(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165506
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電子回路及び計算装置
(51)【国際特許分類】
H10N 60/10 20230101AFI20241121BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241121BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H10N60/10 K ZAA
H01L27/04 C
G06F7/38 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081762
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】何 英豪
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隼人
【テーマコード(参考)】
4M113
5F038
【Fターム(参考)】
4M113AA00
4M113AC44
4M113AC45
4M113AD16
4M113AD17
4M113AD18
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC10
5F038AC15
5F038AZ10
5F038CA02
5F038CA05
5F038CA12
5F038CD02
5F038DF04
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】特性を向上可能な電子回路及び計算装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、電子回路は、第1基体及び第1構造体を含む。第1基体は、第1面と、第1側面、第2側面、第3側面及び第3他側面を含む。第1構造体は、第1非線形素子、第1~第3導電部材を含む。第1非線形素子は、第1素子部分、第2素子部分及び中間ジョセフソン接合を含む。第1導電部材は第1領域を含む。第1領域は、第1側面に沿う。第2導電部材は第2領域を含む。第2領域は、第2側面に沿う。第3導電部材は、第3領域及び第3他領域を含む。第3領域は第3側面に沿う。第3他領域は第3他側面に沿う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基体と、
第1構造体と、
を備え、
前記第1基体は、第1面と、第1側面、第2側面、第3側面及び第3他側面を含み、
前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面及び前記第3他側面は、前記第1面に沿う平面と交差し、
前記第1構造体は、第1非線形素子と、第1導電部材と、第2導電部材と、第3導電部材と、を含み、
前記第1非線形素子は、第1素子部分、第2素子部分、及び、前記第1素子部分と前記第2素子部分との間に設けられた中間ジョセフソン接合と、を含み、
前記第1導電部材は、第1領域及び第1接続領域を含み、前記第1領域は、前記第1側面に沿って設けられ、前記第1接続領域の一部は前記第1領域と電気的に接続され、前記第1接続領域の別の一部は前記第1素子部分と電気的に接続され、
前記第2導電部材は、第2領域及び第2接続領域を含み、前記第2領域は、前記第2側面に沿って設けられ、前記第2接続領域の一部は前記第2領域と電気的に接続され、前記第2接続領域の別の一部は前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第3導電部材は、第3領域及び第3他領域を含み、前記第3領域は前記第3側面に沿って設けられ、前記第3他領域は前記第3他側面に沿って設けられ、前記第1領域から前記第3領域への方向は、前記平面に沿い、前記第2領域から前記第3他領域への方向は、前記平面に沿う、電子回路。
【請求項2】
前記第3領域の第1方向における第3領域長は、前記第1領域の前記第1方向における第1領域長よりも長く、
前記第1方向は、前記第1面に対して垂直であり、
前記第3他領域の前記第1方向における第3他領域長は、前記第2領域の前記第1方向における第2領域長よりも長い、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記第1基体は、第2面をさらに含み、
前記第2面から前記第1面への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1基体は、前記第1側面を含む第1凹部と、前記第2側面を含む第2凹部と、を含む、請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記第1基体は、前記第1面及び前記第2面と繋がる第1孔を含み、
前記第3側面は、前記第1孔の一部であり、
前記第3他側面は、前記第1孔の別の一部である、請求項3に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1構造体は、前記第2面に沿って設けられた第2面導電膜をさらに含み、
前記第3導電部材は、前記第2面導電膜に電気的に接続された、請求項3に記載の電子回路。
【請求項6】
前記第1非線形素子は、第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合をさらに含み、
前記第1ジョセフソン接合の一端は、前記第1素子部分と電気的に接続され、
前記第1ジョセフソン接合の他端は、前記第3領域と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の一端は、前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の他端は、前記第3他領域と電気的に接続された、請求項1~5のいずれか1つに記載の電子回路。
【請求項7】
前記第1構造体は、第4領域を含む第4導電部材をさらに含み、
前記第1基体は、第4側面をさらに含み、
前記第4側面は、前記平面と交差し、
前記第4領域は、前記第4側面に沿って設けられた、請求項1に記載の電子回路。
【請求項8】
前記第2領域から前記第1領域への第2方向における前記第4領域の第4側面位置は、前記第2方向における前記第1領域の第1側面位置と、前記第2方向における前記第2領域の第2側面位置と、の間にあり、
前記第2方向における前記第3領域の第3側面位置は、前記第4側面位置と前記第1側面位置との間にあり、
前記第2方向における前記第3他領域の第3他側面位置は、前記第4側面位置と前記第2側面位置との間にある、請求項7に記載の電子回路。
【請求項9】
第1素子構造体をさらに備え、
前記第1素子構造体は、
第1素子ジョセフソン接合と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第1素子領域と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第2素子領域と、
第1素子対向領域と、
第2素子対向領域と、
を含み、
前記第1基体は、第1素子側面、第2素子側面、第1素子対向側面、及び、第2素子対向側面をさらに含み、
前記第1素子側面、前記第2素子側面、前記第1素子対向側面、及び、前記第2素子対向側面は、前記平面と交差し、
前記第1素子領域は、前記第1素子側面に沿って設けられ、
前記第2素子領域は、前記第2素子側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第1素子対向側面に沿って設けられ、
前記第2素子対向領域は、前記第2素子対向側面に沿って設けられ、
複数の前記第1構造体が設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記複数の第1構造体の1つに含まれる前記第3領域と電気的に接続され、
前記第2素子対向領域は、前記複数の第1構造体の別の1つに含まれる前記第3領域と電気的に接続され、
前記第1素子領域は、前記複数の第1構造体の1つに含まれる前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と結合可能であり、
前記第2素子領域は、前記複数の第1構造体の前記別の1つに含まれる前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と結合可能である、請求項1に記載の電子回路。
【請求項10】
第1素子構造体と、
第2素子構造体と、
をさらに備え、
前記第1素子構造体は、
第1素子ジョセフソン接合と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第1素子領域と、
第1素子対向領域と、
を含み、
前記第2素子構造体は、
第2素子ジョセフソン接合と、
前記第2素子ジョセフソン接合と接続された第2素子領域と、
第2素子対向領域と、
を含み、
前記第1基体は、第1素子側面、第1素子対向側面、第2素子側面及び第2素子対向側面をさらに含み、
前記第1素子側面、前記第1素子対向側面、前記第2素子側面及び前記第2素子対向側面は、前記平面と交差し、
前記第1素子領域は、前記第1素子側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第1素子対向側面に沿って設けられ、
前記第2素子領域は、前記第2素子側面に沿って設けられ、
前記第2素子対向領域は、前記第2素子対向側面に沿って設けられ、
前記第1素子領域は、前記第1導電部材と結合可能であり、
前記第2素子領域は、前記第2導電部材と結合可能である、請求項1に記載の電子回路。
【請求項11】
請求項1に記載の電子回路と、
第2基体と、
前記第2基体に設けられた制御部と、
を備え、
前記第2基体の少なくとも一部は、前記第1基体と重なる、計算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子回路及び計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の非線形素子を含む電子回路が計算装置に用いられる。電子回路及び計算装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上可能な電子回路及び計算装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、電子回路は、第1基体及び第1構造体を含む。前記第1基体は、第1面と、第1側面、第2側面、第3側面及び第3他側面を含む。前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面及び前記第3他側面は、前記第1面に沿う平面と交差する。前記第1構造体は、第1非線形素子、第1導電部材、第2導電部材及び第3導電部材を含む。前記第1非線形素子は、第1素子部分、第2素子部分、及び、前記第1素子部分と前記第2素子部分との間に設けられた中間ジョセフソン接合と、を含む。前記第1導電部材は、第1領域及び第1接続領域を含む。前記第1領域は、前記第1側面に沿って設けられる。前記第1接続領域の一部は前記第1領域と電気的に接続される。前記第1接続領域の別の一部は前記第1素子部分と電気的に接続される。前記第2導電部材は、第2領域及び第2接続領域を含む。前記第2領域は、前記第2側面に沿って設けられる。前記第2接続領域の一部は前記第2領域と電気的に接続される。前記第2接続領域の別の一部は前記第2素子部分と電気的に接続される。前記第3導電部材は、第3領域及び第3他領域を含む。前記第3領域は前記第3側面に沿って設けられる。前記第3他領域は前記第3他側面に沿って設けられる。前記第1領域から前記第3領域への方向は、前記平面に沿う。前記第2領域から前記第3他領域への方向は、前記平面に沿う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(d)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(d)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(c)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る電子回路の一部を例示する模式的平面図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図17】
図17(a)及び
図17(b)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
【
図18】
図18は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
【
図19】
図19は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【
図20】
図20は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
図2(a)~
図2(d)、及び、
図3(a)~
図3(d)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
図4は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
図2(a)は、
図1のA1-A2線断面図である。
図2(b)は、
図1のA3-A4線断面図である。
図2(c)は、
図1のA5-A6線断面図である。
図2(d)は、
図1のA7-A8線断面図である。
図3(a)は、
図1のB1-B2線断面図である。
図3(b)は、
図1のB3-B4線断面図である。
図3(c)は、
図1のB5-B6線断面図である。
図3(d)は、
図1のB7-B8線断面図である。
【0009】
図2(a)~
図2(d)、及び、
図3(a)~
図3(d)に示すように、実施形態に係る電子回路は、第1基体81s及び第1構造体10Aを含む。第1基体81sは、例えば、絶縁性の基板で良い。第1基体81sは、例えば、シリコン基板を含んで良い。第1基体81sは、シリコン基板の表面に設けられた絶縁膜を含んで良い。
【0010】
第1基体81sは、第1面81a及び第2面81bを含む。第1面81aは、例えば、上面である。第2面81bは、例えば、下面である。第1面81aは、X-Y平面に沿う。X-Y平面に沿う1つの方向をX軸方向とする。Y軸方向は、X-Y平面に沿い、X軸方向に対して垂直である。X-Y平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0011】
第1基体81sは、第1側面s1、第2側面s2、第3側面s3及び第3他側面sA3を含む。第1側面s1、第2側面s2、第3側面s3及び第3他側面sA3は、第1面81aに沿う平面(X-Y平面)と交差する。1つの例において、これらの側面は、Z軸方向に沿う。これらの側面は、X-Y平面に対して傾斜しても良い。
【0012】
第1構造体10Aは、第1非線形素子50Cと、第1導電部材11Cと、第2導電部材12Cと、第3導電部材13Cと、を含む。
【0013】
図1及び
図3(b)に示すように、第1非線形素子50Cは、第1素子部分20a、第2素子部分20b、及び、中間ジョセフソン接合23を含む。中間ジョセフソン接合23は、第1素子部分20aと第2素子部分20bとの間に設けられる。中間ジョセフソン接合23は、例えば、2つの導電層と、2つの導電層の間に設けられた絶縁層23iと、を含む。
【0014】
第1導電部材11Cは、第1領域11s及び第1接続領域11cを含む。
図2(a)に示すように、第1領域11sは、第1側面s1に沿って設けられる。第1領域11sは、例えば、側面導電膜である。第1接続領域11cの一部は、第1領域11sと電気的に接続される。
図1及び
図3(c)に示すように、第1接続領域11cの別の一部は、第1素子部分20aと電気的に接続される。
【0015】
第2導電部材12Cは、第2領域12s及び第2接続領域12cを含む。
図2(b)に示すように、第2領域12sは、第2側面s2に沿って設けられる。第2領域12sは、例えば、側面導電膜である。第2接続領域12cの一部は、第2領域12sと電気的に接続される。
図1及び
図3(d)に示すように、第2接続領域12cの別の一部は、第2素子部分20bと電気的に接続される。
【0016】
第3導電部材13Cは、第3領域13s及び第3他領域13sAを含む。
図3(a)に示すように、第3領域13sは、第3側面s3に沿って設けられる。第3他領域13sAは、第3他側面sA3に沿って設けられる。第3領域13s及び第3他領域13sAは、例えば側面導電膜である。第1領域11sから第3領域13sへの方向は、X-Y平面に沿う。第2領域12sから第3他領域13sAへの方向は、X-Y平面に沿う。
【0017】
例えば、第1領域11s及び第3領域13sにより、1つのキャパシタ素子(第1キャパシタC1、
図4参照)が形成される。第2領域12s及び第3他領域13sAにより、別のキャパシタ素子(第2キャパシタC2、
図4参照)が形成される。複数の側面導電膜に基づくキャパシタ素子が設けられることで、第1構造体10Aの面積を小さくできる。例えば、高密度の電子回路が得られる。実施形態によれば、特性を向上可能な電子回路を提供できる。
【0018】
第1面81aに対して垂直な方向を第1方向D1とする。第2面81bから第1面81aへの方向は、第1方向D1に沿う。第1方向D1は、例えば、Z軸方向である。
図3(a)に示すように、第1基体81sは、第1凹部11d及び第2凹部12dを含む。第1凹部11dは、第1側面s1を含む。第2凹部12dは、第2側面s2を含む。この例では、凹部の側面に沿って、上記の側面導電膜が設けられる。第1導電部材11Cは、第1凹部11dの底部に設けられても良い。第2導電部材12Cは、第2凹部12dの底部に設けられても良い。
【0019】
この例では、
図1及び
図3(a)に示すように、第1基体81sは、第1孔h1を含む。第1孔h1は、第1面81a及び第2面81bと繋がる。第3側面s3は、第1孔h1の一部で良い。第3他側面sA3は、第1孔h1の別の一部で良い。この例では、第1孔h1の2つの側面に沿って、第3領域13s及び第3他領域13sAが設けられる。
【0020】
図3(a)に示すように、第1構造体10Aは、第2面導電膜52fを含んで良い。第2面導電膜52fは、第2面81bに沿って設けられる。第3導電部材13Cは、第2面導電膜52fに電気的に接続される。第3領域13s及び第3他領域13sAは、第2面導電膜52fに電気的に接続される。
【0021】
第2面導電膜52fは、例えば、固定電位に設定可能である。固定電位は、例えば、グランド電位である。第3導電部材13Cは、固定電位に設定可能である。第3領域13s及び第3他領域13sAは、固定電位に設定可能である。
【0022】
第3領域13s及び第3他領域13sAは、例えば、TSV(Through Silicon Via)で良い。
【0023】
図1に示すように、第1領域11sと第2領域12sとの間に第1孔h1が設けられる。これにより、第1領域11sと第2領域12sとの間におけるクロストークが抑制される。例えば、ノイズが抑制される。
【0024】
図3(a)に示すように、第3領域13sの第1方向D1における長さを第3領域長13sLとする。第3他領域13sAの第1方向D1における長さを第3他領域長13sALとする。第1領域11sの第1方向D1における長さを第1領域長11sLとする。第2領域12sの第1方向D1における長さを第2領域長12sLとする。既に説明したように、第1方向D1は、第1面81aに対して垂直である。
【0025】
第3領域長13sLは、第1領域長11sLよりも長い。第3他領域長13sALは、第2領域長12sLよりも長い。このような構成を有する第3領域13s及び第1領域11sにより、適切な大きさのキャパシタ素子が得られる。このような構成を有する第3他領域13sA及び第2領域12sにより、適切な大きさのキャパシタ素子が得られる。
【0026】
例えば、第3領域長13sLは、第1領域長11sLの2倍以上350倍以下である。第3他領域長13sALは、第2領域長12sLの2倍以上35倍以下である。例えば、第3領域長13sLは、第1領域長11sLの2倍以上10倍以下でも良い。第3他領域長13sALは、第2領域長12sLの2倍以上10倍以下でも良い。
【0027】
1つの例において、第3領域長13sLは、100μm以上700μm以下である。第1領域長11sLは、例えば、2μm以上80μm以下である。第3他領域長13sALは、例えば、100μm以上700μm以下である。第2領域長12sLは、例えば、2μm以上80μm以下である。第3領域長13sLは、100μm以上300μm以下でも良い。第1領域長11sLは、例えば、10μm以上80μm以下でも良い。第3他領域長13sALは、例えば、100μm以上300μm以下でも良い。第2領域長12sLは、例えば、10μm以上80μm以下でも良い。
【0028】
例えば、第1領域長11sL及び第2領域長12sLは、約30μmである。第3領域長13sL及び第3他領域長13sALは、例えば、約200μm以下である。
【0029】
第1凹部11d及び第2凹部12dのそれぞれのX軸方向の長さは、例えば、約20μmである。第1凹部11d及び第2凹部12dのそれぞれのY軸方向の長さは、例えば、約20μmである。これらの凹部の形状は、任意である。複数の第1凹部11dが設けられても良い。複数の第2凹部12dが設けられても良い。これらの複数の凹部の側面に沿って導電膜が設けられても良い。
【0030】
第1孔h1のX軸方向の長さは、例えば、約100μmである。第1孔h1のY軸方向の長さは、例えば、約26μmである。第1孔h1のZ軸方向の長さは、第1基体81sの厚さに対応する。
【0031】
第1領域11sと第3領域13sとの間の距離は、例えば、5μm以上60μm以下である。第2領域12sと第3他領域13sAとの間の距離は、例えば、5μm以上60μm以下である。
【0032】
図4に示すように、第1構造体10Aの一部は、第1素子構造体50Aと結合される。第1構造体10Aの別の一部は、第2素子構造体50Bと結合される。第1構造体10Aは、例えば、カプラである。第1非線形素子50Cは、例えば、カプラである。
【0033】
図1に示すように、第1構造体10Aは、導電層51Gを含んで良い。導電層51Gは、第1面81aに設けられる。
図2(c)及び
図2(d)に示すように、導電層51Gは、第3領域13s及び第3他領域13sAを介して、第2面導電膜52fと電気的に接続される。導電層51Gは、固定電位に設定可能である。
【0034】
図1に示すように、第1非線形素子50Cは、第1ジョセフソン接合21及び第2ジョセフソン接合22をさらに含んで良い。第1ジョセフソン接合21の一端は、第1素子部分20aと電気的に接続される。第1ジョセフソン接合21の他端は、第3領域13sと電気的に接続される。この例では、第1ジョセフソン接合21の他端は、導電層51Gを介して第3領域13sと電気的に接続される。
【0035】
第2ジョセフソン接合22の一端は、第2素子部分20bと電気的に接続される。第2ジョセフソン接合22の他端は、第3他領域13sAと電気的に接続される。この例では、第2ジョセフソン接合22の他端は、導電層51Gを介して第3他領域13sAと電気的に接続される。
【0036】
この例では、第1ジョセフソン接合21及び第2ジョセフソン接合22は、第1面81aに設けられる。第1ジョセフソン接合21は、例えば、2つの導電層と、2つの導電層の間に設けられた絶縁層21iと、を含む。第2ジョセフソン接合22は、例えば、2つの導電層と、2つの導電層の間に設けられた絶縁層22iと、を含む。
【0037】
図4に示すように、第1領域11s及び第3領域13sにより、第1キャパシタC1が形成される。第2領域12s及び第3他領域13sAにより、第2キャパシタC2が形成される。第1ジョセフソン接合21は、第1キャパシタC1と並列に接続される。第2ジョセフソン接合22は、第2キャパシタC2と並列に接続される。第1素子部分20aと第2素子部分20bとの間に中間ジョセフソン接合23が設けられる。第1素子部分20aと第2素子部分20bとの間に、第5キャパシタC5が形成されても良い。
【0038】
図4に示すように、第1素子構造体50Aは、第1素子ジョセフソン接合51と、第1素子キャパシタ41と、を含む。第1素子キャパシタ41は、第1素子ジョセフソン接合51と並列に接続される。この並列回路が、第3キャパシタC3を介して、第1素子部分20aと結合される。第1素子構造体50Aは、1つの量子ビットである。
【0039】
図4に示すように、第2素子構造体50Bは、第2素子ジョセフソン接合52と、第2素子キャパシタ42と、を含む。第2素子キャパシタ42は、第2素子ジョセフソン接合52と並列に接続される。この並列回路が、第4キャパシタC4を介して、第2素子部分20bと結合される。第2素子構造体50Bは、1つの量子ビットである。
【0040】
図4に示すように、実施形態に係る計算装置210は、第1構造体10A、第1素子構造体50A及び第2素子構造体50Bを含む。
【0041】
第1構造体10Aは、中間ジョセフソン接合23、第1ジョセフソン接合21及び第2ジョセフソン接合22を含むループ50rを含む。実施形態において、ループ50r内の空間SPの磁束Φが変調可能である。磁束Φの変調により、カプラ(第1構造体10A)と量子ビットとの間の結合強度が制御されて良い。
【0042】
図5及び
図6は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
図7(a)~
図7(c)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
図8は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
図5は、第1基体81sの第1面81aにおける導電部材のパターンを例示している。
図6は、第1基体81sの第2面81bにおける導電部材のパターンを例示している。
図6は、透過平面図である。
図7(a)は、
図5のA9-A10線断面図である。
図7(b)は、
図5のA11-A12線断面図である。
図7(c)は、
図5のB9-B10線断面図である。
【0043】
図5に示すように、実施形態に係る電子回路111において、第1構造体10Aは、第4導電部材14Cを含む。これを除く電子回路111の構成は、電子回路110の構成と同様で良い。
【0044】
第4導電部材14Cは、第4領域14sを含む。
図7(c)に示すように、第1基体81sは、第4側面s4をさらに含む。第4側面s4は、X-Y平面と交差する。第4領域14sは、第4側面s4に沿って設けられる。
【0045】
図5、
図6及び
図7(c)に示すように、この例では、第1基体81sは、第1孔h1、第2孔h2及び第3孔h3を含む。第1孔h1、第2孔h2及び第3孔h3は、第1面81a及び第2面81bと繋がる。これらの孔は、第1基体81sを貫く。第3側面s3は、第1孔h1の少なくとも一部である。第3他側面sA3は、第2孔h2の少なくとも一部である。第4側面s4は、第3孔h3の少なくとも一部である。
【0046】
第2領域12sから第1領域11sへの方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、例えばY軸方向である。第2方向D2おける第4領域14sの位置(第4側面位置)は、第2方向D2における第1領域11sの位置(第1側面位置)と、第2方向D2における第2領域12sの位置(第2側面位置)と、の間にある。
【0047】
第2方向D2における第3領域13sの位置(第3側面位置)は、第4側面位置と第1側面位置との間にある。第2方向D2における第3他領域13sAの位置(第3他側面位置)は、第4側面位置と第2側面位置との間にある。
【0048】
例えば、第2方向D2において、第4領域14sは、第1領域11sと第2領域12sとの間にある。第2方向D2において、第3領域13sは、第4領域14sと第1領域11sとの間にある。第2方向D2において、第3他領域13sAは、第4領域14sと第2領域12sとの間にある。
【0049】
電子回路111においても、第1領域11s及び第3領域13sにより、第1キャパシタC1が形成される。第2領域12s及び第3他領域13sAにより、第2キャパシタC2が形成される。第3領域13sと第3他領域13sAとの間に第3孔h3が設けられる。これより、クロストークがより低減できる。
【0050】
第4領域14sは、例えば、
図8に例示する制御導電部材61として機能する。例えば、第4領域14sに供給される電流により、中間ジョセフソン接合23、第1ジョセフソン接合21及び第2ジョセフソン接合22を含むループ50r内の空間SPの磁束Φが変調可能である。例えば、第4領域14s(例えば、制御導電部材61)に制御部70が結合される。制御部70は、第4領域14s(例えば、制御導電部材61)に制御用の電流(例えば信号)を供給可能である。制御部70の制御動作により、第1構造体10A(カプラ)の結合状態を制御できる。結合状態の制御は、結合強度の制御を含む。例えば、2つの量子ビットに関する制御が実施できる。
【0051】
図6に示すように、第2面81bに制御導電膜14fが設けられて良い。制御導電膜14fは、第4領域14sと電気的に接続される。制御導電膜14fは、第4導電部材14Cに含まれて良い。制御導電膜14fを介して、制御部70(
図8参照)は、第4領域14sに電流を供給して良い。
【0052】
図8に示すように、実施形態に係る計算装置210は、電子回路111及び制御部70を含んで良い。
【0053】
図9は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
図10は、第1実施形態に係る電子回路の一部を例示する模式的平面図である。
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
図12は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
図10は、
図9の一部を例示している。
図11(a)は、
図9のE1-E2線断面図である。
図11(b)は、
図9のE3-E4線断面図である。
【0054】
図9に示すように、実施形態に係る電子回路112は、第1構造体10Aに加えて、第1素子構造体50Aをさらに含む。これを除く電子回路112の構成は、電子回路110の構成と同様で良い。
【0055】
第1素子構造体50Aは、第1素子ジョセフソン接合51と、第1素子領域41sと、第1素子対向領域41sAと、を含む。第1素子領域41sは、第1素子ジョセフソン接合51と接続される。
【0056】
図11(a)に示すように、第1基体81sは、第1素子側面s41及び第1素子対向側面sA41をさらに含む。第1素子側面s41及び第1素子対向側面sA41は、X-Y平面と交差する。第1素子領域41sは、第1素子側面s41に沿って設けられる。第1素子対向領域41sAは、第1素子対向側面sA41に沿って設けられる。第1素子対向領域41sAは、第3領域13sと電気的に接続される。例えば、第1素子対向領域41sAは、第2面導電膜52fと電気的に接続される。既に説明したように、第3領域13sは、第2面導電膜52fと電気的に接続される。第1素子対向領域41sAは、第2面導電膜52fを介して第3領域13sと電気的に接続される。第1素子対向領域41sAは、例えば、固定電位(例えば、グランド電位)に設定可能である。
【0057】
第1素子領域41sは、第1導電部材11C及び第2導電部材12Cの一方と結合可能である。この例では、第1素子領域41sは、第2導電部材12Cと結合可能である。
【0058】
図9に示すように、この例では、電子回路112において、第1素子構造体50Aは、第1素子ジョセフソン接合51、第1素子領域41s、第2素子領域42s、第1素子対向領域41sA及び第2素子対向領域42sAを含む。第1素子領域41sは、第1素子ジョセフソン接合51と接続される。第2素子領域42sは、第1素子ジョセフソン接合51と接続される。第1素子構造体50Aは、第3素子領域43s及び第4素子領域44sをさらに含んで良い。
【0059】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、第1基体81sは、第1素子側面s41、第2素子側面s42、第1素子対向側面sA41、及び、第2素子対向側面sA42を含む。第1素子側面s41、第2素子側面s42、第1素子対向側面sA41、及び、第2素子対向側面sA42は、X-Y平面と交差する。第1素子領域41sは、第1素子側面s41に沿って設けられる。第2素子領域42sは、第2素子側面s42に沿って設けられる。第1素子対向領域41sAは、第1素子対向側面sA41に沿って設けられる。第2素子対向領域42sAは、第2素子対向側面sA42に沿って設けられる。
【0060】
複数の第1構造体(この例では、第1構造体10A、第1構造体10B、第1構造体10C及び第1構造体10D)が設けられる。第1素子対向領域41sAは、複数の第1構造体の1つ(第1構造体10A)に含まれる第3領域13sと電気的に接続される(
図12参照)。第2素子対向領域42sAは、複数の第1構造体の別の1つ(第1構造体10B)に含まれる第3領域13sと電気的に接続される(
図12参照)。これらの電気的な接続は、例えば、第2面導電膜52fを介して行われる。
【0061】
第1素子領域41sは、複数の第1構造体の1つ(例えば、第1構造体10A)に含まれる第1導電部材11C及び第2導電部材12Cの一方と結合可能である。この例では、第1素子領域41sは、第1構造体10Aに含まれる第2導電部材12C(第2素子部分20b)と結合可能である(
図12参照)。
【0062】
第2素子領域42sは、複数の第1構造体の別の1つ(例えば、第1構造体10B)に含まれる第1導電部材11C及び第2導電部材12Cの一方と結合可能である。この例では、第2素子領域42sは、第1構造体10Bに含まれる第2導電部材12C(第2素子部分20b)と結合可能である(
図12参照)。
【0063】
例えば、複数の第1構造体(第1構造体10A及び第1構造体10Bなど)の間に、第1素子構造体50Aが設けられる。
【0064】
第1素子領域41s及び第1素子対向領域41sAによりキャパシタ素子が形成される。第2素子領域42s及び第2素子対向領域42sAによりキャパシタ素子が形成される。第3素子領域43s及び第3素子対向領域43sAによりキャパシタ素子が形成される。第4素子領域44s及び第4素子対向領域44sAによりキャパシタ素子が形成される。
【0065】
例えば、第1基体81sに第1中間孔41h、第2中間孔42h、第3中間孔43h及び第4中間孔44hなどが設けられて良い。第1素子対向領域41sAは、第1中間孔41hの側面に沿って設けられる。第2素子対向領域42sAは、第2中間孔42hの側面に沿って設けられる。第3素子対向領域43sAは、第3中間孔43hの側面に沿って設けられる。第4素子対向領域44sAは、第4中間孔44hの側面に沿って設けられる。
【0066】
このように、第1基体81sは、第1素子対向側面sA41を含む第1中間孔41hと、第2素子対向側面sA42を含む第2中間孔42hと、さらに含む(
図11(a)及び
図11(b)参照)。第1中間孔41h及び第2中間孔42hの少なくともいずれかの少なくとも一部は、第1素子領域41sと第2素子領域42sとの間に設けられる。このような孔が設けられることで、クロストークがより抑制される。例えば、第1中間孔41hの少なくとも一部は、複数の構造体の1つ(第1構造体10A)の第2領域12sと、複数の構造体の別の1つ(第1構造体10B)の第2領域12sと、の間に設けられる。このような孔が設けられることで、複数の構造体の1つと、複数の構造体の別の1つと、の間のクロストークが抑制される。
【0067】
図10に示すように、第1素子構造体50Aにパッド部PA1が設けられて良い。パッド部PA1を介して結合(または接続)が行われて良い。
図12に示すように、実施形態に係る計算装置210は、電子回路112を含む。
【0068】
図13は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
図14及び
図15は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
図13に示すように、実施形態に係る計算装置210は、第1基体81sを含む電子回路113と、制御部70と、第2基体82sと、を含む。制御部70は、第2基体82sに設けられる。第2基体82sの少なくとも一部は、第1基体81sと重なる。
【0069】
この例では、第2基体82sは、第3面82c及び第4面82dを含む。第3面82cは、第4面82dと第1面81aとの間にある。第3面82cは、第1面81aと対向する。この例では、制御部70は、第3面82cに設けられる。実施形態において、制御部70は、第4面82dに設けられても良い。
【0070】
図13に示すように、この例では、第1基体81sの第1面81aに第1基体導電膜CC1が設けられる。第2基体82sに、第2基体導電膜CC2が設けられる。第2基体導電膜CC2は、第1基体導電膜CC1と対向する。第2基体導電膜CC2は、第3面82cに設けられる。この例では、複数の第1基体導電膜CC1、及び、複数の第2基体導電膜CC2が設けられる。複数の第2基体導電膜CC2の1つは、複数の第1基体導電膜CC1の1つと対向する。第1基体導電膜CC1は、第2基体導電膜CC2と、電磁気的に結合可能である。第1基体導電膜CC1と第2基体導電膜CC2とは、容量結合可能である。結合により交流信号が伝達される。第1基体導電膜CC1と第2基体導電膜CC2との間に空隙が設けられて良い。
【0071】
図13に示すように、接続部材CMが設けられても良い。接続部材CMは、第1基体81sに設けられる導電部材と、第2基体82sに設けられる導電部材と、を電気的に接続する。複数の接続部材CMが設けられても良い。複数の接続部材CMの1つは、第1基体81sに設けられる複数の導電部材の1つと、第2基体82sに設けられる複数の導電部材の1つと、を電気的に接続する。
【0072】
図14は、電子回路113を例示している。電子回路113において、パッド部PA1、PA2、PB1、PB2、PB3及びPB4が設けられる。これらのパッド部の一部と、複数の第1構造体10Aと、が接続される。これらのパッド部の別の一部と、第1素子構造体50Aと、が接続される。これらのパッド部を除いて、電子回路113の構成は、電子回路112の構成と同様である。パッド部PA1、PA2、PB1、PB2、PB3及びPB4は、第1基体導電膜CC1に対応する。
【0073】
図15は、第2基体82sに設けられる導電パターンを例示している。この例では、カプラ制御ラインCP1、量子ビット制御ラインCQ1、及び、読み出し共振器RO1が設けられる。この例では、複数のカプラ制御ラインCP1が設けられる。複数のカプラ制御ラインCP1の1つは、パッド部QB1と電気的に接続される。複数のカプラ制御ラインCP1の別の1つは、パッド部QB2と電気的に接続される。複数のカプラ制御ラインCP1の別の1つは、パッド部QB3と電気的に接続される。複数のカプラ制御ラインCP1の別の1つは、パッド部QB4と電気的に接続される。量子ビット制御ラインCQ1は、パッド部QA2と電気的に接続される。読み出し共振器RO1は、パッド部QA2と電気的に接続される。パッド部QA1、QA2、QB1、QB2、QB3及びQB4は、第2基体導電膜CC2に対応する。
【0074】
パッド部PA1とパッド部QA1とが結合される。パッド部PA2とパッド部QA2とが結合される。パッド部PB1とパッド部QB1と結合される。パッド部PB2とパッド部QB2とが結合される。パッド部PB3とパッド部QB3とが結合される。パッド部PB4とパッド部QB4とが結合される。
【0075】
図16は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
図17(a)及び
図17(b)は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的断面図である。
図18は、第1実施形態に係る電子回路及び計算装置を例示する模式図である。
図17(a)は、
図16のE5-E6線断面図である。
図17(b)は、
図16のE7-E8線断面図である。
【0076】
図16に示すように、実施形態に係る電子回路114は、第1構造体10Aに加えて、第1素子構造体50A及び第2素子構造体50Bを含む。電子回路114における第1構造体10Aの構成は、電子回路110における第1構造体10Aの構成と同様で良い。
【0077】
第1素子構造体50Aは、第1素子ジョセフソン接合51、第1素子領域41s及び第1素子対向領域41sAを含む。第1素子領域41sは、第1素子ジョセフソン接合51と接続される。
【0078】
第2素子構造体50Bは、第2素子ジョセフソン接合52、第2素子領域42s及び第2素子対向領域42sAを含む。第2素子領域42sは、第2素子ジョセフソン接合52と接続される。
【0079】
図17(a)及び
図17(b)に示すように、第1基体81sは、第1素子側面s41、第1素子対向側面sA41、第2素子側面s42及び第2素子対向側面sA42を含む。第1素子側面s41、第1素子対向側面sA41、第2素子側面s42及び第2素子対向側面sA42は、X-Y平面と交差する。第1素子領域41sは、第1素子側面s41に沿って設けられる。第1素子対向領域41sAは、第1素子対向側面sA41に沿って設けられる。第2素子領域42sは、第2素子側面s42に沿って設けられる。第2素子対向領域42sAは、第2素子対向側面sA42に沿って設けられる。
【0080】
第1素子領域41sは、第1導電部材11C(例えば第1領域11s)と結合可能である(
図18参照)。第2素子領域42sは、第2導電部材12C(例えば第2領域12s)と結合可能である(
図18参照)。例えば、第1素子領域41s及び第1領域11sにより、第3キャパシタC3が形成される。第2素子領域42s及び第2領域12sにより、第4キャパシタC4が形成される。
【0081】
第1構造体10Aは、第1素子構造体50Aと結合可能である。第1構造体10Aは、第2素子構造体50Bと結合可能である。高密度の電子回路が得られる。クロストークが抑制される。特性を向上可能な電子回路及び計算装置を提供できる。
【0082】
図16に示すように、電子回路114において、別の第1構造体10X、及び、さらに別の第1構造体10Yなどが設けられて良い。
【0083】
図19及び
図20は、第1実施形態に係る電子回路を例示する模式的平面図である。
電子回路114(または計算装置210)は、第1基体81s及び第2基体82sを含んで良い。
図19は、第1基体81sを例示している。
図20は、第2基体82sを例示している。第2基体82sは、第1基体81sと重なる。
【0084】
パッド部PA1、PA2、PB1、PB2、PB3及びPB4が、接続部により、パッド部QA1、QA2、QB1、QB2、QB3及びQB4と結合される。カプラ制御ラインCP1は、カプラ制御電極CPEと電気的に接続される。量子ビット制御ラインCQ1は、量子ビット制御電極CQEと電気的に接続される。読み出し共振器RO1は、読み出し共振器電極ROEと電気的に接続される。
【0085】
(第2実施形態)
第2実施形態は、計算装置に係る。計算装置210(
図1などを参照)は、実施形態に係る電子回路及び制御部70を含む。制御部70は、例えば、第4導電部材14Cに信号を供給可能である。特性を向上可能な計算装置が提供される。
【0086】
実施形態は、以下の構成(技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1基体と、
第1構造体と、
を備え、
前記第1基体は、第1面と、第1側面、第2側面、第3側面及び第3他側面を含み、
前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面及び前記第3他側面は、前記第1面に沿う平面と交差し、
前記第1構造体は、第1非線形素子と、第1導電部材と、第2導電部材と、第3導電部材と、を含み、
前記第1非線形素子は、第1素子部分、第2素子部分、及び、前記第1素子部分と前記第2素子部分との間に設けられた中間ジョセフソン接合と、を含み、
前記第1導電部材は、第1領域及び第1接続領域を含み、前記第1領域は、前記第1側面に沿って設けられ、前記第1接続領域の一部は前記第1領域と電気的に接続され、前記第1接続領域の別の一部は前記第1素子部分と電気的に接続され、
前記第2導電部材は、第2領域及び第2接続領域を含み、前記第2領域は、前記第2側面に沿って設けられ、前記第2接続領域の一部は前記第2領域と電気的に接続され、前記第2接続領域の別の一部は前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第3導電部材は、第3領域及び第3他領域を含み、前記第3領域は前記第3側面に沿って設けられ、前記第3他領域は前記第3他側面に沿って設けられ、前記第1領域から前記第3領域への方向は、前記平面に沿い、前記第2領域から前記第3他領域への方向は、前記平面に沿う、電子回路。
【0087】
(構成2)
前記第3領域の第1方向における第3領域長は、前記第1領域の前記第1方向における第1領域長よりも長く、
前記第1方向は、前記第1面に対して垂直であり、
前記第3他領域の前記第1方向における第3他領域長は、前記第2領域の前記第1方向における第2領域長よりも長い、構成1に記載の電子回路。
【0088】
(構成3)
前記第3領域長は、前記第1領域長の2倍以上350倍以下であり、
前記第3他領域長は、前記第2領域長の2倍以上350倍以下である、構成2に記載の電子回路。
【0089】
(構成4)
前記第3領域長は、100μm以上700μm以下であり、
前記第1領域長は、2μm以上80μm以下であり、
前記第3他領域長は、100μm以上700μm以下であり、
前記第2領域長は、20μm以上80μm以下である、構成2に記載の電子回路。
【0090】
(構成5)
前記第1基体は、第2面をさらに含み、
前記第2面から前記第1面への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1基体は、前記第1側面を含む第1凹部と、前記第2側面を含む第2凹部と、を含む、構成2~4のいずれか1つに記載の電子回路。
【0091】
(構成6)
前記第1基体は、前記第1面及び前記第2面と繋がる第1孔を含み、
前記第3側面は、前記第1孔の一部であり、
前記第3他側面は、前記第1孔の別の一部である、構成5に記載の電子回路。
【0092】
(構成7)
前記第1構造体は、前記第2面に沿って設けられた第2面導電膜をさらに含み、
前記第3導電部材は、前記第2面導電膜に電気的に接続された、構成5または6に記載の電子回路。
【0093】
(構成8)
前記第1領域及び前記第3領域により第1キャパシタが形成され、
前記第2領域及び前記第3他領域により第2キャパシタが形成され、
前記第3導電部材は、固定電位に設定可能である、構成1~7のいずれか1つに記載の電子回路。
【0094】
(構成9)
前記第1非線形素子は、第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合をさらに含み、
前記第1ジョセフソン接合の一端は、前記第1素子部分と電気的に接続され、
前記第1ジョセフソン接合の他端は、前記第3領域と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の一端は、前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の他端は、前記第3他領域と電気的に接続された、構成1~8のいずれか1つに記載の電子回路。
【0095】
(構成10)
前記第1ジョセフソン接合及び前記第2ジョセフソン接合は、前記第1面に設けられた、構成9に記載の電子回路。
【0096】
(構成11)
前記第1構造体は、第4領域を含む第4導電部材をさらに含み、
前記第1基体は、第4側面をさらに含み、
前記第4側面は、前記平面と交差し、
前記第4領域は、前記第4側面に沿って設けられた、構成1に記載の電子回路。
【0097】
(構成12)
前記第2領域から前記第1領域への第2方向における前記第4領域の第4側面位置は、前記第2方向における前記第1領域の第1側面位置と、前記第2方向における前記第2領域の第2側面位置と、の間にあり、
前記第2方向における前記第3領域の第3側面位置は、前記第4側面位置と前記第1側面位置との間にあり、
前記第2方向における前記第3他領域の第3他側面位置は、前記第4側面位置と前記第2側面位置との間にある、構成11に記載の電子回路。
【0098】
(構成13)
前記第1基体は、第2面をさらにさらに含み、
前記第1基体は、前記第1側面を含む第1凹部と、前記第2側面を含む第2凹部と、を含み、
前記第1基体は、第1孔、第2孔及び第3孔を含み、
前記第1孔、前記第2孔及び前記第3孔は、前記第1面及び前記第2面と繋がり、
前記第3側面は、前記第1孔の少なくとも一部であり、
前記第3他側面は、前記第2孔の少なくとも一部であり、
前記第4側面は、前記第3孔の少なくとも一部である、構成11または12に記載の電子回路。
【0099】
(構成14)
前記第1非線形素子は、第1ジョセフソン接合及び第2ジョセフソン接合をさらに含み、
前記第1ジョセフソン接合の一端は、前記第1素子部分と電気的に接続され、
前記第1ジョセフソン接合の他端は、前記第3領域と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の一端は、前記第2素子部分と電気的に接続され、
前記第2ジョセフソン接合の他端は、前記第3他領域と電気的に接続され、
前記第4領域に供給される電流により、前記中間ジョセフソン接合、前記第1ジョセフソン接合及び前記第2ジョセフソン接合を含むループ内の空間の磁束が変調可能である、構成11~13のいずれか1つに記載の電子回路。
【0100】
(構成15)
第1素子構造体をさらに備え、
前記第1素子構造体は、
第1素子ジョセフソン接合と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第1素子領域と、
第1素子対向領域と、
を含み、
前記第1基体は、第1素子側面及び第1素子対向側面をさらに含み、
前記第1素子側面及び前記第1素子対向側面は、前記平面と交差し、
前記第1素子領域は、前記第1素子側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第1素子対向側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第3領域と電気的に接続され、
前記第1素子領域は、前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と結合可能である、構成1~14のいずれか1つに記載の電子回路。
【0101】
(構成16)
第1素子構造体をさらに備え、
前記第1素子構造体は、
第1素子ジョセフソン接合と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第1素子領域と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第2素子領域と、
第1素子対向領域と、
第2素子対向領域と、
を含み、
前記第1基体は、第1素子側面、第2素子側面、第1素子対向側面、及び、第2素子対向側面をさらに含み、
前記第1素子側面、前記第2素子側面、前記第1素子対向側面、及び、前記第2素子対向側面は、前記平面と交差し、
前記第1素子領域は、前記第1素子側面に沿って設けられ、
前記第2素子領域は、前記第2素子側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第1素子対向側面に沿って設けられ、
前記第2素子対向領域は、前記第2素子対向側面に沿って設けられ、
複数の前記第1構造体が設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記複数の第1構造体の1つに含まれる前記第3領域と電気的に接続され、
前記第2素子対向領域は、前記複数の第1構造体の別の1つに含まれる前記第3領域と電気的に接続され、
前記第1素子領域は、前記複数の第1構造体の1つに含まれる前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と結合可能であり、
前記第2素子領域は、前記複数の第1構造体の前記別の1つに含まれる前記第1導電部材及び前記第2導電部材の一方と結合可能である、構成1~14のいずれか1つに記載の電子回路。
【0102】
(構成17)
前記第1基体は、前記第1素子対向側面を含む第1中間孔と、前記第2素子対向側面を含む第2中間孔と、さらに含み、
前記第1中間孔及び前記第2中間孔の少なくともいずれかの少なくとも一部は、前記第1素子領域と前記第2素子領域との間に設けられた、構成16に記載の電子回路。
【0103】
(構成18)
第1素子構造体と、
第2素子構造体と、
をさらに備え、
前記第1素子構造体は、
第1素子ジョセフソン接合と、
前記第1素子ジョセフソン接合と接続された第1素子領域と、
第1素子対向領域と、
を含み、
前記第2素子構造体は、
第2素子ジョセフソン接合と、
前記第2素子ジョセフソン接合と接続された第2素子領域と、
第2素子対向領域と、
を含み、
前記第1基体は、第1素子側面、第1素子対向側面、第2素子側面及び第2素子対向側面をさらに含み、
前記第1素子側面、前記第1素子対向側面、前記第2素子側面及び前記第2素子対向側面は、前記平面と交差し、
前記第1素子領域は、前記第1素子側面に沿って設けられ、
前記第1素子対向領域は、前記第1素子対向側面に沿って設けられ、
前記第2素子領域は、前記第2素子側面に沿って設けられ、
前記第2素子対向領域は、前記第2素子対向側面に沿って設けられ、
前記第1素子領域は、前記第1導電部材と結合可能であり、
前記第2素子領域は、前記第2導電部材と結合可能である、構成1~14のいずれか1つに記載の電子回路。
【0104】
(構成19)
構成1~18のいずれか1つに記載の電子回路と、
第2基体と、
前記第2基体に設けられた制御部と、
を備え、
前記第2基体の少なくとも一部は、前記第1基体と重なる、計算装置。
【0105】
(構成20)
構成11に記載の電子回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第4導電部材に信号を供給可能である、計算装置。
【0106】
実施形態によれば、特性を向上可能な電子回路及び計算装置が提供できる。
【0107】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、電子回路または計算装置に含まれる非線形素子、ジョセフソン接合、基体、導電部材及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0108】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0109】
本発明の実施の形態として上述した電子回路及び計算装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電子回路及び計算装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0110】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
10A~10D、10X、10Y:第1構造体、 11C~14C:第1~第4導電部材、 11c、12c:第1、第2接続領域、 11d、12d:第1、第2凹部、 11s~14s:第1~第4領域、 11sL、12sL:第1、第2領域長、 13sA:第3他領域、 13sAL:第3他領域長、 13sL:第3領域長、 14f:制御導電膜、 20a、20b:第1、第2素子部分、 21、22:第1、第2ジョセフソン接合、 23:中間ジョセフソン接合、 21i~23i:絶縁層、 41、42:第1、第2素子キャパシタ、 41h~44h:第1~第4中間孔、 41s~44s:第1~第4素子領域、 41sA~44sA:第1~第4素子対向領域、 50A、50B:第1、第2素子構造体、 50C:第1非線形素子、 50r:ループ、 51、52:第1、第2素子ジョセフソン接合、 51G:導電層、 52f:第2面導電膜、 61:制御導電部材、 70:制御部、 81a、81b:第1、第2面、 81s、82s:第1、第2基体、 82c、82d:第3、第4面、 110~114:電子回路、 210:計算装置、 C1~C5:第1~第5キャパシタ、 CC1、CC2:第1基体導電膜、第2基体導電膜、 CM:接続部材、 CP1:カプラ制御ライン、 CPE:カプラ制御電極、 CQ1:量子ビット制御ライン、 CQE:量子ビット制御電極、 D1、D2:第1、第2方向、 PA1、PA2、PB1~PB4、QA1、QA2、QB1~QB4:パッド部、 RO1:読み出し共振器、 ROE:読み出し共振器電極、 SP:空間、 h1~h3:第1~第3孔、 s1~s4:第1~第4側面、 s41、s42:第1、第2素子側面、 sA3:第3他側面、 sA41、sA42:第1、第2素子対向側面