(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165525
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】和装下着の半衿カバー
(51)【国際特許分類】
A41F 1/00 20060101AFI20241121BHJP
A41D 27/16 20060101ALI20241121BHJP
A41B 9/00 20060101ALI20241121BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20241121BHJP
【FI】
A41F1/00 Z
A41D27/16
A41B9/00 B
A41D1/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081796
(22)【出願日】2023-05-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 有限会社きものと宝飾社 月刊STATUS 2023年2月号 通巻645号 2023年2月1日発行 有限会社きものと宝飾社 月刊STATUS 2023年4月号 通巻647号 2023年4月1日発行 2023年1月1日 makuake クラウドファンディング https://www.makuake.com/ https://www.makuake.com/my/project/posted/ 2023年4月1日 合同会社一級さんホームページ https://www.kimono-1.com/ https://kimono-1.wixsite.com/lace-eri 2023年4月25日 BASE(ベイス)ネットショップ https://admin.thebase.com/shop_admin/items
(71)【出願人】
【識別番号】308028751
【氏名又は名称】村瀬 真智子
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 真智子
【テーマコード(参考)】
3B030
3B035
3B128
【Fターム(参考)】
3B030AA05
3B030AB11
3B030AB12
3B030BB01
3B030BB02
3B030BC04
3B035AA11
3B035AB07
3B035AB14
3B035AB18
3B035AB20
3B035AC19
3B128AA01
3B128BA01
(57)【要約】
【課題】
和装下着の衿に縫着せずに装着できる半衿カバーであって、簡単で短時間でも装着可能な上に、デザインや生地の風合いを活かして、和装下着の衿を華やかに飾れる半衿カバーを提供する。
【解決手段】
本発明の半衿カバー(2)は、和装下着に縫着されている半衿(1b)と同形の帯状の半衿カバー(2)である。この半衿カバー(2)には和装下着の衿(1)に、装着する為の突条部(8a)を有した固定具(8)が複数設けられており、簡単で確実な装着ができる。さらに、和装下着の衿(1)に装着後には、固定具(8)が表面に露出することなく半衿カバー本体の生地(2k)で覆い隠される仕様となりどこから見ても美しい半衿カバー(2)となる。その上、硬い固定具(8)が、体に直接触れない構造になっているので安心で安全であり、さらに、装飾的にも優れた半衿カバー(2)が完成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
和装下着の衿(1a)に着脱可能に取り付けられる半衿カバー(2)であって、帯状のカバー本体(2k)と、前記カバー本体の長手方向に間隔をあけて複数設けられた固定具(8)とを備え、前記固定具(8)は、前記カバー本体の短手方向に伸びる1又は複数の突条部(8a)を有しており、前記突条部(8a)の基端部(8c)が前記カバー本体の裏面側(2b)に固定され、先端側(8b)が和服の縫い目に差し込み可能とされている和装下着の半衿カバー(2)
【請求項2】
前記突条部(8a)は、幅(8e)方向に弾性変形可能となるように、可橈性の線状体を屈曲させた形状を有する請求項1に記載の和装下着の半衿カバー(2)。
【請求項3】
前記突条部(8a)は、幅(8e)方向に弾性変形可能となるように、可橈性の線状体を屈曲させた形状を有し、単一の前記線状体を屈曲させることにより複数連結されている請求項1に記載の和装下着の半衿カバー(2)。
【請求項4】
前記半衿カバー本体(2k)は、一方の長手方向に伸びる縁部(2c)が非伸縮性の補強体(3)によって補強されており、前記固定具(8)は、前記補強帯(3)に取り付けられている請求項1に記載の和装下着の半衿カバー(2)。
【請求項5】
前記半衿カバー本体(2k)は、一方の長手方向に伸びる縁部(2c)が非伸縮性の補強体(3)によって補強されており、前記固定具(8)は、前記補強帯(3)に取り付けられており、前記突条部(8a)は、幅(8e)方向に弾性変形可能となるように、可橈性の線状体を屈曲させた形状を有する請求項1に記載の和装下着の半衿カバー(2)。
【請求項6】
前記半衿カバー本体(2k)は、一方の長手方向に伸びる縁部(2c)が非伸縮性の補強体(3)によって補強されており、前記固定具(8)は、前記補強帯(3)に取り付けられており、前記突条部(8a)は、幅(8e)方向に弾性変形可能となるように、可橈性の線状体を屈曲させた形状を有し、単一の前記線状体を屈曲させることにより複数連結されている請求項1に記載の和装下着の半衿カバー(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は和装下着の衿(1a)と半衿(1b)で構成された衿(1)に着脱可能に取り付けられる半衿カバー(2)に関する。従来、半衿(1b)は、和装下着の衿(1a)の衿表面側(1g)と衿裏面側(1f)の両方共に縫着する必要があったが、本発明の半衿カバーは衿表面側(1g)に縫着する必要がないので、簡単に着脱でき、手間と時間短縮ができる上に、デザインや生地の風合いを活かして、和装下着の衿を華やかに飾ることができる。
【背景技術】
【0002】
和装下着の衿(1a)にかけられている半衿(1b)の役目は大きくは2つある。1つは和装下着の衿(1a)の汚れを防ぐ役目である。なぜなら和装下着の衿(1a)は首から胸元にかけて体に密着しているので直ぐに汚れるからである。もう一つは、顔のすぐ下に在り、一番目立つ部分でもあるので衿元を美しく飾る装飾の為である。
【0003】
和装下着の衿(1a)は大部分が、衿(1a)と半衿(1b)で構成されている。和装下着の衿(1a)は和服本体に縫着されているので取り替えができない。そこで、汚れた半衿(1b)を取り外した後には必ず、新しい汚れ防止の半衿(1b)を縫着するという作業が欠かせない。
【0004】
しかし、半衿(1b)の縫着作業は簡単ではない。熟練の和裁士が縫着しても、半衿(1b)の生地や状態によっては美しく仕上がらない。一般人が同じ作業をすると、時間と労力が掛かる上に、使い慣れない針を使用して縫着するには危険が伴う。昔は当たり前だった作業でも現代人に同じことを強いるのは無理であり、このことも着物文化の衰退に拍車をかける一因である。
【0005】
このような問題を解決する為に、和装下着の衿(1a)に縫着しないでも装着できる半衿(1b)が発明されている。和装の衿には半衿(1b)として半衿が縫着される。例えば特許文献1の指込式半衿、特許文献2のファスナー式半衿、そして特許文献3の半衿取り付け具があり、又、特許文献4には着物の衿山(1e)から重ね着として見せる装飾用途で重ね衿が発明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6166490号 差込式半衿
【特許文献2】特許第5552189号 ファスナー付き半衿
【特許文献3】実用新案登録3068473号 半衿取付け具
【特許文献4】実全平03-006408号 重ね衿
【特許文献5】実用新案登録3122366号 襟部材
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の指込式半衿は、専用の半衿と専用の衿装置により簡単に脱着できる方法である。特許文献2のファスナー式半衿、そして特許文献1は衿と同型に作られた半衿を両面粘着テープで和装下着の衿に装着する発明である。
又、特許文献2は、着物の衿と重ね衿の両方を固定具で挟んで装着する付け衿であり、特許文献3の襟部材は、補強用の内襟と、飾り襟とを備えた形状になっており、着物の裏衿幅とほぼ同寸法の内襟部分とレース部分を縫い合わせた形状の襟部材が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1の差込式半衿は、半衿に設けた穴に突起物のある線状の装置を差し込み、突き出た部分を、前もって和装下着の衿の表裏に縫着している中衿と呼ばれる布に設けられた専用の穴に差し込んで装着する発明が開示されている。しかし、先ず半衿の切れ目に突起部を差し込む時点で既に、突起部のある線状の装置と半衿に緩みやツレが発生して難しい。その上、その半衿の突起物を中衿の穴に差し込む時にも幅ズレや不釣り合いが生じるという問題があり、作業が大変難しい割に仕上がりにシワや歪みが出やすく非効率である。又、特許文献2のファスナー付半衿は装着する和装下着の地衿側にもファスナーの取付け部を設置する必要があり、専用の和装下着だけに使用できる衿本体の発明である。
【0009】
そして、特許文献1は、粘着物質をテープ状に塗布した半衿を一度でも和装下着の地衿に装着してしまうと、半衿に塗着されている粘着物質がどうしても地衿の生地に残って除去できない。半衿の表面が汚れた場合、取り外した後に、他の和装下着の生地部分までを粘着物質で汚染するので実用的ではない。その上、洗濯すると粘着性がなくなるので、一過性の半衿である。又、特許文献2は、着物の衿と重ね衿の両方を固定具で挟んで装着する付け衿であるが、着物の衿と和装下着の衿の間に位置し、着物の衿山から少し幅出しさせた状態を保ち十二単衣のように見せる別の和装小物である。使用方法はもとより、目的も使用する位置も全く違うので、特許文献は半衿や半衿として利用できる発明ではない。
【0010】
さらに、特許文献3の襟部材は、補強用の内襟と、飾り襟とを備えた形状になっており、着物の裏衿幅とほぼ同寸法の内襟部分とレース部分を縫い合わせた形状となっている。しかしながら、着物の衿幅はバチ衿や棒衿、広衿があり、一般的なバチ衿でも寸法が一定ではなく、大きく違うので、見えてはいけない内襟部分が着物の衿表面まで出現してしまう。その上、汚れて洗った場合、補強用の内襟と飾り襟部分の素材が全く違うので生地間にシワや歪みが大きく生じて再使用できない衿部材の発明である。
【0011】
本発明の半衿カバー(2)は、従来の半衿(1b)のように和装下着の衿の表衿面側(1g)と衿裏面側(1f)の両面に装着する必要がない。衿裏面側(1g)だけに装着すれば良いので簡単で時短装着できる上に、緩みやシワが発生しないので美しい衿元が継続できる。本発明の目的は、和装下着の衿(1a)に着脱が簡単で便利な上に、洗濯や日常使用が可能な耐久性を持った装飾性に溢れた半衿カバー(2)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の半衿カバー(2)には、和装下着の衿(1)に簡単で確実に装着できる道具として複数の突状部(8a)を有した固定具(8)が、半衿カバー本体(2k)の長手方向の一方(2c)だけに、和装下着の衿(1a)への装着位置に数カ所備えられている。
【0013】
又、突状部の基盤部(8c)だけが、半衿カバー本体の裏面側(2b)に確実に固定されており、先端側(8b)は自由に動く状態である。又、和装下着の衿裏面側(1f)の縫い目に簡単に差し込み可能となるように先端側(8b)は細い形状となっている。そして、和装下着の衿裏面側の衿縫い付線(1g)の縫い目に固定具(8)を差し込んで半衿カバー(1b)を装着した後、固定具(8)は和装下着の衿(1a)の内部に埋没するのでどこからも見えない状態になる。又、和装下着の衿裏面側(1f)の生地を挟んで装着した場合には固定具()が見えたままだが、半衿カバー(2)が和装下着の衿裏面側(1g)から衿山線(1e)を跨いで衿表面側(1g)の両面を覆うので露出している固定具(8)を隠す状態になる。
【0014】
固定具の突条部(8a)は、横方向(8e)の弾性変化で撓む可撓性がある線状に屈曲されて形成されているので、和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に差し込む時には、指でつまむと少し細めの形状に変化して差し込みやすくなり、一旦、縫い目の中に入ると元の幅(8e)に戻るので縫い目から抜けにくい。
【0015】
固定具の突条部(8)は、1つの線状体を屈曲させて作成してあり、連動しているので半衿カバー本体()に取り付け易く装着しやすい。その上、線状体を屈曲させた複数連結により幅方向(8e)の弾性変化が継続でき、尚且つ、頻繁な着脱作業への耐久性が高まる。
【0016】
又、固定具の突条部(8a)が複数連結されている形状なので、和装下着の衿(1)の縫い目が大き過ぎる場合な縫い目に差し込むだけの装着方法だけでなく、差し込んだ突条部(8a)と、左右両側の突条部(8a)とで衿裏面側(1f)の生地を挟むことで、より確実な装着方法に転換できる。
【0017】
本発明の半衿カバー(2k)の一方の長手方向の左右の先端部(2f)間に至る縁部(2c)に沿って非伸縮性の補強帯(3)が取り付けられており、縁部(2c)や半衿カバー本体(2k)の生地がしっかりと補強されているので突条部(8a)を有する硬い固定具(8)を取り付ける為の土台とする。
【0018】
さらに、非伸縮性の補強生地(3)が取り付けられているので、半衿カバー(2)を衿の裏面側の衿縫い線(1i)に沿って装着する作業時には、長手方向に伸縮しない確立された縁部(2c)になるので扱い易く、和装下着の衿(1)に沿って半衿カバーの一方の長手方向(2c)を装着するのは難しい作業だが、長さの釣り合いが取りやすく簡単にできる。
【0019】
非伸縮性の補強帯(3)の幅は、細い方が良い。和装下着の衿(1)に装着する時、手の中に握り込みやすく嵩張らないので扱いやすい。装着後の和装下着の衿(1a)にも負担が無い。補強帯(3)が細いと半衿カバー本体(2k)と固定具(8)が一体化するので、和装下着の衿(1a)の装着位置に合致する半衿カバー本体(2k)に取り付けられた固定具(8)を簡単に摘んで装着できる。
【0020】
現在、縫着されている半衿(1b)はそのまま衿芯を固定する場所としてそのまま利用する。その上から半衿カバー(2)を和装下着の衿の裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に、固定具(8)を差し込んで装着し、半衿カバー本体(2k)の生地が衿裏面側(1b)から衿山線(1e)を越えて衿表面側(1g)に至り、現在、縫着されている半衿(1b)の両面を覆い隠す状態になる。
よって、衿芯を固定する役目を担う従来の半衿(1b)のように和装下着の衿の表衿面側(1g)と衿裏面側(1f)の両面に縫着する必要がなく、衿裏面側(1f)だけに装着すれば良いので、現在の半衿が汚れていても、緩んでシワがあっても関係なく取り除く手間も時間も必要ない。簡単で時短が出来る半衿カバー(2)が完成した。
【0021】
半衿カバー(2)は、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)に縫着された非伸縮性の補強生地(3)によって、和装下着の衿の裏面側の衿縫い線(1i)に沿ってピッタリと緩みなく確実に装着されている。和装下着(1)を着用して左右の衿を引き合い、重ね合わせた時に、装着された衿の裏面側(1f)は内周りになり、衿の表面側(1g)は外周りの状態になる。外周りの半衿カバー本体の表面側(2a)は遠心力で引き伸ばされた状態となり自然に和装下着の衿(1a)にピッタリと沿う状態となってシワや緩みが全く発生しない。そして、表面側の先端部の生地端(2j)は遠心力に逆らわないように丸くカットして衿型に沿やすくする。さらに、遠心力で浮き上がってズレたり、丸みが伸びて変形するのを防ぐ為の専門性のある特殊な縫製を施すので、滑り止めの効果が出て、浮き上がらない。半衿カバーの表面側(2a)は美しい形状を保てる。
【0022】
以上の説明から明らかなように本発明にあっては次に挙げるような効果が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の半衿カバー(2)は、縫着せずに和装下着の衿(1a)に簡単に着脱することができる。半衿カバー本体(2k)には、和装下着の衿(1a)への確実な装着ポイントに固定具(8)が数カ所備えられている。その上、半衿カバー本体の長手方向の一方(2c)だけに設置してあるので、その一方だけを和装下着の衿の衿裏面側の衿縫い線(1i)に沿って装着するので大変便利である。
【0024】
又、固定具(8)は、半衿カバー本体(2k)の裏面側(2b)の数カ所に固定されており、和装下着の衿の裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に差し込むだけで簡単に装できる。
【0025】
固定具の突条部(8a)は、横方向(8e)の弾性変化で撓む可撓性がある線状に屈曲されて形成されているので、和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に差し込む時には、指でつまむと少し細めの形状に変化して差し込みやすくなり、一旦、縫い目の中に入ると、元の幅(8e)に戻るので縫い目から抜けにくくなり、固定具(8)を埋没して確実な装着ができる。
【0026】
固定具の突条部(8a)は、1つの線状体を屈曲させて作成してあり、連動しているので半衿カバー本体(2j)に取り付け易く装着しやすい。そして、線状体を屈曲させて複数連結されているので、頻繁な着脱作業の負荷が分散され、幅方向(8e)の弾性変化が継続でき、経年劣化が遅くなるという利点がある。
【0027】
又、固定具の突条部(8a)が複数連結されている形状だと、和装下着の衿(1a)の縫い目が大き過ぎる場合などは、縫い目に差し込むだけの装着方法だけでなく、差し込んだ突条部(8a)と、左右両側の突条部(8a)とで衿裏面側(1f)の生地を挟むという装着方法に転換しても対応できる。そして、その場合は、和装下着の衿(1a)に装着した後、固定具(8)が和装下着の衿の衿裏面側(1f)に露出したままになるが、半衿カバー本体(2k)の生地が上から覆い隠す構造なので、外見的には露出しない。よって、固定具(8)が体に直接当たるのも、半衿カバー本体(2k)の生地によって防げるので、安全な上に美しい半衿カバー(2)が出来上がる。
【0028】
さらに、本発明の半衿カバーの一方の長手方向の左右の先端部(2f)間に至る縁部(2c)に沿って非伸縮性の補強帯(3)が取り付けられており、縁部(2c)や半衿カバー本体の生地(2k)がしっかりと補強されているので、突条部(8a)を有する硬い固定具(8)を取り付ける部分としての土台が安定する。
【0029】
さらに、半衿カバー本体(2k)の生地にも耐久性が増すので、今までに実現できなかった薄地や装飾性に富んだ華奢な生地を1枚仕様のままで利用することができる。そして、衿の裏面側の衿縫い線(1i)に沿って半衿カバー(2)を装着する作業時には、薄くて華奢な生地の弱点であった長手方向の伸縮があるので縫着作業が難しく、技術を要したが、本発明の半衿カバー本体の長手方向は伸縮しない確定された縁部(2c)なので扱い易く、和装下着の衿(1a)と半衿カバー(2)との装着位置の釣り合いが簡単に想定できて、着付けの初心者でも時間短縮ができる。
【0030】
半衿(1b)の役目は2つあり、1つは衿芯の固定、2つ目は汚れ防止と装飾性である。本発明の半衿カバー(2)は1枚で、2つの役目を完璧に担う事ができる。先ず、従来は衿芯を固定する場所として耐久性のある生地で、表裏の両面に確実な縫着作業が求められた。ゆえに、衿芯を固定する為に、衿の衿表面側(1g)と衿の衿裏面側(1f)の両面に緩みがなく、きっちりと確実な縫着作業必要であり、熟練の縫製技術が必要だった。しかし、本発明の半衿カバー(2)は既に縫着されている衿芯の固定場所である半衿(1b)をそのまま利用するので、現在の半衿が汚れていても、シワや緩みが発生して見るに堪えない状態であっても、半衿カバー(2)が美しい装飾性のある生地で覆い隠すので関係ない。
【0031】
2つ目の、汚れ防止と装飾性だが、今まで薄くて華奢な1枚仕様のレース生地の半衿(1a)は生地の長手方向の伸縮が大きくて縫着作業も大変困難であり、その上、縫着した後でも衿の表裏の両面に歪みや捩れが発生するという理由で使用できなかった。しかし、衿の衿裏面側(1f)だけに固定具(8)でワンタッチ装着するだけで、衿表面側(2a)には遠心力が発生してピッタリと衿表側に張り付く状態になるので、シワや捩れが全く発生しないので美しい。
【0032】
表面側の先端部の生地端(2j)は遠心力に逆らわないように丸くカットして衿型に沿やすくする。さらに、遠心力で浮き上がってズレたり、丸みが伸びて変形するのを防ぐ為の専門性のある特殊な縫製を施すので、滑り止めの効果が出て、衿からズレない。半衿カバーの表面側(2a)は美しい形状を保てる。
【0033】
和装下着の衿(1a)はそれぞれの幅がまちまちで一定していない。しかし、本発明の半衿カバー(2)は、衿の衿裏面側(1f)だけに固定具(8)でワンタッチ装着して、衿山線(1e)を越えて表面側(1f)に至る事さえできたら、表面側(1f)の表面積を全て覆う必要はないので、半衿カバーの表面積は必要最低限でよい。つまり、和装下着(1)の衿の幅に関係なく使用する事ができる。
【0034】
従来、和装下着の衿(1a)に半衿(1b)を、縫着しない方法での装着例としては、危険なピンやクリップ等での装着方法となり、和装下着の衿(1a)、半衿(1b)の両方の生地自体が傷付いて穴が空いてしまう。しかし、本発明の半衿カバー(2)は、一方の長手方向に取り付けられた、非伸縮性の補強帯(3)に装着用の固定具(8)が固定されており、固定具(8)を縫い目に差し込むだけなので、和装下着の衿(1a)への装着による生地ダメージが回避できる上に、半衿カバー本体(2k)の生地が華奢で薄く、柔らかい場合でも長手方向に伸縮しないので、程よい手応えの質感を有し、和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)に簡単に添いやすく、装着作業が大変簡単である。
【0035】
又、乖離した個々の固定具(8)を用いて和装下着の衿(1a)と半衿(1b)の2つの厚い生地を重ね合わせて装着しようとすると、布の厚みや負荷に耐えられず、装着が不確実な状態になり、直ぐさま外れてしまう。その上、和装下着の衿裏面側(1f)の縫い目に固定具(8)を差し込むと同時に、半衿(1b)と和装下着の衿(1)の2つの部分を全て、挟み込んで留めるので装着には熟練の技術が必要であり、時間と労力も要する。何より、個々で存在している固定具(8)は小さいので作業が難しい上に、支えや土台がないので、大きな負荷が掛かり変形して直ぐに壊れてしまう。
【0036】
しかし、本発明の半衿カバー(2)の一方の長手方向の縁部(2c)には、非伸縮性の補強帯(3)に固定具(8)が既に取り付けられており、半衿カバー(2k)と一体化しており、和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に差し込むだけの作業は簡単で短時間にできる。その上、和装下着の衿(1a)や本発明の半衿カバー(2)の2つの部分を、挟み込みこむ必要がないので固定具(8)に余分な負荷がかからない。又、固定具の先端部(8b)の方向は、本発明の半衿カバーの一方の長手方向と相反する縁部(2d)方向に伸びており、固定具の先端部(8b)と、同一方向にある和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に対してスムーズに差し込めて簡単に装着できる。
【0037】
又、着物を着用した女性の後ろ姿の首後は、大変、目立つ部分である。なぜなら女性の着物の着付け方は、着物の首の後の衿抜き部の内側を大きく開いて“うなじ”と呼ばれる首筋の美しさをアピールする為にわざわざ見せる部分なので、シワのない張りのある衿の内側(1k)が美しいとされている。したがって、既に地衿(1a)に半衿(1b)が掛かっていても、半衿(1b)のシワや緩みが見えるのを気にする着物愛好家が多い。だが、本発明の半衿カバー(2)を装着すると、緩みやシワを半衿カバー本体の生地(2j)が上から覆い隠す構造になっているので、美しい衿抜きの内側(1k)を形成することができる。
【0038】
そして何より、本発明の半衿カバー(2)に固着された固定具(8)の全形が、装着後に、生地の中に埋没して見えなくなる状態は大変画期的であり、必然である。なぜなら、固定具は差し込む時は摘んで細く変形させるが、衿の内部では元の大きさに戻って、縫い目からは抜けないので、露出しない。そして、装着の位置からズレたり外れたりせずに確実に装着できる。
【0039】
しかしながら、和装下着の衿(1)の縫い目が大き過ぎる場合などは、縫い目に差し込んで埋没する方法ではなく、差し込んだ突条部(8a)と、その左右両側の突条部(8a)とで、和装下着の衿の衿裏面側(1f)の生地を挟む方法が適している。その場合も、固定具(8)は半衿カバー本体の生地(2j)とは既に一体化しているので、衿裏面側(1f)の生地だけを挟めば良いので、固定具(8)に余分な負荷がかからない。さらに、装着後は固定具(8)が衿の衿裏面側(1f)に露出しているが、半衿カバー本体の生地が上から覆い隠す。
【0040】
本発明は装着に使用する固定具(8)はもとより、固定具(8)の土台となる非伸縮性の補強帯(3)も共に、和装下着の衿の衿抜きの内側(1k)に見えないようにすることも考慮して、和装下着の衿の衿裏面側(1f)と本発明の半衿カバーの裏面側(2b)との間に位置するように構成している。このことで、最大の効果は和服を着用した時に、女性らしさを披露するべき美しい衿抜きの内側(1k)に無粋な固定具(8)が見えるのを防げることである。和装下着の衿抜き部の内側(1k)には美しい本発明の半衿カバー本体の表面側(2a)だけが見えるので、より一層、すっきりとした状態を見せることができる。
【0041】
そして、着物を着用時に、女性らしさをアピールする部分である首後の衿抜き部分の内側(1k)に、半衿カバー本体(2k)の生地で作った非伸縮性の補強帯(3)が透けて見えても、本発明の半衿カバー(2)と同じ素材、色、風合いなので、気にならない。よって、本発明の半衿カバー(2)に使用する生地の素材は、今まで使用できなかったレース等の1枚仕立ての薄い生地や、洋服生地などの穴の空いた素材でも新しく利用できるので斬新で画期的である。
【0042】
つまり、本発明の和装下着の衿(1)に、縫着せずに装着できる半衿カバー(2)を使用すると、今までの危険で煩わしい上に、難しい技術を要するので時間を要する半衿(1b)の脱着作業が簡単にワンタッチで装着できる。又、既に縫着されている半衿(1b)が汚れていても、シワで波打っていても、半衿(1b)を衿芯の固定場所として利用できるので取り除く手間も時間もかけなくてよい。簡単で時短にイメージチェンジができる。何より、従来は不可能であった扱いにくい素材や華奢で薄い生地を多種多様な半衿(1b)として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】衿(1a)に半衿(1b)が縫着されている着用図である。
【
図2】衿(1a)に本発明の半衿カバー(2)を装着した着用図である。
【
図5】半衿カバー本体に複数の固定具(8)が取り付けられている位置を具体的に表している。
【
図6】半衿カバー本体に複数の固定具(8)が取り付けられている位置を具体的に表している。
【
図7】半衿カバー本体に複数の固定具(8)が取り付けられている位置を具体的に表している。
【
図8】半衿カバー本体に複数の固定具(8)が取り付けられている位置を具体的に表している。
【
図9】複数の固定具(8)がそれぞれ装着される和装下着の衿(1a)に装着した場合の配置図である。
【
図10】複数の固定具(8)がそれぞれ装着される和装下着の衿(1a)に装着した場合の配置図である。
【
図11】複数の固定具(8)がそれぞれ装着される和装下着の衿(1a)に装着した場合の配置図である。
【
図12】和装下着の衿(1a)に装着された時の衿の表側面(1g)の状態である。
【
図13】装着時の和装下着の衿(1a)と半衿カバー(2)の構造図である。
【
図14】半衿カバー本体の長手方向の縁部(2c)の生地端のままで非伸縮性の補強生地(3)を縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図15】半衿カバー本体の長手方向の縁部(2c)の生地端のままで非伸縮性の補強生地(3)を縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図16】半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その部分に非伸縮性の補強生地(3)を縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図17】半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その部分に非伸縮性の補強生地(3)を縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図18】同じ半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その折り山に非伸縮性の補強生地(5)を表裏の両面に振り分けて縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図19】同じ半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その折り山に非伸縮性の補強生地(5)を表裏の両面に振り分けて縫着した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図20】同じ半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その折り山に非伸縮性の補強生地(5)を表裏の両面に振り分けて縫着した半衿カバー(2)の構造図である。
【
図21】半衿カバー本体の生地を縁部で折り返し、その内側から長さの長い非伸縮性の補強生地を縫着した半衿カバーの構造図である。
【
図22】半衿カバー本体の生地を縁部で折り返し、その内側から長さの長い非伸縮性の補強生地を縫着した半衿カバーの構造図である。
【
図23】半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その内側に幅の細い非伸縮性の補強生地(6)を縫着しているが、外部からは見えない半衿カバー(2)の全体図である。
【
図24】半衿カバー本体(2k)の生地を縁部(2c)で折り返し、その内側に幅の細い非伸縮性の補強生地(6)を縫着しているが、外部からは見えない半衿カバー(2)の構造図である。
【
図25】半衿カバー本体(2k)の生地が非伸縮生の生地(7)であり、縁部(2c)で折り返しただけで、その部分を補強生地(7)として利用した半衿カバー(2)の全体図である。
【
図26】和服の衿カバーとして使用した場合の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
先ず、本発明の半衿カバー(2)の全体構造を述べる。半衿カバー(2)を、和装下着の衿(1a)と半衿(1b)で構成された衿裏面側(1f)に装着した後、衿山線(1e)を越えて、衿表面側(1g)まで至る衿の両面を覆う状態で使用する。その形状は、半衿(1b)と同形状の帯状の布で構成されている。そして、和装下着の衿に装着する為の固定具(8)の土台として半衿カバーの一方の長手方向の縁部が非伸縮性の補強帯(3)によって補強されている。
【0045】
又、固定具(8)と半衿カバー本体(2k)とは既に一体化しているので、固定具だけを摘んで扱えるので簡単に装着できる。固定具(8)にも余分な負荷がかかって固定具(8)が損傷しないように考慮され、又、硬い固定具(8)が体を傷つけることがないように配慮した構造となっている。そして、確実な装着の為に、土台の非伸縮性の補強生地(5)には長手方向の中心(2e)から左右均等に複数の固定具(8)が要所に固着されている。しかも、本発明の半衿カバー(2)装着後は、固定具(6)や布製の補強生地(3)などの見苦しい裏方部分が、どこにも見えない美しい半衿カバー(2)で覆った和装下着の衿(1a)になる。
【0046】
さらに、相対する長手方向の縁部(2d)は従来の半衿カバー(2)と違い、縫着する必要がないので生地のままの形状で放置できて簡単である。さらに、表面側の左右の先端部の形状は、衿に装着されて、衿を重ねて引き合わせた場合に遠心力が発生して、衿の表面側(1g)に沿う仕様となるので、左右の先端部(2j)は、突っ張らないように衿に沿い易い丸型にカットする。
【0047】
そして、半衿カバーの丸く切った先端部の生地端(2j)の形状は、ジグザグミシンや伸縮しないロックミシンによって、現状の丸みが崩れないように固定する。1度だけでなく何度も縫い重ねて丸く切った先端部の生地端(2j)を厚くする。糸も通常は60番だが、30番が良い。しかし、簡単に厚みを持たせる為には20番が最適である。さらに、上糸と下糸の両方を20番にすると滑ってほつれやすい。そこで、上糸は20番だが、下糸は60番を使用して、20番の糸で量を増し厚くする。同時に下糸の60番の細い糸で絞めながら押さえていくという特別な縫い方に決定した。よって、その先端部の生地端(2j)が、滑り止めの役目が果たせるような縫製法を施す。こうすることで、薄い華奢なレース生地でも半衿の丸く切った先端部の生地端(2j)が形を継続できて、尚且つ和装下着の衿に対して滑り止め効果が付加できる。
【0048】
次に、半衿カバー(2)について説明する。半衿カバー本体(2k)に使用する生地の素材としては、一般的な半衿(1b)の生地と同様の絹、もしくはナイロンやポリエチレンでも良いが、繰り返して使用するので耐久性や、洗う事を考えると絹は縮みによる変形が大きいし、シワも発生するので不都合である。又、ナイロンやポリエチレンの化繊生地は最適だが、本発明の半衿カバー(2)の形状からすると、2方の長手方向(のうち、非伸縮性の補強帯(3)が縫着されてない一方の長手方向と相対する縁部(2d)は、生地の裁断された状態のままで、加工をしない。よって、ナイロンやポリエチレンだと生地のホツレが発生してしまい、半衿カバーの本体(2k)にも糸引きによる傷が出来るので適さない。又、今までに適用されなかった長手方向に伸縮性が大きく、和装下着の衿の裏面側の衿縫い線(1j)に縫着が難しいレースなどの薄くて華奢な1枚仕立ての生地や形状利用が可能になり、新しい和装下着の衿(1a)として価値観を見出すことができる。
【0049】
そこで、半衿カバー本体(2k)の一方の長手方向と相対する縁部(2d)の状態を現状のままで放置してもホツレない素材としては、裁ち切りの状態で柄を形成しているレース生地が最適である。一般的な半衿(1b)の生地より耐久性があり、丈夫で、変形しない上に、薄くて軽いという利点もある。本発明の半衿カバー(2)は一般的な半衿(1b)と違って、衿芯を確保する役目はない。つまり、和装下着の衿(1a)に被せるだけの装飾品なので、今まで使用出来なかった繊細で、薄くて織りの密度が粗く、その上、変わり織の要素がある生地が使用できる。華奢で豪華な装飾品としてのレース生地が半衿カバー本体の生地(2k)として望ましい。
【0050】
又、レース生地にも色々あるが、綿レースは洗濯により縮んで変形してしまうので使用しない方がよい。又、華奢で扱うとシワが発生するオーガンジーも不向きである。よって、レースの生地はポリエステルやレーヨン、そしてナイロンが最適である。
【0051】
本発明の半衿カバー本体(2k)の長手方向の長さとしては、和装下着の衿(1a)に掛かっている半衿(1b)と同寸法の長さを想定しているので、一般的な半衿(1b)の長さと同じく、和服の背中心(1c)から左右均等に50cm~60cmである。だが、衿(1)の上から重ねて装着するので、あまり長すぎても嵩張るだけで邪魔になる、よって45cm~50cmが最適である。しかし、和服の重なった衿が見える長さをカバーすることが出来て、少しでも短い方が扱いやすくて簡単なので、35cm~45cmが、より最適である。
【0052】
次に、本発明の半衿カバー本体(2k)の短手方向の長さとしては、和装下着の衿(1a)に掛かっている半衿(1b)と同寸法の幅で形成されるので、一般的な半衿の幅と同じく12cm~20cmである。だが、2つの長手方向の縁部(2c)に縫着する縫い代として2cm程を必要としないので、14cm~18cmが良い。しかし、衿の一番狭い幅は背中心(1c)での位置であって10cmと決まっている。よって、15cm~17cmの幅がより良い。
【0053】
次に、固定具(8)について説明する。
固定具(8)の形状は〈
図3〉の他にも多種多様である。和装下着の衿の衿裏面側の衿縫い線(1i)の縫い目に差し込むだけで、装着できる固定具(8)として、ヘアピン状の固定具、ホック類の固定具、クリップ類の固定具(8)がある。ヘアピン状の固定具は細いので縫い目に入れやすいが、そのまま抜け出てしまう上に、挟む力が弱いので直ぐに装着が取れてしまう。又、ホック類は鍵針状の形態であり、縫い目に入り、その位置の布を引っ掛けて固定する。しかし、引っ掛けるだけなので、そのまま滑り外れて役に立たない。
【0054】
クリップ類については、先端部(8b)の方向が細くなっているので縫い目に挿入し易く、太めの中間部分の挿入には挿入し易い細めの形状に瞬時に変形する。縫い目に入った後には和装下着の衿(1a)の生地の中で元通りに膨らむというバネ力があり縫い目から抜け難い。以上のような最適な特徴をクリップは持っており、固定具(8)として最適である。
【0055】
固定具(8)は、半衿カバー本体(2k)の短手方向に伸びる1もしくは複数の突条部(8a)を有しており、固定具の基端側(8c)は半衿カバー本体の裏面側(2b)にしっかりと固定されている。そして、半衿カバーは固定具(8)によって、和装下着の衿裏面側の衿縫い線(1i)に沿った位置から、和装下着の衿の衿山線(1e)に向かって装着される。よって、固定具の先端部(8b)の方向は半衿カバーの相反する縁部(2c)の方向に向かって取り付けられた状態になる。
【0056】
そして、和装下着の衿(1a)に装着する部分である固定具(8)は、半衿カバー本体(2k)の短手方向に伸びる1もしくは複数の突条部(8a)を有しており、固定具の基端側(8c)は半衿カバー本体の裏面側(2b)にしっかりと固定されている。
突状部(8a)の数としては2つ、3つ、もっと多くの突条部(8a)を持ったクリップがあるが、和装下着の衿の衿裏縫い線(1i)の縫い目に簡単に脱着できることを考慮すると、2つでは装着力が弱いので直ぐに歪んで変形してしまう。又、多数の突条部(8a)があると。装着するのに無駄な時間がかかる上に重くなるので、固着している半衿カバー本体(2k)への負担が大きくなる。つまり、突条部(8a)が3つある形状の固定具(8)が一番使い易い上に、装着の持続力も確保できるので最良である。
【0057】
突条部(8a)は、幅方向(8e)の弾性変化に可撓性があり、摘むと突条部(8a)が細くなって縫い目に入れ易く、縫い目の中に入ると幅が元通りに広がって抜けにくくなるような、可撓性の線状体を屈曲させた形状なので、装着は衿生地の内部に埋没して完了する。しかしながら和装下着の衿(1)の状態により、縫い目に差し込むだけでなく、差し込んだ突条部(8a)と、左右両端の突条部(8a)とで衿裏面側(1f)の生地を挟みこんで装着する場合にも対応できる。
【0058】
固定具の突条部(8a)は、着脱作業に頻繁使用する突条部(8a)に変形や支障が起きにくく、突条部の幅方向(8e)の弾性を維持し、さまざまな和装の衿への装着方法を鑑みて、単一の線状体を屈曲させて突条部(8a)を複数連結させて作成し、頻繁な着脱作業の負荷による個々の突条部(8a)の損傷や変形を防ぐため、連結した形状をとることで固定具の形状維持を強化している。
【0059】
固定具(8)としてのクリップの寸法だが、横幅(8e)は1.5cm~3cmと色々ある。突条部(8a)が3つだということや装着する衿裏縫い付け線の縫い目(1j)の大きさを考慮すると1.8cm~2.5cmが最適である。又、長さは3.5cm~5.0cmだと持ちやすくて扱い易いので良い、だが、衿本体の背中心(1p)の地衿幅(1m)が5.0cmなので、衿幅(1m)よりは短い方が良いので3.0cm~4.0cmがより良い。しかし、装着後には衿本体(1c)の生地の中に埋没したままの状態になるので、2.5cm~3.5cmの長さが最も良い。
【0060】
固定具(8)を非伸縮性の補強生地(3)に取り付ける方法としては、先ず、長手方向の非伸縮性の補強帯(3)の表面に固着する方法である。非伸縮性の補強帯(3)は半衿カバー本体の長辺方向の縁部(2c)に沿って縫着されているので、固定具の基端部(8c)だけを固着して、固定具は基端部()以外は自由な可動性があり、固定具の長さ(8d)の全長が装着に活用できるので、和装下着の衿()に装着しやすいので確実な装着ができる。例えば、強力な接着剤で貼り付ける、固定具の基端部(8c)だけを別布で抑えて縫い付ける、等があるが、和装下着の衿(1)への装着作業は、小さな固定具(8)をつまんで装着するので、固定具の長さ(8d)を最大限に活かすために、最小限の長さを縫い留める方法が最適である。その方法として、固定具(8)の固着部分の上端を半衿カバーの長辺方向の縁部(2c)の位置に合わせて、何度も折り返して縫い留める方法が良い。
【0061】
固定具(8)の配置位置についてだが、配置位置は大変、重要であり、和装下着の衿(1)に装着するのに必要不可欠な位置を踏まえて配置する。先ず、半衿カバーの長手方向の中心点(2e)であり、左右端部(2f)の両端に1か所ずつの3ヶ所の配置位置〈
図5〉で、和装下着の衿への装着位置は〈
図9〉が必然である。そして半衿カバー(2)は和装下着の衿の衿裏面側の衿縫い線(1i)に沿って装着されるので、和装下着の衿(1)の要所と照らし合わせてみると、次に、必要なのは半衿カバーの左右の衿肩周り部分(2h)である。よって、半衿カバーの中心点(2e)から左右均一に10cmずつの位置となり、合計すると固定具の固着位置(6d)は5ヶ所の配置位置〈
図6〉で、和装下着の衿への装着位置は〈
図10〉が良い。
【0062】
さらに、和服の一番目立つ衿元に、半衿カバー(2)をすっきりと緩みなく装着させるのには、半衿カバーの長手方向の中心点(2d)と左右の両端部(2f.2g)と、和装下着の衿本体の衿元にあたる半衿カバー(2)長手方向の中間点(2g)にも固着するのがより最適であり、固定具は合計で7ヶ所の配置位置〈
図7〉で、和装下着の衿への装着位置は〈
図11〉である。そして、合計で9ヶ所の配置位置〈
図8〉だと、和装下着の衿への装着位置は〈
図11〉より密に配置すると確実に縫着以上の効果になる。しかしながら、これ以上多くの固定具の設置は不必要である。
【0063】
固定具(8)は、衿(1a)の生地の中に埋没させて装着完了となる。固定具(8)が装着された半衿カバー(2)のどこからも見えない状態になることで装着が完了する。何故なら、折角、美しい半衿カバー(2)を装着しても、その表面(2b)に装着用の固定具(8)が見えては台無しである。特に、和服の首後の衿抜きの内側部(1k)は女性らしさのアピールとして披露する部分なので、装着後に固定具(8)が見えるのは興醒めである。今まで固定具(8)等の留める道具が見えないように装着する方法は縫着しかなかったが、本発明の半衿カバー(2)は、その問題を簡単に解決できる。
【0064】
しかしながら、和装下着の衿(1a)の縫い目が大き過ぎる場合などは、縫い目に差し込んで埋没する方法ではなく、差し込んだ突条部(8a)と、その左右両側の突条部(8a)とで衿裏面側(1f)の生地を挟む方法が適している。その場合も、固定具(8)は半衿カバー本体の生地(2k)とは既に一体化しているので、衿裏面側(1f)の生地だけを挟めば良いので、固定具(8)に余分な負荷がかからない。又、装着後は固定具(8)が衿の衿裏面側(1f)に露出しているが、半衿カバー本体の生地(2k)が上から覆って隠し、見えなくなる上に、硬い固定具(8)が体に直接、触れることがないので構造なので安心である。
【0065】
次に、半衿カバーに縫着されている非伸縮性の補強生地(3)について説明する。半衿カバー本体(2k)の、長手方向の縁部(2e)に沿って長手方向の左右縁部(2f)間の全長に、非伸縮性の補強帯(3)を取り付けて半衿カバー本体として一体化する。着脱作業時の半衿カバー本体の長手方向の縁部(2c)の蘇生変形を阻止できるので、和装下着の衿(1a)と、半衿カバー(2)との装着位置の釣り合いが簡単に取れるようになる。又、着脱作業時に突条部(8a)を有する硬い固定金具(8)によって半衿カバー本体(2k)の生地の破れなどの使用損傷が防げ、固定具(8)を取り付ける安定した土台としての役目も担える構造になる。
【0066】
又、半衿カバー(2)は装飾的な要素でも使用されるので、固定金具(8)が固着されている土台の役目である非伸縮性の補強帯(3)は、装着後の和服の外見に露出しない必要がある。つまり、非伸縮性の補強帯(3)は半衿カバーの裏面側(1f)に縫着される必要がある。和装下着の衿()と半衿カバー本体(2k)の生地との間に位置するので、固定具(6)を取り付けた見苦しい裏方部分が、どこからも見えない状態にできる。
【0067】
又、非伸縮性の補強帯(3)の長手方向の長さは、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)に沿った左右の先端部(2f)の全長に取り付けられるので、半衿カバー本体(2K)と同様の長さになる。そして、幅についてだが、半衿カバー本体(2)の生地の厚さや織の密度、形状によって変わってくる。何より、非伸縮性の補強帯(3)の取り付けられ方によって臨機応変に対応する必要があり、一部を以下の実施例で、記載する。
【0068】
そして、本発明の半衿カバーの本体(2k)に縫着されている非伸縮性の補強帯(3)の生地についてだが、やはり、木綿は洗った時に縮んで変形するので使用出来ない。ナイロンやレーヨン、ポリエステル等の化繊であれば経年劣化での変質や、洗濯による変形に強く、又、固定具(8)との摩擦による耐久性にも優れているので良い。又、厚みがあると和装下着の衿(1a)に装着し難い上に、装着してからも嵩高くなって着用時に窮屈になる。つまり、非伸縮性の補強帯(3)には縫い代の厚みが存在しないリボン生地が良い。リボンならホツレが発生せず、縫い代の始末も考えなくて良いので最適である。
【0069】
そして、半衿カバーの丸く切った先端部の生地端(2j)の形状は、ジグザグミシンや伸縮しないロックミシンによって、現状の丸みが崩れないように固定する。1度だけでなく何度も縫い重ねて丸く切った先端部の生地端(2j)を厚くする。糸も通常は60番だが、30番が良い。しかし、簡単に厚みを持たせる為には20番が最適である。しかし、上糸と下糸の両方を20番にすると滑ってほつれやすい。そこで、上糸は20番だが、下糸は60番を使用して、20番の糸で量を増し厚くする。それを下糸を60番の細い糸で絞めながら押さえていくという特別な縫い方に決定した。よって、その先端部の生地端(2j)が、滑り止めの役目が果たせるような縫製法を施す。こうすることで、薄い華奢なレース生地でも半衿の丸くきった先端部の生地端が形を継続できて、尚且つ和装下着の衿に対して滑り止め効果が付加できる。
【0070】
又、非伸縮性の補強帯(3)のは、装着用の固定具(8)を取り付ける土台である。だが、半衿カバー(2)の装飾性を優先し、1枚生地仕立てで軽く、華奢で美しい生地素材のイメージからすると、補強帯は細く目立たない方が良い。したがって、半衿カバー本体(2k)の生地がレーヨン等の化繊やナイロン製等の薄くても比較的に堅牢なレース生地の場合だと、充分な耐久性があるので、固定具の基端部(8c)を固着可能な最小限の補強帯の幅が最適であり、半衿カバー本体の一方の長辺方向の縁部(2c)に沿って、0.5cm~4cmが良い。ただ、固定金具(8)を非伸縮性の補強帯(3)の表面に固定するのに十分な長さの1cm~3cmが妥当である。しかし、固定具の先端部(8b)を和装下着の衿(1)に差し込むには、固定具の長さ(8d)より非伸縮性の補強帯(3)の幅が短い方が固定具(8)を和装下着の衿(1a)に着脱する作業時の邪魔にならないので、1.5cm~2.5cmが最適である。
【0071】
又、本発明の半衿カバー本体の表面側(2a)を裏面側(2b)に折り返しで作った生地の折り返し部(6)の表面上に、固定具(8)を乗せて固着する場合も、他の半衿カバー(2)と同じ仕様であり、非伸縮性の補強帯(3)の表面上に乗せて固着する方法と同様であり、固定具(8)を半衿カバーの長辺方向を折り返してできた縁部(2c)の位置に合わせて、固定具の基端部(8c)を何度か縫い返して縫い留める方法が良い。
【0072】
半衿カバー本体(2k)の生地が薄くて柔らかいレース生地のように長手方向の伸縮性が大きく変化するような場合は、半衿カバー本体(2k)の生地を表面側(2a)から裏面側(2b)折り返して作った折り返した内側に、固定具の長さ(8d)より長い非伸縮性の補強帯(4)が相反する長手方向(2d)に向かって取り付けられており縫着する方法がある。この非伸縮性の補強帯(4)は固定具の長さが2.5cm~3.5cmが最適だとされているので、より幅の広い3cm~8cmが良い。しかし、和装下着の衿の表面側までに至ると困るので、3・5cm~7cmが最適である。しかし、狭い方が目立たないので4cm~6cmがより最適である。外見的には半衿カバー本体の生地で作った折り返し部(6)が補強部と認知され、尚且つ、美しくて装飾性に秀でているが、薄くて華奢な半衿カバー本体の生地でも、広い幅の非伸縮性の補強帯(4)で補強されており、半衿カバー本体(2k)の生地を広範囲で補強できるので耐久性が向上する。
【0073】
以下、実施例により本発明にかかる半衿カバーをより詳細に説明する。
【実施例0074】
本半衿カバー(2)には固定具(8)が固着されるので、装着が短時間で、確実に和装下着の衿(1)に半衿カバーを装着することができる。その場合の実施図を<
図5>、<
図6>、<
図7>、<
図8>、に示す。一方、後付けの乖離している個々の固定具(8)を使っても、和装下着の衿(1)に半衿カバー(2)を簡単に装着することができる。その場合の実施例を<
図16>、<
図17>、<
図18>、<
図19>、<
図21>、<
図25>に示す。
【0075】
従来と違って、本半衿カバー(2)の生地は薄くて軽いレース生地1枚使用であるが、半衿カバー(2)の生地がしっかりとした厚みと強度を持っているため後付けの乖離している個々の固定具(8)などでも装着することができる。
【0076】
また、非伸縮性の補強生地(3)で長手方向が補強されているので、和装下着の衿(1)の裏面側の衿縫い線に沿って半衿カバー(2)を装着するときも伸縮せずに変化しないので、釣り合いが取りやすく、作業が簡単である。
【0077】
<
図5> 半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)に沿って、裏面側(2b)に非伸縮性の補強帯(3)が補強されて、その部分に3個の固定具(8)が取り付けられている図である。
<
図6> 半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)に沿って、裏面側(2b)に非伸縮性の補強帯(3)が補強されて、その部分に5個の固定具(8)が取り付けられている図である。
<
図7> 半衿カバー本体の裏面側(2b)の一方の長手方向の縁部(2c)に沿って、裏面側(2b)に非伸縮性の補強帯(3)が補強されて、その部分に7個の固定具(8)が取り付けられている図である。
<
図8> 半衿カバー本体の裏面側(2b)の一方の長手方向の縁部(2c)に沿って、裏面側(2b)に非伸縮性の補強帯(3)が補強されて、その部分に9個の固定具(8)が取り付けられている図である。
<
図9> 半衿カバー本体(2k)において、固定具(8)の取り付けられている位置は、長手方向の中心点(2e)、左右の先端部(2f)に1ヶ所ずつの合計3ヶ所であり、和装下着の衿に装着した場合の配置図である。
<
図10>半衿カバー本体(2j)において、固定具(8)の取り付けられている位置は、長手方向の中心点(2e)、左右の衿肩周りの位置(2h)に1ヶ所ずつと、左右の先端部(2f)にも1ヶ所ずつの合計5ヶ所であり、和装下着の衿(1a)に装着した場合の配置図である。
<
図11>半衿カバー本体(2)において、固定具(8)の取り付けられている位置は、長手方向の中心点(2e)、左右の衿肩周りの位置(2h)に1ヶ所ずつと、左右の先端部(2f)にも1ヶ所ずつと、さらに、中心点(2e)から先端部(2f)までの長さの中間位置(2g)にも左右均一に1ヶ所ずつの合計7ヶ所であり、和装下着の衿に装着した場合の配置図である。さらに、9ヶ所の場合は中心点(2e)から先端部(2f)までの長さの中間位置(2g)に左右均一に2ヶ所ずつの合計9ヶ所になる。
<
図12>衿(1a)に本発明の半衿カバー(2)を装着した和服(1)の図であり、 衿の表面側の衿縫い線(1j)の位置で折り返された部分(2m)を外付けの乖離している個々の固定具(8)で留めた図である。
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図13>〈
図12〉の和装下着の衿(1)と装着後の半衿カバー(2)の構造図である。
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図14>半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)が生地端のままの状態で、半衿カバー本体の裏面側()に非伸縮性の補強帯(3)が縫着された全体図である。この非伸縮性の補強帯(3)を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。
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図15>半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)が生地端のままの状態で、半衿カバー本体の裏面側(2b)に固定具の長さ(8d)より長い非伸縮性の補強帯(4)が縫着された全体図である。この非伸縮性の補強帯(3)部分を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。
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図16>半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した部分(2n)に、非伸縮性の補強帯(3)が縫着された全体図である。これを土台として上に固定具を数カ所取りつける。
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図17> 半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した部分(2n)に、固定具の長さ(8d)より長い非伸縮性の補強帯(3)が相反する長手方向(2d)に向かって取り付けられており縫着された全体図である。この非伸縮性の補強帯(3)部分を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。外見的には半衿カバー本体の生地で作った折り返し部(6)が補強部と認知され、尚且つ、美しくて装飾性に秀でているが、薄くて華奢な半衿カバー本体の生地でも、広い幅の非伸縮性の補強帯(4)で補強されており、半衿カバー本体(2k)の生地を広範囲で補強できるので耐久性が向上する。美しくて華奢な装飾性に秀でた半衿カバーである。
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図18>半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した折り山を境にして、非伸縮性の補強帯(5)が表面側の補強帯(5a)と裏面側の補強帯(5b)に分割された状態で縫着された全体図である。この裏面側の補強帯(5b)部分を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。長手方向の縁部(2c)は頻繁な着脱の度に、一番摩擦や負荷がかかる部分である。そこで、なるべく半衿カバー本体(2k)の生地と同色の非伸縮の補強帯(5)で補強する。補強生地を狭くして、あくまで和装下着の衿抜き部分から見えないように、又、見えてもほとんどわからないように縫着するが、半衿カバー本体(2k)の表面側(2a)の幅は0・3mmまでとする。裏面側(2b)は1.5cm~2.5cm位でも良いが、同型色でも細い方が扱い易いので1.0cm~2.0cm最適である。
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図19><
図18>の半衿カバーの表面側(2a)の全体図であり、同様である。
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図20><
図18>の半衿カバーの構造図である。
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図21>半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した部分(2n)の内側から固定具の長さ(8d)よりも長い非伸縮性の補強帯(4)が縫着された全体図である。この非伸縮性の補強帯(3)の部分を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。
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図22>〈
図21〉の半衿カバーの構造図である。
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図23>半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した部分(2n)の内側に幅の狭い非伸縮性の補強帯(6)が内蔵されていて外部からは見えない状態の全体図である。この非伸縮性の補強帯(6)部分を土台として上に固定具を数カ所取り付けて1枚仕立ての半衿カバーに同体化するので、柔軟で繊細だけど丈夫で扱いやすい最高の半衿カバー(2)が出来上がる。
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図24>〈
図23〉の半衿カバーの構造図である。
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図25>半衿カバーの生地が長手方向に伸縮しにくい生地である場合、半衿カバー本体の裏面側(2b)において、半衿カバー本体の一方の長手方向の縁部(2c)を表面側(2a)から裏面側(2b)に折り返した部分(2n)の生地が2重になっており、この部分を補強帯(7)として利用した全体図である。この非伸縮性の補強帯(7)の部分を土台として上に固定具を数カ所取り付ける。
【0078】
本発明の半衿カバー(2k)の形状は半衿カバー本体(2k)の生地の特性や組織形状を活かせて、臨機応変に対応できる今までになかった半衿カバー(2)である。この半衿カバーは和装下着に使用する場合について紹介したが、和服の衿カバーとしても使用できる。使用した場合の写真を
図26に示す。