(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016553
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20240131BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B05B11/00 101K
B65D47/34 110
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118770
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】591223482
【氏名又は名称】株式会社ライフプラテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一行
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA02
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084KA20
3E084KB01
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】 吐出停止時に吐出ノズル内の残留液を減少できかつ引き戻すことができるようにする。
【解決手段】 アキュムレータ3と、アキュムレータの上部を固定するコンテナキャップ4と、ピストン部5aとピストン軸部5bとを有するピストンシャフト5と、ピストン軸部5bに嵌合しかつアキュムレータの上端部に装着されてアキュムレータの上端開口を封鎖するアッパキャップ6と、吐出ノズル7を有していてピストンシャフト5の上端に装着されたポンプヘッド8と、ピストンシャフト5の上でポンプヘッド8の押圧によりアキュムレータ内の液体を吐出ノズル7へ流出することを許容しかつポンプヘッド8の上昇により液体の流動を規制する逆止弁9とを備える。前記逆止弁9の上方側に逆止弁9のボール弁体12を共用して吐出ノズル7への吐出量を絞る絞り弁11を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部(Ya)から容器(Y)内に挿入されたアキュムレータ(3)と、容器口部(Ya)に装着されてアキュムレータ(3)の上部を固定するコンテナキャップ(4)と、アキュムレータ(3)内に摺動自在に挿入されていてピストン部(5a)とピストン軸部(5b)とを有するピストンシャフト(5)と、前記ピストン軸部(5b)に嵌合しかつアキュムレータ(3)の上端部に装着されてアキュムレータ(3)の上端開口を封鎖するアッパキャップ(6)と、吐出ノズル(7)を有していてピストンシャフト(5)の上端に装着されたポンプヘッド(8)と、ピストンシャフト(5)の上部でポンプヘッド(8)の押圧によりアキュムレータ(3)内の液体を吐出ノズル(7)へ流出することを許容しかつポンプヘッド(8)の上昇により液体の流動を規制する逆止弁(9)とを備えており、
前記逆止弁(9)の上方側に逆止弁(9)のボール弁体(12)を共用して吐出ノズル(7)への吐出量を絞る絞り弁(11)を設けていることを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記逆止弁(9)は円錐孔形状の弁座(9a)と、この弁座(9a)に当接するボール弁体(12)とを有し、前記絞り弁(11)は前記ボール弁体(12)が当接可能な円錐孔形状の弁座(11a)に絞られた液体が流れるスリット(S)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記絞り弁(11)は、円錐孔形状の弁座(11a)に、孔大径側から孔小径側へ延びるスリット(S)が周方向等間隔に複数本形成されていることを特徴とする請求項2に記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記ポンプヘッド(8)は、外套部(15a)から吐出ノズル(7)を突出した押圧ヘッド(15)と、この押圧ヘッド(15)の外套部(15a)内に装着されたアダプタヘッド(16)とを有しており、前記アダプタヘッド(16)は、アッパキャップ(6)の上部に締結可能な締結部(16a)と、ピストン軸部(5b)の上部に嵌合してピストン軸部(5b)から吐出ノズル(7)までの流路を形成する流路接続部(16b)とが形成されており、この流路接続部(16b)内に前記絞り弁(11)が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポンプディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプやリンスの液体を貯留した容器に取り付けられるポンプディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなポンプディスペンサ(ポンプと略称されることもある。)の従来技術として、特許文献1(特開2002-192026号公報)のポンプがある。
【0003】
この従来技術は、容器内の口部に設置され内部に内容液を貯溜するアキュームレータ室を備えたポンプ本体と、このポンプ本体内に往復動可能に装着され前記アキュームレータ室の容積を拡縮するピストンと、このピストンに連設され吐出ノズル部と内容液流路が形成された操作部材と、前記アキュームレータ室と前記容器との間に設けられる吸込弁機構と、前記内容液流路と前記吐出ノズル部との間に設けられる吐出弁機構と、前記ピストンを前記アキュームレータ室の容積を拡大する方向に付勢する付勢手段とを備え、前記操作部材の押し込み動作と付勢手段による付勢力とで往復動作する前記ピストンにより前記アキュームレータ室内に吸い込んだ内容液を前記吐出ノズル部から吐出するポンプであって、前記操作部材に当接してピストンの上死点位置を規制するアッパーキャップを前記ポンプ本体のアキュームレータ室内側に設け、このアッパーキャップで規制された前記ピストンより上方の前記アキュームレータ室に前記容器内と連通する連通孔を形成する一方、前記アッパーキャップと前記操作部材との当接部に、前記操作部材と前記アッパーキャップとの摺動間隙を介して外部と連通させるスリットを形成している(請求項1)。
【0004】
そして、このポンプによれば、操作部材の押し込み動作と付勢手段による付勢力とで往復動作するピストンによりアキュームレータ室内に吸い込んだ内容液を吐出ノズル部から吐出するポンプで、前記操作部材に当接してピストンの上死点位置を規制するアッパーキャップをポンプ本体のアキュームレータ室内側に設け、このアッパーキャップで規制された前記ピストンより上方の前記アキュームレータ室に前記容器内と連通する連通孔を形成する一方、前記アッパーキャップと前記操作部材との当接部に、前記操作部材と前記アッパーキャップとの摺動間隙を介して外部と連通させるスリットを形成するようにしており、温度上昇による容器内圧の上昇をアキュームレータ室の連通孔、操作部材とアッパキャップとの当接部のスリットおよび摺動間隙を介して外部と連通させることができ、内容液の加圧を防止して液だれの発生を防ぐことができる(発明の効果)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術は、温度上昇による容器内圧の上昇をアキュームレータ室の連通孔、操作部材とアッパキャップとの当接部のスリットおよび摺動間隙を介して外部と連通させることができ、内容液の加圧を防止して液だれの発生を防ぐようにしている。これは有効な技術であるが、内容液の吐出を停止したときに、吐出弁機構から吐出ノズル部内までに未吐出の内容液が残留しており、この残留液が液だれとなることがあり、このような液だれを防止することは困難になっている。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたポンプディスペンサを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、ピストンシャフト内の逆止弁と対向して液吐出後半に吐出ノズルへの吐出量を絞る絞り弁を設けることにより、吐出ノズル内の残留液を減少できかつ引き戻すことのできるポンプディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における課題解決のための具体的手段は、容器口部Yaから容器Y内に挿入されたアキュムレータ3と、容器口部Yaに装着されてアキュムレータ3の上部を固定するコンテナキャップ4と、アキュムレータ3内に摺動自在に挿入されていてピストン部5aとピストン軸部5bとを有するピストンシャフト5と、前記ピストン軸部5bに嵌合しかつアキュムレータ3の上端部に装着されてアキュムレータ3の上端開口を封鎖するアッパキャップ6と、吐出ノズル7を有していてピストンシャフト5の上端に装着されたポンプヘッド8と、ピストンシャフト5の上でポンプヘッド8の押圧によりアキュムレータ3内の液体を吐出ノズル7へ流出することを許容しかつポンプヘッド8の上昇により液体の流動を規制する逆止弁9とを備えており、前記逆止弁9の上方側に逆止弁9のボール弁体12を共用して吐出ノズル7への吐出量を絞る絞り弁11を設けている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐出停止時に吐出ノズル内の残留液を減少できかつ引き戻すことができる。
【0011】
即ち、本発明は、絞り弁11は逆止弁9のボール弁体12を共用することにより、ボール弁体12が絞り弁11に当接して吐出時後半の吐出を穏やかにでき、その吐出後にボール弁体12が絞り弁11から落下することにより、吐出ノズル内の残留液を減少しかつ引き戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態を示す押圧前のヘッドアップ時の断面図である。
【
図3】ヘッド押圧完了のヘッドダウン時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1~8において、シャンプ又はリンス等の液体を貯留した容器Yに取り付けられるポンプディスペンサ1の実施形態を示している。
【0015】
このポンプディスペンサ1は大別して、アキュムレータ3と、コンテナキャップ4と、ピストン部5a及びピストン軸部5bを有するピストンシャフト5と、アッパキャップ6と、吐出ノズル7を有するポンプヘッド8と、ピストンシャフト5の上部内の逆止弁9と、逆止弁9の上方側の絞り弁11とを備えており、アキュムレータ3の下部内に、シール弁18と、ピストンシャフト5を上向き付勢する付勢部材19とが設けられている。
【0016】
前記アキュムレータ3は筒形状の本体の上部外周にフランジ部3aを有している。アキュムレータ3は、本体を容器口部Yaから容器Y内に挿入し、フランジ部3aを容器口部Yaの上面にパッキン21を介して当接し、コンテナキャップ4を容器口部Yaの雄ネジに螺合するすることにより、容器Yに対して固定される。
【0017】
アキュムレータ3の下部は上部より小径に形成され、その内部にシール弁18のシール弁座18aが形成され、このシール弁座18aにシール弁体23の吸入弁体部23aが接離自在に当接している。
【0018】
前記シール弁座18aと吸入弁体部23aとは、ピストンシャフト5が上昇するときに、容器Y内の液体をアキュムレータ3内に吸引されるのを許容し、ピストンシャフト5が下降するときに、アキュムレータ3内の液体が容器Y内に逆戻りするのを規制する。
【0019】
シール弁体23は吸入弁体部23aの上側に封止弁体部23bが形成されている。この封止弁体部23bはピストンシャフト5を最下位まで下げているとき(ポンプディスペンサを液吐出に使用する前の保存・梱包状態のとき)、封止弁体部23bにピストンシャフト5が嵌合し、容器Y内の液体がピストンシャフト5内に流れないように、吸入弁体部23aとともに2段封止を行うようにしている。
【0020】
付勢部材19は封止弁体部23bを取り囲むようなコイルバネで形成され、シール弁18を下向きに付勢し、ピストンシャフト5を上向き付勢しており、ピストンシャフト5を下向き押動した後の上昇復元力を発生するものである。
【0021】
前記アッパキャップ6は、ピストン軸部5bに嵌合しかつアキュムレータ3の上端部に装着されてアキュムレータ3の上端開口を封鎖している。このアッパキャップ6は下面に、アキュムレータ3の上端部の内周面に密着する内接筒部6aと、この内接筒部6aの径外側でアキュムレータ3の上端部の外周に嵌合装着される外装筒部6bとが形成されている。アッパキャップ6の外装筒部6bはアキュムレータ3のフランジ部3aとともにコンテナキャップ4を挟むことにより、3者は相互に固定される。
【0022】
アッパキャップ6のピストン軸部5bに嵌合している部分には、雄ネジ部6cが上方突出形状に形成されている。この雄ネジ部6cはポンプヘッド8の雌ネジが螺合可能であり、
図1仮想線で示すように、ポンプヘッド8を雄ネジ部6cに螺合すると、ピストンシャフト5は最下位まで下がり、ピストンシャフト5が封止弁体部23bに嵌合した状態となる。これがポンプディスペンサを液吐出に使用する前の保存・梱包状態となる。
【0023】
従って、ポンプディスペンサ1を使用するときは、前記保存・梱包状態からポンプヘッド8を回して雄ネジ部6cから螺合解除し、付勢部材19の反発力でポンプヘッド8をヘッドアップ状態(
図1実線で示す状態)にする。
【0024】
前記ピストンシャフト5は、円筒状のピストン軸部5bと、このピストン軸部5bの下部の外周に設けたピストン部5aとを有し、ピストン部5aはアキュムレータ3の内周面に摺接しており、コンテナキャップ4に近い高さからシール弁体23に近い高さまで摺動可能になっている。
【0025】
前記アキュムレータ3の上部(コンテナキャップ4に近い高さのピストン部5aより上方)には通気孔25が形成されており、またピストン軸部5bと雄ネジ部6cとの間には通気隙間27が形成されており、容器Yが温度上昇によって内圧が上昇したときに、アキュームレータの通気孔25、アッパキャップ6の通気隙間27を介して外部と連通させ、液体の加圧防止、液だれ防止ができるようになっている。
【0026】
前記ピストンシャフト5は内部が液体の流動する流路5dとなっており、ピストン軸部5bの上部5cが下部より小径に形成され、流路5dは細くなっている。この流路5dが細くなっている部分の下端側には逆止弁9の弁座9aが形成されている。弁座9aは上向き末広がりの円錐孔を形成しており、この弁座9aの円錐座面にボール弁体12が当接可能になっている。
【0027】
前記逆止弁9は、流路5dを通って下方から上方へ流れる液体によってボール弁体12が弁座9aから押し上げられるのを許容し、上方から流れ落ちる液体によってボール弁体12が弁座9aに当接して下方へ流れるのを阻止する。
【0028】
ピストンシャフト5のピストン軸部5bの小径になっている上部5cにポンプヘッド8が装着されている。ポンプヘッド8は、外套部15aから吐出ノズル7を突出した押圧ヘッド15と、この押圧ヘッド15の外套部15a内に装着されかつピストン軸部5bに嵌着されたアダプタヘッド16とを有している。
【0029】
押圧ヘッド15は人手で押圧操作するための操作部材であり、その内部には、吐出ノズル7内のノズル路7aと、ノズル路7aの基端側で外套部15a内側(下方側)に開放された流路室15cとが形成され、流路室15cはピストン軸部5b内の流路5dと直線的に連通し、ノズル路7aとは略直角に連通している。
【0030】
図6~8において、前記アダプタヘッド16は、アッパキャップ6の上部の雄ネジ部6cに締結可能な雌ネジ部を形成した締結部16aと、ピストン軸部5bの上部5cに嵌合してピストン軸部5b内の流路5dから吐出ノズル7までの流路を形成する流路接続部16bとが形成され、流路接続部16b内には終端側(上側)には、吐出ノズル7への吐出量を絞る絞り弁11が設けられている。
【0031】
この絞り弁11は弁座11aとボール弁体12とによって構成されている。弁座11aは下向き末広がりの円錐孔を形成しており、円錐孔形状の弁座11aに、孔大径側から孔小径側へ延びるスリットSが周方向等間隔に複数本形成されており、この弁座11aの円錐座面にボール弁体12が当接可能になっている。
【0032】
ボール弁体12が弁座11aに当接すると、流路はスリットSのみになり、液体の流動は絞られる。この絞り率は、スリットSの断面積の大きさ、本数等を選択することにより適宜設定できる。
【0033】
前記絞り弁11は逆止弁9のボール弁体12を共用しており、流路5dを通って下方から上方へ流れる液体によってボール弁体12が弁座11aに当接して上方の流路室15cへ流れ出るのを絞り、上方の流路室15cから液体が流れ落ちるのを、ボール弁体12が弁座11aの当接位置から落下することにより許容する。
【0034】
絞り弁11の弁座11aは逆止弁9の弁座9aと反対向きの円錐孔形状であり、流路接続部16b内の液体を絞って口径の大きな流路室15cへ吐出する形状であるため、弁座11aと弁座9aと流路室15cとを1部材内に形成することは困難であり、そのため、ポンプヘッド8を押圧ヘッド15とアダプタヘッド16とに分割して2部材構成にしており、弁座11aをアダプタヘッド16に形成し、流路室15cを押圧ヘッド15に形成し、弁座9aをピストンシャフト5に形成している。
【0035】
前記ポンプヘッド8を押圧ヘッド15とアダプタヘッド16との2部材構成にすることは、容器Yの容器口部Yaの形状が規格化されていることにより、アダプタヘッド16を1種類形成すれば、押圧ヘッド15を多種類に形成しても組み合わせることができ、押圧ヘッド15にデザイン多種類化を図ることが容易になる。
【0036】
次に、前述したポンプディスペンサ1の吐出動作、逆止弁9及び絞り弁11の機能・動作を、
図1~5に基づいて説明する。
【0037】
図1は、ポンプヘッド8を雄ネジ部6cに螺合した保存・梱包状態(
図1仮想線で示す。)から回して、雄ネジ部6cから螺合解除し、付勢部材19の反発力でポンプヘッド8をヘッドアップ状態(
図1実線で示す状態)にしており、この状態からポンプヘッド8を押圧(ポンプ使用操作)して液体を吐出する。
【0038】
図2は、ポンプヘッド8を押圧していく途中を表示しており、ピストンシャフト5を下向き移動させることにより、アキュムレータ3内の液体は加圧され、逆止弁9のボール弁体12を押し上げながら、ボール弁体12と流路5dとの間の隙間を通って上方へ流動し、流路接続部16b、絞り弁11の弁座11aの孔を介して流路室15cへ流出し、さらに吐出ノズル7内のノズル路7aから外方へ吐出されていく。
【0039】
この液体吐出の後半には、逆止弁9を通過した液体がボール弁体12を押し上げ、さらにボール弁体12を絞り弁11の弁座11aに当接することになり(
図3に示す。)、液体は弁座11aのスリットSのみを通って(絞られて)流出し、ポンプヘッド8の押圧終期から完了時までの瞬間流出量は減少していく。この流出量の減少は、流路5d内の液体を加圧するとともに、押圧終期での吐出ノズル7内のノズル路7a内の液体残留分が減少することになり、押圧完了後の吐出ノズル7からの液だれを防止できるようになる。
【0040】
ポンプヘッド8の押圧が停止すると、絞り弁11の弁座11aに当接していたボール弁体12は、自重で落下するが、ピストンシャフト5内の液体に圧力が加わっているので、ボール弁体12に浮かせる力が働いて、自重で落ちるまでの時間が長くかかる。このボール弁体12のゆっくりとした落下は、ポンプヘッド8の流路室15c内の空気、ノズル路7a内の空気を吸引することになり、ノズル路7a内に付着していた残留液体を吸引し、吐出ノズル7からの液だれを防止する。
【0041】
逆止弁9のボール弁体12を共有する絞り弁11の存在は、液体吐出の後半で吐出を絞ることにより、液体の流出速度を遅くし、ピストンシャフト5の流路5d内の内圧を高める機能を有しており、また、ピストンシャフト5の押圧完了後にボール弁体12が時間をかけて落下することにより、吐出ノズル7からの液体の引き戻しを行うことができ、いわゆるバックサクション機能を発揮することができる。
【0042】
図4は、ポンプヘッド8の押圧完了後に押圧を解除して、付勢部材19によりピストンシャフト5を上向き移動させていく途中を表示しており、ピストンシャフト5の上昇によりアキュムレータ3内及びピストンシャフト5の流路5d内は負圧になり、シール弁18のシール弁体23の吸入弁体部23aがシール弁座18aから離隔して、容器Y内の液体がアキュムレータ3内に吸入される。
【0043】
図5は、ポンプヘッド8が完全に上昇復帰したヘッド上昇完了時であり、ボール弁体12は逆止弁9の弁座9aに当接し、アキュムレータ3内及びピストンシャフト5内には液体が補充され、シール弁18のシール弁座18aにシール弁体23の吸入弁体部23aが当接し、液体吐出可能な
図1の状態に復帰している。
【0044】
前記実施形態においては、容器口部Yaから容器Y内に挿入されたアキュムレータ3と、容器口部Yaに装着されてアキュムレータ3の上部を固定するコンテナキャップ4と、アキュムレータ3内に摺動自在に挿入されていてピストン部5aとピストン軸部5bとを有するピストンシャフト5と、前記ピストン軸部5bに嵌合しかつアキュムレータ3の上端部に装着されてアキュムレータ3の上端開口を封鎖するアッパキャップ6と、吐出ノズル7を有していてピストンシャフト5の上端に装着されたポンプヘッド8と、ピストンシャフト5の上部でポンプヘッド8の押圧によりアキュムレータ3内の液体を吐出ノズル7へ流出することを許容しかつポンプヘッド8の上昇により液体の流動を規制する逆止弁9とを備えており、前記逆止弁9の上方側に逆止弁9のボール弁体12を共用して吐出ノズル7への吐出量を絞る絞り弁11を設けている。
【0045】
この構成によって、絞り弁11は逆止弁9のボール弁体12を共用することにより、ボール弁体12が絞り弁11に当接して吐出時後半の吐出を穏やかにでき、その吐出後にボール弁体12が絞り弁11から落下することにより吐出ノズル内の液体を引き戻すことができる。
【0046】
また、前記実施形態においては、前記逆止弁9は円錐孔形状の弁座9aと、この弁座9aに当接するボール弁体12とを有し、前記絞り弁11は前記ボール弁体12が当接可能な円錐孔形状の弁座11aに絞られた液体が流れるスリットSが形成されている。
【0047】
この構成によって、ボール弁体12を共用しながら適切な絞りをする絞り弁11を簡単に構成できる。
【0048】
さらに、前記実施形態においては、前記絞り弁11は、円錐孔形状の弁座11aに、孔大径側から孔小径側へ延びるスリットSが周方向等間隔に複数本形成されている。
【0049】
この構成によって、スリットSは深さ、幅だけでなく、本数も選択でき、絞り弁11として絞り流量をより適切に設定できる。
【0050】
さらにまた、前記実施形態においては、前記ポンプヘッド8は、外套部15aから吐出ノズル7を突出した押圧ヘッド15と、この押圧ヘッド15の外套部15a内に装着されたアダプタヘッド16とを有しており、前記アダプタヘッド16は、アッパキャップ6の上部に締結可能な締結部16aと、ピストン軸部5bの上部に嵌合してピストン軸部5bから吐出ノズル7までの流路を形成する流路接続部16bとが形成されており、この流路接続部16b内に前記絞り弁11が形成されている。
【0051】
この構成によって、ポンプヘッド8を押圧ヘッド15とアダプタヘッド16との2部材に分離することにより、逆止弁9と対向する形状でありかつ吐出ノズル7と連通する絞り弁11が形成可能になる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0053】
例えば、アダプタヘッド16内の絞り弁11は、流路接続部16bとは別体の部材に形成して、流路接続部16b内に配置してもよく、絞り弁11を別体の部材に形成する場合は、ポンプヘッド8を押圧ヘッド15の外套部15a内に、アダプタヘッド16の締結部16aと流路接続部16bとを一体成形してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ポンプディスペンサ
3 アキュムレータ
3a フランジ部
4 コンテナキャップ
5 ピストンシャフト
5a ピストン部
5b ピストン軸部
5c 上部
5d 流路
6 アッパキャップ
6a 内接筒部
6b 外装筒部
6c 雄ネジ部
7 吐出ノズル
7a ノズル路
8 ポンプヘッド
9 逆止弁
9a 逆止弁の弁座
11 絞り弁
11a 絞り弁の弁座
12 ボール弁体
15 押圧ヘッド
15a 外套部
15c 流路室
16 アダプタヘッド
16a 締結部
16b 流路接続部
18 シール弁
18a シール弁座
19 付勢部材
21 パッキン
23 シール弁体
23a 吸入弁体部
23b 封止弁体部
25 通気孔
27 通気隙間
S スリット
Y 容器
Ya 容器口部
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部(Ya)から容器(Y)内に挿入されたアキュムレータ(3)と、容器口部(Ya)に装着されてアキュムレータ(3)の上部を固定するコンテナキャップ(4)と、アキュムレータ(3)内に摺動自在に挿入されていてピストン部(5a)とピストン軸部(5b)とを有するピストンシャフト(5)と、前記ピストン軸部(5b)に嵌合しかつアキュムレータ(3)の上端部に装着されてアキュムレータ(3)の上端開口を封鎖するアッパキャップ(6)と、吐出ノズル(7)を有していてピストンシャフト(5)の上端に装着されたポンプヘッド(8)と、ピストンシャフト(5)の上部でポンプヘッド(8)の押圧によりアキュムレータ(3)内の液体を吐出ノズル(7)へ流出することを許容しかつポンプヘッド(8)の上昇により液体の流動を規制する逆止弁(9)とを備えており、
前記逆止弁(9)の上方側に逆止弁(9)のボール弁体(12)を共用して吐出ノズル(7)への吐出量を絞る絞り弁(11)を設けており、
前記逆止弁(9)は円錐孔形状の弁座(9a)と、この弁座(9a)に当接するボール弁体(12)とを有し、前記絞り弁(11)は前記ボール弁体(12)が当接可能な円錐孔形状の弁座(11a)に絞られた液体が流れるスリット(S)が形成されており、
前記ポンプヘッド(8)は、外套部(15a)から吐出ノズル(7)を突出した押圧ヘッド(15)と、この押圧ヘッド(15)の外套部(15a)内に装着されたアダプタヘッド(16)とを有しており、前記アダプタヘッド(16)は、アッパキャップ(6)の上部に締結可能な締結部(16a)と、ピストン軸部(5b)の上部に嵌合してピストン軸部(5b)から吐出ノズル(7)までの流路を形成する流路接続部(16b)とが形成されており、この流路接続部(16b)内に前記絞り弁(11)が形成されていることを特徴とするポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記絞り弁(11)は、円錐孔形状の弁座(11a)に、孔大径側から孔小径側へ延びるスリット(S)が周方向等間隔に複数本形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプディスペンサ。