(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165379
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】回路基板装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20241121BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081529
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】笹木 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】國枝 大佳
(72)【発明者】
【氏名】平松 聖史
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB06
5E344BB10
5E344CD23
5E344DD03
5E344EE26
(57)【要約】
【課題】回路構成部品がメイン基板にBGA接続される回路基板装置において、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保持できるようにする。
【解決手段】回路基板装置50は、集積回路若しくはモジュール基板10を、回路構成部品として、はんだを介してメイン基板40にBGA接続することにより構成される。回路構成部品のメイン基板との対向面には、電気回路の一部を構成する第1チップ部品24と、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保つ第2チップ部品26が実装される。第2チップ部品は、回路構成部品からの高さが第1チップよりも高く、第2チップ部品の少なくとも1つは、回路構成部品とメイン基板の両方にはんだ付けされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路若しくは該集積回路を含む複数の電子部品(12~16)を搭載したモジュール基板(10)が、回路構成部品(2)として、はんだを介してメイン基板(40)にBGA接続された回路基板装置であって、
前記回路構成部品の前記メイン基板との対向面に実装されて、電気回路の一部を構成する第1チップ部品(24)と、
前記回路構成部品の前記メイン基板との前記対向面に実装されて、前記回路構成部品と前記メイン基板との間隔を一定に保つ第2チップ部品(26)と、
を備え、
前記第2チップ部品は、前記回路構成部品からの高さが前記第1チップ部品よりも高く、前記第2チップ部品の少なくとも1つは、前記回路構成部品の電極(10E)及び前記メイン基板の電極(40E)の両方にはんだ付けされている、回路基板装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、抵抗器、コンデンサ、インダクタの中から選択された、表面実装可能なチップ部品である、回路基板装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、当該回路基板装置の電気回路に接続されない、独立したチップ部品として設けられている、回路基板装置。
【請求項4】
請求項1請求項2に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、当該回路基板装置の電気回路の一部を構成している、回路基板装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は抵抗器である、回路基板装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、矩形形状で、所定の電気特性を有する本体部分を挟んだ両端側にはんだ接続用の電極層(26E)を備え、
前記電極層は、前記本体部分の前記両端側の端面、前記回路構成部品及び前記メイン基板と対向する表裏面、及び、該表裏面を接続する両側面に設けられている、回路基板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路構成部品がメイン基板にBGA接続された回路基板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集積回路やマルチチップモジュールなどの回路構成部品を、メイン基板にBGA接続する技術として、2種類のはんだボールを使用することが記載されている。なお、BGAは、ボールグリッドアレイの略である。
【0003】
2種類のはんだボールのうち、第1のはんだボールは、はんだだけで構成され、第2のはんだボールは、銅又はニッケルなどの金属素材にて構成されるコアと、コアを囲むはんだとにより構成される。このため、回路構成部品をメイン基板にBGA接続する際、第2のはんだボールのコアにて、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術によれば、回路構成部品において、メイン基板との対向面に加わる荷重によって、回路構成部品のメイン基板との対向面がメイン基板に対し傾いたり、変形したりするのを抑制することができる。このため、例えば、回路構成部品のメイン基板との対向面に実装された電子部品が、メイン基板に接触して、回路基板装置が故障するのを抑制できる。
【0006】
しかし、第2のはんだボールは、はんだボールの中に金属素材にて構成されるコアを設ける必要があるので、上記特許文献1に記載の技術では、回路基板装置のコストアップを招くという問題がある。また、上記特許文献1に記載の技術では、2種類のはんだボールを使用するため、第1のはんだボールだけを使用する既存の製造装置を利用することができず、これによってもコストアップを招くという問題がある。
【0007】
本開示の一局面は、回路構成部品がメイン基板にBGA接続される回路基板装置において、コアを有するはんだボールを使用することなく、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面の回路基板装置においては、集積回路若しくは集積回路を含む複数の電子部品(12~16)を搭載したモジュール基板(10)が、回路構成部品(2)として、はんだを介してメイン基板にBGA接続される。そして、回路構成部品のメイン基板との対向面には、第1チップ部品(24)と第2チップ部品(26)が実装される。
【0009】
第1チップ部品は、回路構成部品のメイン基板との対向面に実装されて、電気回路の一部を構成しており、第2チップ部品は、回路構成部品のメイン基板との対向面に実装されて、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保つ。
【0010】
また、第2チップ部品は、回路構成部品からの高さが第1チップよりも高くなっており、しかも、第2チップ部品の少なくとも1つは、回路構成部品の電極(10E)及びメイン基板の電極(40E)の両方にはんだ付けされる。
【0011】
従って、本開示の回路基板装置によれば、第2チップ部品により、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定に保ち、第1チップ部品がメイン基板に接触して、回路基板装置が故障するのを抑制できる。
【0012】
また、第2チップ部品の少なくとも1つは、回路構成部品とメイン基板との両方にはんだ付けされることから、回路構成部品のメイン基板との対向面が、メイン基板から離れる方向に変形するのを抑制することができる。よって、回路構成部品のメイン基板との対向面が変形することで、回路構成部品の電気的特性が不安定になるのを抑制し、回路基板装置の電気的特性を安定化させることができる。
【0013】
またこのように、第2チップ部品によって、回路構成部品とメイン基板との間隔を一定間隔に保持することができるので、回路構成部品がメイン基板にBGA接続される部分のはんだの高さが安定し、はんだ寿命を安定させることができる。つまり、はんだの高さが変化すると、はんだボールの形状が変わるので、基板間でのはんだ寿命のばらつきが大きくなるが、高さを安定させることで、はんだボールの形状変化を抑制し、はんだ寿命を安定させることができる。
【0014】
また、高さ調整用の第2チップ部品としては、回路構成部品からの高さが第1チップ部品よりも高いチップ部品、換言すれば、第1チップ部品よりも体格が大きい既存のチップ部品、を使用することができる。
【0015】
従って、特許文献1に記載のように、高さ調整のために、金属素材にて構成されるコアを有するはんだボールを使用できるように、回路構成部品や回路基板装置の製造装置を改良する必要がなく、一般的な製造装置を利用して回路基板装置を製造することができる。
【0016】
よって、本開示の回路基板装置は、特許文献1に記載のものに比べて、低コストで製造することができるようになり、回路構成部品とメイン基板との間隔が一定で電気特性が安定した回路基板装置を、低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の回路構成部品の構成を表す平面図である。
【
図2】第1実施形態の回路基板装置の
図1に示すA-A線端面図である。
【
図3】モジュール基板における第2チップ部品の配置を説明する説明図である。
【
図4】
図2に符号Z1で示す第2チップ部品のはんだ付け部分の拡大図である。
【
図5】第2チップ部品単体の構成を表す説明図である。
【
図6】第2実施形態の回路構成部品の構成を表す平面図である。
【
図7】
図2に対応して第3実施形態の回路基板装置の構成を表す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図2に示すように、本実施形態の回路基板装置50は、マルチチップモジュール2と、マルチチップモジュール2が実装されたメイン基板40とを備える。
【0019】
マルチチップモジュール2は、集積回路を含む複数の電子部品12、14、16がモジュール基板10に搭載されることにより、回路基板装置50の電気回路の一部を構成する回路構成部品である。
【0020】
図1に示すように、マルチチップモジュール2のモジュール基板10において、複数の電子部品12、14、16が搭載される表面10Fとは反対側の裏面10Bには、集積回路である電子部品12との対応位置に、複数の第1チップ部品24が実装されている。
【0021】
第1チップ部品24は、ノイズ対策やマルチチップモジュール2の特性補正などを行うためのものであり、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど、所定の電気特性を有する矩形形状の回路素子である。そして、第1チップ部品24には、マルチチップモジュール2の小型・軽量化のために、比較的体格が小さいチップ部品が利用される。なお、本実施形態では、第1チップ部品24は、電子部品12との対応位置に設けられているが、他の電子部品14、16との対応位置に設けられてもよく、電子部品12~16の周囲の配線領域に設けられてもよい。
【0022】
また、マルチチップモジュール2は、均一なはんだにてボール状に形成されたはんだボール22を利用して、メイン基板40の上面にはんだ付けされている。はんだボール22は、メイン基板40にはんだ付けされる前に、モジュール基板10の裏面10Bの外周領域OA及び中心領域CAに、それぞれ複数設けられている。
【0023】
つまり、モジュール基板10は、矩形形状であり、裏面10Bは、モジュール基板10の外周に沿った大小2つの矩形の枠L1、L2にて、最も外側の外周領域OAと、最も内側の中心領域CAと、これらの間の中間領域MAとに区分されている。そして、はんだボール22は、外周領域OAと中心領域CAに、それぞれ、ほぼ等間隔で複数分散して設けられている。
【0024】
また、はんだボール22が設けられない中間領域MAには、上記複数の第1チップ部品24が実装されている。また、中間領域MAにおいて、第1チップ部品24とは異なる位置には、第1チップ部品24に比べて裏面10Bからの高さが高い第2チップ部品26が実装されている。
【0025】
第2チップ部品26は、第1チップ部品24よりも体格が大きいものの、第1チップ部品24と同様、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど、所定の電気特性を有する矩形形状の回路素子である。
【0026】
そして、第2チップ部品26は、
図3に示すように、モジュール基板10の裏面10B周囲の各辺に平行で、裏面10Bの中心を通る2本の線分X0、Y0にて裏面10Bを分割した4つの分割領域D1~D4に、それぞれ、1つ以上設けられている。本実施形態では、第2チップ部品26は、各分割領域D1~D4の中間領域MA内で、中間領域MAの外周及び内周の角部付近にそれぞれ設けられている。
【0027】
第1チップ部品24及び第2チップ部品26は、はんだボール22を利用してマルチチップモジュール2をメイン基板40にはんだ付けする前に、モジュール基板10の裏面10Bの電極10Eにペースト状のはんだを介して固定される。
【0028】
そして、このペースト状のはんだは、リフローはんだ付けにより溶けて、第1チップ部品24及び第2チップ部品26が、モジュール基板10の裏面10Bの電極10Eに、それぞれ、はんだ付けされる。
【0029】
また、マルチチップモジュール2をメイン基板40にはんだ付けする前、はんだボール22の裏面10Bからの高さは、第2チップ部品26よりも高くなっている。つまり、モジュール基板10の裏面10Bからの高さは、はんだボール22>第2チップ部品26>第1チップ部品24となっている。従って、マルチチップモジュール2をメイン基板40にはんだ付けする前には、はんだボール22がメイン基板40の基板面に当接される。
【0030】
次に、マルチチップモジュール2をメイン基板40にはんだ付けする際には、リフローはんだ付けにより、はんだボール22が溶けることから、マルチチップモジュール2とメイン基板40との間隔が短くなる。
【0031】
第2チップ部品26は、第1チップ部品24に比べて裏面10Bからの高さが高いことから、はんだボール22が溶けることで、メイン基板40に当接される。従って、第2チップ部品26は、モジュール基板10の裏面10Bとメイン基板40の基板面との間隔を、第1チップ部品24がメイン基板40に接触することのない一定間隔以上に保持する、高さ調整部品として機能する。
【0032】
次に、
図4に示すように、メイン基板40において、第2チップ部品26との対応位置には、はんだ付け用の電極40Eが設けられている。この電極40Eには、マルチチップモジュール2がメイン基板40にはんだ付けされる前に、ペースト状のはんだが塗布される。このペースト状のはんだは、リフローはんだ付けによりマルチチップモジュール2をメイン基板40にはんだ付けする際に溶けることから、第2チップ部品26は、モジュール基板10の電極10Eだけでなく、メイン基板40の電極40Eにもはんだ付けされる。
【0033】
なお、モジュール基板10及びメイン基板40の電極10E、40Eは、第1チップ部品24実装用の電極と同様、基板表面に形成された配線パターンのうち、ソルダレジストが設けられていない配線パターンにて構成される。そして、本実施形態では、第2チップ部品26がはんだ付けされる電極10E、40Eは、回路基板装置50の電気回路に接続されない独立した配線パターンにて構成されている。
【0034】
このため、第2チップ部品26は、
図4Aに示すように、所定の電気特性を有する本体部分の両端に設けられた2つの電極層26Eを使って、モジュール基板10の電極10Eとメイン基板40の電極40Eとを、それぞれ、同時に接続することができる。
【0035】
なお、
図4Aにおいて、モジュール基板10の電極10E及びメイン基板40の電極40Eは、第2チップ部品26の2つの電極層26Eに対応して、2箇所に設けられている。しかし、これら各電極10E、40Eは回路基板装置50の電気回路に接続されないので、第2チップ部品26の2つの電極層26Eをはんだ付けできるように、1つにまとめられてもよい。
【0036】
またこのように、第2チップ部品26を、回路基板装置50の電気回路に接続しない高さ調整部品として使用する場合、第2チップ部品26としては、
図5Aに示す構成のチップ部品26Aを利用するとよい。
【0037】
つまり、
図5Aに示すチップ部品26Aには、チップ部品26Aの長手方向両端側の2箇所に、導電体層にて構成される電極層26Eが設けられている。そして、その2つの電極層26Eは、チップ部品26Aにおいて、長手方向両端側の端面、及び、モジュール基板10やメイン基板40に対し対向配置される表裏面だけでなく、表裏面の間の両側面にも設けられている。
【0038】
従って、第2チップ部品26として、
図5Aに示すチップ部品26Aを使用すれば、チップ部品26Aの表裏面、両側面及び端面の5箇所に設けられた電極層26Eを使って、電極10Eと電極40Eとを、直接、はんだ27にて接続することができる。つまり、この場合、第2チップ部品26を利用して、モジュール基板10とメイン基板40とを、より強固に接続することができる。
【0039】
このように、表裏面、両側面及び端面に電極層26Eを備えたチップ部品26Aとしては、コンデンサが一般的である。このため、本実施形態のように、第2チップ部品26を、回路基板装置50の電気回路に接続されない、独立した高さ調整部品として使用する場合には、第2チップ部品26として、コンデンサのチップ部品を利用するようにするとよい。
【0040】
ところで、第2チップ部品26は、モジュール基板10のメイン基板40からの高さを調整する高さ調整部品として利用できるだけでなく、回路基板装置50の電気回路の一部を構成する電子部品として利用することもできる。この場合、第2チップ部品26に、コンデンサを利用すると、電気回路の信号経路のインピーダンスが変化して、電気回路の高周波特性に影響を与えることが考えられる。
【0041】
そこで、第2チップ部品26を、回路基板装置50の電気回路の一部として利用する際には、第2チップ部品26として、電気回路の高周波特性に影響を与えることが少ない、抵抗器を利用するとよい。
【0042】
なお、抵抗器のチップ部品は、
図5Bに示すチップ部品26Bのように、
図5Aに示したチップ部品26Aと同様、長手方向両端側の2箇所に電極層26Eが設けられるものの、各電極層26Eは、チップ部品26Bの両側面に設けられないのが一般的である。
【0043】
次に、第2チップ部品26を回路基板装置50の電気回路の一部として使用する場合には、
図4Bに示すように、モジュール基板10及びメイン基板40に、第2チップ部品26の2つの電極層26Eに各々はんだ付けされる2つの電極10E、40Eを設ける。
【0044】
そして、モジュール基板10及びメイン基板40の2つの電極10E、40Eのうち、第2チップ部品26において異なる電極層26Eに接続される電極10E、40Eを、モジュール基板10及びメイン基板40の電気回路に接続する。
【0045】
このようにすれば、第2チップ部品26を、高さ調整部品として利用できるだけでなく、モジュール基板10の電気回路とメイン基板40の電気回路とを接続して、両基板間の信号経路を形成する電子部品としても利用することができる。
【0046】
なお、第2チップ部品26としては、必ずしも、コンデンサ、或いは、抵抗器のチップ部品26A、26Bを用いる必要はなく、インダクタのチップ部品を利用することもできる。つまり、第2チップ部品26としては、抵抗、コンデンサ、インダクタなどの電気特性を有するチップ部品を利用することができる。
【0047】
そして、これらのチップ部品には、既存のものを利用することができ、第2チップ部品26には、既存のチップ部品の中から、第1チップ部品24に比べて体格が大きいチップ部品を選択すればよい。
【0048】
このため、第1チップ部品24及び第2チップ部品26をモジュール基板10へマウントする際には、一般的なマウント装置を利用することができ、マルチチップモジュール2、延いては、回路基板装置50の製造コストが上昇するのを抑制することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の回路基板装置50においては、集積回路を含む複数の電子部品12~16が搭載されたモジュール基板10を有するマルチチップモジュール2が、回路構成部品として、はんだを介してメイン基板40にBGA接続されている。
【0050】
マルチチップモジュール2において、モジュール基板10のメイン基板40との対向面には、第1チップ部品24と第2チップ部品26が実装されており、このうち、第1チップ部品24は、マルチチップモジュール2の電気回路の一部を構成している。
【0051】
一方、第2チップ部品26は、モジュール基板10からの高さが第1チップ部品24よりも高くなっており、モジュール基板10の電極10E及びメイン基板40の電極40Eの両方にはんだ付けされる。
【0052】
このため、本実施形態の回路基板装置50によれば、第2チップ部品26により、モジュール基板10とメイン基板40との間隔を一定間隔以上に保持し、しかも、モジュール基板10がメイン基板40から離れる方向に変形するのを抑制できる。
【0053】
よって、本実施形態の回路基板装置50によれば、第1チップ部品24がメイン基板40に接触したり、モジュール基板10が変形したりして、回路基板装置50の電気特性が不安定になるのを抑制することができる。
【0054】
またこのように、第2チップ部品26によって、モジュール基板10とメイン基板40との間隔を一定間隔に保持することができるので、はんだボール22にて基板同士が接続される部分の間隔、つまり、その部分のはんだの高さが安定する。この結果、はんだボール22の形状変化を抑制し、はんだ寿命を安定させることができる。
【0055】
また、第2チップ部品26には、既存のチップ部品の中から、第1チップ部品24よりも体格が大きいチップ部品を選択すればよいことから、マルチチップモジュール2や回路基板装置50の製造装置にも既存のものを利用できる。
【0056】
このため、本実施形態の回路基板装置50によれば、マルチチップモジュール2とメイン基板40との間隔が一定で、電気特性が安定した回路基板装置50を、特許文献1に記載のものに比べて、低コストで実現することができる。
【0057】
[第2実施形態]
第1実施形態では、モジュール基板10の裏面10Bは、外側から外周領域OA、中間領域MA、中心領域CAの3つの領域に区分され、外周領域OAと中心領域CAに、はんだボール22が設けられるものとして説明した。
【0058】
これに対し、本実施形態では、
図6に示すように、モジュール基板10の裏面10Bが、モジュール基板10の外周に沿った1つの枠L1にて、外周領域OAと内周領域IAとの2つの領域に区分されている。そして、内周領域IAには、外周領域OAに比べて、はんだボール22の配置密度が低くなるよう、広く分散してはんだボール22が設けられている。
【0059】
このように、モジュール基板10の裏面10Bの全域にはんだボール22が設けられる場合であっても、第1チップ部品24及び第2チップ部品26を、はんだボール22の間隔が広い内周領域IAに配置すれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、この場合、
図6に示すように、第2チップ部品26は、上記実施形態と同様に、4つの分割領域D1~D4に、それぞれ、設けるようにするとよい。また、この場合、第2チップ部品26は、内周領域IAの外周の角部付近に、それぞれ、設けるとよい。
【0061】
このようにすれば、内周領域IAの第2チップ部品26よりも内側に設けられた第1チップ部品24が、モジュール基板10の表面10Fに実装された電子部品の荷重によって、メイン基板40側に沈み込み、回路特性が変化するのを抑制できる。
【0062】
[第3実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態では、第1チップ部品24と高さ調整用の第2チップ部品26が設けられる回路構成部品は、複数の電子部品12~16が搭載されたモジュール基板10を備えたマルチチップモジュール2であるとして説明した。しかし、本開示の技術は、集積回路である電子部品12を、回路構成部品として、メイン基板40に直接BGA接続する場合であっても、上記実施形態と同様に適用できる。
【0063】
つまり、各種制御回路が組み込まれた集積回路を構成する電子部品12は、
図7に例示するように、メイン基板40との対向面に、回路特性調整用の第1チップ部品24が設けられることがある。
【0064】
そして、このような電子部品12を、はんだボール22を利用してメイン基板40にはんだ付けする場合にも、上記各実施形態と同様に、電子部品12とメイン基板40との間に、第2チップ部品26を設けるようにする。
【0065】
このようにすれば、電子部品12とメイン基板40との間隔を一定間隔に保持して、第1チップ部品24がメイン基板40に接触するのを抑制できる。また、電子部品12がメイン基板40から離れる方向に変形して、回路基板装置50の電気特性が変化するのを抑制できる。
【0066】
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0067】
(a)上記実施形態では、第2チップ部品26は、モジュール基板10の電極10Eとメイン基板40の電極40Eとの両方にはんだ付けされるものとして説明した。しかし、第2チップ部品26は、少なくとも1つが、モジュール基板10の電極10Eとメイン基板40の電極40Eにはんだ付けされ、それ以外の第2チップ部品26は、モジュール基板10の電極10Eにだけはんだ付けされてもよい。
【0068】
このようにしても、全ての第2チップ部品26にて、モジュール基板10とメイン基板40との間隔を一定間隔以上に保持することができる。また、モジュール基板10の電極10Eとメイン基板40の電極40Eとの両方にはんだ付けされた第2チップ部品26にて、モジュール基板10がメイン基板40から離れる方向に変形するのを抑制できる。
【0069】
また、メイン基板40において、モジュール基板10の電極10Eにだけはんだ付けされる第2チップ部品26との対応位置には、電極40Eを設ける必要がなく、設計変更時に、位置変更が必要な電極40Eの数を少なくすることができる。このため、メイン基板40の設計の自由度を高めることができる。
【0070】
(b)上記実施形態では、第2チップ部品26は、モジュール基板10の裏面10Bの中間領域MA或いは内周領域IAの外周の4つの角部付近に、それぞれ、設けられるものとして説明した。
【0071】
しかし、第2チップ部品26の配置位置は、メイン基板40にBGA接続される回路構成部品の裏面で、回路構成部品とメイン基板40との間隔を一定間隔にするのに適した位置であればよく、第2チップ部品26の数についても、適宜変更することができる。
【0072】
(c)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0073】
(d)上述した回路基板装置の他、当該回路基板装置を構成要素とするシステム、メイン基板への回路構成部品の接続方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
[本明細書が開示する技術思想]
(1)集積回路(12)若しくは該集積回路を含む複数の電子部品(12~16)を搭載したモジュール基板(10)が、回路構成部品(2)として、はんだを介してメイン基板(40)にBGA接続された回路基板装置であって、
前記回路構成部品の前記メイン基板との対向面に実装されて、電気回路の一部を構成する第1チップ部品(24)と、
前記回路構成部品の前記メイン基板との対向面に実装されて、前記回路構成部品と前記メイン基板との間隔を一定に保つ第2チップ部品(26)と、
を備え、
前記第2チップ部品は、前記回路構成部品からの高さが前記第1チップよりも高く、
前記第2チップ部品の少なくとも1つは、前記回路構成部品の電極(10E)及び前記メイン基板の電極(40E)の両方にはんだ付けされている、回路基板装置。
【0074】
(2)(1)に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、抵抗器、コンデンサ、インダクタの中から選択された、表面実装可能なチップ部品である、回路基板装置。
【0075】
(3)(1)又は(2)に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、当該回路基板装置の電気回路に接続されない、独立したチップ部品として設けられている、回路基板装置。
【0076】
(4)(1)又は(2)に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、当該回路基板装置の電気回路の一部を構成している、回路基板装置。
【0077】
(5)(4)に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は抵抗器である、回路基板装置。
(6)(1)~(5)の何れか1項に記載の回路基板装置であって、
前記第2チップ部品は、矩形形状で、所定の電気特性を有する本体部分を挟んだ両端側にはんだ接続用の電極層(26E)を備え、
前記電極層は、前記本体部分の前記両端側の端面、前記回路構成部品及び前記メイン基板との対向面、及び、該対向面同士を接続する両側面に設けられている、回路基板装置。
【符号の説明】
【0078】
10…モジュール基板、12~16…電子部品、24…第1チップ部品、26…第2チップ部品、26E…電極層、27…はんだ、40…メイン基板、40E…電極、50…回路基板装置。