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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165425
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】保温保冷容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20241121BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65D81/18 B
B65D77/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081619
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 拓嗣
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB81
3E067AC03
3E067BA05B
3E067BA05C
3E067BB17C
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067CA18
3E067EA32
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA02
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】収容した物品の過冷却や過熱を防止する。
【解決手段】保温保冷容器10は、物品収容部20に収容した物品を蓄熱部材16により保温又は保冷するものである。保温保冷容器10は、外容器12と、外容器12の内側に配置され、物品収容部20を有する内容器14とを備えている。また、保温保冷容器10は、外容器12と内容器14との間に設けられ、蓄熱部材16を収容可能な蓄熱部材収容部18を備えている。そして、内容器14を構成する構造体が、蓄熱材を含んでいる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収容部に収容した物品を蓄熱部材により保温又は保冷する保温保冷容器であって、
外容器と、
前記外容器の内側に配置され、前記物品収容部を有する内容器と、
前記外容器と前記内容器との間に設けられ、前記蓄熱部材を収容可能な蓄熱部材収容部と、を備え、
前記内容器を構成する構造体が、蓄熱材を含んでいる
ことを特徴とする保温保冷容器。
【請求項2】
前記構造体が、固形蓄熱材である請求項1に記載の保温保冷容器。
【請求項3】
前記内容器の外底面が、前記外容器の内底面から離れている請求項1に記載の保温保冷容器。
【請求項4】
前記内容器の上部に設けられた内蓋の上面が、前記外容器の上部に設けられた外蓋の下面から離れている請求項1に記載の保温保冷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保温保冷容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保温保冷容器は、パラフィンなどが封入された蓄熱部材を用いて、内部を保温又は保冷している(例えば特許文献1参照)。蓄熱部材は、0℃未満の融点を持つものであれば、冷凍庫で-25℃程度の低温で冷却してパラフィンを凍結させるなど、融点よりも10℃以上低い温度で凍結させることが、再使用までの時間を短縮するために一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-175688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、夏場などの35℃の外部環境において、収納した物品を15℃~20℃程度の温度域で保管する場合、-25℃の冷凍庫から取り出した蓄熱部材を保温保冷容器にそのまま入れると、収納した物品が過冷却されてしまう。また、物品を保温する場合であっても、蓄熱部材をターゲットとする温度域よりも加熱した状態にすることから、保冷時と同様の問題が起こる。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、収容した物品の過冷却や過熱を防止できる保温保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保温保冷容器の第1態様は、
物品収容部に収容した物品を蓄熱部材により保温又は保冷する保温保冷容器であって、
外容器と、
前記外容器の内側に配置され、前記物品収容部を有する内容器と、
前記外容器と前記内容器との間に設けられ、前記蓄熱部材を収容可能な蓄熱部材収容部と、を備え、
前記内容器を構成する構造体が、蓄熱材を含んでいることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る保温保冷容器の第2態様は、前記第1態様において、
前記構造体が、固形蓄熱材であってもよい。
【0008】
本発明に係る保温保冷容器の第3態様は、前記第1態様又は前記第2態様において、
前記内容器の外底面が、前記外容器の内底面から離れていてもよい。
【0009】
本発明に係る保温保冷容器の第4態様は、前記第1態様、前記第2態様及び前記第3態様の何れか一つにおいて、
前記内容器の上部に設けられた内蓋の上面が、前記外容器の上部に設けられた外蓋の下面から離れていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る保温保冷容器によれば、収容した物品の過冷却や過熱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る保温保冷容器を、外蓋及び内蓋を取り外した状態で示す斜視図である。
図2】実施例の保温保冷容器を、外蓋及び内蓋を取り外した状態で示す平面図である。
図3】実施例の保温保冷容器を示す縦断面図である。
図4】実施例の保温保冷容器を、外蓋及び内蓋を取り外した状態で示す縦断面図である。
図5】試験の結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る保温保冷容器につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【実施例0013】
図1図4に示すように、実施例に係る保温保冷容器10は、外容器12と、外容器12の内側に配置された内容器14とを備えている。また、保温保冷容器10は、外容器12と内容器14との間に設けられ、蓄熱部材16を収容可能な蓄熱部材収容部18を備えている。保温保冷容器10は、内容器14が有する物品収容部20に物品を収容し、物品収容部20に収容した物品を蓄熱部材16によって保温又は保冷するようになっている。保温保冷容器10は、外容器12と内容器14との2重構造になっており、物品収容部20と蓄熱部材収容部18とが分かれている。
【0014】
蓄熱部材16は、ゲル状又は液状の蓄熱剤をケースに収容したものである。蓄熱剤としては、固相と液相との間で相変化する際に吸熱又は放熱する物質であればよく、例えばノルマルパラフィン、ノルマルパラフィンおよび脂肪族アルコールの混合物などの潜熱蓄熱剤とも呼ばれるものを用いることができる。また、蓄熱剤は、単独または2種類以上の材料を混合して用いることが可能であり、収納する物品の管理温度と蓄熱剤の融解温度の関係から任意に選定される。
【0015】
図1図4に示すように、実施例の外容器12は、上面に外開口22aを有する外容器本体22と、外開口22aを開閉する外蓋24とを備える箱状である。また、外容器12は、断熱構造である。実施例において、外容器本体22及び外蓋24が、表皮シートで覆われた板状の断熱性部材で構成されている。断熱性部材としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの発泡体からなる発泡体系断熱材や、内部の空気を抜いて真空状態にしてある真空断熱材や、グラスウール又はロックウール等の無機系断熱材などを、単独又は組み合わせて用いることができる。なお、発泡体は、断熱性や剛性やコストなどの観点から、硬質のものが好ましく、この中でもポリスチレンフォームやポリウレタンフォームが好ましい。また、表皮シートとしては、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを用いることができる。実施例の外容器12は、外蓋24の下側に突出する突出部分を外開口22aに嵌め合わせて、外蓋24の外縁から延びる面ファスナーを、外容器本体22の面ファスナーに接合することで、外蓋24が外容器本体22に取り付けられる。
【0016】
図1図4に示すように、実施例の内容器14は、上面に内開口26aを有する内容器本体26と、内開口26aを開閉する内蓋28とを備えている。内容器14は、外容器12の内側空間よりも小さく形成された箱状である。なお、内容器14は、外容器12に固定されていてもよく、外容器12に対して挿脱可能であってもよい。内容器14は、内蓋28の下側に突出する突出部分を内開口26aに嵌め合わせることで、内蓋28が内容器本体26に取り付けられる。内容器本体26の上縁部に形成された凹部27を有し、凹部27に指を差し込んで内蓋28を内容器本体26から取り外すことができる。
【0017】
図1図4に示すように、内容器本体26は、外容器本体22の内側面と間隔をあけて配置され、外容器本体22の内側面と内容器本体26の外側面との間に、蓄熱部材収容部18が設けられている。また、外蓋24と内蓋28とが間隔をあけて配置され、外蓋24の下面と内蓋28の上面との間に、蓄熱部材収容部18が設けられている。物品を保冷する場合、内容器14の上側に設けた蓄熱部材収容部18に蓄熱部材16を配置すると、下降する冷気によって内容器14を効率よく冷却できる。なお、実施例では、蓄熱部材収容部18を内容器14の横側及び上側に設けたが、これに限らず、外容器本体22の内底面と内容器本体26の外底面との間などの他の箇所に、蓄熱部材収容部18を設けてもよい。また、蓄熱部材収容部18を内容器14の横側のみ、内容器14の上側のみ、あるいは内容器14の下側のみに設けてもよい。
【0018】
実施例において、横側の蓄熱部材収容部18を構成する外容器本体22の内側面と内容器本体26の外側面との間隔が、板形状の蓄熱部材16の厚みよりも大きく設定されている。同様に、実施例において、上側の蓄熱部材収容部18を構成する外蓋24の下面と内蓋28の上面との間隔が、板形状の蓄熱部材16の厚みよりも大きく設定されている。そして、横側の蓄熱部材収容部18において、蓄熱部材16が内容器本体26に当接して配置される一方で、蓄熱部材16が外容器本体22から離して配置される。また、上側の蓄熱部材収容部18において、蓄熱部材16が内蓋28に当接して配置される一方で、蓄熱部材16が外蓋24から離して配置される。このように、蓄熱部材収容部18において、蓄熱部材16を外容器12から離して配置することで、蓄熱部材16の熱が外容器12を介して保温保冷容器10の外に逃げることを防止できる。また、蓄熱部材収容部18において、蓄熱部材16を内容器14に当接させることで、蓄熱部材16の熱を内容器14に効率よく伝達できる。蓄熱部材収容部18における蓄熱部材16の位置決めは、内容器14に設けたポケットに蓄熱部材16を収容したり、外容器12の内面から突出する凸部で蓄熱部材16を支持したりするなど、適宜手段が用いられる。なお、蓄熱部材収容部18において蓄熱部材16が前述した配置であることに限らず、蓄熱部材16を外容器12に当接させてもよく、蓄熱部材16を外容器12及び内容器14の両方に当接させてもよく、蓄熱部材16を外容器12及び内容器14の両方から離して配置してもよい。
【0019】
図3及び図4に示すように、内容器14の外底面が、外容器12の内底面から離れている。実施例の保温保冷容器10は、内容器14の外底面と外容器12の内底面との間に配置されたスペーサ30によって、内容器14が外容器12の内底面から離して配置されている。なお、スペーサ30は、内容器14の底よりも小さく、断熱性を有する材料で形成するとよい。このように、内容器14を外容器12の内底面から離すことで、保温保冷容器10の外側から侵入した熱が内容器14に伝わることを抑えることができる。
【0020】
図3に示すように、内容器14の上部に設けられた内蓋28の上面が、外容器12の上部に設けられた外蓋24の下面から離れている。このように、内容器14の内蓋28を外容器12の外蓋24から離すことで、保温保冷容器10の外側から侵入した熱が内容器14に伝わることを抑えることができる。実施例の保温保冷容器10のように、内容器14の外面を外容器12の内面から離して配置すると断熱性能を向上できる。
【0021】
内容器14を構成する構造体が、蓄熱材を含んでいる。すなわち、内容器14は蓄熱機能を有している。ここで、内容器本体26及び内蓋28の両方が、蓄熱材を含んでいても、内容器本体26及び内蓋28の何れか一方が、蓄熱材を含んでいても、何れであってもよい。また、蓄熱材が内容器本体26の全体に含まれていてもよいが、蓄熱材が内容器本体26の一部に含まれていてもよい。同様に、蓄熱材が内蓋28の全体に含まれていてもよいが、蓄熱材が内蓋28の一部に含まれていてもよい。ここで、内容器14における蓄熱部材収容部18に面する壁に、蓄熱材が少なくとも含まれていることが好ましく、実施例であれば、蓄熱材が内容器本体26の縦壁に少なくとも含まれているとよい。
【0022】
蓄熱材としては、固形蓄熱材や、前述の蓄熱部材16に封入されたゲル状や液状の蓄熱剤などを用いることができる。蓄熱材は、粒状や、内部に蓄熱材(蓄熱剤)が封入されたカプセル状や、繊維状や、板状などの様々な形態を採用可能であるが、実施例のように、内容器14を構成する構造体を固形蓄熱材で構成することが好ましい。内容器本体26や内蓋28などの内容器14の構造体を固形蓄熱材で構成することで、ゲル状や液状の蓄熱剤において生じるおそれがあるブリードをなくすことができる。また、ゲル状や液状の蓄熱材の場合、ブリード防止のためにカプセル等の封入容器に封入する必要があることから、封入容器の破損を防ぐために射出成形などの極端な加圧成形によって内容器14を形成することが非常に困難である。構造体自体を固形蓄熱材で形成すると、内容器本体26や内蓋28の製造が簡単である。また、固形蓄熱材を含む樹脂材料で構造体を形成することもできる。
【0023】
固形蓄熱材は、分子構造(主鎖や側鎖)が温度によって変化することで蓄熱するものであり、温度が変化しても固形のままである。固形蓄熱材としては、化合物と重合体とを含んだものが挙げられ、例えば、固形蓄熱材の10℃~60℃の範囲の融解エンタルピーが30J/g以上であるものが好ましい。また、重合体と化合物とのΔHSP(Hansen溶解度パラメータ)が3.5以下であると共に、化合物の、0℃~100℃の範囲の融解エンタルピーが30J/g以上であるとよい。そして、化合物の分子量が290g/mol~2000g/molであること、及び化合物の運動の活性化エネルギーが20kJ/mol以上であることの少なくとも一方を満たしていると更によい。固形蓄熱材に含まれる化合物としては、例えば、炭素数14~30のアルキル基を有するものや、炭素数14~30の直鎖アルキル基を有するものや、飽和脂肪酸エステル、飽和エーテル、又は飽和炭化水素などが挙げられる。固形蓄熱材に含まれる重合体としては、10℃~60℃の範囲の融解エンタルピーが30J/g以上であるものが挙げられ、具体的には、エチレン-n-ヘキサデシルアクリレート-メチルアクリレート共重合体などが挙げられる。
【0024】
固形蓄熱材以外の蓄熱材としては、前述した潜熱蓄熱剤を用いることができる。この場合、例えば、蓄熱剤を封入したケースによって内容器本体26の壁や内蓋28を形成すればよい。
【0025】
例えば、夏場の外気温35℃の環境において、保温保冷容器10に収容した物品を15℃~25℃程度で保管したい場合、物品収容部20の管理温度が20℃程度に設定される。このとき、蓄熱部材16の蓄熱剤は、管理温度程度(例えば20℃程度)の融点(凝固点)を有するものが選択され、蓄熱剤が融点近傍で一定温度を比較的長時間に亘って保つ調温作用を用いて、管理温度の維持が図られる。また、内容器14の構造体に含まれる蓄熱材は、蓄熱部材16の蓄熱剤の融点近傍で前述した調温作用を示すものを用いることが、内容器14の物品収容部20を管理温度で保持するために好ましい。
【0026】
蓄熱部材16を凍結させる場合、融点を大きく下回る温度(例えば0℃以下)まで蓄熱部材16を冷却することで、短時間で蓄熱剤を凝固させることができる。内容器14の構造体に含まれる蓄熱材は、蓄熱部材16の蓄熱剤が0℃(蓄熱部材収容部18の収容時の温度)から20℃(蓄熱剤の融点)になるまでの熱を蓄熱可能であることが好ましい。このようにすると、内容器14の構造体に含まれる蓄熱材によって、融点以下に過冷却された蓄熱部材16の熱を適度に緩衝して、物品収容部20の過冷却を防止できる。
【0027】
保温保冷容器10は、物品収容部20を保冷する場合、内容器14の構造体に含まれる蓄熱材によって、物品収容部20の管理温度よりも低い温度まで過冷却された蓄熱部材16の熱を適度に緩衝して、物品収容部20の過剰な温度低下を防止できる。同様に、保温保冷容器10は、物品収容部20を保温する場合、内容器14の構造体に含まれる蓄熱材によって、物品収容部20の管理温度よりも高い温度まで過熱された蓄熱部材16の熱を適度に緩衝して、物品収容部20の過剰な温度上昇を防止できる。従って、保温保冷容器10によれば、物品収容部20に収容した物品の過冷却や過熱を防止できる。保温保冷容器10は、例えば薬品やワインなどの飲料や生鮮食品など、繊細な温度管理が必要な物品の保管や搬送などの用途に適している。
【0028】
(試験)
外容器の内側に内容器を配置した保温保冷容器を作成し、内容器の物品収容部に収容した物品の温度変化を測定した。なお、温度測定試験では、物品の管理温度の下限を15℃に設定すると共に、管理温度の上限を25℃に設定している。試験例1~3の外容器は、幅275mm、奥行き205mm、高さ165mm、板厚30mmの箱状であり、試験例1~3で共通して用いている。試験例1の内容器は、段落[0022]に記載の固形蓄熱材によって、幅200mm、奥行き100mm、高さ80mm、板厚15mmの箱を形成している。試験例2の内容器は、発泡スチロール製の板材によって、幅200mm、奥行き100mm、高さ80mm、板厚15mmの箱を形成している。試験例3の内容器は、ポリプロピレン(PP)製の板材によって、幅200mm、奥行き100mm、高さ80mm、板厚15mmの箱を形成している。試験例1~3の外容器は、温度測定試験前に、23℃(室温)で12時間放置している。試験例1~3の内容器は、温度測定試験前に、30℃で12時間放置した後に、恒温槽において23℃で30分保持している。物品は、30gの水を入れたガラス瓶であり、温度測定試験前に、恒温槽において23℃で30分保持している。蓄熱部材((株)イノアックコーポレーション製、型番HAH-500+20)は、温度測定試験前に、5℃で24時間保持したものである。温度測定試験は、試験例1~3のそれぞれについて、3枚の蓄熱部材を外容器と内容器との間に収容した後に、35℃の環境に24時間以上置いて、物品(ガラス瓶内の水)の温度変化を測定した。その結果を図5に示す。
【0029】
図5に示すように、固形蓄熱材で内容器が構成された試験例1は、蓄熱部材を入れて試験を開始した初期段階において、試験例2及び試験例3と比べて、物品の温度低下が抑えられていることが判る。このように、固形蓄熱材で内容器が構成された試験例1によれば、過冷却された蓄熱部材の熱を内容器で緩衝して、物品の過冷却を防止できることが確認できる。
【符号の説明】
【0030】
10 保温保冷容器,12 外容器,14 内容器,16 蓄熱部材,
18 蓄熱部材収容部,20 物品収容部,24 外蓋,28 内蓋
図1
図2
図3
図4
図5