(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165410
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】制御装置、パネル搬送システム、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241121BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081588
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 暢也
(72)【発明者】
【氏名】足立 聡
(72)【発明者】
【氏名】川村 浩史
【テーマコード(参考)】
5F044
5F131
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044KK11
5F044PP15
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA51
5F131CA22
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA10
(57)【要約】
【課題】パネルの受け渡しをスムーズに行うことができる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置110は、制御部111とメモリ112とを備え、制御部111は、ステージ130とアーム66との間の調整距離が第1距離L1まで短くなるように、ステージ130をZ軸方向に移動させることによって、パネル3を保持部69の吸着面67aとステージ130との間に狭み込み、吸着面67aをアーム66から見てステージ130側とは反対向きに押し込み、吸着面67aによるパネル3の吸着を実行または停止させ、調整距離が第2距離L2まで長くなるようにステージ130を移動させ、停止期間だけ調整距離を第2距離L2に維持し、調整距離が第2距離L2よりも長くなるように、ステージ130を移動させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル搬送装置およびステージの少なくとも一方を制御する制御装置であって、
制御部と、
前記制御部に接続されたメモリとを備え、
前記パネル搬送装置は、アームと、パネルを吸着面で吸着することによって前記パネルを保持する保持部とを備え、
前記保持部は、前記保持部の吸着面が弾性によって前記アームに対して所定方向に移動可能なように、前記アームに取り付けられ、
前記制御部は、前記メモリを用いて、
前記所定方向に沿って前記アームと並んで配置されている前記ステージと前記アームとの間の調整距離が第1距離まで短くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を前記所定方向に移動させることによって、前記パネルを前記保持部の吸着面と前記ステージとの間に狭み込み、前記保持部の吸着面を前記アームから見て前記ステージ側とは反対向きに押し込む第1処理と、
前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行または停止させる第2処理と、
前記調整距離が、前記第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第3処理と、
予め定められた停止期間だけ、前記パネルが前記保持部の吸着面および前記ステージに接した状態で、前記調整距離を前記第2距離に維持する第4処理と、
前記調整距離が前記第2距離よりも長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第5処理とを、実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1処理では、前記パネルが、前記ステージに載置されて前記保持部の吸着面に非接触の状態から、前記保持部の吸着面に当接して押し付けられる状態に遷移するように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させ、
前記第2処理では、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1処理では、前記パネルが、前記ステージに載置されておらず前記保持部の吸着面に吸着されている状態から、前記ステージに載置されて前記保持部の吸着面に押し付けられる状態に遷移するように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させ、
前記第2処理では、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に停止させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1処理では、前記ステージを前記アーム側の向きに移動させ、
前記第3処理および前記第5処理では、前記ステージを前記アーム側とは反対向きに移動させ、
前記第4処理では、前記ステージを停止させることによって、前記調整距離を前記第2距離に維持する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1処理では、前記アームを前記ステージ側の向きに移動させ、
前記第3処理および前記第5処理では、前記アームを前記ステージ側とは反対向きに移動させ、
前記第4処理では、前記アームを停止させることによって、前記調整距離を前記第2距離に維持する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第2距離は、(1)前記パネルの厚みと、(2)前記パネルから力を受けていないときの前記保持部の吸着面と前記アームとの間の距離と、によって決定される、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、
前記パネルの厚みを示す厚み情報を取得し、
前記厚み情報に基づいて、前記第2距離を決定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記厚み情報によって示される前記パネルの厚みが大きいほど前記第2距離が長くなるように、前記第2距離を決定する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の制御装置と、
前記パネル搬送装置と、
前記ステージと、
を備えるパネル搬送システム。
【請求項10】
前記保持部は、
前記アームに対して前記所定方向に移動可能に取り付けられる支持軸と、
前記支持軸に接続され、前記パネルを前記吸着面で吸着するように構成された、弾性部材からなる吸着パッドとを備える、
請求項9に記載のパネル搬送システム。
【請求項11】
パネル搬送装置およびステージの少なくとも一方をコンピュータが制御する制御方法であって、
前記パネル搬送装置は、アームと、パネルを吸着面で吸着することによって前記パネルを保持する保持部とを備え、
前記保持部は、前記保持部の吸着面が弾性によって前記アームに対して所定方向に移動可能なように、前記アームに取り付けられ、
前記制御方法では、
前記所定方向に沿って前記アームと並んで配置されている前記ステージと前記アームとの間の調整距離が第1距離まで短くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を前記所定方向に移動させることによって、前記パネルを前記保持部の吸着面と前記ステージとの間に狭み込み、前記保持部の吸着面を前記アームから見て前記ステージ側とは反対向きに押し込む第1処理と、
前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行または停止させる第2処理と、
前記調整距離が、前記第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第3処理と、
予め定められた停止期間だけ、前記パネルが前記保持部の吸着面および前記ステージに
接した状態で、前記調整距離を前記第2距離に維持する第4処理と、
前記調整距離が前記第2距離よりも長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第5処理とを、実行する、
制御方法。
【請求項12】
パネル搬送装置およびステージの少なくとも一方をコンピュータが制御するためのプログラムであって、
前記パネル搬送装置は、アームと、パネルを吸着面で吸着することによって前記パネルを保持する保持部とを備え、
前記保持部は、前記保持部の吸着面が弾性によって前記アームに対して所定方向に移動可能なように、前記アームに取り付けられ、
前記プログラムは、
前記所定方向に沿って前記アームと並んで配置されている前記ステージと前記アームとの間の調整距離が第1距離まで短くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を前記所定方向に移動させることによって、前記パネルを前記保持部の吸着面と前記ステージとの間に狭み込み、前記保持部の吸着面を前記アームから見て前記ステージ側とは反対向きに押し込む第1処理と、
前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行または停止させる第2処理と、
前記調整距離が、前記第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第3処理と、
予め定められた停止期間だけ、前記パネルが前記保持部の吸着面および前記ステージに接した状態で、前記調整距離を前記第2距離に維持する第4処理と、
前記調整距離が前記第2距離よりも長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第5処理とを、前記コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネルの搬送を制御する制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルに電子部品(以下、単に「部品」とも呼ばれる)を圧着する部品実装装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この部品実装装置は、液晶パネルの端部に、異方性導電部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)を介して部品を
圧着する。つまり、その液晶パネルの端部には、接着部材としてACFが貼着されている。部品実装装置は、液晶パネルのそのACFが貼着された部分に部品を搭載して、液晶パネルに圧着する。なお、液晶パネルは、パネルまたは基板とも呼ばれる。
【0003】
また、特許文献1の部品実装装置は、それぞれ液晶パネルを搬送する複数の基板移載部と、それらの複数の基板移載部を制御する制御装置とを備える。基板移載部は、アームと、そのアームに取り付けられる吸着パッドとを有し、制御装置による制御にしたがって、ステージ上に載置されている液晶パネルを、上方から吸着パッドで真空吸着することによって保持し、移動する。そして、基板移載部は、その吸着パッドによる液晶パネルの真空吸着を停止することによって、その液晶パネルを他のステージに載置する。このように、液晶パネルは、制御装置による制御にしたがって、基板移載部とステージとの間で受け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の制御装置では、パネルの受け渡しをスムーズに行うことが難しい場合があるという課題がある。
【0006】
そこで、本開示では、パネルの受け渡しをスムーズに行うことができる制御装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る制御装置は、パネル搬送装置およびステージの少なくとも一方を制御する制御装置であって、制御部と、前記制御部に接続されたメモリとを備え、前記パネル搬送装置は、アームと、パネルを吸着面で吸着することによって前記パネルを保持する保持部とを備え、前記保持部は、前記保持部の吸着面が弾性によって前記アームに対して所定方向に移動可能なように、前記アームに取り付けられ、前記制御部は、前記メモリを用いて、前記所定方向に沿って前記アームと並んで配置されている前記ステージと前記アームとの間の調整距離が第1距離まで短くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を前記所定方向に移動させることによって、前記パネルを前記保持部の吸着面と前記ステージとの間に狭み込み、前記保持部の吸着面を前記アームから見て前記ステージ側とは反対向きに押し込む第1処理と、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行または停止させる第2処理と、前記調整距離が、前記第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第3処理と、予め定められた停止期間だけ、前記パネルが前記保持部の吸着面および前記ステージに接した状態で、前記調整距離を前記第2距離に維持する
第4処理と、前記調整距離が前記第2距離よりも長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第5処理とを、実行する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の制御装置は、パネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0010】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における部品実装ラインの平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるパネル搬送システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるパネル搬送装置の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1における制御装置によって制御される調整距離を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1における、ステージからパネル搬送装置にパネルが受け渡されるときの動作の一例を、比較例と比較して示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1における、ステージからパネル搬送装置にパネルが受け渡されるときの動作のタイミングの一例を、比較例と比較して示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態1の変形例における、ステージからパネル搬送装置にパネルが受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1の変形例における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2における、パネル搬送装置からステージにパネルが受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2における、パネル搬送装置からステージにパネルが受け渡されるときの動作のタイミングの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態2の変形例における、パネル搬送装置からステージにパネルが受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2の変形例における制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本開示における制御装置の概略的な処理動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した上記特許文献1の制御装置に関し、以下の課題が生じることを見出した。
【0013】
近年、部品実装装置で取り扱われるパネルは大型化している。パネルの大型化に伴って、そのパネルを搬送するためのアームおよび吸着パッドを大型化させる必要性がある。あるいは、吸着パッドの数を増やして、多くの吸着パッドを広く分散させる必要性がある。その結果、それらの複数の吸着パッドの高さに大きなばらつきが生じ得る。このような複数の吸着パッドの高さのばらつきは、水平方向に沿って配置されているパネルの吸着に悪影響を及ぼす。そこで、アームへの吸着パッドの取り付けに、フローティング機構を採用することが考えらえる。フローティング機構では、吸着パッドが、バネなどの弾性部材を介してアームに取り付けられている。したがって、パネルが載置されているステージが上昇すると、各吸着パッドは、その吸着パッドの高さに応じたタイミングでステージ上のパネルに当接して押し付けられる。パネルに押し付けられた吸着パッドは、上述の弾性部材を付勢させながらアームに対して上昇する。つまり、各吸着パッドは、上方に押し込まれる。これにより、複数の吸着パッドの高さに大きなばらつきがあっても、全ての吸着パッドは、パネルをしっかりと吸着して保持することができる。
【0014】
したがって、上記特許文献1の部品実装装置でも、フローティング機構を採用することによって、大型のパネルをステージから基板移載部へ受け渡すことができる。しかし、上記特許文献1の部品実装装置が有する制御装置は、基板移載部の複数の吸着パッドによってパネルが吸着された後、ステージを待機位置に一気に下降させるため、基板移載部のアームに大きな衝撃を与えてしまう。具体的には、ステージが一気に下降すると、アームは、弾性部材の付勢だけでなく大型のパネルの重みも加算された衝撃を一気に受けてしまう。また、複数の吸着パッドの高さのばらつきによる上述の悪影響を抑えるために、それらの吸着パッドの押し込み量を大きくすると、アームへの衝撃がさらに増すことになる。その結果、上記特許文献1の制御装置では、パネルの受け渡しをスムーズに行うことが難しいという課題がある。
【0015】
このような課題を解決するために、本開示の第1態様に係る制御装置は、パネル搬送装置およびステージの少なくとも一方を制御する制御装置であって、制御部と、前記制御部に接続されたメモリとを備え、前記パネル搬送装置は、アームと、パネルを吸着面で吸着することによって前記パネルを保持する保持部とを備え、前記保持部は、前記保持部の吸着面が弾性によって前記アームに対して所定方向に移動可能なように、前記アームに取り付けられ、前記制御部は、前記メモリを用いて、前記所定方向に沿って前記アームと並んで配置されている前記ステージと前記アームとの間の調整距離が第1距離まで短くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を前記所定方向に移動させることによって、前記パネルを前記保持部の吸着面と前記ステージとの間に狭み込み、前記保持部の吸着面を前記アームから見て前記ステージ側とは反対向きに押し込む第1処理と、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行または停止させる第2処理と、前記調整距離が、前記第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第3処理と、予め定められた停止期間だけ、前記パネルが前記保持部の吸着面および前記ステージに接した状態で、前記調整距離を前記第2距離に維持する第4処理と、前記調整距離が前記第2距離よりも長くなるように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させる第5処理とを、実行する。なお、所定方向は、例えば鉛直方向である。
【0016】
これにより、保持部はフローティング機構によってアームに取り付けられている。そして、第1処理では、そのフローティング機構によって保持部の吸着面が押し込まれて、第2処理によってパネルの吸着が実行または停止された後には、第5処理が直接行われることなく、第3処理および第4処理が行われる。したがって、アームおよびステージの少な
くとも一方は、一気に長い距離を移動することなく、調整距離が第1距離から長くなるように移動後に、調整距離が第2距離となる位置で一時的に停止し、その後に、調整距離が第2距離よりも長くなるようにさらに移動する。つまり、アームおよびステージの少なくとも一方の移動は、第3処理のモーションと、第5処理のモーションとを含む2段階モーションによって行われる。第3処理のモーションは、第1段階目のモーションであり、第5処理のモーションは、第2段階目のモーションである。また、それらの2つのモーションの間では、パネルが保持部の吸着面およびステージに接した状態で停止期間だけ維持される。その結果、調整距離が第1距離から第2距離よりも長くなるようにアームおよびステージの少なくとも一方が移動するときには、アームが受ける衝撃を抑制することができる。したがって、ステージとパネル搬送装置との間でのパネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0017】
また、第2態様に係る制御装置では、前記制御部は、前記第1処理では、前記パネルが、前記ステージに載置されて前記保持部の吸着面に非接触の状態から、前記保持部の吸着面に当接して押し付けられる状態に遷移するように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させ、前記第2処理では、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に実行さてもよい。なお、第2態様は、第1態様に従属する。
【0018】
これにより、ステージからパネル搬送装置にパネルが受け渡される。その結果、ステージからパネル搬送装置にパネルが受け渡されるときに、より具体的には、保持部がパネルを吸着して調整距離が長くなるときに、パネルの重みによってアームが受ける衝撃を抑制することができる。したがって、ステージからパネル搬送装置へのパネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0019】
また、第3態様に係る制御装置では、前記制御部は、前記第1処理では、前記パネルが、前記ステージに載置されておらず前記保持部の吸着面に吸着されている状態から、前記ステージに載置されて前記保持部の吸着面に押し付けられる状態に遷移するように、前記アームおよび前記ステージの少なくとも一方を移動させ、前記第2処理では、前記保持部の吸着面による前記パネルの吸着を前記パネル搬送装置に停止させてもよい。なお、第3態様は、第1態様に従属する。
【0020】
これにより、パネル搬送装置からステージにパネルが受け渡される。その結果、パネル搬送装置からステージにパネルが受け渡されるときにアームが受ける衝撃を抑制することができる。したがって、パネル搬送装置からステージへのパネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0021】
また、第4態様に係る制御装置では、前記制御部は、前記第1処理では、前記ステージを前記アーム側の向きに移動させ、前記第3処理および前記第5処理では、前記ステージを前記アーム側とは反対向きに移動させ、前記第4処理では、前記ステージを停止させることによって、前記調整距離を前記第2距離に維持してもよい。なお、第4態様は、第1態様から第3態様の何れか1つに従属してもよい。
【0022】
これにより、ステージの移動によってパネルが受け渡されるときにアームが受ける衝撃を抑制することができ、パネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0023】
また、第5態様に係る制御装置では、前記制御部は、前記第1処理では、前記アームを前記ステージ側の向きに移動させ、前記第3処理および前記第5処理では、前記アームを前記ステージ側とは反対向きに移動させ、前記第4処理では、前記アームを停止させることによって、前記調整距離を前記第2距離に維持してもよい。なお、第5態様は、第1態様から第3態様の何れか1つに従属してもよい。
【0024】
これにより、アームの移動によってパネルが受け渡されるときにそのアームが受ける衝撃を抑制することができ、パネルの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0025】
また、第6態様に係る制御装置では、前記第2距離は、(1)前記パネルの厚みと、(2)前記パネルから力を受けていないときの前記保持部の吸着面と前記アームとの間の距離と、によって決定されてもよい。なお、第6態様は、第1態様から第5態様の何れか1つに従属してもよい。
【0026】
これにより、フローティング機構の付勢が解除される距離に第2距離を設定することができ、アームが受ける衝撃を効果的に抑制することができる。
【0027】
また、第7態様に係る制御装置では、前記制御部は、さらに、前記パネルの厚みを示す厚み情報を取得し、前記厚み情報に基づいて、前記第2距離を決定してもよい。なお、第7態様は、第1態様から第6態様の何れか1つに従属してもよい。
【0028】
これにより、パネルの厚みに基づいて第2距離が決定されるため、アームが受ける衝撃をパネルの厚みに応じて適切に抑制することができる。
【0029】
また、第8態様に係る制御装置では、前記制御部は、前記厚み情報によって示される前記パネルの厚みが大きいほど前記第2距離が長くなるように、前記第2距離を決定してもよい。なお、第8態様は、第7態様に従属する。
【0030】
これにより、アームが受ける衝撃をパネルの厚みに応じて効果的に抑制することができる。
【0031】
また、本開示の第9態様に係るパネル搬送システムは、第1態様~第8態様の何れか1つの態様の制御装置と、前記パネル搬送装置と、前記ステージと、を備える。
【0032】
これにより、第1態様から第8態様の何れか1つの態様と同様の効果を奏することができる。
【0033】
また、第10態様に係るパネル搬送システムでは、前記保持部は、前記アームに対して前記所定方向に移動可能に取り付けられる支持軸と、前記支持軸に接続され、前記パネルを前記吸着面で吸着するように構成された、弾性部材からなる吸着パッドとを備えてもよい。なお、第10態様は、第9態様に従属する。
【0034】
これにより、保持部をフローティング機構によってアームに適切に取り付けることができる。その結果、複数の保持部がパネルを吸着する場合に、それらの保持部の吸着面における所定方向の位置にばらつきがある場合でも、複数の保持部は適切にパネルを吸着することができる。
【0035】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0036】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0037】
(実施の形態1)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
【0038】
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのパネル3に部品5を実装することによってディスプレイパネルなどの製品(すなわち実装パネル)を生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品であり、パネル3は、基板とも呼ばれる。
【0039】
このような部品実装ライン1は、
図1に示すように、パネル搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、パネル搬出部50とを有する。パネル搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、およびパネル搬出部50は、この順で連結されている。
【0040】
パネル搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入されるパネル3を受け取る。そして、そのパネル3は下流側の貼着部20に搬出される。パネル3の形状の一例は、矩形である。
【0041】
貼着部20は、パネル搬入部10から搬出されたパネル3を受け取り、そのパネル3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれにACFなどの接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着されたパネル3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
【0042】
仮圧着部30は、貼着部20から搬出されたパネル3を受け取り、そのパネル3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着されたパネル3は本圧着部40に搬出される。
【0043】
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出されたパネル3を受け取り、そのパネル3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その本圧着が行われたパネル3はパネル搬出部50に搬出される。
【0044】
パネル搬出部50は、本圧着部40から搬出されたパネル3を受け取る。パネル搬出部50に受け取られたパネル3は下流側に搬出される。
【0045】
このように、部品実装ライン1は、搬入されたパネル3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装されたパネル3を実装パネルあるいは実装基板としてパネル搬出部50から搬出する。
【0046】
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、
図2は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、パネル3の搬送方向、すなわち左右方向をX軸方向と称し、鉛直方向、すなわち上下方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、パネル3の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
【0047】
パネル搬入部10は、搬入されるパネル3を載置するための基台1aを備える。パネル搬入部10の基台1aには、パネル3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置されたパネル3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
【0048】
貼着部20は、パネル3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業を行う機能を備える。貼着部20は、パネル移動機構21と、貼着機構22とを備える。
【0049】
パネル移動機構21は、パネル3を移動させる機構である。パネル移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。パネル移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
【0050】
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
【0051】
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置されたパネル3を真空吸着して保持する。このように、パネル移動機構21は、パネル3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(すなわちZ軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
【0052】
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、それぞれACFを供給する供給部と、ACFをパネル3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、パネル3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
【0053】
仮圧着部30は、パネル3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着作業を実行する。仮圧着部30は、パネル移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、部品移送部35とを備える。
【0054】
パネル移動機構31は、貼着部20のパネル移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、パネル移動機構31は、パネル3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。パネル移動機構31は、そのステージ37上に載置されたパネル3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、パネル移動機構31は、パネル3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。パネル移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されているパネル3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージであるバックアップ部36の上方に位置させる。
【0055】
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、TCPなどのテープ部材が巻き付けられた供給リール33aと、打ち抜き部33bと、可動ステージ33cと、レール33dとを備える。このような部品供給部33は、それらの構成要素の動きによってテープ部材から部品5を順次供給する。
【0056】
部品移送部35は、部品供給部33から供給される部品5を、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
【0057】
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34とバックアップ部36とを備える。
【0058】
バックアップ部36は、長尺状に形成された部材であって、パネル3を下方から支持する。つまり、バックアップ部36は、ステージ37に保持されているパネル3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、パネル3においてACFが貼着されている部位である。
【0059】
圧着ツール34は、部品5を保持し、バックアップ部36によって支持されているパネル3の上面に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、パネル3の圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移送部35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載してパネル3ごとバックアップ部36に押し付けることで、パネル3に部品5を仮圧着する。なお、仮圧着部30は、パネル移動機構31によって保持されているパネル3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
【0060】
本圧着部40は、仮圧着部30によってパネル3に仮圧着された部品5をパネル3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着作業(熱圧着作業ともいう)を実行する。こうすることで、パネル3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、パネル移動機構41と、圧着機構42とを備える。
【0061】
パネル移動機構41は、貼着部20のパネル移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、パネル移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。パネル移動機構41は、そのステージ49上に載置されたパネル3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、パネル移動機構41は、パネル3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。パネル移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されているパネル3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部の上方に位置させる。
【0062】
圧着機構42は、加熱されたヘッドでパネル3の部品5を圧着支持部側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、パネル3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
【0063】
パネル搬出部50は、本圧着部40から搬送されたパネル3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。パネル搬出部50において保持されたパネル3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送されたパネル3をその上面で真空吸着して保持する。
【0064】
搬送部60は、パネル3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、パネル搬入部10に搬入されたパネル3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、パネル搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置さ
れている。
【0065】
搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、パネル搬送機構62A、パネル搬送機構62B、パネル搬送機構62C、および、パネル搬送機構62Dを備えている。パネル搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、パネル搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、パネル3を上方から真空吸着する。
【0066】
パネル搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持するパネル3を上方から真空吸着するパネル受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51からパネル3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、パネル搬送機構62Aは、パネル搬入部10のステージ11に載置されたパネル3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、パネル搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23からパネル3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、パネル搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37からパネル3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、パネル搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49からパネル3を受け取り、パネル搬出部50のステージ51に受け渡す。
【0067】
[パネル搬送システム]
本実施の形態におけるパネル搬送システムは、部品実装ライン1に含まれる複数の構成要素から構成されている。
【0068】
図3は、本実施の形態におけるパネル搬送システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
パネル搬送システム100は、制御装置110と、パネル搬送装置120と、ステージ130とを備える。
【0070】
パネル搬送装置120は、
図2に示すパネル搬送機構62A~62Dのうちの何れか1つである。また、パネル搬送装置120は、そのパネル搬送機構62A~62Dのうちの2つ以上の機構から構成されていてもよい。また、パネル搬送装置120は、
図2の搬送部60であってもよい。
【0071】
ステージ130は、
図2に示すステージ11、23、37、49、51のうちの何れか1つである。また、ステージ130は、そのステージ11、23、37、49、51のうちの2つ以上のステージから構成れていてもよい。
【0072】
制御装置110は、制御部111およびメモリ112を備える。なお、制御装置110は、部品実装ライン1に組み込まれた装置であってもよく、その部品実装ライン1に例えば通信ネットワークを介して接続された装置であってもよい。メモリ112は、制御部111に接続された記録媒体であって、具体的には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、または半導体メモリなどである。なお、メモリ112は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。また、メモリ112には、コンピュータプログラムまたは制御データが格納されていてもよい。制御部111は、例えば、プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)などの回路であって、メモリ112からコンピュー
タプログラムを読み出して実行することによって、パネル搬送装置120およびステージ
130を制御する。また、制御部111は、パネル搬送装置120およびステージ130を制御するときには、メモリ112に格納されている制御データを参照することによって、パネル搬送装置120およびステージ130を制御するための各種パラメータを決定してもよい。つまり、制御部111は、メモリ112を用いて各種の処理を実行する。
【0073】
図4は、本実施の形態におけるパネル搬送装置120の一例を示す斜視図である。なお、
図4に示すパネル搬送装置120は、
図2に示すパネル搬送機構62A~62Dのうちの何れか1つである。
【0074】
パネル搬送装置120は、
図4に示すように、移動ベース61上をX軸方向に移動自在に設けられた基部63と、その基部63上に設けられた2基のアームユニット64とを有する。各アームユニット64は、基部63に固定されたアームベース65と、アームベース65から水平後方に延びて設けられた2つのアーム66を備える。各アーム66には吸着面を下方に向けた複数の吸着パッド67が設けられている。各アームユニット64は2つのアーム66に設けられた複数の吸着パッド67(本実施の形態では4個)を介して1枚のパネル3を真空吸着する。このように、本実施の形態におけるパネル搬送装置120は、アーム66と、パネル3を吸着面で吸着することによってそのパネル3を保持する吸着パッド67を有する保持部とを備える。保持部の詳細については、後述する。
【0075】
なお、本実施の形態では、1つのパネル3の吸着に4個の吸着パッド67が用いられるが、パネル3のサイズに応じた数の吸着パッド67が、そのパネル3の吸着に用いられてもよい。例えば、1つのパネル3の吸着に4~16個の吸着パッド67が用いられてもよい。
【0076】
図5は、本実施の形態における制御装置110によって制御される調整距離を説明するための図である。
【0077】
制御装置110の制御部111は、
図5の(a)および(b)に示すように、パネル搬送装置120の調整距離を制御する。ここで、本実施の形態では、吸着パッド67は、支持軸68を介してアーム66に取り付けられている。また、支持軸68は、例えばバネなどの弾性部材によって、Y軸方向に沿うアーム66に対してZ軸方向に移動可能に、アーム66に対して取り付けられている。吸着パッド67は、その支持軸68の下端側に取り付けられている。また、吸着パッド67は、例えばゴムなどの弾性を有する部材によって構成されている。なお、支持軸68と、その支持軸68に取り付けられている吸着パッド67とを含む機構は、パネル3を保持する保持部69として構成されている。つまり、本実施の形態では、保持部69は、保持部69の吸着面67aが弾性によってアーム66に対してZ軸方向に移動可能なように、アーム66に取り付けられている。なお、その弾性は、支持軸68が有するバネなどの弾性部材の弾性、および吸着パッド67の弾性のうちの少なくとも一方である。具体的には、保持部69は、アーム66に対してZ軸方向に移動可能に取り付けられる支持軸68と、その支持軸68に接続され、パネル3を吸着面67aで吸着するように構成された、弾性部材からなる吸着パッド67とを備える。これにより、本実施の形態では、保持部69をフローティング機構によってアーム66に適切に取り付けることができる。その結果、複数の保持部69がパネル3を吸着する場合に、それらの保持部69の吸着面67aにおけるZ軸方向の位置にばらつきがある場合でも、複数の保持部69は適切にパネル3を吸着することができる。
【0078】
本実施の形態における調整距離は、アーム66と、ステージ130の上面との間のZ軸方向の距離である。本実施の形態における制御部111は、ステージ130を昇降させることによって、その調整距離を第1距離L1に設定し、あるいは、その調整距離を第2距離L2に設定する。
【0079】
例えば、制御部111は、
図5の(a)に示すように、ステージ130をZ軸方向に移動させることによって、調整距離を第2距離L2に設定する。調整距離が第2距離L2である場合、複数の吸着パッド67とステージ130とは、パネル3を挟んでそれぞれそのパネル3に接する。その第2距離L2は、アーム66と吸着パッド67の吸着面67aとの間の距離Laと、パネル3の厚みLpとの和である。ここで、距離Laは、パネル3からZ軸方向の力を吸着パッド67が受けていないときの、吸着パッド67の吸着面67aとアーム66との間の距離である。また、その距離Laは、パネル3の厚みLpに関わらず、パネル搬送装置120の構成によって定まる距離である。つまり、第2距離L2は、(1)パネル3の厚みLpと、(2)パネル3から力を受けていないときの保持部69の吸着面67aとアーム66との間の距離Laと、によって決定される。なお、距離Laは、その距離よりも数%~10%だけ短い距離であってもよい。
【0080】
また、制御部111は、
図5の(b)に示すように、ステージ130をZ軸方向に移動させることによって、調整距離を第1距離L1に設定する。例えば、制御部111は、
図5の(a)に示す状態にあるステージ130を上昇させることによって、調整距離を第1距離L1に設定する。調整距離が第1距離L1である場合、
図5の(b)に示すように、ステージ130およびパネル3は、吸着パッド67を上方に押し上げる。このときには、吸着パッド67は、そのパネル3から受ける力と吸着パッド67の弾性とによって歪みながら、すなわち高さ方向に縮みながら、その吸着パッド67に接続されている支持軸68を上方に押し上げている。このとき、支持軸68は上方に付勢されている。このような第1距離L1は、アーム66と吸着パッド67の吸着面67aとの間の距離Lbと、パネル3の厚みLpとの和である。なお、距離Lbは、距離Laよりも短い。
【0081】
なお、第1距離L1および第2距離L2は、制御装置110のメモリ112に制御データとして格納されていてもよい。そして、制御部111は、そのメモリ112から第1距離L1および第2距離L2を読み出すことによって、調整距離が第1距離L1または第2距離L2になるようにステージ130を昇降させてもよい。また、距離Laおよび距離Lbが、制御装置110のメモリ112に制御データとして格納されていてもよい。この場合、制御部111は、例えば生産データに示されている厚み情報を取得し、メモリ112から距離Laを読み出す。厚み情報は、パネル3の厚みLpを示す。そして、制御部111は、その厚みLpと距離Laとを加算することによって、第2距離L2を決定してもよい。つまり、制御部111は、パネル3の厚みLpを示す厚み情報を取得し、その厚み情報に基づいて、第2距離L2を決定する。したがって、制御部111は、厚み情報によって示されるパネル3の厚みLpが大きいほど第2距離L2が長くなるように、その第2距離L2を決定する。
【0082】
図6は、本実施の形態における、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときの動作の一例を、比較例と比較して示す図である。なお、
図6の(a1)、(a2)および(a3)は、比較例におけるステージ1300とパネル搬送装置1200との動作を示す。また、比較例では、ステージ1300に吸着保持されているパネル3が、パネル搬送装置1200に受け渡される。また、パネル搬送装置1200は、本実施の形態におけるアーム66、支持軸68、および吸着パッド67に相当する、アーム660、支持軸680、および吸着パッド670を備えている。一方、
図6の(b1)、(b2)、(b3)および(a4)は、本実施の形態におけるステージ130とパネル搬送装置120との動作を示す。
【0083】
比較例では、まず、
図6の(a1)に示すように、ステージ1300は、パネル3を吸着保持し、パネル搬送装置1200の複数の吸着パッド670は、そのパネル3から上方に離れた位置にある。そして、ステージ1300は、
図6の(a2)に示すように、パネ
ル3を吸着保持した状態で上昇して、そのパネル3を複数の吸着パッド670に押し付ける。これにより、複数の吸着パッド670は、歪みながら、複数の支持軸680と共に上方に押し上げられる。このとき、支持軸680が有するバネなどの弾性部材は付勢される。そして、複数の吸着パッド670はパネル3を吸着する。
【0084】
次に、ステージ1300は、
図6の(a3)に示すように、一気に下降する。その結果、パネル3を吸着している複数の吸着パッド670と、それらに接続されている複数の支持軸680とも、一気に下降する。その結果、アーム660は、大きな衝撃を受ける。具体的には、ステージ1300が一気に下降すると、アーム660は、支持軸680の弾性部材の付勢だけでなくパネル3の重みも加算された衝撃を一気に受けてしまう。また、パネル3が大型化するほど、アーム660は、大きな衝撃を受ける。
【0085】
そこで、本実施の形態における制御部111は、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡される場合には、ステージ130を2段階モーションによって下降させる。例えば、制御部111は、
図6の(b1)に示すように、ステージ130にパネル3を吸着保持させて、
図6の(b2)に示すように、そのステージ130を上昇させる。このとき、制御部111は、上述の調整距離が第1距離L1になるまで、ステージ130を上昇させる。その結果、ステージ130に吸着保持されているパネル3は、複数の吸着パッド67に押し付けられる。これにより、複数の吸着パッド67は、歪みながら、複数の支持軸68と共に上方に押し上げられる。このとき、比較例と同様、支持軸68が有するバネなどの弾性部材は付勢される。そして、複数の吸着パッド67はパネル3を吸着する。
【0086】
次に、制御部111は、
図6の(b3)および(b4)に示すように、ステージ130を一気に下降させることなく、2段階モーションによってステージ130を下降させる。すなわち、まず、1段階目では、制御部111は、
図6の(b3)に示すように、調整距離が第2距離L2になるまでステージ130を下降させて、その調整距離が第2距離L2となっている状態で、予め定められた停止期間だけそのステージ130を停止させる。そして、2段階目で、制御部111は、
図6の(b4)に示すように、ステージ130をさらに下降させる。
【0087】
図7は、本実施の形態における、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときの動作のタイミングの一例を、比較例と比較して示す図である。なお、
図7の(a)のグラフは、比較例であって、ステージ1300とパネル搬送装置1200のそれぞれの動作のタイミングを示す。具体的には、
図7の(a)のグラフは、ステージ1300のZ軸方向の移動状態と、ステージ1300によるパネル3の吸着状態と、パネル搬送装置1200によるパネル3の吸着状態とのそれぞれの時間変化を示す。一方、
図7の(b)のグラフは、本実施の形態におけるステージ130とパネル搬送装置120のそれぞれの動作のタイミングを示す。具体的には、
図7の(b)のグラフは、ステージ130のZ軸方向の移動状態と、ステージ130によるパネル3の吸着状態と、パネル搬送装置120によるパネル3の吸着状態とのそれぞれの時間変化を示す。
【0088】
例えば、比較例では、
図7の(a)に示すように、上昇したステージ1300は、一気に下降する。具体的には、ステージ1300は、
図6の(a1)に示すように、停止し、真空吸引することによってパネル3を吸着している。すなわち、ステージ1300の吸着状態は、吸着ONにされている。一方、パネル搬送装置1200は、真空吸引していない。すなわち、パネル搬送装置1200の吸着状態は、吸着OFFにされている。そして、ステージ1300は、パネル3を吸着しながら時刻t0から上昇を開始して、時刻t1で停止する。このとき、パネル3は、
図6の(a2)に示すように、パネル搬送装置1200の吸着パッド670を上方に押し上げている。その後、時刻t2において、ステージ1300の吸着状態は、吸着ONから吸着OFFに切り替えられ、パネル搬送装置1200の吸着状態は、吸着OFFから吸着ONに切り替えられる。その後、時刻t3から時刻t4まで、ステージ1300は、
図6の(a3)に示すように、一気に下降する。
【0089】
一方、本実施の形態では、
図7の(b)に示すように、上昇したステージ130は、一気に下降することなく、2段階モーションによって下降する。具体的には、制御部111は、
図6の(b1)に示すように、ステージ130を停止させて、ステージ130に真空吸引させてパネル3の吸着を実行させている。すなわち、ステージ130の吸着状態は、吸着ONにされている。一方、制御部111は、パネル搬送装置120に真空吸引をさせていない。すなわち、パネル搬送装置120の吸着状態は、吸着OFFにされている。そして、制御部111は、ステージ130に対して、パネル3を吸着させながら、時刻t0から上昇を開始させて、時刻t1で停止させる。このとき、パネル3は、
図6の(b2)に示すように、パネル搬送装置120の吸着パッド67を上方に押し上げている。その後、時刻t2において、制御部111は、ステージ130の吸着状態を、吸着ONから吸着OFFに切り替え、パネル搬送装置120の吸着状態を、吸着OFFから吸着ONに切り替える。その後、制御部111は、1段階目のモーションをステージ130に実行させる。すなわち、制御部111は、時刻t3から時刻t11までステージ130を下降させる。つまり、
図6の(b2)および(b3)に示すように、ステージ130が下降する。このとき、保持部69のフローティング機構の付勢が解除される。そして、時刻t11から予め定められた停止期間が経過したとき、すなわち時刻t12に、制御部111は、2段階目のモーションをステージ130に開始させる。つまり、制御部111は、時刻t12から時刻t13までステージ130を下降させる。その結果、
図6の(b3)および(b4)に示すように、ステージ130が下降する。
【0090】
このように、本実施の形態における制御部111は、保持部69のフローティング機構の付勢が解除されるときに、ステージ130の下降を一時停止させるため、パネル3の重みによってアーム66が受ける衝撃を抑制することができる。したがって、ステージ130からパネル搬送装置120へのパネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0091】
なお、時刻t11から時刻t12までの停止期間は、例えば100msecであって、パネル3の形状および重さによって変更されてもよい。また、制御部111が、パネル3のサイズに応じてその停止期間を決定してもよい。具体的には、制御部111は、パネル3のサイズが大きいほど長い期間を停止期間として決定してもよい。あるいは、制御部111は、ユーザによる入力操作に応じて、例えば10msec~2secの範囲内の期間を、停止期間として受け付けてもよい。また、時刻t1から時刻t3までの期間は、押し込み期間あるいは押し付け期間とも呼ばれる。このような期間の終点(すなわち時刻t3)は、パネル3の吸着に用いられる全ての吸着パッド67の吸着状態によって決定されてもよい。つまり、制御部111は、全ての吸着パッド67の吸着状態をセンサなどによって検出し、全ての吸着パッド67がパネル3を吸着していることが検出されたタイミングを、押し付け期間の終点に決定してもよい。
【0092】
図8は、本実施の形態における制御装置110の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0093】
制御部111は、
図8に示すように、まず、第1処理を実行する。つまり、制御部111は、パネル3を吸着保持しているステージ130を上昇させて、ステージ130とアーム66との間の調整距離を第1距離L1まで短くする。これにより、制御部111は、ステージ130上に吸着されているパネル3を吸着パッド67に押し付ける(ステップS11)。次に、制御部111は、第2処理を実行する。第2処理では、制御部111は、吸着パッド67によるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に実行させる(ステップS12)。つまり、制御部111は、第1処理では、
図6の(b1)および(b2)に示すように、パネル3が、ステージ130に載置されて吸着パッド67の吸着面67aに非接触の状態から、吸着パッド67の吸着面67aに当接して押し付けられる状態に遷移するように、ステージ130を移動させる。そして、制御部111は、第2処理では、その吸着パッド67の吸着面67aによるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に実行させる。また、このとき、制御部111は、ステージ130にパネル3の吸着を停止させる。
【0094】
次に、制御部111は、第3処理を実行する。第3処理では、制御部111は、
図6の(b3)に示すように、ステージ130を下降させて、調整距離を第2距離L2まで長くする(ステップS13)。そして、制御部111は、第4処理を実行する。第4処理では、制御部111は、予め定められた停止期間だけ、その調整距離を第2距離L2に維持する(ステップS14)。その後、制御部111は、第5処理を実行する。第5処理では、制御部111は、
図6の(b4)に示すように、ステージ130をさらに下降させて、その調整距離を第2距離L2よりも長くする(ステップS15)。
【0095】
このように、本実施の形態において、第1処理では、フローティング機構によって保持部69の吸着面67aが押し込まれて、第2処理によってパネル3の吸着が実行された後には、第5処理が直接行われることなく、第3処理および第4処理が行われる。したがって、ステージ130は、一気に長い距離を下降することなく、調整距離が第1距離L1から長くなるように下降後に、調整距離が第2距離L2となる位置で一時的に停止し、その後に、調整距離が第2距離L2よりも長くなるようにさらに下降する。つまり、ステージ130の下降は、第3処理のモーションと、第5処理のモーションとを含む2段階モーションによって行われる。第3処理のモーションは、第1段階目のモーションであり、第5処理のモーションは、第2段階目のモーションである。また、それらの2つのモーションの間では、パネル3が保持部69の吸着面67aおよびステージ130に接した状態で停止期間だけ維持される。その結果、調整距離が第1距離L1から第2距離L2よりも長くなるようにステージ130が移動するときには、アーム66が受ける衝撃を抑制することができる。つまり、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときに、より具体的には、保持部69がパネル3を吸着して調整距離が長くなるときに、パネル3の重みによってアーム66が受ける衝撃を抑制することができる。したがって、ステージ130からパネル搬送装置120へのパネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0096】
また、本実施の形態における制御部111は、ステージ130からパネル搬送装置120へのパネル3の受け渡しでは、ステージ130を移動させる。つまり、制御部111は、第1処理では、ステージ130をアーム66側の向きに移動させる。第3処理および第5処理では、制御部111は、ステージ130をアーム66側とは反対向きに移動させる。また、第4処理では、制御部111は、ステージ130を停止させることによって、調整距離を第2距離L2に維持する。これにより、本実施の形態では、ステージ130が移動する。すなわち、ステージ130が昇降する。したがって、ステージ130の移動によって、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときに、アーム66が受ける衝撃を抑制することができ、パネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0097】
また、本実施の形態では、第2距離L2は、(1)パネル3の厚みと、(2)パネル3から力を受けていないときの保持部69の吸着面67aとアーム66との間の距離と、によって決定される。これにより、フローティング機構の付勢が解除される距離に第2距離L2を設定することができ、アーム66が受ける衝撃を効果的に抑制することができる。
【0098】
また、本実施の形態では、制御部111は、厚み情報を取得し、その厚み情報に基づい
て、第2距離L2を決定する。これにより、パネル3の厚みLpに基づいて第2距離L2が決定されるため、アーム66が受ける衝撃をパネル3の厚みLpに応じて適切に抑制することができる。
【0099】
また、本実施の形態では、制御部111は、厚み情報によって示されるパネル3の厚みLpが大きいほど長い距離を第2距離L2として決定する。これにより、アーム66が受ける衝撃をパネル3の厚みLpに応じて効果的に抑制することができる。
【0100】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1における、ステージ130からパネル搬送装置120へのパネル3の受け渡しでは、ステージ130が移動する。一方、本変形例では、アーム66が移動する。
【0101】
図9は、本変形例における、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【0102】
本変形例における制御部111は、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡される場合には、パネル搬送装置120のアーム66を2段階モーションによって上昇させる。例えば、制御部111は、
図9の(a)に示すように、ステージ130にパネル3を吸着保持させる。そして、制御部111は、
図9の(b)に示すように、ステージ130ではなく、アーム66を下降させる。このとき、制御部111は、上述の調整距離が第1距離L1になるまで、アーム66を下降させる。その結果、ステージ130に吸着保持されているパネル3は、複数の吸着パッド67に押し付けられる。これにより、複数の吸着パッド67は、歪みながら、アーム66から見て複数の支持軸68と共に上方に押し上げられる。このとき、支持軸68が有するバネなどの弾性部材は付勢される。そして、複数の吸着パッド67はパネル3を吸着する。
【0103】
次に、制御部111は、
図9の(c)および(d)に示すように、一気にアーム66を上昇させることなく、2段階モーションによってアーム66を上昇させる。すなわち、まず、1段階目では、制御部111は、
図9の(c)に示すように、調整距離が第2距離L2になるまでアーム66を上昇させて、その調整距離が第2距離L2となっている状態で、予め定められた停止期間だけそのアーム66を停止させる。そして、2段階目で、制御部111は、
図9の(d)に示すように、アーム66をさらに上昇させる。
【0104】
図10は、本変形例における制御装置110の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0105】
制御部111は、
図10に示すように、まず、第1処理を実行する。つまり、制御部111は、アーム66を下降させて、ステージ130とアーム66との間の調整距離を第1距離L1まで短くすることにより、ステージ130上のパネル3を吸着パッド67に押し付ける(ステップS11a)。次に、制御部111は、第2処理を実行する。第2処理では、制御部111は、吸着パッド67によるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に実行させる(ステップS12a)。つまり、制御部111は、第1処理では、
図9の(a)および(b)に示すように、パネル3が、ステージ130に載置されて吸着パッド67の吸着面67aに非接触の状態から、吸着パッド67の吸着面67aに当接して押し付けられる状態に遷移するように、アーム66を移動させる。そして、制御部111は、第2処理では、その吸着パッド67の吸着面67aによるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に実行させる。また、このとき、制御部111は、ステージ130にパネル3の吸着を停止させる。
【0106】
次に、制御部111は、第3処理を実行する。第3処理では、制御部111は、
図9の
(c)に示すように、アーム66を上昇させて、調整距離を第2距離L2まで長くする(ステップS13a)。そして、制御部111は、第4処理を実行する。第4処理では、制御部111は、予め定められた停止期間だけ、その調整距離を第2距離L2に維持する(ステップS14a)。その後、制御部111は、第5処理を実行する。第5処理では、制御部111は、
図9の(d)に示すように、アーム66をさらに上昇させて、その調整距離を第2距離L2よりも長くする(ステップS15a)。
【0107】
このように、本変形例における制御部111は、ステージ130からパネル搬送装置120へのパネル3の受け渡しでは、パネル搬送装置120のアーム66を移動させる。つまり、制御部111は、第1処理では、アーム66をステージ130側の向きに移動させる。第3処理および第5処理では、制御部111は、アーム66をステージ130側とは反対向きに移動させる。また、第4処理では、制御部111は、アーム66を停止させることによって、調整距離を第2距離L2に維持する。これにより、本変形例では、アーム66が移動する。すなわち、アーム66が昇降する。したがって、アーム66の移動によって、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡されるときに、アーム66が受ける衝撃を抑制することができ、パネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。つまり、アーム66が昇降する場合であっても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0108】
(実施の形態2)
実施の形態1およびその変形例では、ステージ130からパネル搬送装置120にパネル3が受け渡される。一方、本実施の形態では、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡される。そして、本実施の形態においても、実施の形態1と同様、ステージ130が2段階モーションによって移動する。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1と同一の構成要素については、実施の形態1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態におけるパネル搬送システム100は、実施の形態1と同様、
図3に示す構成を有する。
【0109】
図11は、本実施の形態における、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【0110】
本実施の形態における制御部111は、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡される場合には、ステージ130を2段階モーションによって下降させる。例えば、制御部111は、
図11の(a)に示すように、パネル搬送装置120の複数の吸着パッド67にパネル3を吸着保持させて、
図11の(b)に示すように、ステージ130を上昇させる。このとき、制御部111は、上述の調整距離が第1距離L1になるまで、ステージ130を上昇させる。その結果、複数の吸着パッド67に吸着保持されているパネル3は、ステージ130の上面に押し付けられる。これにより、複数の吸着パッド67は、歪みながら、複数の支持軸68と共に上方に押し上げられる。このとき、支持軸68が有するバネなどの弾性部材は付勢される。そして、ステージ130は、パネル3を吸着し、複数の吸着パッド67は、パネル3の吸着を停止する。
【0111】
次に、制御部111は、
図11の(c)および(d)に示すように、ステージ130を一気に下降させることなく、2段階モーションによってステージ130を下降させる。すなわち、まず、1段階目では、制御部111は、
図11の(c)に示すように、調整距離が第2距離L2になるまでステージ130を下降させて、その調整距離が第2距離L2となっている状態で、予め定められた停止期間だけそのステージ130を停止させる。そして、2段階目で、制御部111は、
図11の(d)に示すように、ステージ130をさらに下降させる。
【0112】
図12は、本実施の形態における、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときの動作のタイミングの一例を示す図である。なお、
図12のグラフは、本実施の形態におけるステージ130とパネル搬送装置120のそれぞれの動作のタイミングを示す。具体的には、
図12のグラフは、ステージ130のZ軸方向の移動状態と、ステージ130によるパネル3の吸着状態と、パネル搬送装置120によるパネル3の吸着状態とのそれぞれの時間変化を示す。
【0113】
本実施の形態では、
図12に示すように、ステージ130は、一気に下降することなく、2段階モーションによって下降する。具体的には、制御部111は、
図11の(a)に示すように、ステージ130を停止させて、パネル搬送装置120の複数の吸着パッド67に真空吸引させてパネル3の吸着を実行させている。すなわち、複数の吸着パッド67の吸着状態は、吸着ONにされている。一方、制御部111は、ステージ130に真空吸引をさせていない。すなわち、ステージ130の吸着状態は、吸着OFFにされている。そして、制御部111は、ステージ130の上昇を時刻t0から開始させて、時刻t1でその上昇を停止させる。このとき、ステージ130は、
図11の(b)に示すように、パネル3と共にパネル搬送装置120の吸着パッド67を上方に押し上げている。その後、時刻t2に、制御部111は、ステージ1300の吸着状態を、吸着OFFから吸着ONに切り替え、パネル搬送装置120の吸着状態を、吸着ONから吸着OFFに切り替える。その後、制御部111は、1段階目のモーションをステージ130に実行させる。すなわち、制御部111は、時刻t3から時刻t21までステージ130を下降させる。つまり、
図11の(b)および(c)に示すように、ステージ130が下降する。そして、時刻t21から予め定められた停止期間が経過したとき、すなわち時刻t22に、制御部111は、2段階目のモーションをステージ130に開始させる。つまり、制御部111は、時刻t22から時刻t23までステージ130を下降させる。その結果、
図11の(c)および(d)に示すように、ステージ130が下降する。
【0114】
このように、本実施の形態における制御部111は、保持部69のフローティング機構の付勢が解除されるときに、ステージ130の下降を一時停止させるため、アーム66が受ける衝撃を抑制することができる。したがって、パネル搬送装置120からステージ130へのパネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0115】
図13は、本実施の形態における制御装置110の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0116】
制御部111は、
図13に示すように、まず、第1処理を実行する。つまり、制御部111は、ステージ130を上昇させて、ステージ130と、パネル3を吸着保持しているパネル搬送装置120のアーム66との間の調整距離を第1距離L1まで短くする。これにより、制御部111は、複数の吸着パッド67に吸着されているパネル3にステージ130を押し付ける(ステップS21)。次に、制御部111は、第2処理を実行する。第2処理では、制御部111は、吸着パッド67によるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に停止させる(ステップS22)。つまり、制御部111は、第1処理では、
図12の(a)および(b)に示すように、パネル3が、ステージ130に載置されておらず吸着パッド67の吸着面67aに吸着されている状態から、ステージ130に載置されて吸着パッド67の吸着面67aに押し付けられる状態に遷移するように、ステージ130を移動させる。そして、制御部111は、第2処理では、その吸着パッド67の吸着面67aによるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に停止させる。また、このとき、制御部111は、ステージ130にパネル3の吸着を実行させる。
【0117】
次に、制御部111は、第3処理を実行する。第3処理では、制御部111は、
図12の(c)に示すように、ステージ130を下降させて、調整距離を第2距離L2まで長く
する(ステップS23)。そして、制御部111は、第4処理を実行する。第4処理では、制御部111は、予め定められた停止期間だけ、その調整距離を第2距離L2に維持する(ステップS24)。その後、制御部111は、第5処理を実行する。第5処理では、制御部111は、
図12の(d)に示すように、ステージ130をさらに下降させて、その調整距離を第2距離L2よりも長くする(ステップS25)。
【0118】
このように、本実施の形態では、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡される場合において、実施の形態1と同様、2段階モーションによってステージ130が下降する。したがって、本実施の形態においても実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
つまり、本実施の形態において、第1処理では、フローティング機構によって保持部69の吸着面67aが押し込まれて、第2処理によってパネル3の吸着が停止された後には、第5処理が直接行われることなく、第3処理および第4処理が行われる。したがって、ステージ130は、一気に長い距離を下降することなく、調整距離が第1距離L1から長くなるように下降後に、調整距離が第2距離L2となる位置で一時的に停止し、その後に、調整距離が第2距離L2よりも長くなるようにさらに下降する。つまり、ステージ130の下降は、第3処理のモーションと、第5処理のモーションとを含む2段階モーションによって行われる。第3処理のモーションは、第1段階目のモーションであり、第5処理のモーションは、第2段階目のモーションである。また、それらの2つのモーションの間では、パネル3が保持部69の吸着面67aおよびステージ130に接した状態で停止期間だけ維持される。その結果、調整距離が第1距離L1から第2距離L2よりも長くなるようにステージ130が移動するときには、アーム66が受ける衝撃を抑制することができる。つまり、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときに、より具体的には、保持部69がパネル3の吸着を停止して調整距離が長くなるときに、アーム66が受ける衝撃を抑制することができる。したがって、パネル搬送装置120からステージ130へのパネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0120】
また、本実施の形態における制御部111は、パネル搬送装置120からステージ130へのパネル3の受け渡しでは、ステージ130を移動させる。つまり、制御部111は、第1処理では、ステージ130をアーム66側の向きに移動させる。第3処理および第5処理では、制御部111は、ステージ130をアーム66側とは反対向きに移動させる。また、第4処理では、制御部111は、ステージ130を停止させることによって、調整距離を第2距離L2に維持する。これにより、本実施の形態では、ステージ130が移動する。すなわち、ステージ130が昇降する。したがって、ステージ130の移動によって、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときに、アーム66が受ける衝撃を抑制することができ、パネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0121】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2における、パネル搬送装置120からステージ130へのパネル3の受け渡しでは、ステージ130が移動する。一方、本変形例では、アーム66が移動する。
【0122】
図14は、本変形例における、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときの動作の一例を示す図である。
【0123】
本変形例における制御部111は、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡される場合には、パネル搬送装置120のアーム66を2段階モーションによって上昇させる。例えば、制御部111は、
図14の(a)に示すように、パネル搬送装置120の複数の吸着パッド67にパネル3を吸着保持させる。そして、制御部111は
、
図14の(b)に示すように、ステージ130ではなく、アーム66を下降させる。このとき、制御部111は、上述の調整距離が第1距離L1になるまで、アーム66を下降させる。その結果、複数の吸着パッド67に吸着保持されているパネル3は、ステージ130に押し付けられる。これにより、複数の吸着パッド67は、歪みながら、アーム66から見て複数の支持軸68と共に上方に押し上げられる。そして、複数の吸着パッド67は、パネル3の吸着を停止し、ステージ130が、パネル3を吸着する。
【0124】
次に、制御部111は、
図14の(c)および(d)に示すように、一気にアーム66を上昇させることなく、2段階モーションによってアーム66を上昇させる。すなわち、まず、1段階目では、制御部111は、
図14の(c)に示すように、調整距離が第2距離L2になるまでアーム66を上昇させて、その調整距離が第2距離L2となっている状態で、予め定められた停止期間だけそのアーム66を停止させる。そして、2段階目で、制御部111は、
図14の(d)に示すように、アーム66をさらに上昇させる。
【0125】
図15は、本変形例における制御装置110の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0126】
制御部111は、
図15に示すように、まず、第1処理を実行する。つまり、制御部111は、アーム66を下降させて、ステージ130とアーム66との間の調整距離を第1距離L1まで短くすることにより、パネル搬送装置120の複数の吸着パッド67に吸着されているパネル3を、ステージ130の上面に押し付ける(ステップS21a)。次に、制御部111は、吸着パッド67によるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に停止させる(ステップS22a)。つまり、制御部111は、第1処理では、
図14の(a)および(b)に示すように、パネル3が、ステージ130に載置されておらず吸着パッド67の吸着面67aに吸着されている状態から、ステージ130に載置されて吸着パッド67の吸着面67aに押し付けられる状態に遷移するように、アーム66を移動させる。そして、制御部111は、第2処理では、その吸着パッド67の吸着面67aによるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に停止させる。また、このとき、制御部111は、ステージ130にパネル3の吸着を実行させる。
【0127】
次に、制御部111は、第3処理を実行する。第3処理では、制御部111は、
図14の(c)に示すように、アーム66を上昇させて、調整距離を第2距離L2まで長くする(ステップS23a)。そして、制御部111は、第4処理を実行する。第4処理では、制御部111は、予め定められた停止期間だけ、その調整距離を第2距離L2に維持する(ステップS24a)。その後、制御部111は、第5処理を実行する。第5処理では、制御部111は、
図14の(d)に示すように、アーム66をさらに上昇させて、その調整距離を第2距離L2よりも長くする(ステップS25a)。
【0128】
このように、本変形例における制御部111は、パネル搬送装置120からステージ130へのパネル3の受け渡しでは、パネル搬送装置120のアーム66を移動させる。つまり、制御部111は、第1処理では、アーム66をステージ130側の向きに移動させる。第3処理および第5処理では、制御部111は、アーム66をステージ130側とは反対向きに移動させる。また、第4処理では、制御部111は、アーム66を停止させることによって、調整距離を第2距離L2に維持する。これにより、本変形例では、アーム66が移動する。すなわち、アーム66が昇降する。したがって、アーム66の移動によって、パネル搬送装置120からステージ130にパネル3が受け渡されるときに、アーム66が受ける衝撃を抑制することができ、パネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。つまり、アーム66が昇降する場合であっても、実施の形態2と同様の作用効果を得ることができる。
【0129】
以上のように、本開示における制御装置110の制御部111は、実施の形態1およびその変形例、並びに、実施の形態2およびその変形例のように、ステージ130またはアーム66を2段階モーションによって移動させる。
【0130】
図16は、本開示における制御装置110の概略的な処理動作の例を示すフローチャートである。
【0131】
制御装置110の制御部111は、まず、第1処理を実行する(ステップS1)。この第1処理では、制御部111は、所定方向に沿ってアーム66と並んで配置されているステージ130とそのアーム66との間の調整距離が第1距離まで短くなるように、アーム66またはステージ130を所定方向に移動させる。なお、本開示では、所定方向は、Z軸方向である。また、実施の形態1および実施の形態2では、ステージ130が移動し、それらの実施の形態の変形例では、アーム66が移動する。これにより、制御部111は、パネル3を保持部69の吸着面67aとステージ130との間に狭み込み、保持部69の吸着面67aをアーム66から見てステージ130側とは反対向きに押し込む。
【0132】
次に、制御部111は、保持部69の吸着面67aによるパネル3の吸着をパネル搬送装置120に実行または停止させる第2処理を実行する(ステップS2)。なお、実施の形態1およびその変形例では、制御部111は、パネル3の吸着を実行させ、実施の形態2およびその変形例では、制御部111は、パネル3の吸着を停止させる。
【0133】
その後、制御部111は、上述の調整距離が、第1距離よりも長い第2距離まで長くなるように、アーム66またはステージ130を移動させる第3処理を実行する(ステップS3)。なお、実施の形態1および実施の形態2では、ステージ130が移動し、それらの実施の形態の変形例では、アーム66が移動する。
【0134】
次に、制御部111は、予め定められた停止期間だけ、パネル3が保持部69の吸着面67aおよびステージ130に接した状態で、上述の調整距離を第2距離に維持する第4処理を実行する(ステップS4)
そして、制御部111は、上述の調整距離が第2距離よりも長くなるように、アーム66またはステージ130を移動させる第5処理を実行する(ステップS5)。なお、実施の形態1および実施の形態2では、ステージ130が移動し、それらの実施の形態の変形例では、アーム66が移動する。
【0135】
これにより、第2処理によってパネル3の吸着が実行または停止された後には、第5処理が直接行われることなく、第3処理および第4処理が行われる。したがって、アーム66またはステージ130は、一気に長い距離を移動することなく、調整距離が第1距離L1から長くなるように移動後に、調整距離が第2距離L2となる位置で一時的に停止し、その後に、調整距離が第2距離L2よりも長くなるようにさらに移動する。つまり、アーム66またはステージ130の移動は、2段階モーションによって行われる。また、それらの2つのモーションの間では、パネル3が保持部69の吸着面67aおよびステージ130に接した状態で停止期間だけ維持される。その結果、調整距離が第1距離L1から第2距離L2よりも長くなるようにアーム66またはステージ130が移動するときには、アーム66が受ける衝撃を抑制することができる。したがって、ステージ130とパネル搬送装置120との間でのパネル3の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0136】
以上、一つまたは複数の態様に係る制御装置110および制御方法について、上記各実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記各実施の形態およびその変形例に施したものや、上記各実施の形態およびそ
の変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0137】
例えば、上記各実施の形態およびその変形例では、パネル3が受け渡されるときには、ステージ130およびアーム66の何れか一方のみが昇降する。しかし、ステージ130およびアーム66のそれぞれが昇降してもよい。つまり、制御部111は、第1処理、第3処理および第5処理のそれぞれでは、ステージ130およびアーム66の双方を昇降させてもよい。あるいは、制御部111は、第1処理、第3処理および第5処理のうちの何れか1つ以上の処理では、ステージ130を昇降させ、残りの他の処理では、アーム66を昇降させてもよい。
【0138】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、制御装置110は、ステージ130およびパネル搬送装置120を制御するが、ステージ130およびパネル搬送装置120のうち、パネル搬送装置120のみを制御してもよい。つまり、制御装置110は、ステージ130およびパネル搬送装置120の少なくとも一方を制御してもよい。
【0139】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、ステージ130またはアーム66をZ軸方向に移動させるが、ステージ130とアーム66とがZ軸方向に配列されていない場合には、そのステージ130またはアーム66をそれらの配列方向に沿って移動させてもよい。つまり、上述の所定方向は、Z軸方向とは異なる方向であってもよい。
【0140】
また、上記各実施の形態およびその変形例では、制御部111などの構成要素の全部または一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、その構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)または半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、
図8、
図10、
図13、
図15、および
図16に示す各ステップをステージ130およびパネル搬送装置120の少なくとも一方に実行させる。
【0141】
また、制御部111は、1つまたは複数の電子回路で構成されてもよい。1つまたは複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つまたは複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)またはLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。ICまたはLSIは、1つのチップに
集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、ICまたはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、または、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼
ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示は、例えば液晶ディスプレイを生産する部品実装ライン等が有するパネル搬送システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 部品実装ライン
3 パネル
4 電極部
5 部品
10 パネル搬入部
11、23、37、49、51 ステージ
20 貼着部
21、31、41 パネル移動機構
30 仮圧着部
32 部品搭載機構
33 部品供給部
33a 供給リール
33b 打ち抜き部
33c 可動ステージ
33d レール
34 圧着ツール
35 部品移送部
36 バックアップ部
40 本圧着部
50 パネル搬出部
60 搬送部
61 移動ベース
62A、62B、62C、62D パネル搬送機構
63 基部
64 アームユニット
65 アームベース
66、660 アーム
67、670 吸着パッド
67a 吸着面
68、680 支持軸
69 保持部
100 パネル搬送システム
110 制御装置
111 制御部
112 メモリ
120、1200 パネル搬送装置
130、1300 ステージ