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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165348
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】流体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/18 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B28B11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081473
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 智貴
(72)【発明者】
【氏名】大金 誠
(72)【発明者】
【氏名】望月 康宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 祥太
【テーマコード(参考)】
4G055
【Fターム(参考)】
4G055AA08
(57)【要約】
【課題】バリの発生が抑制された、貫通孔を有する成形品を含む流体取扱装置を提供すること。
【解決手段】第1貫通孔を含む第1成形品を有する流体取扱装置であって、前記第1貫通孔の内周面において前記第1貫通孔の周方向に延在するバリ抑制部を有する、流体取扱装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔を含む第1成形品を有する流体取扱装置であって、
前記第1貫通孔の内周面において前記第1貫通孔の周方向に延在するバリ抑制部を有する、
流体取扱装置。
【請求項2】
前記バリ抑制部は、前記第1貫通孔の開口部から離間して配置されている、請求項1に記載の流体取扱装置。
【請求項3】
前記バリ抑制部は、前記第1貫通孔の周方向に全周に亘って延在する、請求項1に記載の流体取扱装置。
【請求項4】
前記第1成形品に接合された第2部材をさらに有し、
前記第1貫通孔の一方の開口部は、前記第2部材によって塞がれている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の流体取扱装置。
【請求項5】
前記第1成形品に接合された、第2貫通孔を含む第2成形品をさらに有し、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、連通している、
請求項1~3のいずれか一項に記載の流体取扱装置。
【請求項6】
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、位置決め孔である、請求項5に記載の流体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通孔を有する成形品を含む流体取扱装置が知られている。成形品に形成された貫通孔は様々な目的のために使われ得る。例えば、貫通孔は、その開口部が塞がれて液体が流れる流路として使われたり、液体を収容するための収容部として使われたりする。また、貫通孔に位置決めピンを挿入して位置決めをするために使われたりする。
【0003】
たとえば、特許文献1は、このような貫通孔を有する部材が組み合わされて形成されたマイクロ流路シートを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/088913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、貫通孔を有する成形品の成型方法の一態様を模式的に示す断面図である。図1の下図に示されるように、貫通孔41を含む成形品40を成形するためには、まず、図1の上図に示されるように、第1型10および第2型20により形成されたキャビティにおいて、第2型20を貫通させたピン30を第1型10に突き当てるようにして成形型を準備する。次に、図1の中央図に示されるように、第1型10と、第2型20と、ピン30とによって形成された成形型内のキャビティに成形材料を流し込む。次に、図1の下図に示されるように、型を開いて貫通孔41が形成された成形品40を取り出す。
【0006】
ここで、第1型10と、ピン30との間に成形材料が入り込むんでしまうことで、図1の下図に示されるように、貫通孔41の内周面から突出したバリ42が発生してしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、バリの発生が抑制された、貫通孔を有する成形品を含む流体取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の流体取扱装置に関する。
[1] 第1貫通孔を含む第1成形品を有する流体取扱装置であって、前記第1貫通孔の内周面において前記第1貫通孔の周方向に延在するバリ抑制部を有する、流体取扱装置。
[2] 前記バリ抑制部は、前記第1貫通孔の開口部から離間して配置されている、[1]に記載の流体取扱装置。
[3] 前記バリ抑制部は、前記第1貫通孔の周方向に全周に亘って延在する、[1]または[2]に記載の流体取扱装置。
[4] 前記第1成形品に接合された第2部材をさらに有し、前記第1貫通孔の一方の開口部は、前記第2部材によって塞がれている、[1]~[3]のいずれかに記載の流体取扱装置。
[5] 前記第1成形品に接合された、第2貫通孔を含む第2成形品をさらに有し、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、連通している、[1]~[3]のいずれかに記載の流体取扱装置。
[6] 前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、位置決め孔である、[5]に記載の流体取扱装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バリの発生が抑制された、貫通孔を有する成形品を含む流体取扱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、貫通孔を有する成形品を成形する際の問題点を説明するための断面図である。
図2図2は、本実施の形態に係る流体取扱装置の貫通孔を成形する際の態様を示す断面図である。
図3図3A~Dは、本実施の形態に係る流体取扱装置を示す図である。
図4図4A~Dは、第1成形品を示す図である。
図5図5A~Dは、第2成形品を示す図である。
図6図6Aは、貫通孔を有する成形品を位置決めする際の態様を示す断面図であり、図6Bは、位置決めされた後の態様を示す平面図である。
図7図7は、変形例に係る流体取扱装置の貫通孔を成形する際の態様を示す断面図である。
図8図8A~Dは、変形例に係る流体取扱装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[実施の形態]
(貫通孔含む成形品の成形)
図2は、バリの発生が抑制された、本発明の実施の形態に係る流体取扱装置の貫通孔の形成方法の一態様を示す図である。
本実施の形態においては、図2の上図に示されるように、まず、第1型100および第2型200により形成されたキャビティにおいて、第2型200を貫通させたピン300を第1型100に突き当てるようにして成形型を準備する。ここでピン300は、第1型100に突き当たる側の一端に切り欠き状のバリ抑制凹部310を有する。
次に、図2の中央図に示されるように、成形材料をキャビティ内に流し込む。すると成形材料はバリ抑制凹部310と第1型100とによって形成されたキャビティ内に入り込む。ここで当該キャビティ内に入り込んだ成形材料は、その熱がピン300や第1型100に速く奪われやすいため速く硬化する。このため、第1型100と、ピン300との間に成形材料が入ることが抑制されて、バリの発生が抑制される。
次に、図2の下図に示されるように、型を開いて貫通孔410が形成された成形品400を型から取り出す。成形品400は、バリ抑制凹部310と第1型10とによって形成されたキャビティに相補的なバリ抑制部420を有する。バリ抑制部420を有する成形品400の貫通孔410は、バリの発生が抑制されている。なお、成形材料の例には、樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、ガラスなどが含まれる。
【0013】
(流体取扱装置)
図3Aは、上記のような貫通孔410を有する本発明の実施の形態に係る流体取扱装置500の平面図を示す。図3Bは、図3AのB-B線に沿う貫通孔410の断面図を示し、図3Cは、図3AのC-C線に沿う貫通孔410の断面図を示し、図3Dは、図3AのD-D線に沿う貫通孔410断面図を示す。
流体取扱装置500は、図4Aに示される第1成形品510と、図5Aに示される第2成形品520とを有する。具体的には、流体取扱装置500において、第1成形品510と第2成形品520とは積層(接合)されている。
なお、図4Aは、第1成形品510の平面図を示し、図4Bは、図4AのB-B線に沿う貫通孔410の断面図を示し、図4Cは、図4AのC-C線に沿う断面図を示し、図4Dは、図4AのD-D線に沿う貫通孔410の断面図を示す。
同様に、図5Aは、第2成形品520の平面図を示し、図5Bは、図5AのB-B線に沿う貫通孔410の断面図を示し、図5Cは、図5AのC-C線に沿う貫通孔410の断面図を示し、図5Dは、図5AのD-D線に沿う貫通孔410の断面図を示す。
【0014】
図3B、Dに示されるように流体取扱装置500において、第1成形品510の貫通孔410と第2成形品520の貫通孔410とは連通するようにしてもよい。このように連通した2つの貫通孔には、例えば、位置決め部材が挿入されて位置決めするための位置決め孔として使用され得る。また、貫通孔410は連通させずに単独で、位置決め孔として使用されてもよい。
【0015】
また、図3Cに示されるように、流体取扱装置500において、貫通孔410は少なくとも一方の開口部が、別の部材によって塞がれていてもよい。別の部材(第2部材)の例には、成形品、フィルムなどが含まれる。少なくとも一方の開口部が塞がれた貫通孔410は、例えば、流体(例えば、液体、気体など)の収容部や流路として使用され得る。
【0016】
本実施の形態において、第1成形品の貫通孔410と第2成形品520の貫通孔410とは、バリ抑制部420に近い開口部側で連通するようにすることが好ましい。また、貫通孔410は、バリ抑制部420に近い側の開口部側が別の部材で塞がれたりすることが好ましい。上述のように、本実施の形態において、バリ抑制部420に近い側の開口部は、バリの発生が抑制され、バリにより貫通孔の内径が変わって位置決めピンが入らなくなったり、バリ脱落による異物付着・流路内へのバリ脱落による流路詰まりが抑制される。そのため、成形品の当該開口部側は、貫通孔を連通させたり、貫通孔を塞いだりなど、他の部材と組み合わせる側として優れている。
【0017】
バリ抑制部420の形状は、バリの発生を抑制するように、成形型のキャビティを設計した結果生じた形状であれば特に制限されない。本実施の形態において、バリ抑制部を貫通孔410の中心軸を含む断面でみたときの形状は、貫通孔410の内周面から貫通孔410の中心に向かって突出する形状(例えば、突出する矩形状)である。
【0018】
バリ抑制部420は、成形品の外表面と同一平面上にある部分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。すなわち、バリ抑制部は、成形品の外表面に開口する貫通孔の開口部から離間していなくても離間していてもよい。本実施の形態においては、バリ抑制部420は、図4B、D、図5B~Dに示されるように、成形品の外表面と同一平面上にある部分を含み、開口部から離間していない。すなわち、本実施の形態において、バリ抑制部420は、成形品の外表面に開口する貫通孔410の開口部を狭くするように突出している。
【0019】
バリ抑制部420の大きさは、バリ抑制効果を有するように適宜設計されればよい。バリは、成形材料の種類、成形型に流し込まれる成形材料の温度や粘度、成形材料を型に流し込むときの圧力、第1型100と、第1型100に突き当てられたピン300との間の隙間の大きさなどに応じて発生すると考えられる。したがって、バリ抑制部420は、これらに応じて適宜設計されればよい。
【0020】
本実施の形態においては、バリ抑制部420の突出する方向の長さは、貫通孔の直径の5~25%(例えば、貫通孔の直径が1~10mmのとき、0.05~2.5mm程度、好ましくは0.1~2mm)程度であり、バリ抑制部の厚さ(貫通孔の軸方向の長さ)はバリ抑制部の突出方向の長さの1/2~2倍(例えば、0.1~2mm)程度である。また、本実施の形態において、バリ抑制部の厚さは略一定である。また、バリ抑制部420の突出する方向の長さと、厚さとの比は、突出する方向の長さを1としたときに、厚さは1/2~2倍程度であることが好ましい。
【0021】
図3B~Dに示されるように、バリ抑制部420は、貫通孔410の内周面において貫通孔410の周方向に延在していれば特に制限されない。バリ抑制部420は、内周面の全周に亘って周方向に延在しても、内周面の一部において周方向に延在してもよい。本実施の形態においては、バリ抑制部420は内周面の全周に亘って周方向に延在している。
【0022】
貫通孔410を平面視したときの形状は特に制限されない。本実施の形態において、貫通孔410を平面視したときの形状は、図3Aに示されるように円形状(例えば真円形状)、または対向する2つ直線および対向する2つの曲線(例えば、円弧、半円など)を有する長円形状である。
【0023】
本実施の形態において、貫通孔410の立体形状は、抜き勾配およびバリ抑制凹部310を有するピン300に相補的な形状部分を有する。すなわち、本実施の形態において、貫通孔410は、図3Bに示されるように、先細るテーパー形状部分411と、テーパー形状部分の先細りの先にあり、テーパー形状部分の最も細い部分より細い、突出したバリ抑制部420に囲まれた第1の部分412とを有する。本実施の形態において、例えば、テーパー形状部分411は円錐台形状であり、バリ抑制部に囲まれた第1の部分412は円柱形状である。
【0024】
本実施の形態において、貫通孔410の軸方向におけるテーパー形状部分411の長さは、例えば、0.5~20mm程度であり、当該軸方向におけるバリ抑制部420に囲まれた第1の部分412の長さは、0.1~2mm程度である。また、当該軸方向において、テーパー形状部分411の長さと、バリ抑制部420に囲まれた第1の部分412の長さとの比は、テーパー形状部分411の長さを1としたときに、第1の部分412は0.01~0.2程度が好ましい。
【0025】
流体取扱装置500または成形品を平面視したときの貫通孔410の配置は特に制限されない。本実施の形態において、貫通孔410は図3A図4A図5Aに示されるように、矩形である流体取扱装置500または成形品の対向する2つの角に、円形状の開口を有する貫通孔410と、長円形状の開口を有する貫通孔410とが配置されている。このように配置された2つの貫通孔410は、流体取扱装置500または第1成形品510、第2成形品520を位置決めする際に利用されうる。
【0026】
図6Aは、第1成形品510が有する貫通孔410に位置決めピン320が挿入されて、第1成形品510が位置決めされている様子を示す断面図である。また、図6Bは、貫通孔410に位置決めピン320が挿入されて第1成形品510が位置決めされた後の様子を示す平面図である。なお、図6Aにおいて、第1成形品510は、貫通孔410以外の構成は省略している。
【0027】
図6Bに示されるように、第1成形品510には、平面視したときに、対向する2つの角に、円形状の開口を有する貫通孔(図6Aの左側の貫通孔)と、長円形状の開口を有する貫通孔(図6Aの右側の貫通孔)とが配置される。図6Aに示されるように、2つの貫通孔410の1つが略長円柱形状であることで、第1成形品510が斜めになった状態でも貫通孔410に位置決めピン320を挿入することが容易になり、第1成形品510を位置決めしやすくなる。
【0028】
図6Bは、貫通孔410が位置決めピン320に挿入されて第1成形品510が位置決めされた後の様子を示す平面図である。図6Bに示されるように、平面視したときに、矩形である第1成形品510の対向する2つの角に配置された、円形状の開口を有する貫通孔410と、長円形状の開口を有する貫通孔410とは、第1成形品510の回転方向のずれを規制できる。具体的には、長円の幅(長円の対向する2つの直線部分)で回転方向のずれを規制でき、位置精度を高くできる。このため図6A、Bに示されるような対向する角に円形状の開口を有する貫通孔410と、長円形状の開口を有する貫通孔410とを有する第1成形品510は、上記のように位置決めしやすくしつつ、2つの円形状の開口を有する貫通孔を有する成形品と同じ位置精度を保つことに有効である。
【0029】
(効果)
本実施の形態に係る流体取扱装置500が有する成形品は、その貫通孔においてバリの発生が抑制されている。そのため、バリにより貫通孔の内径が変わって位置決めピンが入らなくなくなることが抑制される。そのため、流体取扱装置を設計通りの位置に位置させやすくなる。また、バリは成形品の外表面から突出し、当該成形に他の部材を組み合わせて流体取扱装置とする際に設計通りに組み合わされることを阻害することがある。しかし、本実施の形態においては、バリの発生が抑制されているため、流体取扱装置において、設計取りに成形品と他の部材とが組み合われていないことが抑制されている。
【0030】
[変形例]
変形例に係る流体取扱装置は、上記実施の形態に係る流体取扱装置500において起こる可能性のある問題を解決することが期待できるものである。すなわち、上記の実施の形態の流体取扱装置500において、貫通孔410の内周面から突出するバリ抑制部420は、外部から強い力が加えられるような場合、成形品の外表面にめくれ上がる可能性がある。しかし、変形例はこの問題の発生の抑制が期待できる。
【0031】
図7は、変形例に係る流体取扱装置の貫通孔を成形する際の態様を示す図である。変形例において、実施の形態と同様の構成等については同様の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
変形例においては、まず、図7の上図に示されるように、第1型100aおよび第2型200により形成されたキャビティにおいて、第2型200を貫通させたピン300を第1型100aに突き当てるようにして成形型を準備する。ここで第1型100aは、ピン300が突き当たる箇所に、ピン300に向かって突出するランディングパッド110aを有する。
次に、図7の中央図に示されるように、第1型100aと、第2型200と、ピン300とによって形成された成形型内のキャビティに成形材料を流し込む。すると、成形材料は、バリ抑制凹部310とランディングパッド110aとによって形成されたキャビティに入り込む。
次に、図7の下図に示されるように、型を開いて貫通孔410aが形成された成形品400aを取り出す。成形品400aは、バリ抑制凹部310と第1型100aのランディングパッド110aとによって形成されたキャビティに相補的なバリ抑制部420aを有する。このバリ抑制部420aは、貫通孔の内周面から突出しているが、貫通孔410aの開口部からは離間している。このため、外部から強い力が加えられて変形をした場合でも、成形品400aの外表面にバリ抑制部420aが突出することが抑制される。
【0033】
図8Aは、変形例に係る流体取扱装置500aを示す。図8Bは、図8Aの貫通孔410aのB-B線の断面図であり、図8Cは、図8Aの貫通孔410aのC-C線の断面図を示し、図8Dは、図8Aの貫通孔410aのD-D線の断面図である。図8B~Dに示されるように、流体取扱装置500aは、貫通孔410aを含む第1成形品510aと、貫通孔410aを含む第2成形品520aとを有する。実施の形態と同様に、流体取扱装置500aにおいて、第1成形品510aと第2成形品520aとは積層(接合)されている。
【0034】
バリ抑制部420aの位置は、貫通孔410aの開口部から離間していれば特に制限されないが、バリ抑制部420aは、変形しても成形品の表面に突出しないような位置に配置されていることが好ましい。具体的には、バリ抑制部420a(バリ抑制部420aの開口部に近い側の面)は、開口部から、貫通孔の軸方向に0.01~3mm程度離間していることが好ましい。
【0035】
バリ抑制部420aの大きさは、バリ抑制効果を有するように適宜設計されればよい。本変形例においては、バリ抑制部420aの突出する方向の長さは、貫通孔の直径の5~25%(例えば、貫通孔の直径が1~10mmのとき、0.05~2.5mm程度、好ましくは0.1~2mm)程度であり、バリ抑制部420aの厚さ(貫通孔の軸方向の長さ)はバリ抑制部の突出方向の長さの1/2~2倍(例えば、0.1~2mm)程度である。また、本変形例においてバリ抑制部420aの厚さは略一定である。また、バリ抑制部420aの突出する方向の長さと、厚さとの比は、突出する方向の長さを1としたときに厚さは1/2~2倍程度であることが好ましい。また、バリ抑制部420aは、成形品の表面に突出しないようにするという観点から、成形品の開口部(成形品の外表面)とバリ抑制部420aの開口部に近い側の面との間の距離を1としたときに、バリ抑制部420aの突出する方向の長さは0.1~10程度であることが好ましい。
【0036】
本変形例において、バリ抑制部420aを有する貫通孔410aの立体形状は、抜き勾配およびバリ抑制凹部310を有するピン300と、ランディングパッド110aを有する第1型100aに相補的な形状部分を有する。すなわち、本変形例において、貫通孔410aは、図8Bに示されるように、先細るテーパー形状部分411aと、テーパー形状部分411aの先細りの先にあり、テーパー形状部分411aの最も細い部分より細い、突出したバリ抑制部420aに囲まれた第1の部分412aと、ランディングパッド110aに相補的な、バリ抑制部420aに囲まれた第1の部分412aより太い、第2の部分413aとを、この順に有する。本変形例において、例えば、テーパー形状部分411aは、円錐台形状であり、第1の部分412aと第2の部分413aとは円柱形状である。
【0037】
本変形例において、貫通孔410aの軸方向において、テーパー形状部分411aの長さは、例えば、0.5~20mm程度であり、第1の部分412aは0.1~2mm程度であり、第2の部分413aは0.01~1mm程度である。また、当該軸方向において、テーパー形状部分411aの長さを1としたときに、第1の部分412aは0.01~0.2程度であり、第2の部分413aは0.001~0.1程度であることが好ましい。
【0038】
変形例において、上記したバリ抑制部420aおよび貫通孔410aの特徴以外の特徴については、実施の形態と同様でよい。
【0039】
(効果)
変形例に係る流体取扱装置が有する成形品は、実施の形態と同様にバリの発生を抑制する効果を有する。さらに、変形例に係る流体取扱装置が有する成形品は、バリ抑制部が貫通孔の開口部から離間している。そのため、バリ抑制部に外部から強い力が加えられたような場合でも、バリ抑制部が成形品の外表面に突出することが抑制され、成形品を設計通りにより積層させやすい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
上記の流体取扱装置は、バリの影響が抑制されて設計通りの位置に位置決めすることが容易である。そのため、高い位置精度が求められる流体取扱装置の位置決めに有用である。
【符号の説明】
【0041】
10、100、100a 第1型
20、200 第2型
30、300 ピン
40、400、400a 成形品
41、410、410a 貫通孔
42 バリ
110a ランディングパッド
310 バリ抑制凹部
320 位置決めピン
411、411a テーパー形状部分
412、412a 第1の部分
413a 第2の部分
420、420a バリ抑制部
500、500a 流体取扱装置
510、510a 第1成形品
520、520a 第2成形品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8