(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165382
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/22 20060101AFI20241121BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20241121BHJP
D06F 105/34 20200101ALN20241121BHJP
【FI】
D06F58/22
D06F58/02 K
D06F58/02 Q
D06F105:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081532
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今成 正雄
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西野宮 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 康博
(72)【発明者】
【氏名】佐野 壮一
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 真理
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AB23
3B166AB30
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3B166GA22
3B166GA45
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】フィルタを効率よく洗浄することが可能な洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】外槽20から乾燥装置に戻る空気が通る戻りダクトと、乾燥装置から回転ドラム29内に送る空気が通る温風ダクトと、外槽20の背面上部に設けられ、乾燥装置の吸込み側に連通する連通口410と、外槽20の背面に設けられ、連通口410に繋がる槽内ダクト409と、槽内ダクト409の側壁の一部として設けられる一次フィルタ400と、連通口410の下流側に設けられる二次フィルタ401と、二次フィルタ401に洗浄水を供給する散水具と、を備える。一次フィルタ400と二次フィルタ401は、通風方向が重なるように配置され、二次フィルタ401に供給された洗浄水を一次フィルタ400の洗浄に利用する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯溜可能な外槽と、
前記外槽内に回転自在に支持され、洗濯物が収容される内槽と、
前記外槽と前記内槽に乾燥した空気を送る乾燥装置と、
前記外槽から前記乾燥装置に戻る空気が通る戻り風路と、
前記乾燥装置から前記内槽内に送る空気が通る送り風路と、
前記外槽の背面上部に設けられ、前記乾燥装置の吸込み側に連通する出口部と、
前記外槽の背面に設けられ、前記出口部に繋がる槽内ダクトと、
前記槽内ダクトの側壁の一部として設けられる第一フィルタと、
前記出口部の下流側に設けられる第二フィルタと、
前記第二フィルタに洗浄水を供給する給水部と、を備え、
前記第二フィルタに供給された洗浄水を前記第一フィルタの洗浄に利用することを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記第一フィルタと前記第二フィルタは、前記出口部において通風方向が重なるように配置されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記第二フィルタは、前記第一フィルタの上部において通風方向が重なることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記槽内ダクトは、前記内槽を回転駆動する駆動部を回避するように屈曲して形成されることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯乾燥機において、
前記槽内ダクトの下部に前記第一フィルタの無い開口部が形成されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗濯乾燥機において、
前記出口部の底面は、略水平または前記開口部に向かって下り傾斜であることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯乾燥機において、
前記槽内ダクトの前記出口部に繋がる面は、上部から前記開口部に向かうにつれてダクト側壁となるように屈曲して形成され、前記外槽の排水口に近づく形状としたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項8】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記出口部には、前記第一フィルタと前記第二フィルタとの間に当該第二フィルタの洗浄水の流れを抑制する流れ抑制部材を設けられていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項9】
請求項6に記載の洗濯乾燥機において、
前記槽内ダクトは、奥行方向の側面が、前記外槽の前方から後方に向かって下り傾斜であることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項10】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記戻り風路には、前記出口部を挟んで前記乾燥装置の吸込側とは反対側に排気口が設けられ、
前記出口部と前記乾燥装置との間には、外気を吸気する吸気口が設けられていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項11】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記乾燥装置は、圧縮機と、凝縮器と、該凝縮器と同一風路内において凝縮器の風上側に設けた蒸発器と、前記凝縮器と前記蒸発器を結ぶ冷媒配管内に設けた膨張手段と、を備えたヒートポンプによって構成されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯から乾燥までを連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を除湿する温風乾燥形式により行う。また、温風乾燥形式では、主に乾燥工程中における布どうしの擦れによりリントが発生する。循環風量が多いほど擦れ合う頻度も上がり、より多くのリントが発生する。リントは、通常、送風手段の上流側に設けた乾燥フィルタを介して捕集し、乾燥工程の前後で乾燥フィルタを清掃する。しかし、乾燥フィルタの清掃は手間であり、この清掃の手間を減らしたものに特許文献1に記載のものが提案されている。これには、外槽と送風機を接続する風路と、外槽と風路の間に設けられたリント捕集用の風路フィルタと、風路フィルタの下流且つ送風機の上流に設けられたリント捕集用の副風路フィルタとを有し、風路フィルタは、内槽を回転することで発生する水流で洗浄され、副風路フィルタは、副風路フィルタの上流又は下流に設けられた給水口から散水される水で洗浄されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、特に大風量の乾燥においてフィルタに対するリントの付き具合が増大し、フィルタの洗浄に長時間を要したり、大量の水を使わないと洗浄できない課題がある。また、2次側のフィルタについては給水口からの洗浄水によって洗浄できるものの、1次側のフィルタについては内槽の回転によって発生する水流によって洗浄していたため、十分に洗浄するには時間と水量が必要であった。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、フィルタを効率よく洗浄することが可能な洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に液体を貯溜可能な外槽と、前記外槽内に回転自在に支持され、洗濯物が収容される内槽と、前記外槽と前記内槽に乾燥した空気を送る乾燥装置と、前記外槽から前記乾燥装置に戻る空気が通る戻り風路と、前記乾燥装置から前記内槽内に送る空気が通る送り風路と、前記外槽の背面上部に設けられ、前記乾燥装置の吸込み側に連通する出口部と、前記外槽の背面に設けられ、前記出口部に繋がる槽内ダクトと、前記槽内ダクトの側壁の一部として設けられる第一フィルタと、前記出口部の下流側に設けられる第二フィルタと、前記第二フィルタに洗浄水を供給する給水部と、を備え、前記第二フィルタに供給された洗浄水を前記第一フィルタの洗浄に利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタを効率よく洗浄することが可能な洗濯乾燥機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
【
図3】外槽から槽カバーを取り外し、回転ドラムを一部切り欠いた斜視図である。
【
図4】外槽から回転ドラム、一次フィルタと二次フィルタを外した斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る洗濯乾燥機の内部を外槽背面側から見た斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る洗濯乾燥機の二次フィルタと二次フィルタへの散水具との位置関係を中心に、外槽背面と戻り風路との接続部について拡大抽出した斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る洗濯乾燥機の筐体下部に収めているヒートポンプユニットを示す斜視図である。
【
図9】ヒートポンプユニット内部を示す構成図である。
【
図11】散水具からの洗浄水の流れを示す断面図である。
【
図12】変形例に係る散水具からの洗浄水の流れを示す断面図である。
【
図13】槽内ダクトの側壁の形状を示す断面図である。
【
図14】本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】本実施形態に係る洗濯乾燥機における洗濯運転(洗い~乾燥)の運転工程を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。
図1は、本実施形態に係る洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。
図2は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の内部構造を示す右側面の概略断面図である。
図1に示すように、洗濯乾燥機100は、ドラム式の洗濯乾燥機であり、ベース1hの上部に、主に鋼板と樹脂成形品で作られた側板1a及び補強材(図示せず)を組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に前面カバー1c、上面カバー1eを取り付けることで筐体1を構成している。前面カバー1cには、洗濯物30(
図2参照)を出し入れするドア9が設けられている。
【0010】
図2に示すように、筐体1の内部には外槽20が設けられている。外槽20は、下部が複数個のサスペンション5aにより支持され、上部がバネ5bにより吊られている。また、外槽20の内側にある回転ドラム29(内槽)には、ドア9を開けて洗濯物30が投入される。また、回転ドラム29の開口部の外周には、脱水時の洗濯物30のアンバランスによる振動を低減するための流体バランサ31が設けられている。また、回転ドラム29の内側には洗濯物30を掻き上げる複数個のリフタ33が設けられている。また、回転ドラム29は、回転ドラム用の金属製フランジ34に連結された主軸35を介してドラム駆動用のモータM10(駆動部)に直結されている。なお、回転ドラム29を駆動させる機構は、主軸35に固定されたプーリと外槽20に固定したモータとをベルトを介して連結させてドラムを駆動させるいわゆるベルト駆動の構成でもよい。
【0011】
外槽20の開口部には弾性体からなるゴム系のベローズ10が取付けられている。このベローズ10は、外槽20内とドア3との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。回転ドラム29は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。また、外槽20の底部には、水受け部54が設けられている。この水受け部54に開口した排水口21は、排水弁V1を介して排水ホース26に接続されている。オーバーフローホース17は、外槽20の前面に取り付けられており、排水弁V1よりも下流側で排水ホース26と合流している。
【0012】
洗濯水を外槽20の上部までくみ上げて、回転ドラム29内の洗濯物30に散布するための循環ポンプ18は、外槽20よりも下部のベース1h側に固定されている。洗濯水は、外槽20の下部に設けられた水受け部54の排水口21から、糸くずフィルタ222を通して循環ポンプ18の吸込口側に入り、循環ポンプ18で昇圧されたのち、散水ノズル223から回転ドラム29内に向けて散水される。
【0013】
乾燥は、回転ドラム29とヒートポンプユニット300(ヒートポンプ)との間を、送風ファン2(
図6参照)により空気を循環させて乾燥させる温風乾燥方式としている。本実施形態では、送風ファン2と、循環空気を除湿してその後加熱するヒートポンプユニット300とによって乾燥装置が構成されている。また、洗濯乾燥機100は、温風を回転ドラム29内に吹き出すために外槽20の吹き出しノズル203に導く温風ダクト(送り風路)251(
図6参照)、回転ドラム29から出た湿った空気をヒートポンプユニット300まで戻す戻りダクト(戻り風路)252(
図6参照)を備えている。
【0014】
図3は、外槽から槽カバーを取り外し、回転ドラムを一部切り欠いた斜視図である。
図3に示すように、外槽20は、有底円筒状の外槽本体20aと、外槽本体20aの前面開口20a1に設けられる槽カバー20bと、によって構成されている。槽カバー20bには、循環ポンプ18(
図2参照)によって汲み上げられた洗濯水が通る流路20b1が形成されている。この流路20b1の先には、散水ノズル223が形成されている。また、槽カバー20bには、乾燥した空気が吹き出す吹き出しノズル203が形成されている。
【0015】
外槽20の背面には、槽内ダクト409が設けられている。この槽内ダクト409は、一端を外槽20の上部とし、他端を外槽20の背面の半分の高さよりも下側に設けた構成としている。また、槽内ダクト409は、外槽20の上部から下部に向かって、回転ドラム29を駆動させるモータM10(
図2参照)を回避する形で屈曲した形状(略円弧形状)となっている。また、槽内ダクト409の下部には、フィルタ部(メッシュ形状のもの)の無い開口部411が形成されている。
【0016】
槽内ダクト409には、一次フィルタ400(第一フィルタ)が取り付けられている。一次フィルタ400は、メッシュ形状の捕集部であり、複数に区画され略矩形状の樹脂枠内に捕集部が形成されている。外槽20の背面上部には、外槽20の外部と連通する連通口410(出口部)が形成されている。外槽20の背面外側には連通口410からヒートポンプユニット300(
図6参照)まで戻りダクト252(
図6参照)が接続されている。また、連通口410(戻りダクト252と外槽20との接続部)には、二次フィルタ401(第二フィルタ)が取り付けられている。
図3では、前後方向の前側に一次フィルタ400が位置し、後側(奥側)に二次フィルタ401が位置している。すなわち、連通口410を挟んで、一次フィルタ400と二次フィルタ401とが通風方向が重なるように配置されている。また、一次フィルタ400と二次フィルタ401とは対面した構成となっており、一次フィルタ400を通過した循環空気は、流れの様態を乱さずに、二次フィルタ401を通過するため、通風抵抗を小さくできる。
【0017】
また、フィルタを流れ方向に対して2枚構成とすることで、メッシュの平面状の重なりとすることができ、1枚構成と比べて、各々のメッシュ(目開き)を荒くできる。これにより、2枚に渡ってのリントの補集となるため、リントが緻密に密集することを回避でき、安定した空気循環を持続できる。さらに万が一、二次フィルタ401が一次フィルタ400につづき閉塞して、洗浄でも改善できなかったときは、外部から洗浄できるように、着脱可能な構成としておいてもよい。
【0018】
図4は、外槽から回転ドラム、一次フィルタ及び二次フィルタを外した斜視図である。なお、
図4は、外槽20の右側の側面半分、回転ドラム29の右側の側面半分を切り欠いた状態を示している。
図4に示すように、外槽20の背面には、凹面が前方を向くように形成された凹条部409bが形成されている。この凹条部409bは、外槽20の背面の半分の高さよりも下側から外槽20の上部に向けて、モータM10(
図2参照)を回避するように屈曲した形状である。凹条部409bは、背面側に位置する底面409b1と、底面409b1の外周縁部から前方に起立して形成される外周側面409b2と、底面409b1の内周縁部から前方に起立して形成される内周側面409b3(奥行方向の側面、ダクト側壁)と、を有している。
【0019】
凹条部409bの一端側である上端には、外槽20の背面を前後方向に貫通する連通口410が形成されている。この連通口410は、横長の略矩形状に形成され、略水平部407(略水平)からなる底面を有している。この略水平部407は、略水平な面(略水平部)によって形成されている。なお、略水平部407は、略水平な面に限定されるものではなく、開口部411に向けて下る傾斜面(開口部411に向かう下り傾斜)であってもよい。また、連通口410には、左右方向の略中央に、洗浄水の流れを規制する(邪魔する)リブ406(流れ規制部材)が形成されている。本実施形態でのリブ406は、棒形状(四角柱状)の部材によって形成されている。
【0020】
一次フィルタ400は、合成樹脂製の枠部400aに、金属製のメッシュ部材400bがインサート成形によって一体に形成されたものである。また、一次フィルタ400は、凹条部409bに沿う屈曲した形状であり、凹条部409bに嵌合するようにして取り付けられる。なお、メッシュとは、主に糸くずを捕捉可能な目開きのものである。また、メッシュ部材400bは、金属製に限定されず、化学繊維を網状にしたものであってもよい。また、枠部400aには、補強用の区画部400cが形成され、上端に位置する区画が他の区画よりも大きい面積になるように構成されている。換言すると、一次フィルタ400の上端の区画は、連通口410の開口と略同じ面積になるように構成されている。これにより、凹条部409bに一次フィルタ400が取り付けられることで槽内ダクト409が構成される。凹条部409bと一次フィルタ400との間には、乾燥運転時に開口部411から流入した空気が流れる空間が形成される。開口部411から空間を通過した空気は、連通口410から戻りダクト252(
図6参照)に排出される。
【0021】
二次フィルタ401は、一次フィルタ400と同様に、合成樹脂製の枠部401aに、金属製のメッシュ部材401bがインサート成形によって一体に形成されたものである。また、二次フィルタ401は、連通口410に嵌る形状であり、後側から取り付けられる。
【0022】
このように、一次フィルタ400に開口部411を形成しておくことで、万が一、一次フィルタ400がリントなどで閉塞してしまった場合でも開口部411を通して循環空気が通過できるため、乾燥を行うことができる。そのときのリントは二次フィルタ401のみで取り除くことになるが、二次フィルタ401の面積もヒートポンプユニット300(
図2参照)の大風量に応じて十分な面積を確保しているため、乾燥を行うことができる。
【0023】
図5は、回転ドラムの裏側を示す斜視図である。なお、
図5は、
図4において破線で四角形状に囲んだV部分の裏側を図示している。
図5に示すように、回転ドラム29には、ドラムフランジ402を固定するための凹みが設けられており、これらの境界404には隙間がある。さらに、ドラムフランジ402自体は、剛性確保と軽量化策として、中ぐりが施され、中ぐり内には複数のリブ403が設けられている。
【0024】
このリブ403によって仕切られたセルは、柄杓の役割をなして浸水時に水をくみ上げることができる。回転ドラム29の回転に伴って汲み上げた水を、一次フィルタ400の表面(前面)に浴水させることができる。
【0025】
図6は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の内部を外槽背面側から見た斜視図である。なお、
図6は、乾燥装置に必要な部材を抜き出して示している。
図6に示すように、外槽20には、戻りダクト252(戻り風路)と、温風ダクト251(送り風路)とが取り付けられている。
【0026】
戻りダクト252は、上流側の端部が連通口410に接続され、下流側の端部がヒートポンプユニット300の流入口300aと蛇腹管253を介して接続されている。また、戻りダクト252は、槽内ダクト409(
図3参照)と同様に、外槽20の背面外側において回転ドラム29を駆動させるモータM10を回避する形で屈曲した形状となっている。
【0027】
また、戻りダクト252には、可変排気手段306が設けられている。この可変排気手段306は、戻りダクト252が延びる方向(下方)とは上下方向の反対側に設けられている。また、可変排気手段306は、戻りダクト252の上端から鉛直方向上方に向けて延びるダクト部306aと、このダクト部306aの上端に形成された排気口(開口)306bを開閉する弁306cと、を備えて構成されている。また、戻りダクト252には、連通口410を挟んでヒートポンプユニット300の吸込側とは反対側に排気口306bが設けられている。また、ダクト部306aの流路断面積は、戻りダクト252の流路断面積よりも十分に小さく形成されている。
【0028】
このようにして、循環空気の一部を機外(外槽20の外側)に排気するようになっている。排気口306bは、連通口410から筐体1の下部に収めたヒートポンプユニット300に延びる戻りダクト252の空気流れ方向に対して反対方向に位置している。すなわち、外槽20の内圧とほぼ等しい回転ドラム29内の静圧と、大気圧との差を推進力として排気できるため、回転ドラム29内の空気の主流の動圧の影響をほとんど受けずに排気できるので、安定して排気できる。
【0029】
温風ダクト251は、モータM10を挟んで戻りダクト252とは左右反対側に設けられている。また、温風ダクト251は、外槽20の背面において上下方向に延び、外槽20の上部において前方に延びて形成されている。また、温風ダクト251の上流側の端部は、ヒートポンプユニット300の流出口300b(
図8参照)と送風ファン2を介して接続されている。また、温風ダクト251の下流側の端部は、蛇腹管254を介して吹き出しノズル203と接続されている。
【0030】
送風ファン2は、ファンケース2aと、遠心羽根車(不図示)と、遠心羽根車を回転駆動する電動機2bと、を備えて構成されている。また、送風ファン2は、回転軸が横向きになるようにして、ヒートポンプユニット300の右側面に隣接して取り付けられている。
【0031】
また、
図6に示すように、ヒートポンプユニット300の流出口(出口部)300b(
図8参照)に設けた送風ファン2から外槽20の前部の吹き出しノズル203までを連結する温風ダクト251には、可変抵抗具256が設けられている。この可変抵抗具256は、温風ダクト251に設けられ、温風ダクト251の風路を開閉するフラップ(不図示)と、フラップを駆動する電動機(不図示)と、によって構成されている。高温の温風を要する乾燥コースや乾燥コースの途中で高温を要する場合などの過程において、可変抵抗具256のフラップを温風ダクト251側を閉じる方向に駆動させることで、吹き出しノズル203側に向かう温風を抑制し、風路の抵抗を増やしている。この風路抵抗を増やすこと、つまり送風ファン2の回転速度を上げて、送風ファン2の吐出圧を上げた動作点での運転とすることで、送風ファン2の断熱圧縮が強化される。これにより、送風ファン2の出口においてより高い空気温度が得られる。温風温度を上げた乾燥では、十分に乾燥した洗濯物と乾燥途中の洗濯物30が混在する工程が頻繁に起こる。この場合、乾き切った洗濯物の摩擦は大きくなるので、リントが多く出ることがある。このため、乾燥後のフィルタ洗浄工程を長くするなどの選択動作を必要に応じて設けておいてもよい。
【0032】
また、吹き出しノズル203は、外槽20のドア部のパッキンに隣接する形で、開口部から回転ドラム29内の洗濯物30へ直接吹き出すように設けられている。吹き出しノズル203の断面積は、温風ダクト251の断面積よりも小さいため、温風は洗濯物30へ吹き出される際に高風速で吹き出されるので、伝熱性能を向上できる。より高速風で乾燥させる乾燥コースを、通常の乾燥コースとは別に設ける場合などは、高速風を用いるときは洗濯物30の擦れも強くなるので、リントが出やすい。この場合なども乾燥後のフィルタ洗浄工程もしくは、次回の洗濯時のフィルタ自動洗浄時間を長くするなどの選択動作を必要に応じて設けておく。
【0033】
図7は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の二次フィルタと二次フィルタへの散水具との位置関係を中心に、外槽背面と戻り風路との接続部について拡大抽出した斜視図である。
図7に示すように、二次フィルタ401の上方かつ前方には、二次フィルタ401を洗浄するための散水具405(給水部)が設けられている。この散水具405は、二次フィルタ401に沿って散水管が形成され、散水管に水を吐出するための吐出孔(不図示)が長手方向(管の軸方向)に沿って複数形成されている。また、散水具405は、給水電磁弁16(
図2参照)と配管(不図示)を介して接続されている。
【0034】
図8は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の筐体下部に収めているヒートポンプユニットを示す斜視図、
図9は、ヒートポンプユニット内部を示す構成図、
図10は、
図8のX部の内部を示す斜視図である。
図8に示すように、ヒートポンプユニットケース310には、戻りダクト252(
図6参照)と接続される流入口300aと、温風ダクト251を介して吹き出しノズル203へ温風を導く温風ダクト251と接続される流出口300bと、を備えている。また、ヒートポンプユニットケース310の上部中央付近には、吸気口260が形成されている。この吸気口260は、スリット状に形成され、連通口410とヒートポンプユニット300との間に設けられている。排気口306b(
図7参照)からの排気量と略同量の周囲外気が吸気口260から給気される。また、吸気口260は、ヒートポンプユニット300の構成要素である蒸発器302(
図10参照)と凝縮器301(
図10参照)の間の空間に通じる位置に形成されている。
【0035】
図9に示すように、ヒートポンプユニット300は、圧縮機307、凝縮器301、可変膨張弁308、蒸発器302から主に構成される。本実施形態では、膨張手段として可変膨張弁308を使用したものとしているが、キャピラリチューブのような固定の膨張手段であってもよい。循環空気の流れとしては、蒸発器302を通過した後に凝縮器301に流入して、送風ファン2の吸い込み口に至る。蒸発器302と凝縮器301の間には吸気口260が位置するため、蒸発器302に流入する風量は送風ファン2の吹出量から排気口306b(
図7参照)にて排気される排気量を差し引いた量となり、凝縮器301に流入する際に吸気口260から排気量と同量の空気が流入するため、凝縮器301を通過する風量は送風ファン2の吹出量に等しくなる。
【0036】
蒸発器302では、循環空気は低温の冷却媒体と熱交換するため、除湿されてドレン水が生じる。
図10に示すように、ドレン水を外部へ排水するために、必要に応じて排水ポンプ312が設けられる。この排水ポンプ312は、ドレン水の貯水状況を検知して駆動させる方式や予め決めた時間間隔において駆動させる方式が通常採用される。
【0037】
蒸発器302や凝縮器301のフィン間隔は、熱交換性能を確保するために1~2mmほどの間隔としている。なお、蒸発器302や凝縮器301には、一次フィルタ400や二次フィルタ401で取り切れなかったリントが付着する場合がある。この不測の事態に対処するために、散水具405(
図7参照)を設け、前もって洗浄する方式や、風量の変化を検知して洗浄する方式などが採用される。
【0038】
図11は、散水具からの洗浄水の流れを示す断面図である。
図12は、変形例に係る散水具からの洗浄水の流れを示す断面図である。なお、
図11および
図12では、水(洗浄水)の流れを白抜き矢印で示している。
図11に示すように、散水具405は、一次フィルタ400と二次フィルタ401との間に設けられている。この散水具405からの洗浄水は、二次フィルタ401の前面(一次フィルタ400と対向する面)に向けて散水される。これにより、二次フィルタ401の表面(前面)に供給された洗浄水は、二次フィルタ401の表面(前面)を洗い流し、連通口410の略水平部407まで流下する。また、略水平部407まで流下した洗浄水は、一次フィルタ400の枠部400aに設けられた略水平部400d(略水平)に流れ集められる。また、散水具405からの洗浄水は、二次フィルタ401の表面(前面)ではじかれて一次フィルタ400側に飛散する。なお、散水具405への給水弁の選定で散水具405への給水圧を高めた場合には、散水具405から給水された一部は二次フィルタ401によってはじかれて一次フィルタ400側に飛散する。この飛散水の割合を多くした設定にすれば、一次フィルタ400の二次フィルタ401との重なり部全体を洗浄することができる。
【0039】
また、散水具405からの洗浄水は、二次フィルタ401を抜けて、戻りダクト252からヒートポンプユニット300側に流下する。また、二次フィルタ401の表面から一次フィルタ400側に飛散した洗浄水は、一次フィルタ400の裏面側(二次フィルタ401に対向する側)を洗浄した後、一次フィルタ400の下部まで流下する。すなわち、二次フィルタ401の表面(前面)を伝って連通口410の略水平部407に流れた洗浄水は、一次フィルタ400の略水平部400dの下部に集められる洗浄水と合流した後、自重で槽内ダクト409の略水平部407(底面壁)から屈曲部408に流下し、槽内ダクト409の内面側壁の一部を形成する内周側面409b3(ダクト側壁)を通して、槽内ダクト409を流下する。以上のように、洗浄水は、槽内ダクト409の略水平部407,400dにおいて集められた後に外槽20の下部へと流下するので、一次フィルタ400の裏側から、回転ドラム29の背面側に飛散させることなく、排水される。
【0040】
なお、
図12に示すように、散水具405を二次フィルタ401の後方(戻りダクト252側)に設けて、散水具405からの洗浄水を戻りダクト252側から二次フィルタ401へ散水する構成であってもよい。このような構成であっても基本的にはよく、洗浄水は二次フィルタ401を貫通して、一次フィルタ400の略水平部400dの下部に集められる分と、戻りダクト252からヒートポンプユニット300側に流下していく分と、二次フィルタ401の網目を貫通して、一次フィルタ400側に飛散する分に、大別される。各々の排水については前記した通りである。
【0041】
このように構成されたフィルタの洗浄は、洗濯工程の途中や乾燥工程前において行う。なお、乾燥工程終了後に洗浄してもよい。フィルタの洗浄は、一次フィルタ400の洗浄工程と二次フィルタ401の洗浄工程に大別される。一次フィルタ400は、外槽20の背面の一部を形成しているため、外槽20の底部に水が溜まった状態で回転ドラム29を回転させ、回転ドラム29が浸水していた部位が水を掻き上げて、外槽20の背面側に浴水させる(洗浄水を浴びせる)。この動作を繰り返すことで一次フィルタ400を洗浄できる。
【0042】
また、一次フィルタ400を洗浄して上部まで達した水の一部は失速した際に一次フィルタ400を通過して二次フィルタ401に達する。二次フィルタ401の一帯を浸水させながら槽内ダクト409の屈曲部408へと流下させることで、二次フィルタ401の表面に堆積したリントを洗い流すことができる。なお、二次フィルタ401のリントの堆積が少ない場合は、戻りダクト252を介してヒートポンプユニット300の底部まで導かれる。最終的には蒸発器302の凝縮水とともに排水ポンプ312によって汲み上げて、機外へ排出される。
【0043】
また、二次フィルタ401の洗浄は、二次フィルタ401の上部に設けた散水具405からの散水によって洗浄する。二次フィルタ401にリントが堆積された状態では、散水は二次フィルタ401の表面を流下してリントを洗い流した後、槽内ダクト409側に流れて一次フィルタ400の略水平部400dに集められる。その後、槽内ダクト409から順次、屈曲部408を流下して、開口部411を介して外槽20の下部にある排水口21から機外へ排水される。
【0044】
また、本実施形態では、連通口410には洗浄水が槽内ダクト409の屈曲部408への流れを抑えるリブ406(流れ抑制部材)が1本が設けられている。これにより、二次フィルタ401から槽内ダクト409を介して一次フィルタ400に達する洗浄水が、二次フィルタ401を流下後に屈曲部408に流出してしまうのを防ぐ(抑える)ことができる。なお、リブ406は1本に限定されるものではなく、複数本であってもよい。また、リブ406の本数は、洗浄水量に合わせて設定することが好ましい。また、リブ406を棒状した場合を例に挙げて説明したが、格子状に構成するものであってもよい。
【0045】
図13は、槽内ダクトの側壁の形状を示す断面図である。なお、
図13は、屈曲部408の位置で縦方向に切断したときの断面である。
図13に示すように、槽内ダクト409は、背面側に位置する底面409b1と、外周側に位置する外周側面409b2と、内周側に位置する内周側面409b3と、一次フィルタ400とによって囲まれることで構成されている。内周側面409b3は、連通口410の底面である略水平部407に繋がっている。
【0046】
また、内周側面409b3は、前方から後方に向けて下り傾斜になっている。これにより、屈曲部408を流れ落ちる洗浄水は、底面409b1側を流れるようになり、洗浄水が一次フィルタ400側に流れ落ちるのを抑制できる。その結果、屈曲部408を流れ落ちる洗浄水が回転ドラム29にふりかかるのを抑制できる。
【0047】
図14は、本実施形態に係る洗濯乾燥機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、制御装置90は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)110を備える。マイコン110は、使用者の操作(操作スイッチ12)や、洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号(排水温度センサT1,温度センサT2,温度センサT3,外気温度センサT4、電導度センサ4)を取得する。また、マイコン110は、駆動回路を介して、モータM10、給水電磁弁16、排水弁V1、循環ポンプ18、送風ファン2、圧縮機307、可変膨張弁308、排水ポンプ312、可変排気手段306、可変抵抗具256に接続され、これらの開閉、回転、通電を制御する。また、マイコン110は、使用者に洗濯乾燥機100に関する情報を知らせるために、表示器14やブザー(図示せず)等を制御する。また、マイコン110は、運転パターンデータベース111、工程制御部112、回転速度算出部113、衣類重量算出部114、電導度測定部115、洗剤量・洗い時間決定部116、濁度判定部117、閾値記憶部118を備える。マイコン110は、電源スイッチ(不図示)が押されて電源が投入されると起動し、
図15に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
【0048】
図15は、本実施形態に係る洗濯乾燥機における洗濯運転(洗い~乾燥)の運転工程を説明する工程図である。
図15に示すように、制御装置90は、ステップS1において、洗濯乾燥機100の運転工程のコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は、ドア9を開けて、回転ドラム29内に洗濯する洗濯物30を投入し、ドア9を閉じる。そして、使用者は、操作スイッチ12を操作することにより、運転工程のコースを選択し入力する。操作スイッチ12が操作されることにより、選択された運転工程のコースが制御装置90に入力される。制御装置90は、入力された運転工程のコースに基づいて、運転パターンデータベース111から対応する運転パターンを読み込み、ステップS2に進む。なお、以下の説明において、洗濯乾燥の標準コース(洗い~すすぎ2回~脱水~乾燥)が選択されたものとして説明する。
【0049】
ステップS2において、制御装置90は、回転ドラム29に投入された洗濯物30の重量(布量)を検出する工程を実行する(布量センシング)。具体的には、工程制御部112が、モータM10を駆動して回転ドラム29を回転させるとともに、衣類重量算出部114が注水前の洗濯物30の重量(布量)を算出する。
【0050】
ステップS3において、制御装置90は、洗剤量・運転時間を算出する工程を実行する。電導度測定部115は、給水された水の電導度(硬度)を検出する。また、外槽20の下部(例えば、排水口21)に設けた排水温度センサT1で、給水された水の温度を検出する。洗剤量・洗い時間決定部116は、検出した布量、電導度測定部115において電導度センサ4からの検出値を用いて求めた水の電導度(硬度)、水の温度に基づいてマップ検索により、投入する洗剤量と運転時間を決定する。そして、工程制御部112は、決定された洗剤量・運転時間を表示器14に表示する。
【0051】
ステップS4において、制御装置90は、所定時間待機して(洗剤投入待ち工程)、ステップS5に進む。使用者は、待機中に表示器14に表示された洗剤量を参考に、洗剤類投入部(図示せず)内に洗剤類を投入する。もし洗剤自動投入が設定されていれば、洗剤の投入動作は省ける。
【0052】
洗濯工程は、洗剤溶かし工程(ステップS5)、前洗い工程(ステップS6)、本洗い工程(ステップS7)に大別される。さらに、本洗い工程は、第1本洗い工程(本洗い1工程)とそれにつづく第2本洗い工程(本洗い2工程)に分けられるが、運転経過に対して各々の工程に明確に区別されていなくても機能上はなんら差し支えない。また、後述する工程中の動作の一部を省略しても洗濯工程全体としての機能に変わりはない。
【0053】
ステップS5において、制御装置90は、洗剤溶かし工程を実行する。給水電磁弁16の所定の電磁弁が開かれ、給水される。給水は洗剤投入口に導かれたのち、外槽20に投入される。外槽20に投入された洗剤液は、給水経路(図示せず)を通って、回転ドラム29の底部に位置する水受け部54(
図2参照)に供給される。洗剤液が投入された後、循環ポンプ18(
図2参照)を駆動すると、水受け部54の水は、排水口21から糸くずフィルタ222を介して循環ポンプ18の吸込口(図示せず)に入る。循環ポンプ18で昇圧された洗濯水は、循環ポンプ18の出口と連通する循環吐出口(不図示)から再び水受け部54に戻される。
【0054】
制御装置90は、この時点で水受け部54内にある電導度センサ4(判別手段)において、電導度を検出し、高濃度洗剤水溶液のときの電導度データベースと柔軟剤水溶液のときの電導度データベースとの照合を行う。循環を繰り返すことで、少ない水で洗剤を溶かした均一な高濃度洗剤液を生成する。そして、回転ドラム29を回転させて、洗濯物30を攪拌させながら循環ポンプ18にて流路20b1(
図3参照)を通して汲み上げられた洗剤液を散水ノズル223(
図3参照)から満遍なく散布する。
【0055】
ステップS6において、制御装置90は、前洗い工程を実行する。この工程では、通常、外槽20内には洗剤液が浸み込んだ洗濯物30と、外槽20の底部の水受け部54に少量の洗剤液が存在する。回転ドラム29を回転させることで、洗濯物30を回転ドラム29の上部に持ち上げた後、重力により底部まで落下させるタンブリング動作に基づくたたき洗いを行う。これにより、洗濯物30に浸み込んだ洗剤液が搾り出てくるので、必要に応じて間欠的に循環ポンプ18を駆動させて、再び洗濯物30に洗剤液を散布する。この動作中においても、洗濯水(洗剤液)と洗濯物のいわゆる洗浄温度を上げると、洗浄性能を向上できるので、必要に応じて送風ファン2からの気流を、ヒートポンプユニット300にて温めた後に吹き付ける。洗浄温度レベルを上げることで、洗濯物30への高濃度洗剤液の浸透を促進させることもできる。送風ファン2からの気流の吹き出しノズル203は、
図3に示すように、散水ノズル223と吹き出しノズル203とは外槽20の円周上において対向する位置に設けているため、高濃度洗剤液の散布と浸み込みを促進させるための温風の干渉を防ぐことで、効率よく洗浄できる。洗濯物30は高濃度洗剤液を保水した状態であるため、洗濯物30の繊維隙間を空気が占めるよりも熱伝導は良く、効率よく加熱できる。これにより繊維から、より多くの汚れを短時間で分離できる。分離できた汚れは、保水された高濃度洗剤液内に迅速に分散されるので、再び凝集して再付着することを防ぐことができる。
【0056】
なお、循環ポンプ18よりも小流量の循環ポンプ(図示せず)を別に設置してもよい。この場合、水受け部54から汲み上げて送風機(送風ファン2)出口近傍にて温風内に散布することで、温風に液滴(洗剤液)を混ぜて、洗濯物30に散布させてもよい。洗濯工程の途中で、通常の循環量レベルを確保できるまで追加給水して、循環ポンプ18にて散布させると、洗濯物30の温度は急激に低下する。そこで、前記のような構成にして、より少量の循環水を温風にのせて散布させれば、洗濯物30に含まれる水を満遍なく且つ僅かずつ入れ替えることができる。このため、洗濯物30の急激な温度低下も抑えることができるので、より洗浄性能を向上させることができる。
【0057】
前洗い工程からその後の本洗い工程に向けてのどこかのタイミングにおいて、フィルタの洗浄工程を重ねて実行してもよい。これまでの乾燥工程中に、回転ドラム29の回転による旋回流で取り切れなかったリントや、洗濯運転のみを重ねて実行した際に堆積した糸くずを取り除くために、散水具405から二次フィルタ401へ散水するが、散水はそのまま洗い工程の洗浄水に流用できる。無駄なく散水できるため、以上のように、二次フィルタ401の洗浄を含めた洗浄工程が好ましい。洗浄後は、可変排気手段306(
図6参照)によって排気口306bを開放する。本実施形態では、可変排気手段306として弁306c(排気トビラ)を設けた構成としている。これにより、二次フィルタ401のメッシュ内から落下しきれなかった細かな水滴を、ダクト内空気の周囲外気へ拡散させ、湿気を低下させることができる。乾燥開始時に二次フィルタ401が乾いていれば、リントの付着が抑えられ安定して排気できる。
【0058】
ステップS7において、制御装置90は、本洗い工程を実行する。本洗い工程では、前洗い工程が終了した時点で追加給水して、水受け部54の水量を増やして、水位を上げる。この水位は、循環ポンプ18により水受け部54から洗濯水をくみ上げて、外槽20の上部の散水ノズル223から連続して散布するのに十分な水位を保つものとする。散水ノズル223からの散布は、連続であっても間欠であってもよい。具体的には、洗濯物30の裏側などに多くの汚れがまだ付着している間は、連続で散布して洗濯水の攪拌を促進する。これにより、洗濯物30が保水する洗濯水を、常に汚れ濃度の低い洗濯水に入れ替えることができる。汚れがほとんど落ちた後は、たたき洗いの機械力を主として、残りの汚れを落とすほうが洗浄効率がよい。よって、後半の散布は、機械力を妨げないように間欠散布とするのが好ましい。また、循環ポンプ18の駆動力を間欠とすることで、消費電力量を抑えられるので、省エネルギーの面からも好ましい。
【0059】
なお、散水ノズル223は、外槽20に、洗濯乾燥機100の正面からみて回転可能な回転ドラム29の中心軸よりも上側、且つ、洗濯乾燥機100側面からみて、正面寄りの前側に位置している。これにより、散水ノズル223からの噴出範囲を、回転ドラム29の半径方向に対して広角にして散布する構造としている。第1本洗い工程では、広範囲の散布とともに、回転ドラム29の回転によって回転ドラム29の下方に溜まった洗濯物30を持ち上げて、回転ドラム29内の上方から落下させることにより、洗濯物30に機械的な力を与えてたたき洗いをする。ドラム径が大きいほど、広範囲の散布とたたき洗いの相乗効果が得られ、本洗い工程の時間を短縮できる。
【0060】
また必要に応じて制御装置90は、第2本洗い工程を実行する。前述の本洗い工程(第1本洗い工程)の終了時に給水することで、第2本洗い工程の水量を、第1本洗い工程の水量よりも多くする。また、第2本洗い工程の循環ポンプ18の循環流量は、第1本洗い工程での循環ポンプ18の循環流量よりも多くする。さらに、第2本洗い工程の回転ドラム29のモータM10の回転速度は、第1本洗い工程のモータM10の回転速度よりも低くする。第1本洗い工程と第2本洗い工程の組み合わせは、洗濯物30の黒ずみ、ごわつきを抑制させる運転アルゴリズムとしている。
【0061】
第1本洗い工程もしくは第2本洗い工程の一部もしくは全行程において、循環ポンプ18にて汲み上げた洗濯水を散水ノズル223から散水しつつ、回転ドラム29を洗濯物30がタンブリング動作に至らずに回転ドラム29の内壁に張り付いた状態にて回転させる洗い動作としてもよい。このような動作により、洗濯物30に含まれる洗濯水は遠心力にて押し出されるとともに、散水ノズル223からの散水で常に振りかけられて供給される。このような洗濯水の繊維内流動による洗いとすれば、洗濯物30どうしのこすれあいによるリントの発生を抑えることができ、乾燥工程における循環空気に伴うリントの循環量を減らせることができ、蒸発器302の洗浄工程を軽減できる。
【0062】
ステップS8において、制御装置90は、第1すすぎ工程(すすぎ1工程)を実行する。この工程では、排水弁V1を開けて、洗濯水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽20内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、回転ドラム29を回転させて、洗濯物30とすすぎ水を攪拌してすすぐ。このタイミングにおいて主に一次フィルタ400の洗浄を重ねて実行してもよい。比較的きれいなすすぎ水をドラムの回転において巻き上げて一次フィルタ400に浴水する。このときの回転ドラム29の回転は、水を外槽20の背面側に飛ばすための運動量を与えるため、通常のすすぎ工程での回転数よりも速い回転数とするのがよい。
【0063】
ステップS9において、制御装置90は、第2すすぎ工程(すすぎ2工程)を実行する。第2すすぎ工程では、第1すすぎ工程と同様にして、排水弁V1を開けて、すすぎ水を排出した後、排水弁V1を閉じて、外槽20内に所定の水位まですすぎ水を供給する。その後、回転ドラム29を回転させて、洗濯物30とすすぎ水を攪拌してすすぐ。第1すすぎ工程もしくは第2すすぎ工程の一部もしくは全行程において、循環ポンプ18にて汲み上げたすすぎ水を散水ノズル223から散水しつつ、回転ドラム29を洗濯物30がタンブリング動作に至らずに回転ドラム29の内壁に張り付いた状態にて回転させるすすぎ動作としてもよい。このような動作により、洗濯物30に含まれるすすぎ水は遠心力にて押し出されるとともに、散水ノズルからの散水で常に振りかけられて供給されるすすぎ動作とすれば、洗濯物30どうしのこすれあいによるリントの発生を抑えることができ、乾燥工程における循環空気に伴うリントの循環量を減らせることができ、蒸発器302の洗浄工程を軽減できる。この工程においては主に二次フィルタ401の洗浄工程を重ねて実行してもよい。洗濯物30から絞り出されたすすぎ水が一次フィルタ400に散水されるので、この間に二次フィルタ401を洗浄しておくのがよい。
【0064】
また、ステップS8もしくはステップS9に切り替わるタイミングにおいて、主に一次フィルタ400の洗浄工程を設けてもよい。すすぎ水は洗浄水に比べて洗剤と汚れの含有割合が少ないため、外槽20の底部の水受け部54のすすぎ水を排水する前に、ドラムの回転により掻き上げて一次フィルタ400を洗浄する。回転ドラム29の回転により掻き上げられた水の大部分は、一次フィルタ400の表面を洗浄した後に、一次フィルタ400よりも低い位置にあるオーバーフローホース17から槽外に排水される。一次フィルタ400の洗浄が進み、一次フィルタ400が通水されやすくなると、一次フィルタ400を通過して二次フィルタ401まで至る水量が増えてくる。さらに二次フィルタ401から戻りダクト252を介してヒートポンプユニットケース310に至ったすすぎ水は、排水ポンプ312にて排水する。すすぎ水とともに二次フィルタ401に付着した汚れを落とすために、必要に応じて二次フィルタ401の洗浄工程を、一次フィルタ400の洗浄工程の後に行っておくのが好ましい。
【0065】
ステップS10において、制御装置90は、脱水工程を実行する。この工程では、排水弁V1を開いて外槽20内のすすぎ水を排水した後、回転ドラム29を回転させて洗濯物30を遠心脱水する。脱水の回転速度は、洗濯物30のバランスがとれずにモータM10の電流値が上限を超えるなどの不具合がない限り、負荷に応じた設定回転速度まで上昇させる。脱水の回転速度を上げて、回転ドラム29が高速回転すると、外槽20にも振動が伝わり、外槽20自身も僅かながら振動する。また、回転ドラム29の高速回転に伴って、振動がドア9側にも伝わるのをベローズ10にて吸収できる。温風ダクト251も、各々蛇腹管により外槽20の吹出口と接続されているため、振動を吸収できる。
【0066】
また、この脱水工程内において、二次フィルタ401の洗浄工程を重ねて実行することもできる。前回までの乾燥工程中に回転ドラム29の回転による旋回流で取り切れなかったリントや洗濯運転のみを重ねて実行した際に堆積した糸くずを取り除くために、散水具405から二次フィルタ401に散水して洗浄する。洗浄後は、送風ファン2を駆動させ、二次フィルタ401のメッシュ内から落下しきれなかった細かな水滴を、ダクト内空気の周囲外気へ拡散させ湿気を低下させる。さらに必要に応じて、脱水工程中は可変排気手段306の弁306cを開け続けて、周囲外気との連通を確保する。脱水工程では回転ドラム29の高速回転による内圧の上昇により、外槽20が後傾となる。しかし、本実施形態では、可変排気手段306を設けることによって、周囲外気と連通させて外槽20が後傾となるのを軽減できるので、ベローズ10などの信頼性を高めることができる。
【0067】
また、脱水を促進させるために回転ドラム29内に温風を吹き出して洗濯物30を温めて、繊維を膨張させるとともに、含水の粘性を下げることで、水を抜けやすくして脱水を強化することもできる。この場合、ヒートポンプユニット300を駆動してもよいが、圧縮機307が温まるのに時間を要する場合は、可変抵抗具256(
図6参照)で風路を絞ることで、断熱圧縮により空気の温度を上げてもよい。風路抵抗が増すため、送風ファン2を高回転として循環風量を確保するのがよい。送風ファン2の吸い込み圧が低下して戻りダクト252の圧力も低下するが、排気の推進力は外槽20の内圧と大気との差をベースにできるため、安定した排気量を保つことができる。これに伴い、湿った戻り空気の一部を排気して、吸気口260(
図8参照)から外気を補充することで、比熱を小さく抑えられるので、より高温とした空気をドラム内に供給し続けることができ、より脱水を促進できる。
【0068】
また、脱水工程において送風ファン2によって送風した際、回転ドラム29内に吹き出しノズル203から直接吹き出させるため、回転ドラム29の内圧が上がりやすい。そこで、本実施形態では、可変排気手段306を設けて排気口306b(
図7参照)を開放することで、回転ドラム29の内圧上昇に対して抵抗なく外気と排気口306bを通して連通できるため、回転ドラム29が後傾になり過ぎるのを抑えることができる。これにより、ベローズ10を保護できる。
【0069】
ステップS11において、制御装置90は、乾燥工程を実行する。乾燥工程では、まず送風ファン2を駆動し、続いてヒートポンプユニット300内の圧縮機307を駆動させる。可変膨張弁308は一度全開状態として原点調整をした後、圧縮機307の吸込配管に設けたサーミスタ(図示せず)が低温とならないように、開度が調整される。圧縮機307の回転速度は、吐出配管に設けたサーミスタ(図示せず)と送風ファン2の出口に設けた温風サーミスタとの差が所定の温度以上となるように調整される。このようにヒートポンプユニット300で高温となった空気を送風ファン2により昇圧した後、回転ドラム29内へ吹き出しノズル203を通して送風して、洗濯物30と熱交換させるとともに洗濯物30から水分を蒸発させる。洗濯物30から蒸発した水分を含む循環空気は、外槽20から戻りダクト252を介してヒートポンプユニット300へ戻される。ヒートポンプユニット300では、風上側に配置された蒸発器302により、循環空気は冷却され露点温度以下となり、除湿される。続けて凝縮器301において昇温されて、低湿な温風とされる。
【0070】
本実施形態では、外槽20から戻りダクト252へ流入する際に一部の空気を排気口306bから排気し、同量の空気をヒートポンプユニット300の吸気口260から周囲外気を取り入れる。このため、高湿な空気を排気して、それよりも低湿な空気を取り入れるので、より除湿を強化した運転になる。このとき一次フィルタ400で補集されるリントは、回転ドラム29の回転に伴い回転ドラム29と外槽20の隙間で生じる空気流が一次フィルタ400の略円弧状をトレースするように流れるため、一次フィルタ400にリントが堆積するのを防ぐことができる。これにより乾燥工程を通して、安定した排気と空気循環が得られる。
【0071】
乾燥判定は、乾燥開始時もしくはある運転開始からの規定時間において外槽20と戻りダクト252との接続部に設けた温度センサT2(図示せず)によって外槽20の排気温度T2aと送風ファン2の出口側に設けた温度センサT3(図示せず)によって温風温度T3aを測定する(初期温度の設定)。その後、負荷に見合った規定時間経過後に終了判定のための外槽20の排気温度T2bと温風温度T3bを測定し、各々初期温度と終了判定温度との差を求める(ΔT2=T2a-T2b、ΔT3=T3a-T3b)。さらにそれらの温度差(ΔT2-ΔT3)が規定温度以上であるかどうかを確認して乾燥終了を判定する。
【0072】
乾燥工程の終了時に必要に応じてフィルタの洗浄工程を実施してもよい。このタイミングでは回転ドラム29内に乾燥させた洗濯物が存在するので、二次フィルタ401の洗浄工程をメインとするが、散水量は絞り気味として、回転ドラム29内の湿度に影響を与えないレベルとするのが好ましい。乾燥の終盤において洗濯物30の温度を上げて除菌する工程が設定されていれば、それよりも前に洗浄工程を行い、その後に可変排気手段306を開けるのが好ましい。温度を上げて除菌する際にも、外槽20の連通口410付近で高湿となりえる循環空気の一部を排気口306bから排気できるため、循環空気の湿度を効率よく下げることができる。
【0073】
なお、コース選択(ステップS1)において乾燥工程が設定されていない場合は、ステップS10において運転を終了するが、二次フィルタ401の洗浄工程は乾燥工程とは別に実施できる工程であり、例えば洗濯コースのみ運転後に選択できるなど、リント付着具合を反映しての選択的実施機能としておくのが好ましい。
【0074】
本実施形態によれば、常に乾燥工程の前には一次フィルタ400と二次フィルタ401は、リントによる目詰まりがなく、風路抵抗の少ない状態での乾燥ができるため、負荷に応じた乾燥時間で乾燥でき、消費電力を抑えることができる。
【0075】
以上説明したように本実施形態の洗濯乾燥機100は、内部に液体を貯溜可能な外槽20と、外槽20内に回転自在に支持され、洗濯物30が収容される回転ドラム29と、外槽20と回転ドラム29に乾燥した空気を送る乾燥装置と、外槽20から乾燥装置に戻る空気が通る戻りダクト252と、乾燥装置から回転ドラム29内に送る空気が通る温風ダクト251と、外槽20の背面上部に設けられ、乾燥装置の吸込み側に連通する連通口410と、外槽20の背面に設けられ、連通口410に繋がる槽内ダクト409と、槽内ダクト409の側壁の一部として設けられる一次フィルタ400と、連通口410の下流側に設けられる二次フィルタ401と、二次フィルタ401に洗浄水を供給する散水具405と、を備える。二次フィルタ401に供給された洗浄水を一次フィルタ400の洗浄に利用する。これによれば、洗浄時間を延ばすことなく、一次フィルタ400を効率よく洗浄することが可能になる。
【0076】
また、本実施形態において、一次フィルタ400と二次フィルタ401は、連通口410において通風方向が重なるように配置されている。これによれば、通風抵抗を小さくでき、省電力化を図ることが可能になる。
【0077】
また、本実施形態において、二次フィルタ401は、一次フィルタ400の上部において通風方向が重なる。これによれば、二次フィルタ401を洗浄した後の洗浄水を一次フィルタ400の洗浄に有効に利用できる。
【0078】
また、本実施形態において、槽内ダクト409は、回転ドラム29を回転駆動するモータM10を回避するように屈曲して形成されている。これによれば、槽内ダクト409の側壁(内周側面409b3)に沿って洗浄水を流すことが可能になるので、回転ドラム29の背面側に飛散させることなく排水できる。
【0079】
また、本実施形態において、槽内ダクト409の下部に一次フィルタ400の無い開口部411が形成されている。これによれば、一次フィルタ400がすべて詰まったとしても開口部411を介して空気流すことができる。
【0080】
また、本実施形態において、連通口410の底面は、略水平部407,400dを有する(
図11参照)。これにより、略水平部407,400dに洗浄水を溜めることができ、二次フィルタ401から洗浄水が一次フィルタ400を洗浄せずに屈曲部408に流れてしまうのを抑制できる。なお、連通口410の底面は、開口部411に向かって下り傾斜としてもよい。
【0081】
また、本実施形態において、槽内ダクト409の連通口410に繋がる面は、上部から開口部411に向かうにつれてダクト側壁(内周側面409b3)となるように屈曲して形成され、外槽20の排水口21に近づく形状である(
図4参照)。これにより、回転ドラム29や回転ドラム29内の洗濯物30へ飛散させることなく、外槽20下部にある排水口21まで導くことができる。
【0082】
また、本実施形態において、連通口410には、一次フィルタ400と二次フィルタ401との間に当該二次フィルタ401の洗浄水の流れを抑制するリブ406(流れ抑制部材)が設けられている(
図4参照)。これにより、二次フィルタ401を洗浄した洗浄水が一次フィルタ400に達する前に屈曲部408側へと流れ出すのを防ぐことができる。その結果、洗浄水を略一様に分散させた状態を保って、より確実に一次フィルタ400へ導くことできるので、効率よく一次フィルタ400を洗浄できる。
【0083】
また、本実施形態において、槽内ダクト409は、内周側面409b3(奥行方向の側面)が、外槽20の前方から後方に向かって下り傾斜である(
図13参照)。これにより、二次フィルタ401と一次フィルタ400を洗浄した洗浄水を、筐体1の振動や洗濯物30のアンバランスによって傾いていた場合でも、槽内ダクト409から回転ドラム29側に飛散させることなく、より確実に外槽20の排水口21まで導くことができる。
【0084】
また、本実施形態において、戻りダクト252には、連通口410を挟んで乾燥装置(ヒートポンプユニット300、送風ファン2)の吸込側とは反対側に可変排気手段306が設けられている。これにより、回転ドラム29内の空気の主流の動圧の影響をほとんど受けずに排気できるので、安定して排気できる。
【0085】
また、本実施形態において、乾燥装置は、圧縮機307と、凝縮器301と、該凝縮器301と同一風路内において凝縮器301の風上側に設けた蒸発器302と、凝縮器301と蒸発器302を結ぶ冷媒配管内に設けた可変膨張弁308と、を備えたヒートポンプユニット300によって構成されている。これにより、循環風量が多くなるヒートポンプ方式であっても、特に一次フィルタ400の洗浄を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 筐体
2 送風ファン(乾燥装置)
16 給水電磁弁
18 循環ポンプ
20 外槽
21 排水口
26 排水ホース
29 回転ドラム(内槽)
30 洗濯物
54 水受け部
100 洗濯乾燥機
203 吹き出しノズル
223 散水ノズル
251 温風ダクト(送り風路)
252 戻りダクト(戻り風路)
256 可変抵抗具
260 吸気口
300 ヒートポンプユニット(乾燥装置、ヒートポンプ)
301 凝縮器
302 蒸発器
306 可変排気手段
306a ダクト部
306b 排気口
306c 弁
307 圧縮機
308 可変膨張弁
310 ヒートポンプユニットケース
312 排水ポンプ
400 一次フィルタ(第一フィルタ)
400a 枠部
400b メッシュ部材
400c 区画部
400d 略水平部
401 二次フィルタ(第二フィルタ)
402 ドラムフランジ
405 散水具(給水部)
406 リブ(流れ抑制部材)
407 略水平部
408 屈曲部
409 槽内ダクト
409b 凹条部
409b1 底面
409b2 外周側面
409b3 内周側面(奥行方向の側面、ダクト側壁)
410 連通口(出口部)
411 開口部
M10 モータ(駆動部)
V1 排水弁