(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165353
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】給湯機管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20241121BHJP
F24H 15/443 20220101ALI20241121BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20241121BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20241121BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20241121BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20241121BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02J3/12
F24H15/443
F24H15/10
F24H15/269
F24H15/375
F24H1/18 B
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081490
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷野 杏奈
(72)【発明者】
【氏名】黒森 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】畑中 謙作
(72)【発明者】
【氏名】玉木 章吾
【テーマコード(参考)】
3L122
5G066
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB01
3L122CA15
3L122EA43
3L122EA45
3L122EA50
5G066HA10
5G066HB06
5G066KA04
5G066KA12
5G066KB03
5G066KD04
(57)【要約】
【課題】電力の逆潮流を抑制する上で有利になる給湯機管理システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る給湯機管理システムは、複数の貯湯式給湯機と、複数の貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、を備えた給湯機管理システムである。管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能である。管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機のうち、太陽光発電装置を保有していない需要家に設置されている貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貯湯式給湯機と、
前記複数の前記貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、
を備えた給湯機管理システムであって、
前記管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、
前記管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、前記複数の前記貯湯式給湯機のうち、太陽光発電装置を保有していない需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する給湯機管理システム。
【請求項2】
複数の貯湯式給湯機と、
前記複数の前記貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、
を備えた給湯機管理システムであって、
前記管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、
前記管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、前記複数の前記貯湯式給湯機のうち、上げDR実施時間帯で太陽光発電の余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するか、もしくは、前記上げDR実施時間帯のうちの一部の時間帯で太陽光発電の余剰電力が発生すると予測される需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に、余剰電力が発生しないと予測される時間帯での上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する給湯機管理システム。
【請求項3】
複数の貯湯式給湯機と、
前記複数の前記貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、
を備えた給湯機管理システムであって、
前記管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、
前記管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、前記複数の前記貯湯式給湯機のうち、過去に電力の逆潮流の実績がない需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する給湯機管理システム。
【請求項4】
複数の貯湯式給湯機と、
前記複数の前記貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、
を備えた給湯機管理システムであって、
前記管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、
前記管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、太陽光発電の余剰電力が発生する見込みであっても上げDR対応を優先して昼間沸き上げ運転を前記貯湯式給湯機に実施させ、
前記上げDRのときに、前記余剰電力が発生する需要家において、前記余剰電力を売電し、商用電源からの買電で前記貯湯式給湯機を運転する給湯機管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記太陽光発電装置を保有していない需要家に設置されている前記貯湯式給湯機だけでは前記上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合には、前記太陽光発電装置を保有している需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する請求項1に記載の給湯機管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記上げDR実施時間帯で太陽光発電の余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている前記貯湯式給湯機と、前記上げDR実施時間帯のうちの一部の時間帯で前記太陽光発電の余剰電力が発生すると予測される需要家だけでは前記上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合には、前記上げDR実施時間帯のうちすべての時間帯で前記太陽光発電の余剰電力が発生すると予測される需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する請求項2に記載の給湯機管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、過去に電力の逆潮流の実績がない需要家に設置されている前記貯湯式給湯機だけでは前記上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合、過去に電力の逆潮流の実績がある需要家に設置されている前記貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する請求項3に記載の給湯機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された電力供給システムでは、分散電源を有する第1の電力需要家群における翌日の余剰電力量と、分散電源を有しない第2の電力需要家群における翌日の需要電力量とを管理装置で予測する。さらに管理装置では、それぞれの予測値に基づいて翌日の売買価格を設定するとともに、当該売買価格に対する第1の電力需要家群の売電意思と第2の電力需要家群の買電意思に応じて売買価格を調整する。これにより、電力需要家同士で余剰電力を融通し合う場合の費用的なメリットを改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術は、翌日の売買価格を調整して、需要家間で余剰電力を融通し合うシステムであるが、余剰電力を売却する工程で逆潮流が発生する。逆潮流は電力供給網の安定性に支障をきたす可能性があり、電力会社の立場からすると、余剰電力は売却されず自家消費されることが望ましい。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、電力の逆潮流を抑制する上で有利になる給湯機管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る給湯機管理システムは、複数の貯湯式給湯機と、複数の貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、を備えた給湯機管理システムであって、管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機のうち、太陽光発電装置を保有していない需要家に設置されている貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するものである。
また、本開示に係る給湯機管理システムは、複数の貯湯式給湯機と、複数の貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、を備えた給湯機管理システムであって、管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機のうち、上げDR実施時間帯で太陽光発電の余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するか、もしくは、上げDR実施時間帯のうちの一部の時間帯で太陽光発電の余剰電力が発生すると予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機に、余剰電力が発生しないと予測される時間帯での上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するものである。
また、本開示に係る給湯機管理システムは、複数の貯湯式給湯機と、複数の貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、を備えた給湯機管理システムであって、管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機のうち、過去に電力の逆潮流の実績がない需要家に設置されている貯湯式給湯機に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するものである。
また、本開示に係る給湯機管理システムは、複数の貯湯式給湯機と、複数の貯湯式給湯機の沸き上げ運転を管理する管理装置と、を備えた給湯機管理システムであって、管理装置は、アグリゲータからのDR(デマンドレスポンス)要求を受信可能であり、管理装置は、翌日に上げDRが予定されている場合に、太陽光発電の余剰電力が発生する見込みであっても上げDR対応を優先して昼間沸き上げ運転を貯湯式給湯機に実施させ、上げDRのときに、余剰電力が発生する需要家において、余剰電力を売電し、商用電源からの買電で貯湯式給湯機を運転するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電力の逆潮流を抑制する上で有利になる給湯機管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る給湯機管理システムを示す図である。
【
図3】実施の形態1による給湯機管理システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1におけるIoTプラットフォーム及び制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態2に係る給湯機管理システムを示す図である。
【
図6】宅内消費電力量とPV発電電力量との関係の例を示す図である。
【
図7】宅内消費電力量とPV発電電力量との関係の他の例を示す図である。
【
図8】実施の形態2による給湯機管理システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態4の効果を説明するための図である。
【
図10】実施の形態4の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示に係る技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る給湯機管理システムを示す図である。
図1に示すように、給湯機管理システム1は、複数の貯湯式給湯機60と、IoTプラットフォーム90とを備える。各貯湯式給湯機60は、需要家に設置されている。
図1の例では、需要家A、需要家B、需要家Cの3軒の需要家がIoTプラットフォーム90の管轄下にある例を示す。IoTプラットフォーム90の管轄下にある需要家の件数は、4軒以上でもよい。
図1の例において、IoTプラットフォーム90は、複数の貯湯式給湯機60を管理する管理装置に相当する。
図2は、貯湯式給湯機60の例を示す図である。
【0011】
給湯機管理システム1は、需要家側のエネルギーリソースを制御して電力需要パターンを変化させるデマンドレスポンス(以下、「DR」とも呼ぶ。)において、アグリゲータ91からの消費電力量目標値に応じて、各貯湯式給湯機60の沸き上げ運転を実施する。アグリゲータ91は、電力会社の要求に応じてエネルギー需給調整を行う。
【0012】
一部の需要家には、太陽光発電(以下、「PV」とも呼ぶ)装置が備えられている。PV発電電力のうちから貯湯式給湯機60以外の宅内消費電力を差し引いた値を余剰電力と呼ぶ。
【0013】
IoTプラットフォーム90は、アグリゲータ91から翌日のDR実施スケジュールの情報を受信できる。また、IoTプラットフォーム90は、PV発電装置を保有する需要家のHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)から、翌日のPV余剰電力量の予測値を受信できるようになっていてもよい。
【0014】
以下、貯湯式給湯機60について、詳細に説明する。
図2に示すように、貯湯式給湯機60は、湯水を貯湯する貯湯タンク3及び熱源側ポンプ8等を備えた貯湯ユニット9と、貯湯タンク3内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット2を有する。貯湯ユニット9の熱源側ポンプ8及びヒートポンプユニット2は、水を加熱して貯湯タンク3に湯を貯湯する貯湯運転すなわち沸き上げ運転を行う。また、貯湯式給湯機60は、貯湯式給湯機60を遠隔操作するリモコン11と、貯湯ユニット9及びヒートポンプユニット2へ指示を送る制御装置10とを有する。貯湯ユニット9は、浴槽81を有する浴槽ユニット80と、浴槽往き配管82及び浴槽戻り配管83で接続されている。
【0015】
浴槽81には、リモコン操作により例えば40℃前後のお湯を貯めることができる。浴槽81は、浴槽戻り配管83及び浴槽往き配管82を介して水-水熱交換器12と接続されている。また、浴槽81は排水栓84を有している。時間が経過し、浴室内に風呂熱が放熱され、湯温が低下した場合は、貯湯タンク3の上部の高温湯と浴槽81の湯水とを水-水熱交換器12で熱交換することにより追焚が可能である。
【0016】
ヒートポンプユニット2は、例えば約9℃の低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。ヒートポンプユニット2は、回転数可変の圧縮機13と、冷媒-水熱交換器14と、膨張弁15と、室外熱交換器16と、室外熱交換器ファン17とを備えている。これらの各機器の駆動は、制御装置10により制御される。ヒートポンプユニット2内を循環する冷媒には、R32、フルオロカーボン又は二酸化炭素等を用いることができる。
【0017】
圧縮機13の回転周波数を変化させることで冷媒流量を調整することにより、加熱能力を制御することができる。圧縮機13は、吸入側は室外熱交換器16、吐出側は冷媒-水熱交換器14に接続している。目標加熱能力は、DR対応時は貯湯式給湯機60の消費電力が所定の値と等しくなるよう最適な値に制御装置10が調整する。DR対応時以外は、所定値一定とする。
【0018】
室外熱交換器16は、室外熱交換器ファン17から送られる空気と冷媒を熱交換させ、空気の熱により気液状態の冷媒を蒸発させる空冷式の熱交換器である。室外熱交換器16の冷媒入口側は膨張弁15に接続され、冷媒出口側は圧縮機13に接続されている。
【0019】
冷媒-水熱交換器14は貯湯タンク3内の湯水を加熱するもので、ヒートポンプ入水配管18及びヒートポンプ出湯配管19により貯湯タンク3と接続されている。この冷媒-水熱交換器14には、圧縮機13、室外熱交換器16及び膨張弁15により構成されるヒートポンプ回路が接続されている。冷媒-水熱交換器14には、ヒートポンプ回路の冷媒と、貯湯タンク3から供給された湯水とが、互いに逆方向に流れる対向流となって流れる。冷媒-水熱交換器14は、ヒートポンプ回路の冷媒と、貯湯タンク3から供給された湯水とを熱交換し、目的温度(例えば、65~90℃)まで湯水を加熱する。
【0020】
室外熱交換器ファン17は、室外熱交換器16の前面に配置され、室外熱交換器16に空気を送り込み、空気と冷媒との熱交換を促進させる。ファンの回転数は制御装置10が決定する。
【0021】
貯湯ユニット9は、貯湯タンク3と、熱源側ポンプ8と、水-水熱交換器12と、浴槽循環ポンプ22と、台所又は洗面所等に設けられた蛇口につながる給湯端23と、貯湯ユニット9内に水道水を供給する給水端24と、複数の弁とを備えている。
【0022】
貯湯タンク3は、沸き上げられた湯を貯湯するものである。貯湯タンク3の上部には、給湯配管25に連通する送湯配管26が接続されている。貯湯タンク3の最下部には、ヒートポンプ入水配管18と貯湯タンク給水配管31とが接続されている。また、貯湯タンク3は、沸き上げ回路と、給湯回路と、湯張り回路と、追焚回路と、に接続されている。各回路の構成は後述する。
【0023】
熱源側ポンプ8は、ヒートポンプ入水配管18上に設けられている。熱源側ポンプ8は、貯湯タンク3内の湯水を、ヒートポンプ入水配管18及びヒートポンプ出湯配管19を介して冷媒-水熱交換器14と貯湯タンク3間で循環させ、沸き上げを行うものである。また、熱源側ポンプ8は、貯湯タンク3内の湯水を、温水導入配管33及び温水導出配管34を介して水-水熱交換器12と貯湯タンク3間で循環させ、追焚を行うものである。
【0024】
水-水熱交換器12は、浴槽81の湯水を加熱するもので、管型又は板型等の熱交換器で構成される。管型の熱交換器には、例えばスパイラル式熱交換器がある。板型の熱交換器には、例えばプレート式熱交換器がある。水-水熱交換器12は、温水導入配管33により貯湯タンク3上部と接続され、温水導出配管34により三方弁28を介して貯湯タンク3最下部と接続されている。この水-水熱交換器12には、浴槽循環ポンプ22により浴槽81の湯水が循環する浴槽循環回路が接続されており、浴槽81の湯水が通過する。水-水熱交換器12は、浴槽循環回路を循環する浴槽81の湯水と、温水導入配管33から導かれた貯湯タンク3内の高温水とを熱交換し、浴槽81の湯水を加熱して、浴槽81の湯水の保温あるいは追焚を行う。
【0025】
浴槽循環ポンプ22は、浴槽戻り配管83上に設けられており、追焚時に、浴槽水を浴槽戻り配管83及び浴槽往き配管82を介して水-水熱交換器12と浴槽間で循環させるものである。
【0026】
風呂給湯混合弁35は、給湯配管25から分岐されて浴槽往き配管82に連通している湯張り配管37上に設けられている。風呂給湯混合弁35は、弁の開度を変更することで給湯配管25からの高温水と給水端24からの水道水との混合比を調整し、湯張り温度を制御するものである。
【0027】
湯張り開閉弁38は、湯張り配管37上に設けられ、開閉により、浴槽への湯張りの開始と停止とを切り替えるものである。
【0028】
一般給湯混合弁36は、給湯配管25から分岐されて給湯端23に連通している一般給湯配管39上に設けられている。一般給湯混合弁36は、弁の開度を変更することで給湯配管25からの高温水と給水端24からの水道水との混合比を調整し、出湯温度を制御するものである。
【0029】
三方弁28は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する流路切替手段である。三方弁28は、a-c、b-cの2つの経路の間で流路切替可能に構成されている。三方弁28のaポートは、配管32を介して、貯湯タンク3の下部に接続されている。
【0030】
三方弁29は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する流路切替手段である。三方弁29は、a-c、b-cの2つの経路の間で流路切替可能に構成されている。三方弁29のaポートには給水配管27が接続されている。三方弁29のbポートには中温水配管40が接続されている。三方弁29のcポートには、給水配管41が接続されている。
【0031】
給水配管27は、入口端が給水端24に接続され出口端が三方弁29のaポートに接続されている。給水配管27には、貯湯タンク3下部に一端が接続された貯湯タンク給水配管31の他端が接続されている。三方弁29のbポートに接続された中温水配管40は、入口端が貯湯タンク3の上下方向の中間部に接続され、出口端が三方弁29のbポートに接続されている。中温水配管40には、温水導出配管42の入口端が接続され、温水導出配管42の出口端は温水導出配管34に接続されている。
【0032】
四方弁20は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポート及びdポートとを有する流路切替手段である。四方弁20は、a-c、a-d、b-c、b-dの4つの経路の間で流路切替可能に構成されている。四方弁20のaポートには水配管43、bポートにはヒートポンプ出湯配管19、cポートには第一湯水配管44、dポートには第二湯水配管45が接続されている。
【0033】
四方弁30は、入口となるaポートと、出口となるbポート、cポート、及びdポートとを有する流路切替手段である。四方弁30は、a-b、a-c、a-dの3つの経路の間で流路切替可能に構成されている。四方弁30のaポートには第二湯水配管45、bポートには第三湯水配管46、cポートには第四湯水配管47、dポートには第五湯水配管48が接続されている。
【0034】
貯湯式給湯機60には、各種センサが備えられている。以下、各センサについて説明する。貯湯温度センサ5は、貯湯タンク3の上下方向に間隔をおいて配置されている。貯湯温度センサ5の検出温度によって、貯湯タンク3内の上下方向の温度分布が分かり、貯湯タンク3内にどれだけの貯湯量が残っているかを把握できる。貯湯温度センサ5による温度情報は制御装置10に送られ、貯湯タンク3内の貯湯量が目標量に到達するまで沸き上げを続けるよう、制御装置10がヒートポンプユニット2と貯湯ユニット9に指示を出す。
【0035】
入水温度センサ49は、ヒートポンプ入水配管18又は冷媒-水熱交換器14入口に取り付けられ、冷媒-水熱交換器14で加熱する前の水温をサーミスタセンサ等により検出するものである。出湯温度センサ50は、ヒートポンプ出湯配管19又は冷媒-水熱交換器14出口に取り付けられ、冷媒-水熱交換器14で加熱後の湯温をサーミスタセンサ等によって検出するものである。入水温度センサ49及び出湯温度センサ50による温度情報は制御装置10に送られ、加熱後の湯温が目標出湯温度に到達するよう、また、湯水の流量を調整するよう貯湯ユニット9に制御装置が指示を出す。
【0036】
浴槽温度センサ51は、浴槽戻り配管83を介して水-水熱交換器12に流入する浴槽水の温度を検出するものである。浴槽温度センサ51による温度情報は制御装置10に送られ、浴槽水がユーザー設定温度より低温となった場合、追焚動作を開始するよう、制御装置10が貯湯ユニット9と浴槽ユニット80へ指示を出す。浴槽往き温度センサ52は水-水熱交換器12から流出し、浴槽往き配管82を介して浴槽81へ流れる浴槽水の温度を検出するものである。浴槽往き配管82による温度情報は制御装置10に送られ、追焚時に加熱後の浴槽水がユーザー設定温度に到達するよう、制御装置10が貯湯ユニット9と浴槽ユニット80へ指示を出す。
【0037】
給湯流量センサ53は、一般給湯配管39上に設けられ、給湯流量を検出するものである。給湯流量センサ53の検出値は制御装置10に送られ、給湯負荷と湯水の滞留時間の算出に用いられる。湯はり流量センサ54は、湯はり配管上に設けられ、湯はり流量を検出するものである。湯はり流量センサ54の検出値は制御装置10に送られ、湯はり負荷と湯水の滞留時間の算出に用いられる。
【0038】
制御装置10は、貯湯式給湯機60に設けられた各部を制御する。制御装置10は、通信部と、演算処理部と、機器制御部を有している。通信部は、IoTプラットフォーム90あるいはHEMS等の外部システムと通信して情報を取得する。演算処理部は、機器動作を制御するための目標値の演算を行う。機器制御部は、演算処理部で算出した目標値に従って機器動作の指示を行う。
【0039】
制御装置10は、通信部がDR実施要求を受信した場合は、後述のDR対応沸き上げ動作を実施するよう機器を制御する。DR実施要求を受信していない状態で沸き上げを行う場合は、後述の通常沸き上げを実施するよう機器を制御する。
【0040】
リモコン11は、制御装置10との間で信号の送受信を行う。リモコン11には、ユーザーが給湯温度を設定できる機能と、浴槽81へ出湯する湯の温度と量を設定できる機能と、浴槽水の追焚温度を設定できる機能等とが設けられている。また、リモコン11は、液晶パネル等の表示部を備えており、表示部に現在の設定情報等を表示できるようになっている。
【0041】
貯湯式給湯機60の沸き上げ、給湯、湯はり、追焚の各動作について以下に説明する。沸き上げにはDR対応沸き上げと通常沸き上げが存在する。
【0042】
(通常沸き上げ)
通常沸き上げ運転は、制御装置10からヒートポンプユニット2及び貯湯ユニット9へ沸き上げ開始の指示が送信されて開始する。ヒートポンプユニット2においては、圧縮機13が起動してヒートポンプ回路内に冷媒が循環する。圧縮機13で圧縮されてから吐出された冷媒は、冷媒-水熱交換器14内に流入し、貯湯タンク3から送られてきた湯水と熱交換して冷却される。冷却された冷媒は、膨張弁15で減圧された後、室外熱交換器16に流入する。室外熱交換器16に流入した冷媒は、室外熱交換器ファン17からの空気と熱交換して加熱された後、圧縮機13に戻る。
【0043】
一方、貯湯ユニット9においては、沸き上げ回路を形成する。そして、熱源側ポンプ8の駆動により、貯湯タンク3の水がヒートポンプ入水配管18を経由して冷媒-水熱交換器14に送られ、ヒートポンプ回路の冷媒との熱交換により目標出湯温度まで沸き上げられて湯が生成される。この目標出湯温度は、65℃未満が好ましく、例えば45℃である。生成された湯は、ヒートポンプ出湯配管19、第二湯水配管45及び第三湯水配管46を経由して貯湯タンク3上部に戻される。沸き上げが進行すると、貯湯タンク3内では上部が高温水で、温度境界層を挟んで貯湯タンク3の最下部が低温水となる積層沸き上げがなされる。沸き上げ終盤では沸き上げ量が増え、貯湯タンク3上部の高温水の領域が大きくなって温度境界層が貯湯タンク3最下部に近づき、ヒートポンプ入水配管18を通じてヒートポンプユニット2に入水する湯の入水温度が次第に上昇する。
【0044】
(DR対応沸き上げ)
DR対応沸き上げでの動作は、基本的に通常沸き上げと同様である。ただし、制御装置10は、貯湯式給湯機60の消費電力が、IoTプラットフォーム90経由でアグリゲータ91から指示を受けた所定値に一致するように圧縮機13の周波数の調整を行う。
【0045】
(給湯動作)
給湯動作は、給湯端23での湯の使用操作に応じて開始される。給湯動作では、給湯回路において、貯湯タンク3に貯められた湯水が、給湯端23での湯の使用に応じて貯湯タンク3上部又は貯湯タンク3中間部から導出され、一般給湯混合弁36に送られる。一般給湯混合弁36には、給水端24から給水配管27を経由して低温の水道水が導かれており、貯湯タンク3からの湯と混合されて設定温度とされ、給湯端23から蛇口等の負荷側へと供給される。貯湯タンク3上部から導出された湯の減少分に合せて、貯湯タンク3内には、給水端24から供給された低温水が給水配管27を介して貯湯タンク3最下部から自動的に供給される。このように貯湯タンク3内に貯湯タンク3最下部から水道水が供給されることで、貯湯タンク3内では温度境界層が上方へ移動する。
【0046】
(湯張り動作)
湯張り動作は、リモコン11の操作により開始される。このとき、湯張り開閉弁38は開となる。湯張り動作では、湯張り回路において、貯湯タンク3上部から導出された高温湯が風呂給湯混合弁35に送られる。風呂給湯混合弁35には、給水端24から給水配管27を経由して低温の水道水が導かれており、貯湯タンク3からの高温湯と混合されて適温に調整され、湯張り開閉弁38を通って浴槽81に供給され、湯張りが行われる。湯張りは、浴槽81の水位が設定値となったときに停止される。浴槽81の水位は、浴槽循環回路内に設置された水位センサ(図示せず)で検出される。水位センサは、水位センサに搭載された圧力センサで圧力変化を計測して水位を検出する。
【0047】
(追焚動作)
追焚動作は、ユーザーの操作により強制的に或いは自動的に開始される。追焚動作が開始されると、熱源側ポンプ8及び浴槽循環ポンプ22の運転が開始される。追焚動作では、追焚回路において貯湯タンク3上部から導出された高温水が水-水熱交換器12に導かれる。また、このタイミングと概ね同時に、浴槽81に貯められた湯が、浴槽戻り配管83を通って水-水熱交換器12に導かれる。
【0048】
水-水熱交換器12では、貯湯タンク3系統からの高温水と、浴槽系統からの湯との熱交換が行われ、浴槽系統へ熱を与えて温度の低下した貯湯タンク3系統の湯は、温水導出配管34を通って貯湯タンク3に戻る。また、水-水熱交換器12で熱を受け取って温度の上昇した浴槽系統の湯は、浴槽往き配管82を通って浴槽81に戻る。
【0049】
浴槽温度センサ51で検出された浴槽水温度が目標浴槽温度に達したことを制御装置10が検知すると、制御装置10は追焚停止指令を発し、浴槽循環ポンプ22及び熱源側ポンプ8の運転を停止させる。このように、追焚動作では、浴槽81内の浴槽水を目標浴槽温度まで上昇させる運転が行われる。
【0050】
次に、本実施の形態で貯湯式給湯機60が形成する回路について説明する。
【0051】
(ヒートポンプ回路)
ヒートポンプ回路は、ヒートポンプユニット2内に備えられており、圧縮機13と、冷媒-水熱交換器14と、膨張弁15と、室外熱交換器16とを備え、冷媒が循環する回路である。
【0052】
(沸き上げ回路(上部戻し))
沸き上げ回路(上部戻し)は、三方弁28をa-c方向に開くと共に、四方弁20をb-d方向に開き、更に四方弁30をa-d方向に開くことで形成される。沸き上げ回路(上部戻し)は、貯湯タンク3の最下部から、ヒートポンプ入水配管18を経由して冷媒-水熱交換器14へ連通し、ヒートポンプ出湯配管19と第二湯水配管45と第五湯水配管48と送湯配管26を経由して貯湯タンク3上部へと繋がる回路である。
【0053】
(沸き上げ回路(中間部戻し))
沸き上げ回路(中間部戻し)は、三方弁28をa-c方向に開くと共に、四方弁20をb-d方向に開き、更に四方弁30をa-c方向に開くことで形成される。沸き上げ回路(中間部戻し)は、貯湯タンク3の最下部から、ヒートポンプ入水配管18を経由して冷媒-水熱交換器14へ連通し、ヒートポンプ出湯配管19と第二湯水配管45と第四湯水配管47を経由して貯湯タンク3中間部へと繋がる回路である。
【0054】
(給湯回路)
給湯回路は、貯湯タンク3上部から送湯配管26及び給湯配管25を経由して一般給湯混合弁36に連通する回路と、給水端24から給水配管27、a-c方向に開かれた三方弁29及び給水配管41を経由して一般給湯混合弁36に連通する回路と、一般給湯混合弁36から一般給湯配管39を経由して給湯端23に連通する回路とを有する。
【0055】
(湯張り回路)
湯張り回路は、貯湯タンク3上部から送湯配管26及び給湯配管25を経由して風呂給湯混合弁35に連通する回路を有する。また、湯張り回路は、給水端24から貯湯タンク給水配管31を経由して貯湯タンク3下部に接続される回路と、給水端24から給水配管27、a-c方向に開かれた三方弁29及び給水配管41を経由して風呂給湯混合弁35に連通する回路とを有する。湯張り回路は更に、風呂給湯混合弁35から湯張り配管37、湯張り開閉弁38及び浴槽往き配管82を経由して浴槽81へと繋がる回路を有する。
【0056】
(追焚回路)
追焚回路は、三方弁28をb-c方向に開き、四方弁20をa-d方向に開き、四方弁30をa-c方向に開くことで形成される。追焚回路は、貯湯タンク3上部から温水導入配管33を経由して水-水熱交換器12へと連通し、温水導出配管34、三方弁28、水配管43、四方弁20、第二湯水配管45、四方弁30、第四湯水配管47を経由して貯湯タンク3中間部に繋がる回路である。
【0057】
(浴槽循環回路)
浴槽循環回路は、水-水熱交換器12と、浴槽循環ポンプ22と、浴槽81とを有し、浴槽戻り配管83及び浴槽往き配管82により接続されている回路である。浴槽循環回路には、浴槽循環ポンプ22により浴槽水が循環する。
【0058】
本実施の形態において、IoTプラットフォーム90は、情報収集部と、判定部と、通信部とを有する。情報収集部は、電力会社の要求に応じてエネルギー需給調整を行うアグリゲータ91から、翌日のDR(デマンドレスポンス)計画の情報を取得する。また、IoTプラットフォーム90は、管轄下の需要家からPV発電装置の設置有無の情報を取得する。IoTプラットフォーム90は、翌日の余剰電力発生時間帯と電力量の予測情報と、過去の逆潮流の実績について、需要家から情報を取得してもよい。判定部は、管轄下の貯湯式給湯機60に対し、上げDR要求を送信する優先度を決定する。通信部は、管轄下の貯湯式給湯機60と通信を行い、DR対応を求める場合は要求を送信する。
【0059】
貯湯式給湯機60の制御装置10は、IoTプラットフォーム90またはHEMSなどを介してDR要求を受信する機能を有する。制御装置10は、DR要求に基づき、翌日の沸き上げ計画を作成する機能を有している。
【0060】
前述したように、IoTプラットフォーム90は、アグリゲータ91からのDR要求を受信可能である。DRには上げDRと下げDRがある。上げDRとは、特定の時間帯に電力の需要量を引き上げることであり、下げDRとは、特定の時間帯に電力の需要量を引き下げることである。
【0061】
IoTプラットフォーム90は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機60のうち、PV発電装置を保有していない需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する。
図1の例では、需要家A及び需要家BにはPV発電装置があるため、PV発電装置のない需要家Cに対して、優先的に上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する。これにより、以下のような利点がある。PV発電装置がある需要家では、余剰電力が発生する可能性がある。この需要家において、余剰電力は、沸き上げ運転によって自家消費される。その一方で、余剰電力が発生する需要家が上げDR要求を受けると、電力会社から買電し、余剰電力を逆潮流により売電することとなる。電力の逆潮流は、電力供給網に負担がかかるので、あまり好ましくない。これに対し、本実施の形態であれば、PV発電装置を保有していない需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するので、PV発電装置がある需要家は、上げDR要求を受けずに、余剰電力を沸き上げ運転で自家消費する。その結果、電力の逆潮流を抑制することができ、電力供給網の負担を軽減することができる。また、昼間沸き上げに使う電力を必要としている需要家が優先して上げDRを実施できる。これにより、上げDR実施時間帯にDRに参加していない需要家の買電量が増加することを抑制し、電力会社は電力需給調整の安定化ができる。
【0062】
図3は、実施の形態1による給湯機管理システム1が実行する処理の例を示すフローチャートである。ステップS1として、IoTプラットフォーム90は、翌日の上げDR実施時間帯の情報をアグリゲータ91から取得する。次いで、ステップS2として、IoTプラットフォーム90は、パターンAの家庭(需要家)に上げDR実施要求を送信する。パターンAの家庭とは、PV発電装置を保有していない家庭である。次いで、ステップS3として、上げDRの電力消費需要量の目標値が達成されるかどうかを判断する。上げDRの電力消費需要量の目標値が達成される場合には、処理を終了する。これに対し、ステップS3で上げDRの電力消費需要量の目標値が達成されていない場合には、ステップS4として、パターンBの家庭(需要家)に上げDR実施要求を送信する。パターンBの家庭とは、PV発電装置を保有している家庭である。
【0063】
このように、IoTプラットフォーム90は、PV発電装置を保有していない需要家(パターンA)に設置されている貯湯式給湯機60だけでは上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合には、PV発電装置を保有している需要家(パターンB)に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する。これにより、上げDRの電力需要量の目標値を確実に達成できる。
【0064】
図4は、実施の形態1におけるIoTプラットフォーム90及び制御装置10の機能を実現する構成の一例を示す図である。IoTプラットフォーム90及び制御装置10の各機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア600であってもよい。処理回路は、プロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア600として形成され、且つ、当該処理回路は更にプロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。
図4に示す例において、処理回路の一部は専用ハードウェア600として形成されている。また、
図4に示す例において、処理回路は、専用ハードウェア600に加えて、プロセッサ601およびメモリ602を更に備えている。
【0065】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア600である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0066】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ601および少なくとも1つのメモリ602を備える場合、IoTプラットフォーム90及び制御装置10の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0067】
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ602に格納される。プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ601は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ602には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
【0068】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、IoTプラットフォーム90及び制御装置10の機能を実現することができる。なお、IoTプラットフォーム90及び制御装置10の各機能は、複数の機器が連携することで実現されてもよいし、単一の機器によって実現されてもよい。また、IoTプラットフォーム90及び制御装置10の各機能の少なくとも一部は、外部ネットワーク上のサーバ等に実装されていてもよい。
【0069】
実施の形態2.
次に、
図5から
図8を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0070】
図5は、実施の形態2に係る給湯機管理システムを示す図である。
図6は、宅内消費電力量とPV発電電力量との関係の例を示す図である。
図6の例では、上げDR実施時間帯には常にPV余剰電力が発生している。
図7は、宅内消費電力量とPV発電電力量との関係の他の例を示す図である。
図7の例では、上げDR実施時間帯のうちの一部でPV余剰電力が発生し、上げDR実施時間帯のうちの残りの部分ではPV余剰電力が発生しない。本実施の形態において、IoTプラットフォーム90の情報収集部は、各需要家から、翌日の余剰電力発生時間帯と余剰電力量の予測情報を受信可能になっている。
【0071】
本実施の形態において、IoTプラットフォーム90は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機60のうち、上げDR実施時間帯でPV余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する。ここで、PV余剰電力が発生しないと予測される需要家には、PV発電装置を保有していない需要家も含まれる。また、IoTプラットフォーム90は、上げDR実施時間帯のうちの一部の時間帯でのみPV余剰電力が発生すると予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機60に、PV余剰電力が発生しないと予測される時間帯での上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する。
【0072】
PV余剰電力が発生する需要家が上げDR要求を受けると、電力会社から買電し、余剰電力を逆潮流により売電することとなる。電力の逆潮流は、電力供給網に負担がかかるので、あまり好ましくない。これに対し、本実施の形態であれば、PV余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信するので、PV余剰電力が発生する需要家に上げDR要求が送信されることを抑制できる。その結果、電力の逆潮流を抑制することができ、電力供給網の負担を軽減することができる。
【0073】
図8は、実施の形態2による給湯機管理システム1が実行する処理の例を示すフローチャートである。ステップS5として、IoTプラットフォーム90は、翌日の上げDR実施時間帯の情報をアグリゲータ91から取得する。次いで、ステップS6として、翌日のPV余剰電力発生時間帯の情報を管轄下の需要家から受信する。そして、ステップS7として、IoTプラットフォーム90は、パターンaの家庭(需要家)及びパターンbの家庭(需要家)に上げDR実施要求を送信する。パターンaの家庭とは、翌日の上げDR実施時間帯にPV余剰電力が発生しないと予測される家庭(PV発電装置を保有していない家庭を含む。)である。パターンbの家庭とは、翌日の上げDR実施時間帯にPV余剰電力が発生しない時間帯が部分的にあると予測される家庭である。次いで、ステップS8として、上げDRの電力消費需要量の目標値が達成されるかどうかを判断する。上げDRの電力消費需要量の目標値が達成されると判断された場合には、処理を終了する。これに対し、ステップS8で上げDRの電力消費需要量の目標値が達成されていない場合には、ステップS9として、パターンcの家庭(需要家)に上げDR実施要求を送信する。パターンcの家庭とは、翌日の上げDR実施時間帯にPV余剰電力が常に発生すると予測される家庭である。
【0074】
このように、IoTプラットフォーム90は、上げDR実施時間帯でPV余剰電力が発生しないと予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機60と、上げDR実施時間帯のうちの一部の時間帯でPV余剰電力が発生すると予測される需要家だけでは上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合には、上げDR実施時間帯のうちすべての時間帯でPV余剰電力が発生すると予測される需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する。これにより、上げDRの電力需要量の目標値を確実に達成できる。
【0075】
図5に示す例では、需要家Aがパターンcに相当し、需要家Bがパターンbに相当し、需要家Cがパターンaに相当する。
【0076】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0077】
本実施の形態において、IoTプラットフォーム90の情報収集部は、各需要家が過去に逆潮流を行った実績があるかどうかの情報を受信可能になっている。そして、IoTプラットフォーム90は、翌日に上げDRが予定されている場合に、複数の貯湯式給湯機60のうち、過去に電力の逆潮流の実績がない需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を優先的に送信する。
【0078】
過去に電力の逆潮流の実績がない需要家は、PV発電装置を保有していないと考えられる。このため、本実施の形態であれば、PV発電装置を保有していない需要家に優先的に上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0079】
IoTプラットフォーム90は、過去に電力の逆潮流の実績がない需要家に設置されている貯湯式給湯機60だけでは上げDRの電力需要量の目標値に到達しない場合、過去に電力の逆潮流の実績がある需要家に設置されている貯湯式給湯機60に対して、上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する。これにより、上げDRの電力需要量を確実に満足させることができる。
【0080】
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0081】
本実施の形態4の構成は、実施の形態1と同様であるが、IoTプラットフォーム90は上げDR対応の沸き上げ運転の実施要求を送信する優先度を判定する判定部を有していなくてもよい。IoTプラットフォーム90は、アグリゲータ91から翌日の上げDR実施計画を受信した場合、管轄下の貯湯式給湯機60に上げDR対応要求を送信する。この際、需要家毎に優先度は付けない。
【0082】
IoTプラットフォーム90は、翌日に上げDRが予定されている場合に、PV余剰電力が発生する見込みであっても上げDR対応を優先して昼間沸き上げ運転を貯湯式給湯機60に実施させる。上げDRのときに、PV余剰電力が発生する需要家において、PV余剰電力を売電し、商用電源からの買電で貯湯式給湯機60を運転する。すなわち、貯湯式給湯機60は、PV余剰電力の有無にかかわらず、買電により沸き上げ運転を実施する。
【0083】
図9は、本実施の形態の効果を説明するための図である。
図9に示すように、PV余剰電力が発生する需要家においては、余剰電力を売電した対価を電力会社92から得るとともに、上げDRに対応したことの対価をアグリゲータ91から得る。このように、需要家は、上げDR対応の報酬とPV余剰電力の売却益を得ることができ、上げDRとPV余剰が同時発生した場合のコストメリットを最大化できる。
【0084】
図10は、実施の形態4の制御動作を示すフローチャートである。
図10のステップS10として、貯湯式給湯機60の制御装置10は、翌日の上げDR実施計画をアグリゲータ91からIoTプラットフォーム90を介して受信する。次いで、ステップS11として、制御装置10は、上げDR対応を想定した翌日の沸き上げ計画を作成する。
【符号の説明】
【0085】
1 給湯機管理システム、 2 ヒートポンプユニット、 3 貯湯タンク、 5 貯湯温度センサ、 8 熱源側ポンプ、 9 貯湯ユニット、 9 貯湯ユニット、 10 制御装置、 11 リモコン、 12 水-水熱交換器、 13 圧縮機、 14 冷媒-水熱交換器、 15 膨張弁、 16 室外熱交換器、 17 室外熱交換器ファン、 18 ヒートポンプ入水配管、 19 ヒートポンプ出湯配管、 20 四方弁、 22 浴槽循環ポンプ、 23 給湯端、 24 給水端、 25 給湯配管、 26 送湯配管、 27 給水配管、 28 三方弁、 29 三方弁、 30 四方弁、 31 貯湯タンク給水配管、 32 配管、 33 温水導入配管、 34 温水導出配管、 35 風呂給湯混合弁、 36 一般給湯混合弁、 37 湯張り配管、 38 湯張り開閉弁、 39 一般給湯配管、 40 中温水配管、 41 給水配管、 42 温水導出配管、 43 水配管、 44 第一湯水配管、 45 第二湯水配管、 46 第三湯水配管、 47 第四湯水配管、 48 第五湯水配管、 49 入水温度センサ、 50 出湯温度センサ、 51 浴槽温度センサ、 52 温度センサ、 53 給湯流量センサ、 54 湯はり流量センサ、 60 貯湯式給湯機 80 浴槽ユニット、 81 浴槽、 82 浴槽往き配管、 83 浴槽戻り配管、 84 排水栓、 90 IoTプラットフォーム、 91 アグリゲータ、 92 電力会社