(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016539
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】足関節サポータ
(51)【国際特許分類】
A41D 13/06 20060101AFI20240131BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A41D13/06
A41D13/05 162
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118746
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】522196700
【氏名又は名称】社会福祉法人福島更生義肢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】北條 享
(72)【発明者】
【氏名】成田 謙司
(72)【発明者】
【氏名】石原 信市郎
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA14
3B011AC17
3B211AA14
3B211AC17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、膝の屈伸などの動きでもずれることなく足首の関節に対する締め付け力を維持可能な足関節サポータを得ることである。
【解決手段】本発明の足関節サポータ100は、人の足に装着されるものであって、装着時に足底が載置される足底部101と、中足骨を覆って甲部を固定可能な第1固定部110と、アキレス腱を覆って踵骨部を固定可能な第2固定部120と、脛部を固定可能な第3固定部130と、脹脛部を固定可能な第4固定部140とを備え、第1固定部、第2固定部、第3固定部および第4固定部はそれぞれ、足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片111、112、121、122、131、132、141、142を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の足に装着される足関節サポータであって、
装着時に足底が載置される足底部と、
中足骨を覆って甲部を固定可能な第1固定部と、
アキレス腱部を覆って踵骨部を固定可能な第2固定部と、
下腿部を固定可能な一対の第3固定部と一対の第4固定部と
を備え、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部、および前記第4固定部はそれぞれ、前記足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片を含む、足関節サポータ。
【請求項2】
前記足底部は、装着時に踵部分が露出可能な大きさである、請求項1に記載の足関節サポータ。
【請求項3】
前記第1固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの一方側固定片は面ファスナを備え、
前記第2固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの他方側固定片は面ファスナを備え、
前記第3固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの他方側固定片は面ファスナを備え、
前記第4固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの一方側固定片は面ファスナを備える、請求項1または2に記載の足関節サポータ。
【請求項4】
前記第1固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側から足の甲部を覆って足首の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されており、
前記第1固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から足の甲部および前記第1固定部の前記他方側固定片を覆うように足首の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成されている、請求項3に記載の足関節サポータ。
【請求項5】
前記第2固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記アキレス腱を覆うように足の踝の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成され、
前記第2固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において前記足裏の左右の他方側から前記アキレス腱および前記第2の固定部の前記一方側固定片を覆って足の踝の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成される、請求項3に記載の足関節サポータ。
【請求項6】
前記第3固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の他方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側から前記足の脛部を覆うように前記脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されており、
前記第3固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記足の脛部および前記第3固定部の前記一方側固定片を覆って前記脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成される、請求項3に記載の足関節サポータ。
【請求項7】
前記第4固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記脹脛部を覆って前記脹脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成され、
前記第4固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において前記足裏の左右の他方側から前記脹脛部および前記第4固定部の前記一方側固定片を覆って前記脹脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成される、請求項3に記載の足関節サポータ。
【請求項8】
前記足関節サポータは、前記足部の内果および外果を保護するための一対のステイをさらに備え、
前記一対のステイは、前記足底部または前記第1の固定部に取り付けられている、請求項1に記載の足関節サポータ。
【請求項9】
前記足関節サポータは、さらに、フィギュアエイトによる固定可能な締付ベルトを備える、請求項1に記載の足関節サポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足関節サポータに関し、特に、足首の関節を固定するサポータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、足首を捻挫から保護したり損傷を受けた足首の痛みを軽減したりするのに足首サポータが用いられている。例えば、特許文献1には、このようなサポータとして筒状に縫製されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示の筒状のサポータは、膝の屈伸のたびにたわみが生じる結果、サポータがずれ落ちたりすることで治療が良好に行えないという問題があった。またた、経年劣化により素材が伸びてしまうとサポータの締め付ける力が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、膝の屈伸などの動き動きでもずれることなく足首の関節に対する締め付け力を維持可能な足関節サポータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の項目を提供する。
【0007】
(項目1)
人の足に装着される足関節サポータであって、
装着時に足底が載置される足底部と、
中足骨を覆って甲部を固定可能な第1固定部と、
アキレス腱部を覆って踵骨部を固定可能な第2固定部と、
下腿部を固定可能な一対の第3固定部と一対の第4固定部と
を備え、
前記第1固定部、前記第2固定部、前記第3固定部、および前記第4固定部はそれぞれ、前記足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片を含む、足関節サポータ。
【0008】
(項目2)
前記足底部は、装着時に踵部分が露出可能な大きさである、項目1に記載の足関節サポータ。
【0009】
(項目3)
前記第1固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの一方側固定片は面ファスナを備え、
前記第2固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの他方側固定片は面ファスナを備え、
前記第3固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの他方側固定片は面ファスナを備え、
前記第4固定部に含まれる前記一対の固定片のうちの一方側固定片は面ファスナを備える、項目1または2に記載の足関節サポータ。
【0010】
(項目4)
前記第1固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側から足の甲部を覆って足首の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されており、
前記第1固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から足の甲部および前記第1固定部の前記他方側固定片を覆うように足首の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成されている、項目3に記載の足関節サポータ。
【0011】
(項目5)
前記第2固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記アキレス腱を覆うように足の踝の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成され、
前記第2固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において前記足裏の左右の他方側から前記アキレス腱および前記第2の固定部の前記一方側固定片を覆って足の踝の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成される、項目3に記載の足関節サポータ。
【0012】
(項目6)
前記第3固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の他方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側から前記足の脛部を覆うように前記脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されており、
前記第3固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記足の脛部および前記第3固定部の前記一方側固定片を覆って前記脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成される、項目3に記載の足関節サポータ。
【0013】
(項目7)
前記第4固定部の前記一方側固定片は、前記足底部の左右の一方側から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側から前記脹脛部を覆って前記脹脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成され、
前記第4固定部の前記他方側固定片は、前記足底部の左右の他方側から延設されるとともに、装着時において前記足裏の左右の他方側から前記脹脛部および前記第4固定部の前記一方側固定片を覆って前記脹脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成される、項目3に記載の足関節サポータ。
【0014】
(項目8)
前記足関節サポータは、前記足部の内果および外果を保護するための一対のステイをさらに備え、
前記一対のステイは、前記足底部または前記第1の固定部に取り付けられている、項目1に記載の足関節サポータ。
【0015】
(項目9)
前記足関節サポータは、さらに、フィギュアエイトによる固定可能な締付ベルトを備える、項目1に記載の足関節サポータ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、膝の屈伸などの動きでもずれることなく足首の関節に対する締め付け力を維持可能な足関節サポータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1による足関節サポータ100を示す展開図である。
【
図2】
図1に示す足関節サポータ100の使用状態(足に装着した状態)での形状を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す足関節サポータ100の各固定部の一対の固定片の位置を足の前後方向に沿った中心線C1を基準として示す平面図である。
【
図4】
図2に示す足関節サポータ100を足10に装着した状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態2による足関節サポータ200を示す図である。
【
図6】
図5に示す足関節サポータ200におけるサポータ本体200aおよび補強部材200bとしてのステイ片201、202を人の足10に装着した状態を示す側面図である。
【
図7】
図6の状態に、更に締付ベルト200cを装着した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0019】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0020】
本発明は、膝の屈伸などの動き動きでもずれることなく足首の関節に対する締め付け力を維持できる足関節サポータを得ることを課題とし、
人の足に装着される足関節サポータであって、
装着時に足底が載置される足底部と、
中足骨を覆って甲部を固定可能な第1固定部と、
アキレス腱を覆って踵骨部を固定可能な第2固定部と、
脛部を固定可能な第3固定部と、
脹脛部を固定可能な第4固定部と
を備え、
第1固定部、第2固定部、第3固定部および第4固定部はそれぞれ、足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片を含む、足関節サポータを提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0021】
従って、本発明の足関節サポータは、装着時に足底が載置される足底部と、第1~第4の4つの固定部とを有し、4つの固定部が甲部、踵骨部、下腿部(脛部および脹脛部)をそれぞれ固定可能なものであり、各固定部が足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片を含むものであれば、足底部および各固定部の形状や素材、またその他の構成は、特に限定されるものではなく任意であり得る。
【0022】
例えば、足関節サポータを構成する素材は、任意であり得る。好ましくは布製であるがこれに限定されない。また、布材は、複数の布材を縫製と接着材などにより重ね合わせた積層構造となっていてもよいし、あるいは、一層の布材からなる単層構造であってもよい。
【0023】
(足底部)
本発明の足関節サポータは、装着時に足底が載置される足底部を備える。好ましくは、足底部の大きさは、足関節サポータの装着時に足の踵部分を開口可能な大きさである。例えば、足底部は、装着時にかかと部分が露出するための凹部を備え得る。踵部分を露出可能とすることにより、足関節サポータが踵で踏みつけられるのを抑制でき、足関節サポータ緩みが生じるのを防止することが可能となる。
【0024】
(固定部)
本発明の足関節サポータは、甲部、踵骨部、下腿部(脛部および脹脛部)をそれぞれ固定する固定部を備える。各固定部は、それぞれ足底部の左右両側に位置する一方側固定片および他方側固定片を含む。各固定部は、一方側固定片と他方側固定片とで、甲部、アキレス腱部、脛部および脹脛部を、それぞれ足の両側から包み込むようにして締め付けることが可能となり、その結果、足の甲部、踵骨部、下腿部をしっかりホールドし、かつホールド状態を維持することが可能となる。一方側固定片および他方側固定片との固定手段は任意であり得る。好ましくは、一方側固定片および他方側固定片のいずれか一方に面ファスナが形成される。面ファスナを設けることにより着脱が容易に行うことが可能となる。しかしながら本件発明は、これに限定されない。例えば、紐などで固定しても良い。本発明の足関節サポータを構成する布地に面ファスナが固着可能な素材を用いると、各固定部では、一方側固定片および他方側固定片の一方を、その他方に対して任意の位置で固着することが可能となり、各固定部による足の甲部、踵骨部、下腿部のホールド力を連続的に調整可能となる。
【0025】
なお、第1~第4の一方側固定片はそれぞれ領域の一部が共有されていても良いし、それぞれ領域が別体として設けられても良い。同様に、第1~第4の他方側固定片はそれぞれ領域の一部が共有されていても良いし、それぞれ領域が別体として設けられても良い。
【0026】
(第1固定部)
第1固定部は、足の甲部(中足骨部)を固定する機能を主に有する。第1固定部は、一一対の固定片を有し、一対の固定片のうちの一方側固定片は、足底部の左右の一方側に位置し、他方側固定片は足底部の左右の他方側に位置している。
【0027】
1つの実施形態において、一方側固定片は、足底部の左右の一方側から延設されており、他方側固定片は足底部の左右の他方側から延設される。一方側固定片は装着時において足裏の左右の一方側から足の甲を覆うように足首の左右の他方側の側部に向かって固定可能なように構成されている。また、他方側固定片は装着時において足裏の左右の他方側から足の甲を覆うように足首の左右の一方側の側部に向かって固定可能なように構成されている。
【0028】
このような構成により、足底部の左右両側に位置する一対の固定片により足の甲部を包み込むようにして安定的に甲部を固定することが可能となる。
【0029】
ただし、第1固定部は、このような一対の固定片を2対以上有していてもよい。
【0030】
(第2固定部)
第2固定部は、アキレス腱部(踵骨部)を固定する機能を主に有する。第2固定部は一対の固定片を有し、一対の固定片のうちの一方側固定片は、足底部の左右の一方側に位置し、一対の固定片のうちの他方側固定片は、足底部の左右の他方側に位置している。
【0031】
1つの実施形態において、一方側固定片は、足底部の一方側から延設されており、他方側固定片は、足底部の他方側から延設されている。装着時において一方側固定片は、足裏の左右の一方側からアキレス腱を覆うように足の踝の左右の他方側の側部に向かって固定可能なように構成されている。また、一対の固定片のうちの他方側固定片は、装着時において足裏の左右の他方側からアキレス腱を覆うように足の踝の左右の一方側の側部に向かって固定可能なように構成されている。
【0032】
このような構成により、第2固定部は、足底部の左右両側に位置する一対の固定片により足のアキレス腱を包み込むようにして踵骨部を安定的に固定することができる。
【0033】
ただし、第2固定部は、このような一対の固定片を2対以上有していてもよい。
【0034】
(第3固定部)
第3固定部は、後述する第4固定部とともに足の下腿部を固定する機能を主に有する。第3固定部は一対の固定片を有し、一対の固定片のうちの一方側固定片は、足底部の左右の一方側に位置し、一対の固定片のうちの他方側固定片は、足底部の左右の他方側に位置している。
【0035】
1つの実施形態において、一方側固定片は足底部の左右の一方側から延設されており、他方側固定片は、足底部の左右の他方側から延設されている。装着時において一方側固定片は、足裏の左右の一方側から足の脛部を覆うように脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成されている。また、一対の固定片のうちの他方側固定片は、装着時において足裏の左右の他方側から足の脛部を覆うように脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されている。
【0036】
この場合、第3固定部130は、足底部の左右両側に位置する一対の固定片により足の脛部を包み込むようにして下腿部を安定的に固定することが可能となる。
【0037】
ただし、第3固定部は、このような一対の固定片を2対以上有していてもよい。
【0038】
(第4固定部)
第4固定部は、第3固定部とともに足の下腿部を固定する機能を主に有する。第4固定部は一対の固定片を有し、一対の固定片のうちの一方側固定片は、足底部の左右の一方側に位置し、一対の固定片のうちの他方側固定片は、足底部の左右の他方側に位置している。
【0039】
1つの実施形態において、一対の固定片のうちの一方側固定片は、足底部の左右の一方側から延設されており、他方側固定片は足底部の左右の一方側から延設されている。
【0040】
一方側固定片は、装着時において足裏の左右の一方側から脹脛部を覆って脹脛部の左右の他方側の側部に向かって固定されるように構成されている。また、一対の固定片のうちの他方側固定片は、装着時において足裏の左右の他方側から脹脛部を覆うように脹脛部の左右の一方側の側部に向かって固定されるように構成されている。
【0041】
この場合、足底部の左右両側から延びる一対の固定片により足の脹脛部を包み込むようにして下腿部を安定的に固定することが可能となる。
【0042】
ただし、第4固定部の各々は、このような一対の固定片を2対以上有していてもよい。
【0043】
(さらなる固定部の固定片の好ましい配置)
上述したように、本発明の足関節サポータでは、固定部が4箇所設けられているので、従来の筒状部材からなるサポータに比べて、固定箇所が4箇所と多く設けられているため、足の形状により合致した適切な状態での固定が可能となる。
【0044】
4箇所の固定箇所を、甲部、アキレス腱部、脛部および長脛部とすることで、効率的に患部を最大限ホールドすることが可能となる。また、4箇所の固定箇所での固定状況を調整することで装着者の足の形状に合わせて固定力を最適に調整することも可能となる。また、多頻度の使用に伴いサポータの素材が全体的に伸びてしまった場合でも、固定箇所が4箇所と多く備えていることから、各固定部による固定具合を調整して全体としての足関節サポータの緩みを解消することが可能となる。さらに、4つの固定部の調整により足関節サポータの全体の形状を装着者の足の形状のある程度合わせておけば、足関節サポータの着脱は、所定の固定部の一対の固定片の着脱により甲側からでもあるいはアキレス腱側からでも行うことが可能となる。
【0045】
ここで、装着時において第1固定部は、中足骨部まで覆う形状となっていることが好ましい。このように、中足骨部を覆うこととなり、甲部をより安定的に固定することが可能となる。
【0046】
さらに、この足関節サポータは、装着時において足底から踝部分にかけて覆うことが可能な形状に構成されていることが好ましい。このようにすることで、踝部分とその上側を覆う従来のサポータと比べると、踝部分の回りがしっかり保持されることとなり、これにより足首の関節が内外に動くのを防ぐことが可能となる。
【0047】
また、第1固定部、第2固定部、第3固定部および第4固定部はそれぞれ、足底部の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片を含むことが好ましい。なぜなら、踵骨部に対する足関節サポータ100の装着が簡単となるからである。
【0048】
(第1固定部および第3固定部での固定片の好ましい配置)
第1固定部の一方側固定片は、装着時において足の外側が向く位置に配置されており、他方側固定片は、足の内側が向く位置に配置されるように構成される。装着時において、足の内側が向く位置に配置されている他方側固定を、内側の他方側固定片と外側の一方側固定片とで包み込むようにして、外側の一方側固定片を足の左側から右側に向けて内側の他方側固定片に張り付けて固定し、さらに、第3固定部では、甲部に隣接する脛部を内側の一方側固定片と外側の他方側固定片とで包み込むようにして、外側の他方側固定片を足の右側から左側に向けて内側の一方側固定片に張り付けて固定することが好ましい。
【0049】
この場合、甲部を固定する第1固定部の一方側固定片から脛部を固定する第3固定部の一方側固定片に跨る部分と、脛部を固定する第3固定部の他方側固定片から第1固定部の他方側固定片に跨る部分とが、甲部と脛部との間で交差することとなる。
【0050】
つまり、甲部11を固定する第1固定部では、一方側固定片が外側に位置し、他方側固定片が内側に位置してこれらの固定片が重なるのに対して、脛部を固定する第3固定部では、一方側固定片が内側に位置し、他方側固定片が外側に位置してこれらの固定片およびが重なるのこととなる。
【0051】
これにより、甲部と脛部との間では、第1固定部から第3固定部にかけて外側から内側へ向かう部分(一方側固定片と一方側固定片のつなぎ部分(
図1、
図2のR1部分))と、第1固定部から第3固定部にかけて内側から外側に向かう部分(他方側固定片と他方側固定片つなぎ部分(
図1、
図2のR2部分))とが交差することとなる。
【0052】
その結果、第1固定部での一方側固定片と他方側固定片との固着の緩みを第3固定部が抑制し、第3固定部での一方側固定片と他方側固定片との固着の緩みを第1固定部が抑制することを可能とできる。
【0053】
(第2固定部および第4固定部での固定片の好ましい配置)
同様に、第2固定部では、アキレス腱を内側の一方側固定片と外側の他方側固定片とで包み込むようにして、外側の他方側固定片を足の右側から左側に向けて内側の一方側固定片に張り付けて固定し、さらに、第4固定部では、アキレス腱に隣接する脹脛部を内側の他方側固定片と外側の一方側固定片とで包み込むようにして、外側の一方側固定片を足の左側から右側に向けて内側の他方側固定片に張り付けて固定することが好ましい。
【0054】
この場合、アキレス腱を固定する第2固定部の一方側固定片から脹脛部を固定する第4固定部の一方側固定片に跨る部分と、アキレス腱を固定する第2固定部の他方側固定片から第4固定部の他方側固定片に跨る部分とが、アキレス腱と脹脛部との間で交差することとなる。
【0055】
つまり、アキレス腱を固定する第2固定部では、一方側固定片が内側に位置し、他方側固定片が外側に位置してこれらの固定片およびが重なるのに対して、脹脛部を固定する第4固定部では、一方側固定片が外側に位置し、他方側固定片が内側に位置してこれらの固定片およびが重なることとなる。
【0056】
これにより、アキレス腱と脹脛部との間では、第2固定部から第4固定部にかけて内側から外側へ向かう部分(一方側固定片と一方側固定片のつなぎ部分(
図1のR3部分))と、第2固定部から第4固定部にかけて外側から内側に向かう部分(他方固定片と他方固定片のつなぎ部分(
図1のR4部分))とが交差することとなる。
【0057】
その結果、第2固定部での一方側固定片と他方側固定片との固着の緩みを第4固定部が抑制し、第4固定部での一方側固定片と他方側固定片との固着の緩みを第2固定部が抑制することを可能とできる。
【0058】
(ステイ)
足関節サポータは、足部の内果および外果を覆う一対のステイをさらに備え得る。この場合、患部がステイにより保護されることにより、患部の適切に保存すること、つまり保護して置くことが可能となり、高品質な治療効果を得ることができる。
【0059】
なお、一対のステイは、例えば、それぞれ足底部の両側または第1の固定部の一方側固定片および他方側固定片に取り付けられ得る。
【0060】
(締付ベルト)
また、足関節サポータは、足関節サポータの上から更に患部などを締め付ける締付ベルト(テーピング)を有していてもよい。締付ベルトを設けることにより、足の関節のホールド力を更に高めることができる。この締付ベルトは、土踏まずから甲部にわたる部分と、甲部から足首にわたる部分とに跨るように8の字状に装着することが好ましい(フィギュアエイト)。この場合、1つの締付ベルトで足裏(土踏まず)から甲部を介して踵骨部までを固定することが可能であるからである。
【0061】
さらに、締付ベルトの端部には面ファスナが設けられていることが好ましい。このようにすることで、締付ベルトの表地を、面ファスナを庫直可能な素材とすることで、足首などの患部に装着した締付ベルトの端部を締付ベルトの表地の任意の位置で固定することが可能となる。
【0062】
上述したように本発明の足関節サポータは、装着時に足底が載置される足底部と、第1~第4の4つの固定部とを有し、第1固定部が甲部を固定可能であり、第2固定部が踵骨部を固定可能であり、第3固定部が脛部を固定可能であり、第4固定部が脹脛部を固定可能であるものであれば、その他の構成は、特に限定されるものではないが、以下の実施形態の説明では、実施形態1では、足関節サポータ100として、各固定部の一対の固定片の一方が面ファスナを備えものを挙げる。さらに実施形態2では、足関節サポータ200として、実施形態1の構成に加えてステイを備えたものを挙げる。
【0063】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0064】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による足関節サポータ100を示す図であり、足関節サポータ100の展開状態で第1~第4の4つの固定部110、120、130、140を示している。
【0065】
(足関節サポータ100)
この足関節サポータ100は、人の足10に装着されるものであり、装着時に足底が載置される足底部101と、人の足10の所定部位を固定する第1~第4の4つの固定部110、120、130、140を有している。ここで、足関節サポータを構成する素材は積層構造を有しており、表地、つまり、使用状態で表面側に位置する生地には、面ファスナと接着可能な素材が用いられている。
【0066】
図2は、
図1で示した足関節サポータ100の使用状態(足に装着した状態)での形状を模式的に示す斜視図であり、
図2(a)は、その外観を示し、
図2(b)は、足関節サポータ100を人の足10に装着するときの両者の位置関係を示し、
図2(c)は、足関節サポータ100を人の足10に装着した状態を示す。
【0067】
ここで、第1固定部110は、足底部101の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片111および112を有し、一対の固定片111および112により足の中足骨を覆って甲部11を足底部101に対して固定可能な部位である。なお、
図1において一点鎖線で囲んで、第1固定部110を構成する一対の固定片111および112として示す部分は、厳密には一対の固定片111および112の先端部分であり、この点は後述する
図3についても同様である。
【0068】
第2固定部120は、足底部101の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片121および122を有し、一対の固定片121および122により足のアキレス腱12を覆って足の踵骨部を足底部101に対して固定可能な部位である。なお、
図1において一点鎖線で囲んで、第2固定部120を構成する一対の固定片121および122として示す部分は、厳密には一対の固定片121および122の先端部分であり、この点は後述する
図3についても同様である。
【0069】
第3固定部130は、足底部101の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片131および132を有し、一対の固定片131および132により足の脛部13を足底部101に対して固定可能な部位である。なお、
図1において一点鎖線で囲んで、第3固定部130を構成する一対の固定片131および132として示す部分は、厳密には一対の固定片131および132の先端部分であり、この点は後述する
図3についても同様である。
【0070】
第4固定部140は、足底部101の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片141および142を有し、一対の固定片141および142により足の脹脛部14を足底部101に対して固定可能な部位である。なお、
図1において一点鎖線で囲んで、第4固定部140を構成する一対の固定片141および142として示す部分は、厳密には一対の固定片141および142の先端部分であり、この点は後述する
図3についても同様である。
【0071】
(各固定部での一対の固定片の配置)
各固定部では、一対の固定片のうちの一方が足底部101の左側に位置し、そのうちの他方が右側に位置しており、以下具体的に説明する。
【0072】
図3は、
図1に示す足関節サポータ100の各固定部の固定片の位置を足の前後方向に沿った中心線C1を基準として示す平面図である。
【0073】
図1および
図3から分かるように、第1固定部110では、一対の固定片111および112のうちの一方(一方側固定片)111は、足底部101の左側(
図3の紙面では、足10の前後方向に沿った中心線C1の右側)に位置し、一対の固定片111および112のうちの他方(他方側固定片)112は、足底部101の右側(
図3の紙面では、足10の前後方向に沿った中心線C1の左側)に位置している。第1固定部110では、一方側固定片111に面ファスナ111aが設けられている。
【0074】
第2固定部120では、一対の固定片121および122のうちの一方(一方側固定片)121は、中心線C1に対して足底部101の左側に位置し、一対の固定片121および122のうちの他方(他方側固定片)122は、中心線C1に対して足の右側に位置している。第2固定部120では、他方側固定片122に面ファスナ122aが設けられている。
【0075】
第3固定部130では、一対の固定片131および132のうちの一方(一方側固定片)131は、中心線C1に対して足底部101の左側に位置し、一対の固定片131および132のうちの他方(他方側固定片)132は、中心線C1に対して足の右側に位置している。第3固定部130では、他方側固定片132に面ファスナ132aが設けられている。
【0076】
第4固定部140では、一対の固定片141および142のうちの一方(一方側固定片)141は、中心線C1に対して足底部101の左側に位置し、一対の固定片141および142のうちの他方(他方側固定片)142は、中心線C1に対して足底部101の右側に位置している。第4固定部140では、一方側固定片141に面ファスナ141aが設けられている。
【0077】
ここで、足関節サポータ100を構成する素材は、布部材を縫製と接着材とにより重ね合わせた積層構造となっており、表地、つまり、使用状態で表面側に位置する生地には、面ファスナと接着可能な素材が用いられている。この面ファスナとこれに接着可能な素材とにはマジックテープ(登録商標)の構造が採用されている。
【0078】
(各固定部で一対の固定片が足の所定部位を覆う形態)
さらに、各固定部は、その一対の固定片により、足10の所定部位を覆うように構成されており、以下具体的に説明する。
【0079】
図4は、
図2(a)に示す足関節サポータ100を人の足10に装着した状態を示す側面図であり、
図4(a)は、
図2(c)のA方向から見た装着状態を具体的に示し、
図4(b)は、
図2(c)のB方向から見た装着状態を具体的に示す。
【0080】
図3および
図4(a)に示すように、第1固定部110を構成する一対の固定片111および112は足底部101につながっている。
【0081】
第1固定部110では、一対の固定片111および112のうちの一方側固定片111は、足底部101の左右の一方側(左側)から延設される(つまり、延びるように設けられる)とともに、装着時において足裏の左右の一方側(左側)から足の甲部11(
図2(b)参照)を覆うように足首の左右の他方側(右側)の側部に向かって他方側固定片112に貼着されるように構成されている。
【0082】
また、第1固定部110の一対の固定片のうちの他方側固定片112は、足底部101の左右の他方側(右側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側(右側)から足10の甲部11を覆うように足首の左右の一方側(左側)の側部に向かって一方側固定片111に貼着されるように構成されている。
【0083】
図3および
図4(b)に示すように、第2固定部120を構成する一対の固定片121および122は足底部101につながっている。
【0084】
第2固定部120の一対の固定片121および122のうちの一方側固定片121は、足底部101の左右の一方側(左側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側(左側)からアキレス腱部12(
図2(b)参照)を覆うように足の踝部15(
図2(b)参照)の左右の他方側(右側)の側部に向かって他方側固定片122に貼着されるように構成されている。
【0085】
また、第2固定部120の一対の固定片121および122のうちの他方側固定片122は、足底部101の左右の他方側(右側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側(右側)からアキレス腱部12を覆うように足の踝部15の左右の一方側(左側)の側部に向かって一方側固定片121に貼着されるように構成されている。
【0086】
図3および
図4(b)に示すように、第3固定部130を構成する一対の固定片131および132は足底部101につながっている。
【0087】
第3固定部130の一対の固定片131および132のうちの一方側固定片131は、足底部101の左右の一方側(左側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側(左側)から足の脛部13(
図2(b)参照)を覆うように脛部の左右の他方側(右側)の側部に向かって他方側固定片132に貼着されるように構成されている。
【0088】
また、第3固定部130の一対の固定片131および132のうちの他方側固定片132は、足底部101の他方側(右側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側(右側)から足の脛部13を覆うように脛部の左右の一方側(左側)の側部に向かって一方側固定片131に貼着されるように構成されている。
【0089】
図3および
図4(a)に示すように、第4固定部140を構成する一対の固定片141および142は足底部101につながっている。
【0090】
第4固定部140の一対の固定片141および142のうちの一方側固定片141は、足底部101の左右の一方側(左側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の一方側(右側)から脹脛部14(
図2(b)参照)を覆って脹脛部の左右の他方側(右側)の側部に向かって他方側固定片142に貼着されるように構成されている。
【0091】
また、第4固定部140の一対の固定片141および142のうちの他方側固定片142は、足底部101の左右の他方側(右側)から延設されるとともに、装着時において足裏の左右の他方側(右側)から脹脛部14を覆うように脹脛部142の左右の一方側(左側)の側部に向かって一方側固定片141に貼着されるように構成されている。
【0092】
さらに、足底部101は、装着時に踵部分15を開口させる凹部102を備えている。
図2(a)および
図3には、この凹部102により足関節サポータ100の踵部分には、開口102aが形成されている。
【0093】
次に足関節サポータ100を人の足10に装着する方法を説明する。
【0094】
図5~
図9は、
図1に示す足関節サポータ100を人の足10に装着する手順を示す斜視図である。ここで、
図5は、広げた足関節サポータ100上に人の足10を置く様子を模式的に示し、
図6は、第1固定部110の一対の固定片111、112で甲部11を固定する様子を模式的に示し、
図7は、第2固定部120の一対の固定片121、122で足のアキレス腱12を覆って踵骨部を固定する様子を模式的に示し、
図8は、第3固定部130の一対の固定片131、132で脛部13を固定する様子を模式的に示し、
図9は、第4固定部140の一対の固定片141、142で脹脛部14を固定する様子を模式的に示す。
【0095】
以下、足関節サポータの装着手順について説明するが、この装着手順は後述で示される手順に限定されるものではなく、装着者のしやすい手順であってもよい。
【0096】
まず、
図5に示すように、足関節サポータ100をその表地が裏側を向くように広げた状態で、足10の土踏まずの部分が足関節サポータ100の足底部101に載置されるように足関節サポータ100上に足を置く。
【0097】
次に、第1固定部110の一対の固定片111および112で足の甲部11(
図2(b)参照)を締め付けて固定する。このとき、一方側固定片111と他方側固定片112をこれらが甲部11を覆うように引き寄せて、一方側固定片111のファスナ面111aを、表側に折り返された他方側固定片112の表地に押し付けることで、一方側固定片111が他方側固定片112に貼着される。これにより、第1固定部110により甲部11を足底部101に締め付けて固定することができる(
図4(a)参照)。
【0098】
続いて、第2固定部120の一対の固定片121および122で足のアキレス腱部12(
図2(b)参照)を覆って踵骨部を固定する。このとき、一方側固定片121と他方側固定片122をこれらがアキレス腱部12を覆うように引き寄せて、他方側固定片122のファスナ面122aを、表側に折り返された一方側固定片121の表地に押し付けることで、他方側固定片122が一方側固定片121に貼着される。これにより、第2固定部120によりアキレス腱部12を足底部101に締め付けて固定することができる(
図4(b)参照)。
【0099】
さらに、
図8に示すように、第3固定部130の一対の固定片131および132で脛部13(
図2(b)参照)を固定する。このとき、一方側固定片131と他方側固定片132をこれらが脛部13を覆うように引き寄せて、他方側固定片132のファスナ面132aを、表側に折り返された一方側固定片131の表地に押し付けることで、他方側固定片132が一方側固定片131に貼着される。これにより、第3固定部130により脛部13を足底部101に締め付けて固定することができる(
図4(b)参照)。
【0100】
最後に、第4固定部140の一対の固定片141および142で脹脛部14(
図2(b)参照)を固定する。このとき、一方側固定片141と他方側固定片142をこれらが脹脛部14を覆うように引き寄せて、一方側固定片141のファスナ面141aを、表側に折り返された他方側固定片142の表地に押し付けることで、一方側固定片141が他方側固定片142に貼着される。これにより、第4固定部140により脹脛部14を足底部101に締め付けて固定することができる(
図4(a)参照)。
【0101】
このような構成の実施形態1の足関節サポータ100では、装着時に足底が載置される足底部101と、中足骨を覆って甲部11を固定可能な第1固定部110と、アキレス腱部12を覆って踵骨部を固定可能な第2固定部120と、脛部13を固定可能な第3固定部130と、脹脛部14を固定可能な第4固定部140とを備えたので、足関節サポータ100は4箇所で足10に固定されることとなり、使用時の足関節サポータ100の緩みを抑制することができる。その結果、経年劣化により素材が伸びても足首の関節に対する十分な締め付け力を発揮させることができる。
【0102】
また、特に、この足関節サポータ100では、固定部が4箇所設けられているので、固定部が2か所のものと比べると、足関節サポータ100による足の関節の締付は足の形状に合わせた締め付けとなり、また、使用に伴い全体的に伸びてしまった場合でも、固定箇所が4箇所となっていることから、各固定部による締付具合を調整して全体としての足関節サポータ100の緩みを解消できる。
【0103】
また、第1固定部110は一対の固定片111および112により中足骨まで覆う形状となっていることで、足10の甲部11の大部分を覆うこととなり、甲部11をより安定にかつ確実に固定することができる。
【0104】
さらに、この足関節サポータ100は、足底(足10の足裏)から踝部分にかけて覆っているので、踝部分とその上側を覆う従来のサポータと比べると、踝部分の回りがしっかり保持されることとなり、これにより足首の関節が内外に動くのを防ぐことができる。
【0105】
しかも、第1固定部110、第2固定部120、第3固定部130および第4固定部140はそれぞれ、足底部101の左右両側に位置する、相互に固着可能な一対の固定片111,112、121、122、131、132、141、142を含むので、踵骨部に対する足関節サポータ100の装着が簡単である。
【0106】
特に、第1固定部110では、甲部11を内側の他方側固定片112と外側の一方側固定片111とで包み込むようにして、外側の一方側固定片111を足の左側から右側に向けて内側の他方側固定片112に張り付けて固定し、さらに、第3固定部130では、甲部11に隣接する脛部13を内側の一方側固定片131と外側の他方側固定片132とで包み込むようにして、外側の他方側固定片132を足の右側から左側に向けて内側の一方側固定片131に張り付けて固定している。
【0107】
この場合、甲部11を固定する第1固定部110の一方側固定片111から脛部13を固定する第3固定部130の一方側固定片131に跨る部分と、脛部13を固定する第3固定部130の他方側固定片132から第1固定部110の他方側固定片112に跨る部分とが、甲部11と脛部13との間で交差することとなる(
図4(a)、
図2(a)参照)。
【0108】
つまり、甲部11を固定する第1固定部110では、一方側固定片111が外側に位置し、他方側固定片112が内側に位置してこれらの固定片111および112が重なるのに対して、脛部13を固定する第3固定部130では、一方側固定片131が内側に位置し、他方側固定片132が外側に位置してこれらの固定片131および132が重なるのこととなる。
【0109】
これにより、甲部11と脛部13との間では、第1固定部110から第3固定部130にかけて外側から内側へ向かう部分(一方側固定片111と一方側固定片131のつなぎ部分(
図1、
図2(a)のR1部分))と、第1固定部110から第3固定部130にかけて内側から外側に向かう部分(他方側固定片112と他方側固定片132のつなぎ部分(
図1、
図2(a)のR1部分))とが交差することとなる。
【0110】
その結果、第1固定部110での一方側固定片111と他方側固定片112との固着の緩みを第3固定部130が抑制し、第3固定部130での一方側固定片111と他方側固定片112との固着の緩みを第1固定部110が抑制することを可能とできる。
【0111】
同様に、第2固定部120では、アキレス腱11を内側の一方側固定片121と外側の他方側固定片122とで包み込むようにして、外側の他方側固定片122を足の右側から左側に向けて内側の一方側固定片121に張り付けて固定し、さらに、第4固定部140では、アキレス腱12に隣接する脹脛部14を内側の他方側固定片142と外側の一方側固定片141とで包み込むようにして、外側の一方側固定片141を足の左側から右側に向けて内側の他方側固定片142に張り付けて固定している。
【0112】
この場合、アキレス腱12を固定する第2固定部120の一方側固定片121から脹脛部14を固定する第4固定部140の一方側固定片141に跨る部分と、アキレス腱12を固定する第2固定部120の他方側固定片122から第4固定部140の他方側固定片142に跨る部分とが、アキレス腱12と脹脛部14との間で交差することとなる(
図4(b)、
図2(a)参照)。
【0113】
つまり、アキレス腱12を固定する第2固定部120では、一方側固定片121が内側に位置し、他方側固定片122が外側に位置してこれらの固定片121および122が重なるのに対して、脹脛部14を固定する第4固定部140では、一方側固定片141が外側に位置し、他方側固定片142が内側に位置してこれらの固定片141および142が重なることとなる。
【0114】
これにより、アキレス腱12と脹脛部14との間では、第2固定部120から第4固定部140にかけて内側から外側へ向かう部分(一方側固定片121と一方側固定片141のつなぎ部分(
図1のR3部分))と、第2固定部120から第4固定部140にかけて外側から内側に向かう部分(他方固定片122と他方固定片142のつなぎ部分(
図1のR4部分))とが交差することとなる。
【0115】
その結果、第2固定部120での一方側固定片121と他方側固定片122との固着の緩みを第4固定部140が抑制し、第4固定部140での一方側固定片141と他方側固定片142との固着の緩みを第2固定部120が抑制することを可能とできる。
【0116】
なお、上記実施形態1で示した足関節サポータ100は足10の所定部位を保護する付加部材と併用することも可能であり、以下実施形態2として、実施形態1の足関節サポータ100の構成に加えて付加部材を備えた足関節サポータ200を説明する。
【0117】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による足関節サポータ200を示す図であり、その構成要素として、展開状態のサポータ本体200a、保護部材200bおよび締付ベルト200cを示す。
【0118】
この実施形態2の足関節サポータ200は、サポータ本体200aと、サポータ本体200aに取り付けられる補強部材200bと、保護部材200bをサポータ本体200aに固定する締付ベルト200cとを有している。
【0119】
ここで、サポータ本体200aは、実施形態1の足関節サポータ100と同じ構成を有している。また、保護部材200bは、足10の内果および外果を覆うことによりこれらを保護する一対のステイ片(平たい棒状片)201、202と、ステイ片201、202をサポータ本体200aの爪先側端部の中央部分につなぐ接続ひも201a、202aとを有している。ステイ片201、202は、補強のため、長手方向に垂直な方向に沿って湾曲した構造となっている。
【0120】
また、締付ベルト200cの両端部には面ファスナ211および213が設けられており、さらに、締付ベルト200cの中央部より一端側に寄った部分にも、面ファスナ212が設けられている、また、締付ベルト200cの表地には面ファスナと接合可能な素材が用いられており、面ファスナは、締付ベルト200cの表地のどの部分にも固着可能となっている。
【0121】
本実施形態2の足関節サポータ200の装着方法を説明する。
【0122】
図6および
図7は、本実施形態2の足関節サポータ200を人の足に装着する方法を説明するための図であり、
図6は、
図5に示す足関節サポータ200のサポータ本体200aおよび補強部材200bとしてのステイ片201、202を人の足10に装着した状態を示す側面図であり、
図6(a)は、
図2(c)のA方向に相当する方向から見た装着状態を具体的に示し、
図6(b)は、
図2(c)のB方向に相当する方向から見た装着状態を具体的に示す。
【0123】
まず、実施形態1で
図5を用いて説明したように、実施形態1の足関節サポータ100を人の足10に装着する方法ど同様にして本実施形態2の足関節サポータ200のサポータ本体200aを足10に装着する。
【0124】
続いて、
図6(a)、(b)に示すように、一対のステイ片201、202を足10の内果および外果を覆うように配置し、この状態でステイ片201、202を仮止めするか、あるいは片手で保持しておく。
【0125】
続いて、締付ベルト200cを一対のステイ片201、202の上から装着する。
【0126】
図7は、
図5に示す足関節サポータ200を人の足10に装着した状態を示す側面図であり、
図7(a)は、
図2(c)のA方向に相当する方向から見た装着状態を具体的に示し、
図7(b)は、
図2(c)のB方向に相当する方向から見た装着状態を具体的に示す。
【0127】
すなわち、
図7(a)、(b)に示すように、土踏まずから甲部に渡る部分と、甲部から足首に渡る部分とに跨るように、締付ベルト200cを8の字状に足10に巻き付けて、締付ベルト200cの端部を締付ベルト200cの表地の適当な部分に固着することにより、ステイ片201、202をサポータ本体200aに固定する(いわゆるフィギュアエイト)。
【0128】
このように本実施形態2の足関節サポータ200では、実施形態1の足関節サポータ100の構成に加えて、足10の内果および外果を覆うことによりこれらを保護する一対のステイ片(平たい棒状片)201、202を備えているので、安全性のより高い足関節サポータを提供することができる。
【0129】
なお、この足関節サポータ200で用いている締付ベルト200cは、実施形態1の足関節サポータ100でも用いることができ、その場合、足関節サポータ100による足の関節の固定強度を高めることができる。
【0130】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、足関節サポータの分野において、膝の屈伸などの動きにもずれることなく足首の関節に対する締め付け力を維持可能な足関節サポータを得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0132】
10 足(左足)
11 足の甲部
12 アキレス腱
13 脛
14 脹脛部
15 踵部
100、200 足関節サポータ
101 足底部
102 踵部開口凹部
110 第1固定部
120 第2固定部
130 第3固定部
140 第4固定部
111、121、131、141 一方側固定片
111a、121a、131a、141a ファスナ面
112、122、132、142 他方側固定片
200a サポータ本体
200b 補強部材
201、202 ステイ片
201a、202a 接続ひも
200c 締付ベルト
210 ベルト本体
211 第1固着片
212 第2固着片
213 第3固着片