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特開2024-165446装置の状態監視システム、および状態監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165446
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】装置の状態監視システム、および状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20241121BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20241121BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20241121BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241121BHJP
【FI】
G06F11/30 168
G06F11/07 184
G06F11/34 147
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081658
(22)【出願日】2023-05-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 真章
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA09
5B042MC15
(57)【要約】
【課題】装置の状態監視に係る機能と、SNSによる機能を組み合わせ、装置の状態監視およびユーザ間の情報共有や情報分析の負担を軽減させる。
【解決手段】状態監視システムにて、第1のシステムは、監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報とを含む第1のメッセージの投稿を受け付け、投稿されたメッセージを他のシステムへ提供し、ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力し、第2のシステムは、前記監視対象装置の動作時における測定データを取得し、測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得し、取得された第1の文字列情報および第2の文字列情報を含む第2のメッセージを第1のシステムに投稿する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象装置の状態監視システムであって、
ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステムと、
前記監視対象装置の動作時における測定データを用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステムと、
を含んで構成され、
前記第1のシステムは、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける手段と、
投稿されたメッセージを他のシステムへ提供する手段と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する手段と、
を有し、
前記第2のシステムは、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する手段と、
測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得する手段と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージを前記第1のシステムに投稿する手段と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視システム。
【請求項2】
前記状態監視システムは、前記監視対象装置の動作時における測定データを収集する第3のシステムを含んで構成され、
前記第3のシステムは、
前記監視対象装置から収集した測定データを他のシステムへ提供する手段と、
前記監視対象装置から異常の発生を示す通知を受信した際に、当該通知の内容を示す第1の文字列情報を含む第3のメッセージを前記第1のシステムに投稿する手段と、
を有する、請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項3】
前記第1の文字列情報は、ハッシュタグが付与された文字列である、請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項4】
前記第2のシステムは、
前記第1のシステムから取得されるメッセージに付与されたタイムスタンプと、前記測定データに示される測定時の時間情報とに基づいて対応付けを行うことにより、前記学習データを生成する手段と、
前記学習データを用いて学習処理を行うことにより、測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを生成する手段と、
を更に有する請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項5】
前記第2のシステムは、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報に基づいて、前記監視対象装置に対する制御パラメータを生成する手段と、
前記生成された制御パラメータを用いて、前記監視対象装置の動作を制御させる手段と、
を更に有する、請求項1に記載の状態監視システム。
【請求項6】
ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステムと、
監視対象装置の動作時における測定データを用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステムと、
を含んで構成される状態監視システムの状態監視方法であって、
前記第1のシステムにおいて、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける工程と、
投稿されたメッセージを他のシステムへ提供する工程と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する工程と、
を有し、
前記第2のシステムにおいて、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する工程と、
測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得する工程と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージを前記第1のシステムに投稿する工程と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の状態監視システム、および状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸受装置や摺動装置などの様々な機械装置に対して状態監視を行い、検知した状態に応じて機械装置に対する制御を実施し、適切に動作を継続させることが行われている。状態変化を検知した際には、検知した内容に応じて管理者等のユーザに通知することで、必要に応じてメンテナンスや動作条件の調整を促すなどの構成が知られている。例えば、特許文献1では、デバイス装置の状態変化を監視し、検知内容に応じて、所定の宛先に電子メールを送信する構成が開示されている。
【0003】
また、機械装置の制御においては、所定の制御パラメータによる指示の他、自然言語を介して行う構成も知られている。例えば、特許文献2では、ユーザの利便性向上のために、装置に対する操作として、自然言語を含む要求を受け付け、これらからキーワードを抽出した上で装置に対する制御を実行する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-215484号公報
【特許文献2】特開2014-104625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、様々なユーザが情報共有するためのツールとして、SNS(Social Network Service)が普及してきている。例えば、装置のメンテナンスを行った保守作業者が、SNSサービスにおいて、メンテナンス内容や対象装置の情報などを登録しておき、他のユーザがSNSサービスにアクセスすることでこれらの情報を参照するといった利用方法がある。SNSサービスには様々な機能があり、例えば、自然言語などによる任意のメッセージを登録することが可能である。
【0006】
一方、上記のような装置の状態監視に際し、機械装置の動作ログなどに応じて状態監視を行う場合、そのデータ量が膨大になることから、管理者などが個々に解析して異常の判断を行うことは負荷が高い。また、機械装置のメンテナンスを行う前、すなわち、異常が検知される直前の動作ログなどは異常検知や異常の予兆検知などに有用であると想定されるが、これらを管理者が都度監視や分析することも負荷が高い。
【0007】
上記課題を鑑み、本発明は、装置の状態監視に係る機能と、SNSによる機能を組み合わせ、装置の状態監視およびユーザ間の情報共有や情報分析の負担を軽減させるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、監視対象装置の状態監視システムであって、ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステムと、
前記監視対象装置の動作時における測定データを用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステムと、
を含んで構成され、
前記第1のシステムは、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける手段と、
投稿されたメッセージを他のシステムへ提供する手段と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する手段と、
を有し、
前記第2のシステムは、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する手段と、
測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得する手段と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージを前記第1のシステムに投稿する手段と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視システム。
【0009】
また、本発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、
ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステムと、
監視対象装置の動作時における測定データを用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステムと、
を含んで構成される状態監視システムの状態監視方法であって、
前記第1のシステムにおいて、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける工程と、
投稿されたメッセージを他のシステムへ提供する工程と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する工程と、
を有し、
前記第2のシステムにおいて、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する工程と、
測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデルを用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得する工程と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージを前記第1のシステムに投稿する工程と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、装置の状態監視に係る機能と、SNSによる機能を組み合わせ、装置の状態監視およびユーザ間の情報共有や情報分析の負担を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る状態監視システムの構成例を示すブロック図。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図。
図3】本発明の一実施形態に係る状態監視システムのデータ生成に係るシーケンス図。
図4】本発明の一実施形態に係る状態監視システムの学習処理に係るシーケンス図。
図5】本発明の一実施形態に係る状態監視システムの状態監視処理に係るシーケンス図。
図6】本発明の一実施形態に係る状態監視システムの機能構成(学習)を説明するためのブロック図。
図7】本発明の一実施形態に係る状態監視システムの機能構成(状態監視)を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を説明するための一実施形態であり、本発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明を行う。本実施形態に係るシステムは、状態監視システム1、監視対象装置500、保守用端末600、および管理用端末700を含んで構成される。
【0014】
状態監視システム1は、データ収集システム100、SNSシステム200、データ管理システム300、および学習システム400を含んで構成される。なお、状態監視システム1を構成する各システムは、オンプレミス型もしくはクラウド型のサーバにて構成されていてよい。したがって、状態監視システム1を構成する各システムはそれぞれが1つまたは複数のサーバ装置にて実現されてもよいし、まとめて1つの装置にて実現されてもよい。また、各システムの構成は一例であり、更に他のシステムが含まれてもよいし、一部のシステムが省略または統合されてもよい。また、各システムが、クラウド型などのウェブベースのサービスとして構成される場合には、それぞれが別個のサービスとして構成され、互いに連携可能に構成されてよい。
【0015】
なお、本実施形態において、「状態監視」とは、装置(ここでは、1つまたは複数の監視対象装置500)において既に発生している状態に加え、状態変化の予兆、例えば、異常が発生する予兆を捉えることも含む。また、本実施形態において、「異常」とは、特に限定するものではなく、装置自体の停止を要求するものや、装置における任意の制御パラメータや動作条件を切り替えるものであってよい。したがって、これらは、監視対象装置500の構成などに応じて変更されてよい。
【0016】
データ収集システム100は、1つまたは複数の監視対象装置500から各装置の状態などに関するデータを適宜収集する。ここで収集されるデータの内容は特に限定するものではなく、監視対象装置500の構成や監視内容に応じて変更されてよい。データの収集は、データ収集システム100が起点となって監視対象装置500に要求を行い、これに応答して監視対象装置500が該当のデータを送信するような構成であってもよい。もしくは、監視対象装置500が起点となって、所定の条件(例えば、予め規定されて時間間隔)に基づいてデータ収集システム100にデータを送信するような構成であってもよい。
【0017】
また、データ収集システム100は、収集したデータの内容に応じて、データ管理システム300へデータを送信したり、SNSシステム200へデータに関する情報を投稿したりする。SNSシステム200への投稿の例については後述する。
【0018】
SNSシステム200は、複数のユーザ(装置含む)が、互いにコミュニケーションをとることが可能に構成されるソーシャルネットワーキングサービスを提供するシステムである。ユーザは、所定の情報(メッセージ等)をSNSシステム200に入力(投稿)することで、他のユーザは、その情報を参照したり、利用したりすることが可能である。SNSシステム200により提供される機能は、後述する機能の他、公知のコミュニケーション機能が含まれてよい。
【0019】
データ管理システム300は、データ収集システム100にて収集されたデータを管理する。また、データ管理システム300は、管理しているデータを他のシステムからの要求に応じて提供する。
【0020】
学習システム400は、データ管理システム300にて管理しているデータを用いて、学習処理を行い、状態監視時に用いる学習済みモデルを生成する。本実施形態にて用いる学習処理や学習済みモデルの詳細については、後述する。
【0021】
監視対象装置500は、状態監視が行われる対象となる装置である。図1では、監視対象装置500は、1つのみが示されているが、複数の監視対象装置500が設けられ、それぞれのデータがデータ収集システム100にて収集されてよい。監視対象装置500としては、例えば、加工機、研磨装置などであってよく、その種類や数は特に限定するものではない。
【0022】
保守用端末600は、監視対象装置500に対するメンテナンスなどの保守作業を行うユーザ(保守作業者)によって利用される情報処理装置である。保守用端末600は、PC(Personal Computer)などの情報処理装置であってもよいし、スマートフォン、タブレット端末、POS端末などの携帯端末であってもよい。図1では、保守用端末600は、1つのみが示されているが、保守作業を行うユーザの数に応じて複数の保守用端末600が含まれてよい。
【0023】
管理用端末700は、監視対象装置500を管理したり、監視したりする作業を行うユーザ(装置管理者)によって利用される情報処理装置である。保守用端末600は、PC(Personal Computer)などの情報処理装置であってもよいし、スマートフォン、タブレット端末、POS端末などの携帯端末であってもよい。図1では、管理用端末700は、1つのみが示されているが、管理を行うユーザの数に応じて複数の管理用端末700が含まれてよい。また、保守用端末600と管理用端末700が一体となって構成されてもよい。また、保守用端末600や管理用端末700は、例えば、PCなどの汎用的な情報処理装置にて構成されてもよいし、専用の装置として構成されてもよい。
【0024】
以下の説明において、「学習」または「機械学習」とは、学習データおよび任意の学習アルゴリズムを用いて学習を行うことにより、「学習済みモデル」を生成することを指す。学習済みモデルは、複数の学習データを用いて学習が進むことにより、適宜更新され、同じ入力であってもその出力が変化していく。したがって、学習済みモデルは、いずれの時点での状態であるかを限定するものではない。ここでは、学習にて用いられるモデルを「学習モデル」と記載し、一定程度の学習が行われた学習モデルを「学習済みモデル」と記載する。
【0025】
また、「学習データ」の具体的な例については後述するが、その構成は、利用する学習アルゴリズムに応じて、調整・変更されてよい。また、学習データには、学習そのものに用いられる教師データ、学習済みモデルの検証に用いられる検証データ、学習済みモデルのテストに用いられるテストデータを含んでよい。以下の説明では、学習に関するデータを包括的に示す場合は、「学習データ」と記載し、学習そのものを行う際のデータを示す場合は「教師データ」と記載する。なお、学習データに含まれる教師データ、検証データ、およびテストデータを明確に分類することを意図するものではなく、例えば、学習、検証、およびテストの方法によっては、学習データすべてが教師データにもなり得る。
【0026】
また、学習データの構成や、学習データに対する前処理は、学習アルゴリズムの種類や、学習モデルの入出力の内容に応じて変化し得る。したがって、下記に記載する各データの項目の組み合わせは一例であり、これに限定するものではない。
【0027】
(装置構成)
図2は、本実施形態に係る状態監視システム1を構成する各種システム、保守用端末600、および、管理用端末700として利用可能な情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0028】
情報処理装置10は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、外部IF(Interface)15、および通信部16を含んで構成される。
【0029】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Single Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、またはGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)、または専用回路などから構成されてよい。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の揮発性および不揮発性の記憶媒体により構成され、制御部11からの要求に基づいて各種情報の入出力が可能である。
【0030】
操作部13は、ユーザからの操作を受け付ける際に用いられる部位であり、例えば、マウスやキーボードなどから構成されてよい。表示部14は、診断結果や入力画面の表示などを行い、液晶ディスプレイなどから構成される。なお、操作部13と表示部14をタッチパネルディスプレイなどで一体として構成してもよい。
【0031】
外部IF15は、外部装置に接続されるためのインターフェースであり、例えば、他のシステムとのデータの送受信などに用いられる。通信部16は、外部装置と通信を行うためのネットワークインターフェースであり、有線/無線などの任意の通信規格が用いられてよい。
【0032】
後述する各システムの機能は、例えば、各システムを構成する情報処理装置10において、制御部11が、記憶部12に格納された各種プログラムやデータを読み出して実行することで実現されてよい。また、後述する各システムの機能は、アプリケーションプログラムとして情報処理装置にインストールされて実装されてもよいし、ブラウザ等により機能するWebアプリケーションとして実装されてもよい。
【0033】
[処理の流れ]
本実施形態では、監視対象である監視対象装置500の状態監視と、収集されたデータを用いた学習とが同時並行的に行われるものとする。なお、状態監視に用いられる学習済みモデルについては、一定の学習処理が行われた結果、生成されているものとするが、適宜学習処理が繰り返され、学習済みモデルも更新されてよい。ここでは、「データ収集」、「学習」、「状態監視」の各フェーズについて個別に説明する。
【0034】
(データ収集)
図3は、各種データを収集する際の処理のシーケンス図である。本実施形態において、収集対象のデータとして、測定データ、異常情報、および保守情報を用いる。本実施形態において、測定データは、監視対象装置500の動作中に、監視対象装置500にて適宜記録される動作ログ、検出値、制御パラメータなどが含まれる。また、測定データには、測定時の時間情報が含まれる。本実施形態において、異常情報は、保守作業を行ったユーザによって、保守用端末600を介してSNSシステム200に投稿される文字列情報のうち、「#(ハッシュタグ)」が付与された文字列である。異常情報には、保守作業を行ったユーザが、当該保守作業にて対応した異常に関する情報(分類等)を設定する。本実施形態において、保守情報は、保守作業を行ったユーザによって、保守用端末600を介してSNSシステム200に投稿される文字列情報のうち、異常情報と併せて入力された文字列である。保守情報には、保守作業を行ったユーザが、当該保守作業にて対応した内容に関する情報(実施した作業項目など)が文字列として示される。
【0035】
S301にて、監視対象装置500は、動作中に異常を検知したか否かを判定する。ここでの異常の内容は、監視対象装置500の機能等に応じて異なっていてよい。検知すべき異常は、装置側で予め規定されていてもよいし、ユーザ(例えば、装置管理者)が設定可能であってもよい。異常を検知した場合(S301にてYES)、監視対象装置500の処理は、S302へ進む。一方、異常を検知していない場合(S301にてNO)、監視対象装置500の処理はS303へ進む。
【0036】
S302にて、監視対象装置500は、検知した異常の内容を示すデータを、測定データとしてデータ収集システム100へ送信する。その後、監視対象装置500の処理は、S301へ戻り、処理を繰り返す。
【0037】
S303にて、監視対象装置500は、所定の送信タイミングか否かを判定する。所定の送信タイミングは、予めデータの送信間隔が規定されていてもよいし、データ収集システム100からの要求を受信した際であってもよい。または、所定の送信条件を満たした場合であってもよい。所定の送信タイミングである場合(S303にてYES)、監視対象装置500の処理はS304へ進む。一方、所定の送信タイミングでない場合(S303にてNO)、監視対象装置500の処理は、S301へ戻り、処理を繰り返す。
【0038】
S304にて、監視対象装置500は、動作中に記録した動作に係るデータを測定データとしてデータ収集システム100へ送信する。その後、監視対象装置500の処理は、S301へ戻り、処理を繰り返す。
【0039】
S301~S304の処理工程は、1つまたは複数の監視対象装置500それぞれにて実行され、これらの監視対象装置500が動作している間、継続的に繰り返される。
【0040】
S311にて、保守用端末600は、ユーザから監視対象装置500の作業報告を受け付ける。ここでの受付は、ユーザが保守用端末600を介してSNSシステム200にアクセスし、入力画面の要求を行った際に表示される画面を介して行われてよい。ここでの作業報告には、上述した異常情報(例えば、「#異常復旧#モータ交換」)と保守情報(例えば、「××モータの交換作業を行いました」)が含まれる。また、作業報告が行われるタイミングとしては、例えば、監視対象装置500にて発生した異常に対処するために、保守作業者によって部品の交換が行われた場合などが該当する。
【0041】
S312にて、保守用端末600は、ユーザから受け付けた報告内容に基づく情報を、SNSシステム200に投稿することで送信する。
【0042】
S321にて、データ収集システム100は、監視対象装置500から受信した測定データ(異常の検知データ)を記憶部に保存する。ここでの測定データには、取得したタイミングを示すタイムスタンプの情報が含まれる。
【0043】
S322にて、データ収集システム100は、S321にて受信した測定データに基づき、異常に関連する情報をSNSシステム200に投稿する。例えば、「#(ハッシュタグ)」と異常を示す文字列(例えば、「モータ過負荷」)を含むメッセージ(例えば、「#モータ過負荷」)が、SNSシステム200に投稿される。
【0044】
S323にて、データ収集システム100は、監視対象装置500から受信した測定データ(定期的な測定データ)を記憶部に保存する。ここでの測定データには、取得したタイミングを示すタイムスタンプの情報が含まれる。
【0045】
S324にて、データ収集システム100は、S323にて受信した測定データの一部または全部をデータ管理システム300へ送信する。ここでのデータは、例えば、保持しているデータ量に応じて分割して送信されてもよいし、後段の処理に必要なデータのみが抽出されて送信されてもよい。
【0046】
S331にて、SNSシステム200は、データ収集システム100から受信した投稿を保存する。ここでの保存は、例えば、SNSシステム200内の仕様に合わせて、データ形式を変換したり、所定の管理情報を付与したりしてもよい。
【0047】
S332にて、SNSシステム200は、S331にて保存したデータをデータ管理システム300へ送信する。ここで送信されるデータは、例えば、異常情報を含む異常検知に関する投稿に対応するデータが挙げられる。
【0048】
S333にて、SNSシステム200は、保守用端末600から受信した投稿を保存する。ここでの保存は、例えば、SNSシステム200内の仕様に合わせて、データ形式を変換したり、所定の管理情報を付与したりしてもよい。
【0049】
S334にて、SNSシステム200は、S333にて保存したデータをデータ管理システム300へ送信する。ここで送信されるデータは、例えば、異常情報や保守情報を含む作業報告に関する投稿に対応するデータが挙げられる。
【0050】
S341にて、データ管理システム300は、SNSシステム200からのデータ(異常検知に関する投稿)を受信する。
【0051】
S342にて、データ管理システム300は、データ収集システム100からのデータを受信する。
【0052】
S343にて、データ管理システム300は、SNSシステム200からデータ(作業報告に関する投稿)を受信する。
【0053】
S344にて、データ管理システム300は、S341~S343にて受信したデータを保存する。データ管理システム300は、受信したデータの種類や送信元、受信したタイミングなどに応じて、保存形式などを変更してもよい。
【0054】
(学習)
図4は、収集した各種データを用いて学習を行い、状態監視時に用いる学習済みモデルを生成する際の処理のシーケンス図である。本処理シーケンスは、例えば、図3にて示したデータ収集が行われ、学習データとして一定程度のデータが蓄積された際に行われてよい。または、システムの管理者によって、任意のタイミングにて実行されてもよい。一般的に学習処理は、その負荷が高いため、学習システム400による処理は他のシステムの動作とは別個に行われ、学習システム400が他のシステムからの要求に応じて、生成された学習済みモデルを提供することが好ましい。
【0055】
S401にて、データ管理システム300は、学習システム400に保存しているデータを送信する。ここで送信されるデータは、例えば、前回の送信からの差分のみを対象としてもよいし、予め規定された期間内のデータすべてを送信してもよい。
【0056】
S411にて、学習システム400は、データ管理システム300からのデータを受信する。
【0057】
S412にて、学習システム400は、S411にてデータ管理システム300から受信したデータを用いて、第1の学習処理に用いられる第1の学習データを生成する。第1の学習処理および第1の学習データの詳細については、図6を用いて後述する。
【0058】
S413にて、学習システム400は、S411にてデータ管理システム300から受信したデータを用いて、第2の学習処理に用いられる第2の学習データを生成する。第2の学習処理および第2の学習データの詳細については、図6を用いて後述する。
【0059】
S414にて、学習システム400は、S412にて生成した第1の学習データを用いて、第1の学習済みモデルを生成するための第1の学習処理を実行する。本工程の結果、第1の学習済みモデルとして、状態推定用の学習済みモデルが生成される。
【0060】
S415にて、学習システム400は、S413にて生成した第2の学習データを用いて、第2の学習済みモデルを生成するための第2の学習処理を実行する。本工程の結果、第2の学習済みモデルとして、保守情報生成用の学習済みモデルが生成される。
【0061】
S416にて、学習システム400は、S414にて生成された第1の学習済みモデルおよびS415にて生成された第2の学習済みモデルを保存する。なお、学習システム400は、学習に用いたデータや、学習済みモデルのバージョンなどを併せて管理してよい。
【0062】
(状態監視)
図5は、生成された学習済みモデルを用いて、監視対象装置500の状態を監視する処理のシーケンス図である。本処理が開始される前に、図4によるシーケンスにより、各学習済みモデルが生成され、利用可能な状態とする。なお、図4に示したシーケンスは適宜実施され、学習処理によって各学習済みモデルは適宜更新されるが、図5における処理シーケンスはいずれの段階の学習済みモデルを利用するかについては、特に限定するものではない。
【0063】
S501にて、データ管理システム300は、監視対象装置500から受信した測定データを学習システム400に送信する。ここでの送信は、監視対象装置500から測定データを所定の間隔にて受信するごとに行われてもよいし、管理者等によって指定されたタイミングにて送信してもよい。
【0064】
S511にて、学習システム400は、データ管理システム300からの測定データを受信する。このとき、学習システム400は、受信した測定データを、学習済みモデルに適用するための所定の形式となるように前処理を行ってもよい。前処理は、例えば、図4のS412やS413の工程にて行われた学習データの生成内容に対応して実行されてよい。
【0065】
S512にて、学習システム400は、第1の学習済みモデルを用いて、測定データに対応する監視対象装置500の状態の推定を行う。本工程の詳細については図7を用いて後述する。
【0066】
S513にて、学習システム400は、S512にて推定した状態に関する情報を第2の学習済みモデルに適用することで、保守情報を生成する。本工程の詳細については図7を用いて後述する。
【0067】
S514にて、学習システム400は、S512にて生成した状態に関する情報およびS513にて生成した保守情報を含むメッセージをSNSシステム200に投稿する。ここでのメッセージの例については後述する。なお、S512の工程において、監視対象装置500の状態として、異常の発生または予兆の推定がなされた場合に、S513、S514の処理が実行されるような構成であってもよい。このような構成の場合には、異常の発生または予兆の検知の推定がなされていない際には、S513の工程以降の処理は省略されてよい。もしくは、異常の発生または予兆の検知が推定されていない際には、その旨を示すSNSシステム200への投稿のみが行われてもよい。
【0068】
S515にて、学習システム400は、S513にて生成した保守情報に基づいて、監視対象装置500の制御パラメータを生成する。ここで生成される制御パラメータは、監視対象装置500の状態に対応して生成されてよく、例えば、生成された保守情報に対応して予め規定されているテーブル等に基づいて生成されてよい。または、監視対象装置500の停止命令を生成してもよい。
【0069】
S516にて、学習システム400は、S515にて生成された制御パラメータを含めて、監視対象装置500に制御指示を送信する。
【0070】
S521にて、SNSシステム200は、学習システム400からの投稿を受信する。
【0071】
S522にて、SNSシステム200は、S521にて受信した投稿を出力する。ここでの出力は、例えば、管理用端末700に対して新たな投稿がある旨を通知することで行われてもよいし、管理用端末700から所定の画面にアクセスされた際に出力するように構成されてもよい。また、出力される内容は、S521にて受信した投稿をそのまま出力してもよいし、投稿された内容に基づいて、SNSシステム200側で所定の形式に変更した上で表示させてもよい。
【0072】
S531にて、管理用端末700は、SNSシステム200における投稿を出力する。ここでの出力は、ユーザ操作に基づいて画面上で新たな投稿を出力してもよいし、SNSシステム200からの通知に基づいて、ユーザが認識可能なように通知してもよい。
【0073】
S541にて、監視対象装置500は、学習システム400からの制御指示を受信する。
【0074】
S542にて、監視対象装置500は、S541にて受信した制御指示に基づいて、動作内容を切り替える。
【0075】
なお、学習システム400におけるS515~S516の工程、および、監視対象装置500におけるS541~S542の工程については、監視対象装置500の構成や、発生している異常に応じて、省略されてもよい。この場合、学習システム400側で制御パラメータを生成せずに装置管理者への作業を促すのみの構成となる。また、学習システム400におけるS515~S516の工程は、学習システム400からの通知に基づいて、他の装置が実行してもよい。
【0076】
(学習済みモデルの生成)
図6は、本実施形態に係る学習済みモデルの生成を説明するための図である。本図は、図4にて示した学習システム400における処理の一部に対応する。
【0077】
本実施形態では、監視対象装置500の状態の推定のための学習済みモデル(第1の学習済みモデル)と、推定した状態に対する保守情報の生成のための学習済みモデル(第2の学習済みモデル)の2つを生成して用いる。
【0078】
S600にて、学習システム400は、データの取得を行う。ここで取得されるデータには、測定データ601、異常情報602、および保守情報603が含まれる。これらのデータは、図5に示したように、データ管理システム300にて取得、管理され、学習システム400に提供される。各データの具体例としては以下のような内容が挙げられる。
【0079】
測定データ:温度、振動、消費電力、連続稼働時間、動作箇所、消耗品の残量、制御パラメータ・・・
異常情報(「#」を含む文字列):「#異常復旧」、「#定期保守」、「#モータ過負荷」・・・
保守情報(保守管理に係る文字列):「モータ交換作業を行いました」、「定期点検をおこないました」・・・
【0080】
なお、保守情報については、投稿された文字列をそのまま用いてもよいし、構文解析や形態素解析などの自然言語処理を行った上で、用語や単語を抽出して用いてもよい。
【0081】
S610にて、学習システム400は、S600にて取得したデータを用いて、学習処理に用いる学習データを生成する。本実施形態では、第1の学習済みモデル631を生成する際に用いられる第1の学習データ611と、第2の学習済みモデル632を生成する際に用いられる第2の学習データ612を生成する。
【0082】
第1の学習データ611は、測定データ601と異常情報602との対から構成される。これらは、それぞれに関連付けられたタイムスタンプに基づいて関連付けられる。例えば、異常情報(「#・・・」)は、保守作業者による入力(SNSシステム200への投稿)に基づく。そのほか、異常情報(「#・・・」)は、監視対象装置500が異常を検知した際にデータ収集システム100に通知され、これに基づいてデータ収集システム100がSNSシステム200に行った投稿にも基づく。これらの異常情報602が入力された時刻から所定の期間(例えば、保守作業が行われる一定期間前の範囲や異常が検知される一定期間前の範囲)の測定データ601を、異常情報602に対応付けて、第1の学習データ611としてよい。
【0083】
第2の学習データ612は、異常情報602と保守情報603との対から構成される。これらは、SNSシステム200に投稿される同一のメッセージに含まれるため、それらを抽出して対応付けて、第2の学習データ612としてよい。
【0084】
なお、第1の学習データ611と第2の学習データ612は、必ずしも同じタイミングや同じ元データを用いて生成される必要はなく、それぞれが別個に生成されてよい。また、第1の学習データ611と第2の学習データ612はそれぞれ、監視対象装置500の種類や構成ごとに生成されることが好ましい。したがって、例えば、監視対象装置500の一例としての加工装置に対して、第1の学習データ611および第2の学習データ612が生成される。
【0085】
S620にて、学習システム400は、S610にて生成された第1の学習データ611および第2の学習データ612を用いて、学習処理を行う。なお、第1の学習済みモデル631を生成するための第1の学習処理と、第2の学習済みモデル632を生成するための第2の学習処理はそれぞれ、一定の学習データが生成された時点で実行されればよく、同期して行う必要はない。
【0086】
第1の学習処理では、第1の学習データ611と所定の学習アルゴリズムに基づく第1の学習モデル621を用いて学習処理を行うことにより、測定データを入力とし、異常情報を出力とする第1の学習済みモデル631を生成する。より具体的には、監視対象装置500の測定データとして、動作条件や動作ログなどが入力された際に、その監視対象装置500が異常状態であるか否かを示す異常情報を出力する学習済みモデルが生成される。言い換えると、測定データを、異常状態のいずれかもしくは正常状態に分類するための学習済みモデルとなる。
【0087】
ここでの分類は、保守管理者がSNSシステム200に投稿する異常情報(「#」を含む文字列)に対応して予め規定されていてよい。また、分類に係る学習アルゴリズムについては、特に限定するものではなく、任意の学習アルゴリズムが用いられてよい。
【0088】
第2の学習処理では、第2の学習データ612と所定の学習アルゴリズムに基づく第2の学習モデル622を用いて学習処理を行うことにより、異常情報を入力とし、保守情報を出力とする第2の学習済みモデル632を生成する。より具体的には、異常情報(「#」含む文字列)が入力された際に、この異常情報に対して実施させたい内容の保守情報を出力する学習済みモデルが生成される。例えば、異常情報として「#モータ動作不良」が入力された場合に、保守情報として「モータ交換」や「モータ動作確認」を出力するような構成であってよい。
【0089】
第1の学習済みモデル631と第2の学習済みモデル632についても、監視対象装置500の種類や構成ごとに生成されることが好ましい。したがって、例えば、監視対象装置500の一例としての加工装置に対して、第1の学習済みモデル631および第2の学習済みモデル632が生成される。
【0090】
上記の処理の結果、第1の学習済みモデル631および第2の学習済みモデル632が生成され、処理に用いられる。上述したように、学習の回数や段階に応じて、複数の第1の学習済みモデル631および複数の第2の学習済みモデル632が保持されてよい。
【0091】
(学習済みモデルを用いた状態監視)
図7は、本実施形態に係る状態監視を説明するための図である。本図は、図5に示した学習システム400における処理の一部に対応する。
【0092】
S700にて、学習システム400は、監視対象装置500の測定データ701を受信する。このとき、学習システムは、測定データ701を第1の学習済みモデル631に適用可能な形式に変換する前処理を行ってよい。
【0093】
S710にて、学習システム400は、上述した監視対象装置500の状態の推定のための学習済みモデル(第1の学習済みモデル)と、推定した状態に対する保守情報の生成のための学習済みモデル(第2の学習済みモデル)の2つを用いて、状態監視を行う。まず、第1の学習済みモデル631に対して、測定データ701を入力することにより、これに対する異常情報を取得する。このとき取得された異常状態にて、監視対象装置500に異常またはその予兆がある旨の分類がなされた場合には、更に、第1の学習済みモデル631から得られた異常情報を第2の学習済みモデル632に適用する。これにより、推定した異常状態に対応する保守情報を出力する。
【0094】
S720にて、学習システム400は、取得された異常情報および保守情報を用いて、SNSシステム200にメッセージの投稿を行う。なお、S720における投稿処理にて投稿されるメッセージは、S710にて取得された異常情報および保守情報をそのまま投稿してもよいし、所定の変換を行った上で投稿してもよい。
【0095】
例えば、保守情報については、ユーザ(例えば、装置管理者)が理解しやすいように、S720にて取得された保守情報の文字列を所定の文章パターンに埋め込んでもよい。例えば、保守情報として「モータ交換」が取得された場合に、これを、予め規定された文章パターン「〇〇を行ってください。」に適用して、「モータ交換を行ってください。」というメッセージを生成してもよい。文章パターンは、上記の分類等に対応して予め規定されていてよい。
【0096】
そのほか、第2の学習済みモデル632自体もしくはその後段に別途設けられた学習済みモデルが投稿用のメッセージとしての保守情報を生成するような構成であってもよい。例えば、第2の学習済みモデル632自体が投稿用のメッセージを生成する場合、異常情報として「#モータ動作不良」が入力された際に、保守情報として「モータ動作を確認してください。」や「モータ交換の準備をしてください。」と出力するような構成であってもよい。このような自然言語を扱う学習アルゴリズムとしては、Tensorflowなどのフレームワークを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)などが知られており、これらを適用可能である。
【0097】
以上のような構成により、状態監視システム1側では、監視対象装置500からの測定データに基づいて、監視対象装置500の状態監視を行うことが可能となる。そして、異常等を検知した場合には、その旨、および検知した内容に応じて要求される動作を装置管理者に通知して促すことが可能となる。また、装置管理者は、監視対象装置500の動作に伴って生じる各種測定データを個々に確認、分析することなく、状態の変化を把握することが可能となる。その結果、監視対象装置500に対する運用管理が容易になり、作業負荷を低減する共に、異常発生時などに行うべき作業も容易に把握することが可能となる。また、すでに発生した異常に限らず、異常発生の予兆も捉えることができ、障害発生前での対応や事前準備ができ、更には、故障等によるダウンタイムの発生なども削減することが可能となる。
【0098】
<その他の実施形態>
また、本発明において、上述した1つ以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0099】
また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array))によって実現してもよい。
【0100】
また、本明細書において、用語「第1」、「第2」といった表現は、他の要素と区別するために用いられているに過ぎず、特定の要素に限定的に解釈することを意図するものではない。したがって、本発明が適用される構成等に応じて、これらは適宜読み替えられてよい。
【0101】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0102】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 監視対象装置(例えば、500)の状態監視システム(例えば、1)であって、
ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステム(例えば、200)と、
前記監視対象装置の動作時における測定データ(例えば、701)を用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステム(例えば、400)と、
を含んで構成され、
前記第1のシステムは、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報(例えば、602)と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報(例えば、603)とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける手段(例えば、11、15、16)と、
投稿されたメッセージを他のシステム(例えば、300、400)へ提供する手段(例えば、11、15、16)と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する手段(例えば、11、14)と、
を有し、
前記第2のシステムは、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する手段(例えば、11、15、16)と、
測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデル(例えば、631、632)を用いて、新たな測定データ(例えば、701)に対応する第1の文字列情報(例えば、721)および第2の文字列情報(例えば、721)を取得する手段(例えば、11)と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージ(例えば、721)を前記第1のシステムに投稿する手段(例えば、11、15、16)と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視システム。
この構成によれば、状態監視システム1側では、監視対象装置500からの測定データに基づいて、監視対象装置500の状態監視を行うことが可能となる。そして、異常等を検知した場合には、その旨、および検知した内容に応じて要求される動作を装置管理者に通知して促すことが可能となる。また、装置管理者は、監視対象装置500の動作に伴って生じる各種測定データを個々に確認、分析することなく、状態の変化を把握することが可能となる。その結果、監視対象装置500に対する運用管理が容易になり、作業負荷を低減する共に、異常発生時などに行うべき作業も容易に把握することが可能となる。また、すでに発生した異常に限らず、異常発生の予兆も捉えることができ、障害発生前での対応や事前準備ができ、更には、故障等によるダウンタイムの発生なども削減することが可能となる。
【0103】
(2) 前記状態監視システムは、前記監視対象装置の動作時における測定データを収集する第3のシステム(例えば、100)を含んで構成され、
前記第3のシステムは、
前記監視対象装置から収集した測定データを他のシステム(例えば、300)へ提供する手段(例えば、11、15、16)と、
前記監視対象装置から異常の発生を示す通知を受信した際に、当該通知の内容を示す第1の文字列情報を含む第3のメッセージを前記第1のシステムに投稿する手段(例えば、11、15、16)と、
を有する、(1)に記載の状態監視システム。
この構成によれば、データ収集システム100にて、異常の検知に関する情報を取得した際には、SNSシステム200に投稿を行うことで、装置管理者に通知を行うことが可能となる。更には、学習システム400における学習処理にて用いる学習データの生成にも、当該投稿に関する情報を利用することが可能となる。
【0104】
(3) 前記第1の文字列情報は、ハッシュタグが付与された文字列である、(1)または(2)に記載の状態監視システム。
この構成によれば、SNSに投稿されたメッセージから、異常状態を識別して抽出することが可能となる。また、これにより、学習データや異常の分類を用いる際の情報抽出の利便性が向上する。
【0105】
(4) 前記第2のシステムは、
前記第1のシステムから取得されるメッセージに付与されたタイムスタンプと、前記測定データに示される測定時の時間情報とに基づいて対応付けを行うことにより、前記学習データを生成する手段(例えば、11)と、
前記学習データを用いて学習処理を行うことにより、測定データを入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を出力とする学習済みモデル(例えば、631、632)を生成する手段(例えば、11)と、
を更に有する(1)から(3)のいずれかに記載の状態監視システム。
この構成によれば、収集された測定データ、異常情報、および保守情報を適宜収集して学習処理に用いることで、学習済みモデルを更新でき、監視対象装置に合わせて精度の良い状態監視が可能となる。
【0106】
(5) 前記第2のシステムは、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報に基づいて、前記監視対象装置に対する制御パラメータを生成する手段(例えば、11)と、
前記生成された制御パラメータを用いて、前記監視対象装置の動作を制御させる手段と(例えば、11)、
を更に有する、(1)から(4)のいずれかに記載の状態監視システム。
この構成によれば、検知した異常や予兆に応じて、監視対象の動作を制御することが可能となる。
【0107】
(6) ソーシャルネットワーキングサービスを提供する第1のシステム(例えば、200)と、
監視対象装置(例えば、500)の動作時における測定データ(例えば、701)を用いて、前記監視対象装置の状態を判定する第2のシステム(例えば、400)と、
を含んで構成される状態監視システム(例えば、1)の状態監視方法であって、
前記第1のシステムにおいて、
前記監視対象装置にて生じた状態を示す第1の文字列情報(例えば、602)と、当該状態に対応して実行された保守の内容を示す第2の文字列情報(例えば、603)とを含む第1のメッセージの投稿を受け付ける工程(例えば、S333)と、
投稿されたメッセージを他のシステムへ提供する工程(例えば、S332、S334)と、
前記ソーシャルネットワーキングサービスにて、投稿されたメッセージを出力する工程(例えば、S522)と、
を有し、
前記第2のシステムにおいて、
前記監視対象装置の動作時における測定データを取得する工程(例えば、S511)と、
測定データ(例えば、701)を入力とし、当該測定データに対応する第1の文字列情報(例えば、721)および第2の文字列情報(例えば、721)を出力とする学習済みモデル(例えば、631、632)を用いて、新たな測定データに対応する第1の文字列情報および第2の文字列情報を取得する工程(例えば、S512、S513)と、
前記取得された第1の文字列情報および前記第2の文字列情報を含む第2のメッセージを前記第1のシステムに投稿する工程(S514)と、
を有し、
前記学習済みモデルは、前記第1のシステムから取得されるメッセージに含まれる第1の文字列情報および第2の文字列情報と、前記測定データとにより構成される学習データを用いて学習が行われることによって生成される、状態監視方法。
この構成によれば、状態監視システム1側では、監視対象装置500からの測定データに基づいて、監視対象装置500の状態監視を行うことが可能となる。そして、異常等を検知した場合には、その旨、および検知した内容に応じて要求される動作を装置管理者に通知して促すことが可能となる。また、装置管理者は、監視対象装置500の動作に伴って生じる各種測定データを個々に確認、分析することなく、状態の変化を把握することが可能となる。その結果、監視対象装置500に対する運用管理が容易になり、作業負荷を低減する共に、異常発生時などに行うべき作業も容易に把握することが可能となる。また、すでに発生した異常に限らず、異常発生の予兆も捉えることができ、障害発生前での対応や事前準備ができ、更には、故障等によるダウンタイムの発生なども削減することが可能となる。
【0108】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…状態監視システム
10…情報処理装置
11…制御部
12…記憶部
13…操作部
14…表示部
15…外部IF
16…通信部
100…データ収集システム
200…SNSシステム
300…データ管理システム
400…学習システム
500…監視対象装置
600…保守用端末
700…管理用端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7