(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165322
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ベアリング装置
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20241121BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20241121BHJP
F16C 33/58 20060101ALI20241121BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20241121BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F16C33/78 Z
F16C19/06
F16C33/58
F16J15/3204 201
E04G23/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081431
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】522203271
【氏名又は名称】日本モノレース工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000169721
【氏名又は名称】高千穂工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香山 俊
(72)【発明者】
【氏名】福田 誠
(72)【発明者】
【氏名】重水 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 光雄
【テーマコード(参考)】
2E176
3J006
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
2E176DD01
3J006AE12
3J006AE19
3J006AE34
3J006AE41
3J006CA01
3J216AA02
3J216AA12
3J216AB27
3J216BA11
3J216CA01
3J216CA04
3J216CB03
3J216CB07
3J216CB12
3J216CB13
3J216CB15
3J216CB19
3J216CC17
3J216CC27
3J216CC33
3J216DA01
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA53
3J701BA54
3J701BA56
3J701BA73
3J701GA51
(57)【要約】
【課題】 外輪と内輪の間の高いシール性を確保した上で小型化を図る。
【解決手段】 外輪には厚み方向において配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、内輪には厚み方向において配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、厚み方向において配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な第1のシール部材と弾性変形可能な第2のシール部材とが位置され、第1のシール部材には外輪溝又は内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と内輪溝又は外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、第2のシール部材には外輪溝又は内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と内輪溝又は外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられた。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、
前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、
前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、
前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、
厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な第1のシール部材と弾性変形可能な第2のシール部材とが位置され、
前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、
前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられた
ベアリング装置。
【請求項2】
前記第1のシール部材は前記第1の被取付部が前記外輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第1の被挿入部が前記内輪溝に挿入され、
前記第2のシール部材は前記第2の被取付部が前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第2の被挿入部が前記外輪溝に挿入された
請求項1に記載のベアリング装置。
【請求項3】
前記第1の被取付部が挿入される前記外輪溝が外輪取付溝として形成され、
前記第1の被挿入部が挿入される前記内輪溝が内輪挿入溝として形成され、
前記第2の被取付部が挿入される前記内輪溝が内輪取付溝として形成され、
前記第2の被挿入部が挿入される前記外輪溝が外輪挿入溝として形成され、
前記外輪挿入溝を形成する面のうち前記配置空間と反対側の面が外輪側外面として形成され前記配置空間側の面が外輪側内面として形成され、
前記内輪挿入溝を形成する面のうち前記配置空間と反対側の面が内輪側外面として形成され前記配置空間側の面が内輪側内面として形成され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側外面又は前記内輪側内面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側外面又は前記外輪側内面に密着された
請求項2に記載のベアリング装置。
【請求項4】
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側外面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側外面に密着された
請求項3に記載のベアリング装置。
【請求項5】
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側内面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側内面に密着された
請求項3に記載のベアリング装置。
【請求項6】
前記外輪の厚み方向における両側の外面と前記内輪の厚み方向における両側の外面とがそれぞれ同一平面上に位置された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載のベアリング装置。
【請求項7】
固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、
前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、
前記外輪には前記内輪側に開口された環状の外輪溝が形成され、
前記内輪には前記外輪側に開口された環状の内輪溝が形成され、
前記外輪又は前記内輪に弾性変形可能なシール部材が取り付けられ、
前記シール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝の一方に挿入された状態で取り付けられる被取付部と前記外輪溝又は前記内輪溝の他方に挿入される被挿入部とが設けられた
ベアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外輪と内輪とベアリング球を有し外輪又は内輪の一方が他方に対して回転されるベアリング装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
外輪と内輪と複数のベアリング球を有し外輪又は内輪の一方が他方に対して回転されるベアリング装置がある。ベアリング装置には外輪と内輪の間に配置空間が形成され、配置空間に複数のベアリング球が周方向に並んで配置されている。
【0003】
このようなベアリング装置は可動部と固定部を有する各種の構造体において用いられ、構造体にベアリング装置が用いられることにより可動部が固定部に対して円滑に回転(旋回)される。可動部には外輪又は内輪の一方が取り付けられ、固定部には外輪又は内輪の他方が取り付けられる。
【0004】
一方、ベアリング装置においては、外輪と内輪の間に形成される隙間を封止する弾性変形可能なシール部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。シール部材が設けられることにより、配置空間に充填されたグリスの隙間からの外部への飛散が防止されると共に外部からの水分や塵埃等の隙間への異物の侵入が防止される。
【0005】
特許文献1に記載されたベアリング装置においては、第1のシール部材と第2のシール部材の二つのシール部材が設けられ、外輪と内輪にそれぞれ第1のシール部材と第2のシール部材を取り付けるための取付溝が形成され、外輪の取付溝に挿入されて取り付けられた第1のシール部材の一部が内輪の外面に押し付けられ、内輪の取付溝に挿入されて取り付けられた第2のシール部材の一部が外輪の外面に押し付けられた状態にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されたベアリング装置にあっては、第1のシール部材と第2のシール部材の外輪と内輪に対する取付位置及び押付位置に起因して外輪と内輪が厚み方向においてずれた状態で配置されてしまう。従って、外輪と内輪が段差を有した状態で配置され、その分、全体の厚みが厚くなり小型化を阻害してしまう。
【0008】
そこで、本発明ベアリング装置は、外輪と内輪の間の高いシール性を確保した上で小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るベアリング装置は、固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な第1のシール部材と弾性変形可能な第2のシール部材とが位置され、前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられたものである。
【0010】
これにより、配置空間を挟んで反対側に位置された外輪溝と内輪溝に第1のシール部材の各部と第2のシール部材の各部とが挿入され、第1のシール部材と第2のシール部材の配置スペースが外輪と内輪の厚み方向における外面側に存在しない。
【0011】
別の本発明に係るベアリング装置は、固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、前記外輪には前記内輪側に開口された環状の外輪溝が形成され、前記内輪には前記外輪側に開口された環状の内輪溝が形成され、前記外輪又は前記内輪に弾性変形可能なシール部材が取り付けられ、前記シール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝の一方に挿入された状態で取り付けられる被取付部と前記外輪溝又は前記内輪溝の他方に挿入される被挿入部とが設けられた。
【0012】
これにより、外輪溝と内輪溝にシール部材の各部が挿入され、シール部材の配置スペースが外輪と内輪の厚み方向における外面側に存在しない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配置空間を挟んで反対側に位置された外輪溝と内輪溝に第1のシール部材の各部と第2のシール部材の各部とが挿入され、第1のシール部材と第2のシール部材の配置スペースが外輪と内輪の厚み方向における外面側に存在しないため、外輪と内輪の間の高いシール性を確保した上で小型化を図ることができる。
【0014】
別の本発明によれば、外輪溝と内輪溝にシール部材の各部が挿入され、シール部材の配置スペースが外輪と内輪の厚み方向における外面側に存在しないため、外輪と内輪の間の高いシール性を確保した上で小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図2乃至
図14と共に本発明ベアリング装置の実施の形態を示すものであり、本図は、ベアリング装置が用いられる構造体である破砕機を示す正面図である。
【
図3】塞栓とテーパーピンが存在する位置におけるベアリング装置の断面図である。
【
図6】ベアリング装置が組み立てられる前の状態を示す断面図である。
【
図7】外輪の内側に内輪が挿入されている状態を示す断面図である。
【
図8】第1の被挿入部と第2の被挿入部が配置空間に近付く方向に屈曲された第1のシール部材と第2のシール部材が用いられた例を示す断面図である。
【
図9】第1の被挿入部が配置空間から離隔する方向に屈曲された第1のシール部材と第2の被挿入部が配置空間に近付く方向に屈曲された第2のシール部材とが用いられた例を示す断面図である。
【
図10】第1の被挿入部が配置空間に近付く方向に屈曲された第1のシール部材と第2の被挿入部が配置空間から離隔する方向に屈曲された第2のシール部材とが用いられた例を示す断面図である。
【
図11】第1の被挿入部が配置空間から離隔する方向に屈曲された第1のシール部材と第2の被挿入部が配置空間から離隔する方向に屈曲された第2のシール部材とが外輪に取り付けられた例を示す断面図である。
【
図12】第1の被挿入部が配置空間に近付く方向に屈曲された第1のシール部材と第2の被挿入部が配置空間に近付く方向に屈曲された第2のシール部材とが外輪に取り付けられた例を示す断面図である。
【
図13】別の形状に形成された第1のシール部材が用いられた例を示す断面図である。
【
図14】また別の形状に形成された第1のシール部材が用いられた例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明ベアリング装置を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
<破砕機の概略構成>
先ず、ベアリング装置(旋回ベアリング)1が用いられる構造体の一例として、建築物の解体等を行うための破砕機100について説明する(
図1参照)。但し、ベアリング装置1が用いられる構造体は破砕機100に限られることはなく、ベアリング装置1は可動部が固定部に対して回転(旋回)される構造を有する他の各種の構造体に用いることが可能である。
【0018】
破砕機100は破砕対象物を挟み込んで破砕する本体101と図示しない油圧ショベル等のアームに着脱されるブラケット102とを有し、本体101とブラケット102が連結構造部103を介して連結されている。本体101はブラケット102に対して回転可能(旋回可能)にされ、本体101が可動部として機能しブラケット102が固定部として機能する。
【0019】
本体101はブラケット102に連結構造部103を介して連結されたベース部101aとベース部101aに互いに離接する方向へ回動可能に連結された一対の挟持部101bとを有している。
【0020】
ブラケット102はボルト等の締結具を介して油圧ショベル等のアームに取り付けられる。
【0021】
連結構造部103の内部にはベアリング装置1が配置されている。
【0022】
<ベアリング装置の構成>
次に、ベアリング装置1の構成について説明する(
図2乃至
図7参照)。
【0023】
ベアリング装置1は外輪2と内輪3と複数のベアリング球4を有している(
図2及び
図3参照)。外輪2は、例えば、破砕機100のブラケット102に取り付けられて固定輪として機能し、内輪3は、例えば、破砕機100の本体101に取り付けられて回転輪として機能する。内輪3は外輪2の内側に位置されている。
【0024】
尚、ベアリング装置1においては、内輪3が破砕機100のブラケット102に取り付けられて固定輪として機能し、外輪2が破砕機100の本体101に取り付けられて回転輪として機能する構成にされていてもよい。
【0025】
外輪2と内輪3は回転軸(中心軸)Pの軸方向が厚み方向にされている。外輪2と内輪3は、例えば、厚みが同じにされ、外輪2の厚み方向における一方の外面2Xと内輪3の厚み方向における一方の外面3Xは、例えば、同一平面上に位置され、外輪2の厚み方向における他方の外面2Yと内輪3の厚み方向における他方の外面3Yは、例えば、同一平面上に位置されている。
【0026】
外輪2には厚み方向に貫通された複数の被取付孔2aが周方向に等間隔に離隔して形成されている。外輪2は被取付孔2aに取付ボルト等の取付具が挿入されてブラケット102に取り付けられる。外輪2には厚み方向に貫通された固定孔2bが二つの被取付孔2aの間に形成されている。
【0027】
外輪2には内周面に開口された球配置凹部5が形成され、球配置凹部5は周方向に延びて環状に形成されている(
図3参照)。外輪2には球配置凹部5に連通されグリスが充填される充填溝5aが形成され、充填溝5aは外輪2の厚み方向において球配置凹部5の中央部に連通されている。外輪2には径方向に開口された投入孔2cが形成され、投入孔2cは固定孔2bに連通されている(
図2及び
図3参照)。投入孔2cからはベアリング球4が投入される。
【0028】
外輪2には外周面に開口された凹部2dが形成され、凹部2dには図示しないグリス充填孔が連通されている。グリス充填孔は、グリスの充填前と充填後にはグリスニップル6によって閉塞され、グリスの充填時にグリスニップル6が外輪2から取り外されることにより開閉される。グリスニップル6はグリス充填孔を閉塞した状態において、外輪2の外周面から外方に突出されずグリス充填孔から外方に突出された部分が凹部2dに位置される。
【0029】
外輪2には厚み方向において球配置凹部5を挟んだ反対側に何れも外輪溝として機能する外輪取付溝7と外輪挿入溝8が形成されている(
図3参照)。外輪取付溝7と外輪挿入溝8は何れも外輪2の内周面に開口され、環状に形成されている。外輪取付溝7は外輪2の厚み方向における一端部に形成され、外輪挿入溝8は外輪2の厚み方向における他端部に形成されている。
【0030】
従って、例えば、外輪2の投入孔2cが形成された部分において、外輪取付溝7と外輪挿入溝8は一部が投入孔2cを挟んだ反対側の部分2eにそれぞれ形成されている。具体的には、投入孔2cからは、例えば、径が25mmから29mm程度のベアリング球4が投入されるため、投入孔2cの径が32mm程度にされている。外輪2の厚みは、例えば、42mm程度であるため、二つの部分2eの厚みはそれぞれ5mm程度である。外輪取付溝7と外輪挿入溝8の幅は2mmから2.5mm程度であるため、部分2eの十分な剛性を保持した状態で外輪取付溝7と外輪挿入溝8を形成することができる。
【0031】
外輪取付溝7は外輪2の厚み方向において対向する二つの対向面7aと二つの対向面7aの奥側の端縁に連続する底面7bとによって形成されている。
【0032】
外輪挿入溝8も外輪取付溝7と同様の形状に形成され、外輪挿入溝8は外輪2の厚み方向において対向する二つの面のうち球配置凹部5の反対側の面が外輪側外面8aとして形成され球配置凹部5側の面が外輪側内面8bとして形成され、外輪側外面8aと外輪側内面8bの奥側の端縁に底面8cが連続されている。
【0033】
内輪3には厚み方向に貫通された複数の被取付孔3aが周方向に等間隔に離隔して形成されている(
図2及び
図3参照)。内輪3は被取付孔3aに取付ボルト等の取付具が挿入されて本体101に取り付けられる。
【0034】
内輪3には外周面に開口された球配置凹部9が形成され、球配置凹部9は周方向に延びて環状に形成されている(
図3参照)。内輪3には球配置凹部9に連通されグリスが充填される充填溝9aが形成され、充填溝9aは内輪3の厚み方向において球配置凹部9の中央部に連通されている。
【0035】
内輪3には球配置凹部9を挟んだ反対側に何れも内輪溝として機能する内輪取付溝10と内輪挿入溝11が形成されている。内輪取付溝10と内輪挿入溝11は何れも内輪3の外周面に開口され、環状に形成されている。内輪取付溝10は内輪3の厚み方向における他端部に形成され、内輪挿入溝11は内輪3の厚み方向における一端部に形成されている。
【0036】
内輪取付溝10は内輪3の厚み方向において対向する二つの対向面10aと二つの対向面10aの奥側の端縁に連続する底面10bとによって形成されている。
【0037】
内輪挿入溝11も内輪取付溝10と同様の形状に形成され、内輪挿入溝11は内輪3の厚み方向において対向する二つの面のうち球配置凹部9の反対側の面が内輪側外面11aとして形成され球配置凹部9側の面が内輪側内面11bとして形成され、内輪側外面11aと内輪側内面11bの奥側の端縁に底面11cが連続されている。
【0038】
内輪3が外輪2の内側に位置された状態において、外輪2の球配置凹部5と内輪3の球配置凹部9とによって配置空間12が形成される。
【0039】
内輪3が外輪2の内側に位置された状態において、外輪2の投入孔2cから配置空間12に複数のベアリング球4が順次投入される。配置空間12に全てのベアリング球4が投入されると、投入孔2cが塞栓13によって閉塞される。塞栓13には圧入孔13aが形成されている。投入孔2cが塞栓13によって閉塞された状態において、外輪2の固定孔2bと塞栓13の圧入孔13aとに亘ってテーパーピン14が圧入され、塞栓13が外輪2に固定されてベアリング球4の投入孔2cからの脱落が防止される。
【0040】
尚、配置空間12にベアリング球4に加えて間座が挿入される場合には、投入孔2cから配置空間12にベアリング球4と間座が投入される。
【0041】
上記のように内輪3が外輪2の内側に位置された状態においては、外輪2に形成された外輪取付溝7と内輪3に形成された内輪挿入溝11が向き合った状態で位置され、外輪2に形成された外輪挿入溝8と内輪3に形成された内輪取付溝10が向き合った状態で位置される。
【0042】
外輪2には弾性変形可能な円環状の第1のシール部材15が取り付けられている(
図3及び
図4参照)。第1のシール部材15としては、例えば、クロロプレンゴムやニトリルゴムが用いられている。第1のシール部材15は外周側の略半部が第1の被取付部16として設けられ第1の被取付部16より内周側の部分が第1の被挿入部17として設けられ、第1の被取付部16が外輪取付溝7に挿入された状態で接着又は圧入によって外輪2に取り付けられている。第1の被取付部16と第1の被挿入部17は一体に形成されている。
【0043】
第1の被取付部16は径方向において切断した断面形状が略長方形状に形成され、第1の被取付部16の厚み方向における一方の面に凹凸部16aが形成されている。凹凸部16aが形成されることにより、第1の被取付部16が外輪取付溝7に挿入されたときに凹凸部16aが押し潰され、外輪取付溝7に対する接触圧が高くなると共に十分な接触面積が得られ、第1のシール部材15の外輪2に対する良好な取付状態を確保することができる。
【0044】
第1の被挿入部17は第1の被取付部16に対して厚み方向において屈曲され、第1の被取付部16に対して弾性変形可能にされている。第1の被挿入部17は第1の被取付部16から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、先端部に第1の接触面17aを有している。
【0045】
第1の被取付部16と第1の被挿入部17の境界部分は、厚み方向における一方の面が凸状の曲面18として形成され、厚み方向における他方の面が凹状の曲面19として形成されている。第1の被取付部16と第1の被挿入部17の境界部分に凸状の曲面18と凹状の曲面19が形成されることにより、第1の被取付部16と第1の被挿入部17の境界部分に応力集中が生じ難く、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して弾性変形されたときの境界部分の割れが防止されると共に第1の被挿入部17の第1の被取付部16に対する安定した屈曲状態が確保される。
【0046】
内輪3には弾性変形可能な円環状の第2のシール部材20が取り付けられている(
図3及び
図5参照)。第2のシール部材20としては、例えば、クロロプレンゴムやニトリルゴムが用いられている。第2のシール部材20は第1のシール部材15と同じ形状に形成され、内周側の略半部が第2の被取付部21として設けられ第2の被取付部21より外周側の部分が第2の被挿入部22として設けられ、第2の被取付部21が内輪取付溝10に挿入された状態で接着又は圧入によって内輪3に取り付けられている。第2の被取付部21と第2の被挿入部22は一体に形成されている。
【0047】
第2の被取付部21には厚み方向における一方の面に凹凸部21aが形成されている。凹凸部21aが形成されることにより、第2の被取付部21が内輪取付溝10に挿入されたときに凹凸部21aが押し潰され、内輪取付溝10に対する接触圧が高くなると共に十分な接触面積が得られ、第2のシール部材20の内輪3に対する良好な取付状態を確保することができる。
【0048】
第2の被挿入部22は第2の被取付部21に対して厚み方向において屈曲され、第2の被取付部21に対して弾性変形可能にされている。第2の被挿入部22は第2の被取付部21から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、先端部に第2の接触面22aを有している。
【0049】
第2の被取付部21と第2の被挿入部22の境界部分は、厚み方向における一方の面が凸状の曲面23として形成され、厚み方向における他方の面が凹状の曲面24として形成されている。第2の被取付部21と第2の被挿入部22の境界部分に凸状の曲面23と凹状の曲面24が形成されることにより、第2の被取付部21と第2の被挿入部22の境界部分に応力集中が生じ難く、第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して弾性変形されたときの境界部分の割れが防止されると共に第2の被挿入部22の第2の被取付部21に対する安定した屈曲状態が確保される。
【0050】
第1のシール部材15は、例えば、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して厚み方向において配置空間12と反対側に屈曲された状態で外輪2に取り付けられ、第1の被挿入部17が内輪3の内輪挿入溝11に挿入されている(
図3参照)。このとき第1の被挿入部17が配置空間12と反対側に屈曲されているため、例えば、第1の接触面17aが内輪挿入溝11の内輪側外面11aに押し付けられた状態で面接触されている。但し、第1の被挿入部17は内輪挿入溝11に挿入されていればよく、内輪挿入溝11を形成する何れの面にも接触されていなくてもよい。
【0051】
一方、第2のシール部材20は、例えば、第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して厚み方向において配置空間12と反対側に屈曲された状態で内輪3に取り付けられ、第2の被挿入部22が外輪2の外輪挿入溝8に挿入されている。このとき第2の被挿入部22が配置空間12と反対側に屈曲されているため、例えば、第2の接触面22aが外輪挿入溝8の外輪側外面8aに押し付けられた状態で面接触されている。但し、第2の被挿入部22は外輪挿入溝8に挿入されていればよく、外輪挿入溝8を形成する何れの面にも接触されていなくてもよい。
【0052】
外輪2と内輪3の間には配置空間12を挟んだ反対側にそれぞれ配置空間12に連通された隙間25が存在するが、隙間25は外輪2に取り付けられた第1のシール部材15の第1の被挿入部17が内輪3の内輪挿入溝11に挿入されると共に内輪3に取り付けられた第2のシール部材20の第2の被挿入部22が外輪2の外輪挿入溝8に挿入されることにより閉塞される。従って、隙間25からの配置空間12への水分や油分や塵埃等の侵入が防止される。
【0053】
上記のように構成されたベアリング装置1は、例えば、外輪2が作業台等に載置された状態において、内輪3が上方から外輪2の内側に挿入され、投入孔2cからベアリング球4が配置空間12に挿入されると共にグリス充填孔からグリスが充填されることにより組み立てられる。グリスは充填溝5aと充填溝9aに充填されると共に配置空間12においてベアリング球4の表面にも付着される。
【0054】
内輪3が外輪2の内側に挿入されるときには、外輪2に第1のシール部材15が取り付けられ内輪3に第2のシール部材20が取り付けられた状態にされている(
図6参照)。従って、内輪3が外輪2の内側に挿入されるときには、外輪2に取り付けられた第1のシール部材15が内輪3の外周面に摺動されて第1の被挿入部17が弾性変形されると共に内輪3に取り付けられた第2のシール部材20が外輪2の内周面に摺動されて第2の被挿入部22が弾性変形される(
図7参照)。
【0055】
このような第1のシール部材15が内輪3の外周面に摺動され第2のシール部材20が外輪2の内周面に摺動されることは、内輪3が外輪2の内側に挿入されるときの負荷になるが、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22の屈曲の方向が負荷の小さい方向にされている。
【0056】
従って、第1のシール部材15において第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲され、第2のシール部材20において第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されていることにより、ベアリング装置1の組立を容易に行うことができる。
【0057】
尚、ベアリング装置1は、内輪3が作業台等に載置された状態において、外輪2が上方から内輪3の外側に配置され、投入孔2cからベアリング球4が配置空間12に挿入されると共にグリス充填孔からグリスが充填されることによっても組み立てることが可能である。
【0058】
また、ベアリング装置1においては、投入孔2cから全てのベアリング球4を取り出した状態において、外輪2と内輪3を分離することによりベアリング装置1を分解することが可能である。このようにベアリング装置1を分解することによりメンテナンスを行うことができる。
【0059】
<ベアリング装置における動作>
続いて、ベアリング装置1における動作について説明する。
【0060】
破砕機100において可動部として機能する本体101が固定部として機能するブラケット102に対して回転(旋回)されると、本体101の回転に伴って回転輪として機能する内輪3が固定輪として機能する外輪2に対して回転される。
【0061】
内輪3の回転時にはベアリング球4が配置空間12において外輪2と内輪3に対して転動しながら回転される。このときグリスの圧力が第1のシール部材15と第2のシール部材20に配置空間12側から付与され、第1の被挿入部17の第1の接触面17aが付与された圧力によって内輪挿入溝11の内輪側外面11aに押し付けられた状態が維持され、第2の被挿入部22の第2の接触面22aが付与された圧力によって外輪挿入溝8の外輪側外面8aに押し付けられた状態が維持される。
【0062】
尚、外部から外気や水分等の大きな圧力が第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与されたときには、第1の被挿入部17が内輪挿入溝11の内輪側内面11bに押し付けられ第2の被挿入部22が外輪挿入溝8の外輪側内面8bに押し付けられることにより外輪2と内輪3の間のシール性が確保される。
【0063】
また、第1の被挿入部17が内輪挿入溝11を形成する何れの面にも接触されていない場合においても、グリスの圧力によって第1の被挿入部17の第1の接触面17aが内輪側外面11aに押し付けられると共に第2の被挿入部22の第2の接触面22aが外輪側外面8aに押し付けられる。
【0064】
尚、グリスの圧力は内輪3の外輪2に対する回転時及び非回転時の双方において第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与される。
【0065】
<ベアリング装置の他の構成>
上記には、第1のシール部材15において第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲され、第2のシール部材20において第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されている例を示したが、逆に、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12に近付く方向に屈曲され、第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されている構成にすることも可能である(
図8参照)。
【0066】
第1の被挿入部17と第2の被挿入部22の屈曲方向がこのような方向にされることにより、外輪2と内輪3の分離時の第1のシール部材15の内輪3への摺動と第2のシール部材20の外輪2への摺動による負荷が小さく、ベアリング装置1の分解を容易に行うことができる。
【0067】
尚、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22が配置空間12に近付く方向に屈曲されている構成においては、外部から外気や水分等の圧力が第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与されたときに、第1の被挿入部17の第1の接触面17aが内輪挿入溝11の内輪側内面11bに押し付けられ第2の被挿入部22の第2の接触面22aが外輪挿入溝8の外輪側内面8bに押し付けられる方向に作用する。
【0068】
従って、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保することができる。
【0069】
また、配置空間12側からグリスの大きな圧力が第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与されたときには、第1の被挿入部17が内輪挿入溝11の内輪側外面11aに押し付けられ第2の被挿入部22が外輪挿入溝8の外輪側外面8aに押し付けられることにより外輪2と内輪3の間のシール性が確保される。
【0070】
尚、上記のように、外輪2に第1のシール部材15が取り付けられ内輪3に第2のシール部材20が取り付けられた構成において、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されると共に第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されていてもよい(
図9参照)。
【0071】
また、外輪2に第1のシール部材15が取り付けられ内輪3に第2のシール部材20が取り付けられた構成において、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されると共に第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されていてもよい(
図10参照)。
【0072】
さらに、ベアリング装置1においては、第1のシール部材15が内輪3に取り付けられ、第2のシール部材20が外輪2に取り付けられていてもよい。この場合にも、第1の被挿入部17の第1の被取付部16に対する屈曲方向と第2の被挿入部22の第2の被取付部21に対する屈曲方向とは、配置空間12から離隔する方向であってもよく配置空間12に近付く方向であってもよい。
【0073】
<まとめ>
以上に記載した通り、ベアリング装置1にあっては、配置空間12を挟んだ反対側に弾性変形可能な第1のシール部材15と弾性変形可能な第2のシール部材20とが位置され、第1のシール部材15には外輪取付溝7又は内輪取付溝10に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部16と内輪挿入溝11又は外輪挿入溝8に挿入される第1の被挿入部17とが設けられ、第2のシール部材20には外輪取付溝7又は内輪取付溝10に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部21と内輪挿入溝11又は外輪挿入溝8に挿入される第2の被挿入部22とが設けられている。
【0074】
従って、配置空間12を挟んで反対側に位置された外輪溝と内輪溝に第1のシール部材15の各部と第2のシール部材20の各部とが挿入される。これにより、第1のシール部材15と第2のシール部材20の配置スペースが外輪2と内輪3の厚み方向における外面側に存在しないため、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保した上で小型化を図ることができる。
【0075】
また、第1の被取付部16が外輪取付溝7に挿入された状態で取り付けられ第1の被挿入部17が内輪挿入溝11に挿入され、第2の被取付部21が内輪取付溝10に挿入された状態で取り付けられ第2の被挿入部22が外輪挿入溝8に挿入される構成にされることにより、外輪2に第1のシール部材15が取り付けられ内輪3に第2のシール部材20が取り付けられる。
【0076】
従って、第1のシール部材15の第1の被挿入部17が内輪3に挿入されると共に第2のシール部材20の第2の被挿入部22が外輪2に挿入されるため、外輪2と内輪3に対する第1のシール部材15と第2のシール部材20の配置状態において良好なバランスが確保され、ベアリング装置1における安定した回転動作を確保した上で外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保することができる。
【0077】
さらに、第1の被挿入部17が内輪側外面11a又は内輪側内面11bに密着され、第2の被挿入部22が外輪側外面8a又は外輪側内面8bに密着されることにより配置空間12が密閉されるため、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保することができる。
【0078】
特に、第1のシール部材15の第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲され、第2のシール部材20の第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲される構成の場合には、第1の被挿入部17が内輪側外面11aに密着され、第2の被挿入部22が外輪側外面8aに密着される。
【0079】
このような構成においては、第1の被挿入部17が内輪側外面11aに密着されると共に第2の被挿入部22が外輪側外面8aに密着された状態において配置空間12に充填されたグリスの圧力が配置空間12側から第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与されるため、内輪挿入溝11と外輪挿入溝8において隙間が生じ難く、外輪2と内輪3の間の一層高いシール性を確保することができる。
【0080】
一方、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12に近付く方向に屈曲され、第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲され、第1の被挿入部17が内輪側内面11bに密着され、第2の被挿入部22が外輪側内面8bに密着される構成にされる場合もある。
【0081】
このような構成の場合には、第1の被挿入部17が内輪側内面11bに密着されると共に第2の被挿入部22が外輪側内面8bに密着された状態において外部からの圧力が第1の被挿入部17と第2の被挿入部22に付与されたときに内輪挿入溝11と外輪挿入溝8において隙間が生じ難く、外輪2と内輪3の間の一層高いシール性を確保することができる。
【0082】
また、外輪2の厚み方向における両側の外面2X、2Yと内輪3の厚み方向における両側の外面3X、3Yとがそれぞれ同一平面上に位置されている。
【0083】
従って、外輪2と内輪3の厚みが同じにされ外面2X、2Yと外面3X、3Yとがそれぞれ同一平面上に存在するため、外輪2と内輪3において一方が他方に対して厚み方向に突出された形状にならず、ベアリング装置1の薄型化を図ることができる。
【0084】
さらに、外輪2と内輪3において一方が他方に対して厚み方向に突出された形状にならず薄型化が図られるため、ベアリング装置1の軽量化を図ることもできる。
【0085】
さらにまた、第1のシール部材15は第1の被挿入部17が第1の被取付部16から離隔するに従って厚みが薄くなる形状に形成され、第2のシール部材20は第2の被挿入部22が第2の被取付部21から離隔するに従って厚みが薄くなる形状に形成されている。
【0086】
従って、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して変形し易くなると共に第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して変形し易くなるため、外輪2と内輪3の組立時及び分解時に第1の被挿入部17と第2の被挿入部22からそれぞれ内輪3と外輪2に付与される負荷が小さく、外輪2と内輪3の組立及び分解を容易に行うことができる。
【0087】
加えて、第1の被挿入部17には内輪側外面11a又は内輪側内面11bに面接触される第1の接触面17aが形成され、第2の被挿入部22には外輪側外面8a又は外輪側内面8bに面接触される第2の接触面22aが形成されている。
【0088】
従って、第1の被挿入部17が内輪側外面11a又は内輪側内面11bに面接触されると共に第2の被挿入部22が外輪側外面8a又は外輪側内面8bに面接触されるため、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22のそれぞれ内輪3と外輪2に対する接触面積が大きくなり、外輪2と内輪3の間のより一層高いシール性を確保することができる。
【0089】
<他の変形例等>
以下に、他の変形例等について説明する(
図11乃至
図14参照)。
【0090】
ベアリング装置1においては、外輪2に配置空間12を挟んだ反対側にそれぞれ外輪取付溝7が形成され、内輪3に配置空間12を挟んだ反対側にそれぞれ内輪挿入溝11が形成され、外輪2に第1のシール部材15と第2のシール部材20が取り付けられ内輪挿入溝11にそれぞれ第1の被挿入部17と第2の被挿入部22が挿入された構成にされていてもよい(
図11及び
図12参照)。
【0091】
この場合には、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されていてもよく(
図11参照)、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されていてもよい(
図12参照)。
【0092】
第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲された構成においては、配置空間12側からのグリスの圧力によって第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ内輪挿入溝11を形成する面に押し付けられ易くなる。
【0093】
一方、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲された構成においては、外部からの外気や水分等の圧力によって第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ内輪挿入溝11を形成する面に押し付けられ易くなる。
【0094】
また、ベアリング装置1においては、内輪3に配置空間12を挟んだ反対側にそれぞれ内輪取付溝10が形成され、外輪2に配置空間12を挟んだ反対側にそれぞれ外輪挿入溝8が形成され、内輪3に第1のシール部材15と第2のシール部材20が取り付けられ外輪挿入溝8にそれぞれ第1の被挿入部17と第2の被挿入部22が挿入された構成にされていてもよい。
【0095】
この場合にも、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されていてもよく、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されていてもよい。
【0096】
第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲された構成においては、配置空間12側からのグリスの圧力によって第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ外輪挿入溝8を形成する面に押し付けられ易くなる。
【0097】
一方、第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ第1の被取付部16と第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲された構成においては、外部からの外気や水分等の圧力によって第1の被挿入部17と第2の被挿入部22がそれぞれ外輪挿入溝8を形成する面に押し付けられ易くなる。
【0098】
尚、上記のように、外輪2又は内輪3の一方に第1のシール部材15と第2のシール部材20の双方が取り付けられた構成において、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されると共に第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されていてもよい。
【0099】
また、外輪2又は内輪3の一方に第1のシール部材15と第2のシール部材20の双方が取り付けられた構成において、第1の被挿入部17が第1の被取付部16に対して配置空間12に近付く方向に屈曲されると共に第2の被挿入部22が第2の被取付部21に対して配置空間12から離隔する方向に屈曲されていてもよい。
【0100】
上記には、第1のシール部材15が第1の被取付部16に対して屈曲された第1の被挿入部17を有し、第2のシール部材20が第2の被取付部21に対して屈曲された第2の被挿入部22を有する例を示したが、第1のシール部材15と第2のシール部材20に代えて以下のような形状の第1のシール部材15A、第2のシール部材20A、第1のシール部材15B、第2のシール部材20Bが用いられていてもよい(
図13及び
図14参照)。
【0101】
尚、第1のシール部材15Aと第2のシール部材20Aは同じ形状であり、第1のシール部材15Bと第2のシール部材20Bは同じ形状であるため、以下には、第1のシール部材15Aと第1のシール部材15Bを例として説明する。第1のシール部材15Aと第1のシール部材15Bは第1のシール部材15と比較して第1の被挿入部の形状のみが異なるため、以下には、主として、第1の被挿入部の形状を詳細に説明する。
【0102】
第1のシール部材15Aは第1の被取付部16と第1の被挿入部17Aが一体に形成されて成る(
図13参照)。
【0103】
第1の被挿入部17Aは径方向において切断した断面形状が二股状に形成され、第1の被取付部16に対して弾性変形可能にされている。第1の被挿入部17Aは全体として横倒しのV字状に形成され、第1の被取付部16から離隔するに従って互いに離隔する一対の封止部26を有している。封止部26は第1の被取付部16から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、先端部に第1の接触面26aを有している。
【0104】
第1の被取付部16と第1の被挿入部17Aの境界部分は、厚み方向における両面がそれぞれ凹状の曲面27として形成されている。第1の被取付部16と第1の被挿入部17Aの境界部分に凹状の曲面27が形成されることにより、第1の被取付部16と第1の被挿入部17Aの境界部分に応力集中が生じ難く、第1の被挿入部17Aが第1の被取付部16に対して弾性変形されたときの境界部分の割れが防止されると共に第1の被挿入部17Aの第1の被取付部16に対する安定した屈曲状態が確保される。
【0105】
第1のシール部材15Aは、例えば、外輪2に取り付けられ、第1の被挿入部17Aが、例えば、内輪3の内輪挿入溝11に挿入され、双方の第1の接触面26aがそれぞれ内輪挿入溝11の内輪側外面11aと内輪側内面11bに押し付けられた状態で面接触されている。
【0106】
このように第1のシール部材15Aは第1の被挿入部17Aの封止部26がそれぞれ内輪側外面11aと内輪側内面11bに押し付けられた状態にされるため、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保することができる。
【0107】
第1のシール部材15Bは第1の被取付部16と第1の被挿入部17Bが一体に形成されて成る(
図14参照)。
【0108】
第1の被挿入部17Bは第1の被取付部16に対して屈曲されていない。第1の被挿入部17Bは径方向において切断した断面形状が略長方形状の連結部28と略円形状の封止部29とによって構成され、第1の被取付部16に対して弾性変形可能にされている。連結部28は一端部が第1の被取付部16に連続され他端部が封止部29に連続されている。封止部29の径は連結部28の厚み方向における幅より大きくされ、例えば、内輪3の内輪挿入溝11の幅より僅かに小さくされている。
【0109】
第1のシール部材15Bは、例えば、外輪2に取り付けられ、第1の被挿入部17Bが内輪挿入溝11に挿入される。このとき封止部29の径が内輪挿入溝11の幅より僅かに小さくされているため、封止部29と内輪側外面11aの間及び封止部29と内輪側内面11bの間には僅かに隙間が生じ得る状態にされている。
【0110】
第1の被挿入部17Bが内輪挿入溝11に挿入された状態において、第1の被挿入部17Bには配置空間12側からグリスの圧力が付与されると共に外部からの外気や水分等の圧力が付与される。このとき、グリスの圧力が外部からの圧力より大きい場合には、封止部29の一部が内輪挿入溝11の内輪側外面11aに押し付けられて配置空間12が密閉され、グリスの圧力より外部からの圧力が大きい場合には、封止部29の他の一部が内輪挿入溝11の内輪側内面11bに押し付けられて配置空間12が密閉される。
【0111】
このように第1のシール部材15Bは第1の被挿入部17Bの封止部29が付与された圧力によってそれぞれ内輪側外面11a又は内輪側内面11bに押し付けられた状態にされるため、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保することができる。
【0112】
<その他>
上記には、配置空間12を挟んだ反対側に一つずつの第1のシール部材15(第1のシール部材15A、第1のシール部材15B)と第2のシール部材20(第2のシール部材20A、第2のシール部材20B)が位置された例を示したが、配置空間12を挟んだ反対側に複数の第1のシール部材15と複数の第2のシール部材20が位置されていてもよい。
【0113】
また、配置空間12を挟んだ反対側のうち、一方のみに第1のシール部材15(第1のシール部材15A、第1のシール部材15B)又は第2のシール部材20(第2のシール部材20A、第2のシール部材20B)が位置されていてもよい。
【0114】
このような構成によれば、外輪溝と内輪溝にシール部材の各部が挿入され、シール部材の配置スペースが外輪2と内輪3の厚み方向における外面側に存在しないため、外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保した上で小型化を図ることができる。
【0115】
尚、このような構成において、配置空間12を挟んだ反対側のうちシール部材が配置されていない側には上記した特許文献1(特開2008-303643号公報)に記載されたようなシール部材の一部が内輪又は外輪の外面に押し付けられたシール構造が設けられていてもよい。但し、シール部材が配置されていない側に設けられるシール構造は、特許文献1に記載されたシール構造以外の既知のシール構造が設けられていてもよい。
【0116】
このように本発明に係るシール構造を含む異なるシール構造を用いることにより、ベアリング装置1の小型化と外輪2と内輪3の間の高いシール性を確保した上で設計の自由度を図ることができる。
【0117】
さらにまた、配置空間12を挟んだ反対側に一つずつの第1のシール部材15(第1のシール部材15A、第1のシール部材15B)と第2のシール部材20(第2のシール部材20A、第2のシール部材20B)が位置された上で、配置空間12を挟んだ反対側のうちの一方又は双方に特許文献1に記載されたようなシール部材の一部が内輪又は外輪の外面に押し付けられた構造が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0118】
100 破砕機(構造体)
101 本体(可動部)
102 ブラケット(固定部)
1 ベアリング装置
2 外輪
3 内輪
4 ベアリング球
7 外輪取付溝(外輪溝)
8 外輪挿入溝(外輪溝)
8a 外輪側外面
8b 外輪側内面
10 内輪取付溝(内輪溝)
11 内輪挿入溝(内輪溝)
11a 内輪側外面
11b 内輪側内面
12 配置空間
15 第1のシール部材
16 第1の被取付部
17 第1の被挿入部
20 第2のシール部材
21 第2の被取付部
22 第2の被挿入部
15A 第1のシール部材
16 第1の被取付部
17A 第1の被挿入部
15B 第1のシール部材
16 第1の被取付部
17B 第1の被挿入部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、
前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、
前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、
前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、
厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な第1のシール部材と弾性変形可能な第2のシール部材とが位置され、
前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、
前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられ、
前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、
前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの対向する面を有し、
前記第1のシール部材と前記第2のシール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置された
ベアリング装置。
【請求項2】
前記第1のシール部材は前記第1の被取付部が前記外輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第1の被挿入部が前記内輪溝に挿入され、
前記第2のシール部材は前記第2の被取付部が前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第2の被挿入部が前記外輪溝に挿入された
請求項1に記載のベアリング装置。
【請求項3】
前記第1の被取付部が挿入される前記外輪溝が外輪取付溝として形成され、
前記第1の被挿入部が挿入される前記内輪溝が内輪挿入溝として形成され、
前記第2の被取付部が挿入される前記内輪溝が内輪取付溝として形成され、
前記第2の被挿入部が挿入される前記外輪溝が外輪挿入溝として形成され、
前記外輪挿入溝を形成する面のうち前記配置空間と反対側の面が外輪側外面として形成され前記配置空間側の面が外輪側内面として形成され、
前記内輪挿入溝を形成する面のうち前記配置空間と反対側の面が内輪側外面として形成され前記配置空間側の面が内輪側内面として形成され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側外面又は前記内輪側内面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側外面又は前記外輪側内面に密着された
請求項2に記載のベアリング装置。
【請求項4】
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側外面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側外面に密着された
請求項3に記載のベアリング装置。
【請求項5】
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側内面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側内面に密着された
請求項3に記載のベアリング装置。
【請求項6】
前記外輪の厚み方向における両側の外面と前記内輪の厚み方向における両側の外面とがそれぞれ同一平面上に位置された
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載のベアリング装置。
【請求項7】
固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、
前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、
前記外輪には前記内輪側に開口された環状の外輪溝が形成され、
前記内輪には前記外輪側に開口された環状の内輪溝が形成され、
前記外輪又は前記内輪に弾性変形可能なシール部材が取り付けられ、
前記シール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝の一方に挿入された状態で取り付けられる被取付部と前記外輪溝又は前記内輪溝の他方に挿入される被挿入部とが設けられ、
前記被挿入部が挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、
前記被挿入部が挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの対向する面を有し、
前記シール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置された
ベアリング装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係るベアリング装置は、固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な第1のシール部材と弾性変形可能な第2のシール部材とが位置され、前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられ、前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの対向する面を有し、前記第1のシール部材と前記第2のシール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置されたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
別の本発明に係るベアリング装置は、固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、前記外輪には前記内輪側に開口された環状の外輪溝が形成され、前記内輪には前記外輪側に開口された環状の内輪溝が形成され、前記外輪又は前記内輪に弾性変形可能なシール部材が取り付けられ、前記シール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝の一方に挿入された状態で取り付けられる被取付部と前記外輪溝又は前記内輪溝の他方に挿入される被挿入部とが設けられ、前記被挿入部が挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、前記被挿入部が挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの対向する面を有し、前記シール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置されたものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
外輪2には外周面に開口された凹部2dが形成され、凹部2dには図示しないグリス充填孔が連通されている。グリス充填孔は、グリスの充填前と充填後にはグリスニップル6によって閉塞され、グリスの充填時にグリスニップル6が外輪2から取り外されることにより開放される。グリスニップル6はグリス充填孔を閉塞した状態において、外輪2の外周面から外方に突出されずグリス充填孔から外方に突出された部分が凹部2dに位置される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、
前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、
前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、
前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、
厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な環状の第1のシール部材と弾性変形可能な環状の第2のシール部材とが位置され、
前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、
前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられ、
前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、
前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの平行な面を有し、
前記第1の被取付部と前記第2の被取付部がそれぞれ挿入される前記外輪溝又は前記内輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの平行な面を有し、
前記第1のシール部材と前記第2のシール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置され、
前記第1の被挿入部は前記第1の被取付部から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、
前記第1の被挿入部は前記第1の被取付部に対して厚み方向において屈曲されると共に前記第1の被取付部に対して弾性変形可能にされ、
前記第1の被取付部の厚み方向における一方の面に前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入されたときに一方の前記平行な面に接した状態で押し潰される凹凸部が形成され、
前記第1の被取付部に形成された前記凹凸部の凹と凸の並ぶ方向が前記第1のシール部材の径方向にされ、
前記第1の被取付部と前記第1の被挿入部の境界部分は厚み方向における一方の面が凸状の曲面として形成され厚み方向における他方の面が凹状の曲面として形成され、
前記第2の被挿入部は前記第2の被取付部から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、
前記第2の被挿入部は前記第2の被取付部に対して厚み方向において屈曲されると共に前記第2の被取付部に対して弾性変形可能にされ、
前記第2の被取付部の厚み方向における一方の面に前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入されたときに一方の前記平行な面に接した状態で押し潰される凹凸部が形成され、
前記第2の被取付部に形成された前記凹凸部の凹と凸の並ぶ方向が前記第2のシール部材の径方向にされ、
前記第2の被取付部と前記第2の被挿入部の境界部分は厚み方向における一方の面が凸状の曲面として形成され厚み方向における他方の面が凹状の曲面として形成され、
前記第1の被挿入部が前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する一方の前記平行な面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する一方の前記平行な面に密着された
ベアリング装置。
【請求項2】
前記第1のシール部材は前記第1の被取付部が前記外輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第1の被挿入部が前記内輪溝に挿入され、
前記第2のシール部材は前記第2の被取付部が前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられ前記第2の被挿入部が前記外輪溝に挿入された
請求項1に記載のベアリング装置。
【請求項3】
前記第1の被取付部が挿入される前記外輪溝が外輪取付溝として形成され、
前記第1の被挿入部が挿入される前記内輪溝が内輪挿入溝として形成され、
前記第2の被取付部が挿入される前記内輪溝が内輪取付溝として形成され、
前記第2の被挿入部が挿入される前記外輪溝が外輪挿入溝として形成され、
前記外輪挿入溝を形成する前記平行な面のうち前記配置空間と反対側の面が外輪側外面として形成され前記配置空間側の面が外輪側内面として形成され、
前記内輪挿入溝を形成する前記平行な面のうち前記配置空間と反対側の面が内輪側外面として形成され前記配置空間側の面が内輪側内面として形成され、
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間から離隔する方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側外面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側外面に密着された
請求項2に記載のベアリング装置。
【請求項4】
前記第1の被取付部が挿入される前記外輪溝が外輪取付溝として形成され、
前記第1の被挿入部が挿入される前記内輪溝が内輪挿入溝として形成され、
前記第2の被取付部が挿入される前記内輪溝が内輪取付溝として形成され、
前記第2の被挿入部が挿入される前記外輪溝が外輪挿入溝として形成され、
前記外輪挿入溝を形成する前記平行な面のうち前記配置空間と反対側の面が外輪側外面として形成され前記配置空間側の面が外輪側内面として形成され、
前記内輪挿入溝を形成する前記平行な面のうち前記配置空間と反対側の面が内輪側外面として形成され前記配置空間側の面が内輪側内面として形成され、
前記第1のシール部材は前記第1の被挿入部が前記第1の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第2のシール部材は前記第2の被挿入部が前記第2の被取付部に対して前記配置空間に近付く方向に屈曲され、
前記第1の被挿入部が前記内輪側内面に密着され、
前記第2の被挿入部が前記外輪側内面に密着された
請求項2に記載のベアリング装置。
【請求項5】
前記外輪の厚み方向における両側の外面と前記内輪の厚み方向における両側の外面とがそれぞれ同一平面上に位置された
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のベアリング装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係るベアリング装置は、固定部に対して可動部が回転される構造体に用いられると共に外輪又は内輪の一方が固定輪として前記固定部に取り付けられ他方が回転輪として前記可動部に取り付けられ前記外輪と前記内輪の間に複数のベアリング球が配置される配置空間が形成されたベアリング装置であって、前記外輪と前記内輪は回転軸の軸方向が厚み方向にされ、前記外輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記内輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の外輪溝が形成され、前記内輪には厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にそれぞれ前記外輪側に開口された少なくとも一つずつの環状の内輪溝が形成され、厚み方向において前記配置空間を挟んだ反対側にはそれぞれ少なくとも一つずつの弾性変形可能な環状の第1のシール部材と弾性変形可能な環状の第2のシール部材とが位置され、前記第1のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第1の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第1の被挿入部とが設けられ、前記第2のシール部材には前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入された状態で取り付けられる第2の被取付部と前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入される第2の被挿入部とが設けられ、前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝が前記内輪の外周面のみ又は前記外輪の内周面のみに開口され、前記第1の被挿入部と前記第2の被挿入部がそれぞれ挿入される前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの平行な面を有し、前記第1の被取付部と前記第2の被取付部がそれぞれ挿入される前記外輪溝又は前記内輪溝を形成する面として厚み方向において対向し溝の深さ方向における寸法が同じにされた二つの平行な面を有し、前記第1のシール部材と前記第2のシール部材が前記外輪の厚み方向における外面と前記内輪の厚み方向における外面より内側に位置され、前記第1の被挿入部は前記第1の被取付部から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、前記第1の被挿入部は前記第1の被取付部に対して厚み方向において屈曲されると共に前記第1の被取付部に対して弾性変形可能にされ、前記第1の被取付部の厚み方向における一方の面に前記外輪溝又は前記内輪溝に挿入されたときに一方の前記平行な面に接した状態で押し潰される凹凸部が形成され、前記第1の被取付部に形成された前記凹凸部の凹と凸の並ぶ方向が前記第1のシール部材の径方向にされ、前記第1の被取付部と前記第1の被挿入部の境界部分は厚み方向における一方の面が凸状の曲面として形成され厚み方向における他方の面が凹状の曲面として形成され、前記第2の被挿入部は前記第2の被取付部から離隔するに従って厚みが小さくなる形状に形成され、前記第2の被挿入部は前記第2の被取付部に対して厚み方向において屈曲されると共に前記第2の被取付部に対して弾性変形可能にされ、前記第2の被取付部の厚み方向における一方の面に前記内輪溝又は前記外輪溝に挿入されたときに一方の前記平行な面に接した状態で押し潰される凹凸部が形成され、前記第2の被取付部に形成された前記凹凸部の凹と凸の並ぶ方向が前記第2のシール部材の径方向にされ、前記第2の被取付部と前記第2の被挿入部の境界部分は厚み方向における一方の面が凸状の曲面として形成され厚み方向における他方の面が凹状の曲面として形成され、前記第1の被挿入部が前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する一方の前記平行な面に密着され、前記第2の被挿入部が前記内輪溝又は前記外輪溝を形成する一方の前記平行な面に密着されたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】