(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165527
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】情報処理サーバ、情報処理方法、記憶媒体及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241121BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0645
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081800
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直生
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】電動車両の購入者のための、価格を抑制した代替車両の貸出を実現することが可能になる。
【解決手段】本開示に係る情報処理サーバは、電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両と、第1種別の車両の購入者とを関連付けて登録する登録手段と、第1種別の車両の購入者による要求に応じて第2種別の車両に対する貸出予約を設定する予約設定手段であって、第2種別の車両は走行のために外部の供給装置からの給油を要する、予約設定手段と、購入者に対する第2種別の車両の貸出価格であって、第1種別の車両の利用に応じた割引を含んだ貸出価格を決定する決定手段と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両と、前記第1種別の車両の購入者とを関連付けて登録する登録手段と、
前記第1種別の車両の購入者による要求に応じて第2種別の車両に対する貸出予約を設定する予約設定手段であって、前記第2種別の車両は走行のために外部の供給装置からの給油を要する、予約設定手段と、
前記購入者に対する前記第2種別の車両の貸出価格であって、前記第1種別の車両の利用に応じた割引を含んだ前記貸出価格を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする情報処理サーバ。
【請求項2】
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記第1種別の車両が移動手段として前記購入者以外の他のユーザに貸し出されたことに応じた割引を含む、前記貸出価格を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記第1種別の車両が蓄電池として前記購入者以外の他のユーザに貸し出されたことに応じた割引を含む、前記貸出価格を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項4】
前記決定手段は、貸出予約を設定する前の所定期間内に前記第1種別の車両の走行によって軽減された環境負荷に応じた額の割引を含む、前記貸出価格を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項5】
前記決定手段は、前記第1種別の車両が前記購入者以外の他のユーザに貸し出された後の所定期間内に、当該他のユーザが新たに前記登録手段に登録された場合、前記購入者による第2種別の車両に対する次の貸出予約の際に追加の割引を付与する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項6】
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記購入者が前記第1種別の車両のメンテナンスを含むサービスを利用した場合、貸出価格とサービスの利用代金との総額から前記サービスを利用したことに応じた割引を差し引く、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項7】
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内における前記第1種別の車両の利用に応じた割引と、前記第2種別の車両の貸出期間より前における前記第1種別の車両の利用に関連した割引と、前記第2種別の車両の貸出期間より後に生じたイベントに応じた割引と、のうちの少なくとも2つ以上を合算した割引を含む、前記貸出価格を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項8】
前記購入者が希望する前記第1種別の車両の利用用途を設定する用途設定手段を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項9】
前記第1種別の車両の利用用途は、前記第1種別の車両を蓄電池として利用する利用用途を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理サーバ。
【請求項10】
予約設定手段は、前記第2種別の車両の貸出要求を貸出業者の管理する情報処理装置に送信した後に前記情報処理装置から受信する貸出可能な前記第2種別の車両の情報に基づいて、前記購入者に対する前記第2種別の車両に対する貸出予約を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項11】
予約設定手段は、前記購入者による前記第2種別の車両に対する貸出予約を、前記第1種別の車両を購入していないユーザによる前記第2種別の車両に対する貸出予約より優先的に設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理サーバ。
【請求項12】
情報処理サーバにおいて実行される情報処理方法であって、
電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両と、前記第1種別の車両の購入者とを関連付けて登録する登録工程と、
前記第1種別の車両の購入者による要求に応じて第2種別の車両に対する貸出予約を設定する予約設定工程であって、前記第2種別の車両は走行のために外部の供給装置からの給油を要する、予約設定工程と、
前記購入者に対する前記第2種別の車両の貸出価格であって、前記第1種別の車両の利用に応じた割引を含んだ前記貸出価格を決定する決定工程と、を備える情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理サーバの各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理サーバの各手段として機能させるためのプログラムを格納する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理サーバ、情報処理方法、記憶媒体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数台の車両を配車する配車システムが知られている(特許文献1)。特許文献1で提案される配車システムは、各車両の用途及び種類別に走行距離を記録する車両データベースを有し、記録されている用途及び種類別の走行距離に基づいて、車両を配車する順位を決定する。このような配車システムでは、車両の使用状況の偏りを低減し、安全性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガソリンなどの化石燃料を使用して走行する車両(単にガソリン車ともいう)に代わる種別の車両として、電動車両が普及しつつある。電動車両は、走行に必要な電力を蓄電するために、外部の充電装置からの充電を必要とする場合がある。近年の電動車両の使用について、通勤や街乗りなどの日常的な使用におけるバッテリの残電力不足を懸念するユーザは減少しつつある。しかし、渋滞に巻き込まれる可能性のある長距離移動での使用や充電設備の少ない地方での使用に不安を感じるユーザもいる。レンタカーを利用することも考えられるが、大型連休などの特定の時期にはレンタカーの需要が増大し、レンタル価格の高騰等が懸念される。このような背景のもと、電動車両の購入者が必要なときにガソリン車などの代替車両の貸出を安価に受けることができるサービスが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、電動車両の購入者のための、価格を抑制した代替車両の貸出を実現することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両と、前記第1種別の車両の購入者とを関連付けて登録する登録手段と、
前記第1種別の車両の購入者による要求に応じて第2種別の車両に対する貸出予約を設定する予約設定手段であって、前記第2種別の車両は走行のために外部の供給装置からの給油を要する、予約設定手段と、
前記購入者に対する前記第2種別の車両の貸出価格であって、前記第1種別の車両の利用に応じた割引を含んだ前記貸出価格を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする情報処理サーバが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電動車両の購入者のための、価格を抑制した代替車両の貸出を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両貸出システムの一例を示す図
【
図2】実施形態に係る情報処理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図3】実施形態に係る情報処理サーバの機能構成例を示すブロック図
【
図4】実施形態に係る情報処理サーバに登録される購入者のデータの一例を示す図
【
図5】実施形態に係る情報処理サーバに登録される購入者のデータの一例を示す図
【
図6】実施形態に係る貸出価格設定処理の一連の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<情報処理システムの構成>
図1を参照して、本実施形態に係る車両貸出システム100の構成について説明する。車両貸出システム100は、例えば、情報処理サーバ110と、情報処理装置120と、通信装置130とを含む。
【0011】
情報処理サーバ110は、1つ以上のサーバで構成される。情報処理サーバ110は、例えば、電動車両を販売する車両販売業者によって管理され得る。電動車両は、電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両である。情報処理サーバ110は、電動車両を購入した購入者(オーナー)に対して、1から数日の期間にわたって電動車両とは異なる第2種別の車両を貸し出すサービスを提供することができる。第2種別の車両は、走行のために外部の供給装置からの化石燃料の供給(すなわち給油)を要する車両(単にガソリン車ともいう)である。なお、以下の説明では、第2種別の車両がガソリン車である場合を例に説明するが、第2種別の車両はガソリン車に限らず、ハイブリッド車を含んでよい。電動車両の購入者は、休暇等において長距離運転を行う際や給電装置の少ない地方への運転のために、車両販売業者からガソリン車の貸出を受けることができる。購入者は、例えば、自身が保有する電動車両を車両販売業者に預けることで、(ガソリン車の)貸出費用に対して、電動車両の利用に応じた割引を得ることができる。すなわち、電動車両の購入者は、車両販売業者によるガソリン車の貸出サービスを利用することで、価格を抑制した代替車両の貸出を受けることができる。
【0012】
情報処理装置120は、1つ以上のサーバで構成される。情報処理装置120は、例えば、電動車両やガソリン車の貸出サービスを提供する車両貸出業者によって管理され得る。車両貸出業者は、例えば、車両販売業者を介して、車両貸出業者が管理するガソリン車を電動車両の購入者に提供することができる。また、車両貸出業者は、例えば、車両販売業者を介して、購入者の電動車両を預かり、第三者に当該電動車両を貸し出すことができる。情報処理装置120は、第三者への電動車両やガソリン車の貸出サービスの予約、情報処理サーバ110への貸出可能なガソリン車の情報の提供、貸出サービスの決済などの処理を行う。
【0013】
通信装置130は、例えばスマートフォンであるが、これに限らず、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、ウェアラブルデバイスなどを含んでよい。通信装置130は、携帯通信網などのネットワークを介して情報処理サーバ110と通信することができる。通信装置130は、例えば、電動車両の購入者が、車両販売業者による貸出サービスを利用するために用いられる。電動車両の購入者は、通信装置130に、当該貸出サービスを受ける日程や、自身が希望する電動車両の利用用途などを入力することができる。通信装置130は、入力された、貸出サービスを受ける日程や電動車両の利用用途などを情報処理サーバ110に送信する。
【0014】
なお、本実施形態では、情報処理サーバ110と情報処理装置120とが別個の装置である場合を例に説明するが、情報処理サーバ110が情報処理装置120の機能を備えてもよい。すなわち、車両販売業者が管理する情報処理サーバ110が、第三者への電動車両やガソリン車の貸出サービスを提供するように構成されてもよい。
【0015】
<情報処理サーバ110の構成>
次に、
図2を参照して、情報処理サーバ110のハードウェアの構成例について説明する。なお、以降の図を参照して説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0016】
制御部201は、中央演算装置を含むプロセッサ211とメモリ212とを含む。プロセッサ211とメモリ212は、それぞれが1つ以上であってよい。制御部201は、記憶部204に記憶されたコンピュータプログラムをメモリ212に展開、実行することにより、
図3で後述する制御部201の各部の動作を制御したり、情報処理サーバ110の各部の動作を制御したりする。また、制御部201は、後述の貸出価格設定処理を実行する。メモリ212は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、制御部201がコンピュータプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。
【0017】
電源部202は、情報処理サーバ110の各部に電力を供給する。通信部203は、ネットワークを介して外部装置と通信するための、例えば通信回路或いは通信モジュールを含む。
【0018】
記憶部204は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記録媒体を含み、情報処理サーバ110の動作に必要な設定値やコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶部204は、貸出価格設定処理に必要な種々のデータを格納するデータベース310を含む。
【0019】
<情報処理サーバ110の機能構成例>
図3を参照して、情報処理サーバ110の機能構成例について説明する。情報処理サーバ110の各機能は、例えば、プロセッサ211が記憶部204に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現され得る。
【0020】
購入者登録部301は、例えば車両販売業者の作業者等の入力に用いる通信端末(不図示)からの入力情報に基づいて、電動車両(すなわち第1種別の車両)と電動車両の購入者とを関連付けて、データベース310の購入者情報311に登録する。
【0021】
貸出予約設定部302は、例えば通信装置130から送信される電動車両の購入者(オーナー)による要求を取得し、当該要求に応じてガソリン車に対する貸出予約を設定する。貸出予約設定部302は、後述の車両情報取得部303によって情報処理装置120から取得される貸出可能なガソリン車の情報に基づいて、電動車両の購入者のための、ガソリン車に対する貸出予約を設定する。
【0022】
貸出予約設定部302は、ガソリン車の貸出予約を、購入者情報311に登録されていないユーザから受け付けてもよい。但し、貸出予約設定部302は、購入者によるガソリン車の貸出予約を、購入者でないユーザによるガソリン車の貸出予約より優先的に設定するようにしてもよい。例えば、貸出予約設定部302は、電動車用の購入者(オーナー)によるガソリン車の需要を予測するように予め学習させた学習モデルを用いて、ガソリン車の需要を予測し、予測結果に基づいて、車両貸出業者の情報処理装置120に対してガソリン車の確保を要求するようにしてもよい。車両貸出業者の情報処理装置120に対してガソリン車の確保を要求することで、購入者からガソリン車の貸出予約を受け付けた場合に、電動車両の購入者に対してガソリン車の貸出予約を優先的に設定することができる。
【0023】
車両情報取得部303は、車両貸出業者が管理する情報処理装置120に対してガソリン車の貸出要求を送信し、その後、情報処理装置120から貸出可能なガソリン車の情報を受信する。
【0024】
割引決定部304は、ガソリン車を貸し出している間の、電動車両の利用に応じた割引料金を決定する。割引決定部304は、割引を様々な方法で決定することができる。なお、以下の説明ではガソリン車の貸出料金に対する割引について説明している。しかし、貸出料金に対する割引に限定されず、貸出料金の実質的な割引に相当する特典を電動車両の購入者(オーナー)に付与してもよい。例えば、特典は、金銭的な価値に換算可能な特典である。
【0025】
割引決定部304は、例えば、ガソリン車の貸出期間内に、(車両貸出業者を介して)電動車両が移動手段として購入者以外の他のユーザ(第三者)に貸し出された場合、当該貸出に応じた料金を割引として決定することができる。このような割引を設定することにより、ガソリン車の貸出料金の割引を得ることができ、特定の時期に車両の貸出料金が高騰する影響を軽減することができる。すなわち、電動車両を利用する動機を増大させることができる。
【0026】
また、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間内に、(車両販売業者を介して)電動車両が蓄電池として購入者以外の他のユーザ(第三者)に貸し出された場合、当該貸出に応じた料金を割引として決定することができる。貸出に応じた料金は、電動車両の購入者が当該電動車両に充電していた電気を、第三者が使用した電力の量に応じて決定されてもよい。このような割引を設定することにより、ガソリン車の貸出料金の割引を得ることができるとともに、増大する電力需要の緩和に電動車両を利用することができる。
【0027】
また、電動車両の購入者が太陽光発電によって得られた電力を用いて当該電動車両に充電を行っている場合、割引決定部304は、太陽光発電によって得られる電力を用いて充電を行っていない場合よりも、高い割引料金を設定することができる。なお、電動車両の購入者の情報に、当該購入者が太陽光発電を用いて電動車両を充電していることを示す情報を予め設定しておき、割引決定部304は、当該情報を参照することにより、太陽光を用いていない場合よりも高い割引料金を設定することができる。このような割引を設定することにより、ガソリン車の貸出料金の割引を得ることができるとともに、クリーンエネルギーを利用する動機付けを与えることができる。
【0028】
上述の割引の例では、ガソリン車の貸出期間における電動車両の利用に応じて、割引を決定する場合を例に説明した。しかし、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間より前における電動車両の利用に関連して割引を決定してもよい。割引決定部304は、例えば、貸出予約を設定する前の所定期間内に電動車両の走行によって軽減された環境負荷に応じた料金を割引として決定することができる。例えば、割引決定部304は、電動車両が単位走行距離を走行するごとに、どれだけの環境負荷を軽減するか及びその金銭的価値を予め定めておき、所定期間内の電動車両の走行距離に応じて、その金銭的価値を割引として算出することができる。このような割引を設定することにより、購入後の電動車両の利用度合いに応じて、貸出料金の割引を得ることができ、電動車両を利用する動機を増大させることができる。
【0029】
また、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間の後に生じたイベントに応じて、電動車両の購入者(オーナー)にインセンティブを与えてもよい。例えば、割引決定部304は、電動車両が購入者以外の他のユーザに貸し出された後の所定期間内に、当該他のユーザが新たに購入者として購入者登録部301によりデータベース310に登録された(例えば電動車両を購入した)場合に、電動車両を貸し出した購入者にインセンティブを与えることができる。割引決定部304は、例えば、電動車両を貸し出した購入者による次のガソリン車の貸出予約の際に、追加の割引(インセンティブ)を付与することができる。
【0030】
更に、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間に、電動車両の購入者が(電動車両を貸し出す代わりに)車両販売業者によるメンテナンス等のサービスを受けた場合にも、サービス内容に応じた割引を適用してもよい。すなわち、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間内に、購入者が電動車両のメンテナンスを含むサービスを利用した場合、貸出価格とサービスの利用代金との総額に対して、サービスを利用したことに応じた割引を決定してもよい。
【0031】
上述の割引決定部304の例では、いずれか1つの方法で割引を決定する場合を例に説明した。しかし、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間における電動車両の利用に応じた割引と、ガソリン車の貸出期間より前における電動車両の利用に関連した割引と、ガソリン車の貸出期間の後に生じたイベントに応じた割引との少なくとも2つ以上を合算した割引を決定してもよい。このようにすれば、様々な電動車両の利用態様によって、より多くの割引を電動車両の購入者に提供することができる。
【0032】
貸出価格決定部305は、割引決定部304によって決定された割引を、予め定められたガソリン車の貸出料金から差し引くことにより、電動車両の購入者に対する最終的な貸出価格を決定する。
【0033】
データベース310に格納される購入者情報311は、例えば、
図4に示すように、購入者の識別情報である購入者ID401と関連付けられている。購入者情報311は、例えば、購入者情報402と電動車両情報403と含む。
【0034】
購入者情報402は、電動車両の購入者に関する情報を含み、購入者名、購入者の住所、購入者の決済用の情報(不図示)等の情報を含む。電動車両情報403は、購入者が保有する電動車両の情報であり、一例として、車種、年式、バッテリ容量などの情報を含む。購入者情報402は、更に、購入者が太陽光発電(クリーンエネルギー)を用いて電動車両を充電する場合に、太陽光発電を用いて電動車両を充電していることを示す情報を含んでよい。
【0035】
貸出予約情報312は、
図5に示すように、予約ID501と、利用者ID502と、利用開始日503と、利用終了日504と、貸出車両505と、電動車両の貸出用途506と、貸出料金507とを含む。予約ID501は、ガソリン車の貸出に対する予約に対する識別子である。利用者ID502は、電動車の購入者(オーナー)の識別子を示す。利用開始日503は、ガソリン車の貸出の開示日を示す。利用終了日504は、ガソリン車の貸出の終了日を示す。貸出車両505は、貸出対象となるガソリン車の識別子を示す。電動車両の貸出用途506は、電動車両の購入者によって指定される貸出用途(すなわち利用用途)であり、移動手段或いは蓄電池を含む。貸出料金507は、利用開始日から利用終了日までの間に貸出車両の貸出を受けた際の、予め定められた料金であり、上述した割引決定部304による割引を含まない料金である。
【0036】
<情報処理サーバ110における貸出価格設定処理の一連の動作>
次に、情報処理サーバ110における貸出価格設定処理の一連の動作について、
図6を参照して説明する。なお、本処理は、制御部201のプロセッサ211が記憶部204に記憶されるコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0037】
S601において、購入者登録部301は、電動車両の購入者と電動車両とを関連付けてデータベース310に登録する。例えば、購入者登録部301は、車両販売業者の作業者等の入力に用いる通信端末(不図示)からの入力情報に基づいて、電動車両と電動車両の購入者とを関連付けて、購入者情報311に登録する。
【0038】
S602において、貸出予約設定部302は、通信装置130から、給油を要する車両の貸出予約に関する情報を取得する。貸出予約設定部302は、例えば、通信装置130から送信される、電動車両の購入者(オーナー)による要求を取得し、当該要求に含まれるガソリン車に対する貸出予約の利用開始日、利用終了日、希望する貸出車両などの情報を取得する。また、車両情報取得部303は、車両貸出業者が管理する情報処理装置120に対してガソリン車の貸出要求を送信し、情報処理装置120から貸出可能なガソリン車の情報を受信する。貸出予約設定部302は、車両情報取得部303によって情報処理装置120から取得された貸出可能なガソリン車の情報に基づいて、電動車両の購入者のための、ガソリン車に対する貸出予約を設定する。このとき、貸出予約設定部302は、貸出可能なガソリン車の情報を通信装置130に送信して、貸出可能なガソリン車の中から電動車両の購入者(オーナー)が希望するガソリン車の指定を取得しても良い。
【0039】
S603において、貸出予約設定部302は、電動車両の貸出用途506を含む第三者への電動車両の貸出を設定する。貸出予約設定部302は、例えば、通信装置130から電動車両の購入者(オーナー)による電動車両の貸出用途の指定を取得して、電動車両の貸出用途506に設定する。
【0040】
S604において、貸出予約設定部302は、電動車両の購入者(オーナー)へのガソリン車の貸出予約を設定する。例えば、貸出予約設定部302は、S602及びS603で取得した各情報を、データベース310の貸出予約情報312に設定する。
【0041】
S605において、割引決定部304は、貸出期間が終了したかを判定する。例えば、割引決定部304は、現在時刻が貸出予約情報312の利用終了日504を経過したかを判定し、現在時刻が利用終了日504を経過している場合には、貸出期間を終了したと判定して処理をS606に進め、そうでない場合にS606に処理を戻す。
【0042】
S606において、割引決定部304は、割引算出に必要な情報を取得して、電動車両の利用に応じた割引を決定する。上述のように、割引決定部304は、例えば、ガソリン車の貸出期間内に、(車両貸出業者を介して)電動車両が移動手段として購入者以外の他のユーザ(第三者)に貸し出された場合、当該貸出に応じた料金を割引として決定することができる。割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間内に、電動車両が移動手段として第三者に貸し出されなかった場合、割引が無いものとする。なお、割引決定部304の処理は上述の例に限らず、例えば、電動車両の購入者が、ガソリン車の貸出期間内に電動車両の貸出を承諾した場合に所定の料金を割引として決定し、更に、承諾後に電動車両が移動手段として実際に貸し出された場合に追加の料金を割引に上乗せするようにしてもよい。
【0043】
割引決定部304は、例えば、車両貸出業者の情報処理装置120から、電動車両が移動手段として貸し出されたことによる手数料の額を取得し、当該手数料の額を割引として決定する。また、割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間内に、電動車両が蓄電池として購入者以外の他のユーザ(第三者)に貸し出された場合、当該貸出に応じた料金を割引として決定する。貸出に応じた料金は、電動車両の購入者が当該電動車両に充電していた電気を、第三者が使用した電力の量に応じて決定されてもよい。割引決定部304は、ガソリン車の貸出期間内に、電動車両が蓄電池として第三者に貸し出されなかった場合、割引が無いものとする。なお、割引決定部304は、これら以外にも、電動車両の走行によって軽減された環境負荷に応じた額の割引など、上述した他の割引の決定を行うことができる。
【0044】
S607において、割引決定部304は、電動車両の利用に応じた割引がある場合にはS608に処理を進め、そうでない場合にはS609に処理を進める。
S608において、貸出価格決定部305は、割引決定部304で決定された割引を、予め定められたガソリン車の貸出料金(貸出料金507)から差し引くことにより、電動車両の購入者に対する最終的な貸出価格を決定する。S609において、貸出価格決定部305は、差し引く割引が無いため、予め定められたガソリン車の貸出料金(貸出料金507)を最終的な貸出価格として決定する。制御部201は、S608又はS609の処理が終了すると、本一連の動作を終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、情報処理サーバ110は、走行のために外部の充電装置からの充電を要する電動車両と、電動車両の購入者とを関連付けてデータベース310に登録し、当該電動車両の購入者による要求に基づき、ガソリン車に対する貸出予約を設定するようにした。そして、電動車両の購入者(オーナー)に対して、電動車両の利用に応じた割引を含んだガソリン車の貸出価格を決定するようにした。このようにすることで、電動車両の購入者は、休暇等において長距離運転を行う際や給電装置の少ない地方への運転のために、車両販売業者からガソリン車の貸出を受けることができる。購入者は、例えば、第三者に自身が保有する電動車両の利用してもらうことで、(ガソリン車の)貸出費用に対して、電動車両の利用に応じた割引を得ることができる。換言すれば、電動車両の購入者は、価格を抑制した代替車両の貸出を受けることができる。
【0046】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の情報処理サーバ(例えば、110)は、
電力により走行し、当該走行のために外部の充電装置からの充電を要する第1種別の車両と、前記第1種別の車両の購入者とを関連付けて登録する登録手段(例えば、301)と、
前記第1種別の車両の購入者による要求に応じて第2種別の車両に対する貸出予約を設定する予約設定手段であって、前記第2種別の車両は走行のために外部の供給装置からの給油を要する、予約設定手段(例えば、302)と、
前記購入者に対する前記第2種別の車両の貸出価格であって、前記第1種別の車両の利用に応じた割引を含んだ前記貸出価格を決定する決定手段(例えば、304、305)と、を備える。
【0047】
この実施形態によれば、電動車両の購入者は、休暇等において長距離運転を行う際や給電装置の少ない地方への運転のために、車両販売業者からガソリン車の貸出を受けることができる。ガソリン車の貸出料金の割引を得ることができ、特定の時期に車両の貸出料金が高騰する影響を軽減することができる。すなわち、電動車両の購入者は、価格を抑制した代替車両の貸出を受けることができる。ひいては、電動車両を利用する動機を増大させることができる。
【0048】
2.上記実施形態では、
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記第1種別の車両が移動手段として前記購入者以外の他のユーザに貸し出されたことに応じた割引を含む、前記貸出価格を決定する。
【0049】
この実施形態によれば、購入者は、第三者に自身が保有する電動車両の利用してもらうことで、(ガソリン車の)貸出費用に対して、電動車両の利用に応じた割引を得ることができる。
【0050】
3.上記実施形態では、
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記第1種別の車両が蓄電池として前記購入者以外の他のユーザに貸し出されたことに応じた割引を含む、前記貸出価格を決定する。
【0051】
この実施形態によれば、ガソリン車の貸出料金の割引を得ることができるとともに、増大する電力需要の緩和に電動車両を利用することができる。
【0052】
4.上記実施形態では、
前記決定手段は、貸出予約を設定する前の所定期間内に前記第1種別の車両の走行によって軽減された環境負荷に応じた額の割引を含む、前記貸出価格を決定する。
【0053】
この実施形態によれば、このような割引を設定することにより、購入後の電動車両の利用度合いに応じて、貸出料金の割引を得ることができ、電動車両を利用する動機を増大させることができる。
【0054】
5.上記実施形態では、
前記決定手段は、前記第1種別の車両が前記購入者以外の他のユーザに貸し出された後の所定期間内に、当該他のユーザが新たに前記登録手段に登録された場合、前記購入者による第2種別の車両に対する次の貸出予約の際に追加の割引を付与する。
【0055】
この実施形態によれば、電動車両を第三者に貸し出すインセンティブを購入者に与え、電動車両の貸し出しを促進することができる。
【0056】
6.上記実施形態では、
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内に、前記購入者が前記第1種別の車両のメンテナンスを含むサービスを利用した場合、貸出価格とサービスの利用代金との総額から前記サービスを利用したことに応じた割引を差し引く。
【0057】
この実施形態によれば、電動車両を利用していない間に定期点検やメンテナンスを利用することができ、電動車両の購入者は、普段使用する際に電動車両が定期点検等によって使用できなくなる不都合を軽減することができる。
【0058】
7.上記実施形態では、
前記決定手段は、前記第2種別の車両の貸出期間内における前記第1種別の車両の利用に応じた割引と、前記第2種別の車両の貸出期間より前における前記第1種別の車両の利用に関連した割引と、前記第2種別の車両の貸出期間より後に生じたイベントに応じた割引と、のうちの少なくとも2つ以上を合算した割引を含む、前記貸出価格を決定する。
【0059】
この実施形態によれば、様々な電動車両の利用態様によってより多くの割引を、電動車両の購入者に提供することができる。
【0060】
8.上記実施形態では、
前記購入者が希望する前記第1種別の車両の利用用途を設定する用途設定手段を更に有する。
【0061】
この実施形態によれば、電動車両の購入者(オーナー)は割引を得るための利用態様を所望に設定することができる。
【0062】
9.上記実施形態では、
前記第1種別の車両の利用用途は、前記第1種別の車両を蓄電池として利用する利用用途を含む。
【0063】
この実施形態によれば、増大する電力需要の緩和に電動車両を利用することができる。
【0064】
10.上記実施形態では、
予約設定手段は、前記第2種別の車両の貸出要求を貸出業者の管理する情報処理装置に送信した後に前記情報処理装置から受信する貸出可能な前記第2種別の車両の情報に基づいて、前記購入者に対する前記第2種別の車両に対する貸出予約を設定する。
【0065】
この実施形態によれば、貸出業者によって管理される貸出可能な車両に対して貸出予約を設定することができる。
【0066】
11.上記実施形態では、
予約設定手段は、前記購入者による前記第2種別の車両に対する貸出予約を、前記第1種別の車両を購入していないユーザによる前記第2種別の車両に対する貸出予約より優先的に設定する。
【0067】
この実施形態によれば、特定の時期に車両の貸出を受けやすくなり、ひいては、電動車両を利用する動機を増大させることができる。
【0068】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
110…情報処理サーバ、120…情報処理装置、301…購入者登録部、302…貸出予約設定部、303…車両情報取得部、304…割引決定部、305…貸出価格決定部