(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165390
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01H1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081548
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】前田 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】仁保 嘉規
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA07
2G064BA08
(57)【要約】
【課題】ケーブルを基板に容易に接続できるセンサ装置を提供する。
【解決手段】ケースと検知部と基板とケーブルと固定部材とを含むセンサ装置であって、ケースは、収容部と固定部を含み、収容部は、第1方向における第1方向一方側が開放されて、検知部と基板とを収容し、固定部は、収容部に対し第1方向と略直角な第2方向における第2方向一方側に配置されており、ケーブルは、導電性の電線と、電線を覆う絶縁性の材料により形成される被覆部と、被覆部に固定される固定部材の第2方向他方側に電線と被覆部とにより構成される先端部とを含み、先端部は、被覆部が除去されて電線が露出している接続部を含み、接続部は、固定部材が固定部に支持されることで、基板に電気的に接続するための所定の位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと検知部と基板とケーブルと固定部材とを含むセンサ装置であって、
前記ケースは、収容部と固定部を含み、
前記収容部は、第1方向における第1方向一方側が開放されて、前記検知部と前記基板とを収容し、
前記固定部は、前記収容部に対し前記第1方向と略直角な第2方向における第2方向一方側に配置されており、
前記ケーブルは、導電性の電線と、前記電線を覆う絶縁性の材料により形成される被覆部と、前記被覆部に固定される前記固定部材の前記第2方向他方側に前記電線と前記被覆部とにより構成される先端部とを含み、
前記先端部は、前記被覆部が除去されて前記電線が露出している接続部を含み、
前記接続部は、前記固定部材が前記固定部に支持されることで、前記基板に電気的に接続するための所定の位置に配置されるセンサ装置。
【請求項2】
前記ケースは、絶縁性の材料により形成され、
前記固定部材は、絶縁性の材料により形成され、
前記ケースと前記固定部材を形成する夫々の絶縁性の材料は、前記ケーブルの被覆部を形成する絶縁性の材料よりも曲げ弾性率が大きい請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記固定部は、係止部と壁部とを含み、
前記壁部は、前記第2方向一方側に一対の第1壁部を含み、前記第2方向他方側に一対の第2壁部を含み、前記第1方向及び前記第2方向に略直角な第3方向における第3方向一方側に第3壁部を含み、前記第3方向における第3方向他方側に第4壁部を含み、
前記固定部材は、前記係止部に係合する被係止部を含み、前記ケースの前記固定部に対し、前記第1方向一方側から組み込まれて、前記係止部と前記被係止部が前記第1方向において係合することで、前記第1方向に対して固定され、前記第1壁部と第2壁部に当接することで、前記第2方向に対して固定され、前記第3壁部と前記第4壁部に当接することで、前記第3方向に対して固定される請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記固定部と前記第2方向において連結しており、前記基板と前記先端部とを内部に埋没させる充填部材が充填されており、
前記充填部材は、前記第2方向において前記固定部材と密着している請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記充填部材は、硬化時のショア(Shore)硬度がD80以上である、請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記基板は、第1面と第2面とを含み、
前記第1面には、前記検知部が配置され、
前記ケースは、前記収容部の前記第1方向他方側に底部を含み、
前記底部は、底面と側壁とにより形成され前記検知部を収容する検知部収容部を含み、
前記検知部収容部は、前記側壁と前記底面と前記基板の前記第1面とにより閉塞されている請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記充填部材は、前記第1方向一方側の少なくとも一部が露出している請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記ケーブルは、同軸ケーブルである請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
磁石を含み、
前記ケースは、前記底部の前記第1方向他方側に前記磁石を支持する磁石支持部を含む請求項1に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
稼働設備の保守・保全を効率よく行うために、センサを活用して予兆検知を行う製造工場が増えている。この様な予兆検知を行うセンサは、モジュール化されたセンサ装置として被検知装置に取り付けられたり、被検知装置の近傍に配置されて被検知装置の挙動を監視している。特許文献1には、被検知装置の挙動を電気信号に変換して出力する検知装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、対象装置の振動を検知するセンサが搭載されたプリント基板とプリント基板が収容されたセンサケースとを含み、プリント基板の対向面は、振動センサとプリント基板を介して相対する対向面上の位置においてセンサケースと当接している検知装置が記載されている。検知装置は、検知した検知信号の出力を制御装置へ送信するためのケーブルを含んでいる。ケーブルをプリント基板と電気的に接続するには、ケーブルが基板に対して所定の位置に配置されなければ接続作業が困難である。
【0005】
そこで、本開示では、ケーブルを基板に容易に接続できるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のセンサ装置は、ケースと検知部と基板とケーブルと固定部材とを含む。
【0007】
ケースは、収容部と固定部を含む。収容部は、第1方向における第1方向一方側が開放されて、検知部と基板とを収容している。固定部は、収容部に対し第1方向と略直角な第2方向における第2方向一方側に配置されている。ケーブルは、導電性の電線と、電線を覆う絶縁性の材料により形成される被覆部と、被覆部に固定される固定部材の第2方向他方側に電線と被覆部とにより構成される先端部とを含む。先端部は、被覆部が除去されて電線が露出している接続部を含む。接続部は、固定部材が固定部に支持されることで、基板に電気的に接続するための所定の位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示のセンサ装置によれば、ケーブルをプリント基板に容易に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。実施形態の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。また、実施形態の各態様における各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変形することが可能である。
【実施例0011】
[図で使用される方向]
図1-
図8に実施例1のセンサ装置D1の構造を示す。これらの図に第1方向Z、第2方向Y、第3方向Xを示す。以下では、第1方向一方側をZ1側(「第1方向一方Z1側」と称することもある)とし、第1方向他方側をZ2側(「第1方向他方Z2側」と称することもある)とし、第2向一方側をY1側(「第2方向一方Y1側」と称することもある)とし、第2方向他方側をY2側(「第2方向他方Y2側」と称することもある)とし、第3向一方側をX1側(「第3方向一方X1側」と称することもある)とし、第3方向他方側をX2側(「第3方向他方X2側」と称することもある)として説明する。なお、第1方向Zは、後述するケースの固定部に固定部材が組み込まれる方向であり、ケースの収容部が開放されている方向と同じ方向に相当し、第2方向Yは、第1方向Zに略直角でケーブルがケースから引き出される方向であり、収容部に対する固定部の配置方向に相当し、第3方向Xは、第1方向及び第2方向に略直角な方向に相当する。
【0012】
[センサ装置D1の主要部品]
図3に示すように、センサ装置D1は、ケース1と検知部2と基板3とケーブル4と固定部材5を含む。またセンサ装置D1は、充填部材6、磁石7を含んでもよい。
【0013】
[ケース1]
図3、
図4に示すようにケース1は、第2方向他方Y2側に収容部11、第2方向一方Y1側に固定部12を含む。収容部11と固定部12は第2方向において連結されていてもよい。
【0014】
ケース1は、ケーブル4の被覆部42を形成する絶縁性の材料よりも曲げ弾性率が大きい絶縁性の材料により形成されているのが好ましく、曲げ弾性率が1GPa以上であれば更に好ましい。ケース1には例えばガラスファイバー入りのPBT樹脂材などを用いることができる。
【0015】
≪収容部11≫
収容部11は、その第1方向一方Z1側が開放されている。収容部11には検知部2と基板3が収容される。
【0016】
≪固定部12≫
固定部12は、収容部11に対し第2方向一方Y1側に配置される。固定部12にはケーブル4とケーブル4の被覆部42に固定される固定部材5が収容される。
図4に示すように、固定部12には固定部材5が第1方向一方Z1側から組み込まれる。ケーブル4は固定部材5によって固定部12に固定される。
【0017】
固定部12は、係止部121と壁部122を含んでいてもよい。
図4に示すように、壁部122は、固定部12の第2方向一方Y1側に一対の第1壁部122a、固定部12の第2方向他方Y2側に一対の第2壁部122b、固定部12の第3方向一方X1側に第3壁部122c、固定部12の第3方向他方X2側に第4壁部122dなどを含んでもよい。同図に示すように係止部121は、第3壁部122cおよび第4壁部122dの第1方向一方Z1側の先端にそれぞれ設けられてもよい。
【0018】
≪底部13≫
図5に示すように、ケース1は、収容部11の第1方向他方Z2側に底部13を含んでもよい。底部13は基準面130を含んでもよい。底部13は、基準面130よりも第1方向他方Z2側に位置する底面131と、基準面130と底面131を接続して底面131を取り囲む側壁132とにより形成された検知部収容部13aを含んでもよい。
【0019】
[検知部2]
図3に示すように検知部2は、基板3の第1方向他方Z2側の面に配置されていてもよい。同図に示すように検知部2は、検知部収容部13aに収容されていてもよい。
【0020】
[基板3]
図5、
図6に示すように基板3は、第1方向他方Z2側の面である第1面31と、第1方向一方Z1側の面である第2面32を含む。
図3に示すように第1面31と基準面130を当接させ、すなわち第1面31により検知部収容部13aを蓋することにより、第1面31、底面131、側壁132により検知部収容部13aを閉塞する構造とすることができる。第1面31と基準面130は、直接当接していてもよいし、
図5、
図6に示すように粘着層9などの仲介部材を介して当接してもよい。
【0021】
第2面32には、後述するケーブル4の接続部と電気的に接続される電極が配置されていてもよく、電極は、第2面32上の表面電極であってもよいし、第2面32と第1面31とを貫通して接続しているスルーホール電極であってもよい。
【0022】
[ケーブル4]
図3に、
図4に示すように、ケーブル4は、導電性の電線41と電線41を覆う絶縁性の材料により形成される被覆部42を含む。ケーブル4の第2方向他方Y2側の端部は、電線41と被覆部42を含んで構成され、固定部材5から第2方向他方Y2側に露出した先端部4aを含む。先端部4aのさらに第2方向他方Y2側の先端は、被覆部42が除去され、電線41が露出した接続部4a1を含む。接続部4a1は、固定部材5が固定部12に支持されることで、基板3の第2面32に配置された所定の電極に電気的に接続するための所定の位置に配置される。
【0023】
なお
図3、
図4に示すようにケーブル4は、電線41に隣接する外側の層として絶縁体43、絶縁体43に隣接する外側の層としてシールド材44、シールド材44に隣接する外側の層として被覆部42を含む同軸構造とすることが可能である。この場合、接続部4a1は、被覆部42が除去されて露出したシールド材44の露出部と、シールド材44が除去されて露出した絶縁体43の露出部と、絶縁体43が除去されて露出した電線41の露出部とが段階的に表れるように構成されているものとする。
【0024】
[固定部材5]
固定部材5は、被係止部を含んでいてもよい。被係止部は、
図4に示す固定部材5の第1方向一方Z1側の天面5aそのものであってもよい。また同図の被係止部51のように、天面5aに形成される凹部、または凸部、あるいは凹部と凸部とを組み合わせた形状により構成されていてもよい。被係止部は、係止部121と第1方向において係合することが可能であれば、その他の形状とすることが可能である。
【0025】
固定部材5は、固定部12に対し、第1方向一方Z1側から組み込まれて、係止部121と被係止部51が第1方向Zにおいて係合することで、第1方向Zに対して固定される構造であってもよい。固定部材5は、第1壁部122aと第2壁部122bに当接することで、固定部12に対し、第2方向Yに対して固定される構造であってもよい。固定部材5は、第3壁部122cと第4壁部122dに当接することで、固定部12に対し、第3方向Xに対して固定される構造であってもよい。
【0026】
図4に示すように収容部11と固定部12の境界部分にはケーブル4を挿通するために壁を設けないが、固定部材5が収容部11と固定部12の境界部分を閉塞する形状とすれば、後述する充填部材6を収容部11内に充填する際に充填部材が第2方向Yにおいて固定部材5と密着するため、収容部11から充填部材6が流出することを阻止することができる。
【0027】
図3に示すように固定部材5の第2方向他方Y2側の面を第1方向他方Z2側に突出させ突き出し部52を形成してもよい。突き出し部52が固定部12に嵌合されることで充填部材6が固定部材5と固定部12の隙間を通って外部まで漏れ出す際の経路が延伸されるため、充填部材6の外部への漏れ出しを防ぐことができる。
【0028】
また、
図4の破線の円で囲んで示した固定部材5の一部拡大図に示すように、固定部材5は第2方向他方Y2側の2つの角に、背面圧入リブ5bと、側面圧入リブ5cを含んでもよい。背面圧入リブ5bを設けることにより、第2方向Yに関して固定部材5は固定部12に圧入されるため、固定部材5の第2方向一方Y1側の面を第1壁部122aに面接触させることができるため、引張強度を向上させることができるとともに固定部材の位置が定まりケーブルの接続部4a1を所定の位置に配置される精度がよくなり、ケーブル4実装時の作業性を向上させることができる。側面圧入リブ5cを設けることにより、第3方向Xに関して固定部材5は固定部12に圧入されるため、固定部12に対して固定部材5を中心位置に誘うことでケーブル4実装時の作業性を向上させることができる。
【0029】
固定部材5は、ケーブル4の被覆部42を形成する絶縁性の材料よりも曲げ弾性率が大きい絶縁性の材料により形成されているのが好ましく、曲げ弾性率が1GPa以上であれば更に好ましい。固定部材5には例えばガラスファイバー入りのPBT樹脂材などを用いることができる。
【0030】
[充填部材6]
図3に示すように充填部材6は、収容部11に充填されて、基板3とケーブル4の先端部4aをその内部に埋没させていてもよい。充填部材6は、硬化時のショア硬度がD80以上であることが好ましく、ケーブル4の被覆部42を形成する絶縁性の材料よりも硬い材料であれば更に好ましい。
【0031】
充填部材6は、熱硬化性の材料でもよいし、UV硬化性の材料でもよいし、自然放置により硬化する材料でもよく、硬化方法については限定されない。
【0032】
[磁石7]
図7に示すようにセンサ装置D1は、磁石7を含んでいてもよい。
図8に示すようにケース1は磁石7を支持する磁石支持部14を含んでいてもよい。磁石支持部14は、ケース1の底部13の第1方向他方Z2側の磁石支持部第1面141と磁石支持部第1面141から第1方向他方Z2側に立設した周壁142と、磁石支持部第1面141から周壁142内の第1方向他方Z2側に突出した突出部143とを含んでいてもよく、磁石7の側面(第2、第3方向の面)は、周壁142の内面142aから僅かに離間して配置される。また磁石7の第1方向一方Z1側の面は、突出部143に当接することで磁石支持部第1面141から僅かに離間して配置される。
図3に示すように磁石7と磁石支持部14の間に生じる僅かな隙間に支持部材8(例えばポッティング剤)が充填されて硬化することで、ケース1に固定される構造とすることが可能である。
【0033】
なお、支持部材8は熱硬化性の材料でもよいし、UV硬化性の材料でもよいし、自然放置により硬化する材料でもよく、硬化方法については限定されない。
【0034】
〔組み立て方法1〕
次に、センサ装置D1の組み立て方法の例である組み立て方法1について説明する。ケーブル4に固定部材5をアウトサート成型により形成し固定する。ケーブル4の先端部4aの被覆部42とシールド部材44と絶縁体43とを所定の寸法除去し、電線41と絶縁体43とシールド部材44とを所定の寸法だけ露出させ接続部4a1を形成する。固定部材5をアウトサート成型により固定する手順と、接続部4a1を形成する手順の順序は変更可能である。
【0035】
他方で、基板3に検知部2を半田付けによる実装等により配置する。基準面130の第1面31との当接部分全体に粘着層9を貼り、基板3を収容部11に組み込む。固定部材5を第1方向一方Z1側から固定部12へ組み込んで係止部121と被係止部51とを係合させると、接続部4a1において露出した電線41と露出したシールド部材44は、第2面32と電気的に接続するための所定の位置に配置される。
【0036】
接続部4a1の露出した電線41と露出したシールド部材44とを第2面32上に配置された夫々の接続相手の電極と半田付けにより電気的に接続する。接続部4a1を第2面32に電気的に接続する方法は、半田付けに限定されず、溶接でもよいし、クランパー等の導電部材を介してもよいし、その他の方法であってもよい。
【0037】
ケーブル4を基板3に電気的に接続した後、収容部11に充填部材6を充填して、基板3と先端部4aを充填部材内部に埋没させる。充填部材6を特性に合った方法で硬化させる。
【0038】
磁石7を磁石支持部14に配置し、磁石7と周壁142の内面142aとの隙間及び磁石支持部第1面141との隙間に支持部材8を充填し特性に合った方法で硬化させる。ケーブル4の第2方向一方Y1側の端部を被検知装置の挙動を検知して得られた情報を受信する受信装置との接続仕様に合わせて処理する。例えば、受信装置のI/O仕様が50Ωジャック型BNCコネクタである場合、ケーブル4は、50Ωプラグ型BNCコネクタが端部にアッセンブルされる。
【0039】
磁石7を磁石支持部14に支持部材8により固定する工程は、基板3を収容部11に組み込む前でもよいし、基板3を収容部11に組み込む後でもよいし、接続部4a1を基板3に電気的に接続した後でもよいし、組み立て方法1の全工程中における歩留まりが悪い工程の後とするなど、任意の順に設定することが可能である。
【0040】
〔その他の実施形態1〕
基板3は、予めケーブル4を電気的に接続した状態でケース1に組み込まれる方法で組み立てられてもよい。この時の組み立て方法は、基板3が収容部11に組み込まれた状態における固定部材5との位置関係になるように基板3と固定部材5を専用治具に位置固定し、半田付けなどによって接続部4a1と基板3とを電気的に接続し、基板3を収容部11へ組み込むのと同時に固定部材5を固定部12に組み込む。つまり、この時の専用治具は、固定部材5を固定することでケーブル4の接続部4a1が基板に対して所定の位置に配置されるように設計されている。その他の組み立て方法は、組み立て方法1と同じであるので省略する。
【0041】
〔その他の実施形態2〕
磁石7は、磁石支持部14に圧入固定されていてもよいし、弾性片で係止されて固定されていてもよいし、支持部材8によってケース1に固定されていてもよい。支持部材8を接着剤として磁石7を磁石支持部14に支持された状態で接着固定してもよい。支持部材8を粘着層として磁石7を磁石支持部14に支持された状態で粘着固定してもよい。支持部材8は、ケース1に磁石7を固定することが可能であれば、その他の部材であってもよい。磁石7は、磁石支持部14に圧入固定や弾性係止で固定され、且つ支持部材8によって固定されるなどいくつかの固定方法の組み合わせでケース1に固定されていてもよい。
【0042】
磁石支持部14は、底部13の第1方向他方側の面であってもよいし、底部に形成され磁石7を支持できる凸形状でもよいし、凹形状でもよいし、底部より延伸する壁でもよいし、磁石7を圧入固定する形状であってもよいし、底部より延伸して弾性変位可能なバネにより磁石を係止させる形状でもよく、形状及び磁石7を支持する形態は限定されない。
【0043】
〔その他の実施形態3〕
検知部2は、振動センサでもよいし、加速度センサでもよい。被検知装置の物理的挙動を検知し、電気信号として出力可能なセンサであればどんなセンサでもよく、センサの仕様は限定されない。
【0044】
〔その他の実施形態4〕
センサ装置D1は磁石7を含まずに、被検知装置への取り付けは、ネジで固定される構造であってもよいし、接着剤で固定される構造であってもよいし、粘着層で固定される構造であってもよく、その方法は限定されない。
【0045】
〔その他の実施形態5〕
ケーブル4の被覆部42に固定部材5を固定する方法は、ケーブル4の被覆部42に固定部材をアウトサート成型により形成して固定する方法に限定されず、クランパー等を被覆部に固定してクランパーを覆うように2分割した固定部材5を組み合わせて固定する方法でもよいし、その他の方法で固定してもよい。また、固定部材5の第2方向一方Y1側に、ケーブル4が第1方向Z及び/又は第3方向Xに屈曲した場合にこれに追従して変形、屈曲することによりケーブル4にかかる負荷を軽減するブッシュを含んでもよい。
【0046】
〔技術的特徴及び効果〕
以上のように構成されるセンサ装置D1は、以下のような技術的特徴及び効果を奏する。
【0047】
〔第1の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第1の技術的特徴は、ケース1と検知部2と基板3とケーブル4と固定部材5とを含み、ケース1は、収容部11と固定部12を含み、収容部11は、第1方向における第1方向一方Z1側が開放されて、検知部2と基板3とを収容し、固定部12は、収容部11に対し第1方向と略直角な第2方向における第2方向一方Y1側に配置されており、ケーブル4は、導電性の電線41と、電線41を覆う絶縁性の材料により形成される被覆部42と、被覆部42に固定される固定部材5の第2方向他方Y2側に電線41と被覆部42とにより構成される先端部4aとを含み、先端部4aは、被覆部42が除去されて電線41が露出している接続部4a1を含み、接続部4a1は、固定部材5が固定部12に支持されることで、基板3に電気的に接続するための所定の位置に配置される点にある。
【0048】
この様な特徴構成とすれば、検知部2が被検知装置の挙動を検知して得られた情報を受信装置へ伝達するためのケーブル4を基板3に電気的に接続する作業が容易となる。
【0049】
すなわち、固定部材5が固定部12に支持されることで、接続部4a1が基板3に電気的に接続するための所定の位置に配置されるので、ケーブル4を基板3に電気的に接続する作業工程で、接続部4a1をピンセットなどでつまんで基板3の接続先の電極上に配置させる必要がない。接続部4a1が基板3の第2面上の所定の位置に配置されるので、半田付け工程をレーザー半田装置が使用でき、半田コテを使用せず半田付けできるので、半田付け時間や半田付け温度、半田量のばらつきによる半田付け不良を生じることがない。例えば接続部4a1の電線41を半田付け状態が、半田量不足である場合、電気検査では発見できず、充填部材6によって埋没されてると、外観検査でも発見できない。半田量不足のセンサ装置D1を使用しつづけると、継時変化により半田付け部がオープンやレアショート(疑似接触)になり、センサ装置D1としての機能が働かなくなる。
【0050】
〔第2の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第2の技術的特徴は、ケース1及び固定部材5は、絶縁性の材料により形成され、ケース1と固定部材5を形成する夫々の絶縁性の材料は、ケーブル4の被覆部42を形成する絶縁性の材料よりも曲げ弾性率が大きい点にある。
【0051】
この様な特徴構成とすれば、ケース1と固定部材5はケーブル4の被覆部42と異なる固有振動数を有することができる。
【0052】
すなわち、ケース1と固定部材5はケーブル4の被覆部42と異なる固有振動数を有するので、ケーブル4の固定部材5から被検知装置側で生じる不要振動やケース1で生じる不要振動は、固定部材5によって先端部4a1から基板3への伝達を抑制されて、検知部2から出力される信号に対する不要振動の影響を低減できる。これにより、不要振動の影響を低減させるためのフィルタ回路を省略することも可能である。
【0053】
〔第3の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第3の技術的特徴は、固定部12は、係止部121と壁部122とを含み、壁部122は、第2方向一方側に一対の第1壁部122aを含み、第2方向他方側に一対の第2壁部122bを含み、第1方向及び第2方向に略直角な第3方向における第3方向一方側に第3壁部122cを含み、第3方向における第3方向他方側に第4壁部122dを含み、固定部材5は、係止部121に係合する被係止部51を含み、ケース1の固定部12に対し、第1方向一方側から組み込まれて、係止部121と被係止部51が第1方向において係合することで、第1方向に対して固定され、第1壁部122aと第2壁部122bに当接することで、第2方向に対して固定され、第3壁部122cと第4壁部122dに当接することで、第3方向に対して固定される点である。
【0054】
この様な特徴構成とすれば、固定部材5はケーブル4の先端部4a1と共にケース1に対して第1方向Zと第2方向Yと第3方向Xとに対して固定することが可能である。
【0055】
固定部材5は、ケーブル4の先端部4aと共にケースに対して第1方向Zと第2方向Yと第3方向Xとに対して固定されるので、ケーブル4の引き出し方向やその他方向に引っ張り力が加わった場合、ケーブル4の接続部4a1と基板3の電気的接続がオープンになったり、疑似接続などの不安定な接続状態になることを抑制できる。
【0056】
〔第4の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第4の技術的特徴は、収容部11は、固定部12と第2方向Yにおいて連結しており、基板3と先端部4a1とを内部に埋没させる充填部材6が充填されており、充填部材6は、第2方向Yにおいて固定部材5と密着している点である。
【0057】
この様な特徴構成とすれば、ケース1と固定部材5との隙間から充填部材6が漏れることを防止できる。
【0058】
すなわち、収容部11は、固定部12と第2方向Yにおいて連結しているが、充填部材6は第2方向Yにおいて固定部材5と密着して収容部11からの流出が阻止されているので、収容部11に充填される充填部材6は、ケース1と固定部材5との隙間から漏れることを防止できる。また、収容部11に固定部材5と充填部材6が密着することで固定部材5は第2方向他方Y2側への固定が係止部121と被係止部51との係合だけでなく密着強度によっても固定されるので、第1方向一方Z1側へケーブル4が屈曲されて引っ張られても係止部121と被係止部51の何れかが損壊して固定部材5が脱落するのを防止できる。更には、固定部材5が固定部12に支持されて固定されていることで固定部材5が不要振動を生じさせることを防止できる。
【0059】
〔第5の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第5の技術的特徴は、充填部材6は、硬化時のショア(Shore)硬度がD80以上である点である。
【0060】
この様な特徴構成とすれば、充填部材6はケーブル4の被覆部42と異なる固有振動数を有することができる。
【0061】
すなわち、充填部材6は、硬化時のショア(Shore)硬度がD80以上であるとケーブル4の被覆部42と異なる固有振動数を有することができるので、充填部材6で生じる不要振動がケーブル4の被覆部42を介して基板3へ伝達されるのを抑制できる。
【0062】
〔第6の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第6の技術的特徴は、基板3は、第1面31と第2面32とを含み、第1面31は、検知部2が配置され、ケース1は、収容部11の第1方向他方Z2側に底部13を含み、底部13は、底面131と側壁132とにより形成され検知部2を収容する検知部収容部13aを含み、検知部収容部13aは、側壁132と底面131と基板3の第1面31とにより閉塞されている点である。
【0063】
この様な特徴構成とすれば、検知部2は充填部材6に覆われることがない。
【0064】
すなわち、検知部収容部13aは、充填部材6が充填されないように閉塞されているので、検知部2の一部又は全部が充填部材6が付着して硬化し、被検知装置の物理的挙動が正確に検知部2に伝達されずに、検知機能が低下することを防止できる。また、基板3を収容部11に組み込んで固定するのに、基板3の第1面31と基準面130は、粘着層9を介して当接させる方法を採用すれば、基準面130の当接箇所に成型時収縮による凸凹や第1面31に形成されるパターンやレジストによる凸凹がある場合でも、押圧される粘着層9の粘着剤が凸凹に沿って布かれるので、密着性が増し、充填部材6の流入を効果的に阻止できる。
【0065】
〔第7の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第7の技術的特徴は、充填部材6は、第1方向一方Z1側の少なくとも一部が露出している点である。
【0066】
この様な特徴構成とすれば、ケースの第1方向一方Z1側が閉塞されない。
【0067】
すなわち、ケース1の収容部11は、第1方向一方側が開放されているが、充填部材6を充填することで、収容部11に収容されている基板3やケーブル4の先端部4aを保護するために蓋等の別部材等を省略することが可能である。また、充填部材6を透明または半透明にして基板3にLEDを実装するなどして、センサ装置D1による監視状況を視認できる構造とすれば、被検知装置の異常を視覚的に知らしめることが可能となる。
【0068】
〔第8の技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第8の技術的特徴は、ケーブル4が同軸ケーブルである点である。
【0069】
この様な特徴構成とすれば、固定部12に固定されるケーブル4を1本とすることが可能である。
【0070】
すなわちケーブル4が同軸ケーブルであると、電気信号を通信する中心導体(電線41の一例)に電源電圧を重畳させ、シールド部材44をGND接続することで、センサ装置D1への給電と検知部2と受信装置との双方向通信を1本のケーブルで対応できるので、基板3への半田付け作業工数を削減できるだけでなく、固定部材5のアウトサート成型金型を簡素化し、アウトサート成型作業を簡素化できる。多芯の複合ケーブルでも1本のケーブルで対応することは可能であるが、その場合、接続部4a1を所定の位置に配置するには、第3方向Xに接続部4a1の位置を電線41ごとにずらさなければならない。
【0071】
〔第9技術的特徴及び効果〕
本開示に係るセンサ装置D1の第9の技術的特徴は、センサ装置D1は、磁石7を含み、ケース1は、底部13の第1方向他方Z2側に磁石7を支持する磁石支持部14を含む点である。
【0072】
この様な特徴構成とすれば、センサ装置D1を被検知装置に取り付けることが可能である。
【0073】
すなわち、センサ装置D1は、磁石7により被検知装置への取り付けができる。磁石7をケース1の磁石支持部14に支持させて支持部材8で固定し、支持部材8の硬化時の硬度を調節することで磁石7及び支持部材8で生じる不要振動が基板3に伝達されるのを抑制できる。また、磁石7は、周壁142の内面142aから僅かに離間し、突出部143に当接することで磁石支持部第1面141から僅かに離間して形成される隙間に支持部材8が充填されて硬化するので、ケース1との固定を強固にすることが可能である。
【0074】
〔その他の技術的特徴及び効果〕
固定部材5の第2方向一方Y1側にブッシュを含むことにより、ケーブル4が第1方向Z及び/又は第3方向Xに繰り返し屈曲した場合でもケーブル4にかかる負荷を軽減することができるため、電線41及び/又はシールド部材44が断線することを抑制できる。
センサ装置D1は、製造工場などで稼働する設備に取り付けられて、設備の挙動より故障や不具合を予兆検知するセンサ装置によって装置の保守時期を事前通知する設備監視システムに利用できる。