(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165465
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】基板コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/79 20110101AFI20241121BHJP
H01R 12/89 20110101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R12/79
H01R12/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081690
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石動 尚子
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB21
5E223AB34
5E223AC23
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB31
5E223CC15
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DA33
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB25
5E223EA02
5E223EA33
5E223EA36
5E223EB04
5E223EB13
5E223EB32
5E223EC02
5E223EC18
5E223EC32
5E223EC44
(57)【要約】
【課題】接続部材の挿入案内を良好に行うことができる基板コネクタを提供する。
【解決手段】基板コネクタ1は、接続部材6が挿入開口Saを介して挿入方向X1に挿入される挿入凹部Sを含むハウジングHを備える。ハウジングHは、接続部材6を案内する案内部Gを含み、案内部Gは、上案内面70と下案内面80と一対のサイド案内面90とを含む。上案内面70は、上傾斜案内面71と上平行案内面72とを含む。下案内面80は、下傾斜案内面81と下平行案内面82とを含む。一対のサイド案内面90は、一対のサイド傾斜案内面91と一対のサイド平行案内面92とを含む。一対のサイド傾斜案内面91は、上傾斜案内面71および下傾斜案内面81よりも、挿入方向X1の反対方向X2に配置されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の表面に配置され、フレキシブルな接続部材が前記表面に平行な挿入方向に挿入接続される基板コネクタであって、
コンタクトと、
前記接続部材が挿入開口を介して前記挿入方向に挿入される挿入凹部と、前記挿入開口から挿入される前記接続部材を案内する案内部と、前記コンタクトを保持するコンタクト保持部と、を含むハウジングと、を備え、
前記案内部は、上案内面と、下案内面と、一対のサイド案内面と、を含み、
前記上案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記挿入方向の反対方向に開く上傾斜案内面と、上傾斜案内面から前記挿入方向に延びる上平行案内面と、を含み、
前記下傾斜案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記反対方向に開く下傾斜案内面と、下傾斜案内面から前記挿入方向に延びる下平行案内面と、を含み、
前記一対のサイド案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記反対方向に開く一対のサイド傾斜案内面と、前記一対のサイド傾斜案内面からそれぞれ前記挿入方向に平行に延びる一対のサイド平行案内面と、を含み、
前記一対のサイド傾斜案内面は、前記上傾斜案内面および前記下傾斜案内面よりも、前記挿入方向の前記反対方向に配置されている、基板コネクタ。
【請求項2】
前記上傾斜案内面は、前記挿入方向に関して、始端と、終端と、を含み、
前記下傾斜案内面は、前記挿入方向に関して、始端と、終端と、を含み、
前記上傾斜案内面の前記始端は、前記下傾斜案内面の前記始端よりも前記反対方向に配置されており、
前記挿入方向に関して、前記上傾斜案内面の前記終端は、前記下傾斜案内面の前記始端と前記終端との間に配置されている、請求項1に記載の基板コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングによって支持された第2ハウジングと、を含み、
前記第1ハウジングは、前記回路基板の前記表面に対向するベース面と、前記下案内面と、を含み、
前記第2ハウジングは、前記上案内面と、前記一対のサイド案内面と、を含む、請求項1または2に記載の基板コネクタ。
【請求項4】
前記第1ハウジングは、樹脂製であって、前記反対方向の端部である前端を含み、
前記下傾斜案内面は、前記第1ハウジングの前記前端から延びている、請求項3に記載の基板コネクタ。
【請求項5】
前記第2ハウジングは、前記接続部材が前記挿入凹部に挿入されるときの押込み位置と、前記接続部材が前記挿入凹部から引き抜かれるときの位置であって前記押込み位置よりも前記反対方向の位置である引抜き位置とに、前記第1ハウジングによって前記挿入方向にスライド可能に支持されたスライダを含む、請求項2または3に記載の基板コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板上に実装される基板コネクタとして、特許文献1に記載の電気コネクタが提案されている。前記電気コネクタは、FFCやFPC等のフレキシブルな接続対象物としての信号伝達媒体が挿入される挿入開口部を有しており、その挿入開口部から延びるようにハウジングに、中空状の媒体差込通路が設けられている。
【0003】
挿入開口部を通しての接続部材の挿入を案内するために、上下に案内のための傾斜面が設けられ、また、両サイドに案内のための一対の傾斜面が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気コネクタは、接続部材が挿入開口部を通して導入される際に、接続部材に対して、傾斜面による上下の案内と傾斜面による左右の案内とを同時に行う。その際に、上下方向の位置矯正力と左右方向の位置矯正力とを同時に受けた接続部材の先端部分が、不自然な曲がり等を起こし、その結果、接続部材の挿入案内が良好に行えない場合がある。
【0006】
本発明の一実施形態は、接続部材の挿入案内を円滑に行うことができる基板コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、回路基板(10)の表面(10a)に配置され、フレキシブルな接続部材(6)が前記表面に平行な挿入方向(X1)に挿入接続される基板コネクタ(1)であって、コンタクト(2)と、ハウジング(H)と、を備える基板コネクタを提供する。前記ハウジングは、前記接続部材が挿入開口(Sa)を介して前記挿入方向に挿入される挿入凹部(S)と、前記挿入開口から挿入される前記接続部材を案内する案内部(G)と、前記コンタクトを保持するコンタクト保持部(30b)と、を含む。前記案内部は、上案内面(70)と、下案内面(80)と、一対のサイド案内面(90)と、を含む。前記上案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記挿入方向の反対方向(X2)に開く上傾斜案内面(71)と、上傾斜案内面から前記挿入方向に延びる上平行案内面(72)と、を含む。前記下傾斜案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記反対方向に開く下傾斜案内面(81)と、下傾斜案内面から前記挿入方向に延びる下平行案内面(82)と、を含む。前記一対のサイド案内面は、前記挿入方向に対して傾斜し且つ前記反対方向に開く一対のサイド傾斜案内面(91)と、前記一対のサイド傾斜案内面からそれぞれ前記挿入方向に平行に延びる一対のサイド平行案内面(92)と、を含む。前記一対のサイド傾斜案内面は、前記上傾斜案内面および前記下傾斜案内面よりも、前記挿入方向の前記反対方向に配置されている。
【0008】
この構成によれば、挿入開口に導入された接続部材は,まず、サイドの位置ずれ(幅方向の位置ずれ)を矯正された後に、上下の位置ずれを矯正される。サイドの位置ずれ矯正を行う挿入区間と上下の位置ずれ矯正を行う挿入区間とを分けているため、接続部材を挿入凹部内に良好に誘い込んで、円滑に挿入案内することができる。接続部材の挿入を人の手で行う場合の他、特に、ロボットハンドで行う場合に好適に用いることができる。
【0009】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
【0010】
1つの実施形態では、前記上傾斜案内面は、前記挿入方向に関して、始端(71s)と、終端(71e)と、を含む。前記下傾斜案内面は、前記挿入方向に関して、始端(81s)と、終端(81e)と、を含む。前記上傾斜案内面の前記始端は、前記下傾斜案内面の前記始端よりも前記反対方向に配置されている。前記挿入方向に関して、前記上傾斜案内面の前記終端は、前記下傾斜案内面の前記始端と前記終端との間に配置されている。
【0011】
この構成によれば、接続部材が回路基板の表面に対して傾斜する方向から挿入開口に挿入されるような場合も、接続部材の一端付近に上下方向のカールが生じることを抑制しつつ、良好に挿入案内することができる。
【0012】
1つの実施形態では、前記ハウジングは、第1ハウジング(3)と、前記第1ハウジングによって支持された第2ハウジング(4)と、を含む。前記第1ハウジングは、前記回路基板の前記表面に対向するベース面と、前記下案内面と、を含む。前記第2ハウジングは、前記上案内面と、前記一対のサイド案内面と、を含む。この構成によれば、挿入開口への挿入案内に関して、設計の自由度を高くすることができる。
【0013】
1つの実施形態では、前記第1ハウジングは、樹脂製であって、前記反対方向の端部である前端を含み、前記下傾斜案内面は、前記第1ハウジングの前記前端から延びている。この構成によれば、下傾斜案内面が延びる樹脂製の第1ハウジングの前端は、先行技術の金属シェルの前端の破断面のように、接続部材の先端と引っ掛けることがない。このため、接続部材に対する円滑な挿入案内が可能となる。
【0014】
1つの実施形態では、前記第2ハウジングは、前記接続部材が前記挿入凹部に挿入されるときの押込み位置と、前記接続部材が前記挿入凹部から引き抜かれるときの位置であって前記押込み位置よりも前記反対方向の位置である引抜き位置とに、前記第1ハウジングによって前記挿入方向にスライド可能に支持されたスライダを含む。第2ハウジングがスライダとしても機能する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続部材の挿入案内を円滑に行うことができる基板コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A-1B】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る基板コネクタおよび接続部材の斜視図であり、
図1Bは、接続部材の断面図である。
【
図2】
図2は、接続部材が接続された基板コネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、接続部材を引き抜くときの基板コネクタの斜視図である。
【
図4】
図4は、押込み位置にある可動ハウジングと固定ハウジングの斜視図である。
【
図5】
図5は、引出し位置にある可動ハウジングと固定ハウジングの斜視図である。
【
図11】
図11は、接続部材を引き抜くときの基板コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る基板コネクタおよび接続部材の斜視図である。
図1Aに示すように、基板コネクタ1は、回路基板10の表面10aに実装され、フレキシブルな接続部材6と回路基板10とを接続する。基板コネクタ1は、コンタクト2(
図8を参照)と、固定ハウジング3(第1ハウジング)および可動ハウジング4(第2ハウジング)を含むハウジングHと、を備える。また、基板コネクタ1は、ハウジングHを覆う金属シェル5を備えており、シールドコネクタとして機能する。
【0019】
ハウジングHは、接続部材6が挿入開口Saを介して挿入方向X1に挿入される挿入凹部Sを含む。挿入凹部Sの挿入開口Saは、固定ハウジング3と可動ハウジング4とで形成されている。ハウジングHは、挿入凹部Sへの接続部材6の挿入を案内する案内部Gを含む。案内部Gは、接続部材6の上面6aを案内する上案内面70(
図8を参照)と、接続部材6の下面6bを案内する下案内面80(
図8を参照)と、接続部材6の一対の側縁6cを案内する一対のサイド案内面90(
図6を参照)と、を含む。
【0020】
まず、接続部材6を説明する。
【0021】
図1Bは、接続部材6の断面図である。接続部材6は、FFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)などのフレキシブルな平形の接続部材である。本実施形態では、接続部材6がFFCである場合に則して説明する。
【0022】
図1Aおよび
図1Bに示すように、接続部材6は、上面6aと下面6bとを有しており、長手方向Lに延びる。接続部材6は、長手方向Lに沿う一対の側縁6cと、長手方向Lの一端6eと、を含む。接続部材6は、長手方向Lに沿う挿入方向X1に沿って、一端6eから基板コネクタ1の挿入凹部Sに、挿入開口Saを介して挿入される。
【0023】
接続部材6は、絶縁部61と、長手方向Lに延びる複数の導体部62と、を含む。複数の導体部62は、長手方向Lと直交する幅方向Wに並んで配置されている。絶縁部61は、接続部材6の下面6b側に配置されたベース部63と、接続部材6の上面6a側に配置されたカバー部64とを含む。カバー部64は、各導体部62の端部62aが、接続部材6の一端6eから所定距離の間で露出するように、ベース部63および各導体部62を覆っている。
【0024】
図示していないが、ベース部63の最表面は、ノイズ対策のため、例えば導電金属製のシールドフィルムで覆われており、該シールドフィルムがグラウンド部を構成している。
【0025】
また、接続部材6は、一対の側縁6cに形成された切欠き凹部である係止凹部65を有している。係止凹部65は、接続部材6の一端6eから介在部66を介して離隔して配置されている。接続部材6が基板コネクタ1に接続された状態で、係止凹部65に、金属シェル5に設けられた弾性片56の係止凸部57(
図10を参照)が係止されることで、接続部材6の接続状態がロックされる構成となっている。
【0026】
図2は、接続部材6が接続された基板コネクタ1の斜視図である。
図3は、接続部材6を引き抜くときの基板コネクタ1の斜視図である。
図4および
図5は、固定ハウジング3および可動ハウジング4を含むハウジングHの斜視図である。
図6は、基板コネクタ1の平面図である。
図7は、基板コネクタ1の前面図である。
図8は、基板コネクタ1の断面図である。
【0027】
図4および
図5に示すように、可動ハウジング4は、固定ハウジング3によって、挿入方向X1にスライド可能に支持されている。可動ハウジング4は、押込み位置(
図2および
図4を参照))と、押込み位置によりも挿入方向X1の反対方向X2の引出し位置(
図3および
図5を参照)と、にスライド変位可能である。押込み位置は、接続部材6が挿入凹部Sに挿入されるときの、可動ハウジング4の位置である。引出し位置は、接続部材6が挿入凹部Sから引き抜かれるときの位置である。
【0028】
次いで、コンタクト2を説明する。
【0029】
図8に示すように、コンタクト2は、固定部21と、弾性片部22と、接触部Cを有する凸部23と、リード部24と、を含む。固定部21は、固定ハウジング3の後枠32の圧入孔32aに圧入固定される。リード部24は、固定部21の後端から延設されたアングル状のリード部であって、回路基板10の表面10aの導体部に半田付けされる脚部24aを含む。
【0030】
弾性片部22は、固定部21から前方(挿入方向X1の反対方向X2)へ延びる。凸部23は、弾性片部22の先端に設けられた下向きの凸部であり、その頂部に接触部Cが配置されている。コンタクト2は、固定ハウジング3の上板30に形成されたコンタクト保持溝30b(
図4を参照。コンタクト保持部)によって、弾性片部22の接触部Cが挿入凹部S内に弾性的に進退可能な状態で保持されている。
図8に示すように、弾性片部22自由状態において、接触部Cを含む凸部23の一部が、コンタクト保持溝30bから挿入凹部S内に進出している。
【0031】
図8に示すように接続部材6が挿入凹部Sに対して未挿入のときには、弾性片部22は自由状態にあり、接触部Cと、接触部Cに対向する固定ハウジング3の下板31の上面31aとの間には、接続部材6の厚みTよりも小さい隙間量の隙間SSが形成されている。この隙間SSを押し拡げつつ、接続部材6が挿入凹部S内に押込み挿入される(
図12A~12Cを参照)。すなわち、基板コネクタ1は、NON-ZIFタイプである。
【0032】
次いで、固定ハウジング3を説明する。
【0033】
図4および
図5に示すように、固定ハウジング3は、上板30と、下板31と、後枠32と、一対の側板33と、一対の透孔34と、前下枠35と、一対の前側枠36と、一対の第1案内溝37と、一対の第2案内溝38と、一対の嵌合凹部39と、を含む。
【0034】
後枠32は、上板30および下板31の後部間を連結している。後枠32は、コンタクト2の固定部21が圧入される複数の圧入孔32a(
図8を参照)を開口している。上板30は、上面30aと、下面(図示せず)と、コンタクト保持溝30b(コンタクト保持部)と、前端30cと、を含む。コンタクト保持溝30bは、各圧入孔32aから挿入方向X1に延び、上面30aおよび下面に開放している。
【0035】
図8に示すように、上板30の前端30cは、前下枠35の前端35aよりも挿入方向X1に配置される。下板31は、挿入凹部Sの一部を区画する上面31aと、下面であって回路基板10の表面10aに対向するベース面31bと、を含む。
図4に示すように、前下枠35は、下板31の前端に連結され幅方向Wに延びる。一対の前側枠36は、前下枠35の一対の側端に連なり且つ一対の側板33の前端に連なる。
【0036】
一対の第1案内溝37は、一対の側板33の内側面33a(
図5を参照)と上板30の一対の側縁との間に形成されて挿入方向X1に延び、可動ハウジング4を挿入方向X1にスライド案内する。一対の第2案内溝38は、一対の側板33の上面33bに形成され、前側枠36に隣接している。一対の第2案内溝38は、可動ハウジング4の一対の第2突起47を介して、可動ハウジング4を挿入方向X1にスライド案内する。
【0037】
これら第1案内溝37および第2案内溝38の案内により、可動ハウジング4は、挿入方向X1の押込み位置(
図4を参照)と、押込み位置よりも挿入方向X1の反対方向X2の引出位置(
図5を参照)とにスライド変位する。
【0038】
図5に示すように、一対の透孔34は、一対の側板33の内側面33aに沿って下板31に形成され、一対の第1案内溝37の底を開放する。各前側枠36の前面には、前方に開放する嵌合凹部39が形成されている。
図4に示すように、可動ハウジング4が押込み位置にあるときに、可動ハウジング4の第1突起46が嵌合凹部39の底面に当接することにより、可動ハウジング4が押込み位置に位置規制される。
【0039】
図5に示すように、可動ハウジング4が引出し位置にあるときに、可動ハウジング4の第2突起47が固定ハウジング3の前側枠36の後面(第2案内溝38の前端面に相当)に当接することにより、可動ハウジング4が引出し位置に位置規制される。
【0040】
次いで、可動ハウジング4を説明する。
【0041】
図4および
図5に示すように、可動ハウジング4は、一対の被案内アーム41と、上板42と、一対の駆動部43(
図11を参照)と、前上枠44と、一対の前側枠45と、一対の第1突起46と、一対の第2突起47と、を含む。
【0042】
一対の被案内アーム41は、挿入方向X1に平行に延びている。上板42は、略矩形をなす。前上枠44は、上板42の前端に連結されている。一対の前側枠45は、前上枠44の幅方向Wの一対の端部と連結され、一対の被案内アーム41の前端41aと連なっている。一対の被案内アーム41は、上板42、前上枠44および一対の前側枠45によって互いに連結されている。上板42、前上枠44および一対の前側枠45が、一対の被案内アーム41間を連結する連結部Rを構成している。
【0043】
各被案内アーム41は、前端41aと、後端41bと、外側面41cと、を含む。一対の被案内アーム41は、固定ハウジング3の一対の第1案内溝37にスライド自在に嵌合されており、これにより、可動ハウジング4は、挿入方向X1に案内される。
【0044】
一対の第1突起46は、一対の前側枠45の外側面から突出する直方体形状の突起である。一対の第2突起47は、一対の被案内アーム41の挿入方向X1の中間部の外側面41cから突出する断面略方形の突起である。一対の第2突起47は、一対の第2案内溝38の底によって受けられた状態で挿入方向X1に案内される(
図4および
図5を参照)。
【0045】
図11は、接続部材6を引き抜くときの基板コネクタ1の断面図である。
図11に示すように、一対の駆動部43は、一対の被案内アーム41の後端41bの下部から下向きに突出する山形部である。可動ハウジング4が
図11に示すように引出し位置にスライドされるときに、駆動部43は、接続部材6の係止凹部65(
図1を参照)に対する係止凸部57(
図10を参照)の係止を解除させるように、解除操作部58を駆動する。
【0046】
次いで、挿入開口Saおよび案内部Gを説明する。
【0047】
図7に示すように、挿入凹部Sの挿入開口Saは、固定ハウジング3と可動ハウジング4の連結部Rとで形成されている。
図8に示すように、挿入開口Saから挿入される接続部材6を案内する案内部Gは、複数の案内面として、上案内面70と、下案内面80と、一対のサイド案内面90(
図6を参照)と、を含む。
【0048】
図8に示すように、上案内面70は、上傾斜案内面71と、上平行案内面72と、を含む。上傾斜案内面71は、側方から見たときに挿入方向X1に対して傾斜する傾斜面であって、且つ挿入方向X1の反対方向X2に開く傾斜面である。上傾斜案内面71は、挿入方向X1に関して、始端71sと、終端71eと、を含む。上平行案内面72は、上傾斜案内面71の終端71eから挿入方向X1に平行に延びる。
【0049】
下案内面80は、下傾斜案内面81と、下平行案内面82と、を含む。下傾斜案内面81は、側方から見たときに挿入方向X1に対して傾斜する傾斜面であって、且つ挿入方向X1の反対方向X2に開く傾斜面である。下傾斜案内面81は、挿入方向X1に関して、始端81sと、終端81eと、を含む。下平行案内面82は、下傾斜案内面81の終端81eから挿入方向X1に平行に延びる。
【0050】
一対のサイド案内面90(
図6を参照)は、一対のサイド傾斜案内面91と、一対のサイド平行案内面92と、を含む。一対のサイド傾斜案内面91は、平面視で、挿入方向X1に対して互いに逆向きに傾斜する傾斜面であって、且つ挿入方向X1の反対方向X2に開く一対の傾斜面である。一対のサイド傾斜案内面91のそれぞれは、挿入方向X1に関して、始端91sと、終端91eと、を含む。一対のサイド平行案内面92は、一対のサイド傾斜案内面91の終端91eから挿入方向X1に平行に延びる。
【0051】
一対のサイド傾斜案内面91は、上傾斜案内面71および下傾斜案内面81よりも、挿入方向X1の反対方向X2に配置されている。すなわち、幅方向W(
図8において紙面と直交する方向)に沿って見たときに、一対のサイド傾斜案内面91の終端91eは、上傾斜案内面71の始端71sよりも挿入方向X1の反対方向X2に配置され、且つ、下傾斜案内面81の始端81sよりも挿入方向X1の反対方向X2に配置されている。
【0052】
次いで、金属シェルを説明する。
【0053】
図9および
図10は、金属シェル5の平面図および断面図である。金属シェル5は、上板51と、下板52と、一対の側板53と、後板54と、支点部55と、弾性片56と、係止凸部57と、解除操作部58と、を含む。
【0054】
弾性片56は、下板52の前端から湾曲状の支点部55を介して挿入方向X1に延びる。弾性片56は、支点部55によって片持ち状に支持されており、支点部55を支点として上下に弾性的に曲げ変形可能である。
【0055】
弾性片56は、係止凸部57と、解除操作部58と、を含む。係止凸部57および解除操作部58は、支点部55よりも挿入方向X1に配置されている。解除操作部58は、係止凸部57に対して、幅方向Wの外方に隣接配置されている。
【0056】
係止凸部57は、挿入凹部S内の挿入完了位置に挿入された接続部材6の係止凹部65に係止可能である(
図12Cを参照)。
図11に示すように、解除操作部58は、駆動部43によって押し下げ駆動されることにより、係止凹部65に対する係止凸部57の係止を解除操作する機能を果たす。
【0057】
本実施形態によれば、
図8に示すように、一対のサイド傾斜案内面91は、上傾斜案内面71および下傾斜案内面81よりも、挿入方向X1の反対方向X2に配置されている。すなわち、上傾斜案内面71および下傾斜案内面81が上下の案内を行う挿入区間には、一対のサイド平行案内面92が配置されている。
【0058】
挿入開口Saに導入された接続部材6は、まず、
図12Aに示すように、一対のサイド傾斜案内面91によって、サイドの位置ずれ(幅方向Wの位置ずれ)を矯正される。その後、上傾斜案内面71および下傾斜案内面81によって、上下の位置ずれを矯正されて(
図12Bを参照)、挿入完了位置まで挿入される(
図12Cを参照)。
【0059】
サイドの位置ずれ矯正を行う挿入区間(一対のサイド傾斜案内面91に対応する挿入区間)と上下の位置ずれ矯正を行う挿入区間(上傾斜案内面71および下傾斜案内面81に対応する挿入区間)とを分けているため、接続部材6を挿入凹部S内に良好に誘い込んで、円滑に挿入案内することができる。接続部材6の挿入を人の手で行う場合の他、特に、ロボットハンドで行う場合に好適に用いることができる。
【0060】
また、
図8に示すように、上傾斜案内面71は、挿入方向X1の始端71sと終端71eとを含み、下傾斜案内面81は、挿入方向X1の始端81sと終端81eとを含む。上傾斜案内面71の始端71sは、下傾斜案内面81の始端81sよりも反対方向X2に配置されている。挿入方向X1に関して、上傾斜案内面71の終端71eは、下傾斜案内面81の始端81sと終端81eとの間に配置されている。この構成によれば、接続部材6が回路基板10の表面10aに対して傾斜する方向から挿入開口Saに挿入されるような場合も、接続部材6の一端6e付近に上下方向のカールが生じることを抑制しつつ、良好に挿入案内することができる。
【0061】
また、ハウジングHは、第1ハウジング(固定ハウジング3)と、第1ハウジングによって支持された第2ハウジング(可動ハウジング4)と、を含む。第1ハウジングは、回路基板10の表面10aに対向するベース面31bと、下案内面80と、を含む。第2ハウジング(可動ハウジング4)は、上案内面70と、一対のサイド案内面90と、を含む。この構成によれば、挿入開口Saへの挿入案内を行うための案内部Gの複数の傾斜案内面(上傾斜案内面71,下傾斜案内面81,サイド傾斜案内面91)を、2つのハウジング(固定ハウジング3、可動ハウジング4)に分けてレイアウトすることができ、設計の自由度を高くすることができる。
【0062】
また、第1ハウジング(固定ハウジング3)は、樹脂製であって、挿入方向X1の反対方向X2の端部である前端(前下枠35の前端35a)を含み、下傾斜案内面81は、第1ハウジング(固定ハウジング3)の前端(前下枠35の前端35a)から挿入方向X1に延びている。この構成によれば、下傾斜案内面81が延びる樹脂製の第1ハウジング(固定ハウジング3)の前端35aは、先行技術の金属シェルの前端(破断面)のように、接続部材の先端を引っ掛けることがない。このため、接続部材6に対する円滑な挿入案内が可能となる。
【0063】
また、第2ハウジング(可動ハウジング4)は、接続部材6が挿入凹部Sに挿入されるときの押込み位置(
図4を参照)と、接続部材6が挿入凹部Sから引き抜かれるときの位置であって前記押込み位置よりも反対方向X2の位置である引抜き位置(
図5を参照)とに、第1ハウジング(固定ハウジング3)によって挿入方向X1にスライド可能に支持されたスライダを含む。この構成によれば、第2ハウジング(可動ハウジング4)をスライダとしても機能させることができる。
【0064】
また、
図8に示すように、上傾斜案内面71の始端71sは、下傾斜案内面81の始端81sよりも挿入方向X1の反対方向X2に配置されている。また、挿入方向X1に関して、上傾斜案内面71の終端71eは、下傾斜案内面81の始端81sと終端81eとの間に配置されている。この構成によれば、挿入開口Saに導入された接続部材6の一端6e付近が上下にカールしている場合にも、接続部材6の一端6eを上傾斜案内面71と下傾斜案内面81とで良好に挿入凹部S内に案内することができる。
【0065】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、接続部材として、FPCが用いられてもよい。また、図示していないが、挿入方向X1に関して、上傾斜案内面71の終端71eの位置が、下傾斜案内面81の終端81eの位置と同じであってもよい。また、図示していないが、ハウジングHが単一の部材で一体に形成されていてもよい。また、基板コネクタは、金属シェルを有していない非シールドコネクタであってもよい。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 基板コネクタ
2 コンタクト
3 固定ハウジング(第1ハウジング)
4 可動ハウジング(第2ハウジング。スライダ)
5 金属シェル
6 接続部材
6e 一端
10 回路基板
10a 表面
30 上板
30b コンタクト保持溝(コンタクト保持部)
35 前下枠
35a 前端
70 上案内面
71 上傾斜案内面
71s 始端
71e 終端
72 上平行案内面
80 下案内面
81 下傾斜案内面
81s 始端
81e 終端
82 下平行案内面
90 サイド案内面
91 サイド傾斜案内面
91s 始端
91e 終端
92 サイド平行案内面
G 案内部.
H ハウジング
S 挿入凹部
Sa 挿入開口
W 幅方向
X1 挿入方向
X2 反対方向