入する(S14)。
PU52は、S10の処理において肯定判定する場合と、S14の処理を完了する場合と、には、ピニオン角θpを取得する(S16)。また、PU52は、上位ECU80との通信によって操舵角θhを取得する(S18)。そして、PU52は、記憶装置54に、ピニオン角θpおよび操舵角θhの組を保存する(S20)。ピニオン角θpと操舵角θhとは、同期したデータである。これは、たとえば、図5に示す一連の処理の周期を、操舵角θhの受信間隔とすることによって実現できる。
【0064】
次にPU52は、S20の処理によって記憶された操舵角θhの絶対値の極大値と極小値との差が所定値Δth以上であるか否かを判定する(S22)。PU52は、上記差が所定値Δth以上であると判定する場合(S22:YES)、最小2乗法によって、第1折れ角α1、第2折れ角α2、および位相差ψを求める(S24)。
【0065】
すなわち、PU52は、S20の処理によって記憶したピニオン角θpおよび操舵角θhの組のそれぞれについて、上記の式(c2)の右辺にピニオン角θpを入れた値Fと操舵角θhとの差の2乗を算出する。そして、PU52は、差の2乗に関する、S20の処理によって記憶したピニオン角θpおよび操舵角θhの組の総和を最小とする、第1折れ角α1、第2折れ角α2、および位相差ψを探索する。
【0066】
次にPU52は、写像データ54bによって規定されている、第1折れ角α1、第2折れ角α2、および位相差ψを更新する(S26)。PU52は、S26の処理を完了する場合、更新フラグFに「0」を代入する(S28)。
【0067】
なお、PU52は、S28の処理を完了する場合と、S12,S22の処理において否定判定する場合と、には、図5に示した一連の処理を一旦終了する。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]入力軸は、コラム軸14に対応する。出力軸は、ピニオン軸22に対応する。操舵角変数取得処理は、モータ角度取得処理M16に対応する。変動トルク制御処理は、カルダンジョイント補償トルクTcjcと変動基本アシストトルクTbcとに応じてインバータ60を操作する操作信号出力処理M48に対応する。[2]補償トルク制御処理は、カルダンジョイント補償トルクTcjcに応じてインバータ60を操作する操作信号出力処理M48に対応する。[3]操舵トルク依存処理は、変動基本アシストトルクTbcに応じてインバータ60を操作する操作信号出力処理M48に対応する。[4]アシスト制御処理は、基本アシストトルク算出処理M42の出力する基本アシストトルクTbに応じてインバータ60を操作する操作信号出力処理M48に対応する。[5]操舵角算出処理は、操舵角算出処理M30に対応する。[6]操舵角取得処理は、S18の処理に対応する。更新処理は、S26の処理に対応する。
【0068】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
「操舵角変数取得処理について」
・上記実施形態では、操舵角変数取得処理を、ピニオン角θpを操舵角を示す変数として取得する処理としたが、これに限らない。たとえば操舵角変数取得処理を、ラック軸30の軸方向の変位量を取得する処理としてもよい。また、たとえば、操舵角変数取得処理を、たとえば上位ECU80から出力される操舵角θhを取得する処理としてもよい。
【0070】
「操舵トルク依存処理について」
・操舵角θhに依存しない基本アシストトルクTbを算出する基本アシストトルク算出処理M42は必須ではない。たとえば、操舵トルクThと操舵角θhとを入力として、変動基本アシストトルクTbcを直接算出する処理であってもよい。
【0071】
「変動トルク制御処理について」
・変動トルク制御処理が、図3に例示した処理であることは必須ではない。たとえば、操舵トルクTh、操舵角θhおよびモータトルクTmを入力としてアシストトルクTaを直接算出する処理であってもよい。ここで、アシストトルクTaは、操舵角θhに応じて変動するトルクとする。
【0072】
・たとえばアシストトルクTaを、カルダンジョイント補償トルクTcjcに一致させてもよい。その場合であっても、ステアリングホイール12に加わるトルク脈動を軽減することはできる。
【0073】
・変動トルク制御処理が操舵角θhを入力とすることは必須ではない。たとえば、ピニオン角θpを入力としてもよい。その場合、たとえば比率算出処理M32を、ピニオン角θpに加えて、第1折れ角α1、第2折れ角α2、および位相差ψに応じて比率fを算出する処理とすればよい。換言すれば、操舵角算出処理は必須ではない。
【0074】
「更新処理について」
図5の処理では、操舵角θhを都度受信したが、これに限らない。たとえば、操舵角θhの時系列データを一括で受信してもよい。その場合、時系列データを構成する操舵角θhにはタイムスタンプが付与されていることが望ましい。これにより、PU52は、ピニオン角θpのサンプリング値をタイムスタンプと共に都度記憶しておくことにより、互いに同期した操舵角θhおよびピニオン角θpの組の時系列データを得ることができる。
【0075】
・S22の処理に代えて、たとえば操舵角θhがゼロ付近となってからのゼロからの乖離量が所定量以上となっているか否かを判定する処理を実行してもよい。なお、S22の処理および上述のその変更例の処理のいずれかを実行することは必須ではない。
【0076】
・S26の処理では、第1折れ角α1、第2折れ角α2、および位相差ψを更新したが、これに限らない。たとえば、第1折れ角α1および第2折れ角α2を更新するものの、位相差ψを更新しなくてもよい。
【0077】
・第1折れ角α1および第2折れ角α2を求める手法としては、最小2乗法に限らない。たとえば、ピニオン角θpおよび操舵角θhの時系列データを入力として第1折れ角α1および第2折れ角α2を出力する回帰モデルを利用してもよい。なお、回帰モデルは、ピニオン角θpおよび操舵角θhの様々な組み合わせと、対応する第1折れ角α1および第2折れ角α2とを訓練データとして学習することができる。
【0078】
・更新処理を開始するタイミングとしては、起動スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わるタイミングに限らない。たとえば車両のドアが開状態から閉状態に切り替えられたタイミングであってもよい。
【0079】
「転舵制御装置について」
・制御装置50としては、PU52と記憶装置54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
【0080】
「転舵装置について」
・アシストモータ42の回転軸とラック軸30とが平行に配置される構成に限らない。たとえば、ラックアンドピニオン機構32とは別に第2のラックアンドピニオン機構を備えて、同第2のラックアンドピニオン機構を介してアシストモータ42のトルクを付与してもよい。
【0081】
「その他」
・比率算出処理M32の入力としての操舵角θhが、操舵角補正処理M33の出力値であることは必須ではない。たとえば、操舵角算出処理M30が出力する操舵角θhを比率算出処理M32の入力としてもよい。
【0082】
・折れ角α1,α2が変化する要因としては、チルト角の変化に限らない。たとえばテレスコピック機能の利用が折れ角α1,α2が変化する要因となってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…転舵装置
12…ステアリングホイール
14…コラム軸
16…第1カルダンジョイント
16a…第1ヨーク
16b…第2ヨーク
16c…十字軸
18…中間軸
20…第2カルダンジョイント
22…ピニオン軸
22a…ピニオン歯
30…ラック軸
30a…ラック歯
32…ラックアンドピニオン機構
34…タイロッド
36…転舵輪
40…転舵アクチュエータ
42…アシストモータ
44…伝達機構
46…ボールねじ機構
50…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5