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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016537
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240131BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20240131BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H05K3/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118740
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 千絵
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 建吾
(57)【要約】
【課題】状態検出の容易性を高めることができる半導体記憶装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、基板と、第1半導体メモリとを有する。前記第1半導体メモリは、前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有する。前記複数の接合部は、前記第1半導体メモリに関する状態検出用のデイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有する。前記基板の厚さ方向から見た場合、前記第1半導体メモリにおいて前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、前記第1半導体メモリの中心と比べて、前記4つの角に含まれる第1角の近くに配置されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有した第1半導体メモリと、
を備え、
前記複数の接合部は、前記第1半導体メモリに関する状態検出用のデイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有し、
前記基板の厚さ方向から見た場合、前記第1半導体メモリにおいて前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、前記第1半導体メモリの中心と比べて、前記4つの角に含まれる第1角の近くに配置された、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記基板の厚さ方向から見た場合、前記4つの角のうち前記第1角を除く残り3つの角の各々と前記第1半導体メモリの前記中心との間には、前記デイジーチェーンまたは別のデイジーチェーンは存在しない、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、1つまたは2つの接合部である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記基板は、前記1つ以上の接合部に接続されるとともに前記第1半導体メモリから離れる方向に延びた第1導電ラインと、前記第1半導体メモリから離れる方向に延びた第2導電ラインとを有し、前記第2導電ラインと前記第1導電ラインとの間には前記1つ以上の接合部が電気的に直列に接続された、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有した第2半導体メモリをさらに備え、
前記基板は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを有し、
前記第1半導体メモリは、前記第1面に実装され、
前記第2半導体メモリは、前記第2面に実装され、前記基板の厚さ方向から見た場合に前記第1半導体メモリの少なくとも一部と重なり、
前記第2半導体メモリの前記複数の接合部は、前記デイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有し、
前記第1導電ラインは、前記基板内を前記基板の厚さ方向に延びた部分を少なくとも含み、前記デイジーチェーンに含まれる前記第2半導体メモリの前記1つ以上の接合部に接続された、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2半導体メモリは、前記第2半導体メモリの前記4つの角のなかで前記第1半導体メモリの前記第1角に最も近い第2角を有し、
前記基板の厚さ方向から見た場合、前記第2半導体メモリにおいて前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、前記第2半導体メモリの中心と比べて、前記第2角の近くに配置された、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有した第3半導体メモリをさらに備え、
前記基板は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを有し、
前記第1半導体メモリおよび前記第3半導体メモリは、前記第1面に実装されて隣り合い、
前記第3半導体メモリの前記複数の接合部は、前記デイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有し、
前記第2導電ラインは、前記デイジーチェーンに含まれる前記第3半導体メモリの前記1つ以上の接合部に接続された、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第3半導体メモリは、前記第3半導体メモリの前記4つの角のなかで前記第1半導体メモリの前記第1角に最も近い第3角を有し、
前記基板の厚さ方向から見た場合、前記第3半導体メモリにおいて前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、前記第3半導体メモリの中心と比べて、前記第3角の近くに配置された、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記1つ以上の接合部は、1つの導電体である第1接合部を含み、
前記基板は、前記第1接合部が接合されるパッドを有し、
前記パッドは、前記第1接合部の一部が接合された第1部分と、前記第1部分から離れて配置され、前記第1接合部の別の一部が接合された第2部分とを含む、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1部分の面積と前記第2部分の面積との合計は、前記第1接合部の面積よりも小さい、
請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記1つ以上の接合部は、第1接合部と、第2接合部とを含む複数の接合部を含み、
前記第1接合部および前記第2接合部は、前記第1半導体メモリ内で互いに接続されるとともに、電源端子として使用可能な接合部である、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記基板は、複数のねじ挿通穴を有し、
前記複数のねじ挿通穴は、前記複数のねじ挿通穴のなかで前記第1半導体メモリに最も近い第1ねじ挿通穴を有し、
前記第1角は、前記4つの角のなかで前記第1ねじ挿通穴に最も近い角である、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記基板に実装され、前記第1半導体メモリを含むとともに、前記デイジーチェーンが接続された複数の半導体メモリと、
第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子とは抵抗値が異なる第2抵抗素子と、
をさらに備え、
前記第1抵抗素子は、前記デイジーチェーンにおいて、前記複数の半導体メモリに含まれる1つ以上の半導体メモリと電気的に並列に接続され、
前記第2抵抗素子は、前記デイジーチェーンにおいて、前記複数の半導体メモリに含まれる別の1つ以上の半導体メモリと電気的に並列に接続された、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置した第2面とを有した基板と、
前記第1面に実装され、前記基板に接合された複数の接合部を有する第1半導体メモリと、
前記第2面に実装され、前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に前記第1半導体メモリの少なくとも一部と重なる第2半導体メモリと、
を備え、
前記第1半導体メモリの前記複数の接合部に含まれる1つ以上の接合部と、前記第2半導体メモリの前記複数の接合部に含まれる1つ以上の接合部とを含むデイジーチェーンが設けられた、
半導体記憶装置。
【請求項15】
基板と、
前記基板に接合された複数の接合部を有する第1半導体メモリと、
を備え、
前記複数の接合部は、前記第1半導体メモリに関する状態検出用のデイジーチェーンに含まれる、1つの導電体である第1接合部を有し、
前記基板は、前記第1接合部が接合されるパッドを有し、
前記パッドは、前記第1接合部の一部が接合された第1部分と、前記第1部分から離れて配置され、前記第1接合部の別の一部が接合された第2部分とを含む、
半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第1部分の面積と前記第2部分の面積との合計は、前記第1接合部の面積よりも小さい、
請求項15に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板に実装された半導体メモリとを備えた半導体記憶装置が知られている。半導体メモリは、基板に接合された複数の接合部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9,383,401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、状態検出の容易性を高めることができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、第1半導体メモリとを有する。前記第1半導体メモリは、前記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、前記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有する。前記複数の接合部は、前記第1半導体メモリに関する状態検出用のデイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有する。前記基板の厚さ方向から見た場合、前記第1半導体メモリにおいて前記デイジーチェーンに含まれる前記1つ以上の接合部は、前記第1半導体メモリの中心と比べて、前記4つの角に含まれる第1角の近くに配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体記憶装置を示す斜視図。
図2】第1実施形態の半導体記憶装置を一部分解して示す斜視図。
図3】第1実施形態の半導体メモリの構成を説明するための図。
図4】第1実施形態のデイジーチェーンの一部を説明するための断面図。
図5】第1実施形態のデイジーチェーンの接続関係を説明するための図。
図6】第1実施形態の基板ユニットを示す平面図。
図7】第1実施形態の基板ユニットの一部を模式的に示す斜視図。
図8】第1実施形態の変形例のデイジーチェーンの接続関係を説明するための図。
図9】第2実施形態の半導体メモリの構成を説明するための図。
図10】第2実施形態の基板を示す平面図。
図11】第2実施形態のデイジーチェーンの一部を説明するための図。
図12】第2実施形態のデイジーチェーンの接続関係を説明するための図。
図13】第2実施形態の基板ユニットの一部を模式的に示す斜視図。
図14】第2実施形態の変形例の基板ユニットの構成を説明するための図。
図15】第3実施形態の半導体メモリの構成を説明するための図。
図16】第3実施形態の基板ユニットを示す断面図。
図17】第3実施形態の基板ユニットを説明するための図。
図18】第3実施形態の基板ユニットを説明するための図。
図19】第4実施形態の基板ユニットを示す平面図。
図20】第5実施形態のデイジーチェーンを説明するための断面図。
図21】第5実施形態の半導体メモリの構成を説明するための図。
図22】第6実施形態のデイジーチェーンの接続関係を説明するための図。
図23】第7実施形態のデイジーチェーンの接続関係を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の半導体記憶装置を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本出願で「平行」、「直交」、または「同じ」とは、それぞれ「略平行」、「略直交」、または「略同じ」である場合も含み得る。本出願で「接続」とは、機械的な接続に限定されず、電気的な接続も含み得る。また、「接続」とは、接続対象である2つの要素が直接に接続される場合に限定されず、別の要素を間に介在させて接続対象である2つの要素が接続される場合も含み得る。本出願で「重なる」とは、別の要素を間に介在させて重なる場合も含み得る。
【0008】
ここで、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、および-Z方向について定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、後述する基板21の第1面21aと平行な方向である(図2参照)。+X方向は、基板21の第1端部21e1から第2端部21e2に向かう方向である(図2参照)。-X方向は、+X方向とは反対の方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述するNANDメモリ25AからNANDメモリ25Bに向かう方向である(図2参照)。-Y方向は、+Y方向とは反対の方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。+Z方向および-Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向であり、基板21の厚さ方向である。+Z方向は、基板21の第2面21bから第1面21aに向かう方向である(図2参照)。-Z方向は、+Z方向とは反対の方向である。+Z方向と-Z方向とを区別しない場合は、単に「Z方向」と称する。
【0009】
(第1実施形態)
<1.半導体記憶装置の全体構成>
図1から図7を参照し、第1実施形態の半導体記憶装置1について説明する。
図1は、半導体記憶装置1を示す斜視図である。半導体記憶装置1は、例えばSSD(Solid State Drive)のような記憶装置である。半導体記憶装置1は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置(以下「ホスト装置」と称する)に取り付けられ、ホスト装置の記憶領域として利用される。
【0010】
図2は、半導体記憶装置1を一部分解して示す斜視図である。半導体記憶装置1は、例えば、筐体10と、基板ユニット20とを有する。
【0011】
<1.1 筐体>
筐体10は、半導体記憶装置1の外郭を形成する部材である(図1参照)。筐体10の形状は、例えば扁平な矩形筒である。図2に示すように、筐体10は、例えば、第1部材11と、第2部材12と、複数の固定部材13とを含む。第1部材11は、例えば、基板ユニット20に対して+Z方向側に位置した壁部と、基板ユニット20に対して+Y方向側に位置した壁部と、基板ユニット20に対して-Y方向側に位置した壁部とを含む。第2部材12は、基板ユニット20に対して-Z方向側に位置した壁部を含む。固定部材13は、第1部材11と第2部材12とを連結する部材である。固定部材13は、例えばねじである。本実施形態では、第1部材11と第2部材12とが複数の固定部材13によって連結されることで、筐体10が形成される。
【0012】
<1.2 基板ユニット>
基板ユニット20は、回路を含む部品が実装された組立体である。基板ユニット20は、筐体10に少なくとも一部が収容される。基板ユニット20は、例えば、基板21、コントローラ22、電力変換部品23、電源回路部品24、複数のNANDメモリ25(NANDメモリ25A~25H)、およびDRAM(Dynamic Random Access Memory)26を有する。
【0013】
基板21は、プリント配線板である。基板21は、X方向およびY方向に沿う板状である。基板21は、第1面21aと、第2面21bとを有する。第1面21aは、+Z方向に向いた面である。第2面21bは、第1面21aとは反対側に位置し、-Z方向に向いた面である。
【0014】
基板21は、当該基板21の長手方向の両端部として、第1端部21e1と、第1端部21e1とは反対側に位置した第2端部21e2とを有する。基板21の第1端部21e1は、コネクタCを有する。コネクタCは、ホスト装置に接続可能な電気接続部である。
【0015】
基板21は、絶縁基材31と、絶縁基材31に設けられた配線パターン32とを含む(図4参照)。配線パターン32は、NANDメモリ25が接合される複数のパッド35と、複数の導電ライン36とを含む。
【0016】
コントローラ22は、基板21に実装された制御用部品である。コントローラ22は、半導体記憶装置1の全体を統括的に制御する。コントローラ22は、例えば、ホスト装置との通信を行うホストインターフェース回路、複数のNANDメモリ25を制御する制御回路、およびDRAM26を制御する制御回路などが1つの半導体チップに集積されたSoC(System on a Chip)を含む半導体パッケージである。コントローラ22は、複数のNANDメモリ25に対するデータの書き込み、読み出し、または消去を制御可能である。
【0017】
電力変換部品23は、電力を変換する部品である。電力変換部品23は、例えば、DC-DCコンバータである。電力変換部品23は、コネクタCを介してホスト装置から供給される電力を所望の電力に変換する。電力変換部品23は、変換した電力を電源回路部品24に出力する。
【0018】
電源回路部品24は、電力管理を行う部品である。電源回路部品24は、例えば、PMIC(Power Management IC)である。電源回路部品24は、基板ユニット20に含まれる各部品(コントローラ22、NANDメモリ25、DRAM26など)に電力を供給する。
【0019】
NANDメモリ25は、不揮発にデータを記憶する半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。NANDメモリ25は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。図2に示すように、複数のNANDメモリ25は、基板21の第1面21aと第2面21bとに分かれて実装されている。NANDメモリ25は、「半導体メモリ」の一例である。ただし、「半導体メモリ」は、NOR型メモリや、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、抵抗変化型メモリなど他の種類のメモリでもよい。
【0020】
複数のNANDメモリ25は、コントローラ22に対して、+X方向側に配置されている。複数のNANDメモリ25は、基板21の第1面21aに実装された複数(例えば4つ)のNANDメモリ25A~25Dと、基板21の第2面21bに実装された複数(例えば4つ)のNANDメモリ25E~25Hとを含む。NANDメモリ25A,25Bは、NANDメモリ25C,25Dに対して、-X方向側に配置されている。NANDメモリ25A,25Bは、Y方向で隣り合う。NANDメモリ25C,25Dは、Y方向で隣り合う。同様に、NANDメモリ25E,25Fは、NANDメモリ25G,25Hに対して、-X方向側に配置されている。NANDメモリ25E,25Fは、Y方向で隣り合う。NANDメモリ25G,25Hは、Y方向で隣り合う。以下では、NANDメモリ25A~25Hを互いに区別しない場合、単に「NANDメモリ25」と称する。
【0021】
DRAM26は、揮発にデータを記憶する半導体メモリチップを含む半導体パッケージである。DRAM26は、ホスト装置から受信した書き込みデータ、または1つ以上のNANDメモリ25から読み出された読み出しデータなどが一時的に格納されるデータバッファとして用いられ得る。
【0022】
<2.NANDメモリ>
<2.1 NANDメモリの構成>
次に、NANDメモリ25の構成について説明する。
図3は、NANDメモリ25の構成を説明するための図である。NANDメモリ25は、パッケージ基板41、1つ以上の半導体メモリチップ42、封止樹脂部43、および複数の接合部44を有する。なお、NANDメモリ25は、例えば図2に示すように長方形状であるが、図3およびいくつかの図では説明の便宜上、正方形状に図示されている。
【0023】
パッケージ基板41は、NANDメモリ25のベースとなる基板である。パッケージ基板41は、プリント配線板である。パッケージ基板41は、X方向およびY方向に沿う板状である。パッケージ基板41は、第1面41aと、第1面41aとは反対側に位置した第2面41bとを有する。Z方向で見た場合、パッケージ基板41は、NANDメモリ25の外形を規定する。パッケージ基板41は、絶縁基材51と、絶縁基材51に設けられた配線パターン52とを含む(図4参照)。
【0024】
1つ以上の半導体メモリチップ42の各々は、複数のメモリセルを有し、データを記憶可能な部品である。1つ以上の半導体メモリチップ42は、パッケージ基板41の第1面41a上にZ方向に積層されている。1つ以上の半導体メモリチップ42の各々は、X方向およびY方向に沿う板状である。以下では、1つ以上の半導体メモリチップ42が積層されることで形成された構造体を「メモリチップ構造体42S」として模式的に図示する場合がある(図4参照)。
【0025】
封止樹脂部43は、1つ以上の半導体メモリチップ42を覆う封止部である。封止樹脂部43は、いわゆるモールド樹脂部であり、絶縁性を有する。
【0026】
複数の接合部44は、NANDメモリ25の外部に露出した電気接続端子である。複数の接合部44は、パッケージ基板41の第2面41bに設けられている。複数の接合部44は、X方向およびY方向に並べられて配置されている。各接合部44は、基板21のパッド35に接合される。本実施形態では、複数の接合部44は、半田ボールである。すなわち、本実施形態では、NANDメモリ25は、BGA(Ball Grid Array)タイプの半導体パッケージである。ただし、接合部44は、半田ボールに限定されない。接合部44は、導電ペーストを介して基板21に接続されるパッドなどでもよい。
【0027】
<2.2 接合部の配置>
次に、接合部44の配置について説明する。
ここでは先に、NANDメモリ25の形状について説明する。図3に示すように、Z方向で見た場合、NANDメモリ25(例えばパッケージ基板41)は、矩形であり、4つの辺S1~S4と、4つの角C1~C4とを有する。
【0028】
辺S1は、例えば、NANDメモリ25の-X方向側の端に位置する辺であり、Y方向に延びている。辺S2は、例えば、NANDメモリ25の+Y方向側の端に位置する辺であり、X方向に延びている。辺S3は、例えば、NANDメモリ25の+X方向側の端に位置する辺であり、Y方向に延びている。辺S4は、例えば、NANDメモリ25の-Y方向側の端に位置する辺であり、X方向に延びている。
【0029】
角C1は、辺S1と辺S2との交点である。角C2は、辺S2と辺S3との交点である。角C3は、辺S1と辺S4との交点である。角C4は、辺S3と辺S4との交点である。
【0030】
次に、複数の接合部44の配置について説明する。複数の接合部44は、例えば、第1から第5グループG1~G5に分かれて配置されている。複数の接合部44は、例えば、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1、第2グループG2に含まれる複数の接合部44G2、第3グループG3に含まれる複数の接合部44G3、第4グループG4に含まれる複数の接合部44G4、および第5グループG5に含まれる複数の接合部44G5を含む。
【0031】
第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1は、NANDメモリ25の中央に対応して配置されている。複数の接合部44G1は、NANDメモリ25の中央を中心Mとして、X方向およびY方向に格子状に配列されている。
【0032】
第2グループG2に含まれる複数の接合部44G2は、NANDメモリ25の中心Mと比べて、角C1の近くに配置されている。複数の接合部44G2は、NANDメモリ25の辺S1または辺S2に沿って配置されている。複数の接合部44G2は、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも-X方向側に配置された複数列の接合部44と、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも+Y方向側に配置された複数列の接合部44とを含む。
【0033】
第3グループG3に含まれる複数の接合部44G3は、NANDメモリ25の中心Mと比べて、角C2の近くに配置されている。複数の接合部44G3は、NANDメモリ25の辺S2または辺S3に沿って配置されている。複数の接合部44G3は、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも+X方向側に配置された複数列の接合部44と、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも+Y方向側に配置された複数列の接合部44とを含む。
【0034】
第4グループG4に含まれる複数の接合部44G4は、NANDメモリ25の中心Mと比べて、角C3の近くに配置されている。複数の接合部44G4は、NANDメモリ25の辺S1または辺S4に沿って配置されている。複数の接合部44G4は、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも-X方向側に配置された複数列の接合部44と、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも-Y方向側に配置された複数列の接合部44とを含む。
【0035】
第5グループG5に含まれる複数の接合部44G5は、NANDメモリ25の中心Mと比べて、角C4の近くに配置されている。複数の接合部44G5は、NANDメモリ25の辺S3または辺S4に沿って配置されている。複数の接合部44G5は、第1グループG5に含まれる複数の接合部44G1よりも+X方向側に配置された複数列の接合部44と、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1よりも-Y方向側に配置された複数列の接合部44とを含む。
【0036】
本実施形態では、第1グループG1に含まれる複数の接合部44G1は、信号が流れる信号端子、電源回路部品24から電力が供給される電源端子、またはグラウンドGNDに接続されたグラウンド端子などを含む。一方で、第2から第5グループG2~G5の複数の接合部44G2,44G3,44G4,44G5は、いわゆるダミー端子であり、信号端子、電源端子、またはグラウンド端子として使用されない。
【0037】
<3.デイジーチェーンの接続関係>
次に、半導体記憶装置1に設けられたデイジーチェーンDCについて説明する。本出願で「デイジーチェーン」とは、3つ以上の導電要素が電気的に直列に接続された電気接続部を意味する。例えば、デイジーチェーンは、基板21とNANDメモリ25との接合状態(または寿命)を検出するための電気接続部である。
【0038】
<3.1 デイジーチェーンの構成>
図4は、デイジーチェーンDCの一部を説明するための断面図である。デイジーチェーンDCは、例えば、2つの導電ライン36A,36Bと、2つのパッド35A,35Bと、1つ以上の接合部44A,44B(以下「検出用接合部44A,44B」と称する)と、導電ライン56とを含む。2つの導電ライン36A,36Bは、基板21に設けられた複数の導電ライン36に含まれる。2つのパッド35A,35Bは、基板21に設けられた複数のパッド35に含まれる。検出用接合部44A,44Bは、NANDメモリ25の複数の接合部44に含まれる1つ以上(例えば2つ)の接合部44である。導電ライン56は、パッケージ基板41に設けられた配線パターン52に含まれる。
【0039】
導電ライン36Aは、パッド35Aに接続されている。パッド35Aには、NANDメモリ25の検出用接合部44Aが接合される。一方で、導電ライン36Bは、パッド35Bに接続されている。パッド35Bには、NANDメモリ25の検出用接合部44Bが接合される。導電ライン56は、NANDメモリ25の内部において、検出用接合部44Aと検出用接合部44Bとを接続している。
【0040】
以上の構成により、導電ライン36Aは、パッド35Aを介してNANDメモリ25の検出用接合部44Aに接続されている。一方で、導電ライン36Bは、パッド35Bを介してNANDメモリ25の検出用接合部44Bに接続されている。言い換えると、導電ライン36Bは、導電ライン36Aとの間に複数の検出用接合部44A,44Bを電気的に直列に接続している。これにより、導電ライン36Aと導電ライン36Bとの間の抵抗値に応じて変化する特性値(例えば電圧値)を検出することで、基板21と接合部44(例えば検出用接合部44A,44B)との接合状態を検出することができる。
【0041】
なお、導電ライン36A,36Bは、基板21の内層に設けられてもよく、基板21の表層に設けられてよい。同様に、導電ライン56は、パッケージ基板41の内層に設けられてもよく、パッケージ基板41の表層に設けられてよい。
【0042】
<3.2 デイジーチェーンに含まれる接合部の配置>
次に、デイジーチェーンDCに含まれる検出用接合部44A,44Bの配置について説明する。本実施形態では、複数の検出用接合部44A,44Bは、NANDメモリ25の4つの角C1~C4のうち1つの角に対応して配置されている。本出願で検出用接合部44A,44Bが「ある角に対応して配置」とは、例えば、上述した第2から第5グループG2~G5のなかで上記ある角に最も近いグループに検出用接合部44A,44Bが含まれることを意味する。例えば、図3は、検出用接合部44A,44Bが角C1に対応して配置される例を示す。この場合、第2グループG2に検出用接合部44A,44Bが含まれる。なお別の観点では、「ある角に対応して配置」とは、例えば、接合部44に関する配列であって、当該ある角に最も近いX方向に沿う3列以下の複数の列と、当該ある角に最も近いY方向に沿う3列以下の複数の列とにより規定される格子状の配列(例えば3×3の配列)に検出用接合部44A,44Bが含まれることを意味する。
【0043】
本実施形態では、上記2つの検出用接合部44A,44Bのうち一方の検出用接合部44Aは、NANDメモリ25の複数の接合部44のなかで上記角に最も近い接合部44(いわゆるコーナーバンプ)である。一方で、上記2つの検出用接合部44A,44Bのうち他方の検出用接合部44Bは、NANDメモリ25の1つの辺に沿って検出用接合部44Aと隣り合う接合部44である。すなわち、検出用接合部44Bは、NANDメモリ25の複数の接合部44のなかで最外周に配置された接合部44である。
【0044】
図5は、デイジーチェーンDCの接続関係を説明するための図である。本実施形態では、デイジーチェーンDCは、例えば、基板21および4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fに亘って設けられている。デイジーチェーンDCは、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fに関して設けられたデイジーチェーンである。本実施形態では、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fに関するデイジーチェーンとして、上述したデイジーチェーンDCのみが設けられている。
【0045】
本実施形態では、デイジーチェーンDCは、基板21の複数の導電ライン36に含まれる導電ライン36L1~36L6と、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fの各々に含まれる検出用接合部44A,44Bと、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fの各々に含まれる導電ライン56とを有する。導電ライン36L1~36L6の各々は、上述した導電ライン36Aおよび導電ライン36Bの少なくとも一方として機能する。
【0046】
導電ライン36L1の一端は、抵抗素子27を介して、電源回路部品24に接続されている。電源回路部品24は、導電ライン36L1に電圧を印加する。導電ライン36L1の他端は、NANDメモリ25Eの検出用接合部44Aに接続されている。導電ライン36L1の途中には、導電ライン36L2の一端が接続されている。導電ライン36L2の他端は、コントローラ22の入力端子(検出用端子)22aに接続されている。コントローラ22は、導電ライン36L2から入力端子22aに印加される電圧値を検出可能である。
【0047】
導電ライン36L3の一端は、NANDメモリ25Eの検出用接合部44Bに接続されている。導電ライン36L3の他端は、NANDメモリ25Aの検出用接合部44Bに接続されている。導電ライン36L4の一端は、NANDメモリ25Aの検出用接合部44Aに接続されている。導電ライン36L4の他端は、NANDメモリ25Bの検出用接合部44Aに接続されている。導電ライン36L5の一端は、NANDメモリ25Bの検出用接合部44Bに接続されている。導電ライン36L5の他端は、NANDメモリ25Fの検出用接合部44Bに接続されている。導電ライン36L6の一端は、NANDメモリ25Fの検出用接合部44Aに接続されている。導電ライン36L6の他端は、グラウンドGNDに接続されている。
【0048】
このような構成によれば、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fと基板21との接合状態が正常である場合、コントローラ22の入力端子22aには所定基準未満の低い電圧値(例えば0V)が入力される。一方で、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fのうち少なくとも1つの検出用接合部44Aまたは検出用接合部44Bと基板21との接合状態に不具合(例えば破断や剥離)が存在する場合、コントローラ22の入力端子22aには所定基準以上の高い電圧値が入力される。これにより、コントローラ22は、入力端子22aに印加される電圧値に基づき、基板ユニット20の状態(例えば基板21とNANDメモリ25との接合状態)を判定することができる。
【0049】
<4.デイジーチェーンのレイアウト>
次に、デイジーチェーンDCのレイアウトについて説明する。
図6は、基板ユニット20を示す平面図である。図7は、基板ユニット20の一部を模式的に示す斜視図である。なお図7では、説明の便宜上、基板21の図示を省略するとともに、各接合部44を平面状に図示している。また以下では説明の便宜上、NANDメモリ25Aを「第1NANDメモリ25A」、NANDメモリ25Eを「第2NANDメモリ25E」、NANDメモリ25Bを「第3NANDメモリ25B」、NANDメモリ25Fを「第4NANDメモリ25F」と称する場合がある。
【0050】
<4.1 第1NANDメモリ25Aに関するレイアウト>
図6に示すように、本実施形態では、第1NANDメモリ25Aの4つの角C1~C4は、Y方向で並ぶNANDメモリ25Bと隣り合う角C1を含む。角C1は、第1NANDメモリ25Aのなかで-X方向側且つ+Y方向側の角である。
【0051】
第1NANDメモリ25Aの検出用接合部44A,44Bは、第1NANDメモリ25Aの角C1に対応して配置されている。すなわち、Z方向で見た場合、第1NANDメモリ25AにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各検出用接合部44A,44Bは、第1NANDメモリ25Aの中心Mと比べて、角C1の近くに配置されている。本出願で「半導体メモリの中心と比べて接合部がある角に近い」とは、上記接合部と上記ある角との間の距離が上記半導体メモリの中心と上記ある角との間の距離よりも短いことを意味する。
【0052】
第1NANDメモリ25Aにおいて、検出用接合部44Aは、複数の接合部44のなかで最も-X方向側且つ最も+Y方向側に位置した接合部44である。検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も+Y方向側の列に含まれる接合部44である。これに代えて、検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-X方向側の列に含まれる接合部44でもよい。例えば、検出用接合部44Bは、X方向またはY方向で検出用接合部44Aと隣り合う接合部44である。
【0053】
一方で、Z方向で見た場合、第1NANDメモリ25Aの4つの角C1~C4のうち角C1を除く残り3つの角C2,C3,C4の各々と第1NANDメモリ25Aの中心Mとの間には、上述したデイジーチェーンDCまたは別のデイジーチェーンは存在しない。
【0054】
第1NANDメモリ25Aの検出用接合体44Aには、導電ライン36L4が接続されている(図7参照)。導電ライン36L4は、第1NANDメモリ25Aから離れる方向に延びている。同様に、第1NANDメモリ25Aの検出用接合体44Bには、導電ライン36L3が接続されている。導電ライン36L3は、第1NANDメモリ25Aから離れる方向に延びている。本実施形態では、第1NANDメモリ25Aは、「第1半導体メモリ」の一例である。第1NANDメモリ25Aの角C1は、「第1角」の一例である。
【0055】
<4.2 第2NANDメモリ25Eに関するレイアウト>
第2NANDメモリ25Eは、Z方向で基板21を間に挟んで第1NANDメモリ25Aの少なくとも一部と重なる。上述した導電ライン36L3の少なくとも一部は、第1NANDメモリ25Aと第2NANDメモリ25Eとの間において基板21内をZ方向に延びている。例えば、導電ライン36L3の少なくとも一部は、基板21に設けられたスルーホールである。導電ライン36L3は、基板21の第2面21bにおいて第2NANDメモリ25Eの検出用接合部44Bに接続されている。導電ライン36L3は、「第1導電ライン」の一例である。
【0056】
本実施形態では、第2NANDメモリ25Eは、Z方向で見た場合、第2NANDメモリ25Eの4つの角C1~C4のなかで第1NANDメモリ25Aの角C1に最も近い角C1を有する。第2NANDメモリ25Eの角C1は、例えば、第2NANDメモリ25Eのなかで-X方向側且つ+Y方向側の角である。
【0057】
第2NANDメモリ25Eの検出用接合部44A,44Bは、第2NANDメモリ25Eにおいて角C1に対応して配置されている。すなわち、Z方向で見た場合、第2NANDメモリ25EにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各検出用接合部44A,44Bは、第2NANDメモリ25Eの中心Mと比べて、角C1の近くに配置されている。第2NANDメモリ25Eにおいて、検出用接合部44Aは、複数の接合部44のなかで最も-X方向側且つ最も+Y方向側に位置した接合部である。検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も+Y方向側の列に含まれる接合部である。これに代えて、検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-X方向側の列に含まれる接合部でもよい。例えば、検出用接合部44Bは、X方向またはY方向で検出用接合部44Aと隣り合う接合部44である。
【0058】
一方で、Z方向で見た場合、第2NANDメモリ25Eの4つの角C1~C4のうち角C1を除く残り3つの角C2,C3,C4の各々と第2NANDメモリ25Eの中心Mとの間には、上述したデイジーチェーンDCまたは別のデイジーチェーンは存在しない。
【0059】
第2NANDメモリ25Eの検出用接合部44Aには、導電ライン36L1が接続されている。導電ライン36L1は、第2NANDメモリ25Eから離れる方向に延びている。本実施形態では、第2NANDメモリ25Eは、「第2半導体メモリ」の一例である。第2NANDメモリ25Eの角C1は、「第2角」の一例である。
【0060】
<4.3 第3NANDメモリ25Bに関するレイアウト>
第3NANDメモリ25Bは、第1NANDメモリ25AとY方向で隣り合う。導電ライン36L4の少なくとも一部は、第1NANDメモリ25Aと第3NANDメモリ25Bとの間で基板21の表層または内層を延びている。導電ライン36L4は、基板21の第1面21aにおいて第3NANDメモリ25Bの検出用接合部44Aに接続されている。導電ライン36L4は、「第2導電ライン」の一例である。
【0061】
本実施形態では、第3NANDメモリ25Bは、Z方向で見た場合、第3NANDメモリ25Bの4つの角C1~C4のなかで第1NANDメモリ25Aの角C1に最も近い角C3を有する。第3NANDメモリ25Bの角C3は、例えば、第3NANDメモリ25Bのなかで-X方向側且つ-Y方向側の角である。
【0062】
第3NANDメモリ25Bの検出用接合部44A,44Bは、第3NANDメモリ25Bにおいて角C3に対応して配置されている。すなわち、Z方向で見た場合、第3NANDメモリ25BにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各検出用接合部44A,44Bは、第3NANDメモリ25の中心Mと比べて、角C3の近くに配置されている。第3NANDメモリ25Bにおいて、検出用接合部44Aは、複数の接合部44のなかで最も-X方向側且つ最も-Y方向側に位置した接合部である。検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-Y方向側の列に含まれる接合部である。これに代えて、検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-X方向側の列に含まれる接合部でもよい。例えば、検出用接合部44Bは、X方向またはY方向で検出用接合部44Aと隣り合う接合部44である。
【0063】
一方で、Z方向で見た場合、第3NANDメモリ25Bの4つの角C1~C4のうち角C3を除く残り3つの角C1,C2,C4の各々と第3NANDメモリ25Bの中心Mとの間には、上述したデイジーチェーンDCまたは別のデイジーチェーンは存在しない。
【0064】
第3NANDメモリ25Bの検出用接合体44Bには、導電ライン36L5が接続されている。導電ライン36L5は、第3NANDメモリ25Bから離れる方向に延びている。本実施形態では、第3NANDメモリ25Bは、「第3半導体メモリ」の一例である。第3NANDメモリ25Bの角C3は、「第3角」の一例である。
【0065】
<4.4 第4NANDメモリ25Fに関するレイアウト>
第4NANDメモリ25Fは、第2NANDメモリ25EとY方向で隣り合うとともに、Z方向で基板21を間に挟んで第3NANDメモリ25Bの少なくとも一部と重なる。上述した導電ライン36L5の少なくとも一部は、第3NANDメモリ25Bと第4NANDメモリ25Fとの間において基板21内をZ方向に延びている。例えば、導電ライン36L5の少なくとも一部は、基板21に設けられたスルーホールである。導電ライン36L5は、基板21の第2面21bにおいて第4NANDメモリ25Fの検出用接合部44Bに接続されている。
【0066】
本実施形態では、第4NANDメモリ25Fは、Z方向で見た場合、第4NANDメモリ25Fの4つの角C1~C4のなかで第3NANDメモリ25Bの角C3に最も近い角C3を有する。角C3は、例えば、第4NANDメモリ25Fのなかで-X方向側且つ-Y方向側の角である。
【0067】
第4NANDメモリ25Fの検出用接合部44A,44Bは、第4NANDメモリ25Fにおいて角C3に対応して配置されている。すなわち、Z方向で見た場合、第4NANDメモリ25FにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各検出用接合部44A,44Bは、第4NANDメモリ25Fの中心Mと比べて、角C3の近くに配置されている。本実施形態では、検出用接合部44Aは、複数の接合部44のなかで最も-X方向側且つ最も-Y方向側に位置した接合部である。検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-Y方向側の列に含まれる接合部である。これに代えて、検出用接合部44Bは、例えば、複数の接合部44のなかで最も-X方向側の列に含まれる接合部でもよい。例えば、検出用接合部44Bは、X方向またはY方向で検出用接合部44Aと隣り合う接合部44である。
【0068】
一方で、Z方向で見た場合、第4NANDメモリ25Fの4つの角C1~C4のうち角C3を除く残り3つの角C1,C2,C4の各々と第4NANDメモリ25Fの中心Mとの間には、上述したデイジーチェーンDCまたは別のデイジーチェーンは存在しない。
【0069】
第4NANDメモリ25Fの検出用接合体44Aには、導電ライン36L6が接続されている。導電ライン36L6は、第4NANDメモリ25Fから離れる方向に延びている。導電ライン36L6は、グラウンドGNDに接続されている。
【0070】
<5.動作>
本実施形態では、基板21と4つのNANDメモリ25との接合状態に不具合がない場合、コントローラ22の入力端子22aには、所定基準未満の電圧(例えば0V)が入力される。コントローラ22は、入力端子22aに上記所定基準未満の電圧が入力される場合、基板ユニット20が正常であると判定する。
【0071】
一方で、基板21と4つのNANDメモリ25との接合状態に不具合(例えば破断や剥離)がある場合、コントローラ22の入力端子22aには、上記所定基準以上の電圧が入力される。コントローラ22は、入力端子22aに上記所定基準以上の電圧が入力される場合、基板ユニット20に不具合が生じていると判定する。
【0072】
<6.利点>
一般的に、基板または部品の破断や剥離を検出するためには、インク浸漬試験(dye and pry)などの物理解析が必要になる。このような物理解析を行うと、基板や部品を元の状態に戻せなくなるため、不良原因が基板または部品の破断や剥離でなかった場合は、原因が特定できなくなる場合がある。
【0073】
一方で、本実施形態では、第1NANDメモリ25Aは、第1NANDメモリ25Aに関する状態検出用のデイジーチェーンDCに含まれる1つ以上の検出用接合部44A,44Bを有する。このような構成によれば、物理解析を行うことなく、基板または部品の破断や剥離を電気的に検出することができる。これにより、半導体記憶装置1の状態検出(例えば不具合状態または劣化状態の検出)の容易性を高めることができる。
【0074】
ここで本発明者らの独自研究によれば、NANDメモリ25の複数の接合部44のなかで4つの角C1~C4の近くに配置された接合部44に不具合が生じやすい。この不具合は4つの角C1~C4に対応する複数の接合部44においてほぼ同じ時期に生じることが多くある。すなわち、本発明者らの独自研究によれば、4つの角C1~C4のうち任意の1つの角の近くに配置された接合部44の状態を検出することで、NANDメモリ25の全体の接合状態を推定可能である。
【0075】
そこで実施形態では、Z方向で見た場合、第1NANDメモリ25AにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各検出用接合部44A,44Bは、第1NANDメモリ25Aの中心Mと比べて、1つの角C1の近くに配置されている。このような構成によれば、第1NANDメモリ25Aにおいて任意の1つの角C1の近くにデイジーチェーンDCを配置し、残りの3つの角C2,C3,C4に対応するデイジーチェーンDCを配置しないことで、信号や電源用の配線に関するレイアウトに対してデイジーチェーンDCが邪魔になりにくく、NANDメモリ25の配線の引きやすさの向上を図ることができる。これにより、半導体記憶装置1のさらなる高密度実装化が可能になる。
【0076】
本実施形態では、第2NANDメモリ25Eは、Z方向で第1NANDメモリ25Aの少なくとも一部と重なる。第1NANDメモリ25Aの1つ以上の接合部44と、第2NANDメモリ25Eの1つ以上の接合部44とは同じデイジーチェーンDCに含まれる。このような構成によれば、Z方向で重なる2つのNANDメモリ25A,25Eに対して1つのデイジーチェーンDCを設けることで、デイジーチェーンDCをコンパクトに纏めることができる。これにより、他の配線のレイアウトに対してデイジーチェーンDCがさらに邪魔になりにくく、NANDメモリ25の配線の引きやすさのさらなる向上を図ることができる。
【0077】
本実施形態では、第2NANDメモリ25Eは、第2NANDメモリ25Eの4つの角C1~C4のなかで第1NANDメモリ25Aの角C1に最も近い角C1を有する。Z方向で見た場合、第2NANDメモリ25EにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各接合部44は、第2NANDメモリ25Eの中心Mと比べて、第2NANDメモリ25Eの角C1の近くに配置されている。このような構成によれば、デイジーチェーンDCのために必要な領域をさらに小さくすることができる。
【0078】
本実施形態では、第1NANDメモリ25Aおよび第3NANDメモリ25Bは、基板21の第1面21aに実装されてY方向に隣り合う。第3NANDメモリ25Bの1つ以上の接合部44は、デイジーチェーンDCに含まれる。このような構成によれば、Y方向で並ぶ2つのNANDメモリ25A,25Bに対して1つのデイジーチェーンDCを設けることで、デイジーチェーンDCをコンパクトに纏めることができる。これにより、他の配線のレイアウトに対してデイジーチェーンDCがさらに邪魔になりにくく、NANDメモリ25の配線の引きやすさのさらなる向上を図ることができる。
【0079】
本実施形態では、第3NANDメモリ25Bは、第3NANDメモリ25Bの4つの角C1~C4のなかで第1NANDメモリ25の角C1に最も近い角C3を有する。Z方向で見た場合、第3NANDメモリ25BにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各接合部44は、第3NANDメモリ25Bの中心Mと比べて、第3NANDメモリ25Bの角C3の近くに配置されている。このような構成によれば、デイジーチェーンDCのために必要な領域をさらに小さくすることができる。
【0080】
本実施形態では、第4NANDメモリ25Fは、第4NANDメモリ25Fの4つの角C1~C4のなかで第3NANDメモリ25Bの角C3に最も近い角C3を有する。Z方向で見た場合、第4NANDメモリ25FにおいてデイジーチェーンDCに含まれる各接合部44は、第4NANDメモリ25Fの中心Mと比べて、第4NANDメモリ25Fの角C3の近くに配置されている。このような構成によれば、デイジーチェーンDCのために必要な領域をさらに小さくすることができる。
【0081】
本実施形態では、第2NANDメモリ25Eおよび第4NANDメモリ25Fは、基板21の第2面21bに実装されてY方向に隣り合う。第4NANDメモリ25Fの1つ以上の接合部44は、デイジーチェーンDCに含まれる。このような構成によれば、Y方向で並ぶ2つのNANDメモリ25E,25Fに対して1つのデイジーチェーンDCを設けることで、デイジーチェーンDCをコンパクトに纏めることができる。これにより、他の配線のレイアウトに対してデイジーチェーンDCがさらに邪魔になりにくく、NANDメモリ25の配線の引きやすさのさらなる向上を図ることができる。
【0082】
(第1実施形態の変形例)
図8は、第1実施形態の変形例のデイジーチェーンDCの接続関係を説明するための図である。本変形例では、複数のNANDメモリ25は、複数のグループQ1,Q2に分けられている。例えば、複数のNANDメモリ25は、第1グループQ1に含まれる1つ以上のNANDメモリ25(例えば2つのNANDメモリ25A,25E)と、第2グループQ2に含まれる1つ以上のNANDメモリ25(例えば2つのNANDメモリ25B,25F)とを含む。
【0083】
本変形例では、基板ユニット20は、第1抵抗素子61と、第2抵抗素子62とを含む。第1抵抗素子61は、デイジーチェーンDCにおいて、第1グループQ1に含まれるNANDメモリ25(例えばNANDメモリ25A,25E)と電気的に並列に接続されている。例えば、第1抵抗素子61の一端は、導電ライン36L2を介して導電ライン36L1に接続されている。第1抵抗素子61の他端は、導電ライン36L4に接続されている。
【0084】
一方で、第2抵抗素子62は、デイジーチェーンDCにおいて、第2グループQ2に含まれるNANDメモリ25(例えばNANDメモリ25B,25F)と電気的に並列に接続されている。例えば、第2抵抗素子62の一端は、導電ライン36L4に接続されている。第2抵抗素子62の他端は、導電ライン36L6に接続されている。第2抵抗素子62は、第1抵抗素子61と異なる抵抗値を有する。
【0085】
このような構成によれば、少なくとも一つのNANDメモリ25で不具合が生じた場合に、電圧降下の大きさに基づき、第1グループQ1に含まれるNANDメモリ25に不具合が生じたか、第2グループQ2に含まれるNANDメモリ25に不具合が生じたかを特定することができる。これにより、半導体記憶装置1の状態検出の容易性をさらに高めることができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、1つのNANDメモリ25には1つの検出用接合部44Aが設けられ、当該検出用接合部44Aが接合されるパッド35Sが2つに分割されている点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0087】
図9は、第2実施形態のNANDメモリ25の構成を説明するための図である。本実施形態では、NANDメモリ25の複数の接合部44のなかで、角C1~C4のうち1つの角に最も近い1つの接合部44(いわゆるコーナーバンプ)のみが検出用接合部44AとしてデイジーチェーンDCに含まれる。検出用接合部44Aは、NANDメモリ25の4つの角C1~C4のうち1つの角に対応して配置されている。例えば、図9は、検出用接合部44Aが角C1に対応して配置される例を示す。検出用接合部44Aは、「第1接合部」の一例であり、「1つの導電体である第1接合部」の一例である。「1つの導電体」とは、1つの塊りとして存在し、複数の部分に分離していない導電体を意味する。
【0088】
図10は、本実施形態の基板21を示す平面図である。基板21は、NANDメモリ25の複数の接合部44が接合される複数のパッド35を有する。複数のパッド35は、検出用接合部44Aが接合されるパッド35Sを含む。パッド35Sは、第1部分35Saと、第2部分35Sbとを含む。第1部分35Saと、第2部分35Sbとは、互いに離れている。第1部分35Saおよび第2部分35Sbの各々は、例えば、半円状である。検出用接合部44Aとパッド35Sとは、Z方向から見た場合、略同じ大きさを有する。「略同じ大きさ」とは、例えば、検出用接合部44Aとパッド35Sとの接合面において、検出用接合部44Aの最大寸法とパッド35Sの最大寸法との違いが、パッド35Sの最大寸法の10%以下であることを意味する。例えば、第1部分35Saの面積と第2部分35Sbの面積との合計は、検出用接合部44Aの面積より小さい。「検出用接合部44Aの面積」とは、例えば、Z方向から見た場合の検出用接合部44Aの最大部分の面積である。
【0089】
本実施形態では、パッド35Sは、NANDメモリ25の4つの角C1~C4のうち1つの角に対応して配置されている。本出願でパッド35Sが「ある角に対応して配置」とは、例えば、上述した第2から第5グループG2~G5のなかで上記ある角に最も近いグループに含まれる接合部44が接合される位置にパッド35Sが配置されていることを意味する。例えば、図9は、パッド35Sが角C1に対応して配置される例を示す。この場合、パッド35Sには、第2グループG2に含まれる接合部44が接合される。なお別の観点では、パッド35Sが「ある角に対応して配置」とは、例えば、接合部44に関する配列であって、当該ある角に最も近いX方向に沿う3列以下の複数の列と、当該ある角に最も近いY方向に沿う3列以下の複数の列とにより規定される格子状の配列(例えば3×3の配列)に含まれる接合部44にパッド35Sが接合されることを意味する。
【0090】
図11は、本実施形態のデイジーチェーンDCの一部を説明するための図である。パッド35Sの第1部分35Saには、検出用接合部44の一部が接合される。パッド35Sの第2部分35Sbには、検出用接合部44の別の一部が接合される。導電ライン36Aは、パッド35Sの第1部分35Saに接続されている。導電ライン36Bは、パッド35Sの第2部分35Sbに接続されている。
【0091】
図12は、本実施形態のデイジーチェーンDCの接続関係を説明するための図である。本実施形態では、デイジーチェーンDCは、基板21の複数の導電ライン36に含まれる導電ライン36L1~36L6と、4つのNANDメモリ25A,25B,25E,25Fの各々の検出用接合部44Aとを有する。なお図12では、基板21のパッド35の図示は省略している。
【0092】
導電ライン36L1の一端は、抵抗素子27を介して、電源回路部品24に接続されている。電源回路部品24は、導電ライン36L1に電圧を印加する。導電ライン36L1の他端は、NANDメモリ25Eの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第1部分35Saに接続されている。導電ライン36L3の一端は、NANDメモリ25Eの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第2部分35Sbに接続されている。
【0093】
導電ライン36L3の他端は、NANDメモリ25Aの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第1部分35Saに接続されている。導電ライン36L4の一端は、NANDメモリ25Aの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第2部分35Sbに接続されている。導電ライン36L4の他端は、NANDメモリ25Bの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第1部分35Saに接続されている。
【0094】
導電ライン36L5の一端は、NANDメモリ25Bの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第2部分35Sbに接続されている。導電ライン36L5の他端は、NANDメモリ25Fの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第1部分35Saに接続されている。導電ライン36L6の一端は、NANDメモリ25Fの検出用接合部44Aに対応するパッド35Sの第2部分35Sbに接続されている。導電ライン36L6の他端は、グラウンドGNDに接続されている。
【0095】
図13は、本実施形態の基板ユニット20の一部を模式的に示す斜視図である。なお図13では、説明の便宜上、基板21の図示を省略するとともに、各接合部44を平面状に図示している。本実施形態では、導電ライン36L3の少なくとも一部は、NANDメモリ25AとNANDメモリ25Eとの間において基板21内をZ方向に延びている。例えば、導電ライン36L3の少なくとも一部は、基板21に設けられたスルーホールである。同様に、導電ライン36L5の少なくとも一部は、NANDメモリ25BとNANDメモリ25Fとの間において基板21内をZ方向に延びている。例えば、導電ライン36L5の少なくとも一部は、基板21に設けられたスルーホールである。
【0096】
このような構成によれば、デイジーチェーンDCを設ける場合に、デイジーチェーンDCに関する配線をよりコンパクトに纏めることができる。これにより、信号や電源用の配線に関するレイアウトに対してデイジーチェーンDCがさらに邪魔になりにくく、NANDメモリ25の配線の引きやすさのさらなる向上を図ることができる。
【0097】
また本実施形態によれば、デイジーチェーンDCを設ける場合に、基板21側の設計変更のみで対応することができる。すなわち、デイジーチェーンDCを設ける場合に、NANDメモリ25側の設計変更が不要であり、汎用品のNANDメモリ25を用いることができる。これにより、半導体記憶装置1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0098】
(第2実施形態の変形例)
図14は、第2実施形態の変形例の基板ユニット20の構成を説明するための図である。本変形例では、上述した検出用接合部44Aおよびパッド35Sは、4つの角C1~C4の各々に対応して配置されている。このような構成によっても、デイジーチェーンDCを設ける場合に、基板21側の設計変更のみで対応することができ、半導体記憶装置1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、電源端子として使用される接合部44が検出用接合部44Aとして用いられる点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0100】
図15は、第3実施形態のDRAM26を説明するための図である。DRAM26は、複数の接合部44を有する。DRAM26の複数の接合部44は、第1電源用接合部44P1と、第2電源用接合部44P2とを含む。第1電源用接合部44P1および第2電源用接合部44P2は、半導体記憶装置1の通常動作時、電源端子として使用される接合部44である。
【0101】
第1電源用接合部44P1は、複数の接合部44のなかで角C1に最も近い接合部(いわゆるコーナーバンプ)である。第1電源用接合部44P1は、「第1接合部」の一例である。第2電源用接合部44P2は、複数の接合部44のなかで最外周に含まれる接合部44である。第2電源用接合部44P2は、「第2接合部」の一例である。本実施形態では、DRAM26は、「半導体メモリ」の一例である。
【0102】
図16は、第3実施形態の基板ユニット20を示す断面図である。DRAM26のパッケージ基板41の配線パターン52は、DRAM26内で第1電源用接合部44P1と第2電源用接合部44P2とを接続する導電ライン56を有する。
【0103】
基板21に設けられた複数のパッド35は、第1電源用接合部44P1が接合されたパッド35Aと、第2電源用接合部44P2が接合されたパッド35Bとを含む。パッド35Aには、導電ライン36Aが接続されている。パッド35Bには、導電ライン36Bが接続されている。
【0104】
図17は、第3実施形態の基板ユニット20を説明するための図であり、半導体記憶装置1の通常動作時の使用態様を示す。導電ライン36Aは、電源回路部品24に接続されている。導電ライン36Aと電源回路部品24との間には、スイッチ71が設けられている。スイッチ71は、通常動作時、導電ライン36Aとコントローラ22との間を遮断するとともに、導電ライン36Aと電源回路部品24とを接続する。これにより通常動作時は、電源回路部品24から2本の導電ライン36A,36Bを介してDRAM26に電力が供給される。
【0105】
図18は、第3実施形態の基板ユニット20を説明するための図であり、状態検出時の使用態様を示す。スイッチ71は、状態検出時、導電ライン36Aと電源回路部品24との間を遮断するとともに、導電ライン36Aと導電ライン36L2とを接続する。これにより、コントローラ22の入力端子22aには、導電ライン36Aが接続される。抵抗素子72の一端は、導電ライン36L2の途中に接続されている。抵抗素子72の他端は、グラウンドGNDに接続されている。
【0106】
状態検出時は、電源回路部品24から一方の導電ライン36Bを介してDRAM26に電力(例えば1.2Vの電圧)が供給される。基板21とDRAM26との接合状態に不具合がない場合、コントローラ22の入力端子22aには、所定電圧(例えば1.2V)が入力される。コントローラ22は、入力端子22aに所定基準以上の電圧が入力される場合、基板ユニット20が正常であると判定する。
【0107】
一方で、基板21とDRAM26との接合状態に不具合(例えば破断や剥離)がある場合、コントローラ22の入力端子22aには、上記所定基準未満の電圧が入力される。コントローラ22は、入力端子22aに上記所定基準未満の電圧が入力される場合、基板ユニット20に不具合が生じていると判定する。
【0108】
このような構成によれば、電源端子として使用される電源用接合部44P1,44P2を検出用接合部44として用いることができる。ここで、2つの電源用接合部44P1,44P2をDRAM26内で接続する導電ライン56は、DRAM56の通常仕様(規格に対応する仕様)として設けられている。このため、デイジーチェーンDCを設ける場合に、DRAM26側の設計変更が不要であり、汎用品のDRAM26を用いることができる。これにより、半導体記憶装置1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0109】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、基板21のねじ挿通穴81の近くに検出用接合部44Aが設けられた点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0110】
図19は、第4実施形態の基板ユニット20を示す平面図である。基板21は、複数のねじ挿通穴81を有する。ねじ挿通穴81は、例えば、基板21を筐体10に固定する固定部材13が通される挿通穴である。複数のねじ挿通穴81は、当該複数のねじ挿通穴81のなかでNANDメモリ25に最も近い第1ねじ挿通穴81S1と第2ねじ挿通穴81S2とを有する。
【0111】
NANDメモリ25Aは、複数のNANDメモリ25のなかで、第1ねじ挿通穴81S1に最も近いNANDメモリ25である。NANDメモリ25Aは、4つの角C1~C4のなかで、第1ねじ挿通穴81S1に最も近い角C3を含む。角C3は、例えば、NANDメモリ25Aのなかで-X方向側且つ-Y方向側の角である。本実施形態では、デイジーチェーンDCに含まれる複数の検出用接合部44A,44Bは、NANDメモリ25Aにおいて角C3に対応して配置されている。
【0112】
同様に、NANDメモリ25Bは、複数のNANDメモリ25のなかで、第2ねじ挿通穴81S2に最も近いNANDメモリ25である。NANDメモリ25Bは、4つの角C1~C4のなかで、第2ねじ挿通穴81S2に最も近い角C1を含む。角C1は、例えば、例えば、NANDメモリ25Bのなかで-X方向側且つ+Y方向側の角である。本実施形態では、デイジーチェーンDCに含まれる複数の検出用接合部44A,44Bは、NANDメモリ25Bにおいて角C1に対応して配置されている。
【0113】
ここで、NANDメモリ25Bにおいてねじ挿通穴81の近くに位置する接合部44は、他の接合部44と比べて不具合が生じやすい場合がある。上記構成によれば、基板ユニット20においてねじ挿通穴81の近くで不具合が生じやすい箇所の状態検出を行うことができる。これにより、状態検出の精度を高めることができる。
【0114】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、NANDメモリ25内の半導体メモリチップ42の端42aに沿って複数の検出用接合部44Dが配置された点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0115】
図20は、本実施形態のデイジーチェーンDCを説明するための断面図である。デイジーチェーンDCは、例えば、基板21の配線パターン32に含まれる複数の導電ライン36Dと、基板21の配線パターン32に含まれる複数のパッド35Dと、NANDメモリ25の複数の接合部44に含まれる複数の検出用接合部44Dと、パッケージ基板41の配線パターン52に含まれる複数の導電ライン56Dとを含む。
【0116】
各導電ライン36Dは、隣り合う2つのパッド35Dを接続している。パッド35Dには、NANDメモリ25の検出用接合部44Dが接合されている。各導電ライン56Dは、NANDメモリ25の内部において、隣り合う2つの検出用接合部44Dを接続している。これにより、複数の検出用接合部44Dが電気的に直列に接続されている。
【0117】
図21は、検出用接合部44Dの配置を説明するための図である。本実施形態では、複数の検出用接合部44Dは、Z方向で見た場合、半導体メモリチップ42(例えば、パッケージ基板41に最も近い半導体メモリチップ42)の端42aに沿って配置されている。
【0118】
ここで、本発明者らの独自研究によれば、NANDメモリ25において半導体メモリチップ42の端42aとZ方向で重なる接合部44に応力が作用しやすく、当該接合部44に不具合が生じやすい場合がある。そこで本実施形態では、半導体メモリチップ42の端42aとZ方向で重なる位置に複数の検出用接合部44Dを配置している。このような構成によれば、状態検出の精度を高めることができる。
【0119】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、NANDメモリ25の複数の接合部44のなかで最外周に属する3つ以上の接合部44がデイジーチェーンDCに含まれる点で、第1実施形態の変形例とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の変形例と同じである。
【0120】
図22は、本実施形態のデイジーチェーンDCの接続関係を説明するための図である。NANDメモリ25は、複数の接合部44のなかで最外周に含まれる3つ以上の検出用接合部44Dを有する。これら3つ以上の検出用接合部44Dは、デイジーチェーンDCに含まれる。これら3つ以上の検出用接合部44Dは、例えば、第5実施形態において説明した構成と同じ構成により、電気的に直列に接続されている。
【0121】
本実施形態では、基板ユニット20は、第1抵抗素子61と、第2抵抗素子62とを含む。第1抵抗素子61は、デイジーチェーンDCにおいて、第1グループQ1に含まれるNANDメモリ25(例えばNANDメモリ25A,25E)と電気的に並列に接続されている。一方で、第2抵抗素子62は、デイジーチェーンDCにおいて、第2グループQ2に含まれるNANDメモリ25(例えばNANDメモリ25B,25F)と電気的に並列に接続されている。
【0122】
このような構成によれば、少なくとも1つのNANDメモリ25で不具合が生じた場合に、電圧降下の大きさに基づき、第1グループQ1に含まれるNANDメモリ25に不具合が生じたか、第2グループQ2に含まれるNANDメモリ25に不具合が生じたかを特定することができる。これにより、半導体記憶装置1の状態検出の容易性をさらに高めることができる。
【0123】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、1つのNANDメモリ25に対して複数のデイジーチェーンDC(第1デイジーチェーンD1、第2デイジーチェーンD2)が設けられた点で、第1実施形態の変形例とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の変形例と同じである。
【0124】
図23は、本実施形態のデイジーチェーンDCの接続関係を説明するための図である。NANDメモリ25は、複数の接合部44のなかで最外周に含まれる3つ以上の検出用接合部44D1と、複数の接合部44のなかで最外周よりも1つ内側の周に含まれる3つ以上の検出用接合部44D2とを有する。上記3つ以上の検出用接合部44D1は、第1デイジーチェーンDC1に含まれる。上記3つ以上の検出用接合部44D2は、第2デイジーチェーンDC2に含まれる。
【0125】
第1デイジーチェーンDC1および第2デイジーチェーンDC2は、電源回路部品24とグラウンドGNDとの間で電気的に直列に接続されている。本実施形態では、第1デイジーチェーンDC1に対して、第1抵抗素子61が電気的に並列に接続されている。また、第2デイジーチェーンDC2に対して、第2抵抗素子62が電気的に並列に接続されている。
【0126】
このような構成によれば、NANDメモリ25において最外周側から不具合を生じる接合部44の状況を段階的に監視することができる。これにより、半導体記憶装置1の状態検出の容易性を高めることができる。
【0127】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態および変形例は上述した例に限定されない。例えば、上述したようなデイジーチェーンDCは、半導体メモリに限らず、CPU(Central Processing Unit)のような他の半導体部品などにも適用可能である。半導体記憶装置1は、「電子機器」の一例である。「電子機器」は、半導体メモリを含まなくてもよい。
【0128】
上述した第2実施形態以降の実施形態において、検出用接合部44A,44P1,44P2,44Dなどは、半導体メモリの1つの角に対応して配置されなくてもよい。すなわち、検出用接合部44A,44P1,44P2,44Dなどは、半導体メモリの複数の角に対応して配置されてもよいし、その他の場所に配置されてもよい。
【0129】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、半導体記憶装置は、基板と、第1半導体メモリとを有する。上記第1半導体メモリは、上記基板に接合された複数の接合部を有するとともに、上記基板の厚さ方向から見た場合に4つの角を有する。上記複数の接合部は、上記第1半導体メモリに関する状態検出用のデイジーチェーンに含まれる1つ以上の接合部を有する。上記基板の厚さ方向から見た場合、上記第1半導体メモリにおいて上記デイジーチェーンに含まれる上記1つ以上の接合部は、上記第1半導体メモリの中心と比べて、上記4つの角に含まれる第1角の近くに配置されている。このような構成によれば、検査の容易性を向上させることができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
1…半導体記憶装置、21…基板、25…NANDメモリ(半導体メモリ)、26…DRAM(半導体メモリ)、35,35S…パッド、35Sa…第1部分、35Sb…第2部分、44…接合部、44A,44B,44P1,44P2,44D…検出用接合部、DC,DC1,DC2…デイジーチェーン、C1~C4…角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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