(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165481
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】運行スケジュール作成方法及び運行スケジュール作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241121BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241121BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081722
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆史
(72)【発明者】
【氏名】金政 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエリス ユリウス
(72)【発明者】
【氏名】青木 啓晃
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181BB13
5H181FF01
5H181FF03
5H181FF17
5H181MA23
5H181MA25
5H181MA26
5H181MA28
5H181MA48
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】患者を車両で病院に送り届ける運行スケジュールを新たな患者のリクエストに応じて適切に変更する。
【解決手段】運行スケジュール作成部は、1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成する。また、運行スケジュール作成部は、新たな第2の患者からリクエストを受信すると、第1、第2の患者を車両で病院に送り届けるように、作成した運行スケジュールを修正する。そして、判定部は、修正した運行スケジュールにおいて第1の患者が受診できる時刻が、第1の患者の診察開始時刻の前、又は、第1の患者の診察開始時刻の後であるが、第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した運行スケジュールを第1、第2の患者を送り届ける際の運行スケジュールと決定する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、前記第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成し、
新たな第2の患者からリクエストを受信すると、前記第1の患者と前記第2の患者とを車両で病院に送り届けるように、作成した前記運行スケジュールを修正し、
修正した前記運行スケジュールにおいて前記第1の患者が受診できる時刻が、前記第1の患者の診察開始時刻の前、又は、前記第1の患者の診察開始時刻の後であるが、前記第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した前記運行スケジュールを前記第1の患者と前記第2の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールと決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする運行スケジュール作成方法。
【請求項2】
前記修正する処理において修正する前記運行スケジュールは、既に車両が運行を開始している運行スケジュールである、ことを特徴とする請求項1に記載の運行スケジュール作成方法。
【請求項3】
前記許容時間は、前記第1の患者が診察を受ける病院又は診療科ごとに定められている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行スケジュール作成方法。
【請求項4】
前記許容時間は、前記第1の患者ごとに定められている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行スケジュール作成方法。
【請求項5】
前記運行スケジュールを作成する処理において、患者の許容時間を参照して、前記許容時間が所定範囲に含まれる複数の患者を前記第1の患者とする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行スケジュール作成方法。
【請求項6】
1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、前記第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成し、
新たな第2の患者からリクエストを受信すると、前記第1の患者と前記第2の患者とを車両で病院に送り届けるように、作成した前記運行スケジュールを修正し、
修正した前記運行スケジュールにおいて前記第1の患者が受診できる時刻が、前記第1の患者の診察開始時刻の前、又は、前記第1の患者の診察開始時刻の後であるが、前記第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した前記運行スケジュールを前記第1の患者と前記第2の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールと決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする運行スケジュール作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行スケジュール作成方法及び運行スケジュール作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予め設定された路線を、予め計画された時間通りに運行する路線バス(定時定路線バス)が利用されている。しかしながら、このような定時定路線バスにあっては、高齢化、人口の減少、自家用車の普及により利用者が減少しているケースがあり、廃止されている地域もある。そこで、近年、定時定路線バスに代えてデマンド型の交通手段(以下「デマンド型交通」)の導入を行う地域や団体が増加している。デマンド型交通には、運行方式、運行ダイヤ、出発地及び到着地、運行地域における他の交通手段の状況、及び道路事情等に応じて各種の運行形態がある。例えば、過疎化や高齢化が深刻な地域では、病院に送迎する交通手段としてデマンド型交通(オンデマンド送迎バス)が導入され、医療へのアクセシビリティの向上が図られている。
【0003】
このようなデマンド型交通において、車両が乗客を輸送する途中に他の乗客からの乗車要求があった場合に、乗客がサービス時間に遅れずに目的地に到着できるように柔軟に車両のルートを変更する方法が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0073327号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0198402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両が運行を開始した後に他の乗客から乗車要求があったとしても、乗客全員がサービス時間に遅れずに目的地に到着できるようにルートを変更するのが難しいことが多い。サービス時間ぎりぎりに目的地に到達するような乗客が車両に既に乗っている、あるいは乗ることが予定されている場合があるからである。
【0006】
1つの側面では、本発明は、患者を車両で病院に送り届ける運行スケジュールを新たな患者のリクエストに応じて適切に変更することが可能な運行スケジュール作成方法及び運行スケジュール作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様では、運行スケジュール作成方法は、1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、前記第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成し、新たな第2の患者からリクエストを受信すると、前記第1の患者と前記第2の患者とを車両で病院に送り届けるように、作成した前記運行スケジュールを修正し、修正した前記運行スケジュールにおいて前記第1の患者が受診できる時刻が、前記第1の患者の診察開始時刻の前、又は、前記第1の患者の診察開始時刻の後であるが、前記第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した前記運行スケジュールを前記第1の患者と前記第2の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールと決定する、処理をコンピュータが実行する運行スケジュール作成方法である。
【発明の効果】
【0008】
患者を車両で病院に送り届ける運行スケジュールを新たな患者のリクエストに応じて適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)、
図1(b)は、第1の実施形態に係るオンデマンドバス管理システムの処理の概要を説明するための図(その1)である。
【
図2】第1の実施形態に係るオンデマンドバス管理システムの処理の概要を説明するための図(その2)である。
【
図3】第1の実施形態に係るオンデマンドバス管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、バス管制サーバ及び診察予約管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図であり、
図4(b)は、バス端末及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】バス管制サーバ及び診察予約管理サーバの機能ブロック図である。
【
図6】
図6(a)は、リクエストテーブルの一例を示す図であり、
図6(b)は、運行スケジュールテーブルの一例を示す図であり、
図6(c)は、バス情報テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、許容時間テーブルの一例を示す図であり、
図7(b)は、予約情報テーブルの一例を示す図である。
【
図8】バス管制サーバの一連の処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図8のステップS10の運行スケジュール作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】
図8のステップS14のバス運行処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)は、
図10のステップS146の運行スケジュール変更通知処理の詳細を示すフローチャートであり、
図11(b)は、
図10のステップS150のバス発進処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】
図8のステップS24の運行スケジュール更新処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】
図12のステップS246の運行スケジュール再作成処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図14】
図12のステップS248の運行中のバスの利用可否判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図15】
図14のステップS2488の処理の概要を示す図である。
【
図16】診察予約管理サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図17】
図16のステップS34の診察予約受付処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図18】第2の実施形態において用いる許容時間テーブルの一例を示す図である。
【
図19】第2の実施形態における、運行中のバスの利用可否判定処理(S248)の詳細を示すフローチャートである。
【
図20】
図20(a)は、第2の実施形態の変形例において用いる許容時間リストの一例を示す図であり、
図20(b)は、第2の実施形態の変形例において作成される許容時間テーブルの一例を示す図である。
【
図21】第3の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1の実施形態》
以下、オンデマンドバス管理システムの第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1(a)~
図2は、本第1の実施形態に係るオンデマンドバス管理システムの処理の概要を説明するための図である。
図1(a)は、オンデマンドバスを運行している病院において診察を予約し、送迎をリクエストした患者の診察予約状況を示す図である。
図1(a)に示すように、患者Aは、9時から内科の診察を予約しており、患者Bは、9時から外科の診察を予約しており、患者Cは、9時からリハビリ科の診察を予約しているものとする。そして、オンデマンドバス管理システムは、例えば当日の朝等において、患者A、B、Cを各患者の自宅から病院まで送り届けるバスの運行スケジュール(運行ダイヤ)を作成したとする。
【0012】
図1(b)には、運行スケジュールの一例が示されている。
図1(b)の運行スケジュールは、リクエストに対して最適なルーティング・ダイヤを算出するVRP(配送計画問題)を解くことにより決定される。
図1(b)の例では、バスは病院を出発して、患者Aの自宅→患者Bの自宅→患者Cの自宅と経由し、病院まで患者A,B,Cを送り届けるようになっている。本実施形態においては、送迎をリクエストした全ての患者が診察予約の時刻に間に合うようにバスの運行スケジュールを決定している。
【0013】
ところで、バスが運行スケジュールに沿って運行を開始した後に、突発的に新たな患者から送迎のリクエストが入ってくる場合がある。例えば、
図1(b)のような運行スケジュールでバスが運行している状況で、新たな患者Sが送迎のリクエストを行ったとする。この場合、運行中のバスで患者Sを病院まで送り届けることができれば効率が良く、患者Sの待ち時間を減らすことができる。そこで、本実施形態では、
図2に示すように、患者A、B、Cに患者Sを加えて改めてVRPを解くことで、運行スケジュール(仮運行スケジュール)を作成する。そして、仮運行スケジュールを採用しても問題ないかを判定し、問題が無ければ、仮運行スケジュールを新たな運行スケジュールとして採用する。なお、新たな運行スケジュールが問題ないかどうかを判定する方法の詳細については、後述する。
【0014】
以下、本第1の実施形態のオンデマンドバス管理システム100について、
図3~
図17に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図3には、第1の実施形態に係るオンデマンドバス管理システム100の構成の一例が概略的に示されている。オンデマンドバス管理システム100は、
図3に示すように、バス管制サーバ10、診察予約管理サーバ20、バス端末60、端末70等を備える。バス管制サーバ10、診察予約管理サーバ20、バス端末60、端末70は、インターネットやVPN(Virtual Private Network)などのネットワーク80に接続されている。
【0016】
バス管制サーバ10は、病院が運行するオンデマンド送迎バスに関する種々情報を管理して日々の運行スケジュールを作成し、バスが適切に運行されるように管理する情報処理装置である。
【0017】
図4(a)には、バス管制サーバ10のハードウェア構成の一例が示されている。
図4(a)に示すように、バス管制サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらバス管制サーバ10の構成各部は、伝送用のバス98に接続されている。バス管制サーバ10では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(運行スケジュール作成プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、
図5に示す各部の機能が実現される。なお、
図5のバス管制サーバ10の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。なお、
図5の各部の詳細については後述する。
【0018】
診察予約管理サーバ20は、病院の各診療科における診察予約の情報を管理する情報処理装置である。診察予約管理サーバ20のハードウェア構成は、バス管制サーバ10と同様である(
図4(a)参照)。診察予約管理サーバ20では、CPU90がプログラムを実行することにより、
図5に示す予約受付部21の機能が実現される。なお、
図5の予約受付部21の機能は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。予約受付部21は、病院の受付担当者等が利用する端末70から入力された予約情報を取得し、予約情報テーブル42に格納して管理する。なお、診察予約管理サーバ20が有する予約情報テーブル42や許容時間テーブル41の詳細については後述する。
【0019】
バス端末60は、バスに搭載された端末又はバスの乗務員が保持する端末であり、バスの運行スケジュールの情報をバス管制サーバ10から受信して表示する機能を有する。また、バス端末60は、走行中のバスの位置情報をバス管制サーバ10に送信する。
【0020】
図4(b)には、バス端末60のハードウェア構成の一例が示されている。
図4(b)に示すように、バス端末60は、CPU190、ROM192、RAM194、ストレージ196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。これらバス端末60の構成各部は、伝送用のバス198に接続されている。
【0021】
端末70は、病院の受付担当者等が利用する端末や、患者が利用する端末である。端末70からは、診察予約の情報を診察予約管理サーバ20に送信したり、バスによる送迎のリクエスト(乗車要求)をバス管制サーバ10に送信したりする。端末70は、バス端末60と同様のハードウェア構成を有する(
図4(b)参照)。
【0022】
(バス管制サーバ10の機能について)
バス管制サーバ10は、CPU90がプログラムを実行することにより、
図5に示す、リクエスト受信部11、運行スケジュール作成部12、判定部13、運行スケジュール通知部14、バス情報受信部15、として機能する。
【0023】
リクエスト受信部11は、病院の受付担当者等が利用する端末70や、患者が利用する端末70から、患者のバス利用についてのリクエストを受信し、リクエストテーブル32に受信したリクエストを格納する。ここで、リクエストテーブル32は、未だ病院への送迎が完了していない患者のリクエストを保持するテーブルであり、
図6(a)に示すようなテーブル構造を有する。具体的には、リクエストテーブル32には、バスを利用する患者の識別情報である「患者ID」、患者の自宅の位置を示す「住所」、患者が診察を予約した日時(診察開始日時)を示す「予約日時」の情報が格納される。「予約日時」の欄において「突発」と格納されているリクエストは、患者が新規の患者であり、診察予約はしておらず、なるべく早く病院に行きたいと考えている患者のリクエスト(突発的なリクエスト)を意味する。なお、病院にバスで送迎し終えた患者のリクエストについては、リクエストテーブル32から削除される。
【0024】
図5に戻り、運行スケジュール作成部12は、例えば、毎日所定のタイミングで、リクエストテーブル32から当日のリクエストを読み出し、当日のバスの運行スケジュールを作成する。運行スケジュール作成部12は、リクエストに基づいてVRP(配送計画問題)を解くことにより、最適なルーティング・ダイヤを算出する。運行スケジュール作成部12は、作成した運行スケジュールを運行スケジュールテーブル31に格納する。
【0025】
運行スケジュールテーブル31は、運行スケジュール作成部12が作成した運行スケジュールを保持するテーブルであり、
図6(b)に示すようなテーブル構造を有する。運行スケジュールテーブル31には、
図6(b)に示すように、「スケジュールID」、「バスID」、「運行スケジュール」、「状態」の各項目が設けられている。「スケジュールID」の欄には、運行スケジュールの識別情報が格納され、「バスID」の欄には、運行スケジュールに沿って運行するバスの識別情報が格納される。「運行スケジュール」の欄には、運行スケジュールの具体的内容(どのような順序で各患者の自宅へ行くかを示す情報、各患者の自宅の到着時刻や出発時刻、病院の出発時刻や到着時刻、及び診察開始可能時刻)が格納される。なお、診察開始可能時刻は、バスに乗っている患者が受診できる時刻であり、例えば、病院到着時刻から所定時間後の時刻が設定される。「状態」の欄には、バスが「走行済み」であるか、「走行中」であるか、「未出発」であるかを示す情報が格納される。
【0026】
また、運行スケジュール作成部12は、突発的なリクエストがあった場合(リクエストテーブル32に予約日時が「突発」のリクエストが格納された場合)に、現在走行中(運行中)のバスの運行スケジュールを修正する処理を実行する。具体的には、運行スケジュール作成部12は、現在走行中のバスで送迎を行っている患者と、突発的なリクエストを行った患者と、を送迎するための運行スケジュール(仮運行スケジュールと呼ぶ)を作成する。なお、仮運行スケジュールは、修正後の運行スケジュールとも言える。運行スケジュール作成部12は、仮運行スケジュールを判定部13に送信する。
【0027】
判定部13は、運行スケジュール作成部12から受信した仮運行スケジュールが適切な運行スケジュールであるかを判定する。具体的には、判定部13は、診察予約管理サーバ20が有する許容時間テーブル41と予約情報テーブル42に基づいて、仮運行スケジュールでバスを運行しても全患者が診察を受けることができるかを確認する。そして、判定部13は、全患者が診察を受けることができる場合に、仮運行スケジュールが適切であると判定し、その旨を運行スケジュール作成部12に通知する。運行スケジュール作成部12は、適切と判定された仮運行スケジュールを新たな運行スケジュールとする(元の運行スケジュールを仮運行スケジュールで上書きする)。
【0028】
ここで、許容時間テーブル41は、病院において患者が各診療科を受診する際に、患者が診察予約時刻からどの程度遅れても診察を受けられるか(予約についてどの程度マージンが設けられているか)を診療科ごとに定めたテーブルである。許容時間テーブル41は、事前に病院内において作成されるものとする。
図7(a)には、許容時間テーブル41の一例が示されている。許容時間テーブル41においては、
図7(a)に示すように、「診療科」ごとに、「許容時間」が定義されている。
図7(a)の例では、内科であれば、10分遅れても受診できることが定められ、外科であれば、15分遅れても受診できることが定められている。一方、放射線科の場合には、診察予約時刻から遅れた場合には受診できない旨が定められている。
【0029】
予約情報テーブル42は、各患者の診察予約に関する情報を管理するテーブルである。
図7(b)には、予約情報テーブル42の一例が示されている。予約情報テーブル42には、
図7(b)に示すように、患者の識別情報である「患者ID」と、診察を受ける「診療科」、診察を受ける年月日及び時刻である「予約日」、「予約時刻」が格納されている。
【0030】
なお、判定部13による、許容時間テーブル41と予約情報テーブル42とを用いた運行スケジュールの適否の判定方法の詳細については後述する。
【0031】
図5に戻り、運行スケジュール通知部14は、バス端末60に対して、運行スケジュール作成部12が作成した運行スケジュールや、判定部13が適切と判定した仮運行スケジュール(新たな運行スケジュール)を通知する。
【0032】
バス情報受信部15は、走行中のバスの位置情報を受信し、バス情報テーブル33を更新する。バス情報テーブル33には、病院が管理する全てのバスの状態を示す情報が格納される。
図6(c)には、バス情報テーブル33の一例が示されている。バス情報テーブル33には項目「バスID」、「状態」が設けられている。項目「バスID」には、バスの識別情報が格納され、項目「状態」には、バスが「走行中」であるか、「待機中」であるかの情報が格納される。
【0033】
(バス管制サーバ10の処理について)
次に、バス管制サーバ10の処理について、
図8~
図14のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0034】
図8は、バス管制サーバ10の一連の処理を示すフローチャートである。
図8の処理は、病院の営業日(診療実施日)毎に実行される処理である。
図8の処理が開始される前提として、許容時間テーブル41には、各診療科の許容時間(マージン)が格納されており、予約情報テーブル42には、当日の予約情報(及び翌日以降の予約情報)が格納されているものとする。また、運行スケジュールテーブル31はリセットされているものとする。
【0035】
図8の処理が開始されると、まず、ステップS10において、運行スケジュール作成部12が運行スケジュール作成処理のサブルーチンを実行する。以下、ステップS10の運行スケジュール作成処理について、
図9のフローチャートに沿って説明する。
【0036】
(運行スケジュール処理(S10))
図9の処理が開始されると、まず、ステップS102において、運行スケジュール作成部12は、当日の全リクエストをリクエストテーブル32(
図6(a))から取得する。
【0037】
次いで、ステップS104において、運行スケジュール作成部12は、取得したリクエストから当日の運行スケジュールを作成する。この場合、運行スケジュール作成部12は、リクエストに基づいてVRP(配送計画問題)を解くことにより、最適なルーティング・ダイヤを算出する。
【0038】
次いで、ステップS106において、運行スケジュール作成部12は、作成した運行スケジュールを運行スケジュールテーブル31に格納する。これにより、運行スケジュールテーブル31には、当日の全ての運行スケジュールが格納されるようになっている。
【0039】
以上の処理が終了すると、
図9の全処理(
図8のステップS10の処理)を終了する。
【0040】
図8に戻り、ステップS10の後は、2つの処理が同時並行的に実行される。具体的には、ステップS12、S14、S16の第1処理と、ステップS22、S24,S26の第2処理とが同時並行的に実行される。以下、各処理について説明する。
【0041】
(第1処理について)
第1処理においては、まず、ステップS12において、運行スケジュール通知部14は、所定時間が経過するまで待機する。所定時間は、例えば1分であるものとする。
【0042】
所定時間が経過すると、運行スケジュール通知部14は、ステップS14に移行し、バス運行処理を実行する。以下、バス運行処理について、
図10のフローチャートに沿った説明する。
【0043】
図10の処理が開始されると、ステップS142において、運行スケジュール通知部14は、運行スケジュールテーブル31から、現在運行中の運行スケジュールを取得する。運行スケジュール通知部14は、運行スケジュールテーブル31のうち、「状態」が「バス走行中」となっている運行スケジュールを取得する。
【0044】
次いで、ステップS144において、運行スケジュール通知部14は、前回のステップS14の処理以降において、現在運行中の運行スケジュールに更新があったか否かを判断する。なお、ステップS144の判断が肯定される場合とは、後述する
図8のステップS24(
図12のステップS252)において、現在運行中の運行スケジュールが上書きされた場合である。運行スケジュール通知部14は、前回のステップS14の処理の際に取得した運行スケジュールを保持しておき、新たに取得した運行スケジュールと比較することで、更新の有無を判断する。
【0045】
このステップS144の判断が否定された場合には、ステップS148に移行する。一方、ステップS144の判断が肯定された場合、すなわち、いずれかの運行スケジュールにおいて更新があった場合には、運行スケジュール通知部14は、ステップS146に移行する。
【0046】
ステップS146に移行すると、運行スケジュール通知部14は、運行スケジュール変更通知処理を実行する。この運行スケジュール変更通知処理(S146)においては、
図11(a)に沿った処理が実行される。
【0047】
図11(a)の処理が開始されると、まず、ステップS1462において、運行スケジュール通知部14は、更新のあった運行スケジュールで運行しているバスIDを特定する。次いで、ステップS1464において、運行スケジュール通知部14は、更新のあった運行スケジュールで走行中のバスに搭載されているバス端末60に対し、運行スケジュールの更新があった旨を通知する。これにより、通知を受けたバスは、更新後の運行スケジュールに基づいて運行することができる。なお、運行スケジュールの更新については、バスに乗車する患者の端末70に対しても通知することとしてもよい。また、通知の際には、更新があった部分を他とは異なる態様で表示して、更新があった部分を見やすくしてもよい。
図11(a)の処理が終了すると、
図10のステップS148に移行する。
【0048】
ステップS148に移行すると、運行スケジュール通知部14は、運行スケジュールの中に現在実行すべき運行スケジュールが存在するか否かを判断する。このステップS148の判断が否定された場合には、ステップS152に移行する。
【0049】
一方、ステップS148の判断が肯定された場合には、ステップS150に移行し、運行スケジュール通知部14は、バス発進処理を実行する。このバス発進処理(S150)においては、
図11(b)に沿った処理が実行される。
【0050】
図11(b)の処理が開始されると、まずステップS1502において、運行スケジュール通知部14は、運行スケジュールテーブル31から、現在実行すべき運行スケジュールを取得する。次いで、ステップS1504において、運行スケジュール通知部14は、現在実行すべき運行スケジュールを担当するバスのバスIDを取得し、当該バスに搭載されたバス端末60に運行スケジュールを通知する。次いで、ステップS1506において、運行スケジュール通知部14は、運行スケジュールテーブル31において、通知した運行スケジュールのバスの状態を「バス走行中」に変更する。その後は、
図11(b)の全処理を終了し、
図10のステップS152に移行する。
【0051】
ステップS152に移行すると、運行スケジュール作成部12は、バス情報テーブル33を参照して、「走行中」だったバスが「待機中」になったか否かを判断する。なお、バス情報テーブル33は、バス情報受信部15がバス端末60から送信されてくる情報(位置情報等)に基づいて更新される。このステップS152の判断が肯定された場合には、ステップS154に移行し、運行スケジュール作成部12は、リクエストテーブル32に格納されているリクエストのうち走行が終わったバスで病院に送り届けられた患者のリクエストを削除する。また、運行スケジュール作成部12は、運行スケジュールテーブル31において、走行が終わったバスの運行スケジュールの「状態」を「走行済み」に更新する。その後は、
図10の全処理を終了し、
図8のステップS16に移行する。なお、ステップS152の判断が否定された場合にも、
図10の全処理が終了し、
図8のステップS16に移行する。
【0052】
図8のステップS16に移行すると、
図8の処理が終了となったか否かを判断する。
図8の処理は、当日の病院の診察が終了した段階や、当日のバスの全運行が完了した段階で終了する。このステップS16の判断が否定された場合には、ステップS12に戻り、その後は、ステップS16の判断が肯定されるまで、ステップS12、S14、S16の処理・判断が繰り返し実行されるようになっている。
【0053】
(第2処理について)
図8の第2処理においては、まず、ステップS22において、リクエスト受信部11は、新規リクエストを受信するまで待機する。病院の受付担当者が利用する端末70や患者が利用する端末70から、新規のバス送迎のリクエスト(乗車要求)を受け付けると、ステップS24に移行する。なお、リクエスト受信部11は、受信したリクエストの内容を、リクエストテーブル32に格納する。
【0054】
ステップS24に移行すると、運行スケジュール更新処理が実行される。この運行スケジュール更新処理(S24)は、
図12のフローチャートに沿って実行される。
【0055】
図12の処理が開始されると、まずステップS242において、運行スケジュール作成部12は、新規のリクエストをリクエストテーブル32から取得する。次いで、ステップS244に移行すると、運行スケジュール作成部12は、新規のリクエストを、現在運行中の運行スケジュールに組み込む必要があるのかを判定する。例えば、新規リクエストが翌日の診察予約に対応するリクエストであった場合や、数時間後の診察予約に対応するリクエストであった場合には、このステップS244の判断は否定される。ステップS244の判断が否定された場合には、運行スケジュール作成部12は、ステップS246に移行し、運行スケジュール再作成処理を実行する。
【0056】
ステップS246においては、運行スケジュール作成部12は、
図13のフローチャートに沿った処理を実行する。具体的には、
図13の処理において、運行スケジュール作成部12は、ステップS2462において、新規リクエストが当日の送迎を希望するリクエストか否かを判断する。このステップS2462の判断が否定された場合(翌日以降の送迎を希望するリクエストであった場合)には、運行スケジュール作成部12は、そのリクエストについての処理を行わずに、
図13の全処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS2462の判断が肯定された場合(当日の送迎を希望するリクエストであった場合)には、運行スケジュール作成部12は、ステップS2464に移行し、リクエストテーブル32から、当日の未運行の運行スケジュールに対応するリクエストを全て取得する。すなわち、リクエストテーブル32に格納されている予約日時が当日であり、運行中の運行スケジュールに対応するリクエスト以外のリクエストを全て取得する。なお、運行中の運行スケジュールに対応するリクエストであるか否かは、運行スケジュールテーブル31の「状態」が「バス走行中」である運行スケジュールで送迎対象となっている患者のリクエストであるか否かにより判断することができる。
【0058】
次いで、ステップS2466において、運行スケジュール作成部12は、取得したリクエストと新規リクエストを用いて運行スケジュールを再作成する。この運行スケジュールの再作成処理は、
図9のステップS104と同様の処理である。次いで、運行スケジュール作成部12は、ステップS2468において、運行スケジュールテーブル31に格納されている当日の未運行の運行スケジュールを削除し、再作成した運行スケジュールを保存する。
【0059】
次いで、ステップS2470において、運行スケジュール作成部12は、新たに保存した運行スケジュールをバス端末60及び患者の端末70に通知する。このようにバス端末60に新たな運行スケジュールが通知されることで、バスが新たな運行スケジュールに従って運行できるようになる。また、患者の端末70にも新たな運行スケジュールが通知されるため、患者はバスが迎えに来る時刻を正確に把握することができる。
【0060】
以上のようにステップS2470までの処理が行われると、
図13の全処理を終了するとともに、
図12の全処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS244の判断が肯定された場合、すなわち、新規のリクエストが突発的なリクエストである場合(
図6(a)の「予約日時」が「突発」の場合)には、ステップS248に移行する。ステップS248においては、運行中のバスの利用可否判定処理が実行される。具体的には、
図14の処理が実行される。
【0062】
図14の処理が開始されると、まず、ステップS2481において、運行スケジュール作成部12は、現在運行中のバスの運行スケジュール(「状態」が「バス走行中」の運行スケジュール)を運行スケジュールテーブル31から取得する。
【0063】
次いで、ステップS2482において、運行スケジュール作成部12は、取得した運行スケジュールに対応するリクエストをリクエストテーブル32から取得する。すなわち、運行スケジュール作成部12は、取得した運行スケジュールで送迎対象となっている患者のリクエストを取得する。
【0064】
次いで、ステップS2483において、運行スケジュール作成部12は、取得したリクエストと新規リクエストを用いて仮運行スケジュールを作成する(運行スケジュールを修正する)。この仮運行スケジュールの作成処理は、
図9のステップS104、
図13のステップS2466と同様の処理である。ただし、運行スケジュール作成部12は、現在運行中の運行スケジュールのうち、未走行の部分のみを修正して、仮運行スケジュールを作成する。なお、運行スケジュールのうち未走行の部分については、バス端末60から取得可能なバスの位置情報から特定することができる。運行スケジュール作成部12は、作成した仮運行スケジュールを判定部13に送信する。
【0065】
次いで、ステップS2484において、判定部13は、予約情報テーブル42(
図7(b))から、ステップS2482において取得したリクエストに対応する患者全員の予約時刻を取得する。
【0066】
次いで、ステップS2485において、判定部13は、許容時間テーブル41(
図7(a))から、各診療科の許容時間を取得する。
【0067】
次いで、ステップS2486において、判定部13は、仮運行スケジュールの病院到着時刻と、元の運行スケジュールの病院到着時刻から、病院到着時刻の遅れを算出する。例えば、
図6(b)のスケジュールID=S001(病院到着時刻=12:50)の例において、仮運行スケジュールの病院到着時刻が13:00であった場合には、遅れは10分と算出される。
【0068】
次いで、ステップS2487において、判定部13は、算出した遅れから、各患者の診察開始可能時刻を算出する。例えば、
図6(b)のスケジュールID=S001(診察開始可能時刻=12:55)の例において、遅れが10分であった場合には、各患者の診察開始可能時刻は13:05と算出される。
【0069】
次いで、ステップS2488において、判定部13は、各患者の診察開始可能時刻と、各患者の診察予約時刻との差を算出する。
図15は、ステップS2488の処理の概要を示す図である。例えば、
図15の上図に示すように、診察開始可能時刻が13:05であり、患者Aの診察予約時刻が13:00であった場合には、差は+5分と算出される。また、患者B、Eの診察予約時刻が12:55であった場合には、差は+10分と算出される。また、患者Cの診察予約時刻が13:10であった場合には、差は-5分と算出される。更に、患者Dの診察予約時刻が13:05であった場合には、差は0分と算出される。
【0070】
次いで、ステップS2489において、判定部13は、診療科ごとに算出した差の最大値を特定し、各診療科の許容時間と比較する。例えば、内科の患者について算出した差が、
図15の上図に示すように、+5分、+10分、-5分であったとすると、これらの差の最大値は+10分となる。また、例えば、外科の患者について算出した差が、0分、+10分であったとすると、これらの差の最大値は+10分となる。
【0071】
次いで、ステップS2490において、判定部13は、全診療科において差の最大値が許容時間以下であるかを判断する(
図15の「比較」参照)。このステップS2490の判断が否定された場合、すなわち、少なくとも1つの診療科の差の最大値が許容時間を超えている場合には、ステップS2491に移行する。ステップS2491に移行した場合、判定部13は、新規のリクエストを行った患者は、運行中のバスを利用不可能であると判定する。判定部13は、この判定結果を運行スケジュール作成部12に通知する。その後は、
図14の全処理を終了し、
図12のステップS250に移行する。
【0072】
一方、ステップS2490の判断が肯定された場合、例えば、
図15に示すように全ての診療科の差の最大値が許容時間以下であった場合には、ステップS2492に移行する。ステップS2492に移行すると、判定部13は、新規のリクエストを行った患者が、運行中のバスを利用可能であると判定する。判定部13は、この判定結果を運行スケジュール作成部12に通知する。その後は、
図14の全処理を終了し、
図12のステップS250に移行する。
【0073】
図12のステップS250に移行すると、運行スケジュール作成部12は、新規のリクエストを行った患者が、運行中のバスを利用可能であるか否かを判断する。このステップS250の判断が否定された場合には、ステップS246に移行し、前述したように、未運行の運行スケジュールに対応するリクエストに新規リクエスト追加して、運行スケジュールを再作成する処理を実行する。これに対し、ステップS250の判断が肯定された場合には、ステップS252に移行し、運行スケジュール作成部12は、運行スケジュールテーブル31において、現在運行中の運行スケジュールを仮運行スケジュール(修正後の運行スケジュール)で上書きする。すなわち、本実施形態では、仮運行スケジュールが、全ての患者が診察開始時刻に間に合う、又は遅れたとしても許容時間以内になるようなスケジュールであれば、元の運行スケジュールを仮運行スケジュールで置き換えることとしている。
【0074】
次いで、ステップS254において、運行スケジュール作成部12は、上書きした運行スケジュールの内容を運行中のバスのバス端末60に通知する。これにより、バスは、元々運行スケジュールに含まれていた患者と、新規のリクエストを行った患者を迎えに行くことができる。なお、ステップS254においては、上書き後の運行スケジュールに含まれる患者の端末70に対して、上書き後の運行スケジュールを通知してもよい。
【0075】
以上により、
図12の全処理(ステップS24の全処理)が終了すると、
図8のステップS26に移行する。ステップS26に移行すると、
図8の処理が終了となったか否かを判断する。このステップS26の判断が否定された場合には、ステップS22に戻り、その後は、ステップS26の判断が肯定されるまで、ステップS22、S24、S26の処理・判断が繰り返し実行されるようになっている。
【0076】
そして、ステップS16及びステップS26の判断が肯定されると、
図8の全処理が終了する。
【0077】
(診察予約管理サーバ20の処理について)
次に、診察予約管理サーバ20の処理について、
図16、
図17のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0078】
図16の処理は、病院の1日の業務が開始されたタイミングで開始される。
図16の処理が開始されると、まず、ステップS32において、予約受付部21が、病院の受付担当者が利用する端末70から新規診察の予約を受信するまで待機する。予約受付部21は、新規診察の予約を受信すると、ステップS34に移行し、診察予約受付処理を実行する。
【0079】
図17には、ステップS34の診察予約受付処理がフローチャートにて示されている。
図17の処理が開始されると、まず、ステップS342において、予約受付部21が、新規診察予約の情報を取得する。次いで、ステップS344において、予約受付部21は、取得した新規診察予約の情報を予約情報テーブル42に格納する。これらの処理が行われた後は、
図16のステップS36に移行する。
【0080】
図16のステップS36に移行すると、病院の業務が終了したか否かを判断する。このステップS36の判断が否定された場合には、ステップS32に戻り、ステップS36の判断が肯定されるまで、ステップS32、S34、S36の処理・判断を繰り返す。一方、ステップS36の判断が肯定されると、
図16の全処理が終了する。
【0081】
なお、本第1の実施形態では、運行スケジュール作成部12が作成した運行スケジュールの送迎対象の患者が第1の患者に対応し、突発的なリクエストを行った患者が第2の患者に対応する。
【0082】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、運行スケジュール作成部12は、患者それぞれが診察開始時刻に間に合うように、各患者をバスで病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成する(
図8のS10、
図9のS104)。また、運行スケジュール作成部12は、新たな患者から新規リクエストを受信すると、新たな患者を追加して、作成した運行スケジュールを修正する(仮運行スケジュールを作成する)(
図14のS2483)。そして、判定部13は、仮運行スケジュールにおいて全患者の診察開始可能時刻が、各患者の診察開始時刻の前、又は、各患者の診察開始時刻の後であるが許容時間を超えない時間内であれば、作成した運行スケジュールを仮運行スケジュールで上書きし、利用する(
図12のS252)。このように、本第1の実施形態では、仮運行スケジュールが全患者の受診を可能にする適切な運行スケジュールである場合に、仮運行スケジュールを利用することとしている。これにより、新規リクエストを行った患者を効率よく病院に送り届けることが可能であり、患者の待ち時間を削減することができる。また、バスで病院に送迎される各患者の予約時刻を変更しなくてもよいため、診察予約管理サーバ20の処理量を低減することができる。なお、運行スケジュールが仮運行スケジュールで更新された場合には、その旨を病院内の端末70に通知することとしてもよい。これにより、各診療科は、患者が予約時刻に間に合わない可能性があることを事前に知ることができる。
【0083】
また、本第1の実施形態では、突発的なリクエストがあった場合に、現在運行中の運行スケジュールに突発的なリクエストを行った患者を組み込むこととしている。これにより、突発的なリクエストを行った患者をなるべく早く病院に送り届けるようにすることができるので、突発的なリクエストを行った患者の待ち時間を減らすことができる。
【0084】
また、本第1の実施形態では、許容時間を診療科ごとに定めているので、診療科の特性等を考慮した適切な許容時間を処理に用いることが可能である。
【0085】
なお、上記実施形態では、許容時間を診療科ごとに定めることとしたが、これに限らず、診療科が同一であっても診療の種類(検査や手術など)ごとに許容時間を異ならせてもよい。例えば、予約時刻に遅れたときに他の患者への影響や病院経営に対する影響が大きい診療の種類に対して、短めの許容時間を設定するなどしてもよい。
【0086】
なお、上記第1の実施形態では、
図6(b)の運行スケジュールにおいて、1台のバスで病院に送り届ける患者全員の診察開始可能時刻を、病院到着時刻に基づいて一律に定めている。しかしながら、これに限らず、病院到着時刻に基づいて、各患者の診察開始可能時刻を別々に算出してもよい。この場合、例えば病院のバスの停留所から各診療科までの距離に基づいて、各診療科を受診する患者の診察開始可能時刻を算出してもよい。また、例えば各患者の年齢に基づいて、各患者の診察開始可能時刻を算出してもよい。この場合、患者の年齢が高いほど病院到着時刻と診察開始可能時刻の間の時間を長くするなどすればよい。また、患者の年齢以外の要素を考慮して、診察開始可能時刻を算出してもよい。
【0087】
《第2の実施形態》
以下、第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態においては、許容時間テーブル41(
図7(a))において、診療科ごとに許容時間を設定する場合について説明したが、本第2の実施形態においては、
図18に示すような許容時間テーブル41’を用いるものとする。
図18の許容時間テーブル41’においては、患者ごと(患者IDごと)に許容時間が予め設定される。なお、患者ごとの許容時間は、患者が送迎のリクエストを行う際に、患者自身が設定してもよいし、病院の受付担当者が設定してもよい。
【0088】
この場合、第1の実施形態の
図14の処理に代えて、
図19に示すような処理を行うこととすればよい。第1の実施形態では、
図14のステップS2485において、判定部13が、許容時間テーブル41から各診療科の許容時間を取得することとしていた。また、第1の実施形態では、
図14のステップS2489において、判定部13が、診療科ごとに算出した差の最大値を特定し、各診療科の許容時間と比較することとしていた。これに対し、本第2の実施形態では、
図19のステップS2485’において、判定部13は、許容時間テーブル41’から各患者の許容時間を取得する。また、本第2の実施形態では、
図19のステップS2489’において、判定部13は、各患者の診察開始可能時刻と診察予約時刻との差と、各患者の許容時間とを比較する。そして、ステップS2490’において、判定部13は、全患者の診察開始可能時刻と診察予約時刻との差が、各患者の許容時間以下であるかを判断する。
【0089】
このようにしても、上記第1の実施形態と同様、作成した仮運行スケジュールが、バスに乗る全患者を適切に送り届けることが可能なスケジュールである場合に、作成した仮運行スケジュールを実際に利用することが可能となる。
【0090】
なお、患者ごとに許容時間を設定できるようにすることで、診療科の許容時間だけでなく、各患者の希望を反映させることができる。例えば、診療科の許容時間が30分であっても、患者自身が早めに診察を受けたい場合には、その患者の許容時間を短く(例えば、0分や5分などに)設定することができる。
【0091】
なお、各患者の許容時間を設定する場合、
図20(a)に示すような許容時間リストを予め用意しておいてもよい。この場合、各患者の許容時間を設定する際に
図20(b)に示すような許容時間テーブル41’を参照することで許容時間を容易に設定することが可能となる。
【0092】
《第3の実施形態》
以下、第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態では、
図9のステップS104において、運行スケジュール作成部12が取得したリクエストから当日の運行スケジュールを作成する際に、患者が受診する診療科の許容時間を考慮する。
【0093】
例えば、各診療科において
図21に示すような診察予約が入っているとする。
図21のように、放射線科の許容時間が0分の場合、放射線科を受診する患者が運行スケジュールに1人でも含まれていると、突発的なリクエストを行った患者をその運行スケジュールに含めることができなくなる可能性が高い。このような場合、例えば、当日の運行スケジュールを作成する際に、放射線科以外の患者だけで運行スケジュールを作成するとともに、放射線科の患者だけで運行スケジュールを作成する(
図21の太線枠参照)。これにより、放射線科以外の患者だけで作成した運行スケジュールについては、新規のリクエストを高い確率で含めるようにすることが可能となる。
【0094】
なお、上記各実施形態では、突発的なリクエストがあった場合に、現在運行中の運行スケジュールに突発的なリクエストを行った患者の送迎を含められるかを判定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、未運行の運行スケジュールにリクエストを行った患者の送迎を含められるかを判定する際に、上記各実施形態と同様に未運行の運行スケジュールから仮運行スケジュールを作成(未運行の運行スケジュールを修正)してもよい。そして、作成した仮運行スケジュールが適切であるかを上記各実施形態と同様に判定してもよい。
【0095】
なお、上記各実施形態では、バスが1つの病院に患者を送り届ける場合について説明したが、これに限らず、バスは複数の病院に患者を送り届けることとしてもよい。この場合、許容時間は、病院ごとに定めてもよいし、各病院の診療科ごとに許容時間を定めてもよい。なお、バスが複数の病院に患者を送る場合、バス管制サーバ10は、例えば自治体が管理するものとし、バス管制サーバ10には複数の診察予約管理サーバ20が接続されるものとする。
【0096】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0097】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0098】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0099】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0100】
なお、以上の第1~第3の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、前記第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成し、
新たな第2の患者からリクエストを受信すると、前記第1の患者と前記第2の患者とを車両で病院に送り届けるように、作成した前記運行スケジュールを修正し、
修正した前記運行スケジュールにおいて前記第1の患者が受診できる時刻が、前記第1の患者の診察開始時刻の前、又は、前記第1の患者の診察開始時刻の後であるが、前記第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した前記運行スケジュールを前記第1の患者と前記第2の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールと決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする運行スケジュール作成方法。
(付記2) 前記修正する処理において修正する前記運行スケジュールは、既に前記車両が運行を開始している運行スケジュールである、ことを特徴とする付記1に記載の運行スケジュール作成方法。
(付記3) 前記許容時間は、前記第1の患者が診察を受ける病院又は診療科ごとに定められている、ことを特徴とする付記1又は2に記載の運行スケジュール作成方法。
(付記4) 前記許容時間は、前記第1の患者ごとに定められている、ことを特徴とする付記1又は2に記載の運行スケジュール作成方法。
(付記5) 前記運行スケジュールを作成する処理において、患者の許容時間を参照して、前記許容時間が所定範囲に含まれる複数の患者を前記第1の患者とする、ことを特徴とする付記1~4のいずれかに記載の運行スケジュール作成方法。
(付記6) 1又は複数の第1の患者が診察開始時刻に間に合うように、前記第1の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールを作成し、
新たな第2の患者からリクエストを受信すると、前記第1の患者と前記第2の患者とを車両で病院に送り届けるように、作成した運行スケジュールを修正し、
修正した前記運行スケジュールにおいて前記第1の患者が受診できる時刻が、前記第1の患者の診察開始時刻の前、又は、前記第1の患者の診察開始時刻の後であるが、前記第1の患者の許容時間を超えない時間内であれば、修正した前記運行スケジュールを前記第1の患者と前記第2の患者を車両で病院に送り届ける際の運行スケジュールと決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする運行スケジュール作成プログラム。
【符号の説明】
【0101】
10 バス管制サーバ
11 リクエスト受信部
12 運行スケジュール作成部
13 判定部
14 運行スケジュール通知部
15 バス情報受信部
21 予約受付部
31 運行スケジュールテーブル
32 リクエストテーブル
33 バス情報テーブル
41 許容時間テーブル
42 予約情報テーブル
20 診察予約管理サーバ
60 バス端末
70 端末