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特開2024-165489コネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165489
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081737
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基義
(72)【発明者】
【氏名】深谷 知由
(72)【発明者】
【氏名】高木 幸祐
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC38
5E021KA06
5E021KA15
(57)【要約】
【課題】ガタを抑制したコネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタを提供する。
【解決手段】オスコネクタ2の上ロックビーク231と、メスコネクタ3の上ロックビーク323とが係止して、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する。CPA4の上ロックアーム42,下ロックアーム45は、先端が上下方向に可撓に設けられる。上ロックアーム42の先端に設けられた上ロックビーク43が、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した後、メスコネクタ3の上ロックビーク323を乗り越えて上ロックビーク323と係止できる。下ロックアーム44の先端に設けられた下ロックビーク45が、本係止位置でオスコネクタ2の下ロックビーク232に係止する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向に前記第2コネクタに対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックと、を備えた
コネクタ構造であって、
前記第1コネクタは、前記嵌合方向と交差する突起方向両側にそれぞれ突起する第1係止部及び第2係止部を有し、
前記第2コネクタは、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第1アームと、前記第1アームの先端に設けられ、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合時に前記第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止する第3係止部と、を有し、
前記嵌合位置保障ロックは、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第2アームと、前記第2アームの先端に設けられ、前記第3係止部が前記第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止した後、前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止できる第4係止部と、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第3アームと、前記第3アームの先端に設けられ、前記第4係止部が前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止する本係止位置で、前記第2係止部を乗り越えて前記第2係止部に係止される第5係止部と、を有する、
コネクタ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ構造において、
前記第2係止部は、前記嵌合方向の前記第1コネクタ側に向かうに従って突起高さが高くなる第1傾斜面と、前記第1傾斜面の前記第1コネクタ側に隣接され、前記嵌合方向の前記第1コネクタ側に向かうに従って突起高さが低くなる第2傾斜面と、が設けられ、
前記第3係止部が前記第1係止部を乗り越えたときに、前記第5係止部が前記第2傾斜面に接している、
コネクタ構造。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタ構造において、
前記第1コネクタは、前記嵌合方向に延在する第1リブを有し、
前記嵌合位置保障ロックは、前記第1リブが挿入され、前記第1コネクタを前記嵌合方向に案内するリブ挿入溝を有し、
前記リブ挿入溝内には、前記本係止位置で前記第1リブに接触する第2リブが設けられた、
コネクタ構造。
【請求項4】
第1コネクタと第2コネクタとの嵌合方向に前記第2コネクタに対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックであって、
先端が前記嵌合方向と交差する突起方向に可撓に設けられた第2アームと、
前記第2アームの先端に設けられ、前記第2コネクタの前記突起方向に可撓する第1アーム先端に設けられた第3係止部が、前記第1コネクタの前記突起方向一方に突起する第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止した後、前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止できる第4係止部と、
先端が前記突起方向に可撓に設けられた第3アームと、
前記第3アームの先端に設けられ、前記第4係止部が前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止する本係止位置で、前記第1コネクタの前記突起方向他方に突起する第2係止部を乗り越えて前記第2係止部に係止される第5係止部と、を備えた、
嵌合位置保障ロック。
【請求項5】
嵌合位置保障ロックがスライド自在に取り付けられた第2コネクタと嵌合する第1コネクタにおいて、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向と交差する突起方向両側に突出し、前記第2コネクタにスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックの前記突起方向に可撓なアーム先端に設けられた係止部にそれぞれ係止する第1係止部及び第2係止部を有する、
第1コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタ、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタ構造としては、特許文献1に記載された半嵌合防止コネクタが提案されている(特許文献1)。特許文献1の半嵌合防止コネクタは、オスコネクタと、オスコネクタに嵌合されるメスコネクタと、メスコネクタにスライド自在に取り付けられる嵌合位置保障ロック(CPA)と、を備えている。嵌合位置保障ロックは、オスコネクタとメスコネクタとが半嵌合のときは仮係止位置から本係止位置に移動できないようになっている。
【0003】
上述した従来の半嵌合防止コネクタにおいては、コネクタ嵌合完了後、オスコネクタ、メスコネクタ、CPAのガタが大きいため、端子接点部の摺動摩擦が大きく、電気的導通不良の懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-64461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガタを抑制したコネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ構造は、下記を特徴としている。
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向に前記第2コネクタに対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックと、を備えた
コネクタ構造であって、
前記第1コネクタは、前記嵌合方向と交差する突起方向両側にそれぞれ突起する第1係止部及び第2係止部を有し、
前記第2コネクタは、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第1アームと、前記第1アームの先端に設けられ、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合時に前記第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止する第3係止部と、を有し、
前記嵌合位置保障ロックは、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第2アームと、前記第2アームの先端に設けられ、前記第3係止部が前記第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止した後、前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止できる第4係止部と、先端が前記突起方向に可撓に設けられた第3アームと、前記第3アームの先端に設けられ、前記第4係止部が前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止する本係止位置で、前記第2係止部を乗り越えて前記第2係止部に係止される第5係止部と、を有する、
コネクタ構造であること。
【0007】
本発明に係る嵌合位置保障ロックは、下記を特徴としている。
第1コネクタと第2コネクタとの嵌合方向に前記第2コネクタに対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックであって、
先端が前記嵌合方向と交差する突起方向に可撓に設けられた第2アームと、
前記第2アームの先端に設けられ、前記第2コネクタの前記突起方向に可撓する第1アーム先端に設けられた第3係止部が、前記第1コネクタの前記突起方向一方に突起する第1係止部を乗り越えて前記第1係止部と係止した後、前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止できる第4係止部と、
先端が前記突起方向に可撓に設けられた第3アームと、
前記第3アームの先端に設けられ、前記第4係止部が前記第3係止部を乗り越えて前記第3係止部と係止する本係止位置で、前記第1コネクタの前記突起方向他方に突起する第2係止部を乗り越えて前記第2係止部に係止される第5係止部と、を備えた、
嵌合位置保障ロックであること。
【0008】
本発明に係る第1コネクタは、下記を特徴としている。
嵌合位置保障ロックがスライド自在に取り付けられた第2コネクタと嵌合する第1コネクタにおいて、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合方向と交差する突起方向両側に突出し、前記第2コネクタにスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロックの前記突起方向に可撓なアーム先端に設けられた係止部にそれぞれ係止する第1係止部及び第2係止部を有する、
第1コネクタであること。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガタを抑制したコネクタ構造、嵌合位置保障ロック及び第1コネクタを提供することができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のコネクタ構造の一実施形態を示す嵌合前の縦断面図である。
図2図2は、図1に示すオスコネクタの斜視図である。
図3図3は、図1に示すメスコネクタ及びCPAの斜視図である。
図4図4は、図1のA-A線断面図である。
図5図5は、図1に示すCPAの斜視図である。
図6図6は、図5のB部の拡大図である。
図7図7は、図1に示すメスコネクタとオスコネクタとの嵌合途中における縦断面図である。
図8図8は、図1に示すコネクタ構造の嵌合後であってCPAが本係止位置に移動途中における縦断面図である。
図9図9は、図8に示すコネクタ構造においてオスハウジングリブ、リブ挿入溝付近の縦断面図である。
図10図10は、図9のC部の拡大図である。
図11図11は、図1に示すコネクタ構造の嵌合後であってCPAが本係止位置に移動した後における縦断面図である。
図12図12は、図11に示すコネクタ構造においてオスハウジングリブ、リブ挿入溝の縦断面図である。
図13図13は、図12のD部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1図13に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、本発明の「嵌合方向」に対応している。上下方向は、本発明の「突出方向」に対応している。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のコネクタ構造1は、オスコネクタ2(第1コネクタ)と、オスコネクタ2と嵌合するメスコネクタ3と、メスコネクタ3の外側に前後方向にスライド自在に取り付けられたCPA(嵌合位置保障ロック)4と、を備えている。
【0015】
オスコネクタ2は、2つのオス端子21と、2つのオス端子21に接触するショートばね22と、オス端子21及びショートばね22を収容するオスハウジング23と、オスフロントリテーナ24と、を備えている。
【0016】
オス端子21は、導電性の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して設けられている。オス端子21は、長手方向が前後方向に沿うようにオスハウジング23内に収容される。2つのオス端子21は、左右方向に並べてオスハウジング23内に収容される。オス端子21は、電線10の端末に取り付けられる。電線10の端末には、ゴム栓11が外挿され、ゴム栓11を外挿した部分がオスハウジング23内に収容されている。
【0017】
ショートばね22は、導電性の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して設けられている。図1に示すように、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合していない状態では、ショートばね22は、オス端子21に接触し、2つのオス端子21を短絡させる。一方、図8及び図11に示すように、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した状態では、メスハウジング32がショートばね22とオス端子21との間に挿入するので、ショートばね22とオス端子21との接続が解除される。
【0018】
オスハウジング23は、樹脂などの絶縁部材から構成されている。図1に示すように、オスハウジング23は、上ロックビーク231(第1係止部)と、下ロックビーク232(第2係止部)と、オスハウジングランス233と、一対のオスハウジングリブ234,234(第1リブ;図2参照)と、を有している。図1に示すように、上ロックビーク231及び下ロックビーク232は、筒状のオスハウジング23の外側面から上下方向両側にそれぞれ突出して設けられている。上ロックビーク231は、上側に突出して設けられ、後述するメスコネクタ3の上ロックビーク323に係止するために設けられている。上ロックビーク231は、前端部に後側に向かうに従って突起高さが高くなる傾斜面S1が設けられている。
【0019】
下ロックビーク232は、下側に突出して設けられ、後述するCPA4の下ロックビーク45に係止するために設けられている。下ロックビーク232は、前端部に後側に向かうに従って突起高さが高くなる傾斜面S21(第1傾斜面)と、傾斜面S21の後側に隣接され、後側に向かうに従って突起高さが低くなる傾斜面S22(第2傾斜面)と、が設けられている。オスハウジングランス233は、筒状のオスハウジング23の内側面から前下に向かって突出して設けられ、オス端子21に係止するために設けられている。
【0020】
図2に示すように、一対のオスハウジングリブ234,234は、オスハウジング23の外側面から左右方向両側にそれぞれ突出して設けられている。一対のオスハウジングリブ234,234は、前後方向に延び、オスハウジング23の前端から前後方向の中間に亘って設けられている。
【0021】
図1に示すように、メスコネクタ3は、2つのオス端子21各々と電気的に接続される2つのメス端子31と、2つのメス端子31を収容するメスハウジング32と、メスハウジング32に外挿されたメスフロントリテーナ33及びパッキン34と、を有している。
【0022】
メス端子31は、導電性の金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して設けられている。メス端子31は、長手方向が前後方向に沿うようにメスハウジング32内に収容される。2つのメス端子31は、左右方向に並べてメスハウジング32内に収容される。メス端子31には、電線10の端末が取り付けられている。電線10の端末には、ゴム栓11が外挿され、ゴム栓11を外挿した部分がメスハウジング32内に挿入されている。
【0023】
メスハウジング32は、樹脂などの絶縁部材から構成されている。図3に示すように、メスハウジング32は、2つの端子収容室321を有している。2つの端子収容室321は、左右方向に並べて設けられ、メス端子31が一つずつ収容されている。
【0024】
またメスハウジング32は、図1に示すように、一対のロックアーム322,322(第1アーム)と、上ロックビーク323(第3係止部)と、メスハウジングランス324と、を有している。一対のロックアーム322,322は、メスハウジング32の上側の外側面から上側に突出し、後側(オスコネクタ2側)に向かって延び、後端(先端)が上下方向に可撓に設けられている。一対のロックアーム322,322は、左右方向に並べて設けられている。上ロックビーク323は、この一対のロックアーム322,322の後端同士を連結するように設けられている。
【0025】
メスハウジングランス324は、端子収容室321内に後下に向かって突出して設けられ、メス端子31を係止するために設けられている。
【0026】
メスフロントリテーナ33は、樹脂などの絶縁部材から構成されている。メスフロントリテーナ33は、メスハウジング32の後側から挿入され、一部が端子収容室321内に収容される。端子収容室321内に収容されたメスフロントリテーナ33は、メスハウジングランス324の先端と端子収容室321の内側面との間に挿入される。これにより、メスハウジングランス324の先端が端子収容室321の内側面に向かって撓んで、メス端子31との係止が解除されるのを防ぐ。
【0027】
パッキン34は、メスフロントリテーナ33よりも前側のメスハウジング32に外挿される。
【0028】
CPA4は、メスコネクタ3に対して前後方向にスライド自在に取り付けられる。CPAは、メスコネクタ3を収容する略四角筒状のハウジング41と、上ロックアーム42(第2アーム)と、上ロックビーク43(第4係止部)と、下ロックアーム44(第3アーム)と、下ロックビーク45(第5係止部)と、を有している。
【0029】
上ロックアーム42は、ハウジング41内の上側から後下に向かって延び、後端(先端)が上下方向に可撓に設けられている。上ロックアーム42の後端に下側に突出させた上ロックビーク43が設けられている。下ロックアーム44は、ハウジング41内の下側から後上に向かって延び、後端(先端)が上下方向に可撓に設けられている。下ロックアーム44の後端に上側に突出させた下ロックビーク45が設けられている。
【0030】
CPA4は、上ロックビーク43がメスコネクタ3の上ロックビーク323よりも後側に位置する本係止位置(図11参照)と、上ロックビーク43がメスコネクタ3の上ロックビーク323よりも前側に位置する仮係止位置(図1参照)との間でスライド自在に設けられている。
【0031】
図4に示すように、メスコネクタ3は、一対のロックアーム35,35と、一対のメスハウジングサイドロック36,36を有している。CPA4は、一対のCPAサイドロック46,46を有している。一対のロックアーム35,35は、メスハウジング32の左右外側面から前側に向かって延び、前端が左右方向に可撓に設けられる。この一対のロックアーム35,35の前端には、左右方向外側に突出する一対のメスハウジングサイドロック36,36が設けられている。CPAサイドロック46は、ハウジング41の左右内側面から突出して設けられている。CPA4が仮係止位置にあるときに、メスハウジングサイドロック36とCPAサイドロック46とが係止して、CPA4からメスコネクタ3が脱落するのを防止する。
【0032】
図5及び図6に示すように、CPA4は、一対のリブ挿入溝47,47と、一対のクラッシュリブ48,48(第2リブ)と、を有している。
【0033】
図5に示すように、一対のリブ挿入溝47,47は、ハウジング41の左右内側面を凹状にして設けられ、オスコネクタ2の一対のオスハウジングリブ234,234がそれぞれ挿入される。一対のリブ挿入溝47,47は、前後方向に延び、ハウジング41の後端から前後方向の中間に亘って設けられている。
【0034】
図6に示すように一対のクラッシュリブ48,48は、一対のリブ挿入溝47,47の内側面からそれぞれ突出して設けられている。本実施形態では、一対のクラッシュリブ48,48は、下側に突出して設けられている。一対のクラッシュリブ48,48は、一対のリブ挿入溝47,47の後側には設けておらず、前端部のみに設けられている。すなわち、一対のクラッシュリブ48,48は、仮係止位置ではオスハウジングリブ234に接触せず、本係止位置でオスハウジングリブ234に接触してつぶされるように設けられている。クラッシュリブ48は、後端部に前側に向かうに従って突出高さが高くなる傾斜面が設けられている。
【0035】
次に、上述したオスコネクタ2とメスコネクタ3との嵌合手順について説明する。メスコネクタ3は、CPA4を後側にスライドさせ本係止位置にあるときにメス端子31を端子収容室321内に収容する。メス端子31を収容した後、図1に示すように、CPA4を前側にスライドさせて仮係止位置にした状態で、オスコネクタ2とメスコネクタ3とを嵌合する。オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する前においては、ショートばね22はオス端子21に接触している。
【0036】
オスコネクタ2とメスコネクタ3とを近づけて、CPA4内にオスコネクタ2を挿入する。このとき、オスコネクタ2のオスハウジングリブ234の前端をCPA4のリブ挿入溝47の後端から挿入する。オスコネクタ2は、リブ挿入溝47により前後方向に案内される。オスコネクタ2とメスコネクタ3とをさらに近づけると、図7に示すように、メスコネクタ3のロックアーム322の後端が上側に撓み、上ロックビーク323がオスコネクタ2の上ロックビーク231を乗り上げる。また、CPA4の上ロックアーム42の後端が上側に撓み、上ロックビーク43がオスコネクタ2の上ロックビーク231を乗り上げる。さらに、CPA4の下ロックアーム44の後端が下側に撓み、下ロックビーク45がオスコネクタ2の下ロックビーク232を乗り上げる。
【0037】
オスコネクタ2とメスコネクタ3とをさらに近づけると、図8に示すように、メスコネクタ3の上ロックビーク323が、オスコネクタ2の上ロックビーク231を乗り越える。このとき、メスコネクタ3のロックアーム322の後端が下側に復元して、上ロックビーク323が上ロックビーク231の後側に位置し、上ロックビーク323と上ロックビーク231が係止する。これにより、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが完全嵌合される。
【0038】
上ロックビーク323と上ロックビーク231と係止されると、上ロックビーク231と上ロックビーク323の上面が同じ高さとなる。このため、CPA4の上ロックビーク43がメスコネクタ3の上ロックビーク323を乗り上げることができる。
【0039】
また、上ロックビーク323が上ロックビーク231を乗り越えたときに、下ロックビーク45が下ロックビーク232の傾斜面S22に接している。このため、下ロックアーム44の後端が上側に復元する力と傾斜面S22との作用により、CPA4には、後側にスライドする力が発生する。この力により、CPA4が仮係止位置から本係止位置に向かってスライド移動する。すなわち、オスコネクタ2とメスコネクタ3との嵌合後、CPA4をスムースに仮係止位置から本係止位置に移動することができる。
【0040】
また、図9及び図10に示すように、上ロックビーク323が上ロックビーク231を乗り越えて、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合した後であっても、CPA4が本係止位置になければ、クラッシュリブ48はオスハウジングリブ234に接していない。
【0041】
図11に示すように、CPA4が本係止位置に移動すると、上ロックビーク43が上ロックビーク323を乗り越える。このとき、上ロックアーム42の後端が下側に復元して、上ロックビーク43が上ロックビーク323の後側に位置し、上ロックビーク43と上ロックビーク323とが係止する。また、下ロックビーク45が下ロックビーク232を乗り越える。このとき、下ロックアーム44の後端が上側に復元して、下ロックビーク45が下ロックビーク232の後ろ側に位置し、下ロックビーク45と下ロックビーク232とが係止する。本実施形態では、本係止位置にあるとき、上ロックアーム42、下ロックアーム44の先端は撓んだ状態のままである。このため、上ロックアーム42,下ロックアーム44の復元力により、オスコネクタ2及びメスコネクタ3には上下方向に挟まれる力が発生し、コネクタ構造1の上下方向のガタを抑制することができる。
【0042】
また、オス端子21とショートばね22との間にメスハウジング32が挿入され、オス端子21とショートばね22との接続が解除される。
【0043】
CPA4が本係止位置に移動すると、クラッシュリブ48がオスハウジングリブ234に接触し、つぶされる。このクラッシュリブ48により、コネクタ構造1の上下方向のガタを抑制することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0045】
例えば、上述した実施形態によれば、オスコネクタ2はショートばね22を有していたが、ショートばね22は必須ではなく、なくてもよい。
【0046】
例えば、上述した実施形態によれば、クラッシュリブ48を設けていたが、クラッシュリブ48は必須ではなく、なくてもよい。
【0047】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ構造、嵌合位置検知ロック及び第1コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
第1コネクタ(2)と、
前記第1コネクタ(2)と嵌合する第2コネクタ(3)と、
前記第1コネクタ(2)及び前記第2コネクタ(3)の嵌合方向(前後方向)に前記第2コネクタ(3)に対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロック(4)と、を備えた
コネクタ構造(1)であって、
前記第1コネクタ(2)は、前記嵌合方向(前後方向)と交差する突起方向(上下方向)両側にそれぞれ突起する第1係止部(231)及び第2係止部(232)を有し、
前記第2コネクタ(3)は、先端が前記突起方向(上下方向)に可撓に設けられた第1アーム(322)と、前記第1アーム(322)の先端に設けられ、前記第1コネクタ(2)及び前記第2コネクタ(3)の嵌合時に前記第1係止部(231)を乗り越えて前記第1係止部(231)と係止する第3係止部(323)と、を有し、
前記嵌合位置保障ロック(4)は、先端が前記突起方向(上下方向)に可撓に設けられた第2アーム(42)と、前記第2アーム(42)の先端に設けられ、前記第3係止部(323)が前記第1係止部(231)を乗り越えて前記第1係止部(231)と係止した後、前記第3係止部(323)を乗り越えて前記第3係止部(323)と係止できる第4係止部(43)と、先端が前記突起方向(上下方向)に可撓に設けられた第3アーム(44)と、前記第3アーム(44)の先端に設けられ、前記突起方向(上下方向)が前記第3係止部(323)を乗り越えて前記第3係止部(323)と係止する本係止位置で、前記第2係止部(232)を乗り越えて前記第2係止部(232)に係止される第5係止部(45)と、を有する、
コネクタ構造(1)。
【0048】
上記[1]の構成によれば、嵌合位置保障ロック(4)の第2アーム(42),第3アーム(44)の復元力により、第1コネクタ(2)及び第2コネクタ(3)には突起方向(上下方向)に挟まれる力が発生し、コネクタ構造(1)の上下方向のガタを抑制することができる。
【0049】
[2]
[1]に記載のコネクタ構造(1)において、
前記第2係止部(232)は、前記嵌合方向(前後方向)の前記第1コネクタ(2)側に向かうに従って突起高さが高くなる第1傾斜面(S21)と、前記第1傾斜面(S21)の前記第1コネクタ(2)側に隣接され、前記嵌合方向(前後方向)の前記第1コネクタ(2)側に向かうに従って突起高さが低くなる第2傾斜面(S22)と、が設けられ、
前記第3係止部(323)が前記第1係止部(231)を乗り越えたときに、前記第5係止部(45)が前記第2傾斜面(S22)に接している、
コネクタ構造(1)。
【0050】
上記[2]の構成によれば、第3アーム(44)の先端が復元する力と第2傾斜面(S22)との作用により、嵌合位置保障ロック(4)には、第1コネクタ側(後側)にスライドする力が発生する。このため、第1コネクタ(2)と第2コネクタ(3)との嵌合後、嵌合位置保障ロック(4)をスムースに仮係止位置から本係止位置に移動することができる。
【0051】
[3]
[1]に記載のコネクタ構造(1)において、
前記第1コネクタ(2)は、前記嵌合方向(前後方向)に延在する第1リブ(234)を有し、
前記嵌合位置保障ロック(4)は、前記第1リブ(234)が挿入され、前記第1コネクタ(2)を前記嵌合方向(前後方向)に案内するリブ挿入溝(47)を有し、
前記リブ挿入溝(47)内には、前記本係止位置で前記第1リブ(234)に接触する第2リブ(48)が設けられた、
コネクタ構造(1)。
【0052】
上記[3]の構成によれば、第2リブ(48)により、嵌合位置保障ロック(4)が本係止位置にあるときのガタをより一層抑制することができる。
【0053】
[4]
第1コネクタ(2)と第2コネクタ(3)との嵌合方向(前後方向)に前記第2コネクタ(3)に対してスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロック(4)であって、
先端が前記嵌合方向(前後方向)と交差する突起方向(上下方向)に可撓に設けられた第2アーム(42)と、
前記第2アーム(42)の先端に設けられ、前記第2コネクタ(3)の前記突起方向(上下方向)に可撓する第1アーム(322)先端に設けられた第3係止部(323)が、前記第1コネクタ(2)の前記突起方向(上下方向)一方に突起する第1係止部(231)を乗り越えて前記第1係止部(231)と係止した後、前記第3係止部(323)を乗り越えて前記第3係止部(323)と係止できる突起方向(上下方向)と、
先端が前記突起方向(上下方向)に可撓に設けられた第3アーム(44)と、
前記第3アーム(44)の先端に設けられ、前記突起方向(上下方向)が前記第3係止部(323)を乗り越えて前記第3係止部(323)と係止する本係止位置で、前記第1コネクタ(2)の前記突起方向(上下方向)他方に突起する第2係止部(232)を乗り越えて前記第2係止部(232)に係止される第5係止部(45)と、を備えた、
嵌合位置保障ロック(4)。
【0054】
上記[4]の構成によれば、嵌合位置保障ロック(4)の第2アーム(42),第3アーム(44)の復元力により、第1コネクタ(2)及び第2コネクタ(3)には突起方向(上下方向)に挟まれる力が発生し、コネクタ構造(1)の上下方向のガタを抑制することができる。
【0055】
[5]
嵌合位置保障ロック(4)がスライド自在に取り付けられた第2コネクタ(3)と嵌合する第1コネクタ(2)において、
前記第1コネクタ(2)及び前記第2コネクタ(3)の嵌合方向(前後方向)と交差する突起方向(上下方向)両側に突出し、前記第2コネクタ(3)にスライド自在に取り付けられた嵌合位置保障ロック(4)の前記突起方向(上下方向)に可撓なアーム先端に設けられた係止部にそれぞれ係止する第1係止部(231)及び第2係止部(232)を有する、
第1コネクタ(2)。
【0056】
上記[5]の構成によれば、嵌合位置保障ロック(4)の第2アーム(42),第3アーム(44)の復元力により、第1コネクタ(2)及び第2コネクタ(3)には突起方向(上下方向)に挟まれる力が発生し、コネクタ構造(1)の上下方向のガタを抑制することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ構造
2 オスコネクタ(第1コネクタ)
3 メスコネクタ(第2コネクタ)
4 CPA(嵌合位置保障ロック)
42 上ロックアーム(第2アーム)
43 上ロックビーク(第4係止部)
44 下ロックアーム(第3アーム)
45 下ロックビーク(第5係止部)
47 リブ挿入溝
48 クラッシュリブ(第2リブ)
231 上ロックビーク(第1係止部)
232 下ロックビーク(第2係止部)
234 オスハウジングリブ(第1リブ)
322 ロックアーム(第1アーム)
323 上ロックビーク(第3係止部)
S21 傾斜面(第1傾斜面)
S22 傾斜面(第2傾斜面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13