(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165445
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】舌ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 9/02 20060101AFI20241121BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A46B9/02
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081657
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】518425999
【氏名又は名称】有限会社ゼン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】増田 正
(72)【発明者】
【氏名】増田 健太郎
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA02
3B202AB30
3B202BA02
3B202EA01
3B202ED02
3B202ED05
3B202ED06
(57)【要約】
【課題】舌への圧力を分散することで嘔吐反応を抑えることが可能な舌ブラシの提供。
【解決手段】舌の表面に当接させて舌苔を掻き取るためのブラシ部2を有する舌ブラシ1Aであって、ブラシ部2は、中央部分2Aとその周囲部分2Bとが、硬さの異なる第1の硬さのブラシ毛3Aと、第1の硬さのブラシ毛3Aよりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bとから構成されたものであり、中央部分2Aまたは周囲部分2Bのうち、舌の表面に先に当接する部分が第2の硬さのブラシ毛3Bで構成され、後に当接する部分が第1の硬さのブラシ毛3Aで構成された舌ブラシ1Aである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌の表面に当接させて舌苔を掻き取るためのブラシ部を有する舌ブラシであって、
前記ブラシ部は、中央部分とその周囲部分とが、硬さの異なる第1の硬さのブラシ毛と、前記第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛とから構成されたものであり、前記中央部分または前記周囲部分のうち、前記舌の表面に先に当接する部分が前記第2の硬さのブラシ毛で構成され、後に当接する部分が前記第1の硬さのブラシ毛で構成された舌ブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ部の表面が凸状であり、
前記中央部分が前記第2の硬さのブラシ毛で構成され、前記周囲部分が前記第1の硬さのブラシ毛で構成された
請求項1記載の舌ブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ部の表面が平坦状であり、
前記周囲部分が前記第2の硬さのブラシ毛で構成され、前記中央部分が前記第1の硬さのブラシ毛で構成された
請求項1記載の舌ブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ部の表面全体が前記舌の表面に密着した際に、前記ブラシ部から前記舌の表面に掛かる圧力が均等となるように前記第1の硬さのブラシ毛および前記第2の硬さのブラシ毛が調整された請求項1から3のいずれか1項に記載の舌ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舌の表面に当接させて舌苔を掻き取るための舌ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
口臭の原因となる舌苔を除去するものとして、例えば特許文献1には舌苔除去具が開示されている。この舌苔除去具は、舌の表面と当接して舌苔を掻き取るための円錐形突起と円筒形突起を一定の割合で配列して形成したブラシ部と、該ブラシ部を挿着すべく円形状の溝を形成したブラシ保持部と当該ブラシ保持部の後端側にブラシ保持部を把持するための首部および柄部を一方向に形成し、さらにブラシ保持部の先端側裏面にスキージ部を形成して構成されたものである。
【0003】
この舌苔除去具を使用して舌の表面に付着している舌苔を除去するようにすれば、エラストマ樹脂製のブラシ部において円錐形突起の円錐部が滑らかに舌に当接し、円筒形突起の円筒角部が確実に舌に当接すると共に、当該舌苔除去具を構成するブラシ保持部と首部と柄部およびスキージ部が適度な弾力性を有した軟質樹脂にて一体形成されているため、舌に圧迫感や掻爬感を残すことなく安全かつ十分に舌苔を掻き取って除去することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、舌苔を掻き取る際の問題点としては、上記圧迫感や掻爬感の他、嘔吐感や痛みが挙げられる。舌は圧迫すると嘔吐反射が出るが、特に一点や狭い範囲を圧迫するとより強い反応が出やすい。
【0006】
そこで、本発明においては、舌への圧力を分散することで嘔吐反応を抑えることが可能な舌ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の舌ブラシは、舌の表面に当接させて舌苔を掻き取るためのブラシ部を有する舌ブラシであって、ブラシ部は、中央部分とその周囲部分とが、硬さの異なる第1の硬さのブラシ毛と、第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛とから構成されたものであり、中央部分または周囲部分のうち、舌の表面に先に当接する部分が第2の硬さのブラシ毛で構成され、後に当接する部分が第1の硬さのブラシ毛で構成されたものである。
【0008】
舌は柔軟性があり形状が変化する。舌ブラシのブラシ部を舌に密着させるためには、ブラシ部を舌に押し付ける必要がある。本発明の舌ブラシでは、ブラシ部を舌に押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛が舌の表面に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌への圧力が分散されるとともに、次いで舌の表面に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛が柔らかい第2の硬さのブラシ毛の必要以上の変形を抑え、ブラシ部の表面全体が舌の表面に密着する。
【0009】
なお、舌ブラシを舌に当てる際、一般に舌の表面は中央部が凹んだ凹状となっている。そのため、ブラシ部の表面が凸状である場合には、ブラシ部の中央部分が舌の凹状の表面の中央部に当接し、次いでブラシ部の周囲部分が舌の凹状の表面の中央部に当接するので、中央部分が第2の硬さのブラシ毛で構成され、周囲部分が第1の硬さのブラシ毛で構成されたものであることが望ましい。これにより、表面が凸状であるブラシ部を舌に押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛が舌の凹状の表面の中央部に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌への圧力が分散されるとともに、次いで舌の凹状の表面の周囲部に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛が柔らかい第2の硬さのブラシ毛の必要以上の変形を抑え、ブラシ部の表面全体が舌の表面に密着する。
【0010】
また、ブラシ部の表面が平坦状である場合には、先にブラシ部の周囲部分が舌の凹状の表面の周囲部に当接し、次いでブラシ部の中央部分が舌の凹状の表面の中央部に当接するので、周囲部分が第2の硬さのブラシ毛で構成され、中央部分が第1の硬さのブラシ毛で構成されたものであることが望ましい。これにより、表面が平坦状であるブラシ部を舌に押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛が舌の凹状の表面の周囲部に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌への圧力が分散されるとともに、次いで舌の凹状の表面の中央部に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛が柔らかい第2の硬さのブラシ毛の必要以上の変形を抑え、ブラシ部の表面全体が舌の表面に密着する。
【0011】
また、本発明の舌ブラシは、ブラシ部の表面全体が舌の表面に密着した際に、ブラシ部から舌の表面に掛かる圧力が均等となるように第1の硬さのブラシ毛および第2の硬さのブラシ毛が調整されたものであることが望ましい。これにより、舌の表面に掛かる圧力が均等な状態でブラシ部が舌に密着するようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の舌ブラシによれば、ブラシ部を舌に押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛よりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛が舌の表面に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌への圧力が分散されるとともに、次いで舌の表面に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛が柔らかい第2の硬さのブラシ毛の必要以上の変形を抑えることができ、嘔吐反応を抑えながら舌苔を除去することができる。また、圧力が舌の表面の一点に集中しないので、舌の痛みも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態における舌ブラシのブラシ部の正面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における舌ブラシの使用時の形状変化を示す説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態における舌ブラシのブラシ部の
図1のA-A線に対応する断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態における舌ブラシの使用時の形状変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
図1は本発明の第1実施形態における舌ブラシのブラシ部の正面図、
図2は
図1のA-A線断面図、
図3は本発明の第1実施形態における舌ブラシの使用時の形状変化を示す説明図である。
【0015】
図1および
図2において、本発明の第1実施形態における舌ブラシ1Aは、舌T(
図3参照。)の表面に当接させて舌苔を掻き取るためのブラシ部2を有する。ブラシ部2は、中央部分2Aと、この中央部分2Aを取り囲むその周囲部分2Bとが、硬さの異なる第1の硬さのブラシ毛3Aと、第1の硬さのブラシ毛3Aよりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bとから構成されている。
【0016】
ブラシ毛3A,3Bはブラシ保持部4上に植毛される。第1の硬さのブラシ毛3Aは、舌苔を掻き取るために必要な通常の硬さとする。第2の硬さのブラシ毛3Bは、第1の硬さのブラシ毛3Aよりも柔らかい硬さとする。ブラシ毛3A,3Bの硬さの調整は、例えば以下のように材質、長さ、植毛面積(密度)や太さ等を変えることにより行う。
【0017】
(1)材質による硬さ調整
ブラシ毛3A,3Bは、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレンや飽和ポリエステル樹脂等の樹脂繊維からなる。これらの樹脂繊維は個々に硬さや柔軟性に違いがあるため、ブラシ毛3A,3Bのそれぞれの材質を変えることにより硬さ調整を行うことができる。
【0018】
(2)長さによる硬さ調整
ブラシ毛3A,3Bの長さを変えることにより硬さ調整を行うことができる。同じ材質、同じ直径の場合、毛の長さを長くすると柔らかくなり、短くすると硬くなる。例えば、毛の長さは7mmを標準の長さとした場合、7mmより長くなると柔らかくなり、7mmより短くすると硬くなる。
【0019】
(3)植毛面積(密度)による硬さ調整
ブラシ毛3A,3Bの密度を高くすると硬くなり、密度を低くすると柔らかくなる。したがって、ブラシ毛3A,3Bのそれぞれの密度を変えることで硬さ調整を行うことができる。
【0020】
(4)太さによる硬さ調整
ブラシ毛3A,3Bの太さを変えることにより硬さ調整を行うことができる。毛の径を太くすると硬くなり、細くすると柔らかくなる。
【0021】
本実施形態における舌ブラシ1Aは、
図2に示すように、ブラシ部2の表面2Cが凸状となっている。また、一般に舌Tの表面T1は中央部が凹んだ凹状となっているため、ブラシ部2を舌Tに当てる際、舌Tの表面T1に中央部分2Aが先に当接し、後に周囲部分2Bが当接する。舌ブラシ1Aでは、この舌Tの表面T1に先に当接する中央部分2Aが第2の硬さのブラシ毛3Bで構成され、後に当接する周囲部分2Bが第1の硬さのブラシ毛3Aで構成されている。
【0022】
上記構成の舌ブラシ1Aを舌Tの表面T1に当接させて押し付けた際、
図3に示すように柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bが舌Tの凹状の表面T1の中央部に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌Tへの圧力が分散されるとともに、次いで舌Tの凹状の表面T1の周囲部に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛3Aが柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bの必要以上の変形を抑え、ブラシ部2の表面全体が舌Tの表面T1に密着する。
【0023】
特に、本実施形態における舌ブラシ1Aにおいては、ブラシ部2の表面全体が舌Tの表面T1に密着した際に、ブラシ部2から舌Tの表面T1に掛かる圧力が均等となるように第1の硬さのブラシ毛3Aおよび第2の硬さのブラシ毛3Bが調整されたものとすることで、舌Tの表面T1に掛かる圧力が均等な状態でブラシ部2を舌T1に密着させることができる。
【0024】
このように、本実施形態における舌ブラシ1Aでは、ブラシ部2を舌Tに押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛3Aよりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bが舌Tの表面T1に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌Tへの圧力が分散されるとともに、次いで舌Tの表面T1に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛3Aが柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bの必要以上の変形を抑えることができ、嘔吐反応を抑えながら舌苔を除去することができる。また、圧力が舌Tの表面の一点に集中しないので、舌Tの痛みも抑えることができる。
【0025】
<実施の形態2>
図4は本発明の第2実施形態における舌ブラシのブラシ部の
図1のA-A線に対応する断面図、
図5は本発明の第2実施形態における舌ブラシの使用時の形状変化を示す説明図である。なお、
図4および
図5において、上記実施の形態1と共通の構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図4に示すように、本発明の第2実施形態における舌ブラシ1Bは、ブラシ部2の表面2Cが平坦状(フラット)である。このような表面2Cが平坦状のブラシ部2を舌Tに当てる場合、中央部が凹んだ凹状となっている舌Tの表面T1に周囲部分2Bが先に当接し、後に中央部分2Aが当接する。舌ブラシ1Bは、この舌Tの表面T1に先に当接する周囲部分2Bが柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bで構成され、後に当接する中央部分2Aが硬い第1の硬さのブラシ毛3Aで構成されている。
【0027】
上記構成の舌ブラシ1Bを舌Tの表面T1に当接させて押し付けた際、
図5に示すように柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bが舌Tの凹状の表面T1の周囲部に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌Tへの圧力が分散されるとともに、次いで舌Tの凹状の表面T1の中央部に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛3Aが柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bの必要以上の変形を抑え、ブラシ部2の表面全体が舌Tの表面T1に密着する。
【0028】
特に、本実施形態における舌ブラシ1Bにおいて、ブラシ部2の表面全体が舌Tの表面T1に密着した際に、ブラシ部2から舌Tの表面T1に掛かる圧力が均等となるように第1の硬さのブラシ毛3Aおよび第2の硬さのブラシ毛3Bが調整されたものとすることで、舌Tの表面T1に掛かる圧力が均等な状態でブラシ部2を舌T1に密着させることができる。
【0029】
このように、本実施形態における舌ブラシ1Bでは、ブラシ部2を舌Tに押し付けた際に第1の硬さのブラシ毛3Aよりも柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bが舌Tの表面T1に先に当接して撓み、圧力を逃がすので、舌Tへの圧力が分散されるとともに、次いで舌Tの表面T1に当接する硬い第1の硬さのブラシ毛3Aが柔らかい第2の硬さのブラシ毛3Bの必要以上の変形を抑えることができ、嘔吐反応を抑えながら舌苔を除去することができる。また、圧力が舌Tの表面の一点に集中しないので、舌Tの痛みも抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の舌ブラシは、舌の表面に当接させて舌苔を掻き取るための舌ブラシとして有用であり、特に、舌への圧力を分散することで嘔吐反応を抑えることが可能な舌ブラシとして好適である。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B 舌ブラシ
2 ブラシ部
2A 中央部分
2B 周囲部分
3A,3B ブラシ毛
4 ブラシ保持部