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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165364
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】開閉装置の構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20241121BHJP
   E05D 15/24 20060101ALI20241121BHJP
   E05D 15/38 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E06B9/02 A
E05D15/24 A
E05D15/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081508
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
(57)【要約】
【課題】開閉体の開閉動作に伴う振動やブレを抑制し、騒音などの発生を軽減させ、且つ、開閉装置を施工する際の建物躯体側の下地を大きく確保することなく配置構成する。
【解決手段】建物躯体の開口部を開閉するとともに、建物躯体の奥行方向へ収容される開閉体がガイドレールによってガイドされ、ガイドレールが、開口部上縁より建物躯体の奥行方向に向かって配設される水平レール部33を有する開閉装置の構造であって、水平レール部33が支持部材61を介して横架材に連結され、支持部材61は、横架材に固定される腕部63と、奥行方向に長尺で腕部63を介して横架材に連結される下地枠65と、を有し、下地枠65には、水平レール部33の長さに応じて配置される複数の調整部材67が取り付けられ、各調整部材67には、水平レール部33を連結する連結部材69が固定されて垂下し、調整部材67と連結部材69とにわたって方杖83が固定される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部を開閉するとともに、前記開口部の上縁より前記建物躯体の奥行方向へ収容される開閉体がガイドレールによってガイドされ、前記ガイドレールが、前記開口部の左右両側に配設される垂直レール部と、前記垂直レール部の上端に接続され、前記開口部の上縁より前記建物躯体の奥行方向に向かって配設される水平レール部と、からなる開閉装置の構造であって、
前記ガイドレールは、前記水平レール部が、前記建物躯体を構成する横架材に、支持部材を介して連結され、
前記支持部材は、
前記建物躯体の奥行方向に複数が離間して前記横架材に固定される腕部と、前記奥行方向に長尺で形成されてそれぞれの前記腕部の下端に固定されて前記腕部を介して前記横架材に垂下状態で連結される下地枠と、を有し、
前記下地枠には、前記水平レール部の長さに応じて配置される複数の調整部材が取り付けられ、
それぞれの前記調整部材には、前記水平レール部を連結する連結部材が固定されて垂下し、
前記調整部材と前記連結部材とにわたって方杖が固定されることを特徴とする開閉装置の構造。
【請求項2】
前記調整部材が、前記下地枠にスライド自在となって支持されるとともに、水平横方向の両側から突出する取付片を備え、一方の前記取付片に、前記連結部材を垂設し、前記調整部材の他方の前記取付片と前記連結部材とにわたって方杖を固定することを特徴とする請求項1に記載の開閉装置の構造。
【請求項3】
前記横架材には吊束が垂下して設けられ、
前記吊束の下端には前記腕部が接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉装置の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物躯体の開口部を開閉する開閉装置の開閉体としてガレージドアが知られている(特許文献1等参照)。ガレージドアは、ローラが配設されたパネル組立体と、ローラをガイドしてパネル組立体の移動を案内する案内部としての2本のスライドレール(ガイドレール)を備える。ガレージドアは、例えば、自動車等を収納するガレージに取り付けられる。この種の開閉装置の構造では、建物躯体の天井面に沿って収容される開閉体がガイドレールによってガイドされる。ガイドレールは、開口部の左右両側に配設される垂直レール部と、垂直レール部の上端に屈曲部を介して接続され、天井面に沿って配設される水平レール部と、からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-293302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、横長のパネルを縦幅方向に連結してなる開閉体をガイドするガイドレールは、天井面に沿って配設される水平レール部を有し、この水平レール部には、開閉体を天井面に沿って収容した際、開閉体のほぼ全重量がかかる。この水平レール部は、天井から吊下される構造が一般的であり、すなわち、水平レール部にかかる荷重が天井側にかかることになる。そのため、水平レール部の取り付け位置は、荷重を均等に支持するため、水平レール部の終端と、少なくとも水平レール部の全長における1/2の位置とすることが決められている。
ところが、開閉体の開閉動作において、開閉体が水平レール部を移動する際、ガレージの天井面に沿って開閉体が移動するが、開閉体を構成する各パネルは左右の端縁に設けられるそれぞれのローラがガイドレール溝内を転がりながら移動する構造であり、単にガイドレールを天井から吊っている構造であると、天井面から水平レール部を接続する吊下構造部分に開閉体の移動で発生する振動や揺れが伝わり、すなわち、天井から吊り下げられるガイドレールが振り子状に揺れ、且つ吊り下げ位置が左右のガイドレールにそれぞれであり、水平レール部の終端と全長における1/2の位置となって複数箇所を吊っていることで、ガイドレールはブレが発生しやすく、このブレやローラの転がりによって騒音が発生する原因となる虞がある。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、開閉体の開閉動作に伴う振動やブレを抑制し、騒音などの発生を軽減させ、且つ、開閉装置を施工する際の建物躯体側の下地を大きく確保することなく配置構成することのできる開閉装置の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉装置の構造は、建物躯体17の開口部15を開閉するとともに、前記開口部15の上縁より前記建物躯体17の奥行方向へ収容される開閉体21がガイドレール23によってガイドされ、前記ガイドレール23が、前記開口部15の左右両側に配設される垂直レール部29と、前記垂直レール部29の上端に接続され、前記開口部15の上縁より前記建物躯体17の奥行方向に向かって配設される水平レール部33と、からなる開閉装置の構造であって、
前記ガイドレール23は、前記水平レール部33が、前記建物躯体17を構成する横架材59に、支持部材61を介して連結され、
前記支持部材61は、
前記建物躯体17の奥行方向に複数が離間して前記横架材59に固定される腕部63と、前記奥行方向に長尺で形成されてそれぞれの前記腕部63の下端に固定されて前記腕部63を介して前記横架材59に垂下状態で連結される下地枠65と、を有し、
前記下地枠65には、前記水平レール部33の長さに応じて配置される複数の調整部材67が取り付けられ、
それぞれの前記調整部材67には、前記水平レール部33を連結する連結部材69が固定されて垂下し、
前記調整部材67と前記連結部材69とにわたって方杖83が固定されることを特徴とする。
【0007】
この開閉装置の構造では、例えば横長のパネル25を縦幅方向に連結してなる開閉体21をガイドするガイドレール23が、建物躯体17の奥行方向に向かって、例えば天井面19に沿って配設される水平レール部33を有する。この水平レール部33には、開閉体21を建物躯体17の奥行方向へ、例えば天井面19に沿って収容した際、開閉体21のほぼ全重量がかかる。すなわち、水平レール部33にかかる荷重が天井側の横架材にかかることになる。そのため、水平レール部33の取り付け位置は、荷重を均等に支持するため、水平レール部33の終端と、少なくとも水平レール部33の全長における1/2の位置とすることが決められている。
ところが、開閉体21の開閉動作において、開閉体21が水平レール部33を移動する際、ガレージ13の奥行方向へ天井面に沿って開閉体21が移動するが、開閉体21を構成する各パネル25の左右がローラ27でガイド溝25内を転がりながら移動し、単にガイドレール23を吊っている構造では、その構造部分である支持部材61や調整部材67に、開閉体21の移動で発生する振動や揺れが伝わり、すなわち、天井から吊り下げされているガイドレール23が振り子状に揺れ、ブレが発生しやすく、このブレやローラ27の転がりによって騒音が発生する原因となる虞がある。
この開閉装置の構造では、下地枠65に、水平レール部33の長さに応じて複数の調整部材67が取り付けられる。それぞれの調整部材67には、水平レール部33を連結する連結部材69が固定されて垂下する。これら調整部材67と連結部材69とには、両部材にわたって方杖83が固定される。つまり、方杖83は、斜材となる。方杖83は、下地枠65から垂下してガイドレール23を吊る構造において、上方である天井面19に向かって広がるような斜材として連結部材69と調整部材67とに設けられるので、特に連結部材69の下端、すなわち、水平レール部33との連結部分が、下地枠65の水平横方向に振り子状となって振れるブレや振動が効果的に抑制可能となる。
また、方杖83は、下地枠65に固定される調整部材67と連結部材69との間に取り付けできる。吊束71の断面サイズ、すなわち腕部63が固定できるサイズの下地を確保できれば、方杖83を取り付けることが可能となる。このため、天井側に配置する方杖用の下地位置を、設計段階でハウスメーカー(建物躯体17を構築する工事業者)と決めておく必要がなく、工期の短縮も可能となる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉装置の構造は、請求項1に記載の開閉装置の構造であって、
前記調整部材67が、前記下地枠65にスライド自在となって支持されるとともに、水平横方向の両側から突出する取付片81を備え、一方の前記取付片81に、前記連結部材69を垂設し、前記調整部材67の他方の前記取付片81と前記連結部材69とにわたって方杖83を固定することを特徴とする。
【0009】
この開閉装置の構造では、調整部材67を、一対の取付片81を備えた形状として例えばハット型などの形状で構成でき、下地枠65を跨いで載置させることができる。ハット型とした調整部材67では、開口を下向きとしたコ字型の形状とするとともに、両下端から水平横方向に取付片81が突出する形状であり、開口部側から見た正面視がハット型となる。調整部材67は、下地枠65を挟んで一方の取付片81に、連結部材69が垂設され、真っ直ぐ下向きに垂れ下がって設けられる。連結部材69は、開口部側から見た正面視で、水平横方向の一方側に片寄せられて垂下する。この連結部材69と、調整部材67における他方の取付片81とには、方杖83が掛け渡され設けられる。方杖83は、下端が連結部材69の上下方向略中央に固定され、上端が他方の取付片81に固定される。つまり、方杖83は、斜材となる。
連結部材69は、下端が水平レール部33に連結される。開閉装置の構造では、下向きコ字状に形成した調整部材67における水平横方向の両側から一対の取付片81を突出することにより、連結部材69と調整部材67とにわたって、吊束71より大きく張り出して上広がりとなる傾斜の方杖83を固定することができる。
また、開閉装置の構造では、調整部材67が下地枠65にスライド自在とされることで、この調整部材67を下地枠65の所定位置、すなわち水平レール部33の全長における1/2の位置などへの容易な位置決めが可能となる。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉装置の構造は、請求項1または2に記載の開閉装置の構造であって、
前記横架材59には吊束71が垂下して設けられ、
前記吊束71の下端には前記腕部63が接続されることを特徴とする。
【0011】
この開閉装置の構造では、例えば、建物躯体17の天井51が、天井板73で覆われる。建物躯体17を構成する横架材59は、天井51を構成し、天井板73を貫通する吊束71が設けられる。すなわち、吊束71は、天井板73を貫通して下方に突出(垂下)して設けられる。天井板73から垂下した吊束71の下端には、腕部63が接続される。
腕部63は、下地枠65と一体となって支持部材61を構成する。すなわち、支持部材61は、天井板73から垂下した吊束71に、腕部63が接続されることで、天井板73の下方で、下地枠65が天井板73に沿ってガレージ13の奥行方向に延在して吊り持ちされる。
開閉装置の構造では、この下地枠65に、複数の調整部材67が、下地枠65の長尺方向でスライド自在に取り付けられる。それぞれの調整部材67には、連結部材69の上端が固定され、連結部材69の下端には、ガイドレール23の水平レール部33が固定される。また、調整部材67と連結部材69とには、斜材となる方杖83が設けられる。水平レール部33は、レーザー計測式などによる水準器を用いてきちんと水平に調整して固定されることになる。
この開閉装置の構造によれば、一般に薄い板のような天井板73であるガレージ天井(化粧板)が施工される天井仕様の場合であっても、天井板73を貫通することが可能な吊束71を有することで、ガレージ天井が施工された後に、ガイドレール23を容易に施工することが可能となる。そして、この天井板73の下方において、ブレや振動が抑制されてガイドレール13の水平レール部33が配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の開閉装置の構造によれば、建物躯体側の横架材とガイドレールの水平レール部との間に、支持部材と調整部材を介在させるとともに、調整部材に連結部材と方杖とを設けたことで、水平レール部が開閉体の移動によって発生する振動やブレを抑制でき、騒音などの発生を軽減させることができる。また、連結部材と方杖とは、調整部材に設けられることで、開閉装置を施工する際の建物躯体側の下地を大きく確保することなく、すなわち方杖のために建物躯体側の横架材を配置しなくてもよい。
【0013】
本発明に係る請求項2記載の開閉装置の構造によれば、下地枠にスライド自在な調整部座に一対の取付片を備えたことから、方杖が連結部材の上下方向略中央と、他方の取付片とにわたって固定されることで、下地枠に直交する面において、連結部材は一方の取付片に固定される上端を中心とした振り子方向の触れが規制され、ガイドレールのブレや、ブレによって発生する騒音等を抑制することができる。また、調整部材の各取付片に、連結部材と方杖とをそれぞれ固定でき、これら連結部材と方杖のために建物躯体に下地を確保する必要がなくなり、施工性が向上する。
【0014】
本発明に係る請求項3記載の開閉装置の構造によれば、例えば、建物躯体に天井を有し、この天井を天井板で覆って構成される場合であっても、この天井板を貫通して垂下する吊束に腕部を介して下地枠を設けることができ、天井板に沿う下地枠が真直な梁のように構成でき、この下地枠に沿って調整部材がスライド自在となり、ガイドレールを施工できる。このことから、天井側の構造として天井板に吊束が貫通する構成で建物側の施工を終わらせることができ、開閉体の高さ(長さ)変更があっても、建物側には変更が不要であり、天井板から突出する吊束に腕部を接続させることで下地枠が見える形で天井板に沿って設けることができ、この真直な梁のような下地枠に水平レール部を吊り、ガイドレールの施工を行って構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る開閉装置の構造を備える開閉装置をガレージ側より見た分解斜視図である。
図2】本実施形態に係る開閉装置の構造を備える開閉装置を天井側より見た平面図である。
図3図2のA-A矢視図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図4のB-B矢視図である。
図6図5に示した調整部材から連結部材および方杖が外された分解斜視図である。
図7】調整部材、吊下板、連結板、上部取付アングル、方杖本体、下部取付アングルおよび水平レール部の分解斜視図である。
図8】支持部材のバリエーションを(a)~(e)に示した側面図である。
図9】下地枠が伸縮構造を有した変形例に係る支持部材の側面図である。
図10】支持部材と調整部材とを上下逆使いする変形例に係る開閉装置の構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る開閉装置の構造を備える開閉装置11をガレージ奥側より見た分解斜視図である。
本実施形態に係る開閉装置の構造は、例えばガレージ13の開口部15を開閉する開閉装置11に好適に用いられる。開閉装置11は、所謂オーバースライディングドアとも称される。開閉装置11は、開口部15を開閉するとともに、建物躯体17(図2参照)の開口部15の上縁より奥行方向、すなわち、本実施形態においては天井面19(図3参照)に沿って収容される開閉体21が、ガイドレール23によってガイドされる。
【0017】
開閉体21は、開口部15の左右幅方向に長いパネル25の長手方向両端に、パネル長手方向の軸を中心に回転自在となるローラ27を備え、パネル縦幅方向に複数が連結された面状のパネル組立体として構成される。開閉体21は、パネル長手方向の両端に設けられたローラ27が、左右で対となる2本のガイドレール23によってガイドされる。
【0018】
ガイドレール23は、開口部15の左右両側で鉛直方向に沿って配設される垂直レール部29と、垂直レール部29の上端に屈曲部31を介して接続され、開口部15の上縁より建物躯体17の奥行方向に向かう天井面19に沿って配設される水平レール部33と、を有する。垂直レール部29、屈曲部31および水平レール部33は、ローラ27をガイドするための軌道としてのガイド溝35(図5参照)を構成する。
【0019】
開閉装置11は、閉鎖時に最上部のパネル25に連結され、開閉体21をガイドレール23に沿って移動させるトロリ37と、トロリ37が走行するトロリレール39と、トロリ37を走行させる駆動源である開閉機41と、トロリ37による開閉体21の開閉移動を補助する開閉補助装置43とを備える。
【0020】
トロリ37には、トロリアーム45の基端が接続される。トロリアーム45の先端は、最上部のパネル25に固定されたドアブラケット47と接続される。トロリレール39は、開口部側がヘッドブラケット49により建物躯体17の天井若しくは開口部上のまぐさに固定される。ヘッドブラケット49と反対側のトロリレール39の端部には、開閉機41が接続される。これらトロリレール39および開閉機41は、建物躯体17の天井51(図3参照)に固定される。
【0021】
開閉機41は、例えば電動モータ(不図示)を備える電動式とすることができる。電動モータの駆動軸には駆動ローラ(不図示)が固定される。駆動ローラには、トロリレール39のヘッドブラケット側に設けられた従動ローラとに渡ってループ状の駆動チェーン(不図示)が掛け渡される。駆動チェーンは、トロリ37に接続されることで、電動モータの駆動に伴い、トロリレール39に沿ってトロリ37を強制的に往復移動させる。これにより、トロリアーム45に連結された開閉体21は、両側一対のガイドレール23に沿って移動し、開口部15の閉鎖状態から開放状態、あるいは開放状態から閉鎖状態に移行する。
【0022】
開閉補助装置43は、開口部15の上方に配置され、両端がブラケット53によって支持される回転自在なシャフト55を有する。シャフト55には、常時、巻き取り方向に付勢するスプリング57が取り付けられる。開閉補助装置43は、スプリング57の付勢力と開閉体21の重量とをバランスさせる。開閉補助装置43は、開閉体21の最下端のパネル25に連結されたワイヤ(不図示)を、シャフト55の両端部に設けられたドラムDに巻取り、巻出しするように構成される。これにより、開閉機41にかかる負荷を減少させている。
【0023】
ガイドレール23は、水平レール部33が、天井51に設けられた横架材59(図3参照)に、支持部材61を介して連結される。横架材59は、建物躯体を構成する例えばH鋼等である。支持部材61は、建物躯体17(ガレージ13)の奥行方向に複数が離間して横架材59に固定される腕部63と、奥行方向に長尺で形成されてそれぞれの腕部63の下端に固定されて腕部63を介して横架材59に吊り持ち(垂下)状態で連結される下地枠65と、を有する。
【0024】
下地枠65には、水平レール部33の長さに応じて配置される複数の調整部材67が下地枠65の長手方向でスライド自在に取り付けられる。それぞれの調整部材67には、水平レール部33を連結するための連結部材69が固定されて垂下する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る開閉装置の構造を備える開閉装置11を天井側より見た平面図である。
支持部材61は、下地枠65の腕部63が、横架材59に固定されて垂下する吊束71に取り付けられる。吊束71によって奥行方向の複数箇所が建物躯体17の天井51に支持された支持部材61の下地枠65は、ガレージ13の幅方向両側で建物躯体17の奥行方向へ天井51に沿って一対が相互に平行となって配置される。それぞれの下地枠65は、ガイドレール23の水平レール部33を支持する。
【0026】
図3は、図2のA-A矢視図である。
開閉装置の構造は、建物躯体17の天井51が、天井板73で覆われてもよく、覆われずに天井51が露出していてもよい。本実施形態では、天井51が天井板73で覆われる構造を例に説明する。天井51が天井板73で覆われる場合、横架材59には天井板73を貫通して天井板73の下方に突出する吊束71が垂下して設けられる。支持部材61は、吊束71の下端に腕部63が接続される。これにより、支持部材61の下地枠65は、天井板73から下方へ離間し、天井板73に沿って配置される。
【0027】
開閉装置の構造は、複数、例えば2つの調整部材67が、下地枠65にスライド自在となって支持される。それぞれの調整部材67には、連結部材69が垂設される。調整部材67から垂下した連結部材69の下部にはガイドレール23の水平レール部33が接続される。ここで、ガレージ13の奥行方向に長い水平レール部33は、屈曲部31と反対側の終端が連結部材69によって支持される。また、水平レール部33は、屈曲部31から終端までの距離の1/2の位置が連結部材69に支持される。この際、連結部材69を固定している調整部材67は、下地枠65に対してスライドされることにより所定位置、すなわち前記1/2の位置などへの容易な位置決めが可能となっている。
【0028】
図4は、図3の要部拡大図である。
下地枠65は、例えば真っ直ぐな角筒鋼材で形成される。腕部63は、同様の角筒鋼材で形成されて下地枠65の所定位置に溶接等により固定される。また、吊束71は、腕部63の内側に挿嵌可能な角筒鋼材で形成される。吊束71は、横架材59と同様にハウスメーカー側の施工範囲とされる。つまり、吊束71は、下地と言える。開閉装置の構造では、ハウスメーカー側の設計寸法に基づき、腕部63を下地枠65に設けることができる。この吊束71の位置である横架材59の位置は、開口部高さに合わせて配置されるが、必ずしも開口部高さには依存せず、すなわち、開口部高さが設計値から変わっても、横架材59および吊束71の位置は変わらない。
【0029】
開閉装置の構造では、開口部15の高さが変更となっても、吊束71の位置は変わらないので、腕部63を介して下地枠65を取り付けることができる。つまり、腕部63の間隔距離は、吊束71の間隔距離と同じである。本実施形態では、腕部63は、天井板73から垂下する吊束71の下端を内側に挿入し、腕部63と吊束71とを貫通したボルトの先端にナット75を螺着する通しボルト77により固定される。これにより、支持部材61は、重さを支えながらボルト締めする必要がなくなる。つまり、通しボルト77を通すだけで仮止めができる。仮止め後に重さを支えずに、ナット締めできる効果がある。なお、通しボルト77は、ガイドレール23の支持強度を高めるため、腕部63の直交2面のそれぞれから上下方向の多段位置、例えば2段で貫通して平面視で交叉するように設けられることが望ましい。
【0030】
開閉装置の構造では、開口部高さの変更等により水平レール部33の支持位置を変更する際に、調整部材67を、下地枠65の長手方向にスライドすることで調整可能となる。位置調整が完了した調整部材67は、調整部材67の側板から下地枠65を貫通する固定ビス79等(図5参照)によってスライドが規制される。
【0031】
開閉装置の構造では、下地枠65が、腕部63の間隔よりも長く形成される。これにより、調整部材67による調整範囲(位置ずれ吸収範囲)が、横架材59および吊束71の間隔よりも大きく確保されている。支持部材61は、例えば下地枠65の一端に腕部63を取り付け、一端と他端の途中に腕部63を取り付けた略F字状とすることができる。なお、支持部材61の形状は、これに限定されない。
【0032】
図5は、図4のB-B矢視図である。
調整部材67は、図5の左右方向である水平横方向(開口部15の幅方向)に突出するヒレ状の取付片81を備える。すなわち、調整部材67は、開口を下向きとしたコ字型の両下端から水平横方向に一対の取付片81が突出したハット型として形成される。ハット型は、水平横方向の幅が例えば100mm以上となる。つまり、調整部材67は、コ字型の部分で下地枠65を跨いで、下地枠65に沿ってスライドが可能となる。一対の取付片81のうち一方の取付片81には、連結部材69が垂設される。開閉装置の構造は、調整部材67に連結部材69が固定されて垂下し、調整部材67と連結部材69とにわたって方杖83が固定される。
【0033】
図6は、図5に示した調整部材67から連結部材69および方杖83が外された分解斜視図である。
より具体的には、連結部材69は、吊下板85と、連結板87とからなる。吊下板85は、不等辺山形鋼材(Lアングル材)からなり、上端の短片89が一方の取付片81に締結され、長片91が垂直となって垂下する。吊下板85の長片91には、上下方向に長い複数の調整穴93が、上下に所定ピッチで穿設される。連結板87も、不等辺山形鋼材からなり、垂直な長片95が吊下板85の下端に締結され、水平方向となった下端の短片97が水平レール部33のガイドレール枠99に締結される。連結板87は、調整穴93に選択的に締結される。ガイドレール枠99は、等辺山形鋼材からなり、水平片101が連結板87の短片97に締結され、垂直片103がガイドレール本体105に接合される。ガイドレール本体105は、ガイド溝35を有した断面略C字状の鋼材で形成され、ガイド溝35の反対側がガイドレール枠99の垂直片103に接合される。これらのLアングル材の締結には、ボルト107、ナット75が用いられる。
【0034】
一方、方杖83は、方杖本体109と、方杖本体109の長手方向両端に接続される上部取付アングル111、下部取付アングル113とからなる。方杖本体109は、等辺山形鋼材からなり、縦片115の長手方向両端に長穴117(図5参照)が穿設される。上部取付アングル111および下部取付アングル113は、双方が等辺山形鋼材からなる。方杖本体109は、縦片115の上端が、長穴117に通されたボルト107によって上部取付アングル111の縦片119と締結される。上部取付アングル111の横片121は、調整部材67に設けられる他方の取付片81に締結される。方杖本体109は、縦片115の下端が、長穴117に通されたボルト107によって下部取付アングル113の一方の縦片123と締結される。下部取付アングル113は、他方の縦片125が吊下板85の長片91と締結される。下部取付アングル113は、調整穴93に選択的に締結される。これらのLアングル材の締結にも、ボルト107、ナット75が用いられる。
【0035】
このようにして、開閉装置の構造では、調整部材67に形成された一対の取付片81のうち、他方の取付片81には上部取付アングル111を介して方杖83の上端が固定される。方杖83の下端は、下部取付アングル113を介して吊下板85の垂下方向途中に固定される。換言すれば、調整部材67は、一方の取付片81に連結部材69を垂設し、他方の取付片81と連結部材69とにわたって方杖83を固定している。この方杖83の固定構造は、斜材による上広がりの固定構造となる。上広がりの広がり幅は、吊束71よりも水平横方向に広くなる。
【0036】
図7は、調整部材67、吊下板85、連結板87、上部取付アングル111、方杖本体109、下部取付アングル113および水平レール部33の分解斜視図である。
開閉装置の構造の組立手順として、先ず、支持部材61が、吊束71に取り付けられる。支持部材61は、腕部63の内側に吊束71を挿入し、腕部63の外側から通しボルト77を吊束71に貫通させて通すことで、吊束71に仮固定される。支持部材61は、腕部63が仮固定されたなら通しボルト77にナット75を螺合して吊束71に本固定する。
【0037】
次いで、天井51に取り付けられた支持部材61に、ガイドレール23の水平レール部33を支持するには、先ず、下地枠65に調整部材67が載せられる。調整部材67は、開口部15の高さに応じて決定された水平レール部33の吊り位置にスライドされて位置決めされる。下地枠65に位置決めされた調整部材67は、固定ビス79により、下地枠65に固定される。固定された調整部材67は、一方の取付片81に、吊下板85を締結して垂下させる。
【0038】
ガイドレール23の水平レール部33に、連結板87を締結する。連結板87と共に水平レール部33を持ち上げ、連結板87を吊下板85の調整穴93に締結する。同様に、他の調整部材67も所定位置に位置決め固定した後、吊下板85を締結し、水平レール部33に固定した連結板87を吊下板85に締結する。この状態で、ガイドレール23の水平レール部33が仮支持されることになる。
【0039】
調整部材67は、他方の取付片81に上部取付アングル111を介して方杖本体109の上端を締結する。方杖本体109の下端は、下部取付アングル113を介して吊下板85の所定の調整穴93に締結する。最後に、取付位置を微調整してボルト107、ナット75を本締めして組立が完了する。
【0040】
なお、上記した取付片81と吊下板85との締結、吊下板85と連結板87との締結、連結板87とガイドレール枠99との締結順序は、適宜入れ替えられてもよい。また、他方の取付片81と上部取付アングル111との締結、上部取付アングル111と方杖本体109との締結、方杖本体109と下部取付アングル113との締結、下部取付アングル113と吊下板85との締結順序も、適宜入れ替えられてもよい。
【0041】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0042】
本実施形態に係る開閉装置の構造では、横長のパネル25を縦幅方向に連結してなる開閉体21をガイドするガイドレール23が、天井面19に沿って配設される水平レール部33を有する。水平レール部33は、建物躯体17の奥行方向における長さが、開口部15の高さに依存する。すなわち、開口が高くなれば開閉体21が長くなり、水平レール部33は開閉体21を収容するために長くなり、低くなれば開閉体21が短くなり、水平レール部33は短くなる。
【0043】
この水平レール部33には、開閉体21を天井面19に沿って収容した際、開閉体21のほぼ全重量がかかる。すなわち、水平レール部33にかかる荷重が天井側にかかることになる。そのため、水平レール部33を支持するために天井側に配置する下地の位置は、設計段階で、ハウスメーカー(建物躯体17を構築する工事業者)と決めておくことが一般的である。水平レール部33の取り付け位置は、荷重を均等に支持するため、水平レール部33の終端と、少なくとも水平レール部33の全長における1/2の位置の箇所とすることが決められている。水平レール部33が長くなれば、水平レール部33の全長における1/3ずつの位置と終端とで3箇所の場合もある。
【0044】
ところが、開口部15の高さは、建物躯体17の構築過程で、土間の仕上がりや敷地境界からの距離などによる現場固有の要因によって設計段階時とは変わることが少なからずある。開口部15の高さが変わると、水平レール部33を吊下するための天井側に配置する下地の位置を変更しなければならない。既に工事の終わっている建物躯体17における天井側の下地位置を変えることは大掛かりな改修工事となる。
【0045】
本発明の開閉装置の構造では、設計段階で決められた下地位置、すなわち建物躯体17の天井51を構成する横架材59の位置に、支持部材61を介して水平レール部33が連結される。支持部材61は、腕部63と、下地枠65とを有する。腕部63は、建物躯体17の奥行方向に複数が離間して横架材59に固定される。この腕部63が下地枠65に固定されている位置は、設計段階で決められた下地位置、すなわち横架材59の位置である。下地枠65は、奥行方向に長尺で形成されてそれぞれの腕部63の下端に固定されて、腕部63を介して横架材59に吊り持ちされた状態で連結される。
【0046】
腕部63と下地枠65とを有する支持部材61は、設計段階で決められた下地位置で複数の腕部63を下地枠65に固定し、一体品として予め製作し、工場出荷することができる。
【0047】
この下地枠65には、水平レール部33の長さに応じて複数の調整部材67が現場で取り付けられる。例えば上記したように水平レール部33の終端の位置と1/2の位置の2ヶ所に対応して2つの調整部材67である。それぞれの調整部材67は、下地枠65の長尺の方向でスライド自在となっている。それぞれの調整部材67には、水平レール部33を連結する連結部材69が固定されて垂下する。
【0048】
したがって、開閉装置の構造では、開口部15の高さが変わってしまい、開閉体21の高さ(長さ)が変わってしまい、この開閉体21を収容するガイドレール23における水平レール部33の長さが変わり、吊る場所が建物躯体17の奥行方向に多少前後した場合であっても、天井から既に吊り下がっている奥行方向に長尺な下地枠65が用意されているので、調整部材67を下地枠65に沿って前後方向に移動し、調整(ずれ位置の吸収)が可能、すなわち、建物躯体17側に依存されることなく、下地枠65を介在させることで、水平レール部33を吊り下げられ、固定することができる。
【0049】
また、従来は、工場で下地材に穴加工する場合、開口部15の高さごとに取付位置が異なるため、現場ごとの部品設計が必要となっていた。さらに、現場で加工する場合は、穴位置調整と施工の手間が発生し、施工性が低下した。
【0050】
これに対し、開閉装置の構造では、現場ごとの部品設計や現場加工が不要となり、さらには開口部15の高さ変更に伴う下地位置の再打合せも不要となる。また、位置修正の必要事項等をハウスメーカー側と再打合せをせずに工程を進められ、工期を短縮可能とすることができる。
【0051】
また、建物躯体17の天井51が、天井板73で覆われる構成がある。建物躯体17の天井51を構成する横架材59には、天井板73を貫通する吊束71が設けられる。すなわち、吊束71は、天井板73を貫通して下方に突出(垂下)して設けられる。天井板73から垂下した吊束71の下端には、腕部63が接続される。
【0052】
腕部63は、下地枠65と一体となって支持部材61を構成する。すなわち、支持部材61は、天井板73から垂下した吊束71に、腕部63が接続されることで、天井板73の下方で、下地枠65が天井板73に沿ってガレージ13の奥行方向に延在して吊り持ちされる。
【0053】
開閉装置の構造では、この下地枠65に、複数の調整部材67が、下地枠65の長尺方向でスライド自在に取り付けられる。それぞれの調整部材67には、連結部材69の上端が固定され、連結部材69の下端には、ガイドレール23の水平レール部33が固定される。水平レール部33は、レーザー計測式などによる水準器を用いて水平に調整して固定されることになる。
【0054】
この開閉装置の構造では、一般に薄い板のような天井板73であるガレージ天井(化粧板)が施工される天井仕様の場合であっても、ガレージ天井が施工された後に、ガイドレール23を容易に施工することが可能となる。その結果、天井板73の加工も建物側の施工に合わせてあれば吊束71を貫通させる穴のみであり、そこから吊下がり見える形で下地枠65を天井51に沿って設けることができ、真直な梁のような下地枠65を天井面19から吊り下げ、天井板73に沿わせて構成できる。
【0055】
この開閉装置の構造では、下地枠65が、横架材59に支持されて、ガレージ13の奥行方向に延在し、この下地枠65には、調整部材67が取り付けられる。調整部材67は、水平横方向に突出するヒレ状の取付片81を備える。すなわち、調整部材67は、開口部側から見た正面視で、開口を下向きとしたコ字型の両下端から水平横方向に取付片81が突出したハット型で形成される。調整部材67は、下向きコ字型の開口側が下地枠65の上から被せられ、下地枠65に載置されてスライド自在となる。調整部材67の一方の取付片81には、連結部材69が固定される。連結部材69は、例えばボルト・ナットにより調整部材67の取付片81に締結固定される。調整部材67に固定された連結部材69は、調整部材67とともに下地枠65に沿ってスライド自在となる。
【0056】
上述のように、水平レール部33の支持位置は、開口部15の高さが変更されることにより、ガレージ13の奥行方向に変更される場合がある。従来では、横架材59に固定していた下地材に複数の下穴を設けておき、L型金物を両面から、通しボルト77で仮止めし、吊材を固定していた。
【0057】
本発明の開閉装置の構造では、調整部材67をハット型にすることで、下地枠65に調整部材67を載せることができ、さらに載せた調整部材67を滑らせることが可能となる。開閉装置の構造では、上記のような下穴をなくして、滑らせて位置を調整できる。つまり、本発明の開閉装置の構造では、従来の下地材に対して、ビスで直接固定するのではなく、調整部材67を使用して仮吊りしながら、スライドして位置を決めることが可能となる。調整部材67は、位置決めされた後には、例えば2本程度の固定ビス79で下地枠65に固定される。この固定は、吊下を支持する強固なボルトではなく、スライドを規制するビスで構成できる。その結果、下地枠65にスライド自在な調整部材67を被せて仮組みができ、現場における水平レール部33の吊り下げのための取付位置調整が容易となるとともに、施工時の安全性も向上させることができる。
【0058】
また、この開閉装置の構造では、ハット型の調整部材67が、下地枠65を跨いで載置される。開口を下向きとしたコ字型の調整部材67は、両下端から水平横方向に取付片81が突出することで、開口部側から見た正面視がハット型となる。調整部材67は、下地枠65を挟んで一方の取付片81に、連結部材69が垂設され、真っ直ぐ下向きに垂れ下がって設けられる。連結部材69は、開口部側から見た正面視で、水平横方向の一方側に片寄せられて垂下する。この連結部材69と、調整部材67における他方の取付片81とには、方杖83が設けられる。方杖83は、下端が連結部材69の上下方向略中央に固定され、上端が他方の取付片81に固定される。つまり、方杖83は、斜材となる。
【0059】
連結部材69は、下端が水平レール部33に連結される。開閉装置の構造では、下向きコ字状に形成した調整部材67における水平横方向の両側から一対の取付片81を突出することにより、連結部材69と調整部材67とにわたって、吊束71より大きく張り出して上広がりとなる傾斜の方杖83を固定することができる。その結果、方杖83が連結部材69の上下方向略中央と、他方の取付片81とにわたって固定されることで、下地枠65に直交する面において、連結部材69は一方の取付片81に固定される上端を中心とした振り子方向の触れが規制される。
【0060】
さらに、この開閉装置の構造では、下地枠65が、腕部63の間隔よりも長く形成される構成とすることができる。例えば一対の腕部63が突出して設けられた下地枠65では、下地枠65の長手方向一端に一方の腕部63が設けられ、他方の腕部63の位置からは下地枠65の長手方向他端が延出する。つまり、一対の腕部63を有する下地枠65は、側面視で略F字状となる。
【0061】
この場合、下地枠65にスライド自在に設けられる調整部材67の調整可能範囲は、腕部63から外れた外側にも広く確保できる。また、一対の腕部63の間で下地枠65に設けられた調整部材67は、スライドが一対の腕部63の間で規制される。つまり、一対の腕部63の間に設けられた調整部材67は、下地枠65からの離脱が規制される。これにより、連結部材69を介して調整部材67に支持される水平レール部33、すなわち、ガイドレール23は、下地枠65からの離脱が規制可能となる。その結果、一対の腕部63の間隔よりも下地枠65を長く形成でき、下地枠65にスライド自在に設けられる調整部材67の調整範囲を、一対の腕部63の間隔よりも大きく確保できる。
【0062】
また、この開閉装置の構造では、横長のパネル25を縦幅方向に連結してなる開閉体21をガイドするガイドレール23が、天井面19に沿って配設される水平レール部33を有しており、この水平レール部33には、開閉体21を天井面19に沿って収容した際、開閉体21のほぼ全重量がかかる。すなわち、水平レール部33にかかる荷重が天井側にかかることになる。そのため、水平レール部33の取り付け位置は、荷重を均等に支持するため、水平レール部33の終端と、少なくとも水平レール部33の全長における1/2の位置とすることが決められている。
【0063】
ところが、開閉体21の開閉動作において、開閉体21が水平レール部33を移動する際、ガレージ13の天井面に沿って開閉体21が移動するが、開閉体21を構成する各パネル25は左右の端縁に設けられるそれぞれのローラ27がガイド溝35内を転がりながら移動する構造であり、このガイドレール23を天井から吊っている構造であることから、天井面から水平レール部33を接続する吊下構造部分である吊束71や支持部材61に開閉体21の移動で発生する振動や揺れが伝わり、すなわち、天井から吊り下げられるガイドレール23が振り子状に揺れ、且つ吊り下げ位置が左右のガイドレール23にそれぞれであり、水平レール部33の終端と全長における1/2の位置となって複数箇所を吊っていることで、ガイドレール23はブレが発生しやすく、このブレやローラの転がりによって騒音が発生する原因となる虞がある。
【0064】
本発明の開閉装置の構造では、下地枠65に、水平レール部33の長さに応じて複数の調整部材67が取り付けられる。それぞれの調整部材67には、水平レール部33を連結する連結部材69が固定されて垂下する。これら調整部材67と連結部材69とには、両部材にわたって方杖83が固定される。つまり、方杖83は、斜材となる。方杖83は、下地枠65から垂下してガイドレール23を吊る構造において、天井面19に向かって広がるような斜材として連結部材69と調整部材67とに設けられるので、特に連結部材69の下端、すなわち、水平レール部33との連結部分が、下地枠65の水平横方向に振り子状となって振れるブレや振動が効果的に抑制可能となる。
【0065】
また、方杖83は、下地枠65に固定される調整部材67と連結部材69との間に取り付けできる。このため、天井側に配置する方杖用の下地の位置を、設計段階でハウスメーカー(建物躯体17を構築する工事業者)と決めておく必要がなく、工期の短縮も可能となる。また、吊束71の断面サイズ、すなわち腕部63が固定できるサイズの下地を確保できれば、方杖83を取り付けることが可能となる。その結果、開閉装置11を施工する際の建物躯体側の下地を大きく確保しておく必要がなく、製品側で開口部15の幅方向に傾斜する方杖83を配置して振動を軽減できる。
【0066】
次に、本実施形態に係る開閉装置の構造の変形例を説明する。
【0067】
図8は、支持部材61のバリエーションを(a)~(e)に示した側面図である。なお、図8は図中の左方が開口部15側、図中の右方がガレージ13の奥側である。
図8(a)に示すように、本実施形態に係る支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する2つの腕部63を有し、開口部側の腕部63から開口部15に向かって延長部分127が下地枠65に形成される。
図8(b)に示すように、支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する2つの腕部63を有し、奥側の腕部63からガレージ奥側に向かって延長部分127が下地枠65に形成されてもよい。
図8(c)に示すように、支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する2つの腕部63を有し、開口部側の腕部63から開口部15に向かって延長部分127が下地枠65に形成されるとともに、奥側の腕部63からガレージ奥側に向かって延長部分127が下地枠65に形成されてもよい。
図8(d)に示すように、支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する2つの腕部63を有し、双方の腕部63から延長部分127が延長されなくてもよい。
図8(e)に示すように、支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する3つの腕部63を有し、開口部側の腕部63から開口部15に向かって延長部分127が下地枠65に形成されてもよい。
【0068】
それぞれ、延長部分127を有した下地枠65とすることで、調整部材67のスライド移動範囲、すなわち調整範囲が長くなり、水平レール部33の吊下位置の調整範囲を広げることができ、開閉体21の高さ(長さ)の変更に伴う吊下位置変更の対応が可能となる。また、下地枠65として長尺な構成となることで、上述した実施形態のような調整部材67を2つで構成させるのではなく、3つで構成し長尺方向に3ヶ所で水平レール部33を吊る構成とすることも容易となり、各調整部材67の荷重負荷を分散させることが可能となる。
さらに、図8(d)に示す形状であれば、調整部材67が腕部63の間に配置されることとなり、調整部材67が下地枠65から脱落することを防止できる。
【0069】
図9は、下地枠65が伸縮構造を有した変形例に係る支持部材61の側面図である。
支持部材61は、下地枠65が、ガレージ13の奥行方向に離間する2つの腕部63を有し、2つの腕部63の間における下地枠65が伸縮構造を有していてもよい。伸縮構造は、例えば角筒状に形成した下地枠65を下地枠一端129と、下地枠他端131とに分割する。下地枠一端129には、この一端よりも小さい角筒状に形成して下地枠他端131から突出させたインロー下地枠133を挿脱自在に挿入する。この支持部材61によれば、下地枠65が伸縮するので、腕部63の間隔Kが調整できるとともに、調整部材67を省略し、連結部材69を下地枠65に直接取り付ける構成とすることも可能となる。なお、この変形例においても下地枠65に調整部材67を載置し、その調整部材67に連結部材69を取り付けても勿論よく、これにより調整範囲がさらに大きく確保できる。
【0070】
図10は、支持部材61と調整部材67とを上下逆使いする変形例に係る開閉装置の構造の側面図である。
開閉装置の構造は、ガイドレール23の水平レール部33が、横架材59に支持部材61を介して連結されるが、支持部材61と調整部材67とを上述した実施形態の用い方に対して上下逆転して用いることができる。この場合、支持部材61は、建物躯体17の奥行方向に離間して横架材59に固定される複数の調整部材67と、奥行方向に長尺で形成されてそれぞれの調整部材67に対してスライド自在となり、横架材59に調整部材67を介して垂下状態で支持される下地枠65と、を有する。下地枠65には、水平レール部33を連結する複数の連結部材69が固定される。
【0071】
この変形例による開閉装置の構造では、下地枠65をスライド自在に支持する複数の調整部材67が、建物躯体17の奥行方向に離間して横架材59に固定される。これらそれぞれの調整部材67には、ガレージ13の奥行方向に延在する真っ直ぐな下地枠65が、スライド自在に支持される。
【0072】
この開閉装置の構造では、下地枠65を例えば角筒状の単純な梁形状で形成できる。つまり、腕部63を省略することができる。角筒状の下地枠65には、連結部材69が垂下して固定される。この下地枠65には、連結部材69を締結するための複数の下穴が予め穿設されていてもよい。この連結部材69には、ガイドレール23の水平レール部33が固定されることになる。
【0073】
連結部材69は、隣接する調整部材67の間に配置されるようにして下地枠65に固定することで、調整部材67からの下地枠65の離脱を規制するよう働かせることが可能となる。なお、下地枠65が腕部63を有しないこの構成では、下地枠65の離脱を規制するストッパ部材が下地枠65に別途取り付けられてもよい。このような開閉装置の構造によれば、例えばハット型の調整部材67を上述とは逆に上向きに開口する向きで逆さにして天井51側に固定し、そのハット型に対して下地枠65を前後方向にスライド自在に支持する構成とすることもできる。
【0074】
換言すれば、この変形例の開閉装置の構造では、下地枠65に連結部材69を固定し、その連結部材69に予め水平レール部33のガイドレール枠99を固定しておくことができる。そして、水平レール部33と連結部材69と下地枠65とを仮組体135とすることができる。この仮組体135の下地枠65に上下反転して取り付けた調整部材67を、横架材59の間隔Wに合わせてスライド調整した後、取付片81を横架材59に締結固定する。これにより、下地位置を、製品側のみで調整して、仮組体135を横架材59に一括固定することもできる。
【0075】
従って、本実施形態に係る開閉装置の構造によれば、開閉装置11の開閉体重量を支える下地位置を、建物側で調整せずに、製品側で調整することができるようになる。
【0076】
また、本実施形態に係る開閉装置の構造によれば、開閉装置11を施工する際の建物躯体側の下地を大きく確保せずに、製品側で開口部15の幅方向に傾斜する方杖83を配置して振動を軽減できる。
【0077】
なお、上述した各実施形態においては、建物躯体17に天井51を備え、この天井51を構成する横架材59に支持部材61を設け、この支持部材61を介してガイドレール23が配設される構成とした例について述べたが、天井51の無い建物躯体17に対しても上記同様に本発明の開閉装置の構造が適用でき、同様の効果を得られるものである。
【符号の説明】
【0078】
11…開閉装置
15…開口部
17…建物躯体
21…開閉体
23…ガイドレール
29…垂直レール部
33…水平レール部
59…横架材
61…支持部材
63…腕部
65…下地枠
67…調整部材
69…連結部材
71…吊束
81…取付片
83…方杖
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10