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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165441
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/00 20060101AFI20241121BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47J31/00 302
B67D1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081653
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有村 充
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC03
3E082DD01
3E082EE01
3E082FF09
4B104AA11
4B104BA35
4B104BA80
4B104DA11
4B104DA60
(57)【要約】
【課題】プレヒートの有無の選択を利用者に委ねることにより、利便性の向上を図ること。
【解決手段】装置本体2の内部に設けられた飲料生成部30で生成した飲料を、装置本体2に設けられた飲料供給部10に載置されたカップCに対してノズル12を介して供給する飲料供給装置1であって、飲料生成部30に対するプレヒートの有無を選択する表示部21と、表示部21を通じてプレヒートが選択された場合には、飲料生成部30での飲料の生成前にプレヒートを行う制御部60とを備えている。制御部60は、表示部21を通じて飲料が選択されたことを条件として、飲料生成部30を通じて飲料を生成することが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の内部に設けられた飲料生成部で生成した飲料を、該装置本体に設けられた飲料供給部に載置されたカップに対してノズルを介して供給する飲料供給装置であって、
前記飲料生成部に対するプレヒートの有無を選択する選択手段と、
前記選択手段を通じてプレヒートが選択された場合には、前記飲料生成部での飲料の生成前にプレヒートを行う制御部と
を備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記選択手段を通じて飲料が選択されたことを条件として、前記飲料生成部を通じて飲料を生成することを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記飲料生成部での飲料の生成に用いられる湯を加熱湯として前記プレヒートを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記飲料生成部を構成する抽出機に前記加熱湯を一時的に滞留させて強制撹拌させてから前記ノズルまで供給してプレヒートを行うことを特徴とする請求項3に記載の飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料供給装置として、装置本体の内部にて飲料を抽出し、抽出した飲料をカップに供給するものが知られている。そのような飲料供給装置では、飲料の供給前に、飲料を抽出する部材に対して湯等で通過させて予備的に加熱し、比較的温度の低い飲料を供給してしまうことを防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-72973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に提案されている飲料供給装置では、飲料の供給前に予備加熱(プレヒート)を行っていたので、次のような問題があった。すなわち、予備加熱は比較的温度の低い飲料を供給してしまうことを防止する点では有用であるものの、予備加熱を行うことにより、飲料の供給に時間を要することになる。利用者にとっては、比較的温度の低い飲料が供給されることよりも供給時間が長大になることの方が嫌となることもあり、利便性に優れているとはいえなかった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、プレヒートの有無の選択を利用者に委ねることにより、利便性の向上を図ることができる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る飲料供給装置は、装置本体の内部に設けられた飲料生成部で生成した飲料を、該装置本体に設けられた飲料供給部に載置されたカップに対してノズルを介して供給する飲料供給装置であって、前記飲料生成部に対するプレヒートの有無を選択する選択手段と、前記選択手段を通じてプレヒートが選択された場合には、前記飲料生成部での飲料の生成前にプレヒートを行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記飲料供給装置において、前記制御部は、前記選択手段を通じて飲料が選択されたことを条件として、前記飲料生成部を通じて飲料を生成することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記飲料供給装置において、前記制御部は、前記飲料生成部での飲料の生成に用いられる湯を加熱湯として前記プレヒートを行うことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記飲料供給装置において、前記制御部は、前記飲料生成部を構成する抽出機に前記加熱湯を一時的に滞留させて強制撹拌させてから前記ノズルまで供給してプレヒートを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、選択手段を通じて飲料生成部に対するプレヒートの有無を選択するようにし、制御部が、選択手段を通じてプレヒートが選択された場合には、飲料生成部での飲料の生成前にプレヒートを行うので、プレヒートの有無の選択を利用者に委ねることにより、利便性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である飲料供給装置の外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である飲料供給装置の一部の構成要素を分離させて示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態である飲料供給装置の各構成要素を模式的に示す模式図である。
図4図4は、図1図3に示した表示部の表示例を示す模式図である。
図5図5は、図3に示した制御部によるプレヒートの手順を示す模式図である。
図6図6は、図3に示した制御部によるプレヒートの手順を示す模式図である。
図7図7は、図3に示した制御部によるプレヒートの手順を示す模式図である。
図8図8は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図9図9は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図10図10は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図11図11は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図12図12は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図13図13は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
図14図14は、図3に示した制御部による飲料の供給の手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料供給装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1図3は、それぞれ本発明の実施の形態である飲料供給装置を示すものであり、図1は、外観構成を示す斜視図であり、図2は、一部の構成要素を分離させて示す斜視図であり、図3は、各構成要素を模式的に示す模式図である。
【0014】
ここで例示する飲料供給装置1は、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置されるものであり、装置本体2を備えている。
【0015】
装置本体2は、本体キャビネット3及び前面扉4を備えて構成されている。本体キャビネット3は、前面に図示せぬ開口(以下、前面開口ともいう)を有した略直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット3には、飲料供給部10、飲料生成部30、シャッタ機構50及び制御部60が設けられている。
【0016】
飲料供給部10は、本体キャビネット3の前方下部に設けられており、ステージ11を有している。ステージ11は、容器であるカップCを載置させるものであり、円弧状のストッパ11aが設けられている。かかるステージ11の下部には、図には明示しないが、飲料等の排水を貯留する排水トレイが設置されている。
【0017】
上記ステージ11の上方にはノズル12が設けられている。ノズル12は、飲料生成部30に接続された状態で、図示せぬ支持部材を介して本体キャビネット3に取り付けられている。
【0018】
前面扉4は、本体キャビネット3の前面開口を開閉する扉体であり、本体キャビネット3の前方側の左側縁部において、軸支部により上下方向に沿って延在する軸部の中心軸回りに揺動可能に設けられている。
【0019】
この前面扉4は、前面が接客面を構成しており、表示部21、開口部22及び開閉扉23を有している。表示部21は、例えば液晶タッチパネルにより構成されており、制御部60からの指令に基づき各種情報を表示するとともに、タッチ操作等の選択操作が可能な選択手段である。この表示部21は、図4に示すように、例えばホットコーヒーを選択する飲料選択部21aと、プレヒートを選択する予備加熱選択部21bとが表示され、タッチ操作等の選択操作が行われた場合、所定の信号を制御部60に与えるものである。
【0020】
開口部22は、表示部21の下方側に設けられており、飲料供給部10を前方に向けて露出させるものである。開閉扉23は、例えば透明な樹脂等の透光性材料により構成されるものであり、開口部22を覆うのに十分な大きさを有している。この開閉扉23は、左側端部が前面扉4に軸支されており、前後方向に沿って揺動可能なものである。つまり開閉扉23は、飲料供給部10に対して近接離反する態様で前後方向に沿って揺動可能であり、飲料供給部10に近接する態様で後方に揺動する場合に開口部22を閉成させることが可能であり、飲料供給部10から離隔する態様で前方に揺動する場合に開口部22を開成させることが可能である。
【0021】
飲料生成部30は、原料箱31、粉砕機33、給湯手段35、抽出機37、収容箱39、加圧空気供給ライン41及び排水ライン43を備えて構成されている。
【0022】
原料箱31は、飲料原料である例えばコーヒー豆を収容するものである。この原料箱31には、原料供給駆動部311が設けられている。原料供給駆動部311は、制御部60から駆動指令が与えられた場合に駆動するものである。かかる原料供給駆動部311は、駆動指令に含まれる所定量の飲料原料を払い出すものである。
【0023】
粉砕機33は、いわゆるミルと称されるもので、制御部60から駆動指令が与えられた場合に駆動するものである。この粉砕機33は、原料箱31の下方域に設置されており、該原料箱31に原料シュート32を介して連結されている。
【0024】
上記粉砕機33は、駆動する場合に、原料箱31から払い出されるとともに原料シュート32により案内されたコーヒー豆を粉砕し、粉シュート34を通じて粉砕したコーヒー豆(以下、コーヒー粉砕豆ともいう)を抽出機37に投入するものである。ここで粉シュート34は、樹脂により各構成要素が一体化されて構成されている。
【0025】
給湯手段35は、抽出機37に湯を供給するためのものであり、湯タンク351、定量ポンプ352、補助タンク353、給湯ポンプ354及び逆止弁355が、給湯配管により構成される給湯ライン356に順次接続されて構成されている。
【0026】
湯タンク351は、図示せぬ水供給手段から供給された水道水等の水をヒータ351aにより加熱して湯として貯留するものである。定量ポンプ352は、制御部60から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合には、湯タンク351から補助タンク353に定量の湯を送出するものである。補助タンク353は、湯タンク351より容積が小さいものであり、定量ポンプ352により送出された湯を一時的に貯留するものである。給湯ポンプ354は、制御部60から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合には、補助タンク353の湯を加圧して抽出機37に送出するものである。この給湯ポンプ354は、送出量が定量ポンプ352の送出量よりも大きくなるようにされている。逆止弁355は、給湯ポンプ354から送出された湯が抽出機37に向けて通過することを許容する一方、抽出機37から補助タンク353に向けて湯が通過することを規制する弁体である。この逆止弁355は、図には明示していないが、湯タンク351に熱的に接続された状態で配置されている。
【0027】
抽出機37は、いわゆるブリュアユニットと称されるものであり、粉砕機33から粉シュート34を介して投入されたコーヒー粉砕豆と、給湯手段35により供給された湯とからコーヒー飲料を抽出するものである。
【0028】
このような抽出機37には、飲料供給ライン38が接続されている。飲料供給ライン38は、単独の飲料供給配管により、あるいは複数の飲料供給配管を接続して構成されており、抽出機37で抽出されたコーヒー飲料をノズル12まで供給するものである。
【0029】
この飲料供給ライン38には、その途中に第1ピンチバルブ381が設けられている。この第1ピンチバルブ381は、制御部60から与えられる指令に応じて開閉するものであり、開状態となる場合に流体の通過を許容する一方、閉状態となる場合に流体の通過を規制するものである。
【0030】
かかる抽出機37は、シリンダ371、蓋体372、フィルタブロック373及びスクレーパ374を備えて構成されている。シリンダ371は、略円筒状の形態を成しており、本体キャビネット3に対して着脱可能に設けられている。
【0031】
蓋体372は、アクチュエータである蓋体駆動部372aが制御部60から与えられる指令により駆動することにより、シリンダ371の上面開口に対して近接離反する態様で移動するもので、シリンダ371の上面開口を開閉するものである。この蓋体372には、図に明示しないが、粉シュート34を通じて供給されたコーヒー粉砕豆がシリンダ371に投入されることを許容する孔や、給湯手段35により供給された湯がシリンダ371に投入されることを許容する孔が形成されている。
【0032】
フィルタブロック373は、シリンダ371の下方に配置されており、上記飲料供給ライン38に接続されている。このフィルタブロック373は、複数の抽出孔が形成された円板状の金属製のメッシュ部材(図示せず)を備えている。かかるフィルタブロック373は、アクチュエータであるフィルタブロック駆動部373aが制御部60から与えられる指令により駆動することで、シリンダ371に対し近接離反する態様で上下に移動するものである。そして、フィルタブロック373は、最も上方に移動した場合にシリンダ371の下面開口を閉塞するものである。
【0033】
スクレーパ374は、スクレーパ本体3741とスクレーパ作用部3742とを備えて構成されている。スクレーパ本体3741は、矩形枠状に形成されている。スクレーパ作用部3742は、例えばゴム等の樹脂材料から構成されており、スクレーパ本体3741の前端部より下方に突出する態様で設けられている。
【0034】
そのようなスクレーパ374は、アクチュエータであるスクレーパ駆動部374aが制御部60から与えられる指令により駆動することで、前後方向に沿って移動するものである。より詳細には、スクレーパ374は、スクレーパ作用部3742がフィルタブロック373よりも後方となる後端位置と、スクレーパ作用部3742がフィルタブロック373よりも前方となる前端位置との間で、前後方向に沿って移動可能に設置されている。そして、スクレーパ374は、常態においては後端位置に配置され、後端位置から前端位置へ移動することにより最も下方に移動したフィルタブロック373のメッシュ部材の上面をスクレーパ作用部3742の先端が摺接することが可能であり、メッシュ部材に載置された抽出滓K(図12等参照)を除去するものである。
【0035】
収容箱39は、抽出機37の下方に配置されており、飲料生成部30での飲料の抽出により生じた抽出滓Kを収容するものである。かかる収容箱39は、本体キャビネット3の前面開口が開成された場合に、該前面開口を通じて取り出すことが可能なものである。
【0036】
加圧空気供給ライン41は、複数の加圧空気供給配管を接続して構成されており、一端が蓋体372に接続されるとともに、他端が飲料供給ライン38の途中に接続されている。この加圧空気供給ライン41には、エアポンプ411、第2ピンチバルブ412及び第3ピンチバルブ413が設けられている。
【0037】
エアポンプ411は、制御部60から与えられる指令に応じて駆動するものであり、空気を圧縮して送出するものである。第2ピンチバルブ412は、エアポンプ411よりも一端側(蓋体372側)に設けられている。この第2ピンチバルブ412は、制御部60から与えられる指令に応じて開閉するものであり、開状態となる場合に流体の通過を許容する一方、閉状態となる場合に流体の通過を規制するものである。第3ピンチバルブ413は、エアポンプ411よりも他端側(飲料供給ライン38側)に設けられている。この第3ピンチバルブ413は、制御部60から与えられる指令に応じて開閉するものであり、開状態となる場合に流体の通過を許容する一方、閉状態となる場合に流体の通過を規制するものである。
【0038】
排水ライン43は、単数若しくは複数の排水配管を接続して構成されており、飲料供給ライン38の途中から分岐して収容箱39の上方域に延在する態様で設けられている。この排水ライン43には、第4ピンチバルブ431が設けられている。この第4ピンチバルブ431は、制御部60から与えられる指令に応じて開閉するものであり、開状態となる場合に廃液等の流体の通過を許容する一方、閉状態となる場合に廃液等の流体の通過を規制するものである。
【0039】
これにより収容箱39は、抽出機37による飲料の抽出により生じた抽出滓K、並びに抽出機37の洗浄により生じた廃液を収容するものである。
【0040】
シャッタ機構50は、飲料供給部10に設けられている。このシャッタ機構50は、遮蔽部51及びシャッタ駆動部52を備えている。遮蔽部51は、異形状の皿状体である。シャッタ駆動部52は、制御部60から与えられる指令に応じて駆動するモータ等の駆動源であり、駆動することにより、遮蔽部51をノズル12の直下域若しくは該直下域から離隔した退避域に配置させるものである。
【0041】
そのようなシャッタ機構50は、常態においては、遮蔽部51が直下域に配置され、ノズル12から吐出された飲料等の液体がカップCに供給されることを阻止し、排水トレイに案内するものである。また、シャッタ機構50は、シャッタ駆動部52の駆動により遮蔽部51が直下域から退避域に変位した場合には、ノズル12から吐出された飲料等の液体がカップCに供給されることを許容するものである。
【0042】
制御部60は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって飲料供給装置1の各部の動作を統括的に制御するものである。尚、制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0043】
以上のような構成を有する飲料供給装置1では、次のようにして飲料供給部10のステージ11に載置されたカップCに対して、コーヒー飲料を供給することができる。尚、前提として、湯タンク351では、所定の温度の湯が生成されて貯留されているものとし、第1ピンチバルブ381、第2ピンチバルブ412及び第4ピンチバルブ431が閉状態で、第3ピンチバルブ413が開状態にあるものとする。また、シャッタ機構50は、遮蔽部51がノズル12の直下域に配置されているものとする。
【0044】
まず、利用者により表示部21における予備加熱選択部21bがタッチ操作された場合について説明する。このように予備加熱選択部21bがタッチ操作された場合、制御部60は、次のようにプレヒートを行う。
【0045】
制御部60は、図5に示すように、フィルタブロック373を上方に向けて移動させた後、定量ポンプ352を駆動させて湯タンク351から定量の湯を補助タンク353に送出しつつ、給湯ポンプ354を駆動させて補助タンク353の湯を加圧して抽出機37に送出することで、湯を加熱湯として抽出機37に投入させる。その後、定量ポンプ352及び給湯ポンプ354の駆動を停止させる。
【0046】
そして、制御部60は、エアポンプ411を駆動させることにより、図6に示すように、飲料供給ライン38の一部を利用して、シリンダ371に加圧空気を供給して加熱湯を撹拌(強制撹拌)させる。その後、エアポンプ411の駆動を停止させる。
【0047】
そのようにして加熱湯を強制撹拌させた制御部60は、蓋体372を下方に移動させてシリンダ371の上面開口を閉成させ、第3ピンチバルブ413を閉状態にして、第1ピンチバルブ381及び第2ピンチバルブ412を開状態にさせ、エアポンプ411を駆動させる。尚、第4ピンチバルブ431は閉状態に維持させる。
【0048】
これにより、図7に示すように、シリンダ371に加圧空気(抽出用の加圧空気)を供給することで、加熱湯が飲料供給ライン38を介してノズル12まで供給され、ノズル12より下方に吐出される。この場合に、遮蔽部51がノズル12の直下域に配置されているので、ノズル12から吐出された加熱湯がカップCに供給されることを阻止し、排水トレイに案内する。
【0049】
加熱湯の吐出が終了すると、制御部60は、定量ポンプ352、給湯ポンプ354及びエアポンプ411の駆動を停止させる。その後に制御部60は、蓋体372を上方に移動させてシリンダ371の上面開口を開成させることにより、シリンダ371の内圧を開放させる。これにより、飲料生成部30におけるプレヒートを終了する。
【0050】
次に、利用者により表示部21における飲料選択部21aが予備加熱選択部21bをタッチ操作された後にタッチ操作された場合、あるいは、利用者により予備加熱選択部21bがタッチ操作されることなく飲料選択部21aがタッチ操作された場合、制御部60は、次のようにしてコーヒー飲料を供給する。
【0051】
制御部60は、図8に示すように、フィルタブロック373を上方に向けて移動させた後、原料供給駆動部311に駆動指令を与えて該飲料に対応した量のコーヒー豆を粉砕機33に払い出させ、粉砕機33に駆動指令を与えてコーヒー豆を粉砕させて抽出機37に投入させる。その後、原料供給駆動部311の駆動を停止させる。尚、図には明示していないが、制御部60は、飲料選択部21aがタッチ操作された場合に、シャッタ機構50におけるシャッタ駆動部52を駆動させて遮蔽部51を退避域に配置させる。
【0052】
制御部60は、定量ポンプ352を駆動させて湯タンク351から定量の湯を補助タンク353に送出しつつ、給湯ポンプ354を駆動させて補助タンク353の湯を加圧して抽出機37に送出することで、湯を抽出機37に投入させる。その後、定量ポンプ352及び給湯ポンプ354の駆動を停止させる。
【0053】
そして、制御部60は、エアポンプ411を駆動させることにより、図9に示すように、飲料供給ライン38の一部を利用して、シリンダ371に加圧空気(撹拌用の加圧空気)を供給してコーヒー粉砕豆と湯とを撹拌(強制撹拌)させる。その後、エアポンプ411の駆動を停止させる。
【0054】
そのようにしてコーヒー粉砕豆と湯とを強制撹拌させた制御部60は、蓋体372を下方に移動させてシリンダ371の上面開口を閉成させ、第3ピンチバルブ413を閉状態にして、第1ピンチバルブ381及び第2ピンチバルブ412を開状態にさせ、エアポンプ411を駆動させる。尚、第4ピンチバルブ431は閉状態に維持させる。
【0055】
これにより、図10に示すように、シリンダ371に加圧空気(抽出用の加圧空気)を供給することで、コーヒー飲料が抽出され、抽出されたコーヒー飲料が飲料供給ライン38を介してノズル12まで供給され、ノズル12よりカップCに吐出される。
【0056】
所定量のコーヒー飲料がカップCに吐出されることで供給されると、制御部60は、定量ポンプ352、給湯ポンプ354及びエアポンプ411の駆動を停止させる。これにより利用者は、開閉扉23を開く方向に揺動させて飲料供給部10よりカップCを取り出すことができる。
【0057】
その後に制御部60は、蓋体372を上方に移動させてシリンダ371の上面開口を開成させることにより、シリンダ371の内圧を開放させる。そして制御部60は、抽出機37に給湯手段35より湯を供給してシリンダ371の内部を洗浄し、第4ピンチバルブ431を開状態にさせて、図11に示すように排水ライン43を経由して抽出機37に残った水を廃液として収容箱39に排出させる。
【0058】
そのようにして廃液を排出させた制御部60は、第4ピンチバルブ431を閉状態にさせ、図12に示すように、フィルタブロック373を下方に移動させる。そして、制御部60は、スクレーパ駆動部374aを駆動させることにより、図13及び図14に示すように、後端位置から前端位置に向けてスクレーパ374を前方に向けて移動させる。これにより、スクレーパ作用部3742の先端がフィルタブロック373のメッシュ部材の上面を摺接し、該メッシュ部材に載置された抽出滓Kが抽出機37から収容箱39に払い出される。尚、スクレーパ374は、前端位置から後端位置に移動した後にスクレーパ駆動部374aが制御部60からの指令により駆動停止することで、後端位置に配置される。これにより、今回のコーヒー飲料の供給を終了する。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態である飲料供給装置1によれば、表示部21を通じて飲料生成部30に対するプレヒートの有無を選択し、制御部60が、表示部21を通じてプレヒートを選択された場合には、飲料生成部30でのコーヒー飲料の抽出前にプレヒートを行うので、プレヒートの有無の選択を利用者に委ねることにより、利便性の向上を図ることができる。
【0060】
上記飲料供給装置1によれば、制御部60が、飲料生成部30でのコーヒー飲料の抽出に用いられる湯を加熱湯としてプレヒートを行うので、プレヒートに要する時間の短縮化を図ることができる。
【0061】
また上記飲料供給装置1によれば、制御部60は、加熱湯を抽出機37に投入して一時的に滞留させて強制撹拌し、その後に飲料供給ライン38を介してノズル12まで供給するようにしてプレヒートを行っているので、抽出機37等に対して加熱湯を通過させるだけに比べて、飲料生成部30を良好に加熱することができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0063】
上述した実施の形態では、飲料生成部30における抽出機37、飲料供給ライン38及びノズル12に対して加熱湯を流通させてプレヒートを行っていたが、本発明においては、少なくとも飲料供給ライン38だけにプレヒートが行われてもよい。
【0064】
上述した実施の形態では、飲料生成部30での飲料の生成に用いられる湯を加熱湯としてプレヒートを行っていたが、本発明においては、加熱ヒータ等の加熱手段を用いてプレヒートを行ってもよい。
【0065】
上述した実施の形態では、シャッタ機構50を用いて加熱湯がカップCに供給されることを阻止していたが、本発明においては、飲料供給ラインの途中に切換流路を設けて、該切換流路に加熱湯を流通させるようにしてもよい。つまり、加熱湯がカップに供給されることを阻止するために種々の手法を採用することができる。
【0066】
上述した実施の形態では、飲料生成部30がコーヒー飲料を抽出するものであったが、本発明の飲料生成部は、茶葉等を用いて飲料を抽出して生成するものであってもよいし、飲料原料と湯とを混合撹拌して飲料を生成するものであってもよい。
【0067】
上述した実施の形態では、ステージ11にカップCが載置された状態でプレヒートの有無を選択するようにしていたが、本発明においては、カップが載置される前にプレヒートの有無を選択するようにしてもよい。このようにカップが載置される前にプレヒートを選択する場合には、シャッタ機構50を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…飲料供給装置、2…装置本体、3…本体キャビネット、4…前面扉、10…飲料供給部、11…ステージ、12…ノズル、21…表示部、30…飲料生成部、31…原料箱、33…粉砕機、35…給湯手段、37…抽出機、39…収容箱、41…加圧空気供給ライン、43…排水ライン、50…シャッタ機構、60…制御部、C…カップ。
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