(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016533
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ウェビング巻取装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/46 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B60R22/46 128
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118736
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土本 和輝
(72)【発明者】
【氏名】米野 史一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 望
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018MA02
(57)【要約】
【課題】回転部材に連絡部材を良好に巻取る。
【解決手段】ウェビング巻取装置10では、ピストン42が下側に移動されて、ピニオン34が巻取方向に回転される。これにより、ウェビング20がスプール18に巻取られて、ショルダウェビング20Aによる乗員の拘束力が増加される。さらに、ピニオン34にワイヤ44が巻取られて、ラップウェビング20Bによる乗員の拘束力が増加される。ここで、プーリ46がワイヤ44をピニオン34に案内する。このため、ピニオン34にワイヤ44を良好に巻取ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員に装着される第1ウェビングが連絡され、巻取方向に回転されて第1ウェビングが巻取られるスプールと、
回転されることで前記スプールが巻取方向に回転される回転部材と、
乗員に装着される第2ウェビングと前記回転部材とを連絡し、前記回転部材が回転されることで前記回転部材に巻取られる連絡部材と、
前記連絡部材を前記回転部材に案内する案内部と、
を備えるウェビング巻取装置。
【請求項2】
前記案内部が回転可能にされる請求項1記載のウェビング巻取装置。
【請求項3】
前記回転部材の回転軸方向と前記案内部の回転軸方向とが平行にされる請求項2記載のウェビング巻取装置。
【請求項4】
前記案内部が前記回転部材の回転軸方向への前記連絡部材の移動を制限する請求項1記載のウェビング巻取装置。
【請求項5】
前記案内部が前記連絡部材の延在方向を前記回転部材の回転軸方向において変更する請求項1記載のウェビング巻取装置。
【請求項6】
前記連絡部材の前記案内部による曲がり部分の内角が90°以上にされる請求項1記載のウェビング巻取装置。
【請求項7】
前記回転部材と前記案内部とがユニット化される請求項1記載のウェビング巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材が回転されてスプールが巻取方向に回転されるウェビング巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のリトラクタでは、スプールにウェビングの一端が連絡されており、ドライブホイールが回転されることで、スプールが回転されて、スプールにウェビングが巻取られる。さらに、ドライブホイールとウェビングの他端とをケーブルが連絡しており、ドライブホイールが回転されることで、ドライブホイールにケーブルが巻取られる。
【0003】
ここで、このようなリトラクタでは、ドライブホイールにケーブルを良好に巻取ることができるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1686023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、回転部材に連絡部材を良好に巻取ることができるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のウェビング巻取装置は、乗員に装着される第1ウェビングが連絡され、巻取方向に回転されて第1ウェビングが巻取られるスプールと、回転されることで前記スプールが巻取方向に回転される回転部材と、乗員に装着される第2ウェビングと前記回転部材とを連絡し、前記回転部材が回転されることで前記回転部材に巻取られる連絡部材と、前記連絡部材を前記回転部材に案内する案内部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1態様のウェビング巻取装置において、前記案内部が回転可能にされる。
【0008】
本発明の第3態様のウェビング巻取装置は、本発明の第2態様のウェビング巻取装置において、前記回転部材の回転軸方向と前記案内部の回転軸方向とが平行にされる。
【0009】
本発明の第4態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのウェビング巻取装置において、前記案内部が前記回転部材の回転軸方向への前記連絡部材の移動を制限する。
【0010】
本発明の第5態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのウェビング巻取装置において、前記案内部が前記連絡部材の延在方向を前記回転部材の回転軸方向において変更する。
【0011】
本発明の第6態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのウェビング巻取装置において、前記連絡部材の前記案内部による曲がり部分の内角が90°以上にされる。
【0012】
本発明の第7態様のウェビング巻取装置は、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのウェビング巻取装置において、前記回転部材と前記案内部とがユニット化される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1態様のウェビング巻取装置では、乗員に装着される第1ウェビングがスプールに連絡されており、回転部材が回転されることで、スプールが巻取方向に回転されて、スプールに第1ウェビングが巻取られる。さらに、乗員に装着される第2ウェビングと回転部材とを連絡部材が連絡しており、回転部材が回転されることで、回転部材に連絡部材が巻取られる。
【0014】
ここで、案内部が連絡部材を回転部材に案内する。このため、回転部材に連絡部材を良好に巻取ることができる。
【0015】
本発明の第2態様のウェビング巻取装置では、案内部が回転可能にされる。このため、案内部が連絡部材を回転部材に良好に案内できる。
【0016】
本発明の第3態様のウェビング巻取装置では、回転部材の回転軸方向と案内部の回転軸方向とが平行にされる。このため、案内部が連絡部材を回転部材に良好に案内できる。
【0017】
本発明の第4態様のウェビング巻取装置では、案内部が回転部材の回転軸方向への連絡部材の移動を制限する。このため、案内部が連絡部材を回転部材に良好に案内できる。
【0018】
本発明の第5態様のウェビング巻取装置では、案内部が連絡部材の延在方向を回転部材の回転軸方向において変更する。このため、連絡部材の案内部より第2ウェビング側の部分の配置位置の自由度を大きくできる。
【0019】
本発明の第6態様のウェビング巻取装置では、連絡部材の案内部による曲がり部分の内角が90°以上にされる。このため、案内部が連絡部材を回転部材に良好に案内できる。
【0020】
本発明の第7態様のウェビング巻取装置では、回転部材と案内部とがユニット化される。このため、構成を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置を示す図であり、(A)は、背面図であり、(B)は、側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置が適用されたシートベルト装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1(A)には、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置10が背面図にて示されており、
図1(B)には、ウェビング巻取装置10が側面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外側(車両左方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0023】
本実施形態に係るウェビング巻取装置10は、車両(自動車)のシートベルト装置12(
図2参照)を構成している。シートベルト装置12は、車室内のシート14に適用されており、ウェビング巻取装置10は、シート14後部の車幅方向外側かつ下側における車両のセンタピラーに設置されている。
【0024】
図1の(A)及び(B)に示す如く、ウェビング巻取装置10には、設置体としての金属製で断面U字形板状のフレーム16が設けられており、ウェビング巻取装置10は、フレーム16において、車両に設置されている。フレーム16の車幅方向内側には、背板16Aが設けられると共に、フレーム16の車両前側及び車両後側には、それぞれ側板16B及び側板16Cが設けられており、側板16B及び側板16Cは、背板16Aから車幅方向外側に延出されている。
【0025】
フレーム16内には、金属製で略円筒状のスプール18が設けられており、スプール18は、フレーム16の側板16Bと側板16Cとの間に回転可能に支持されている。スプール18には、長尺帯状のウェビング20が基端側(長手方向基端側)から巻取られており、スプール18が巻取方向(
図1(B)の矢印Aの方向)に回転されて、ウェビング20がスプール18に巻取られると共に、ウェビング20がスプール18から引出されて、スプール18が引出方向(
図1(B)の矢印Bの方向)に回転される。フレーム16には、付勢機構(図示省略)が設けられており、付勢機構は、スプール18を巻取方向に付勢して、ウェビング20にスプール18側への付勢力を作用させている。フレーム16には、ロック機構が設けられており、車両の緊急時(衝突時等)には、ロック機構が、スプール18の引出方向への回転をロックして、ウェビング20のスプール18からの引出しをロックする。
【0026】
シートベルト装置12(
図2参照)では、ウェビング20が、スプール18よりも先端側(長手方向先端側)において、金属製のスルーアンカ(図示省略)に移動可能に貫通されており、スルーアンカは、シート14後部の車幅方向外側かつ上側に設置されている。ウェビング20の先端部には、金属製で板状のアンカ22が連結されており、アンカ22は、シート14後部の車幅方向外側かつ下側に設置されている。ウェビング20は、スルーアンカとアンカ22との間において、金属製のタング24に移動可能に貫通されている。
【0027】
シート14後部の車幅方向内側かつ下側には、バックル26が設置されている。バックル26には、タング24が着脱可能にされており、バックル26にタング24が装着されて、シート14に着座した乗員28にウェビング20が装着される。ウェビング20のタング24より基端側は、第1ウェビングとしてのショルダウェビング20Aにされており、ショルダウェビング20Aは、スルーアンカとタング24との間の部分において、乗員28の肩部から腰部に斜め方向に掛渡される。ウェビング20のタング24より先端側は、第2ウェビングとしてのラップウェビング20Bにされており、ラップウェビング20Bは、乗員28の腰部に横方向に掛渡される。
【0028】
ウェビング巻取装置10には、フレーム16の車両前側において、プリテンショナ機構30が設けられている。
【0029】
プリテンショナ機構30には、支持体としての金属製で直方体形箱状のカバープレート32が設けられており、カバープレート32は、内部が車両後側に開放されると共に、フレーム16の側板16Bに固定されている。
【0030】
カバープレート32内には、回転部材としての金属製で略円柱状のピニオン34が設けられており、ピニオン34は、スプール18と同軸上に配置されると共に、車両後側部分にギヤ34Aが同軸上に形成されている。ピニオン34は、スプール18に回転可能に支持されており、ピニオン34の回転は、係止されている。ピニオン34の車両前側部分には、円柱状の巻取部34Bが同軸上に形成されており、巻取部34Bは、ピニオン34の巻取部34Bより車両前側及び車両後側の部分に対し縮径されると共に、径がスプール18のウェビング20巻取部分の径に比し小さくされている。
【0031】
スプール18とピニオン34との間には、連結部材としての金属製のクラッチ36が設けられており、クラッチ36は、スプール18とピニオン34とを連結せずに、スプール18のピニオン34に対する回転を許可している。
【0032】
ピニオン34の上側には、案内部材としての金属製で円筒状のシリンダ38が設けられており、シリンダ38の軸方向は、上下方向に平行にされている。シリンダ38は、カバープレート32の上壁を貫通しており、シリンダ38は、カバープレート32とフレーム16の側板16Bとの間に固定されている。シリンダ38の基端部(上端部)には、ガス供給機構としてのガスジェネレータ40(マイクロガスジェネレータ)が固定されており、車両の緊急時(衝突時等)には、ガスジェネレータ40がシリンダ38内に高圧のガスを瞬時に供給する。
【0033】
シリンダ38内には、移動部材としての金属製で柱状のピストン42が設けられており、ピストン42は、基端部(上端部)がシリンダ38内に嵌合されて、下側に移動可能にされている。ピストン42の基端部以外の部分は、ラック42Aにされており、ラック42Aがピニオン34のギヤ34Aに噛合されて、ピストン42の下側への移動が制限されている。
【0034】
ピニオン34の巻取部34Bには、連絡部材としての金属製のワイヤ44の基端部が結合されており、ワイヤ44は、巻取部34Bから下側に延出されて、カバープレート32の車幅方向内側壁(側壁)を貫通している。ワイヤ44の先端部は、アンカ22に結合されており、これにより、アンカ22が車両に設置されると共に、ワイヤ44がピニオン34とウェビング20の先端部とを連絡している。
【0035】
ピニオン34の下側には、案内部としての金属製で略円柱状のプーリ46が設けられており、プーリ46は、カバープレート32の底壁(車両前側壁)とフレーム16の側板16Bとの間にボルト及びナット(図示省略)によって取付けられている。プーリ46は、ボルトが同軸上に貫通されて、ボルトを中心軸として回転可能にされており、プーリ46の軸方向(回転軸方向)は、ピニオン34の軸方向(回転軸方向)と平行にされている。プーリ46の軸方向中間部には、略円柱状の配置部46Aが同軸上に形成されており、配置部46Aは、ピニオン34の巻取部34Bの下方に配置されている。配置部46Aの下側には、ワイヤ44が巻掛けられており、ワイヤ44の配置部46Aによる曲がり部分の内角は、90°以上(本実施形態では90°より僅かに大きい角度)にされている。プーリ46の配置部46Aより車両前側及び車両後側には、制限部としての略円錐台状の傾斜部46Bが同軸上に形成されており、傾斜部46Bの径が配置部46Aから離間されるに従い徐々に大きくされて、ワイヤ44の配置部46Aから傾斜部46Bへの移動が傾斜部46Bによって制限されている。ワイヤ44のプーリ46よりピニオン34側の部分では、ワイヤ44の延在方向がピニオン34の軸方向(車両前後方向)に対し垂直されており、ワイヤ44のプーリ46よりアンカ22側の部分では、ワイヤ44の延在方向がピニオン34の軸方向に対し傾斜されている。このため、プーリ46がワイヤ44の延在方向をピニオン34の軸方向において変更している。
【0036】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0037】
以上の構成のシートベルト装置12では、バックル26にタング24が装着されて、乗員28にウェビング20が装着される。このため、ウェビング20のショルダウェビング20Aが乗員28の肩部から腰部に斜め方向に掛渡されると共に、ウェビング20のラップウェビング20Bが乗員28の腰部に横方向に掛渡される。また、ウェビング巻取装置10の付勢機構がスプール18を巻取方向に付勢して、ウェビング20にスプール18側への付勢力が作用される。このため、ウェビング20の弛みが除去されると共に、アンカ22とピニオン34との間でワイヤ44が伸張される。
【0038】
車両の緊急時には、ウェビング巻取装置10のロック機構がスプール18の引出方向への回転をロックして、ウェビング20のスプール18からの引出しがロックされる。このため、ウェビング20によって乗員28が拘束される。
【0039】
さらに、車両の緊急時には、ウェビング巻取装置10のプリテンショナ機構30において、ガスジェネレータ40がシリンダ38内に高圧のガスを瞬時に供給することで、当該ガスの圧力によりピストン42に下側への移動力が作用されて、ピストン42のラック42Aがピニオン34のギヤ34Aに巻取方向への回転力を作用させる。このため、ピニオン34の回転係止が解除されることで、ピストン42(ラック42A)が下側に移動されて、ピニオン34(ギヤ34A)が巻取方向に回転される。
【0040】
そして、ピニオン34が巻取方向に回転されることで、クラッチ36がスプール18とピニオン34とを連結して、スプール18がピニオン34及びクラッチ36と一体に巻取方向に回転される。このため、ウェビング20がスプール18に巻取られて、ショルダウェビング20Aによる乗員28の拘束力が増加される。
【0041】
しかも、ピニオン34が巻取方向に回転されることで、ピニオン34の巻取部34Bにワイヤ44が巻取られる。このため、ワイヤ44によってアンカ22を介してウェビング20の先端部が引張られて、ラップウェビング20Bによる乗員28の拘束力が増加される。
【0042】
このように、1つのプリテンショナ機構30によって、ショルダウェビング20Aによる乗員28の拘束力が増加されると共に、ラップウェビング20Bによる乗員28の拘束力が増加される。このため、ショルダウェビング20Aによる乗員28の拘束力を増加させる機構とラップウェビング20Bによる乗員28の拘束力を増加させる機構とが別々に設けられる場合に比し、部品点数及び重量が低減されている。
【0043】
ここで、プリテンショナ機構30では、プーリ46(配置部46A)がワイヤ44をピニオン34の巻取部34Bに案内する。このため、巻取部34Bにワイヤ44を良好に巻取ることができ、ラップウェビング20Bによる乗員28の拘束力を良好に増加できる。
【0044】
また、プーリ46が回転可能にされている。このため、ワイヤ44がプーリ46(配置部46A)を通過する際に、プーリ46が回転できて、ワイヤ44のプーリ46に対する摺動を抑制でき、プーリ46がワイヤ44をピニオン34の巻取部34Bに良好に案内できる。
【0045】
しかも、プーリ46(配置部46A)の軸方向とピニオン34(巻取部34B)の軸方向とが平行にされている。このため、ワイヤ44が配置部46Aと巻取部34Bとの間で捩れることを抑制できて、ワイヤ44が配置部46Aと巻取部34Bとの間を良好に通過でき、プーリ46がワイヤ44を巻取部34Bに良好に案内できる。
【0046】
さらに、プーリ46の傾斜部46Bが、ワイヤ44の配置部46Aから傾斜部46Bへの移動を制限して、ピニオン34の軸方向へのワイヤ44の移動を制限する。このため、プーリ46がワイヤ44をピニオン34の巻取部34Bに良好に案内できる。
【0047】
また、ワイヤ44のプーリ46よりピニオン34側の部分では、ワイヤ44の延在方向がピニオン34の軸方向に対し垂直される一方、ワイヤ44のプーリ46よりアンカ22側(ウェビング20先端部側)の部分では、ワイヤ44の延在方向がピニオン34の軸方向に対し傾斜されており、プーリ46がワイヤ44の延在方向をピニオン34の軸方向において変更している。このため、ワイヤ44のプーリ46よりアンカ22側の部分の配置位置の自由度を大きくできて、ウェビング20の先端部の配置位置の自由度を大きくできる。
【0048】
しかも、ワイヤ44のプーリ46(配置部46A)による曲がり角度が90°以上にされる。このため、ワイヤ44が配置部46Aを良好に通過でき、プーリ46がワイヤ44をピニオン34の巻取部34Bに良好に案内できる。しかも、プーリ46にワイヤ44から作用される荷重を小さくでき、プーリ46の強度を低下させることができて、プーリ46を軽量化及び小型化できる。
【0049】
さらに、ピニオン34の巻取部34Bの径を調整することで、巻取部34Bへのワイヤ44の巻取量を調整できて、ウェビング20の先端部の引張量を調整できる。
【0050】
また、ピニオン34とプーリ46とが、ウェビング巻取装置10に設けられて、ユニット化されている。このため、プーリ46がウェビング巻取装置10とは別に設けられる場合とは異なり、構成を簡単にできる。
【0051】
なお、本実施形態では、ピニオン34の上側にシリンダ38、ガスジェネレータ40及びピストン42が設けられる。しかしながら、ピニオン34の下側にシリンダ38、ガスジェネレータ40及びピストン42が設けられてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、ピニオン34に巻取部34Bが設けられる。しかしながら、クラッチ36(回転部材)に巻取部34Bが設けられてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、プーリ46がボルト及びナットによって取付けられて、プーリ46にボルトが同軸上に貫通されることで、プーリ46がボルトを中心軸として回転可能にされる。しかしながら、プーリ46がリベットによって取付けられて、プーリ46にリベットが同軸上に貫通されることで、プーリ46がリベットを中心軸として回転可能にされてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、プーリ46の配置部46A両側に傾斜部46Bが設けられる。しかしながら、プーリ46の配置部46A両側に円柱状の円柱部(制限部)が設けられてもよく、この場合、円柱部の径が配置部46Aの径に比し大きくされる。
【0055】
さらに、本実施形態では、プーリ46(案内部)がワイヤ44を案内する。しかしながら、案内部が回転不能にされてもよく、例えば、カバープレート32(例えば下壁)又はフレーム16の側板16Bに設けられる貫通孔(案内部)にワイヤ44が貫通されて、貫通孔の周面がワイヤ44を案内してもよい。この場合、案内部の長手方向がピニオン34(巻取部34B)の軸方向と平行にされてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、金属製のピストン42(ラック42A)がピニオン34のギヤ34Aを回転させる。しかしながら、ピストン42が樹脂製にされてもよく、この場合、ピストン42が移動されつつピストン42にピニオン34のギヤ34Aが食込んでピニオン34が回転されてもよい。さらに、ピストン42が複数の球体にされてもよく、この場合、複数の球体が移動されつつピニオン34のギヤ34Aの歯間に球体が侵入してピニオン34が回転されてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、フレーム16の車両前側にプリテンショナ機構30が設けられる。しかしながら、フレーム16の車両後側にプリテンショナ機構30が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10・・・ウェビング巻取装置、18・・・スプール、20・・・ウェビング、20A・・・ショルダウェビング(第1ウェビング)、20B・・・ラップウェビング(第2ウェビング)、28・・・乗員、34・・・ピニオン(回転部材)、44・・・ワイヤ(連絡部材)、46・・・プーリ(案内部)