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特開2024-165434半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165434
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02208 20210101AFI20241121BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01S5/02208
H01L23/02 F
H01L23/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081640
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 明人
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC30
5F173MD04
5F173MD59
5F173ME02
5F173ME64
5F173ME76
5F173ME86
(57)【要約】
【課題】基板に対するキャップの傾きを抑制すること。
【解決手段】半導体発光装置10は、基板20と、基板20上に配置された端面発光素子60と、端面発光素子60を収容するキャップ70と、基板20上に設けられ、平面視において端面発光素子60を囲むように形成された接着パターン33と、キャップ70と接着パターン33のパターン表面33Sとを接着している第1接着剤51と、少なくとも接着パターン33を平面視において側方に貫通し、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通させる連通部90と、連通部90に埋められた第2接着剤52と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を収容するキャップと、
前記基板上に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲むように形成された接着パターンと、
前記キャップと前記接着パターンのパターン表面とを接着している第1接着剤と、
少なくとも前記接着パターンを前記厚さ方向から視て側方に貫通し、前記キャップの内部と前記キャップの外部とを連通させる連通部と、
前記連通部に埋められた第2接着剤と、
を備える、半導体発光装置。
【請求項2】
前記接着パターンは、所定の幅を有しかつ前記幅と直交する長さ方向に延びた枠状であり、
前記連通部は、前記接着パターンをその幅方向に貫通することによって前記接着パターンの長さ方向において分離している
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記連通部の開口寸法は、前記接着パターンの幅寸法以下である
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記連通部の開口寸法は、前記接着パターンの幅寸法よりも大きい
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記接着パターンは、互いに対向する第1周端部および第2周端部を含み、
前記連通部は、前記第1周端部および前記第2周端部の間の領域であり、
前記開口寸法は、前記第1周端部と前記第2周端部との間の距離である
請求項3または4に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記半導体発光素子は、平面視において前記厚さ方向と交差する側方に光を出射する端面発光素子であり、
前記厚さ方向から視て、前記接着パターンは矩形枠状に形成されており、
前記キャップは、前記厚さ方向から視て前記接着パターンの一辺と対応した位置に、前記端面発光素子から出射された光が通過する透光面を含み、
前記連通部は、前記接着パターンのうち前記透光面と対応する一辺とは異なる辺に設けられている
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記接着パターンは、前記厚さ方向から視て長手方向および短手方向を有する矩形枠状に形成されており、
前記キャップは、前記接着パターンと前記厚さ方向に対向する矩形枠状の側壁を含み、
前記透光面は、前記側壁のうち前記長手方向に延びた部分に形成されており、
前記連通部は、前記接着パターンのうち前記短手方向に延びた部分に設けられている
請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記接着パターンは、前記連通部を構成する第1周端部および第2周端部を含み、
前記第1周端部および前記第2周端部は、前記厚さ方向から視て、前記キャップからはみ出すはみ出しパターンを含む
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記はみ出しパターンの幅寸法は、前記接着パターンの幅寸法よりも小さい
請求項8に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記基板は、前記接着パターンが設けられた基板表面を有し、
前記第2接着剤は、前記基板表面に接している
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記第2接着剤は、前記第1接着剤の厚さよりも厚い厚接着部を含む
請求項10に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記厚接着部の厚さは、前記第1接着剤の厚さと前記接着パターンの厚さとの合計と等しい
請求項11に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記キャップは、枠状に形成され、開口端面を含む側壁を有し、
前記厚接着部は、前記開口端面と対向する位置において前記開口端面と接しており、
前記第2接着剤は、前記厚さ方向から視て、前記厚接着部から連続するとともに前記側壁からはみ出すはみ出し部を含む
請求項11または12に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
前記第2接着剤の種類は、前記第1接着剤の種類とは異なる
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項15】
前記第2接着剤は、前記第1接着剤よりも粘性が低い
請求項14に記載の半導体発光装置。
【請求項16】
前記第1接着剤および前記第2接着剤は、同じ種類の接着剤である
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項17】
基板表面を有する基板に半導体発光素子を配置する工程と、
前記基板に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲む接着パターンに第1接着剤を塗布する工程と、
キャップを前記第1接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程と、
前記第1接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程と、
を備え、
前記接着パターンに前記キャップを接着する工程において、少なくとも前記接着パターンを前記厚さ方向から視て側方に貫通し、前記キャップの内部と前記キャップの外部とを連通する連通部が設けられ、
前記第1接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程の後に実施され、前記連通部を第2接着剤で埋める工程を備える
半導体発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記接着パターンは、前記厚さ方向から視て、所定の幅を有しかつ前記幅と直交する長さ方向に延びた枠状であり、
前記連通部は、前記接着パターンをその幅方向に貫通し、前記接着パターンの長さ方向において分離しており、
前記接着パターンに前記第1接着剤を塗布する工程では、前記連通部には前記第1接着剤を塗布せず、前記接着パターンのパターン表面に前記第1接着剤を塗布する
請求項17に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項19】
前記接着パターンは、
前記厚さ方向から視て、第1方向において並んだ第1接着パターンおよび第2接着パターンと、
前記第1接着パターンと前記第2接着パターンとの前記第1方向の間に形成され、前記第1方向と直交する第2方向において互いに離隔するとともに前記第1方向において前記第1接着パターンと前記第2接着パターンとを連結する一対の連結部と、
を含み、
前記連通部は、
前記キャップとして前記第1接着パターンに接着される第1キャップの内部および前記第1キャップの外部を連通する第1連通部と、
前記キャップとして前記第2接着パターンに接着される第2キャップの内部および前記第2キャップの外部を連通する第2連通部と、
を含み、
前記接着パターンに前記第1接着剤を塗布する工程では、前記第1接着パターンおよび前記第2接着パターンのパターン表面に前記第1接着剤を塗布し、
前記半導体発光素子を収容する工程では、前記第1接着パターン上の前記第1接着剤上に前記第1キャップを配置し、前記第2接着パターン上の前記第1接着剤上に前記第2キャップを配置し、
前記接着パターンに前記キャップを接着する工程において、前記第1接着パターンと前記第1キャップとによって前記第1連通部が設けられ、前記第2接着パターンと前記第2キャップとによって前記第2連通部が設けられ、
前記連通部を前記第2接着剤で埋める工程では、前記一対の連結部の間の前記基板表面上に前記第2接着剤を滴下することによって前記第1連通部および前記第2連通部の双方が前記第2接着剤で埋められる
請求項17または18に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2方向に沿って前記第2接着剤、前記一対の連結部、および前記基板を切断する工程をさらに備える
請求項19に記載の半導体発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板上に配置された半導体発光素子と、基板上に設けられ、半導体発光素子を収容するキャップと、を備える半導体発光装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような半導体発光装置では、キャップは、例えば接着剤によって基板に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-174820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接着剤を硬化させるときにキャップが基板に対して傾く場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する半導体発光装置は、基板と、前記基板上に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子を収容するキャップと、前記基板上に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲むように形成された接着パターンと、前記キャップと前記接着パターンのパターン表面とを接着している第1接着剤と、少なくとも前記接着パターンを前記厚さ方向から視て側方に貫通し、前記キャップの内部と前記キャップの外部とを連通させる連通部と、前記連通部に埋められた第2接着剤と、を備える。
【0006】
上記課題を解決する半導体発光装置の製造方法は、基板表面を有する基板に半導体発光素子を配置する工程と、前記基板に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲む接着パターンに第1接着剤を塗布する工程と、キャップを前記第1接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程と、前記第1接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程と、を備え、前記接着パターンに前記キャップを接着する工程において、少なくとも前記接着パターンを前記厚さ方向から視て側方に貫通し、前記キャップの内部と前記キャップの外部とを連通する連通部が設けられ、前記第1接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程の後に実施され、前記連通部を第2接着剤で埋める工程を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法によれば、基板に対するキャップの傾きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の半導体発光装置の斜視図である。
図2図2は、図1の半導体発光装置の内部構造を示す概略平面図である。
図3図3は、図2のF3-F3線で半導体発光装置を切断した概略断面図である。
図4図4は、図2の接着パターンの一部を拡大した概略平面図である。
図5図5は、図1の半導体発光装置の側面構造の一部を拡大した概略側面図である。
図6図6は、図3の第2接着剤およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図7図7は、一実施形態の半導体発光装置の製造工程を示す平面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略平面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示し、図8のF9-F9線で切断した端面構造を示す概略端面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略端面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す概略端面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す概略端面図である。
図13図13は、図12に続く製造工程を示す概略平面図である。
図14図14は、変更例の半導体発光装置の内部構造を示す概略平面図である。
図15図15は、変更例の半導体発光装置の内部構造を示す概略平面図である。
図16図16は、変更例の半導体発光装置の内部構造を示す概略平面図である。
図17図17は、変更例の半導体発光装置の内部構造を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするため、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺に描かれていない。また、理解を容易にするため、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を制限することを意図しない。
【0011】
また以下の説明において、「A部品の幅(寸法)がB部品の幅(寸法)と等しい」、「A部品の長さ(寸法)がB部品の長さ(寸法)と等しい」、および「A部品の厚さ(寸法)がB部品の厚さ(寸法)と等しい」との記載は、A部品の幅(長さ、厚さ)寸法とB部品の幅(長さ、厚さ)寸法との差がA部品の幅(長さ、厚さ)寸法の10%以内であることを意味する。
【0012】
[半導体発光装置の全体構成]
図1図3を参照して、一実施形態の半導体発光装置10の全体構成について説明する。図1は、半導体発光装置10の斜視構造を示している。図2は、半導体発光装置10の内部の平面構造を模式的に示している。図3は、図2のF3-F3線で半導体発光装置10を切断した断面構造を示している。なお、図3では、図面の理解を容易にするため、後述するワイヤWを省略している。
【0013】
図1に示すように、半導体発光装置10は、矩形平板状の基板20と、基板20上に設けられた端面発光素子60(図2参照)と、基板20上に設けられ、端面発光素子60を収容するキャップ70と、を備える。ここで、基板20の厚さ方向を「Z方向」とする。Z方向は、半導体発光装置10の厚さ方向であるともいえる。Z方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向をそれぞれ「X方向」および「Y方向」とする。また、本明細書において、「平面視」とは、半導体発光装置10を基板20の厚さ方向(Z方向)から視ることをいう。図1の例では、基板20は、平面視において、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。
【0014】
基板20は、Z方向において互いに反対側を向く基板表面21および基板裏面22と、基板表面21および基板裏面22と交差する第1~第4基板側面23~26と、を有する。第1実施形態では、基板表面21および基板裏面22の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。一例では、第1~第4基板側面23~26は、基板表面21および基板裏面22と直交する平面である。第1基板側面23および第2基板側面24は基板20のX方向の両端面を構成し、第3基板側面25および第4基板側面26は基板20のY方向の両端面を構成している。
【0015】
一例では、基板20は、ガラスエポキシ樹脂によって形成されている。なお、基板20はセラミックを含む材料によって形成されていてもよい。セラミックを含む材料としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)またはアルミナ(Al)などが挙げられる。基板20がセラミックを含む材料によって形成されている場合、基板20の放熱性能が向上するため、端面発光素子60の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0016】
図2に示すように、端面発光素子60は、例えば所定の波長帯の光を出射するレーザダイオードであり、半導体発光装置10の光源として機能する。端面発光素子60は、端面発光型レーザ素子である。端面発光型レーザ素子としての端面発光素子60の構成は特に限定されないが、この実施形態では、ファブリ・ペロー型レーザダイオード素子が採用されている。一例では、端面発光素子60は、平面視において第4基板側面26に向けて光を出射するように構成されている。端面発光素子60は、「半導体発光素子」に対応している。また、端面発光素子60は、「半導体レーザ素子」に対応しているともいえる。
【0017】
半導体発光装置10は、基板20の基板表面21に形成された複数(図2の例では9つ)の表面電極30を備える。複数の表面電極30は、互いに離隔して配置されている。複数の表面電極30は、例えば銅箔と銅箔上に形成された金(Au)めっきによって形成されている。なお、複数の表面電極30の材料は、銅(Cu)およびAuに限られず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、および銀(Ag)のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0018】
複数の表面電極30は、素子表面電極31と、複数(図2の例では8つ)のワイヤ接続電極32と、を含む。素子表面電極31および複数のワイヤ接続電極32の各々は、端面発光素子60と電気的に接続される表面電極である。
【0019】
素子表面電極31は、Y方向において基板表面21の中央よりも第4基板側面26寄りに配置されている。素子表面電極31は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状である。一例では、素子表面電極31のX方向の寸法は、Y方向の寸法の2倍よりも大きく4倍よりも小さい。一例では、素子表面電極31のX方向の寸法は、基板表面21のX方向の寸法の1/2よりも大きい。
【0020】
素子表面電極31の周囲には、レジストパターン34が形成されている。レジストパターン34は、平面視においてX方向の両側およびY方向における第3基板側面25側から素子表面電極31を囲むU字状に形成されている。レジストパターン34は、例えば絶縁材料によって形成されている。絶縁材料としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
【0021】
複数のワイヤ接続電極32は、素子表面電極31を囲むように配置されている。より詳細には、複数のワイヤ接続電極32は、素子表面電極31のX方向の両側、および素子表面電極31よりも第3基板側面25寄りに配置されている。一方、ワイヤ接続電極32は、素子表面電極31よりも第4基板側面26寄りには配置されていない。複数のワイヤ接続電極32は、端面発光素子60を囲むように配置されているといえる。複数のワイヤ接続電極32の詳細については後述する。
【0022】
半導体発光装置10は、素子表面電極31上に実装されたサブマウント基板80を備える。一例では、サブマウント基板80は、素子表面電極31にダイボンディングされている。サブマウント基板80は、端面発光素子60を支持する基板であり、例えばセラミックを含む材料によって形成されている。セラミックを含む材料としては、例えばAlN、Alなどが挙げられる。サブマウント基板80がセラミックを含む材料によって形成されている場合、サブマウント基板80の放熱性能が向上するため、端面発光素子60の熱がサブマウント基板80を介して基板20に移動しやすくなる。したがって、端面発光素子60の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0023】
なお、サブマウント基板80を構成する材料は任意に変更可能である。サブマウント基板80は、例えば導電性および放熱性の高い金属材料によって形成されていてもよい。この金属材料としては、例えばAg、Cu等が用いられてよい。一例では、サブマウント基板80は、矩形平板状のCuによって形成されていてよい。また一例では、サブマウント基板80は、シリコン(Si)を含む材料によって形成されていてよい。
【0024】
図2および図3に示すように、サブマウント基板80は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。一例では、サブマウント基板80は、平面視においてX方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。一例では、平面視において、サブマウント基板80は、素子表面電極31よりも一回り小さい。
【0025】
図3に示すように、サブマウント基板80の厚さは、基板20の厚さよりも厚い。なお、サブマウント基板80の厚さは任意に変更可能であり、例えば基板20の厚さ以下であってもよい。
【0026】
サブマウント基板80は、Z方向において互いに反対側を向く表面81および裏面82を有する。図3の例では、表面81および裏面82の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。表面81は基板表面21と同じ側を向き、裏面82は基板裏面22と同じ側を向く。サブマウント基板80の表面81には、端面発光素子60が実装されている。一例では、端面発光素子60は、サブマウント基板80の表面81にダイボンディングされている。
【0027】
サブマウント基板80には、その厚さ方向に貫通する貫通配線83が設けられている。貫通配線83は、端面発光素子60と素子表面電極31とを電気的に接続する配線である。貫通配線83は、例えばCuを含む材料によって形成されている。なお、貫通配線83の構成材料は、Cuに限られず、チタン(Ti)、タングステン(W)、およびAlの少なくとも1つを含んでいてもよい。なお、貫通配線83の個数は任意に変更可能である。一例では、貫通配線83は複数設けられていてもよい。
【0028】
なお、サブマウント基板80がCu等の導電性の材料によって構成されている場合、貫通配線83を省略することができる。つまり、端面発光素子60と素子表面電極31とは、導電性のサブマウント基板80によって電気的に接続することができる。
【0029】
図2および図3に示すように、サブマウント基板80上に実装された端面発光素子60は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。端面発光素子60は、平面視において、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状である。一例では、平面視において、端面発光素子60は、サブマウント基板80よりも一回り小さい。
【0030】
端面発光素子60の厚さは、サブマウント基板80の厚さよりも薄い。また、端面発光素子60の厚さは、基板20の厚さよりも薄い。なお、端面発光素子60の厚さは任意に変更可能であり、例えば基板20の厚さ以上であってもよいし、サブマウント基板80の厚さ以上であってもよい。
【0031】
端面発光素子60は、Z方向において互いに反対側を向く素子表面61および素子裏面62を有する。図3の例では、素子表面61および素子裏面62の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。端面発光素子60は、素子表面61に形成された複数(図3の例では8つ)の素子電極63と、素子裏面62を構成する裏面電極64と、を含む。また、端面発光素子60は、複数の素子電極63ごとに発光部65(図2参照)を有する。平面視において、複数の素子電極63は、X方向に離隔して配列されている。このため、複数(図2の例では8つ)の発光部65は、X方向に配列されている。複数の発光部65の各々は、平面視において第4基板側面26に向けてレーザ光を出射するように構成されている。
【0032】
複数の素子電極63は、平面視においてY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状に形成されている。図3の例では、複数の素子電極63は、複数の発光部65の個別のアノード電極を構成している。裏面電極64は、例えば端面発光素子60の素子裏面62の全体にわたり形成されている。図3の例では、裏面電極64は、複数の発光部65に対して共通のカソード電極を構成している。複数の素子電極63および裏面電極64は、例えばAuによって形成されている。なお、複数の素子電極63および裏面電極64の構成材料は、Auに限られず、Al、Ni、Pd、Ag、およびCuのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0033】
端面発光素子60は、図示していない導電性接合材によってサブマウント基板80に実装されている。このため、裏面電極64は、導電性接合材によってサブマウント基板80(貫通配線83)と電気的に接続されている。裏面電極64は、貫通配線83を介して素子表面電極31と電気的に接続されている。なお、導電性接合材としては、例えばはんだペースト、銀ペーストが挙げられる。
【0034】
図2に示すように、半導体発光装置10は、複数の発光部65と複数のワイヤ接続電極32とを個別に電気的に接続する複数のワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bを備える。複数のワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bは、例えばボンディングワイヤである。複数のワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bは、例えばAuを含む材料によって形成されている。複数のワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bは、Auに代えて、Cu、Ag、Alの少なくとも1つを含む材料によって形成されていてもよい。
【0035】
図3に示すように、半導体発光装置10は、基板20の基板裏面22に形成された複数(一例では9つ)の裏面電極40を備える。複数の裏面電極40は、互いに離隔し配置されている。複数の裏面電極40の数は、例えば複数の表面電極30(図2参照)の数に応じて設定される。複数の裏面電極40は、例えば銅箔と銅箔上に形成されたAuめっきによって形成されている。なお、複数の裏面電極40の構成材料は、Auに限られず、Al、Ni、Pd、およびAgのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0036】
図示していないが、複数の裏面電極40は、素子裏面電極と、複数(一例では8つ)のワイヤ裏面電極と、を含む。素子裏面電極は、素子表面電極31と電気的に接続されている。複数のワイヤ裏面電極は、基板表面21に形成された複数のワイヤ接続電極32(図2参照)と個別に電気的に接続されている。図示していないが、複数の裏面電極40と複数の表面電極30とは、複数の貫通配線によって個別に電気的に接続されている。各貫通配線は、基板20をその厚さ方向(Z方向)に貫通している。
【0037】
図2に示すように、半導体発光装置10は、基板表面21に形成された接着パターン33を備える。接着パターン33は、基板表面21と同じ側を向くパターン表面33Sを含む。一例では、接着パターン33は、所定の幅を有しかつこの幅と直交する長さ方向に延びた枠状である。接着パターン33は、平面視において、複数の表面電極30を囲む枠状に形成されている。一例では、接着パターン33は、矩形枠状に形成されている。図2の例では、接着パターン33は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形枠状である。一例では、接着パターン33の外周縁は、基板20の外周縁よりも一回り小さい。一例では、接着パターン33は、全周にわたり同じの幅寸法WAを有する。ここで、接着パターン33の幅寸法WAは、平面視において接着パターン33が延びる方向(長さ方向)と直交する方向の寸法である。接着パターン33の厚さ寸法は、例えば50μm以上100μm以下である。接着パターン33の幅寸法WAは、例えば50μm以上500μm以下である。
【0038】
接着パターン33は、例えば金属層によって形成されている。一例では、接着パターン33は、複数の表面電極30と同じ材料によって形成されている。なお、接着パターン33は、複数の表面電極30とは異なる材料によって形成されていてもよい。一例では、接着パターン33は、絶縁層によって形成されていてもよい。接着パターン33は、例えばレジストパターン34と同じ材料によって形成されていてもよい。
【0039】
このように、接着パターン33は、金属層または絶縁層によって形成されているため、基板表面21からZ方向に僅かに突出して設けられている。一例では、接着パターン33の厚さは、例えば複数の表面電極30の厚さと等しい。なお、接着パターン33の厚さは任意に変更可能であり、例えば複数の表面電極30の厚さよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0040】
接着パターン33のパターン表面33Sは、例えばZ方向に直交する平坦面によって形成されている。接着パターン33のパターン表面33Sには、第1接着剤51(図3参照)が塗布されている。平面視において、第1接着剤51は、例えば接着パターン33の全周にわたり形成されている。接着パターン33が第1接着剤51の濡れ広がりを抑制するため、第1接着剤51が接着パターン33からはみ出すことを抑制できる。
【0041】
図3に示すように、接着パターン33上には、第1接着剤51によってキャップ70が固定されている。このため、キャップ70は、基板20上に設けられているともいえる。キャップ70は、基板20に向けてZ方向に開口する箱状に形成されている。一例では、キャップ70は、ガラス材料によって形成されている。なお、キャップ70は、ガラス材料に代えて、樹脂材料によって形成されていてもよい。この樹脂材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。また、キャップ70は、金属およびセラミックのいずれかによって形成されていてもよい。金属としては、例えばAl、鉄(Fe)、およびCu等が挙げられる。セラミックとしては、例えばAlN、Al等が挙げられる。
【0042】
図1に示すように、キャップ70は、平面視において矩形枠状に形成された第1~第4側壁71~74と、第1~第4側壁71~74によって形成された開口部のZ方向の一端を覆う上壁75と、を有する。一例では、第1~第4側壁71~74と上壁75とは一体に形成されている。第1側壁71および第2側壁72はキャップ70のX方向の両端の側壁を構成し、第3側壁73および第4側壁74はキャップ70のY方向の両端の側壁を構成している。第1側壁71はキャップ70のX方向の両端の側壁のうち基板20の第1基板側面23に近い方の側壁を構成し、第2側壁72は基板20の第2基板側面24に近い方の側壁を構成している。第3側壁73はキャップ70のY方向の両端の側壁のうち基板20の第3基板側面25に近い方の側壁を構成し、第4側壁74は基板20の第4基板側面26に近い方の側壁を構成している。第1~第4側壁71~74は、接着パターン33とZ方向に対向している。平面視における第1~第4側壁71~74は、平面視における接着パターン33の形状と同じである。このため、平面視における第1~第4側壁71~74の形状は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状である。平面視においてY方向に沿って延びる第1側壁71および第2側壁72は、第1~第4側壁71~74のうち短手方向に延びた部分を構成している。平面視においてX方向に沿って延びる第3側壁73および第4側壁74は、第1~第4側壁71~74のうち長手方向に延びた部分を構成している。
【0043】
図3に示すように、キャップ70は、開口端面76を含む。開口端面76は、第1~第4側壁71~74の先端面によって形成されている。開口端面76は、例えばZ方向に直交する方向に平行な平坦面によって形成されている。
【0044】
一例では、キャップ70がガラス材料または樹脂材料によって形成されている場合、第1~第3側壁71~73および上壁75は半透明に形成され、第4側壁74は透明に形成されている。端面発光素子60が出射したレーザ光は、第4側壁74を通過して半導体発光装置10の外部に出射される。つまり、第4側壁74は、端面発光素子60からのレーザ光が通過する透光面を含む。ここで、第4側壁74が接着パターン33の一部とZ方向に対向しているため、キャップ70は、平面視において接着パターン33と対応した位置に透光面を含むといえる。そして第4側壁74が第1~第4側壁71~74のうち長手方向に延びた部分を構成しているため、透光面は、第1~第4側壁71~74のうち長手方向に延びた部分に形成されているといえる。
【0045】
また一例では、キャップ70が金属またはセラミックで形成されている場合、第4側壁74には開口部と、開口部を閉塞するとともに端面発光素子60のレーザ光が通過可能とする窓部材と、が設けられている。これにより、第4側壁74は透光面を含むといえる。
【0046】
[ワイヤ接続電極の構成]
図2を参照して、複数のワイヤ接続電極32の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、複数のワイヤ接続電極32は、平面視において基板20のX方向の中央であってY方向に沿って延びる中心仮想線VLに対して線対称となるように形成されている。以下では、複数のワイヤ接続電極32のうち中心仮想線VLよりも第1基板側面23寄りの4つのワイヤ接続電極32をワイヤ接続電極32AA,32AB,32AC,32ADとし、中心仮想線VLよりも第2基板側面24寄りの4つのワイヤ接続電極32をワイヤ接続電極32BA,32BB,32BC,32BDとする。ワイヤ接続電極32AA~32ADは、中心仮想線VLから離れる方向に向けて、すなわち中心仮想線VLから第1基板側面23に向けて、ワイヤ接続電極32AA,32AB,32AC,32ADの順に配列されている。ワイヤ接続電極32BA~32BDは、中心仮想線VLから離れる方向に向けて、すなわち中心仮想線VLから第2基板側面24に向けて、ワイヤ接続電極32BA,32BB,32BC,32BDの順に配列されている。
【0047】
ワイヤ接続電極32AA~32AC,32BA~32BCは、Y方向から視て、素子表面電極31と重なる位置に配置されている。ワイヤ接続電極32AD,32BDは、素子表面電極31のX方向の両側に分散して配置されている。
【0048】
ワイヤ接続電極32BA~32BDがワイヤ接続電極32AA~32ADと中心仮想線VLの線対称形状となるため、以下の説明では、ワイヤ接続電極32AA~32ADについて説明し、ワイヤ接続電極32BA~32BDの詳細な説明を省略する。
【0049】
ワイヤ接続電極32AA~32ACは、Y方向において互いに揃った状態でX方向において互いに離隔して配列されている。ワイヤ接続電極32AA~32ACのY方向の寸法は互いに等しい。
【0050】
ワイヤ接続電極32AAは、平面視においてY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状に形成されている。
ワイヤ接続電極32ABのX方向の両端部のうちワイヤ接続電極32ACに近い方の端部には、ワイヤ接続電極32AAに向けて凹む凹部32Eが形成されている。凹部32Eは、底面と、底面からY方向に向かうにつれてワイヤ接続電極32ACから離れるように傾斜する一対の傾斜面と、を含む。一例では、凹部32Eの底面は、平面視においてY方向に沿って延びている。一方、ワイヤ接続電極32ABのX方向の両端面のうちワイヤ接続電極32AAに近い方の端面は、平面視においてY方向に沿って延びている。なお、平面視における凹部32Eの底面の形状は任意に変更可能である。一例では、平面視における凹部32Eの底面の形状は、湾曲凹状に形成されていてもよい。
【0051】
ワイヤ接続電極32ACは、ワイヤ接続電極32ABの凹部32Eに入り込むように突出した突出部32Fと、ワイヤ接続電極32ADを避けるように切り欠かれた切欠部32Gと、を含む。
【0052】
突出部32Fは、X方向において凹部32Eの底面と対向する先端面と、平面視において凹部32Eの一対の傾斜面と平行となる一対の傾斜面と、を含む。突出部32Fの一対の傾斜面は、X方向において凹部32Eの一対の傾斜面と対向している。
【0053】
切欠部32Gは、ワイヤ接続電極32ACのうちX方向におけるワイヤ接続電極32ABとは反対側かつY方向における素子表面電極31寄りの部分に形成されている。切欠部32Gは、X方向から視て、突出部32Fと重なる部分を含む。このため、切欠部32Gが形成されても突出部32Fによってワイヤ接続電極32ACのX方向の寸法が過度に小さくなることが抑制される。
【0054】
ワイヤ接続電極32ADは、Y方向に沿って延びている。ワイヤ接続電極32ADのY方向の寸法は、素子表面電極31のY方向の寸法よりも大きい。Y方向において、ワイヤ接続電極32ADのうち素子表面電極31よりも第3基板側面25寄りに突出した部分は、ワイヤ接続電極32ACの切欠部32Gに入り込んでいる。この切欠部32Gに入り込んだワイヤ接続電極32ACの部分の先端部は、切欠部32Gの形状に沿って先細るように形成されている。
【0055】
次に、ワイヤ接続電極32AA~32ADと複数の発光部65との配置関係について説明する。
複数の発光部65は、ワイヤ接続電極32AA~32ADに対応する発光部65AA~65ADと、ワイヤ接続電極32BA~32BDに対応する発光部65BA~65BDと、を含む。発光部65AA~65ADは、Y方向において互いに同じ位置であってX方向において互いに離隔して配列されている。発光部65AA~65ADは、中心仮想線VLから離れる方向に向けて、すなわち中心仮想線VLから第1基板側面23に向けて、発光部65AA,65AB,65AC,65ADの順に配列されている。また、発光部65BA~65ADは、中心仮想線VLから離れる方向に向けて、すなわち中心仮想線VLから第2基板側面24に向けて、発光部65BA,65BB,65BC,65BDの順に配列されている。
【0056】
ワイヤ接続電極32AAは、平面視において発光部65AA,65ABとY方向に重なるように形成されている。
ワイヤ接続電極32ABは、平面視において発光部65ABよりも第1基板側面23寄りに配置されている。ワイヤ接続電極32ABは、平面視において発光部65AC,65ADとY方向に重なるように形成されている。
【0057】
ワイヤ接続電極32ACは、平面視において発光部65ACよりも第1基板側面23寄りに配置されている。ワイヤ接続電極32ACは、平面視において発光部65ADよりも第1基板側面23寄りに配置されている。
【0058】
ワイヤ接続電極32ADは、平面視において発光部65ADよりも第1基板側面23寄りに配置されている。ワイヤ接続電極32ADは、平面視において発光部65ADとX方向に対向配置されている。
【0059】
次に、端面発光素子60の複数の発光部65とワイヤ接続電極32AA~32ADとの複数のワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bによる接続構成について説明する。
発光部65AAとワイヤ接続電極32AAとを接続するワイヤW1Aは、例えばワイヤ接続電極32AAのうちそのY方向の中央に対して発光部65AAとは反対側の部分に接続されている。
【0060】
発光部65ABとワイヤ接続電極32ABとを接続するワイヤW2Aは、Y方向において例えばワイヤ接続電極32ABのうち凹部32Eの底面に対して発光部65ABとは反対側の部分に接続されている。
【0061】
発光部65ACとワイヤ接続電極32ACとを接続するワイヤW3Aは、Y方向において例えばワイヤ接続電極32ACのうち突出部32Fの先端面と概ね同じ位置の部分に接続されている。
【0062】
発光部65ADとワイヤ接続電極32ADとを接続するワイヤW4Aは、例えば平面視においてX方向に延びている。このように、平面視におけるワイヤW1A~W4Aの長さのばらつきが小さくなるように、ワイヤW1A~W4Aがワイヤ接続電極32AA~32ADに接続されている。
【0063】
なお、発光部65BAとワイヤ接続電極32BAとを接続するワイヤW1B、発光部65BBとワイヤ接続電極32BBとを接続するワイヤW2B、発光部65BCとワイヤ接続電極32BCとを接続するワイヤW3B、および発光部65BDとワイヤ接続電極32BDとを接続するワイヤW4Bについても、ワイヤW1A~W4Aと同様にワイヤ接続電極32BA~32BDに接続されている。
【0064】
[接着パターンの構成]
図2図5を参照して、接着パターン33の詳細な構成について説明する。
平面視において矩形枠状に形成された接着パターン33は、X方向に互いに離隔して配列された第1パターン35および第2パターン36と、Y方向に互いに離隔して配列された第3パターン37および第4パターン38と、を含む。第1パターン35および第2パターン36の双方は、Y方向に延びる帯状に形成されている。第3パターン37および第4パターン38の双方は、X方向に延びる帯状に形成されている。第1パターン35および第2パターン36のY方向の両端部に第3パターン37および第4パターン38が接続されることによって矩形枠状の接着パターン33が形成されている。
【0065】
第1パターン35は、平面視において第1基板側面23とX方向に隣り合う位置に形成されている。第2パターン36は、平面視において第2基板側面24と隣り合う位置に形成されている。第1パターン35は、平面視においてワイヤ接続電極32AC,32ADと隣り合う位置に形成されている。第2パターン36は、平面視においてワイヤ接続電極32BC,32BDと隣り合う位置に形成されている。
【0066】
第3パターン37は、平面視において第3基板側面25とY方向に隣り合う位置に形成されている。第4パターン38は、平面視において第4基板側面26とY方向に隣り合う位置に形成されている。第3パターン37は、平面視においてワイヤ接続電極32AA~32AC,32BA~32BCとY方向に隣り合う位置に形成されている。第4パターン38は、素子表面電極31およびワイヤ接続電極32AD,32BDとY方向に隣り合う位置に配置されている。このため、平面視において、端面発光素子60は、Y方向において第4パターン38と隣り合う位置に配置されているといえる。
【0067】
図2に示す例では、第3パターン37および第4パターン38の双方の長さ寸法(X方向の寸法)は、第1パターン35および第2パターン36の双方の長さ寸法(X方向の寸法)よりも長い。つまり、第1パターン35および第2パターン36の双方は接着パターン33のうち短手方向に延びた部分を構成しており、第3パターン37および第4パターン38の双方は接着パターン33のうち長手方向に延びた部分を構成している。
【0068】
図4は、第1パターン35の一部およびその周辺を拡大して示している。
図4に示すように、接着パターン33は、その幅方向(図4の例ではX方向)に貫通することによって接着パターン33の長さ方向(図4の例ではY方向)において分離された部分を含む。より詳細には、第1パターン35は、Y方向において物理的に分離した第1分離パターン35Aおよび第2分離パターン35Bを含む。
【0069】
第1分離パターン35Aは、第1パターン35のうち第3パターン37(図2参照)に接続された部分である。第2分離パターン35Bは、第1パターン35のうち第4パターン38(図2参照)に接続された部分である。第1分離パターン35Aおよび第2分離パターン35Bの双方は、Y方向に延びている。
【0070】
一例では、第1分離パターン35Aの長さ寸法(Y方向の寸法)と第2分離パターン35Bの長さ寸法(Y方向の寸法)とは互いに等しい。つまり、第1分離パターン35Aおよび第2分離パターン35Bは、第1パターン35のY方向の中央で分離している。
【0071】
第1分離パターン35Aの先端部および第2分離パターン35Bの先端部は、Y方向において互いに離隔した状態で対向している。このため、第1分離パターン35Aの先端部および第2分離パターン35Bの先端部は、接着パターン33の両周端部を構成しているといえる。つまり、接着パターン33は、互いに対向する第1周端部33Aおよび第2周端部33Bを含む。第1周端部33Aは、第1分離パターン35Aの先端部によって構成されている。第2周端部33Bは、第2分離パターン35Bの先端部によって構成されている。
【0072】
第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、平面視においてキャップ70からはみ出すはみ出しパターン33AA,33BAを含む。
第1周端部33Aのはみ出しパターン33AAは、平面視において第1周端部33Aから第1基板側面23に向けてY方向に沿って延びている。はみ出しパターン33AAは、第1周端部33Aから基板20の第1基板側面23まで延びている。第2周端部33Bのはみ出しパターン33BAは、平面視において第2周端部33Bから第1基板側面23に向けてY方向に沿って延びている。はみ出しパターン33BAは、第2周端部33Bから第1基板側面23まで延びている。平面視において、2つのはみ出しパターン33AA,33BAは互いに平行である。
【0073】
図4の例では、2つのはみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、接着パターン33の幅寸法WAよりも小さい。はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、互いに等しい。はみ出しパターン33AA,33BAの長さ寸法LP,LQは、接着パターン33の幅寸法WAよりも小さい。なお、はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQおよび長さ寸法LP,LQはそれぞれ任意に変更可能である。
【0074】
ここで、はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、平面視においてはみ出しパターン33AA,33BAが延びる方向と直交する方向の寸法である。図4に示す例では、幅寸法WP,WQは、はみ出しパターン33AA,33BAのY方向の寸法である。また、はみ出しパターン33AA,33BAの長さ寸法LP,LQは、平面視においてはみ出しパターン33AA,33BAが延びる方向の寸法である。図4に示す例では、長さ寸法LP,LQは、はみ出しパターン33AA,33BAのX方向の寸法である。長さ寸法LP,LQは、平面視における第1分離パターン35A(第2分離パターン35B)と第1基板側面23とのX方向の間の距離として定義できる。
【0075】
X方向において第1周端部33Aのうちはみ出しパターン33AAとは反対側のコーナ部分には、曲面部33Cが形成されている。X方向において第2周端部33Bのうちはみ出しパターン33BAとは反対側のコーナ部分には、曲面部33Dが形成されている。なお、曲面部33C,33Dに代えて傾斜部が形成されていてもよい。また、曲面部33C,33Dが省略されていてもよい。
【0076】
平面視において、第1周端部33Aと第2周端部33BとのY方向の間の部分は、接着パターン33(第1パターン35)が形成されていないため、基板20の基板表面21が露出している。基板表面21が露出した部分となる第1周端部33Aと第2周端部33Bとの間のY方向の間の距離(以下、「離間距離D」)は、例えば第1パターン35とワイヤ接続電極32ADとのX方向の間の距離よりも大きい。離間距離Dは、例えば接着パターン33の厚さ寸法よりも大きい。離間距離Dは、例えばはみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQよりも大きい。離間距離Dは、例えばはみ出しパターン33AA,33BAの長さ寸法LP,LQよりも大きい。離間距離Dは、例えば接着パターン33の幅寸法WA以下である。一例では、離間距離Dは、接着パターン33の幅寸法WAよりも小さい。一例では、離間距離Dは、接着パターン33の厚さ寸法よりも大きい。一例では、離間距離Dは、50μm以上500μm以下であってよい。なお、離間距離Dの大きさは任意に変更可能である。
【0077】
[半導体発光装置の側面構造]
図5は、第1接着剤51によって接着パターン33にキャップ70が接着された状態において、キャップ70の第1側壁71から視た側面構造を示している。なお、図5では、後述する第2接着剤52が省略された状態の側面構造を示している。
【0078】
図5に示すように、半導体発光装置10は、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通させる連通部90を備える。連通部90は、少なくとも接着パターン33を平面視で側方に貫通している。つまり、連通部90は、少なくとも接着パターン33を平面視で側方に貫通している貫通孔であるといえる。
【0079】
連通部90は、接着パターン33をその幅方向に貫通し、接着パターン33の長さ方向において分離している。この実施形態では、連通部90は、接着パターン33のうち第1パターン35に設けられている。このため、連通部90は、第1パターン35をその幅方向であるX方向に貫通し、第1パターン35の長さ方向であるY方向において分離している。より詳細には、接着パターン33の第1周端部33Aと第2周端部33BとがY方向に離隔し、かつY方向に対向配置されていることによって、平面視において接着パターン33が側方に貫通しているといえる。ここで、この実施形態において側方とは、第1パターン35の幅方向であり、具体的にはX方向となる。このように、第1パターン35は接着パターン33のうち短手方向に延びた部分を構成するため、連通部90は、接着パターン33のうち短手方向に延びた部分に設けられているといえる。
【0080】
キャップ70のうち第1パターン35と対向する側壁は第1側壁71となる。キャップ70の透光面は第4側壁74によって構成されているため、第1側壁71は、透光面とは異なる。つまり、連通部90は、キャップ70のうち透光面とは異なる側壁(この実施形態では第1側壁71)に設けられている。換言すると、連通部90は、接着パターン33のうち透光面と対応する部分とは異なる部分に設けられている。
【0081】
一例では、第1接着剤51は、例えば第1周端部33Aおよび第2周端部33Bにおいて互いに離隔している。つまり、第1接着剤51は、例えばY方向に分離している。このように、連通部90は、接着パターン33の第1周端部33Aと第2周端部33BとのY方向の間の基板表面21と、この基板表面21とZ方向に対向配置されたキャップ70の第1側壁71の開口端面76と、第1周端部33Aおよび第2周端部33Bと、第1周端部33Aおよび第2周端部33B上に設けられ、Y方向に離隔している第1接着剤51とによって構成されている。
【0082】
連通部90の開口寸法HWは、X方向から視て、連通部90の幅方向の寸法であり、この実施形態では、接着パターン33の第1周端部33Aと第2周端部33BとのY方向の間の距離によって定義できる。つまり、連通部90の開口寸法HWは、第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの離間距離Dと等しくなる。このため、平面視において、連通部90は、第1周端部33Aと第2周端部33BとのY方向の間の領域であるといえる。また、連通部90の開口寸法HWは、この実施形態では、接着パターン33の幅寸法WA(図2参照)よりも小さい。
【0083】
連通部90の開口厚さ寸法HTは、基板20の基板表面21と第1側壁71における開口端面76とのZ方向の間の距離によって定義できる。このため、連通部90の開口厚さ寸法HTは、接着パターン33の厚さ寸法よりも大きい。より詳細には、連通部90の開口厚さ寸法HTは、接着パターン33の厚さ寸法と第1接着剤51の厚さ寸法との合計と等しい。この実施形態では、連通部90の開口厚さ寸法HTは、開口寸法HWよりも小さい。なお、連通部90の開口寸法HWおよび開口厚さ寸法HTの各々は任意に変更可能である。
【0084】
図6は、図3に示す半導体発光装置10の断面構造のうちキャップ70の第1側壁71およびその周辺を拡大している。
図6に示すように、連通部90には、第2接着剤52が充填されている。このため、連通部90は、第2接着剤52によって埋められているといえる。つまり、第1接着剤51および第2接着剤52、接着パターン33、およびキャップ70によって密閉空間S(図3参照)を形成している。一例では、第2接着剤52は、第1接着剤51とは異なる種類の接着剤が用いられてよい。この場合、第2接着剤52は、例えば第1接着剤51よりも粘性が低い接着剤が用いられてよい。
【0085】
第2接着剤52は、連通部90を構成する基板20の基板表面21と接している。第2接着剤52は、第1接着剤51の厚さよりも厚い厚接着部52Aを含む。厚接着部52Aは、連通部90を埋める部分である。つまり、厚接着部52Aは、基板表面21とこの基板表面21と対向する第1側壁71の開口端面76とを接着する部分である。このため、厚接着部52Aの厚さ寸法は、連通部90の開口厚さ寸法HTと等しい。したがって、厚接着部52Aの厚さ寸法は、第1接着剤51の厚さよりも厚い。また、厚接着部52Aの幅寸法は、連通部90の開口寸法HW(図5参照)と等しい。このため、厚接着部52Aの幅寸法は、接着パターン33の幅寸法WA(図2参照)よりも小さい。
【0086】
第2接着剤52は、平面視において、厚接着部52Aから連続するとともにキャップ70の第1側壁71からはみ出すはみ出し部52Bを含む。はみ出し部52Bは、例えば接着パターン33のはみ出しパターン33AA,33BA(図4参照)のY方向の間に形成されている。一例では、はみ出し部52BのX方向の寸法は、はみ出しパターン33AA,33BAのX方向の寸法と等しい。はみ出し部52Bは、その厚さが例えば第1側壁71からX方向に離れるにつれて薄くなるように形成されている。平面視において、はみ出し部52Bは、X方向における第1側壁71から第1基板側面23までにわたり形成されている。
【0087】
[半導体発光装置の製造方法]
図7図13を参照して、半導体発光装置10の製造方法の一例について説明する。
図7図8、および図13は、基板820の平面構造を示している。図9図12は、基板820をXZ平面で切断した端面構造を示している。なお、図9図12では、図面を容易に理解するため、ワイヤWを省略している。
【0088】
図7および図8に示すように、半導体発光装置10の製造方法は、基板820を用意する工程と、基板820にサブマウント基板80を配置する工程と、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程と、ワイヤW1A~W4A,W1B~W4B(図2参照)を形成する工程と、を主に備える。なお、以下の説明において、ワイヤW1A~W4A,W1B~W4Bを単に「ワイヤW」と称する。
【0089】
図7は、基板820を用意する工程において、基板820の平面構造を示している。
図7に示すように、基板820を用意する工程では、基板表面821および基板表面821とは反対側の基板裏面822(図9参照)を有する基板820を用意する。基板820の基板表面821には複数の表面電極30、接着パターン833A~833D、およびレジストパターンが形成されている。基板裏面822には、複数の裏面電極40(図3参照)が形成されている。一例では、基板820は、4つの半導体発光装置10が形成されるように構成されている。このため、基板820には、4つの接着パターン833A~833Dが形成されている。
【0090】
各接着パターン833A~833Dは、平面視において、所定の幅を有しかつ幅と直交する長さ方向に延びた枠状である。一例では、平面視において、各接着パターン833A~833Dは、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形枠状に形成されている。
【0091】
接着パターン833Aおよび接着パターン833Bは、X方向に並んでいる。接着パターン833Cおよび接着パターン833Dは、X方向に並んでいる。接着パターン833A,833Bと接着パターン833C,833Dとは、Y方向に並んでいる。より詳細には、接着パターン833Aおよび接着パターン833Cは、Y方向に並んでいる。接着パターン833Bおよび接着パターン833Dは、Y方向に並んでいる。ここで、接着パターン833A,833Cは「第1接着パターン」に対応し、接着パターン833B,833Dは「第2接着パターン」に対応している。また、X方向は「第1方向」に対応し、Y方向は「第2方向」に対応している。Z方向は「基板820の厚さ方向」に対応している。このため、平面視とは「基板820の厚さ方向から視て」を意味する。
【0092】
ここで、X方向に並んだ接着パターン833A,833Bは、互いに連結されている。より詳細には、接着パターン833A,833Bは、接着パターン833Aと接着パターン833Bとの間に形成され、Y方向に離間して配列された一対の連結部839を含む。一対の連結部839は、X方向において接着パターン833Aと接着パターン833Bとを連結している。各連結部839は、X方向に延びている。各連結部839の幅寸法は、接着パターン833A,833Bの幅寸法よりも小さい。ここで、各連結部839の幅寸法は、平面視において各連結部839が延びる方向と直交する方向の寸法である。この実施形態では、各連結部839の幅寸法は、各連結部839のY方向の寸法である。また、接着パターン833A,833Bの幅寸法は、接着パターン33の幅寸法WA(図2参照)と同じである。
【0093】
一対の連結部839は、接着パターン833A,833Bのうち短手方向に延びた部分に形成されている。この部分は、一対の連結部839によってY方向に分離されている。一対の連結部839のY方向の間の部分は、基板820の基板表面821が露出している。このように、接着パターン833A,833Bは、短手方向に延びた部分において側方に貫通する部分を含む。一例では、各連結部839の長さ寸法(X方向の寸法)は、一対の連結部839の間のY方向の寸法よりも大きい。つまり、接着パターン833Aの第1パターン35と接着パターン833Bの第2パターン36とのX方向の間の距離は、一対の連結部839の間のY方向の寸法よりも大きい。
【0094】
なお、接着パターン833A,833Bはそれぞれ、図2に示す接着パターン33に対応するものである。したがって、接着パターン833A,833Bはそれぞれ、第1~第4パターン35~38を含む。このため、一対の連結部839は、接着パターン833Aの第1パターン35と、接着パターン833Bの第2パターン36とを連結するように形成されているといえる。そして、接着パターン833Bの第2パターン36は、図2に示す第1パターン35と同様に第1分離パターン36Aおよび第2分離パターン36Bを含むといえる。
【0095】
なお、X方向に隣り合う接着パターン833C,833Dも同様に互いに接続されている。接着パターン833C,833Dの接続構造は、接着パターン833A,833Bと同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0096】
図8に示すように、基板820にサブマウント基板80を配置する工程では、まず各素子表面電極31上に第1導電性接合材(図示略)を塗布する。続いて、第1導電性接合材上にサブマウント基板80を配置する。つまり、この工程は、各素子表面電極31上にサブマウント基板80をダイボンディングしている。第1導電性接合材は、ダイボンディング材であり、例えばはんだペーストおよび銀ペーストのいずれかが用いられる。
【0097】
次に、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程では、まず各サブマウント基板80の表面81に第2導電性接合材を塗布する。続いて、第2導電性接合材上に端面発光素子60を配置する。つまり、この工程は、サブマウント基板80上に端面発光素子60をダイボンディングしている。第2導電性接合材は、ダイボンディング材であり、例えばはんだペーストおよび銀ペーストのいずれかが用いられる。なお、第1導電性接合材および第2導電性接合材は、互いに同じ材料が用いられてもよいし、互いに異なる材料が用いられてもよい。このように、端面発光素子60は、基板820において各接着パターン833A~833Dの枠内に配置されている。換言すると、平面視において、各接着パターン833A~833Dは、対応する端面発光素子60を囲むように形成されている。
【0098】
この実施形態では、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置した後、第1導電性接合材および第2導電性接合材の双方を同時に固化させる。より詳細には、第1導電性接合材および第2導電性接合材を加熱した後、冷却することによって第1導電性接合材および第2導電性接合材の双方が固化する。これにより、第1導電性接合材が素子表面電極31とサブマウント基板80とを接合し、第2導電性接合材がサブマウント基板80と端面発光素子60とを接合する。なお、第1導電性接合材および第2導電性接合材は、個別に固化してもよい。一例では、基板820にサブマウント基板80を配置する工程において、第1導電性接合材を固化することによって素子表面電極31とサブマウント基板80とを接合する。その後、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程において、第2導電性接合材を固化することによってサブマウント基板80と端面発光素子60とを接合する。
【0099】
次に、ワイヤWを形成する工程では、ワイヤボンディング装置によって端面発光素子60の複数の素子電極63と複数のワイヤ接続電極32とを個別に接続するようにワイヤWを形成する。これにより、複数の素子電極63と複数のワイヤ接続電極32とが個別に電気的に接続される。
【0100】
図9図13に示すように、半導体発光装置10の製造方法は、各接着パターン833A~833Dに第1接着剤51を塗布する工程と、キャップ70を第1接着剤51上に配置して端面発光素子60を収容する工程と、第1接着剤51を硬化して各接着パターン833A~833Dにキャップ70を接着する工程と、連通部90を第2接着剤52で埋める工程と、第2接着剤52を硬化させる工程と、個片化する工程と、を主に備える。これらの工程は、例えばワイヤWを形成する工程の後に実施される。
【0101】
図9は、接着パターン833A,833Bに第1接着剤51を塗布する工程と、キャップ70を第1接着剤51上に配置して端面発光素子60を収容する工程とを示している。なお、図9は、図8のF9-F9線の端面構造を示している。
【0102】
図9に示すように、接着パターン833A,833Bに第1接着剤51を塗布する工程では、まず例えばディスペンサ装置を用いて、接着パターン833A,833Bのパターン表面833Sの全体にわたり第1接着剤51を塗布する。一例では、第1接着剤51は、熱硬化型接着剤が用いられる。なお、第1接着剤51は、例えば一対の連結部839(図7参照)のパターン表面には塗布されていない。なお、図示していないが、接着パターン833C,833Dのパターン表面833Sにも同様に第1接着剤51が塗布される。
【0103】
続いて、キャップ70を第1接着剤51上に配置して端面発光素子60を収容する工程では、接着パターン833A上の第1接着剤51上にキャップ70を配置し、接着パターン833B上の第1接着剤51上に別のキャップ70を配置する。ここで、接着パターン833Aに対応するキャップ70は「第1キャップ」に対応し、接着パターン833Bに対応する別のキャップ70は「第2キャップ」に対応している。
【0104】
接着パターン833A上の第1接着剤51上にキャップ70が配置された状態において、第1接着剤51および接着パターン833Aが一対の連結部839(図8参照)においてY方向に分離しているため、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通する連通部90が形成される。つまり、連通部90を介してキャップ70の内部空間は、キャップ70の外部と連通している。ここで、接着パターン833Aと、接着パターン833A上の第1接着剤51と、第1接着剤51上のキャップ70と、基板表面21とによって構成された連通部90は「第1連通部」に対応している。以下では、便宜上、接着パターン833Aに対応する連通部90を「第1連通部90A」とする。
【0105】
接着パターン833B上の第1接着剤51上にキャップ70が配置された状態において、第1接着剤51および接着パターン833Bが一対の連結部839においてY方向に分離しているため、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通する連通部90が形成される。つまり、連通部90を介してキャップ70の内部空間は、キャップ70の外部と連通している。ここで、接着パターン833Bと、接着パターン833B上の第1接着剤51と、第1接着剤51上のキャップ70と、基板表面21とによって構成された連通部90は「第2連通部」に対応している。以下では、便宜上、接着パターン833Bに対応する連通部90を「第2連通部90B」とする。
【0106】
接着パターン833Aと接着パターン833Bとを連結する一対の連結部839のY方向の間に第1連通部90Aおよび第2連通部90Bが形成されているため、第1連通部90Aと第2連通部90Bとは、Y方向において同じ位置に設けられている。また、第1連通部90Aの開口寸法および第2連通部90Bの開口寸法は互いに等しい。また、第1連通部90Aの開口厚さ寸法および第2連通部90Bの開口厚さ寸法は互いに等しい。ここで、第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの各々の開口寸法は、連通部90の開口寸法HW(図5参照)に対応している。また、第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの各々の開口厚さ寸法は、連通部90の開口厚さ寸法HT(図5参照)に対応している。
【0107】
このように、接着パターン833A,833Bの各々にキャップ70を接着する工程において、接着パターン833Aと、接着パターン833A上のキャップ70とによって第1連通部90Aが設けられ、接着パターン833Bと、接着パターン833B上のキャップ70とによって第2連通部90Bが設けられている。
【0108】
ここで、図8に示す接着パターン833Aの第1パターン35と接着パターン833Bの第2パターン36とのX方向の間の距離は、例えば第1連通部90Aの開口寸法および第2連通部90Bの開口寸法の双方よりも大きい。このため、接着パターン833Aに対応するキャップ70と接着パターン833Bに対応するキャップ70とのX方向の間の距離は、第1連通部90Aの開口寸法および第2連通部90Bの開口寸法の双方よりも大きい。
【0109】
なお、図示していないが、同様に、接着パターン833C,833Dの第1接着剤51上の各々にキャップ70を配置することによって端面発光素子60を収容している。これにより、接着パターン833C,833Dの各々にキャップ70を接着する工程において、接着パターン833Cと、接着パターン833C上のキャップ70とによって連通部90(第1連通部)が設けられ、接着パターン833Dと、接着パターン833D上のキャップ70とによって連通部(第2連通部)が設けられている。
【0110】
次に、図10に示すように、第1接着剤51を硬化して接着パターン833A,833Bの各々にキャップ70を接着する工程では、第1接着剤51を熱硬化させる。これにより、接着パターン833A,833Bの各々にキャップ70が接着される。
【0111】
第1接着剤51を熱硬化させる場合、例えば基板820を高温炉に収容させることによって基板820自体も加熱される。このとき、接着パターン833A,833Bに対応するキャップ70内の空気も加熱されることによって体積が膨張するが、第1連通部90Aおよび第2連通部90Bによってキャップ70内の膨張した空気はキャップ70の外部に移動できる。このため、接着パターン833A,833Bに対応するキャップ70の内部の圧力が過度に高くなることを抑制できる。また、接着パターン833A,833Bに塗布された第1接着剤51のアウトガスが、接着パターン833A,833Bに対応するキャップ70の内部に溜まろうとするが、第1連通部90Aおよび第2連通部90Bを介してキャップ70の外部に排出される。このため、接着パターン833A,833Bに対応するキャップ70の内部の圧力が過度に高くなることを抑制できる。なお、図示していないが、この工程では、第1接着剤51を硬化して接着パターン833C,833Dの各々にキャップ70を接着する。
【0112】
次に、図11に示すように、連通部90を第2接着剤52で埋める工程では、例えばディスペンサ装置を用いて、接着パターン833A,833Bを連結する一対の連結部839(図8参照)の間の基板820の基板表面821上に第2接着剤52を滴下する。このとき、第2接着剤52は、一対の連結部839によって、接着パターン833A,833Bの外周に沿ってY方向に移動しにくくなるので、一対の連結部839の間から第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの双方に入りやすい。これにより、第1連通部90Aと第2連通部90Bとの双方が第2接着剤52で埋められる。
【0113】
この実施形態で用いられたディスペンサ装置における第2接着剤52を一対の連結部839に滴下するためのノズルの口径は、例えば100μm程度である。このため、一対の連結部839のY方向の間の距離は、100μm以上であることが好ましい。ここで、一対の連結部839のY方向の間の距離は、第1連通部90Aの開口寸法および第2連通部90Bの開口寸法と等しい。第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの開口寸法は、連通部90の開口寸法HWに対応する。このため、この実施形態では、連通部90の開口寸法HWは、100μm以上であることが好ましい。なお、連通部90の開口寸法HWは、例えばディスペンサ装置のノズルの口径に応じて変更してもよい。
【0114】
なお、図示していないが、例えばディスペンサ装置を用いて、接着パターン833C,833Dを連結する一対の連結部839の間の基板820の基板表面821上にも第2接着剤52を滴下する。これにより、接着パターン833Cと、接着パターン833C上のキャップ70とによって形成された連通部90(第1連通部)と、接着パターン833Dと、接着パターン833D上のキャップ70とによって形成された連通部90(第2連通部)との双方が第2接着剤52で埋められる。
【0115】
ここで、第2接着剤52は、例えば第1接着剤51とは異なる種類の接着剤が用いられる。一例では、第2接着剤52は、第1接着剤51よりも粘性が低い接着剤が用いられてよい。
【0116】
次に、図12に示すように、第2接着剤52を硬化させる工程は、第2接着剤52を熱硬化させる。第2接着剤52の熱硬化の方法は、第1接着剤51の熱硬化の方法と同様である。このため、第2接着剤52を熱硬化させる際、キャップ70内の空気も加熱される。ここで、第2接着剤52によって第1連通部90Aおよび第2連通部90Bが埋められているため、接着パターン833A,833Bに対応するキャップ70の内部の圧力が高くなる。しかし、キャップ70と接着パターン833A,833B(833C,833D)とが第1接着剤51によって接着されているため、接着パターン833Aに対してキャップ70が傾くこと、および接着パターン833Bに対してキャップ70が傾くことがそれぞれ抑制される。
【0117】
次に、個片化する工程では、例えばダイシングブレードを用いて、図12に示す切断線CLZに沿って基板820を切断する。図13に示すように、基板820は、平面視において切断線CLXおよび切断線CLYに沿って切断される。切断線CLXはX方向に沿う切断線であり、切断線CLYはY方向に沿う切断線である。このため、基板820は、X方向に沿って切断され、かつY方向に沿って切断される。これにより、基板820から4つの基板20が形成される。
【0118】
切断線CLYは、第2接着剤52および一対の連結部839を横切っている。このため、切断線CLYに沿って基板820が切断されるとき、第2接着剤52および一対の連結部839も切断される。これにより、第2接着剤52のはみ出し部52Bおよび一対のはみ出しパターン33AA,33BA(ともに図4参照)が形成される。つまり、接着パターン833A~833D(図8参照)の各々から接着パターン33(図2参照)が形成される。このように、個片化する工程は、Y方向に沿って第2接着剤52、一対の連結部839、および基板820を切断する工程を含む。
【0119】
以上の工程を経て、図1図6に示す半導体発光装置10が製造される。
また、図示していないが、以上の工程により、キャップ70の第2側壁72と基板20との間に連通部90(第2連通部90B)を有するとともにその連通部90が第2接着剤52によって埋められた半導体発光装置10が製造される。この半導体発光装置10は、図2に示すはみ出しパターン33AA,33BAが基板20の第2基板側面24に向けて延びている。つまり、以上の工程では、第1基板側面23に向けて延びるはみ出しパターン33AA,33BAを含む半導体発光装置10と、第2基板側面24に向けて延びるはみ出しパターン33AA,33BAを含む半導体発光装置10とが製造されることになる。
【0120】
[作用]
半導体発光装置10の作用について説明する。
接着パターン33のパターン表面33Sとキャップ70の開口端面76との間に介在する第1接着剤51を熱硬化するとき、キャップ70の内部空間の温度の上昇にともない、内部空間における空気が膨張する。一方、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通する連通部90が形成されているため、内部空間の膨張した空気は連通部90を介してキャップ70の外部に移動する。これにより、第1接着剤51の熱硬化にともない、キャップ70の内部の圧力が過度に高くなることを抑制できる。したがって、キャップ70の内部の圧力が過度に高くなることに起因して、キャップ70が基板20の基板表面21に対して傾くことを抑制できる。
【0121】
また、第1接着剤51のアウトガスがキャップ70の内部に発生することによって、キャップ70の内部の圧力が高くなりやすい。しかし、上記連通部90によって、キャップ70の内部の空気は連通部90を介してキャップ70の外部に移動できるので、キャップ70の内部が過度に高くなることを抑制できる。
【0122】
ところで、連通部90が残ったままの状態では、連通部90を介して水滴、塵等の微細な異物がキャップ70の内部に進入してしまう。これに対して、この実施形態では、第2接着剤52によって連通部90を埋めている。これにより、キャップ70の内部への異物の進入を抑制できる。一方、この第2接着剤52を固化させるのにも熱硬化が用いられる。しかし、第1接着剤51によってキャップ70が接着パターン33に接着された状態であるため、第2接着剤52の熱硬化によってキャップ70の内部の圧力が高くなったとしてもキャップ70が基板表面21に対して傾くことを抑制できる。
【0123】
[効果]
半導体発光装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体発光装置10は、基板20と、基板20上に配置された端面発光素子60と、端面発光素子60を収容するキャップ70と、基板20上に設けられ、平面視において端面発光素子60を囲むように形成された接着パターン33と、キャップ70と接着パターン33のパターン表面33Sとを接着している第1接着剤51と、少なくとも接着パターン33を平面視において側方に貫通し、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通させる連通部90と、連通部90に埋められた第2接着剤52と、を備える。
【0124】
この構成によれば、連通部90を介してキャップ70の内部の気体(例えば空気、第1接着剤51のアウトガス)をキャップ70の外部に排出できる。したがって、キャップ70の内部の圧力が過度に高くなることによって、キャップ70が基板20に対して傾くことを抑制できる。また、連通部90は第2接着剤52によって埋められるため、キャップ70の内部に異物が進入することを抑制できる。
【0125】
(2)接着パターン33は、所定の幅を有しかつパターン表面33Sと直交する長さ方向に延びた枠状である。連通部90は、接着パターン33をその幅方向に貫通し、接着パターン33の長さ方向において接着パターン33を分離している。
【0126】
この構成によれば、接着パターン33がその長さ方向に分離されることによって接着パターン33のパターン表面33S上の第1接着剤51も長さ方向に分離されやすくなる。このため、連通部90が第1接着剤51によって埋まることなく、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを確実に連通することができる。
【0127】
(3)連通部90の開口寸法HWは、接着パターン33の幅寸法WA以下である。
この構成によれば、連通部90の開口寸法HWが小さくなる分、接着パターン33のパターン表面33Sの面積を大きくとることができる。したがって、第1接着剤51によるキャップ70と接着パターン33との接合強度を高くすることができる。
【0128】
(4)平面視において、接着パターン33は矩形枠状に形成されている。キャップ70は、平面視において接着パターン33の一辺と対応した位置に透光面を含む。連通部90は、接着パターン33のうち透光面と対応する一辺とは異なる辺に設けられている。
【0129】
この構成によれば、連通部90に第2接着剤52を塗布する際、第2接着剤52がキャップ70の側壁(この実施形態では第1側壁71)に付着するおそれがある。しかし、連通部90が透光面とは異なる箇所に設けられているため、第2接着剤52がキャップ70の側壁に付着したとしても、第2接着剤52が端面発光素子60の出射光に対して影響を与えることを抑制できる。
【0130】
(5)接着パターン33は、連通部90を構成する第1周端部33Aおよび第2周端部33Bを含む。第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、平面視においてキャップ70からはみ出すはみ出しパターン33AA,33BAを含む。
【0131】
この構成によれば、連通部90に埋められる第2接着剤52が平面視においてキャップ70からはみ出したとしてもはみ出しパターン33AA,33BAによって第2接着剤52の濡れ広がりを抑制できる。
【0132】
(6)はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、接着パターン33の幅寸法WAよりも小さい。
この構成によれば、はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQが小さいことによってキャップ70からはみ出したはみ出しパターン33AA,33BAが目立ちにくくなる。したがって、半導体発光装置10の美観の向上を図ることができる。
【0133】
(7)半導体発光装置10の製造方法は、基板表面821を有する基板820に端面発光素子60を配置する工程と、基板820に設けられ、平面視において端面発光素子60を囲む接着パターン33に第1接着剤51を塗布する工程と、キャップ70を第1接着剤51上に配置して端面発光素子60を収容する工程と、第1接着剤51を硬化して接着パターン33にキャップ70を接着する工程と、を備える。接着パターン33にキャップ70を接着する工程において、少なくとも接着パターン33を平面視において側方に貫通し、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通する連通部90が設けられる。第1接着剤51を硬化して接着パターン33にキャップ70を接着する工程の後に実施され、連通部90を第2接着剤52で埋める工程を備える。
【0134】
この構成によれば、第1接着剤51を硬化して接着パターン33にキャップ70を接着する工程において、連通部90を介してキャップ70の内部の気体(例えば空気、第1接着剤51のアウトガス)をキャップ70の外部に排出できる。したがって、キャップ70の内部の圧力が過度に高くなることによって、キャップ70が基板20に対して傾くことを抑制できる。その後に、連通部90が第2接着剤52によって埋められるため、キャップ70の内部に異物が進入することを抑制できる。
【0135】
(8)接着パターン33は、平面視において所定の幅を有しかつ幅と直交する長さ方向に延びた枠状である。連通部90は、接着パターン33をその幅方向に貫通し、接着パターン33の長さ方向において分離している。接着パターン33に第1接着剤51を塗布する工程では、連通部90には第1接着剤51を塗布せず、接着パターン33のパターン表面33Sに第1接着剤51を塗布する。
【0136】
この構成によれば、接着パターン33がその長さ方向に分離されることによって接着パターン33のパターン表面33S上の第1接着剤51も長さ方向に分離されやすくなる。このため、連通部90が第1接着剤51によって埋まることなく、キャップ70の内部とキャップ70の外部とを確実に連通することができる。
【0137】
(9)接着パターン33は、平面視において、X方向において並んだ接着パターン833A,833Bと、接着パターン833A,833BとのX方向の間に形成され、Y方向において互いに離隔するとともにX方向において接着パターン833Aと接着パターン833Bとを連結する一対の連結部839と、を含む。連通部90は、接着パターン833Aに接着されるキャップ70の内部およびこのキャップ70の外部を連通する第1連通部90Aと、接着パターン833Bに接着されるキャップ70の内部およびこのキャップ70の外部を連通する第2連通部90Bと、を含む。接着パターン833A,833Bに第1接着剤51を塗布する工程では、接着パターン833Aのパターン表面833Sおよび接着パターン833Bのパターン表面833Sの各々に第1接着剤51を塗布する。端面発光素子60を収容する工程では、接着パターン833A上の第1接着剤51上にキャップ70を配置し、接着パターン833B上の第1接着剤51上にキャップ70を配置する。接着パターン833A,833Bにキャップ70をそれぞれ接着する工程において、接着パターン833Aとキャップ70とによって第1連通部90Aが設けられ、接着パターン833Bとキャップ70とによって第2連通部90Bが設けられる。連通部90を第2接着剤52で埋める工程では、一対の連結部839の間の基板表面821上に第2接着剤52を滴下することによって第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの双方が第2接着剤52で埋められる。
【0138】
この構成によれば、Y方向において互いに離隔した一対の連結部839が接着パターン833A,833Bを連結しているため、接着パターン833Aの第1接着剤51上、および833Bの第1接着剤51上の各々にキャップ70が配置されることによって、第1連通部90Aおよび第2連通部90Bが形成される。つまり、一対の連結部839によって2つの連通部としての第1連通部90Aおよび第2連通部90Bを同時に形成することができる。
【0139】
加えて、連通部90を第2接着剤52で埋める工程において一対の連結部839の間の基板表面821上に第2接着剤52を滴下するため、第2接着剤52を第1連通部90Aおよび第2連通部90Bに個別に注入する必要がなくなる。したがって、連通部90を第2接着剤52で埋める工程の簡素化を図ることができる。
【0140】
(10)半導体発光装置10の製造方法は、Y方向に沿って第2接着剤52、一対の連結部839、および基板820を切断する工程をさらに備える。一対の連結部839の幅寸法は、接着パターン33の幅寸法WAよりも小さい。この構成によれば、一対の連結部839の幅寸法が小さいことによって基板820とともに一対の連結部839を切断するときに一対の連結部839を切断しやすくなる。
【0141】
(11)第2接着剤52は、第1接着剤51よりも粘性の低い接着剤が用いられる。
この構成によれば、第2接着剤52の粘性が低いことによって、一対の連結部839に第2接着剤52を滴下したときに第2接着剤52が第1連通部90Aおよび第2連通部90Bの双方に入りやすくなる。このため、第2接着剤52によって第1連通部90Aおよび第2連通部90Bを埋めやすくなる。
【0142】
一方、第1接着剤51に粘性の高い接着剤を用いることによって、接着パターン833A,833Bのパターン表面833Sから第1接着剤51がはみ出すことを抑制できる。したがって、第1接着剤51が第1連通部90Aおよび第2連通部90Bを埋めてしまうおそれを低減できる。
【0143】
(12)接着パターン33は、平面視において長手方向および短手方向を有する矩形枠状に形成されている。キャップ70は、接着パターン33とZ方向に対向する矩形枠状の第1~第4側壁71~74を含む。透光面は、第1~第4側壁71~73のうち長手方向に延びた部分である第4側壁74に形成されている。連通部90は、接着パターン33のうち短手方向に延びた部分である第1パターン35に設けられている。
【0144】
この構成によれば、連通部90は、第1~第4側壁71~74のうち短手方向に延びた部分である第1側壁71の直下に設けられている。ここで、連通部90が第1~第4側壁71~74のうち長手方向に延びた部分である第3側壁73に設けられた場合、半導体発光装置10の製造方法において、Y方向に隣り合う接着パターン上のキャップ70の第4側壁74と隣り合うことになる。この場合、第2接着剤52を塗布する工程において、Y方向に隣り合う接着パターン上のキャップ70の第4側壁74に第2接着剤52が付着するおそれがある。一方、この実施形態では、連通部90が第1~第4側壁71~74のうち長手方向に延びた部分ではなく、短手方向に延びた部分(第1側壁71)の直下に設けられることによって、第2接着剤52が第4側壁74(透光面)に付着するおそれを低減できる。
【0145】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない範囲において互いに組み合わせることができる。
【0146】
・接着パターン33における一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの数および位置は任意に変更可能である。例えば、図14図16に示す第1例~第2例のように接着パターン33における一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの数および位置を変更してもよい。
【0147】
図14に示す第1例では、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが2つ設けられている。より詳細には、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、接着パターン33のうち第1パターン35および第2パターン36に設けられている。第1パターン35に設けられた一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの構成は上記実施形態と同様である。第2パターン36に一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが設けられることによって、第2パターン36は、Y方向において互いに離隔して配列された第1分離パターン36Aおよび第2分離パターン36Bを含む。
【0148】
第1分離パターン36Aは、第2パターン36のうち第3パターン37に接続された部分である。第1分離パターン36Aは、第1周端部33Aを含む。また、第1分離パターン36Aは、平面視において第1周端部33Aから第2基板側面24に向けて延びるはみ出しパターン33AAを含む。はみ出しパターン33AAは、第1周端部33Aから第2基板側面24まで延びている。
【0149】
第2分離パターン36Bは、第2パターン36のうち第4パターン38に接続された部分である。第2分離パターン36Bは、第2周端部33Bを含む。また、第2分離パターン36Bは、平面視において第2周端部33Bから第2基板側面24に向けて延びるはみ出しパターン33BAを含む。はみ出しパターン33BAは、第2周端部33Bから第2基板側面24まで延びている。
【0150】
なお、第2パターン36における第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの形状およびサイズは、第1パターン35における第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの形状およびサイズと同じであってよい。また、第2パターン36におけるはみ出しパターン33AA,33BAの形状およびサイズは、第1パターン35におけるはみ出しパターン33AA,33BAの形状およびサイズと同じであってよい。
【0151】
この構成によれば、例えば図13に示す基板820を切断線CLX,CLYで切断することによって基板20を製造する場合、第1基板側面23寄りおよび第2基板側面24寄りの双方にはみ出しパターン33AA,33BAが形成される。このため、半導体発光装置10の製造方法において、第1基板側面23側のみにはみ出しパターン33AA,33BAが形成される半導体発光装置10と、第2基板側面24側のみにはみ出しパターン33AA,33BAが形成される半導体発光装置10との2種類の半導体発光装置10が製造されるのではなく、同じ外観の半導体発光装置10を製造することができる。
【0152】
図15に示す第2例では、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが3つ設けられている。より詳細には、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、接着パターン33のうち第1パターン35、第2パターン36、および第3パターン37に設けられている。第1パターン35および第2パターン36に設けられた一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの構成は、図14に示す第1例と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0153】
第3パターン37に一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが設けられることによって、第3パターン37は、X方向において互いに離隔して配列された第1分離パターン37Aおよび第2分離パターン37Bを含む。つまり、第3パターン37に設けられた一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、第3パターン37をX方向に分離している。
【0154】
第1分離パターン37Aは、第3パターン37のうち第1パターン35に接続された部分である。第1分離パターン37Aは、第1周端部33Aを含む。また、第1分離パターン37Aは、平面視において第1周端部33Aから第3基板側面25に向けて延びるはみ出しパターン33AAを含む。はみ出しパターン33AAは、第1周端部33Aから第3基板側面25まで延びている。はみ出しパターン33AAは、例えばY方向に沿って延びている。
【0155】
第2分離パターン37Bは、第3パターン37のうち第2パターン36に接続された部分である。第2分離パターン37Bは、第2周端部33Bを含む。また、第2分離パターン37Bは、平面視において第2周端部33Bから第3基板側面25に向けて延びるはみ出しパターン33BAを含む。はみ出しパターン33BAは、第2周端部33Bから第3基板側面25まで延びている。はみ出しパターン33BAは、例えばY方向に沿って延びている。
【0156】
なお、第3パターン37における第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの形状およびサイズは、第1パターン35における第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの形状およびサイズと同じであってよい。また、第3パターン37におけるはみ出しパターン33AA,33BAの形状およびサイズは、第1パターン35におけるはみ出しパターン33AA,33BAの形状およびサイズと同じであってよい。
【0157】
図16に示す第3例では、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが1つ設けられている一方、接着パターン33のうち一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが設けられる箇所が上記実施形態とは異なる。より詳細には、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、第3パターン37に設けられている。第3パターン37に設けられた一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの構成は、図15に示す第2例における第3パターン37に設けられた一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの構成と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0158】
なお、一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、第4パターン38に設けられていてもよい。つまり、接着パターン33のうち少なくとも1箇所に一対の第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが設けられていればよい。
【0159】
・上記実施形態および図14図16に示す変更例において、第1周端部33Aおよび第2周端部33Bの接着パターン33に対する位置は任意に変更可能である。一例では、第1パターン35に設けられた第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、第1パターン35のY方向の中央に限られず、第3パターン37寄りまたは第4パターン38寄りに設けられていてもよい。つまり、連通部90は、第1パターン35のY方向の中央に限られず、第3パターン37寄りに設けられていてもよいし、第4パターン38寄りに設けられていてもよい。第2パターン36に設けられた第1周端部33Aおよび第2周端部33Bも同様に変更できる。このため、連通部90は、第2パターン36のY方向の中央に限られず、第3パターン37寄りに設けられていてもよいし、第4パターン38寄りに設けられていてもよい。第3パターン37に設けられた第1周端部33Aおよび第2周端部33Bは、第3パターン37のX方向の中央に限られず、第1パターン35寄りまたは第2パターン36寄りに設けられていてもよい。つまり、連通部90は、第3パターン37のX方向の中央に限られず、第1パターン35寄りに設けられていてもよいし、第2パターン36寄りに設けられていてもよい。
【0160】
・平面視において、連通部90が設けられる位置は任意に変更可能である。一例では、連通部90は、キャップ70の透光面(上記実施形態では第4側壁74)と同じ位置に設けられていてもよい。つまり、接着パターン33の第4パターン38に第1周端部33Aおよび第2周端部33Bが設けられていてもよい。
【0161】
・連通部90の開口寸法HWは任意に変更可能である。一例では、連通部90の開口寸法HWは、接着パターン33の幅寸法WAよりも大きくてもよい。
この構成によれば、連通部90の開口寸法HWが大きいことによって、接着パターン33が分離された部分、すなわち連通部90を構成する部分に第1接着剤51がはみ出したとしても、第1接着剤51によって連通部90が埋まることが抑制できる。
【0162】
・第1接着剤51は、接着パターン33の第1周端部33Aと第2周端部33Bとの間を跨いで形成されていてもよい。この場合、連通部90は、第1接着剤51と、基板表面21と、第1周端部33Aおよび第2周端部33Bとによって構成されている。つまり、連通部90は、少なくとも接着パターン33を平面視で側方に貫通することによってキャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通させるように構成されていればよい。またこの場合、第2接着剤52の厚接着部52Aの厚さは、基板表面21とキャップ70の開口端面76とのZ方向の間の距離よりも薄くなる。
【0163】
・表面電極30の構成は、例えば端面発光素子60の構成に応じて任意に変更可能である。一例では、図17に示すように、端面発光素子60は、4つの発光部65(素子電極63)を含む。ワイヤ接続電極32の数は、例えば発光部65(素子電極63)の数に応じて設定される。このため、図17に示す例では、表面電極30は、4つのワイヤ接続電極32を含む。各ワイヤ接続電極32は、平面視においてY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状に形成されている。4つのワイヤ接続電極32は、Y方向において互いに同じ位置であってX方向において互いに離隔して配列されている。
【0164】
・はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、任意に変更可能である。一例では、はみ出しパターン33AA,33BAの幅寸法WP,WQは、接着パターン33の幅寸法WA以上であってもよい。また、幅寸法WPと幅寸法WQとは互いに異なっていてもよい。
【0165】
・はみ出しパターン33AA,33BAを省略してもよい。この場合、半導体発光装置10の製造方法における基板820の一対の連結部839も省略されてよい。
・第2接着剤52の種類は任意に変更可能である。一例では、第2接着剤52は、第1接着剤51と同じ種類の接着剤が用いられてよい。この構成によれば、第1接着剤51および第2接着剤52が異なる種類の場合と比較して、接着剤を容易に管理することができる。
【0166】
・第1接着剤51および第2接着剤52は、熱硬化型接着剤に限られず、任意に変更可能である。一例では、第1接着剤51および第2接着剤52の少なくとも一方は、例えば紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。第1接着剤51に紫外線硬化型接着剤が用いられた場合、第1接着剤51を硬化して接着パターン33にキャップ70を接着する工程では、キャップ70の上壁75側から第1接着剤51に紫外線を照射する。キャップ70は、紫外線を透過する材料によって形成されている。これにより、キャップ70を透過した紫外線が第1接着剤51に照射されることによって第1接着剤51が硬化する。第2接着剤52に紫外線硬化型接着剤が用いられた場合、第2接着剤52を固化する工程では、連通部90の第2接着剤52に直接的に紫外線を照射してもよいし、キャップ70の上壁75側から第2接着剤52に紫外線を照射してもよい。
【0167】
・平面視における接着パターン33の形状は任意に変更可能である。一例では、平面視における接着パターン33は、正方枠状であってもよい。一例では、平面視における接着パターン33は、矩形状に限られず、長円の枠状(トラック形状)、楕円の枠状、および円形の枠状のいずれかであってもよい。
【0168】
・平面視における連通部90が接着パターン33を貫通する方向は任意に変更可能である。第2接着剤52によって連通部90が埋められる前の状態において、連通部90はキャップ70の内部とキャップ70の外部とを連通するように構成されていればよい。このため、連通部90は、平面視において接着パターン33をX方向およびY方向の双方と交差する方向(例えば平面視においてX方向およびY方向の双方に対して45°傾く方向)に貫通していてもよい。
【0169】
・半導体発光素子として端面発光素子60が用いられたが、半導体発光素子の構成はこれに限られない。半導体発光素子として、面発光素子が用いられてもよい。面発光素子の一例として、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が用いられてもよい。この場合、キャップ70は、上壁75が透光面となるように構成されていてもよい。一方、キャップ70の第4側壁74は第1~第3側壁71~73と同様に半透明となるように構成されていてもよい。また、半導体発光素子として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられてもよい。
【0170】
・上記実施形態では、基板20は絶縁材料によって形成されたが、これに限られない。基板20は、Cu、Al等の金属材料によって形成されてもよい。この場合、Cu、Al等によって構成された平板状のフレーム(例えばメタルコア)の表面および裏面には絶縁層が形成されている。フレームの表面に形成された絶縁層(基板表面21)上には複数の表面電極30および接着パターン33が形成されている。フレームの裏面に形成された絶縁層(基板裏面22)上には複数の裏面電極40が形成されている。複数の裏面電極40と複数の表面電極30とを個別に電気的に接続する複数の貫通配線は、フレームをその厚さ方向(Z方向)に貫通している。この場合、フレームに形成された貫通孔を構成する内面には絶縁層が形成されている。貫通配線は、例えば絶縁層に形成された空間を埋めるように形成されている。
【0171】
・上記実施形態において、基板20、複数の表面電極30、複数の裏面電極40、および複数の貫通配線の構成は任意に変更可能である。一例では、半導体発光装置10は、複数の表面電極30、複数の裏面電極40、および複数の貫通配線に代えて、表面電極30、裏面電極40、および貫通配線が一体化されたフレームと、このフレームを支持する絶縁材料によって形成された基板と、を備えていてもよい。この場合、フレームは、複数の表面電極30(複数の裏面電極40)に応じて複数設けられている。基板は、絶縁材料として例えばエポキシ樹脂によって形成されている。複数のフレームは、基板をZ方向に貫通するように設けられている。このため、基板の基板表面から露出した複数のフレームは複数の表面電極30を構成し、基板裏面から露出した複数のフレームは複数の裏面電極40を構成している。ここで、接着パターン33は、基板をZ方向に貫通するフレームとして形成されてもよいし、基板表面上の金属層として形成されてもよい。接着パターン33を構成するフレームは、表面電極30、裏面電極40、および貫通配線が一体化されたフレームと同じフレームによって形成されていてもよいし、異なるフレームとして形成されていてもよい。
【0172】
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本明細書において、「AおよびBのうち少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
【0173】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば「第1要素が第2要素上に配置される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0174】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えばX方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0175】
<付記>
上記実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、各付記に記載された構成要素に対応する実施形態の構成要素の符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0176】
[付記1]
基板(20)と、
前記基板(20)上に配置された半導体発光素子(60)と、
前記半導体発光素子(60)を収容するキャップ(70)と、
前記基板(20)上に設けられ、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て前記半導体発光素子(60)を囲むように形成された接着パターン(33)と、
前記キャップ(70)と前記接着パターン(33)のパターン表面(33S)とを接着している第1接着剤(51)と、
少なくとも前記接着パターン(33)を前記厚さ方向(Z方向)から視て側方に貫通し、前記キャップ(70)の内部と前記キャップ(70)の外部とを連通させる連通部(90)と、
前記連通部(90)に埋められた第2接着剤(52)と、
を備える、半導体発光装置(10)。
【0177】
[付記2]
前記接着パターン(33)は、所定の幅を有しかつ前記幅と直交する長さ方向に延びた枠状であり、
前記連通部(90)は、前記接着パターン(33)をその幅方向に貫通することによって前記接着パターン(33)の長さ方向において分離している
付記1に記載の半導体発光装置。
【0178】
[付記3]
前記連通部(90)の開口寸法(HW)は、前記接着パターン(33)の幅寸法(WA)以下である
付記1または2に記載の半導体発光装置。
【0179】
[付記4]
前記連通部(90)の開口寸法(HW)は、前記接着パターン(33)の幅寸法(WA)よりも大きい
付記1または2に記載の半導体発光装置。
【0180】
[付記5]
前記接着パターン(33)は、互いに対向する第1周端部(33A)および第2周端部(33B)を含み、
前記連通部(90)は、前記第1周端部(33A)および前記第2周端部(33B)の間の領域であり、
前記開口寸法(HW)は、前記第1周端部(33A)と前記第2周端部(33B)との間の距離である
付記3または4に記載の半導体発光装置。
【0181】
[付記6]
前記厚さ方向(Z方向)から視て、前記接着パターン(33)は矩形枠状に形成されており、
前記キャップ(70)は、前記厚さ方向(Z方向)から視て前記接着パターン(33)の一辺(38)と対応した位置に透光面(74)を含み、
前記連通部(90)は、前記接着パターン(33)のうち前記透光面(74)と対応する一辺(38)とは異なる辺(35)に設けられている
付記1~5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0182】
[付記7]
前記接着パターン(33)は、前記厚さ方向(Z方向)から視て長手方向および短手方向を有する矩形枠状に形成されており、
前記キャップ(70)は、前記接着パターン(33)と前記厚さ方向(Z方向)に対向する矩形枠状の側壁(71~74)を含み、
前記透光面は、前記側壁(71~74)のうち前記長手方向に延びた部分(74)に形成されており、
前記連通部(90)は、前記接着パターン(33)のうち前記短手方向に延びた部分(35)に設けられている
付記6に記載の半導体発光装置。
【0183】
[付記8]
前記接着パターン(33)は、前記連通部(90)を構成する第1周端部(33A)および第2周端部(33B)を含み、
前記第1周端部(33A)および前記第2周端部(33B)は、前記厚さ方向(Z方向)から視て、前記キャップ(70)からはみ出すはみ出しパターン(33AA,33BA)を含む
付記1~7のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0184】
[付記9]
前記はみ出しパターン(33AA,33BA)の幅寸法(WP,WQ)は、前記接着パターン(33)の幅寸法(WA)よりも小さい
付記8に記載の半導体発光装置。
【0185】
[付記10]
前記基板(20)は、前記接着パターン(33)が設けられた基板表面(21)を有し、
前記第2接着剤(52)は、前記基板表面(21)に接している
付記1~9のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0186】
[付記11]
前記第2接着剤(52)は、前記第1接着剤(51)の厚さよりも厚い厚接着部(52A)を含む
付記10に記載の半導体発光装置。
【0187】
[付記12]
前記厚接着部(52A)の厚さは、前記第1接着剤(51)の厚さと前記接着パターン(33)の厚さとの合計と等しい
付記11に記載の半導体発光装置。
【0188】
[付記13]
前記キャップ(70)は、枠状に形成され、開口端面(76)を含む側壁(71~74)を有し、
前記厚接着部(52A)は、前記開口端面(76)と対向する位置において前記開口端面(76)と接しており、
前記第2接着剤(52)は、前記厚さ方向(Z方向)から視て、前記厚接着部(52A)から連続するとともに前記側壁(71~74)からはみ出すはみ出し部(52B)を含む
付記11または12に記載の半導体発光装置。
【0189】
[付記14]
前記第2接着剤(52)の種類は、前記第1接着剤(51)の種類とは異なる
付記1~13のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0190】
[付記15]
前記第2接着剤(52)は、前記第1接着剤(51)よりも粘性が低い
付記14に記載の半導体発光装置。
【0191】
[付記16]
前記第1接着剤(51)および前記第2接着剤(52)は、同じ種類の接着剤である
付記1~13のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0192】
[付記17]
基板表面(821)を有する基板(820)に半導体発光素子(60)を配置する工程と、
前記基板(820)に設けられ、前記基板(820)の厚さ方向(Z方向)から視て前記半導体発光素子(60)を囲む接着パターン(33)に第1接着剤(51)を塗布する工程と、
キャップ(70)を前記第1接着剤(51)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程と、
前記第1接着剤(51)を硬化して前記接着パターン(33)に前記キャップ(70)を接着する工程と、
を備え、
前記接着パターン(33)に前記キャップ(70)を接着する工程において、少なくとも前記接着パターン(33)を前記厚さ方向(Z方向)から視て側方に貫通し、前記キャップ(70)の内部と前記キャップ(70)の外部とを連通する連通部(90)が設けられ、
前記第1接着剤(51)を硬化して前記接着パターン(53)に前記キャップ(70)を接着する工程の後に実施され、前記連通部(90)を第2接着剤(52)で埋める工程を備える
半導体発光装置(10)の製造方法。
【0193】
[付記18]
前記接着パターン(33)は、前記厚さ方向(Z方向)から視て、所定の幅を有しかつ前記幅と直交する長さ方向に延びた枠状であり、
前記連通部(90)は、前記接着パターン(33)をその幅方向に貫通し、前記接着パターン(33)の長さ方向において分離しており、
前記接着パターン(33)に前記第1接着剤(51)を塗布する工程では、前記連通部(90)には前記第1接着剤(51)を塗布せず、前記接着パターン(33)のパターン表面(33S)に前記第1接着剤(51)を塗布する
付記17に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0194】
[付記19]
前記接着パターン(33)は、
前記厚さ方向(Z方向)から視て、第1方向(X方向)において並んだ第1接着パターン(833A)および第2接着パターン(833B)と、
前記第1接着パターン(833A)と前記第2接着パターン(833B)との前記第1方向(X方向)の間に形成され、前記第1方向(X方向)と直交する第2方向(Y方向)において互いに離隔するとともに前記第1方向(X方向)において前記第1接着パターン(833A)と前記第2接着パターン(833B)とを連結する一対の連結部(839)と、
を含み、
前記連通部(90)は、
前記キャップとして前記第1接着パターン(833A)に接着される第1キャップ(70)の内部および前記第1キャップ(70)の外部を連通する第1連通部(90A)と、
前記キャップとして前記第2接着パターン(833B)に接着される第2キャップ(70)の内部および前記第2キャップ(70)の外部を連通する第2連通部(90B)と、
を含み、
前記接着パターン(833A,833B)に前記第1接着剤(51)を塗布する工程では、前記第1接着パターン(833A)および前記第2接着パターン(833B)のパターン表面(833S)に前記第1接着剤(51)を塗布し、
前記半導体発光素子(60)を収容する工程では、前記第1接着パターン(833A)上の前記第1接着剤(51)上に前記第1キャップ(70)を配置し、前記第2接着パターン(833B)上の前記第1接着剤(51)上に前記第2キャップ(70)を配置し、
前記接着パターン(833A,833B)に前記キャップ(70)を接着する工程において、前記第1接着パターン(833A)と前記第1キャップ(70)とによって前記第1連通部(90A)が設けられ、前記第2接着パターン(833B)と前記第2キャップ(70)とによって前記第2連通部(90B)が設けられ、
前記連通部(90)を前記第2接着剤(52)で埋める工程では、前記一対の連結部(839)の間の前記基板表面(821)上に前記第2接着剤(52)を滴下することによって前記第1連通部(90A)および前記第2連通部(90B)の双方が前記第2接着剤(52)で埋められる
付記17または18に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0195】
[付記20]
前記第2方向(Y方向)に沿って前記第2接着剤(52)、前記一対の連結部(839)、および前記基板(820)を切断する工程をさらに備える
付記19に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0196】
[付記21]
前記第1接着剤(51)を硬化して前記接着パターン(833A,833B)に前記キャップ(70)を接着する工程では、前記第1接着剤(51)を熱硬化させる
付記17~20のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0197】
[付記22]
前記第1接着剤(51)を硬化して前記接着パターン(833A,833B)に前記キャップ(70)を接着する工程では、前記第1接着剤(51)を紫外線硬化させる
付記17~20のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0198】
[付記23]
前記第2接着剤(52)を熱硬化させる工程をさらに備える
付記17~22のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0199】
[付記24]
前記第2接着剤(52)を紫外線硬化させる工程をさらに備える
付記17~22のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0200】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0201】
10…半導体発光装置
20…基板
21…基板表面
22…基板裏面
23~26…第1~第4基板側面
30…表面電極
31…素子表面電極
32,32AA~32AD,32BA~32BD…ワイヤ接続電極
32E…凹部
32F…突出部
32G…切欠部
33…接着パターン
33A…第1周端部
33B…第2周端部
33C,33D…曲面部
33S…パターン表面
33AA,33BA…はみ出しパターン
34…レジストパターン
35…第1パターン
35A…第1分離パターン
35B…第2分離パターン
36…第2パターン
36A…第1分離パターン
36B…第2分離パターン
37…第3パターン
37A…第1分離パターン
37B…第2分離パターン
38…第4パターン
40…裏面電極
51…第1接着剤
52…第2接着剤
52A…厚接着部
52B…はみ出し部
60…端面発光素子
61…素子表面
62…素子裏面
63…素子電極
64…裏面電極
65,65AA~65AD,65BA~65BD…発光部
70…キャップ
71~74…第1~第4側壁
75…上壁
76…開口端面
80…サブマウント基板
81…表面
82…裏面
83…貫通配線
90…連通部
90A…第1連通部
90B…第2連通部
820…基板
821…基板表面
822…基板裏面
833…接着パターン
833A,833C…接着パターン(第1接着パターン)
833B,833D…接着パターン(第2接着パターン)
833S…パターン表面
839…連結部
D…離間距離
W,W1A~W4A,W1B~W4B…ワイヤ
VL…中心仮想線
WA…接着パターンの幅寸法
WP,WQ…はみ出しパターンの幅寸法
LP,LQ…はみ出しパターンの長さ寸法
HW…連通部の開口寸法
HT…連通部の開口厚さ寸法
S…密閉空間
CLX,CLY,CLZ…切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17