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特開2024-165495ポイント付与システム及びポイント付与方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165495
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ポイント付与システム及びポイント付与方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241121BHJP
【FI】
G06Q30/0207
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081746
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 俊彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】作業機械の稼働データをサーバに送信すること。
【解決手段】作業機械のユーザにポイントを付与するポイント付与システムは、作業機械の稼働データがユーザの通信環境を介してサーバに送信されたか否かを判定する判定部と、稼働データが通信環境を介してサーバに送信されたと判定された場合に、ユーザにポイントを付与するポイント付与部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のユーザにポイントを付与するポイント付与システムであって、
前記作業機械の稼働データが前記ユーザの通信環境を介してサーバに送信されたか否かを判定する判定部と、
前記稼働データが前記通信環境を介して前記サーバに送信されたと判定された場合に、前記ユーザにポイントを付与するポイント付与部と、を備える、
ポイント付与システム。
【請求項2】
前記ポイント付与部は、前記サーバに受信された前記稼働データのデータ量に基づいて、前記ポイントを付与する、
請求項1に記載のポイント付与システム。
【請求項3】
前記通信環境は、前記ユーザの携帯端末を含む、
請求項1に記載のポイント付与システム。
【請求項4】
前記作業機械は、車載コントローラを有し、
前記車載コントローラは、前記稼働データを第1通信方式で前記サーバに送信可能であり、
前記携帯端末は、前記車載コントローラが前記稼働データを前記第1通信方式で送信できない場合に、前記車載コントローラから第2通信方式で送信された前記稼働データを受信した後、前記第1通信方式で前記サーバに送信する、
請求項3に記載のポイント付与システム。
【請求項5】
作業機械のユーザにポイントを付与するポイント付与方法であって、
前記作業機械の稼働データが前記ユーザの通信環境を介してサーバに送信されたか否かを判定することと、
前記稼働データが前記通信環境を介して前記サーバに送信されたと判定された場合に、前記ユーザにポイントを付与することと、を含む、
ポイント付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポイント付与システム及びポイント付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような作業情報処理システムが知られている。特許文献1において、コンバインは、スマートフォンとの間で近距離通信を行い、スマートフォンは、外部のサーバとの間で遠距離通信を行う。スマートフォンからサーバにコンバインの作業情報が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-163541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンのような携帯端末を用いて作業機械の稼働データをサーバに送信する場合、作業機械の稼働データをサーバに送信するための専用のアプリケーションソフトウエアを携帯端末にインストールする必要がある。ユーザが積極的にアプリケーションソフトウエアをインストールしたり使用したりするような方策を講じないと、携帯端末を介して作業機械の稼働データをサーバに送信するシステムが十分に構築されない。
【0005】
本開示は、作業機械の稼働データをサーバに送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械のユーザにポイントを付与するポイント付与システムであって、作業機械の稼働データがユーザの通信環境を介してサーバに送信されたか否かを判定する判定部と、稼働データが通信環境を介してサーバに送信されたと判定された場合に、ユーザにポイントを付与するポイント付与部と、を備える、ポイント付与システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の稼働データがサーバに送信される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械の管理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械の管理システムを模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械の管理システムを示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る携帯端末が第2通信システムを使用せずに作業機械の稼働データを取得する方法を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る携帯端末とサーバとの通信の開始手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る携帯端末とサーバとの通信手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る携帯端末と作業機械との通信の開始手順を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る携帯端末と作業機械との通信手順を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係るポイントの付与方法を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図15図15は、実施形態に係る携帯端末に表示される表示データの一例を示す図である。
図16図16は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械の管理システム]
図1は、実施形態に係る作業機械2の管理システム1を模式的に示す図である。作業機械2は、動力源としてエンジンを有する。実施形態において、作業機械2は、油圧ショベルである。作業機械2は、履帯を有する走行体と、走行体に支持される旋回体と、旋回体に支持される作業機とを有する。作業機は、旋回体に連結されるブームと、ブームに連結されるアームと、アームに連結されるバケットとを有する。
【0011】
作業機械2は、作業現場において稼働する。作業機械2は、オペレータの運転操作に基づいて稼働する。オペレータは、作業機械2の運転室に搭乗して、作業機械2の運転操作を実施する。オペレータは、携帯端末4を所持する。携帯端末4は、スマートフォンである。なお、携帯端末4は、タブレット端末でもよい。
【0012】
管理システム1は、作業機械2の稼働データを収集するサーバ6を備える。サーバ6は、作業機械2の外部に配置される。サーバ6は、作業現場の遠隔地に配置される。作業機械の2の稼働データは、作業機械2の稼働時間及び作業機械2の稼働位置を含む。作業機械2の稼働時間は、作業機械2のエンジンの稼働時間を含む。作業機械2の稼働データは、燃料消費量を含む。作業機械2の稼働データは、作業機械2の異常データを含む。作業機械2の異常データは、作業機械2の異常内容、異常箇所、及び異常発生時刻を含む。
【0013】
作業機械2は、車載コントローラ30を有する。車載コントローラ30は、第1通信システム7を介して、作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。第1通信システム7は、第1通信方式(第1通信プロトコル)で作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。第1通信システム7は、遠距離通信を行う。車載コントローラ30は、第1通信システム7を利用して、サーバ6との間で遠距離通信を行う。車載コントローラ30は、作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信可能である。第1通信システム7は、携帯電話回線又は通信衛星回線を含む。実施形態において、第1通信方式は、携帯電話回線を利用する通信方式である。なお、第1通信方式は、通信衛星回線を利用する通信方式でもよい。
【0014】
図1に示すように、作業機械2が第1通信システム7の通信圏内に存在する場合、車載コントローラ30は、第1通信システム7を介して、作業機械2の稼働データをサーバ6に送信することができる。
【0015】
図2は、実施形態に係る作業機械2の管理システム1を模式的に示す図である。作業機械2は、第1通信システム7を使用できない作業現場で稼働する可能性がある。図2に示すように、作業現場が山間部のような第1通信システム7の通信圏外である場合、作業機械2は、第1通信システム7を使用できない。また、作業現場が屋内又はトンネル内である場合、又は作業現場の周囲に通信の障害物が存在する場合、第1通信システム7の通信障害が発生する可能性があるため、作業機械2は、第1通信システム7を使用できない。
【0016】
実施形態において、作業機械2が第1通信システム7を使用できない場合、すなわち、車載コントローラ30が第1通信システム7を介して作業機械2の稼働データをサーバ6に送信できない場合、携帯端末4が稼働データを取得する。車載コントローラ30は、第2通信システム8を介して、作業機械2の稼働データを携帯端末4に送信する。第2通信システム8は、第2通信方式(第2通信プロトコル)で作業機械2の稼働データを携帯端末4に送信する。第2通信システム8は、近距離通信を行う。車載コントローラ30は、第2通信システム8を利用して、携帯端末4との間で近距離通信を行う。車載コントローラ30は、作業機械2の稼働データを第2通信方式で携帯端末4に送信可能である。第2通信システム8は、無線LAN(Local Area Network)又は無線PAN(Personal Area Network)を含む。実施形態において、第2通信方式は、Wifi(登録商標)のような無線LAN方式である。なお、第2通信方式は、Bluetooth(登録商標)のような無線PAN方式でもよい。
【0017】
また、後述するように、携帯端末4は、第2通信システム8を使用せずに、作業機械2の稼働データを取得することができる。
【0018】
作業機械2の稼働データが携帯端末4に記憶された後、携帯端末4が第1通信システム7を使用できる位置まで移送される。例えば、作業現場が第1通信システム7の通信圏外である場合、作業機械2の稼働データを記憶した携帯端末4が第1通信システム7の通信圏内に移送される。携帯端末4は、オペレータにより移送されてもよい。例えば、作業現場における作業が終了した後、携帯端末4を所持したオペレータが第1通信システム7の通信圏内に移動することにより、携帯端末4が第1通信システム7の通信圏内に移送される。携帯端末4は、第1通信システム7の通信圏内まで移送された後、第1通信システム7を介して、作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。このように、車載コントローラ30が第1通信方式で作業機械2の稼働データをサーバ6に送信できなくても、携帯端末4からサーバ6に作業機械2の稼働データが送信されるので、サーバ6は、作業機械2の稼働データを収集することができる。
【0019】
図3は、実施形態に係る作業機械2の管理システム1を示すブロック図である。図3に示すように、作業機械2は、車載コントローラ30と、センサ9と、通信機10と、通信機11とを有する。
【0020】
センサ9は、作業機械2の稼働データを検出する。センサ9として、作業機械2のエンジンの稼働時間を検出するエンジンセンサ、及び作業機械2の稼働位置を検出する位置センサが例示される。通信機10は、第1通信システム7を介してサーバ6と通信する。通信機11は、第2通信システム8を介して携帯端末4と通信する。
【0021】
車載コントローラ30は、データ収集部31と、制御部32とを有する。データ収集部31は、作業機械2の稼働データを収集する。作業機械2の稼働データは、センサ9の検出データを含む。データ収集部31は、作業機械2の稼働データとして、センサ9の検出データを取得する。制御部32は、作業機械2の駆動部を制御する制御指令を出力する。作業機械2の駆動部は、走行体、旋回体、及び作業機を含む。制御部32は、オペレータの運転操作に基づいて、走行体、旋回体、及び作業機の少なくとも一つを駆動するための制御指令を出力する。
【0022】
携帯端末4は、端末コントローラ50と、振動センサ12と、位置センサ13と、カメラ14と、通信機15と、通信機16とを有する。
【0023】
振動センサ12は、振動を検出する。振動センサ12は、加速度センサを含む。携帯端末4が作業機械2に搭載されている場合、振動センサ12は、作業機械2の振動を検出することができる。
【0024】
位置センサ13は、位置を検出する。位置センサ13は、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して位置を検出する。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される位置を検出する。位置センサ13は、GNSS衛星からGNSS電波を受信するGNSS受信機を含む。携帯端末4が作業機械2に搭載されている場合、位置センサ13は、作業機械2の位置を検出することができる。
【0025】
カメラ14は、画像データを取得する。カメラ14は、作業機械2を撮像して、作業機械2の少なくとも一部の画像データを取得することができる。
【0026】
通信機15は、第1通信システム7を介してサーバ6と通信する。通信機16は、第2通信システム8を介して作業機械2と通信する。
【0027】
端末コントローラ50には、アプリケーションソフトウエア55がインストールされている。端末コントローラ50は、アプリケーションソフトウエア55に含まれるコンピュータプログラムに従って所定の処理を実行する。以下の説明において、アプリケーションソフトウエア55を適宜、アプリ55、と称する。
【0028】
端末コントローラ50は、稼働データ算出部51と、送信部52と、受信部53と、記憶部54とを有する。アプリ55は、稼働データ算出部51、送信部52、受信部53、及び記憶部54のそれぞれの機能を有する。
【0029】
稼働データ算出部51は、振動センサ12の検出データに基づいて、作業機械2の稼働データを算出する。送信部52は、稼働データ算出部51が算出した作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。送信部52は、車載コントローラ30が作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信できない場合に、稼働データ算出部51が算出した作業機械2の稼働データをサーバに送信する。
【0030】
受信部53は、車載コントローラ30から第2通信方式で送信された作業機械2の稼働データを受信する。送信部52は、受信部53が受信した作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。送信部52は、車載コントローラ30が作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信できない場合に、受信部53が受信した作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。
【0031】
記憶部54は、稼働データ算出部51が算出した作業機械2の稼働データを記憶する。記憶部54は、受信部53が受信した作業機械2の稼働データを記憶する。
【0032】
サーバ6は、サーバコントローラ60と、通信機17とを有する。通信機17は、第1通信システム7を介して作業機械2と通信する。通信機17は、第1通信システム7を介して携帯端末4と通信する。サーバコントローラ60は、データ収集部61と、制御プログラム提供部62と、判定部63と、ポイント付与部64とを有する。
【0033】
データ収集部61は、車載コントローラ30から送信された作業機械2の稼働データを受信する。データ収集部61は、携帯端末4から送信された作業機械2の稼働データを受信する。データ収集部61は、車載コントローラ30が作業機械2の稼働データを第1通信方式で送信できる場合に、車載コントローラ30から送信された作業機械2の稼働データを受信する。データ収集部61は、車載コントローラ30が作業機械2の稼働データを第1通信方式で送信できない場合に、携帯端末4から送信された作業機械2の稼働データを受信する。
【0034】
データ収集部61は、複数の作業機械2のそれぞれの稼働データを収集する。データ収集部61により収集された作業機械2の稼働データは、例えばインターネット(internet)を介して、作業機械2のユーザに提供される。作業機械2のユーザは、作業機械2の稼働データに基づいて、作業機械2の保守及び点検を実施することができる。
【0035】
制御プログラム提供部62は、作業機械2に制御プログラムを提供する。車載コントローラ30の制御部32は、制御プログラムに従って、作業機械2の駆動部を制御する制御指令を出力する。制御プログラム提供部62は、制御プログラムを第1通信方式で車載コントローラ30に送信する。制御プログラム提供部62は、制御プログラムを第1通信方式で車載コントローラ30に送信できない場合に、制御プログラムを第1通信方式で携帯端末4に送信する。
【0036】
端末コントローラ50の受信部53は、サーバ6から送信された制御プログラムを受信する。送信部52は、受信部53が受信した制御プログラムを第2通信方式で車載コントローラ30に送信する。
【0037】
判定部63は、作業機械2の稼働データが作業機械2のユーザの通信環境を介してサーバ6に送信されたか否かを判定する。作業機械2のユーザは、作業機械2のオペレータを含む。ユーザの通信環境は、ユーザの携帯端末4を含む。判定部63は、作業機械2の稼働データが、アプリ55がインストールされている携帯端末4を介してサーバ6に送信されたか否かを判定する。
【0038】
ポイント付与部64は、作業機械2の稼働データが、アプリ55がインストールされている携帯端末4を介してサーバ6に送信されたと判定された場合に、ユーザにポイントを付与する。ポイント付与部64は、アプリ55がインストールされている携帯端末4から送信された作業機械2の稼働データがデータ収集部61により受信された場合に、オペレータにポイントを付与する。
【0039】
[第2通信システムを使用せずに稼働データを収集する場合]
次に、携帯端末4が第2通信システム8を使用せずに作業機械2の稼働データを取得する方法について説明する。図4は、実施形態に係る携帯端末4が第2通信システム8を使用せずに作業機械2の稼働データを取得する方法を説明するための図である。
【0040】
作業機械2は、第1通信システム7を使用できない作業現場に存在する。上述のように、作業現場が山間部のような第1通信システム7の通信圏外である場合、作業現場が屋内又はトンネル内である場合、又は作業現場の周囲に通信の障害物が存在する場合、車載コントローラ30は、作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信することができない。
【0041】
図4に示すように、携帯端末4は、作業機械2に搭載される。携帯端末4は、作業機械2の運転室の少なくとも一部に設置されてもよいし、運転室に搭乗するオペレータに所持されてもよい。
【0042】
携帯端末4が作業機械2に搭載された後、オペレータにより作業機械2がキーオンされ、作業機械2のエンジンが始動する。エンジンの駆動により、作業機械2が振動する。携帯端末4の振動センサ12は、作業機械2の振動を検出することができる。稼働データ算出部51は、振動センサ12の検出データに基づいて、作業機械2の稼働データを算出する。
【0043】
作業機械2が振動している時間は、作業機械2のエンジンの稼働時間であるとみなすことができる。そのため、稼働データ算出部51は、振動センサ12の検出データに基づいて、作業機械2の稼働データとして、作業機械2の稼働時間を算出することができる。
【0044】
携帯端末4が作業機械2に搭載されることにより、携帯端末4の位置センサ13は、作業機械2の位置を検出することができる。稼働データ算出部51は、位置センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の稼働データとして、作業機械2の稼働位置を算出することができる。
【0045】
稼働データ算出部51により算出された作業機械2の稼働時間及び作業機械2の稼働位置を含む稼働データは、記憶部54に記憶される。
【0046】
実施形態において、銘板と呼ばれる識別部材が作業機械2に取り付けられている。識別部材には、作業機械2を識別するための文字又は数字が記載されている。なお、識別部材は、例えば2次元バーコードでもよい。オペレータは、識別部材をカメラ14で撮像する。稼働データ算出部51は、カメラ14により撮像された作業機械2の識別部材の画像データに基づいて、作業機械2の固有データを算出する。作業機械2の固有データは、作業機械2の稼働データに紐づけられた状態で、記憶部54に記憶される。
【0047】
作業機械2の稼働が終了し、稼働データが固有データと合わせて記憶部54に記憶された後、オペレータは、携帯端末4を第1通信システム7の通信圏内に移送する。携帯端末4が第1通信システム7の通信圏内に配置されることにより、送信部52は、稼働データ算出部51が算出した作業機械2の稼働データをサーバ6に送信することができる。送信部52は、作業機械2の固有データと合わせて作業機械2の稼働データをサーバ6に送信する。
【0048】
図5は、実施形態に係る携帯端末4とサーバ6との通信の開始手順を示すフローチャートである。送信部52は、サーバ6と通信可能か否かを判定する(ステップSA1)。例えば携帯端末4が第1通信システム7の通信圏内に存在する場合、送信部52は、サーバ6と通信可能であると判定する。携帯端末4が第1通信システム7の通信圏外に存在する場合、送信部52は、サーバ6と通信可能ではないと判定する。
【0049】
ステップSA1において、サーバ6と通信可能であると判定した場合(ステップSA1:Yes)、送信部52は、携帯端末4の登録データをサーバ6に送信する(ステップSA2)。
【0050】
サーバ6は、予め登録されている携帯端末4との通信を許可し、登録されていない携帯端末4との通信を許可しない。送信部52からサーバ6に登録データが送信された後、サーバ6は、登録データに基づいて、携帯端末4が予め登録されているか否かを判定することができる。サーバ6は、通信を許可した場合、アクセス許可を携帯端末4に送信する。サーバ6は、通信を許可しない場合、アクセス許可を携帯端末4に送信しない。
【0051】
受信部53は、サーバ6からアクセス許可を受信したか否かを判定する(ステップSA3)。ステップSA3において、アクセス許可を受信したと判定された場合(ステップSA3:Yes)、送信部52及び受信部53は、サーバ6と暗号鍵をやり取りする(ステップSA4)。
【0052】
送信部52は、サーバ6との通信を確立できたか否かを判定する(ステップSA5)。ステップSA5において、通信を確立できたと判定した場合(ステップSA5:Yes)、送信部52は、サーバ6との通信を開始する。
【0053】
ステップSA1において、サーバ6と通信可能ではないと判定された場合(ステップSA1:No)、ステップSA3において、アクセス許可を受信していないと判定された場合(ステップSA3:No)、又は、ステップSA5において、通信を確立できないと判定された場合(ステップSA5:No)、サーバ6との通信は開始されない。
【0054】
図6は、実施形態に係る携帯端末4とサーバ6との通信手順を示すフローチャートである。図6に示す通信手順は、図5に示した通信の開始手順において通信が開始された後に実行される。
【0055】
受信部53は、サーバ6から制御プログラムを受信したか否かを判定する(ステップSB1)。ステップSB1において、制御プログラムを受信したと判定した場合(ステップSB1:Yes)、記憶部54は、制御プログラムを記憶する。制御プログラムは、作業機械2の固有データに紐づけられた状態で記憶部54に記憶される(ステップSB2)。
【0056】
送信部52は、サーバ6へ送信する稼働データがあるか否かを判定する(ステップSB3)。例えば、記憶部54に稼働データが記憶されている場合、送信部52は、サーバ6へ送信する稼働データがあると判定する。
【0057】
ステップSB3において、サーバ6へ送信する稼働データがあると判定した場合(ステップSB3:Yes)、送信部52は、稼働データをサーバ6へ送信する。送信部52は、作業機械2の固有データと合わせて稼働データを送信する(ステップSB4)。
【0058】
ステップSB1において、制御プログラムを受信していないと判定された場合(ステップSB1:No)、又は、ステップSB3において、サーバ6へ送信する稼働データがないと判定された場合(ステップSB3:No)、サーバ6との通信が終了する。
【0059】
[第2通信システムを使用して稼働データを収集する場合]
次に、携帯端末4が第2通信システム8を使用して作業機械2の稼働データを取得する方法について説明する。作業機械2が第1通信システム7を使用できない作業現場に存在する場合、車載コントローラ30は、作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信することができない。車載コントローラ30は、作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信できない場合に、作業機械2の稼働データを第2通信方式で携帯端末4に送信することができる。携帯端末4は、車載コントローラ30が作業機械2の稼働データを第1通信方式でサーバ6に送信できない場合に、車載コントローラ30から第2通信方式で送信された作業機械2の稼働データを受信した後、第1通信方式でサーバ6に送信する。
【0060】
図7は、実施形態に係る携帯端末4と作業機械2との通信の開始手順を示すフローチャートである。送信部52は、作業機械2と通信可能か否かを判定する(ステップSC1)。例えば携帯端末4が第2通信システム8の通信圏内に存在する場合、送信部52は、作業機械2と通信可能であると判定する。携帯端末4が第2通信システム8の通信圏外に存在する場合、送信部52は、作業機械2と通信可能ではないと判定する。
【0061】
ステップSC1において、作業機械2と通信可能であると判定した場合(ステップSC1:Yes)、受信部53は、作業機械2の固有データを取得する(ステップSC2)。受信部53は、固有データに基づいて、通信を開始する作業機械2が特定の作業機械2であるか否かを判定する(ステップSC3)。
【0062】
ステップSC3において、特定の作業機械2であると判定された場合(ステップSC3:Yes)、送信部52及び受信部53は、作業機械2と暗号鍵をやり取りする(ステップSC4)。
【0063】
送信部52は、作業機械2との通信を確立できたか否かを判定する(ステップSC5)。ステップSC5において、通信を確立できたと判定した場合(ステップSC5:Yes)、送信部52は、作業機械2との通信を開始する。
【0064】
ステップSC3において、特定の作業機械2ではないと判定された場合(ステップSC3:No)、受信部53は、携帯端末4が制限なし鍵を持っているか否かを判定する(ステップSC6)。
【0065】
ステップSC6において、携帯端末4が制限なし鍵を持っていると判定された場合(ステップSC6:Yes)、ステップSC4の処理に進む。
【0066】
ステップSC1において、作業機械2と通信可能ではないと判定された場合(ステップSC1:No)、ステップSC6において、携帯端末4が制限なし鍵を持っていないと判定された場合(ステップSC6:No)、又は、ステップSC5において、通信を確立できないと判定された場合(ステップSC5:No)、作業機械2との通信は開始されない。
【0067】
なお、図7を参照して説明した通信の開始手順においては、携帯端末4が制限なし鍵を持っていることとしたが、作業機械2が制限なし鍵を持っていてもよい。
【0068】
図8は、実施形態に係る携帯端末4と作業機械2との通信手順を示すフローチャートである。図8に示す通信手順は、図7に示した通信の開始手順において通信が開始された後に実行される。
【0069】
受信部53は、作業機械2から稼働データを受信したか否かを判定する(ステップSD1)。ステップSD1において、稼働データを受信したと判定した場合(ステップSD1:Yes)、記憶部54は、稼働データを記憶する。稼働データは、作業機械2の固有データに紐づけられた状態で記憶部54に記憶される(ステップSD2)。
【0070】
送信部52は、作業機械2へ送信する制御プログラムがあるか否かを判定する(ステップSD3)。例えば、記憶部54に制御プログラムが記憶されている場合、送信部52は、作業機械2へ送信する稼働データがあると判定する。
【0071】
ステップSD3において、作業機械2へ送信する制御プログラムがあると判定した場合(ステップSD3:Yes)、送信部52は、制御プログラムを作業機械2へ送信する(ステップSD4)。
【0072】
ステップSD1において、稼働データを受信していないと判定された場合(ステップSD1:No)、又は、ステップSD3において、作業機械2へ送信する制御プログラムがないと判定された場合(ステップSD3:No)、作業機械2との通信が終了する。
【0073】
[ポイントの付与]
上述のように、携帯端末4にアプリ55がインストールされる。作業機械2の稼働データの収集及びサーバ6への送信は、アプリ55がインストールされている携帯端末4により実施される。オペレータが積極的にアプリ55をインストールしたり使用したりするように、サーバ6は、作業機械2のユーザであるオペレータにポイントを付与する。
【0074】
サーバコントローラ60の判定部63は、作業機械2の稼働データが、アプリ55がインストールされている携帯端末4を介してサーバ6に送信されたか否かを判定する。
【0075】
ポイント付与部64は、作業機械2の稼働データが、アプリ55がインストールされている携帯端末4を介してサーバ6に送信されたと判定された場合に、オペレータにポイントを付与する。ポイント付与部64は、サーバ6に受信された作業機械2の稼働データのデータ量に基づいて、ポイントを付与する。ポイント付与部64は、サーバ6に受信された作業機械2の稼働データのデータ量が大きいほど、オペレータに付与するポイントを多くし、サーバ6に受信された作業機械2の稼働データのデータ量が小さいほど、オペレータに付与するポイントを少なくする。例えば、携帯端末4からサーバ6に作業機械2の稼働データを送信する回数が多いほど、オペレータに付与されるポイントは多くなる。
【0076】
なお、携帯端末4の端末コントローラ50が、判定部63の機能及びポイント付与部64の機能の一方又は両方を有してもよい。
【0077】
図9は、実施形態に係るポイントの付与方法を示すフローチャートである。判定部63は、データ収集部61に受信された稼働データがオペレータの携帯端末4を介してサーバ6に送信された稼働データであるか否かを判定する(ステップSE1)。
【0078】
ステップSE1において、データ収集部61に受信された稼働データがオペレータの携帯端末4を介してサーバ6に送信された稼働データであると判定された場合(ステップSE1:Yes)、ポイント付与部64は、データ収集部61に受信された稼働データのデータ量を算出する(ステップSE2)。
【0079】
ポイント付与部64は、ステップSE2において算出されたデータ量に基づいて、オペレータに付与するポイントを算出する(ステップSE3)。ポイント付与部64は、データ量が大きいほどオペレータに付与するポイントを多くし、データ量が小さいほどオペレータに付与するポイントを少なくする。
【0080】
ポイント付与部64は、ステップSE3において算出されたポイントをオペレータに付与する(ステップSE4)。オペレータは、ポイントを例えば商品又はギフト券等と交換することができる。
【0081】
図10図11図12図13図14、及び図15のそれぞれは、実施形態に係る携帯端末4に表示される表示データの一例を示す図である。
【0082】
図10は、アプリ55のログイン画面である。スタート画面において、「ログインの度にポイントゲット!」のメッセージが表示され、ユーザの識別データ(ID)及びパスワード(PW)を入力させるためのボタンが表示される。また、スタート画面において、「次回入力省略時の開始はこちら」のメッセージが付されたボタンと、「次回も入力の開始はこちら」のメッセージが付されたボタンとが表示される。
【0083】
識別データ及びパスワードが入力されることにより、ユーザは、ポイント付与システムを含む管理システム1にログインすることができる。図11は、ログイン後に表示されるユーザ画面である。ユーザ画面において、ユーザの合計ポイント及び今日取得したポイントが表示される。また、ユーザ画面において、「履歴はこちら」の文字が付されたボタンと、「メニューはこちら」の文字が付されたボタンと、「戻る」の文字が付されたボタンとが表示される。
【0084】
図12は、図11に示した「履歴はこちら」の文字が付されたボタンがタップされた後に表示されるポイント取得履歴画面である。ポイント取得履歴画面においては、ユーザの現在のポイント残高と、イベントの内容、イベントが発生した日付、及びイベントに伴うポイントの増減とが表示される。
【0085】
図13は、図11に示した「メニューはこちら」の文字が付されたボタンがタップされた後に表示されるメニュー画面である。メニュー画面においては、「もっとポイントが欲しい方」のメッセージが付されたボタン41と、「ポイントを使いたい方」のメッセージが付されたボタン42と、「アカウントについて」のメッセージが付されたボタン43とが表示される。
【0086】
図14は、図13に示した「もっとポイントが欲しい方」のメッセージが付されたボタン41がタップされた後に表示されるポイントメッセージ画面である。ポイントメッセージ画面においては、ポイントを増やす方法が列挙される。
【0087】
図15は、図13に示した「アカウントについて」のメッセージが付されたボタン43がタップされた後に表示されるアカウント画面である。アカウント画面においては、ユーザの電話番号と、識別データ(ID)と、パスワード(PW)と、携帯端末4と通信する作業機械2の機種、形式、及び番号とが表示される。また、アカウント画面においては、携帯端末4と作業機械2との通信の接続の可否を示す「可」又は「不可」の文字が表示される。シンボル44がクリックされると、作業機械2の機種、形式、及び番号が表示される。ユーザは、シンボル45をクリックすると、電話番号、識別データ、及びパスワードを変更することができる。また、ユーザは、「不可」のメッセージが付されたボタン46をタップすると、携帯端末4と「不可」のメッセージに対応する作業機械2との通信が「可」に変更される。
【0088】
[コンピュータシステム]
図16は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の車載コントローラ30、端末コントローラ50、及びサーバコントローラ60のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の車載コントローラ30、端末コントローラ50、及びサーバコントローラ60のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0089】
実施形態において、端末コントローラ50の機能は、コンピュータプログラムを含むアプリ55としてストレージ1003に記憶されている。アプリ55は、上述の実施形態に従って、端末コントローラ50に、携帯端末4が有する振動センサ12の検出データに基づいて、作業機械2の稼働データを算出することと、算出した稼働データをサーバ6に送信することと、を実行させることができる。
【0090】
また、コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステムに、作業機械2の稼働データがユーザの通信環境を介してサーバ6に送信されたか否かを判定することと、稼働データが通信環境を介してサーバ6に送信されたと判定された場合に、ユーザにポイントを付与することと、を実行させることができる。
【0091】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、作業機械2の稼働データが、アプリ55がインストールされている携帯端末4を介してサーバ6に送信された場合に、ユーザにポイントが付与される。これにより、ユーザは積極的にアプリ55を携帯端末4にインストールしたり使用したりする可能性が高くなる。これにより、携帯端末4を介して作業機械2の稼働データをサーバ5に送信する管理システム1が構築される。車載コントローラ30からサーバ6に稼働データを送信できない状況が発生しても、携帯端末4を用いて、作業機械2の稼働データをサーバ6に送信することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…管理システム、2…作業機械、4…携帯端末、6…サーバ、7…第1通信システム、8…第2通信システム、9…センサ、10…通信機、11…通信機、12…振動センサ、13…位置センサ、14…カメラ、15…通信機、16…通信機、17…通信機、30…車載コントローラ、31…データ収集部、32…制御部、41…ボタン、42…ボタン、43…ボタン、44…シンボル、45…シンボル、46…ボタン、50…端末コントローラ、51…稼働データ算出部、52…送信部、53…受信部、54…記憶部、55…アプリケーションソフトウエア(アプリ)、60…サーバコントローラ、61…データ収集部、62…制御プログラム提供部、63…判定部、64…ポイント付与部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16