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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165493
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】美容台
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/12 20060101AFI20241121BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20241121BHJP
   A47K 1/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A45D19/12
A47K1/00 B
A47K1/00 Z
A47K1/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081743
(22)【出願日】2023-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】522420339
【氏名又は名称】株式会社alpha
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】印南 智彦
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040AB01
(57)【要約】
【課題】室内のスペースをより有効利用することが可能な美容台を提供する。
【解決手段】美容台1は、椅子に着座した被施術者が対向する位置に配置されたシャンプー台30と、シャンプー台30の上方の定位置に配置され、被施術者を映す鏡30と、鏡を支持するフレーム20と、鏡10を定位置及びシャンプー台30の上方を開放して被施術者のシャンプーを可能にする退避位置に移動させるようにフレーム20をガイドするレール50と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に着座した被施術者が対向する位置に配置されたシャンプー台と、
当該シャンプー台の上方の定位置に配置され、被施術者を映す鏡と、
前記鏡を支持しかつ前記鏡を前記定位置及び前記シャンプー台の上方を開放して被施術者のシャンプーを可能にする退避位置に移動させる移動機構と、を備える美容台。
【請求項2】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の側方にスライド移動させる、美容台。
【請求項3】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の上方に移動させる、美容台。
【請求項4】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の後部側に移動させる、美容台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容室に設置されている美容台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カットをする場所と、シャンプーをする場所とが異なっており、シャンプーの際に客に移動してもらうようになる美容室がある。この場合、客に移動してもらうため、カット、シャンプー、ブローの作業がスムーズに流れないおそれがある。そこで、従来、客を移動させることなくカット、シャンプー、ブローの作業ができる理・美容設備が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、椅子と、該椅子に対向する位置に立設したユニットケーシングと、ケーシングの椅子と正対する位置のボール収納室に出退自在に配設したシャンプーボウルと、該ボールの不使用時にその収納室開口部を閉塞しかつボール使用時にはボールの出退に支障のないケーシングの前面に横移動する可動鏡とからなる理・美容設備であって、シャンプーボウルを水平状態で前後方向に出退可能とし、椅子をケーシングに対して前後動可能にすることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-289346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、小さいスペースに椅子を1,2脚配置して、少人数の客にサービスを提供するという営業形態の美容室が増えている。このような美容室においては室内のスペースを有効利用する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された理・美容設備を用いた場合、シャンプーボウルを水平状態で前方向に引き出す必要があるため、スタッフは、椅子とシャンプーボウルとが干渉しないように椅子を後退させてから、シャンプーボウルを前方に進出させる手間が必要になる。また、椅子やシャンプーボウルの移動スペースが必要になる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、室内のスペースをより有効利用することが可能な美容台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0008】
(1)椅子に着座した被施術者が対向する位置に配置されたシャンプー台と、
当該シャンプー台の上方の定位置に配置され、被施術者を映す鏡と、
前記鏡を支持しかつ前記鏡を前記定位置及び前記シャンプー台の上方を開放して被施術者のシャンプーを可能にする退避位置に移動させる移動機構と、を備える美容台。
【0009】
(1)によれば、鏡をシャンプー台上の定位置に位置付けることによって、椅子をシャンプー台寄りに予め配置することが可能になる。このため、椅子を180°回転させることによってバックシャンプーが可能な所定位置に被施術者の頭部を位置付けるように、椅子の位置を予め設定し当該位置に椅子を固定することが可能になる。これにより、被施術者に対するカットが終了してシャンプーに移行する際に、被施術者にカットの場所からシャンプー台に移動してもらう必要がなくなる。しかも、バックシャンプーが可能な所定位置に被施術者の頭部を位置付けるように、椅子やシャンプー台を前後に移動させる必要がなくなるため、椅子やシャンプー台の移動スペースを確保する必要なくなる。これにより、室内のスペースの有効利用を図ることが可能になる。
【0010】
(2) (1)において、前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の側方にスライド移動させる、美容台。
【0011】
(2)によれば、鏡を引き戸のようにスライド移動させるため、鏡を退避位置に移動させる作業が容易になる。
【0012】
(3) (1)において、前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の上方に移動させる、美容台。
【0013】
(3)によれば、鏡を上方に移動させるため、鏡の退避に室内のフロアスペースを利用する必要がなくなる。
【0014】
(4) (1)において、前記移動機構は、前記鏡を前記シャンプー台の後部側に移動させる、美容台。
【0015】
(4)によれば、鏡を押すことによってスライド移動させるため、鏡を退避位置に移動させる作業が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、室内のスペースをより有効利用することが可能な美容台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における美容台1の構成を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態における美容台1の構成を模式的に示す側面図である。
図3】室内におけるシャンプー台30に対する鏡10と椅子100の位置関係を示すシャンプー台30を平面視した模式図である。
図4】室内に複数の美容台1を設置した場合の配置例を示す模式図である。
図5図5は、施術者がシャンプーを行う際の鏡10の位置を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施形態における美容台2の構成を模式的に示す正面図である。
図7】本発明の他の実施形態における美容台3の構成を模式的に示す側面図である。
図8】本発明の他の実施形態における美容台4の構成を模式的に示す正面図である。
図9】本発明の他の実施形態における美容台5の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態における美容台1の構成を模式的に示す正面図である。図2は、本発明の一実施形態における美容台1の構成を模式的に示す側面図であり、図2(a)は左側面図、図2(a)は右側面図である。
【0020】
美容台1は、鏡10と、フレーム20と、シャンプー台30と、を備えている。
【0021】
鏡10は、鏡面を有し、縦長の矩形(例えば、横600×縦900mm)の平板体からなる鏡面部10aと、この鏡面部10aの下部から延出する平板状の延出部10bと、を有する。すなわち、鏡10は、図2に示すように、側面視L字形に構成されている。鏡10は、椅子100に被施術者が着座した際に、被施術者の正面に配置され、被施術者の上半身を映す。
【0022】
なお、以下の説明の都合上、鏡10に対して被施術者側を前方或いは前側、その反対側を後方或いは後側、椅子100に着座した被施術者の左手側を左方或いは左側、被施術者の右手側を右方或いは右側、天井側を上方或いは上側、床面側を下方或いは下側と称することにする。延出部10bは前方に延出する。この延出部10bにカットに使用する器具等を置くことが可能になり、延出部10bはカット台として機能する。
【0023】
フレーム20は、金属製の角筒の組み合わせによって構成され、鏡10を支持する。フレーム20は、鏡10の左側に配置される左側支持部21と、鏡10の右側に配置される右側支持部22と、左側支持部21と右側支持部22との間に配置され、両者を連結する2本の中央支持部23、24と、を有する。
【0024】
左側支持部21は、天井から床面までの長さよりも若干短い長尺の中央角筒21aと、この中央角筒21aの上部に形成され、中央角筒21aの上部を含めて矩形に形成された上部矩形部21bと、中央角筒21aの下部に形成され、中央角筒21aの下部の周りを囲むように矩形に形成された下部矩形部21cと、を有する。上部矩形部21b及び下部矩形部21cは前後方向に延びている。
【0025】
右側支持部22は、左側支持部21における中央角筒21aの下部を含む下部矩形部21cを除いた構成であり、中央角筒21aよりも短い中央角筒22aと、この中央角筒22aの上部に形成され、中央角筒22aの上部を含めて矩形に形成された上部矩形部22bと、を有する。上部矩形部22bは前後方向に延びている。
【0026】
上部矩形部21b及び上部矩形部22bの上面の両端部に、天井に配置されるレール50に挿入され、レール50に沿って移動するスライダ25が設けられている。
【0027】
下部矩形部21cの下面の両端部及び中央部にキャスタ26が設けられている。
【0028】
中央支持部23、24は、例えば80cmの角筒からなり、一方の端部に中央角筒21aが連結され、他方の中央角筒22aが連結される。中央支持部23、24は、左右方向に延びており、互いに平行でありかつ中央角筒21a及び中央角筒22aに対して直角である。特に、中央支持部24は、中央角筒21aにおける下部矩形部21cとの付け根付近の内側側面に連結され、中央角筒22aの下端部の内側側面に連結される。中央角筒22aの下面と中央支持部24の下面とは面一である。
【0029】
中央支持部23は鏡10の上部を支持し、中央支持部24は鏡10の下部を支持する。なお、中央支持部24の下面から床面までの距離はシャンプー台30の高さより若干長く設定されている。言い換えれば、下部矩形部21cの高さにキャスタ26の高さを加えた長さはシャンプー台30の高さより若干長く設定されている。
【0030】
シャンプー台30は、シャンプーボウル31と、シャンプーボウル31を載置する台座32と、を備えている。シャンプーボウル31の後部には、シャワーヘッド40や給湯用のツマミ41が設置されている。台座32の内部にはシャワーヘッド40に水を供給する給水管や、シャンプーボウル31に接続されシャンプーボウル31に内の水を外部に排出するための排水管が配置されている。
【0031】
シャンプー台30は、室内の壁の近くに設置されており、天井面におけるシャンプー台30の上方に位置する部位にレール50が設置されている。このレール50にスライダ25を取り付けることにより、フレーム20がレール50に沿って左右方向にスライド移動可能に配置される。フレーム20が最も右側に移動した場合に、シャンプー台30の上の規定位置に鏡10が配置される。また、シャンプー台30の左側面に左側支持部21の下部矩形部21cが当接或いは近接する。
【0032】
また、図2に示すように、作業椅子60がシャンプー台30の後ろ側に配置されている。作業椅子60は、L字形の箱形形状の部材であり、室内の壁面に当接或いは近接するように配置されるL字形における長尺部分60aと、長尺部分60aの端部から垂直に延びるL字形の垂直部分60bと、を有している。垂直部分60bの内部に室外排水用の排水管61が収納されている。排水管61は、シャンプーボウル31に接続される排水管の端部に接続される。ここで、シャンプーボウル31に接続される排水管の端部は台座32の後方の左側に位置付けられており、排水管61は、台座32の後方の左側から壁側に斜め下方に延びるように勾配を付けて垂直部分60bの内部に収納されている。言い換えれば、排水管61は室内を通っており、この排水管61は作業椅子60によって覆い隠されている。
【0033】
このため、垂直部分60bの右側に、シャンプー台30と長尺部分60aとによる隙間が形成される。施術者は、この隙間に、シャンプー台30の右側から入ることで、シャンプー台30の後方に回って作業椅子60の長尺部分60aの上部に着座することができる。なお、垂直部分60bの上部にシャンプー等を載置することができる。
【0034】
図3は、室内におけるシャンプー台30に対する鏡10と椅子100の位置関係を示すシャンプー台30を平面視した模式図である。シャンプー台30上における手前側に鏡面部10aが配置される。この鏡面部10aに対向するように椅子100が配置される。ここで、実際には、シャンプー台30上における手前側の部分の上部に延出部10bが配置されるため、鏡10がシャンプー台30上に配置されている状態で、シャンプーボウル31の内側が被施術者によって視認されることはない。
【0035】
椅子100は回転自在であり、施術者がカットを行う場合には被施術者の顔を鏡面部10aに向け、施術者がシャンプーを行う場合には椅子100を180°回転させて、被施術者の後頭部をシャンプー台30に向けることができる。なお、椅子100を回転させる際に、一旦、被施術者に椅子100から立ってもらってもよい。そして、施術者は、シャンプー台30の右側からシャンプー台30の後方に回って作業椅子60に着座して、被施術者の後方からシャンプーを行う。
【0036】
図4は、室内に複数の美容台1を設置した場合の配置例を示す模式図である。図4においては4つの美容台1及び椅子100を設置した配置例を示す。4つの美容台1及び椅子100は、室内における共通の壁に向かっており、壁に沿って一列に並べられている。なお、説明の便宜上、4つの椅子100をそれぞれ座席A、座席B、座席C、座席Dと称し、座席A、座席B、座席C、座席Dの順に並んでいるものとする。
【0037】
作業椅子60は、1つの長尺の箱状部材からなる長尺部分60aと、長尺部分60aの一側面から垂直に延びる4本の垂直部分60bと、を備えている。長尺部分60aの内部には、1本の長尺の排水管62が収納されている。この排水管62の側面から4本の排水管61が延びており、4本の排水管61はそれぞれ4本の垂直部分60bの内部に収納される。
【0038】
作業椅子60内の排水管62は、座席A側が高く、座席D側が低くなるように勾配をつけて設置されている。このため、4つのシャンプー台30で使用した水は、シャンプーボウル31に接続された排水管から排水管61に送られて、排水管62に移動し、排水管62における座席D側の端部に移動する。排水管62における座席D側の端部には、室外排水用の配管が接続されており、この配管を介して排水管62を通った水が室外に排出される。
【0039】
図5は、施術者がシャンプーを行う際の鏡10の位置を示す説明図である。施術者がシャンプーを行う際に、まず、フレーム20を左側にスライド移動させて、図5に示すように、シャンプー台30の左側に退避させる。これにより、鏡10によって隠れていたシャワーヘッド40や給湯用のツマミ41の操作が可能になる。次に施術者は、椅子100を180°回転させて、被施術者の後頭部をシャンプーボウル31に向ける。そして、施術者が所謂バックシャンプーを行う。なお、シャンプー後は、椅子100を再び180°回転させて、被施術者の顔をシャンプー台30に向け、フレーム20を右側にスライド移動させる。これにより、施術者はブロー工程に移行することができる。なお、図4に示す、隣り合うシャンプー台30、30の間隔は、シャンプー台30の横幅以上であることが望ましい。これにより、シャンプーを行う際に施術者はフレーム20を左方向にスライドさせて鏡10を退避させた時に、左側に位置するシャンプー台30にフレーム20が当接することを防止することが可能になる。
【0040】
以上、説明したように構成された本実施形態によれば、鏡10をシャンプー台30上に位置付けることによって、椅子100をシャンプー台30寄りに予め配置することが可能になる。このため、椅子100を180°回転させることによってバックシャンプーが可能な所定位置に被施術者の頭部を位置付けるように、椅子100の位置を予め設定し当該位置に椅子100を固定することが可能になる。これにより、被施術者に対するカットが終了してシャンプーに移行する際に、被施術者にカットの場所からシャンプー台に移動してもらう必要がなくなる。しかも、バックシャンプーが可能な所定位置に被施術者の頭部を位置付けるように、椅子やシャンプー台を前後に移動させる必要がなくなるため、椅子やシャンプー台の移動スペースを確保する必要なくなる。これにより、室内のスペースの有効利用を図ることが可能になる。
【0041】
また、鏡10を支持するフレーム20が左右方向にスライド移動可能であり、施術者は、フレーム20を引き戸のようにスライド操作できるため、フレーム20の移動を容易に行うことが可能になる。また、鏡10をシャンプー台30上の規定位置に位置付けることによって、鏡10の延出部10bをカット台として使用することが可能になり、鏡10をシャンプー台30から退避させることによって、シャンプー台30を使用することが可能になる。
【0042】
また、作業椅子60がシャンプー台30の後ろ側に配置されており、この作業椅子60が、施術者が着座する椅子と、排水管61を覆い隠すカバー部材とを兼ねている。しかも、作業椅子60の内部で排水管61、62が勾配をつけた状態で設置されている。
【0043】
このため、本実施形態によれば、作業椅子60を設けることで、被施術者の後方に回って作業椅子60に着座しながらバックシャンプーを行うことが可能になるため、施術者は楽な姿勢で作業を行うことが可能になる。また、この作業椅子60によって排水管61、62が覆い隠されることにより、室内における作業椅子60の内部空間を有効利用することができる。
【0044】
ここで、従来、排水管62は床下に設置される場合が多く、排水管62に勾配をつけるために床を高くすることで、設置スペースを確保していた。
【0045】
本実施形態によれば、作業椅子60の内部に排水管62に勾配をつけた状態で設置されるため、従来のように、床を高くすることによって排水管62の設置スペースを確保する必要がなくなる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した本実施形態によれば、鏡10を左右方向にスライドさせているが、それに限らず、上下方向や前後方向に移動させてもよい。
【0047】
図6は、本発明の他の実施形態における美容台2の構成を模式的に示す正面図である。なお、図1図5に示す美容台1に係る部材と同一の部材或いは同一機能の部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0048】
美容台2は、鏡10と、シャンプー台30と、巻き取り装置70と、ワイヤ71と、イーゼル72と、を備えている。
【0049】
巻き取り装置70は、電動でワイヤ71の巻き上げ、巻き下げを行う装置である。ワイヤ71の巻き上げ、巻き下げは、施術者がリモコン装置を操作することによって行われる。
【0050】
ワイヤ71は、一端部が鏡10に接続され、他端部が巻き取り装置70に接続される。
【0051】
イーゼル72は、鏡10を支持し、鏡10をシャンプー台30上に載置させるものである。他の実施形態によれば鏡10にイーゼル72が固定されている。
【0052】
カット時には、図6(a)に示すように、イーゼル72がシャンプー台30上に載置され、このイーゼル72によって鏡10が被施術者に向けて支持される。シャンプーを行う場合には、施術者がリモコン装置を操作して巻き取り装置70を駆動させ、巻き取り装置70にワイヤ71を巻き上げさせることによって、鏡10及びイーゼル72が上方にスライド移動して、図6(b)に示すように、鏡10が天井近くに位置付けられる。シャンプーを行った後に、施術者がリモコン装置を操作して巻き取り装置70にワイヤ71を巻き下げさせる。これにより、鏡10及びイーゼル72が下方にスライド移動する。ここで、鏡10がシャンプー台30上に到達する前に、巻き取り装置70を一旦停止させ、施術者がイーゼル72の脚を開いてから、再度、施術者がリモコン装置を操作して巻き取り装置70を駆動させ、鏡10及びイーゼル72が下方に移動させてイーゼル72の脚をシャンプー台30上に載置させる。これにより、図6(a)に示すように、鏡10がシャンプー台30上に載置される。
【0053】
このように、鏡10を上下に移動させ、鏡10を上方に退避させることにより、鏡10の退避に室内のフロアスペースを利用する必要がなくなる。これにより、室内スペースを有効利用することができる。
【0054】
図7は、本発明の他の実施形態における美容台3の構成を模式的に示す側面図である。なお、図1図5に示す美容台1に係る部材と同一の部材或いは同一機能の部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0055】
美容台3は、鏡10と、フレーム20と、シャンプー台30と、レール51と、を備えている。
【0056】
図7に示すフレーム20は、図2に示すフレーム20の左側支持部21の形状を変えたものであり、左側支持部21の下部矩形部21cにおける後ろ側の矩形部分を削除したものである。
【0057】
レール51は、天井に設置され、前後方向に延びている。そして、レール51にスライダ25を通すことにより、フレーム20がレール51によって支持される。
【0058】
カット時には、図7(a)に示すように、鏡10が被施術者に向けて支持される。シャンプーを行う場合には、鏡10或いはフレーム20を後方に押すことにより、図7(b)に示すように、鏡10が、シャワーヘッド40や給湯用のツマミ41よりも後方に位置付けられる。シャンプーを行った後に、施術者が鏡10或いはフレーム20を前方に押すことにより、鏡10が前方に移動して、図7(a)に示すように、鏡10がシャンプー台30上の規定位置に戻される。
【0059】
図7に示す他の実施形態の場合には、フレーム20の移動の際に鏡10の下端部がシャワーヘッド40や給湯用のツマミ41に干渉しないように、フレーム20に対して鏡10を若干上方に取り付けることが望ましい。また、鏡10における延出部10bは着脱自在とし、シャンプーを行う際に延出部10bを取り外して、シャンプーボウル31の上方を開放することが望ましい。また、図7に示す他の実施形態の場合には、鏡10がシャンプー台30の後部に位置付けられるため、施術者が作業椅子60に着座してシャンプーの差作業を行うことは困難であるが、作業椅子60をシャンプーやドライヤー等を置くための作業台として利用することも可能である。
【0060】
また、上述した実施形態によれば、鏡10を左右方向にスライドさせているが、左方向に移動させながら鏡10を90°回転させて、シャンプー台30の左側に鏡10を位置付けてもよい。鏡10の回転は、レール50を弧状に形成することによって可能になる。
【0061】
また、鏡10を上下方向、或いは左右方向に回転させて、施術者が被施術者に対してシャンプーを行う際に、障害にならない位置に鏡10を位置付けてもよい。
【0062】
具体的には、図8に示す美容台4のように、シャンプー台30の側方に、鉛直方向に延びる円柱状の支柱80を配置し、この支柱80を鏡10の一方の側部に通すことによって、支柱80に鏡10を左右方向に回動自在に支持させる。これにより、鏡10の他方の側部を手前に引いたり押したりすることによって、鏡10を観音開きのように回動させることが可能になり、鏡10をシャンプー台30の側方に移動させることが可能になる。この際、鏡10を90度回動させても、180度回動させてもよいが、シャンプーを行う際の水が鏡面に付着させないためにも120度以上回動させるのが望ましい。
【0063】
また、図9に示す美容台5のように、水平方向に延びる円柱状の支柱81を配置し、この支柱81を鏡10の上部を通すことによって、支柱81に鏡10を上下方向に回動自在に支持させる。支柱81は、例えば天井から鉛直下方に延びる一対の棒状部材に支柱の両端部を支持させたり、シャンプー台30の囲むように配置されたフレーム体に支持させたりすることによって、シャンプー台30の上方に配置することができる。これにより、鏡10の下部を押し上げることによって、鏡10を回動させることが可能になり、鏡10をシャンプー台30の上方に移動させることが可能になる。なお、鏡10をシャンプー台30の上方に移動した状態を維持するための部材を設けることが望ましい。例えば、天井から下方に延びた紐材や長尺部材に鏡10の下部を係合させることによって支持させてもよい。
【0064】
更には、鏡10の下部の片方の端部に、鏡面に対して直角に延びる回動軸を配置し、この回動軸をシャンプー台30の側方に設けた軸受けに軸支させることにより、鏡10を側転させて、鏡10をシャンプー台30の側方に移動させてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態によれば、シャンプー台30上にある鏡10を、レール50、51やワイヤ71を用いてシャンプー台30の外部にスライド移動させたり、回転させたりすることにより、施術者が被施術者に対してシャンプーを行う際に、障害にならない位置に鏡10を位置付けているが、鏡10を移動させる方法はそれに限るものではなく、スライドや回転を複合させてもよい。要は、シャンプー台30上にある鏡10を、シャンプーを行う際の障害にならない位置に移動できるのであれば、他の方法でも適用可能である。
【0066】
また、上述した実施形態によれば、作業椅子60をL字形に形成しているが、それに限るものではない。例えば、作業椅子60をI字形に形成し、排水管61を台座32の中央部から延ばし、I字形の作業椅子60によって排水管61を覆う。そして、シャンプーの際には、施術者がI字形の作業椅子60を跨いで着座するようにしてもよい。これにより、シャンプー台30の後方を広くすることができるため、シャンプー台30の後方を収納スペースとして広く使うことができる。或いは、作業椅子60をT字形に形成し、垂直部分60bに排水管61を通し、施術者は長尺部分60aに着座し、垂直部分60bの両側部に脚を伸ばすようにしてもよい。これにより、施術者の臀部を長尺部分60aに乗せることができるため、楽な姿勢を保つことができる。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4、5 美容台
10 鏡
20 フレーム
25 スライダ
26 キャスタ
30 シャンプー台
31 シャンプーボウル
40 シャワーヘッド
41 ツマミ
50、51 レール
60 作業椅子
61 排水管
70 巻き取り装置
71 ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に着座した被施術者が対向する位置に配置されシャンプー台と、
当該シャンプー台の上方の定位置に配置され、被施術者を映す鏡と、
を有し、
前記シャンプー台は、施術者が着座する作業椅子と当該シャンプー台との間に空間を形成し、
前記鏡を支持し、かつ、支持した前記鏡を前記規定位置から退避位置へ移動させることにより、前記シャンプー台と前記作業椅子との間に形成された空間と、前記当該シャンプー台の上方の空間と、をつなぐ移動機構を備える美容台。
【請求項2】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記規定位置から前記シャンプー台の側方へスライド移動させる、美容台。
【請求項3】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記規定位置から更に上へ移動させる、美容台。
【請求項4】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を前記規定位置から観音開きのように回動させて前記シャンプー台の側方へ移動させる、美容台。
【請求項5】
請求項1記載の美容台であって、
前記移動機構は、前記鏡を上方向に回動させて前記規定位置から更に上へ移動させる、美容台。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
椅子に着座した被施術者が対向する位置に配置されるシャンプー台と、
当該シャンプー台の上方の規定位置に配置され、被施術者を映す鏡と、
を有する美容台であって、
前記シャンプー台は、施術者が着座する作業椅子との間に空間をおいて配置され、
前記鏡を支持し、かつ、支持した前記鏡を前記規定位置から退避位置へ移動させることにより、前記シャンプー台と前記作業椅子との間に形成された空間と、前記当該シャンプー台の上方の空間と、をつなぐ移動機構を備える美容台。