(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165455
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】熱源システムおよび熱源システムの室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20241121BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F24F5/00 101
F24F5/00 101A
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081672
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 吉照
(72)【発明者】
【氏名】半田 誠
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BF02
3L054BF05
3L054BG08
(57)【要約】
【課題】室内機の構成を簡素化し、室内機の設置に要する工数の削減を可能とする。
【解決手段】
熱源システムSは、利用流体を循環させるポンプ11および膨張タンク12を備える室内機1と、水熱交換器21を含み、水熱交換器21を介して冷媒が循環する冷凍サイクル装置を備える室外機2と、を備える。室内機1は、中継配管Piを介して室外機2と接続されるとともに、往き配管Pfを介して利用機器4と接続されて、水熱交換器21を通過した利用流体を、中継配管Pi、室内機1および往き配管Pfを介して利用機器4に供給可能に構成され、利用機器における利用後の利用流体を室外機2に導入する戻り配管Prが、室外機2に対し、室内機1を介さずに直接接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用流体を循環させるポンプおよび膨張タンクを備える室内機と、
冷媒と前記利用流体との間で熱交換を行う第1熱交換器を含み、前記第1熱交換器を介して前記冷媒が循環する冷凍サイクル装置を備える室外機と、を備え、
前記室内機は、中継配管を介して前記室外機と接続されるとともに、往き配管を介して利用機器と接続されて、前記第1熱交換器を通過した前記利用流体を、前記中継配管、前記室内機および前記往き配管を介して前記利用機器に供給可能に構成され、
前記利用機器における利用後の前記利用流体を前記室外機に導入する戻り配管が、前記室外機に対し、前記室内機を介さずに直接接続可能に構成された、熱源システム。
【請求項2】
前記戻り配管を介して前記室外機に導入された前記利用流体の温度を検出する水温センサと、
前記水温センサにより検出された前記利用流体の温度をもとに、当該熱源システムの運転を制御する制御器と、をさらに備える、請求項1に記載の熱源システム。
【請求項3】
前記水温センサは、前記室外機に配置され、
前記制御器は、前記室内機に配置され、
前記室外機は、前記水温センサにより検出された前記利用流体の温度を前記制御器に対して通信により伝達可能に構成され、
前記制御器は、前記室外機により伝達された前記利用流体の温度をもとに、当該熱源システムの運転を制御する、請求項2に記載の熱源システム。
【請求項4】
前記室外機は、前記第1熱交換器による熱交換前の前記利用流体を流入させる流入口と、前記第1熱交換器による熱交換後の前記利用流体を流出させる流出口と、前記戻り配管を前記流入口に接続する入口接続継手と、を有し、
前記入口接続継手は、前記室外機の筐体の内部に設けられて前記水温センサが固定されたセンサ固定部を有する、請求項2または3に記載の熱源システム。
【請求項5】
前記室内機は、
前記中継配管が接続され、前記中継配管から前記第1熱交換器を通過した前記利用流体を流入させる入口接続口と、前記往き配管が接続され、前記往き配管へ前記利用流体を流出させる出口接続口と、を有する筐体と、
前記筐体に収容され、前記利用流体を流通可能に前記入口接続口と前記出口接続口とを繋ぐ内配管と、
前記筐体に収容されたバックアップヒータと、をさらに備え、
前記ポンプは、前記筐体に収容され、前記利用流体を循環可能に前記内配管に接続され、
前記膨張タンクは、前記筐体に収容され、前記内配管に接続され、
前記バックアップヒータは、前記内配管を流れる前記利用流体を加熱可能に設置されている、請求項1に記載の熱源システム。
【請求項6】
前記バックアップヒータは、前記ポンプよりも上流側で前記内配管に接続されている、請求項5に記載の熱源システム。
【請求項7】
前記バックアップヒータは、前記膨張タンクよりも上流側で前記内配管に接続されている、請求項5に記載の熱源システム。
【請求項8】
利用流体を冷凍サイクルにより温調可能な室外機と協働して熱源システムを構成する室内機であって、
前記室外機による温調後の前記利用流体を流入させる入口接続口と、利用機器に向けて前記利用流体を流出させる出口接続口と、を有する筐体と、
前記筐体に収容され、前記利用流体を流通可能に前記入口接続口と前記出口接続口とを繋ぐ内配管と、
前記筐体に収容され、前記利用流体を循環可能に前記内配管に接続されたポンプと、
前記筐体に収容され、前記内配管に接続された膨張タンクと、を備え、
前記筐体は、前記利用機器における利用後の前記利用流体が流れる流通路との接続口を有しない、熱源システムの室内機。
【請求項9】
前記筐体に収容され、前記内配管を流れる前記利用流体を加熱可能に設置されたバックアップヒータをさらに備える、請求項8に記載の熱源システムの室内機。
【請求項10】
前記バックアップヒータは、前記ポンプよりも上流側で前記内配管に接続されている、請求項9に記載の熱源システムの室内機。
【請求項11】
前記バックアップヒータは、前記膨張タンクよりも上流側で前記内配管に接続されている、請求項9に記載の熱源システムの室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを利用した熱源システムおよびその室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の機器において使用する冷水または温水を生成するシステムとして、屋内に設置される室内機(「ハイドロユニット」とも呼ばれる)と、屋外に設置される室外機と、を備える熱源システムが存在する。公知の熱源システムにおいて、室外機には、圧縮機、四方弁および室外熱交換器が搭載される一方、室内機には、ポンプおよび膨張タンクのほか、室内熱交換器が搭載される。圧縮機、四方弁、室外熱交換器および室内熱交換器は、冷媒が循環する冷凍サイクル装置を構成し、室外熱交換器は、冷媒と外気との間で熱交換を行い、室内熱交換器は、冷媒と利用流体(例えば、水)との間で熱交換を行う。
【0003】
このような熱源システムにおいて、室内機には、貯湯タンクやファンコイルユニット等の屋内の利用機器に水などの利用流体を供給する往き配管と、利用機器における利用後の利用流体を室内機に導入する戻り配管と、が接続される。室内機の内部において、往き配管は、往き側の室内機内配管を介して熱交換器である室内熱交換器の熱媒体の流出口(出口)に接続され、戻り配管は、戻り側の室内機内配管を介して室内熱交換器の流入口(入口)に接続される。そして、往き側の室内機内配管には、膨張タンクが介装され、往き側または戻り側の室内機内配管には、ポンプが接続される。室内機と室外機との間は、往き側および戻り側の2本の冷媒配管で接続される。そして、室内熱交換器は、室外機から高温または低温の冷媒が供給され、この冷媒と利用流体との間で熱交換を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、公知の熱源システムでは、室内機に往き配管および戻り配管の双方が接続されるため、室内機における配管接続の工数が嵩み、室内機の設置に手間がかかるという問題があった。また、往き配管および戻り配管の両方を室内機に接続する必要から、室内機と利用機器との設置場所の位置関係によっては配管が全体として長くなり、その分、ポンプに高い性能が求められ、製造コストが嵩むという場合があった。
【0006】
さらに、室内熱交換器以外にも膨張タンクおよびポンプ等、多数の部品が室内機に搭載されるため、室内機の内部における部品の配置が複雑化し、部品が収容される筐体が大型化するといった問題もあった。
【0007】
このような実情に鑑み、本発明は、室内機の構成を簡素化し、室内機の小型化とともに室内機の設置に要する工数の削減を可能とし、さらに、配管長の短縮により製造コストの削減に寄与する熱源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため、本発明の一形態に係る熱源システムは、利用流体を循環させるポンプおよび膨張タンクを備える室内機と、冷媒と前記利用流体との間で熱交換を行う第1熱交換器を含み、前記第1熱交換器を介して前記冷媒が循環する冷凍サイクル装置を備える室外機と、を備える。前記室内機は、中継配管を介して前記室外機と接続されるとともに、往き配管を介して利用機器と接続されて、前記第1熱交換器を通過した前記利用流体を、前記中継配管、前記室内機および前記往き配管を介して前記利用機器に供給可能に構成され、前記利用機器における利用後の前記利用流体を前記室外機に導入する戻り配管が、前記室外機に対し、前記室内機を介さずに直接接続可能に構成される。
【0009】
本発明の他の形態に係る熱源システムの室内機は、利用流体を冷凍サイクルにより温調可能な室外機と協働して熱源システムを構成する室内機であって、前記室外機による温調後の前記利用流体を流入させる入口接続口と、利用機器に向けて前記利用流体を流出させる出口接続口と、を有する筐体と、前記筐体に収容され、前記利用流体を流通可能に前記入口接続口と前記出口接続口とを繋ぐ内配管と、前記筐体に収容され、前記利用流体を循環可能に前記内配管に接続されたポンプと、前記筐体に収容され、前記内配管に接続された膨張タンクと、を備える。本形態に係る室内機は、前記筐体に、前記利用機器における利用後の前記利用流体が流れる流通路との接続口を有しない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一形態によれば、第1熱交換器を室外機に搭載し、室内機には、利用流体循環用のポンプおよび膨張タンクを配置することで、室内機の構成を簡素化することが可能となる。さらに、戻り配管を室外機に対して室内機を介さずに直接接続可能に構成することで、室内機の小型化とともに室内機の配管接続および設置に要する工数を削減することが可能となる。そして、利用機器から室外機に至る戻り側の配管の配管長を短縮することが可能となり、ポンプに求められる性能の適正化により製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0011】
また、他の形態によれば、室内機の構成を簡素化するとともに、利用機器における利用後の利用流体が流れる流通路とは独立した室内機の配置により、室内機の配管接続および設置に要する工数を削減し、併せて、熱源ユニットの設置に関わる配管全体での配管長の短縮により、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る熱源システムの構成を示す概略図である。
【
図2】熱源システムの運転制御の全体的な流れを示すフローチャートである。
【
図4】室外機における配管構成を示す概略図である。
【
図5】第1熱交換器の流体導入部における継手構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る熱源システムSは、室内機1と、室外機2と、操作装置3と、を備える。熱源システムSは、冷却・暖房装置となる室内のファンコイルユニット、床暖房装置または貯湯装置等として構成される利用機器4との間で循環させる利用流体を冷却しまたは加熱する。利用機器4は、単数であっても良いし、同種または異種を問わず、複数であっても良い。異なる複数の利用機器4として、ファンコイルユニットと貯湯装置等との組み合わせを例示可能である。熱源システムSは、利用機器4に対して往き配管Pfと戻り配管Prとを介して接続され、熱源システムSによる温調後の利用流体を、室内機1に接続された往き配管Pfを介して利用機器4に供給し、利用機器4における利用後の利用流体を、利用機器4に接続された戻り配管Prを介して室外機2に直接戻す。
【0015】
利用流体には水を用いるのが一般的であるが、凍結防止などの目的でブラインが用いられることもある。本実施形態では、利用流体に水を採用している。冷媒には、R410A、R32冷媒またはCO2冷媒等、冷凍サイクルを構成可能な任意の媒体を採用可能である。
【0016】
熱源システムSは、室内機1と室外機2とに分割して構成されている。室内機1は、直方体の縦長形状の筐体を備え、屋内(例えば、居住空間とは隔離された地下室または機械室)の壁面等に設置され、室外機2は、箱型の筐体を備え、屋外に設置される。操作装置3は、いわゆるリモートコントローラであり、使用者により操作可能な屋内、具体的には、居住空間において壁面に設置される。
図1は、室内機1および室外機2夫々の筐体を、二点鎖線により模式的に示す。
【0017】
室内機1は、室外機2と利用機器4との間で利用流体を循環させるポンプ11と膨張タンク12とを備えるとともに、室内機コントローラ101を備える。ポンプ11、膨張タンク12および室内機コントローラ101は、室内機1の筐体に収容されている。
【0018】
室内機1はその内部において、一端に入口側開口部15aが、他端に出口側開口部15bが夫々形成され、利用流体である水が流通可能な内配管15を備える。ポンプ11および膨張タンク12は、内配管15に接続されている。室内機1は、バックアップヒータ13と過圧防止弁14とをさらに備える。バックアップヒータ13は、利用流体の入口が上流側の内配管15を介して入口側開口部15aに連通するとともに、利用流体の出口が中間部の内配管15を介してポンプ11の吸入口に連通する。ポンプ11は、吐出口が下流側の内配管15を介して出口側開口部15bに連通する。つまり、室内機1の内部において、入口側開口部15a、バックアップヒータ13、ポンプ11および出口側開口部15bが内配管15を介して利用流体の流れに関して直列に接続されている。膨張タンク12は、バックアップヒータ13とポンプ11との間の内配管15、つまり、中間部の内配管15から分岐する分岐管16を介して内配管15に接続され、分岐管16には、過圧防止弁14が介装されている。本実施形態において、分岐管16は、膨張タンク12を終点とし、膨張タンク12の先に繋がる配管は、存在しない。
【0019】
ポンプ11は、利用機器4との間で循環させる利用流体に揚程を付与する。本実施形態では、室内機1が室外機2の出口側に配置されており、室内機1と室外機2との位置関係から、室外機2に対するポンプ11の配置は、引張側または吸込側となる。
【0020】
膨張タンク12は、利用流体の加熱による過剰膨張に起因する利用流体が流れる配管の損傷を抑制するためのものであり、利用流体の圧力上昇を抑制する。膨張タンク12の配置は、その機能から内配管15における利用流体の流れに対し、ポンプ11の上流側が望ましいが、下流側であってもよい。内配管15において膨張タンク12をポンプ11よりも上流側に配置することで、利用流体の過剰膨張の影響がポンプ11に波及する事態を抑制し、ポンプ11の保護を図り、その安定的な動作を促すことが可能となる。
【0021】
バックアップヒータ13は、室外機2に設けられ、利用流体と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器21(本実施形態では、利用流体として水を用いていることから、以下「水熱交換器」という)による利用流体の加熱が不充分である場合、例えば、低外気温時等に作動して、利用流体を補助的に加熱する。バックアップヒータ13は、空気抜き部13aを備える。空気抜き弁13aは、バックアップヒータ13における加熱により生じた利用流体の気体を外部に放出する。本実施形態では、バックアップヒータ13は、内配管15においてポンプ11よりも上流側に配置されるとともに、膨張タンク12よりも上流側に配置されている。このような配置により、バックアップヒータ13での加熱による過剰膨張の影響を確実に緩和しながら、設定温度に対する温調後の利用流体を適切な流量で利用機器4に供給することが可能となる。
【0022】
過圧防止弁14は、内配管15の利用流体に異常な圧力上昇が発生した場合に開口して、圧力を管外に放出させ、内配管15を保護する。
【0023】
室外機2は、水熱交換器21を備えるほか、圧縮機22、空気冷媒熱交換器23、四方弁24、膨張弁25および冷媒配管26を備える。室外機2は、さらに、室外機コントローラ201を備える。
【0024】
水熱交換器21、圧縮機22、空気冷媒熱交換器23、四方弁24および膨張弁25は、冷媒配管26を介して冷媒が相変化を伴いながら循環するヒートポンプ式の冷凍サイクル装置を構成する。水熱交換器21、圧縮機22、空気冷媒熱交換器23、四方弁24、膨張弁25および冷媒配管26は、室外機2の筐体に収容されている。水熱交換器21は、本実施形態に係る「第1熱交換器」を構成する。
【0025】
水熱交換器21は、例えば、プレート式熱交換器により構成され、内部に整列した複数のプレートを備え、これら複数のプレートの間に形成される隙間を冷媒と利用流体とが交互に流通する。換言すれば、仕切板であるプレートが熱伝達部材となり、冷媒と利用流体とをプレートの表裏面に沿って夫々流通させることで、冷媒と利用流体との間で熱交換を行う。水熱交換器21は、プレート式熱交換器に限らず、コイル式熱交換器やその他の形式の熱交換器であってもよい。コイル式熱交換器は、冷媒を流す管と利用流体を流す管(以下「流通管」という)とを備え、これらの管を夫々コイル状に形成し、熱交換可能なように互いに接合または溶接させた構造を有する。コイル式熱交換器では、それぞれの流通管が熱伝達部材として機能する。
【0026】
水熱交換器21は、利用流体を流すための入口側管に連通する導入口21aおよび出口側管に流通する排出口21bを備える。
【0027】
圧縮機22は、冷媒を圧縮し、昇圧させて吐出する。圧縮機22は、例えば、内部高圧の密閉型ロータリー圧縮機である。圧縮機22は、公知のインバータ制御により運転周波数Fを変更可能であり、運転周波数Fの変更により冷媒の吐出量を調整することが可能である。ただし、運転周波数Fは、変更可能である必要はなく、圧縮機22は、商用周波数により一定速で運転するものであってもよい。圧縮機22は、アキュムレータ22aを付帯する。冷媒に液冷媒が混入している場合に、圧縮機22は、アキュムレータ22aによる気液分離後の、気体の冷媒のみを吸入する。
【0028】
空気冷媒熱交換器(以下「空気熱交換器」という)23は、冷媒と外気との間で熱交換を行う。空気熱交換器23は、例えば、フィンアンドチューブ式の熱交換器により構成される。空気熱交換器23は、ファン23aおよびその駆動源であるモータを備え、ファン23aによりフィンの表面に沿って強制的に外気の流れを形成することで、チューブを流れる冷媒と外気との間における熱の授受を促進する。空気熱交換器23は、本実施形態に係る「第2熱交換器」を構成する。
【0029】
四方弁24は、冷媒の流路を、冷水生成時と温水生成時とで切り替える。利用流体を冷却する冷水生成時において、四方弁24は、圧縮機22により吐出された冷媒の流路を、四方弁24から空気熱交換器23へ向かう方向に設定する。これにより、四方弁24を出た冷媒は、空気熱交換器23を通過した後、水熱交換器21に流入する。これに対し、利用流体を加熱する温水生成時において、四方弁24は、圧縮機22の吐出冷媒の流路を、四方弁24から水熱交換器21へ向かう方向に設定する。これにより、四方弁24を出た冷媒は、水熱交換器21を通過した後、空気熱交換器23に流入する。
【0030】
膨張弁25は、凝縮器(例えば、冷水生成時に凝縮器として動作する空気熱交換器23)を出た冷媒の圧力を、オリフィスの作用により調整するものであり、流れの抵抗により圧力降下を生じさせることで、蒸発器(例えば、冷水生成時に蒸発器として動作する水熱交換器21)に向かう冷媒の圧力を調整する。膨張弁25に適用可能なものとして、ステッピングモータ駆動式の電子膨張弁を例示することができる。
【0031】
冷媒配管26は、例えば、銅管により形成され、水熱交換器21、圧縮機22、空気熱交換器23、四方弁24および膨張弁25の間を冷媒が流通可能に接続する。
【0032】
ここに、熱源システムSと利用機器4とは、熱源システムSによる温調後の利用流体が流通する往き配管Pfと、利用機器4における利用後の利用流体が流通する戻り配管Prと、を介して接続されている。具体的には、室外機2を基準として利用流体の出口側、換言すれば、利用機器4に対する供給側において、室外機2と室内機1との間に中継配管Piが設けられ、水熱交換器21の排出口21bと室内機1の内配管15の入口側開口部15aとが、中継配管Piを介して接続されている。室内機1には、筐体17を内外に貫通する入口接続口17iおよび出口接続口17oが形成されている。中継配管Piは、管端部が入口接続口17iを介して筐体17の内部に挿入され、内配管15の入口側開口部15aに接続されている。そして、内配管15には、その出口側開口部15bに、利用機器4に繋がる往き配管Pfが接続されている。往き配管Pfは、管端部が出口接続口17oを介して筐体17の内部に挿入され、内配管15の出口側開口部15bに接続されている。
【0033】
これに対し、室外機2の利用流体の入口側、換言すれば、利用機器4の排出側では、戻り配管Prが、室内機1を介さず、室外機2に対して直接接続されている。つまり、室内機1には、戻り配管Prの接続部ないし接続口が設けられておらず、室内機1の内部に戻り配管Prに繋がる配管も、室外機2に向けて利用流体を排出するための流出口も存在しない。換言すれば、室内機1は、利用機器4における利用後の利用流体が流れる経路上になく、利用流体の戻り側の流通路とは独立に設置された状態にある。このように、室内機1は、戻り配管Prの接続部、戻り配管Prに繋がる内部の配管および室外機2への流出口の全てが設けられていないため、大幅な小型化が可能であり、室内機1の筐体に収められる機器の簡素化も可能である。なお、戻り配管Prと室外機2との接続構造については後により詳細に説明する。
【0034】
操作装置3は、操作部31と、表示部32、音声出力部33と、を備える。
【0035】
操作部31は、使用者により操作可能に配置された、熱源システムSの運転および停止を切り替える始動スイッチ、熱源システムSの運転モードを切り替えるモード切替スイッチ、冷暖房や給湯の設定温度を上昇させまたは下降させる温度調節スイッチ、その他各種の手動スイッチを備える。熱源システムSは、例えば、冷房モードと暖房モードとで運転モードを切替可能であってもよいし、これらの運転モードに加え、接続される利用機器4の種別に応じて給湯モードおよびこれらの複合モードに切替可能であってもよい。
【0036】
表示部32は、使用者により視認可能な位置に設けられ、熱源システムSの運転状態および設定温度等を表示する。表示部32により表示される状態として、熱源システムSが運転中であること、冷房または暖房等の熱源システムSの運転モード等を例示することができる。表示部32は、液晶パネルにより具現可能である。
【0037】
音声出力部33は、使用者に向けた案内を聴覚的な情報として出力する。
【0038】
本実施形態に係る熱源システムSの制御装置は、室内機1に備わる室内機コントローラ101と、室外機2に備わる室外機コントローラ201と、操作装置3と、により構成される。室外機コントローラ201には、室外機2の内部において水熱交換器21の入口側に設けられた入口水温センサ211が接続され、入口水温センサ211により、水熱交換器21による熱交換前の利用流体の温度(以下「入口水温Twi」という)を検出する。室内機コントローラ101には、室内機1のバックアップヒータ13よりも上流側で入口側開口部15aの近傍の内配管15に取り付けられた出口水温センサ111が接続され、出口水温センサ111により、水熱交換器21の出口側における利用流体、つまり、水熱交換器21による熱交換後の利用流体の温度(以下「出口水温Two」という)を検出する。出口水温センサ111は、室外機2の内部において水熱交換器21の出口側配管部分に設けられてもよく、これにより、水熱交換器21により近い位置で出口水温Twoを検出することが可能となる。室内機1の内配管15のうちポンプ11の設置部分近傍には、往き配管Pfへ供給される利用流体の温度(以下「供給水温Tho」という)を検出する供給水温センサ112が設置されている。供給水温センサ112により検出された供給水温Thoは、室内機コントローラ101により読み取られる。供給水温Thoは、バックアップヒータ13が動作していないときは、概ね出口水温Twoと一致するが、バックアップヒータ13が動作すれば、バックアップヒータ13による利用流体への加温により、出口水温Twoよりも高温となる(Tho>Two)。
【0039】
室内機コントローラ101、室外機コントローラ201および操作装置3は、信号線C1、C2により相互に通信可能に接続されている。本実施形態では、室内機コントローラ101と室外機コントローラ201とが信号線C1を介して双方向に通信し、室内機コントローラ101と操作装置3とが信号線C2を介して双方向に通信する。室外機2において取得された情報は、必要に応じて室内機コントローラ101を介して操作装置3に送信される。また、操作装置3において取得された情報は、必要に応じて室内機コントローラ101を介して室外機コントローラ201に送信される。これにより、熱源システムSの運転に必要な範囲で、室内機コントローラ101、室外機コントローラ201および操作装置3の間で情報が共有される。室内機コントローラ101、室外機コントローラ201および操作装置3は、その各々がマイクロコンピュータとその周辺回路で構成され、予めメモリに保存された制御プログラムにより動作する。
【0040】
室内機コントローラ101から室外機コントローラ201へ送信される情報には、室外機2に対する運転指示、つまり、室外機2の作動および停止、圧縮機22の運転周波数F等が含まれる。
【0041】
室外機コントローラ201から室内機コントローラ101へ送信される情報には、室外機2に搭載されている各種機器の運転状態、具体的には、圧縮機22の作動および停止、圧縮機22の運転周波数、入口水温センサ211により検出された入口水温Twi、除霜運転中である旨の通知等が含まれる。
【0042】
室内機コントローラ101から操作装置3へ送信される情報には、表示部32の表示に関する情報(例えば、室外機2の運転状態)、供給水温Tho等が含まれる。
【0043】
操作装置3から室内機コントローラ101へ送信される情報には、運転者の操作に基づく情報(例えば、熱源システムSの運転および停止指示)、設定温度(水温)Ts等が含まれる。
【0044】
室内機コントローラ101は、各種センサを介して取得した情報を始め、室外機コントローラ201および操作装置3から入手した情報をもとに、熱源システムSの運転を制御する主制御器として機能する。室内機コントローラ101は、本実施形態に係る「制御器」を構成する。また、本実施形態において室内機コントローラ101が実行する制御の一部を他のコントローラ(例えば、室外機コントローラ201)に実行させ、室内機コントローラ101と他のコントローラとを組み合わせて機能させることも可能である。その場合は、室内機コントローラ101と他のコントローラとが互いに協働して「制御器」を構成する。
【0045】
従来の熱源システムのように室内機1と室外機2との間を冷媒配管で接続した場合は、冷媒は凍結しないため、利用流体の凍結防止を目的とした制御は不要である。しかし、本実施形態のように利用流体である水を室内機1と室外機2との間で循環させる場合は、利用流体の凍結を防止するための措置が必要となる。そこで、本実施形態では、熱源システムSの制御に、利用流体の凍結防止のための処理を組み込む。この熱源システムSの運転制御を、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0046】
S101では、入口温度(水温)Twi、出口温度(水温)Twoおよび設定温度Ts等、各種制御情報を読み込む。
【0047】
S102では、設定温度Tsと出口水温Twoとの差分ΔT(=Ts-Two)をもとに、圧縮機22の運転または停止を設定するとともに、運転中は圧縮機22の能力(出力)を設定する。能力の設定は、圧縮機22に備わる電動モータの運転周波数(つまり、インバータ出力周波数)Fを設定することによる。運転周波数Fの設定は、差分ΔTに基づく比例積分制御演算または積分制御演算等による。これに限らず、差分ΔTの所定時間当たりの変化量をパラメータとして周波数変更量Δf(F=F+Δf)を算出するファジー制御またはGA制御によることも可能である。
【0048】
上記処理において、差分ΔTには、設定温度Tsと出口水温Twoとの差分に代えて、設定温度Tsと入口水温Twiとの差分(=Ts-Twi)を用いてもよい。
【0049】
S103では、圧縮機22を停止させるか否か、換言すれば、インバータ駆動の圧縮機22の場合は、その運転周波数Fが0[Hz]であるか否かを判定する。圧縮機22を停止させる場合は、S104へ進み、それ以外の場合、つまり、圧縮機22を運転させる場合は、S105へ進む。
【0050】
S104では、圧縮機22を停止させる指示信号を出力して、圧縮機22を停止させる。この際、圧縮機22の停止と同時または若干の時間遅れをもってポンプ11も停止させる。
【0051】
S105では、圧縮機22を運転させる指示信号を出力する。これにより、停止からの始動時にあっては圧縮機22を始動させ、運転中にあっては圧縮機22の運転を継続させる。なお、圧縮機22の運転中は、基本的にポンプ11も同時に作動し、利用流体である水を循環させる。
【0052】
S106では、タイマTmが動作中であるか否かを判定する。タイマTmは、後に詳細を説明するが、圧縮機22の停止中であること(S104)を第1条件として、入口水温Twiをもとに、水熱交換器21、中継配管Piもしくは戻り配管Pr内の水に凍結のおそれがあることを判定した場合に動作を開始し、設定時間(例えば、5分)経過後に動作を終了する。タイマTmが動作中である場合は、S107へ進み、動作中でない場合は、S108へ進む。
【0053】
S107では、中継配管Piおよび戻り配管Pr内の水の凍結を防止するためにポンプ11を作動させる。なお、既にポンプ11が作動中の場合は、ポンプ11の作動を継続させる。
【0054】
S108では、入口温度センサ211により検出された入口水温Twiが利用流体に凍結のおそれがあることを示す所定の温度Lt、例えば、4℃よりも低いか否かを判定する。所定の温度Ltよりも低い場合は、S109へ進み、所定の温度Lt以上である場合は、S110へ進む。
【0055】
S109では、タイマTmを起動または再起動する。タイマTmは、起動後、設定時間に亘って作動する。タイマTmは、この設定時間の経過をもって停止し、再起動の指示があるたびに繰り返し作動する。
【0056】
S110では、ポンプ11を停止させまたはポンプ11の停止を継続させる。
【0057】
このように、S106~S110では、圧縮機22の停止後、入口水温Twiと所定の温度Ltとの比較により、利用流体に凍結のおそれがあるか否かを判定し(S108)、入口水温Twiが所定の温度Ltよりも低く、利用流体に凍結のおそれがあると判定した場合に、タイマTmを起動し(S109)、これに付随してポンプ11を作動させる(S107)。そして、タイマTmが動作を継続する間、ポンプ11の作動を継続させ(S107)、設定時間の経過によりタイマTmが停止した場合は、入口水温Twiが所定の温度Lt以上であることを条件にポンプ11を停止させる(S110)。その後、入口水温Twiが所定の温度Ltよりも低下するたびにタイマTmを起動させ(S109)、ポンプ11を作動させる(S107)。これにより、圧縮機22の停止後、ポンプ11の間欠的な運転により、水熱交換器21および配管を流れる水の凍結を防止する。なお、利用流体にブラインを用いる場合は、このような凍結防止のための制御は、不要となる。
【0058】
以下に、
図3から
図5を参照して、室外機2における配管構成、特に水熱交換器21の入口側および出口側における継手構造について説明する。
【0059】
図3は、室外機2の内部構成を水平方向の横断面により模式的に示し、紙面に対して下方を室外機2の前方とし、上方を後方とする。つまり、図示の矢印のように、本実施形態では、外気が室外機2の内部を後方から前方へ通過する。室外機2は、水熱交換器21等の各種室外機要素を収容する筐体27を備え、筐体27の内部は、上下方向に延びる仕切板27aにより送風機室Aと機械室Bとが左右に区画されている。送風機室Aには、空気熱交換器23とファン23aとが収納され、空気熱交換器23と対向する筐体27の前面27fおよび後面27rには、通風のための開口が設けられている。機械室Bには、空気熱交換器23およびファン23a以外の冷凍サイクル機器、具体的には、水熱交換器21、圧縮機22および四方弁24等が収納されている。仕切板27aは、板金等により形成され、開口等を通じて送風機室Aに入り込んだ雨水等が機械室Bに侵入しないように筐体27に取り付けられている。さらに、仕切板27aと筐体27の天板とを含む外郭により、機械室Bに対する雨水等の外部からの直接的な侵入が防止される。水熱交換器21と圧縮機22とは、機械室Bの内部で前後に近接して配置されている。水熱交換器21に対し、通水管の開口端に入口接続継手41および出口接続継手42が接続され、入口接続継手41および出口接続継手42は、筐体27の後面27rを貫通し、その端縁部41a、42aが筐体27外にまで延在する。
【0060】
図4は、室外機2の機械室Bの内部構成を鉛直方向の縦断面により示している。
【0061】
室外機2の水熱交換器21は、利用流体が流れる通水管の開口端として、室外機2の設置面Dに近い下側の開口端と、設置面Dから遠い上側の開口端と、を備える。下側の開口端が利用流体の導入口21aとなり、上側の開口端が利用流体の排出口21bとなる。つまり、利用流体は、導入口21aを介して水熱交換器21に導入され、排出口21bを介して水熱交換器21から排出される。水熱交換器21の導入口21aおよび排出口21bは、いずれも筐体27の内部に位置する。筐体27は、流入口27iおよび流出口27oを有し、水熱交換器21による熱交換前の利用流体は、流入口27iを介して室外機2に流入し、水熱交換器21による熱交換後の利用流体は、流出口27oを介して室外機2から流出する。そして、戻り配管Pr、中継配管Piは、水熱交換器21の導入口21a、排出口21bに対し、それぞれの管端部に取り付けられた入口接続継手41、出口接続継手42を介して接続されている。
【0062】
入口接続継手41と出口接続継手42とは、入口接続継手41がセンサ固定部211aを有する部分を除いて同様に構成されている。入口接続継手41および出口接続継手42は、室外機2の筐体27を内外に貫通し、それらの端縁部41a、42aは、室外機2の外側に位置する。入口接続継手41および出口接続継手42は、管路中心軸に対して垂直な面内を上下に展伸する鍔部となるフランジ部41b、42bを有し、フランジ部41b、42bが室外機2の筐体27外面に当接、固定されることで、流入口27iおよび流出口27oを塞ぐとともに、入口接続継手41および出口接続継手42の筐体27に対する位置決めが達成される。
【0063】
入口接続継手41および出口接続継手42の基端部41c、42cは、室外機2の筐体27の内側、換言すれば、室外機2の筐体27と水熱交換器21との隙間に位置する。
【0064】
図5は、水熱交換器21の入口側における継手構造を斜め上方から見た斜視図であり、入口接続継手41およびその周辺部分を拡大して示す。図示の便宜上、
図5では、室外機2の筐体27を取り外した状態としている。入口接続継手41の基端部41cに、入口水温センサ211を取り付けるためのセンサ固定部211aが形成され、このセンサ固定部211aにサーミスタからなる入口水温センサ211が取り付けられている。センサ固定部211aは、入口水温センサ211を着脱可能に取り付けるセンサホルダとしてもよいし、着脱不能に埋設するものであってもよい。入口接続継手41および出口接続継手42の基端部41c、42cは、水熱交換器21の流入口2a、流出口2bに対し、締結具51により締め付けられ、両者は水密に固定されている。
【0065】
(作用および効果の説明)
本実施形態に係る熱源システムSは、室内機1と室外機2とを備え、室外機2を通過した利用流体を、室内機1から往き配管Pfを介して利用機器4に供給し、利用機器4における利用後の利用流体を、戻り配管Prを介して室外機2に戻すように構成される。ここで、室内機1にはポンプ11および膨張タンク12を搭載する一方、室外機2には水熱交換器21を含む冷凍サイクル装置を搭載し、室外機2と室内機1とを中継配管Piを介して接続し、室内機1と利用機器4とを往き配管Pfを介して接続したことで、室内機1の構成を簡素化し、室内機1の小型化が可能となる。
【0066】
そして、利用機器4から敷設され、利用後の利用流体の流通路となる戻り配管Prを、室内機1を経由することなく室外機2に直接接続するようにしたため、換言すれば、室内機1に対し、利用機器4に向けて利用流体を流す往き側の流通路(往き配管Pf)と、利用機器4における利用後の利用流体を流す戻り側の流通路(戻り配管Pr)と、のうち、往き側の流通路のみを接続するようにしたため、室内機1に、利用機器4からの戻り配管Prの接続部(ないし接続口)、戻り配管Prに繋がる室内機1内部の配管および室外機2から延びる戻り側の中継配管の接続部(ないし接続口)が不要となり、室内機1の小型化とともに室内機1の配管接続および戻り配管Prの設置に要する工数を削減することが可能となる。さらに、室内機1または利用機器4の配置によっては戻り配管Prの配管長を大幅に短縮することも可能となり、往き配管Pfおよび戻り配管Prを含む配管全体での総配管長を短縮することができる、これにより、配管の圧損が低下し、ポンプ11に必要な揚程を低下させ、ポンプ11に求められる性能の適正化により製造コストの削減を図ることも可能となる。
【0067】
ここで、戻り配管Prを、室内機1を経由することなく室外機2に直接接続したことから、熱源システムSの各種制御において検知が必要な水熱交換器21の入口水温Twi、換言すれば、利用機器4における利用後の利用流体の温度が室内機1において検出することができなくなる。しかし、本実施形態では、水熱交換器21の入口水温Twiを、戻り配管Prを介して室外機2に導入された利用流体の温度として室外機コントローラ201により検出し、この情報を室内機コントローラ101と共有することで、熱源システムSの運転を支障なく、適切に制御することが可能となる。そして、入口水温Twiを検出する入口水温センサ211を室外機2に設置することで、室内機1に搭載される部品の点数を削減し、室内機1の構成の一層の簡素化を図ることが可能となる。
【0068】
さらに、入口水温センサ211を固定するセンサ固定部211aを入口接続継手41に一体的に形成することで、室外機2内部の狭い空間にあっても入口水温センサ211を設置可能とし、入口水温センサ211の設置に関してより高い自由度を実現するとともに、水熱交換器21としてより大型のものを室外機2に収め、使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
S…熱源システム、1…室内機、11…ポンプ、12…膨張タンク、13…バックアップヒータ、15…内配管、2…室外機、21…水冷媒熱交換器(第1熱交換器)、22…圧縮機、23…空気冷媒熱交換器(第2熱交換器)、3…操作装置、4…利用機器、Pf…往き配管、Pr…戻り配管、101…室内機コントローラ、201…室外機コントローラ、111…出口温度センサ、211…入口温度センサ。