(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165531
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ゼリー飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20241121BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20241121BHJP
A23L 29/244 20160101ALI20241121BHJP
【FI】
A23L2/00 W
A23L2/00 B
A23L29/256
A23L29/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081808
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】コスマス アディヤットマス
(72)【発明者】
【氏名】ディアン レスタリ
【テーマコード(参考)】
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B041LC01
4B041LD01
4B041LE08
4B041LH08
4B041LH10
4B041LK05
4B041LK07
4B041LK50
4B041LP01
4B041LP16
4B117LC02
4B117LE05
4B117LE10
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK13
4B117LK16
4B117LL02
4B117LL07
4B117LP14
4B117LP16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ゼリー飲料の一部の含有成分によるネガティブな味質を低減する新たなゼリー飲料を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、ゼリー飲料であって、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料とを含み、カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料。
【請求項2】
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1~25mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlであり、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で20未満である、ゼリー飲料。
【請求項3】
前記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK 、アドバンテーム、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム、ソーマチン、ステビア抽出物、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、羅漢果抽出物およびモグロシドVからなる群から選択される1種以上の甘味料を含む、請求項1または2に記載のゼリー飲料。
【請求項4】
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で18以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項5】
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料。
【請求項6】
前記保存料が、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸カリウムからなる群から選択される1種以上の保存料を含む、請求項5に記載のゼリー飲料。
【請求項7】
前記カフェインの含有量が0.4~10mg/100mlである、請求項1~6のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項8】
前記ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.4~15mg/100mlである、請求項1~7のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項9】
ガラナ抽出物、コーラ抽出物、カカオ豆抽出物、コーヒー豆抽出物および茶葉抽出物からなる群から選択される1種以上の天然カフェイン含有成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項10】
ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択される1種以上をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項11】
pHが2.5~5である、請求項1~10のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項12】
ゲル強度が30~200gfである、請求項1~11のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項13】
容器詰飲料である、請求項1~12のいずれか一項に記載のゼリー飲料。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のゼリー飲料の製造方法であって、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、
カフェイン含有成分と、
高甘味度甘味料および/または保存料と
を配合することを含む、方法。
【請求項15】
高甘味度甘味料および/または保存料を含むゼリー飲料の風味改善方法であって、前記飲料に0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満のカフェインと、0.1~30mg/100mlのニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせを含有させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料および/または保存料とを含むゼリー飲料ならびにその製造方法などに関する。さらに本発明は、高甘味度甘味料および/または保存料を含むゼリー飲料の風味改善方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで消費者の嗜好に合わせて多様なタイプの飲料が開発・販売されてきた。一例として、独特な食感を有するゼリー飲料が挙げられる。ゼリー飲料の中でも様々なものがこれまで開発されており、味質や食感を調整した種々のゼリー飲料も開示されてきた。例えば、特開2021-023138(特許文献1)は、舌触り感が向上したゼリー飲料を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、ゼリー飲料の一部の含有成分によって様々なネガティブな味質がもたらされることがある。したがって、このようなネガティブな味質を低減する新たなゼリー飲料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、高甘味度甘味料および/または保存料によってゼリー飲料にもたらされるネガティブな味質が、所定量のカフェインおよびニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせによって改善することができるとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0006】
本発明は、次に示す飲料および当該飲料の製造方法等を提供する。
[1]
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料。
[2]
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1~25mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlであり、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で20未満である、ゼリー飲料。
[3]
前記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK 、アドバンテーム、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム、ソーマチン、ステビア抽出物、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、羅漢果抽出物およびモグロシドVからなる群から選択される1種以上の甘味料を含む、[1]または[2]に記載のゼリー飲料。
[4]
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で18以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[5]
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料。
[6]
前記保存料が、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸カリウムからなる群から選択される1種以上の保存料を含む、[5]に記載のゼリー飲料。
[7]
前記カフェインの含有量が0.4~10mg/100mlである、[1]~[6]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[8]
前記ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.4~15mg/100mlである、[1]~[7]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[9]
ガラナ抽出物、コーラ抽出物、カカオ豆抽出物、コーヒー豆抽出物および茶葉抽出物からなる群から選択される1種以上の天然カフェイン含有成分を含む、[1]~[8]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[10]
ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択される1種以上をさらに含む、[1]~[9]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[11]
pHが2.5~5である、[1]~[10]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[12]
ゲル強度が30~200gfである、[1]~[11]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[13]
容器詰飲料である、[1]~[12]のいずれかに記載のゼリー飲料。
[14]
[1~13のいずれか一項に記載のゼリー飲料の製造方法であって、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、
カフェイン含有成分と、
高甘味度甘味料および/または保存料と
を配合することを含む、方法。
[15]
高甘味度甘味料および/または保存料を含むゼリー飲料の風味改善方法であって、前記飲料に0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満のカフェインと、0.1~30mg/100mlのニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせを含有させる、方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、高甘味度甘味料および/または保存料によるネガティブな味質が低減されたゼリー飲料が提供される。本発明の好ましい一態様によれば、高甘味度甘味料による甘味後引きが低減されたゼリー飲料が提供される。本発明の他の好ましい一態様によれば、保存料による苦味と塩味が低減されたゼリー飲料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0009】
1.ゼリー飲料
本発明は、一側面として、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料および/または保存料とを含むゼリー飲料(以下、「本発明のゼリー飲料」ともいう)を提供する。さらに、本発明の第1の側面によれば、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料とを含むゼリー飲料が提供され、本発明の第2の側面によれば、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、保存料とを含むゼリー飲料が提供される。
【0010】
本発明の第1の側面の第1の態様によれば、ゼリー飲料であって、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料とを含み、カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料が提供される。
【0011】
本発明の第1の側面の第2の態様によれば、ゼリー飲料であって、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、高甘味度甘味料とを含み、カフェインの含有量が0.1~25mg/100mlであり、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlであり、前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で20未満である、ゼリー飲料が提供される。
【0012】
本発明の第2の側面の一態様によれば、ゼリー飲料であって、カフェインと、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、保存料とを含み、カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlである、ゼリー飲料が提供される。
【0013】
以下に本発明の第1および第2の側面について具体的な態様を説明するが、特に明記が無い限り下記の態様は第1および第2の側面のいずれにも該当するものである。
【0014】
[ゼリー飲料]
本明細書において、「ゼリー飲料」とは、ゲル化剤を含み、当該ゲル化剤によってゲルまたはゾル状になっている飲料を意味する。本発明の一態様におけるゼリー飲料はその少なくとも一部がゲル状となっていればよく、ゲル状となっていない部分がゾル状や液状になっていてもよい。また、ゼリー飲料には、ゼリー状食品やゼリー状飲料などと称される食品・飲料も包含される。ゼリー飲料は独特のテクスチャーを有するため、非ゼリー飲料とは味質の傾向が異なり得る。
【0015】
(ゲル化剤)
ゲル化剤とは液体をゲル化するための物質である。ゲル化剤としては様々なものが市販されているが、本発明の一態様に用いるゲル化剤は、特に限定されない。例えば、寒天、カラギーナン、コンニャク、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、ペクチン、グァーガムおよびタラガムから選択される1種以上のゲル化剤を用いてもよい。好ましくは、コンニャクおよびカラギーナンを用いてもよい。カラギーナン(Carrageenan)としては、例えばカッパ(κ)カラギーナンが好ましい。コンニャク(konjac)としては、例えば、グルコマンナン比率が70重量%以上、80重量%以上、70重量%~100重量%、70重量%~98重量%、70重量%~96重量%または80重量%~95重量%のコンニャクが好ましい。
【0016】
本発明の一態様におけるゼリー飲料に含まれる1種以上のゲル化剤の合計含有量は、0.1~5g/L、0.1~4g/L、0.1~3g/L、0.1~2g/L、0.3~5g/L、0.3~4g/L、0.3~3g/L、0.3~2g/L、0.5~5g/L、0.5~4g/L、0.5~3g/L、0.5~2g/L、0.8~5g/L、0.8~4g/L、0.8~3g/Lまたは0.8~2g/Lであってもよい。ゼリー飲料中のゲル化剤の含有量は原料の添加量から算出することができる。
【0017】
(ゲル化促進剤)
本発明の一態様におけるゼリー飲料は、カリウムイオンやナトリウムイオンを発生される塩のうち、食品添加物として使用が認められているものをゲル化促進剤として含むことができる。そのようなゲル化促進剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウムおよびクエン酸カルシウムからなる群から選択される1種以上のゲル化促進剤を用いることができる。
【0018】
本発明の一態様におけるゼリー飲料に含まれるゲル化促進剤の含有量は、好ましくは0.5~5g/L、0.5~4g/L、0.5~3g/L、0.5~2g/L、0.8~5g/L、0.8~4g/L、0.8~3g/L、0.8~2g/L、1~5g/L、1~4g/L、1~3g/L、1~2g/L、1.5~5g/L、1.5~4g/L、1.5~3g/Lまたは1.5~2g/Lであってもよい。ゼリー飲料中のゲル化促進剤の含有量は原料の添加量から算出することができる。
【0019】
[カフェイン]
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料はカフェインを含む。カフェインは一般的に、コーヒーなどのいくつかの飲食品に含まれていることが知られているが、本発明に用いるカフェインは、カフェインを豊富に含む飲食品から精製したものであってもよく、あるいは、化学合成したものや生合成したものであってもよい。また、カフェイン製剤は一般的に市販されているため、そのような市販品を用いてもよい。
【0020】
本発明の第1の側面の第1の態様または本発明の第2の側面の一態様によるゼリー飲料中のカフェインの含有量は、0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満である。本発明の第1の側面の第2の態様において、飲料中のカフェインの含有量は0.1~25mg/100mlである。本発明の好ましい態様において、カフェインの含有量は、0.1~23mg/100ml、0.1~21mg/100ml、0.1~19mg/100ml、0.1~17mg/100ml、0.1~14mg/100ml、0.1~13mg/100ml、0.1~12mg/100ml、0.1~11mg/100ml、0.1~9mg/100ml、0.1~7mg/100ml、0.1~5mg/100ml、0.1~3mg/100ml、0.2~23mg/100ml、0.2~21mg/100ml、0.2~19mg/100ml、0.2~17mg/100ml、0.2~14mg/100ml、0.2~13mg/100ml、0.2~12mg/100ml、0.2~11mg/100ml、0.2~9mg/100ml、0.2~7mg/100ml、0.2~5mg/100ml、0.2~3mg/100ml、0.3~23mg/100ml、0.3~21mg/100ml、0.3~19mg/100ml、0.3~17mg/100ml、0.3~14mg/100ml、0.3~13mg/100ml、0.3~12mg/100ml、0.3~11mg/100ml、0.3~9mg/100ml、0.3~7mg/100ml、0.3~5mg/100mlまたは0.3~3mg/100mlであり、より好ましくは、0.4~20mg/100ml、0.4~15mg/100ml、0.4~12mg/100ml、0.4~10mg/100ml、0.4~5mg/100ml、0.5~20mg/100ml、0.5~15mg/100ml、0.5~12mg/100ml、0.5~10mg/100ml、0.5~5mg/100ml、0.6~20mg/100ml、0.6~15mg/100ml、0.6~12mg/100ml、0.6~10mg/100ml、0.6~5mg/100ml、0.7~20mg/100ml、0.7~15mg/100ml、0.7~12mg/100ml、0.7~10mg/100mlまたは0.7~5mg/100mlであってもよい。また、カフェインを含むことにより、覚醒(Lift Up)効果が期待される。飲料中のカフェインの含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定することができる。あるいは、その配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの態様における飲料は、ガラナ抽出物、コーラ抽出物、カカオ豆抽出物、コーヒー豆抽出物および茶葉抽出物からなる群から選択される1種以上の天然カフェイン含有成分を含む。そのような天然カフェイン含有成分は、カフェイン以外にも植物由来の他の成分が含まれているため、飲料に好ましい風味を付与し得る。例えば、ガラナ抽出物は独特な風味有することが知られており、エナジードリンクなどに用いられることも多い。また、飲料に含まれるカフェインとして天然カフェイン含有成分由来のものを用いることで、より安全で消費者理解(Public Acceptance)が得られやすいと期待される。ガラナ抽出物、コーラ抽出物、カカオ豆抽出物、コーヒー豆抽出物および茶葉抽出物は、それぞれガラナの実または種子、コーラの種子、カカオ豆、コーヒー豆および茶葉から水またはアルコール等の溶媒を用いて抽出したものであれば特に限定されない。抽出物は固体(粉末)であっても液体であってもよいが、好ましくは固体(粉末)である。本発明の好ましい態様における飲料は、ガラナ抽出物を含む。本明細書の実施例においても示されている通りガラナ抽出物を用いることで、ゼリー飲料の甘さが高い範囲においても甘味後引きが良好となり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、ガラナ抽出物に含まれるカフェイン以外のガラナ由来成分が影響しているものと推察される。
【0022】
本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料に用いる天然カフェイン含有成分の含有量は、その中に含まれるカフェインの量が所望の範囲内となっていれば特に限定されない。例えば、天然カフェイン含有成分としてカフェインを10重量%含むガラナ抽出物を使用する場合、飲料中のガラナ抽出物の含有量を1~25mg/100mlとすることで、飲料中のカフェイン含有量を0.1~2.5mg/100mlに調整することができる。本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料において、天然カフェイン含有成分の含有量が、1~250mg/100ml、1~230mg/100ml、1~210mg/100ml、1~190mg/100ml、1~170mg/100ml、1~150mg/100ml、1~140mg/100ml、1~130mg/100ml、1~120mg/100ml、1~110mg/100ml、1~90mg/100ml、1~70mg/100ml、1~50mg/100ml、1~30mg/100ml、2~250mg/100ml、2~230mg/100ml、2~210mg/100ml、2~190mg/100ml、2~170mg/100ml、2~150mg/100ml、2~140mg/100ml、2~130mg/100ml、2~120mg/100ml、2~110mg/100ml、2~90mg/100ml、2~70mg/100ml、2~50mg/100ml、2~30mg/100ml、3~250mg/100ml、3~230mg/100ml、3~210mg/100ml、3~190mg/100ml、3~170mg/100ml、3~150mg/100ml、3~140mg/100ml、3~130mg/100ml、3~120mg/100ml、3~110mg/100ml、3~90mg/100ml、3~70mg/100ml、3~50mg/100ml、3~30mg/100ml、4~200mg/100ml、4~150mg/100ml、4~100mg/100ml、4~50mg/100ml、5~200mg/100ml、5~150mg/100ml、5~100mg/100ml、5~50mg/100ml、6~200mg/100ml、6~150mg/100ml、6~100mg/100ml、6~50mg/100ml、7~200mg/100ml、7~150mg/100ml、7~100mg/100mlまたは7~50mg/100mlであってもよい。ゼリー飲料中の天然カフェイン含有成分の含有量は原料の添加量から算出することができる。
【0023】
[ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせ]
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせを含む。ニコチン酸およびニコチンアミドは、「ナイアシン」や「ビタミンB3」とも総称される成分である。ニコチンアミドは「ニコチン酸アミド」や「ナイアシンアミド」とも称される。本明細書において、「ナイアシン」および「ビタミンB3」は特に断らない限り、「ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせ」を包含する。
【0024】
ニコチン酸とニコチンアミドの構造はそれぞれ下記のとおりである。
【化1】
【化2】
【0025】
ビタミンB3は一般的に、動物性食品中ではニコチンアミドとして存在し、植物性食品中ではニコチン酸として存在することが知られているが、本発明に用いるビタミンB3としては、ニコチンアミドでもニコチン酸でも、あるいはそれらの組み合わせでもよい。ニコチン酸およびニコチンアミドはいずれも体内で脱水素酵素の補酵素として作用する。ニコチン酸およびニコチンアミドは、上記の化学構造を有しているものであれば特に限定されない。例えば、ニコチン酸およびニコチンアミドは、これらを豊富に含む食品から精製したものであってもよく、あるいは、化学合成したものや生合成したものであってもよい。また、ニコチン酸製剤およびニコチンアミド製剤は一般的に市販されているため、そのような市販品を用いてもよい。
【0026】
本発明のいくつかの態様において、飲料中のニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量は0.1~30mg/100mlである。この含有量は、飲料がニコチン酸またはニコチンアミドの片方のみを含む場合は、含まれている片方の成分の含有量を意味し、飲料がニコチン酸およびニコチンアミドを組み合わせて含む場合は、その合計含有量を意味する。本発明の他の態様において、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量は、0.1~25mg/100ml、0.1~20mg/100ml、0.1~15mg/100ml、0.1~13mg/100ml、0.1~10mg/100ml、0.1~8mg/100ml、0.1~5mg/100ml、0.4~30mg/100ml、0.4~25mg/100ml、0.4~20mg/100ml、0.4~15mg/100ml、0.4~13mg/100ml、0.4~10mg/100ml、0.4~8mg/100ml、0.4~5mg/100ml、0.8~30mg/100ml、0.8~25mg/100ml、0.8~20mg/100ml、0.8~15mg/100ml、0.8~13mg/100ml、0.8~10mg/100ml、0.8~8mg/100ml、0.8~5mg/100ml、1~30mg/100ml、1~25mg/100ml、1~20mg/100ml、1~15mg/100ml、1~13mg/100ml、1~10mg/100ml、1~8mg/100ml、1~5mg/100ml、1.2~30mg/100ml、1.2~25mg/100ml、1.2~20mg/100ml、1.2~15mg/100ml、1.2~13mg/100ml、1.2~10mg/100ml、1.2~8mg/100ml、1.2~5mg/100ml、1.5~30mg/100ml、1.5~25mg/100ml、1.5~20mg/100ml、1.5~15mg/100ml、1.5~13mg/100ml、1.5~10mg/100ml、1.5~8mg/100mlまたは1.5~5mg/100mlであってもよい。ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量は、好ましくは0.8~20mg/100ml、より好ましくは1~15mg/100ml、さらに好ましくは1.2~10mg/100mlである。ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量は、飲料中のニコチン酸およびニコチンアミドの含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)または微生物学的定量法によって測定することができ、微生物学的定量法はニコチン酸とニコチンアミドの総量を高感度で定量するのに適している(JFRLニュース Vol5 No.23 Aug. 2016)。あるいは、それらの配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0027】
[高甘味度甘味料]
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、高甘味度甘味料を含む。高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、ネオテーム、アドバンテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム、サイクラミン酸ナトリウム、ズルチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ソーマチン、モネリン、クルクリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、ヘルナンズルチン、4β-ヒドロキシヘルナンズルチン、ミラクリン、グリチルリチン、ルブソシド、フィロズルチン、モグロシドIV、モグロシドV、ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドDまたはレバウジオシドM)、ソーマチン、モネリン、ブラゼイン、モナチン、羅漢果抽出物またはステビア抽出物が挙げられる。本発明の好ましい態様のゼリー飲料は、高甘味度甘味料として、スクラロース、アセスルファムK 、アドバンテーム、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム、ソーマチン、ステビア抽出物、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、羅漢果抽出物およびモグロシドVからなる群から選択される1種以上の甘味料を含む。高甘味度甘味料は砂糖と異なる独特の味質を有する傾向があり、一般的に砂糖に比べて甘味の後引きが長いという特徴を有する。本発明の第1の側面によれば、高甘味度甘味料の甘味後引きが低減されたゼリー飲料が提供される。理論に拘束されることを望むものではないが、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせとカフェインとの組み合わせにより、高甘味度甘味料による甘味の後引きを抑制する作用を奏しているものと考えられる。後述の実施例において実証されているように、これらの成分を組み合わせることで甘味後引きの抑制効果が示されたことは非常に予想外であった。
【0028】
高甘味度甘味料の含有量は特に限定されないが、ゼリー飲料の甘さがスクロース当量(Sucrose Equivalent Value: SEV)で25以下(例えば、8~12)であることが好ましい。スクロース当量1は、単位濃度Brix1当たりのスクロースが呈する甘味強度である。ここで、Brix1は、100gのスクロース水溶液に1gのスクロースが溶けていることを意味する(スクロース濃度1w/w%)。本明細書において、ゼリー飲料のスクロース当量は、ゼリー飲料に含まれる甘味料の濃度(w/v%(飲料の場合はw/w%と同視し得る))に、その甘味料の甘味度を乗じて得られる数値を合計することで得ることができる。例えば、本明細書において、スクロースの甘味度を1とした場合、レバウジオシドDの甘味度は約225倍、レバウジオシドMの甘味度は約230倍、レバウジオシドAの甘味度は200~300倍(中心値250)、羅漢果抽出物の甘味度は約110~150倍(中心値130倍)、モグロシドVの甘味度は約240~300倍(中心値270倍)、ソーマチンの甘味度は約2,000倍、アセスルファムカリウムの甘味度は約200倍、スクラロースの甘味度は約600倍、アスパルテームの甘味度は約200倍の甘味度を有するものとする。なお、スクロースの甘味度1に対する各種甘味料の甘味度の相対比のうち、本明細書において記載されていないものは、公知の砂糖甘味換算表等から求めることができる。ここで、アスパルテームの甘味度はスクロースの甘味度の約200倍であるため、アスパルテームを0.005重量%(50ppm)含むゼリー飲料が他に甘味料を含まない場合、そのゼリー飲料の甘さはスクロース当量で1となる。ゼリー飲料が他の甘味料(高甘味度甘味料や低甘味度甘味料)を含む場合は、ゼリー飲料の甘さはそれらのそれぞれの甘味料からもたらされる甘さのスクロース当量の合計で表す。
【0029】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、高甘味度甘味料を0.01~1.5g/L、0.05~1.5g/L、0.1~1.5g/L、0.2~1.5g/L、0.3~1.5g/L、0.4~1.5g/L、0.5~1.5g/L、0.01~1g/L、0.05~1g/L、0.1~1g/L、0.2~1g/L、0.3~1g/L、0.4~1g/L、0.5~1g/L、0.01~0.8g/L、0.05~0.8g/L、0.1~0.8g/L、0.2~0.8g/L、0.3~0.8g/L、0.4~0.8g/L、0.5~0.8g/L、0.01~0.5g/L、0.05~0.5g/L、0.1~0.5g/L、0.2~0.5g/L、0.3~0.5g/L、0.4~0.5g/L、0.01~0.4g/L、0.05~0.4g/L、0.1~0.4g/L、0.2~0.4g/Lまたは0.3~0.4g/L含んでいてもよい。高甘味度甘味料の含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定することができる。あるいは、それらの配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0030】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料の甘さは、スクロース当量で25未満であることが好ましく、好ましくは23以下、より好ましくは20以下である。本発明の第1の側面の第1の態様におけるゼリー飲料においては、ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で20未満であることで、より多くのカフェインを含んでいても高甘味度甘味料の甘味後引きが抑えられる点で好ましい。本発明のさらに好ましいいくつかの態様によるゼリー飲料の甘さは、スクロース当量で18以下であり、例えば、スクロース当量で1~18、1~15、1~13、1~10、2~18、2~15、2~13、2~10、4~18、4~15、4~13、4~10、6~18、6~15、6~13または6~10であってもよい。
【0031】
[保存料]
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、保存料を含む。保存料としては、特に限定されないが、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸カリウムからなる群から選択される1種以上の保存料を含でいてもよい。好ましい保存料は安息香酸ナトリウムである。
【0032】
保存料の含有量は、特に限定されないが、0.05~1g/Lであることが好ましく、0.1~1g/L、0.2~1g/L、0.3~1g/L、0.4~1g/L、0.5~1g/L、0.6~1g/L、0.7~1g/L、0.1~0.8g/L、0.2~0.8g/L、0.3~0.8g/L、0.4~0.8g/L、0.5~0.8g/L、0.6~0.8g/L、0.7~0.8g/L、0.1~0.6g/L、0.2~0.6g/L、0.3~0.6g/L、0.4~0.6g/L、0.5~0.6g/L、0.1~0.4g/L、0.2~0.4g/Lまたは0.3~0.4g/Lであってもよい。また、保存料として安息香酸または安息香酸塩を使用する場合には、保存料の含有量は、安息香酸換算で0.05~1g/Lであることが好ましく、0.1~1g/L、0.2~1g/L、0.3~1g/L、0.4~1g/L、0.5~1g/L、0.6~1g/L、0.7~1g/L、0.05~0.8g/L、0.1~0.8g/L、0.2~0.8g/L、0.3~0.8g/L、0.4~0.8g/L、0.5~0.8g/L、0.6~0.8g/L、0.7~0.8g/L、0.05~0.6g/L、0.1~0.6g/L、0.2~0.6g/L、0.3~0.6g/L、0.4~0.6g/L、0.5~0.6g/L、0.05~0.4g/L、0.1~0.4g/L、0.2~0.4g/Lまたは0.3~0.4g/Lであってもよい。安息香酸換算の含有量は、安息香酸または安息香酸塩の含有量から算出することができる。例えば保存料として安息香酸ナトリウム(分子量:144.11g/mol)を用いた場合、下記式によって安息香酸(分子量:122.12g/mol)換算の含有量を算出することができる。
安息香酸換算の含有量(g/L) = 安息香酸ナトリウムの含有量(g/L)×[(安息香酸の分子量(g/mol))/(安息香酸ナトリウムの分子量(g/mol))]
ソルビン酸、プロピオン酸および二酸化硫黄換算の含有量についても、ソルビン酸もしくはその塩、プロピオン酸もしくはその塩または二酸化硫黄もしくはその塩の含有量から分子量を用いて算出することができる。ソルビン酸換算、プロピオン酸換算および二酸化硫黄換算の含有量として好ましい範囲も上記の安息香酸換算の含有量と同じである。保存料の含有量は、安息香酸、ソルビン酸およびプロピオン酸換算の含有量についてはHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって、二酸化硫黄換算の含有量についてはアルカリ滴定法、比色法またはHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定・換算することができる。あるいは、それらの配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0033】
保存料は一般的に塩味や苦味のような独特な味質を有する傾向があり、そのような味質が消費者にとってネガティブな味質であると感じられる場合がある。本発明の第2の側面によれば、保存料の塩味や苦味が低減されたゼリー飲料が提供される。理論に拘束されることを望むものではないが、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせとカフェインとの組み合わせにより、保存料の塩味や苦味を抑制する作用を奏しているものと考えられる。後述の実施例において実証されているように、これらの成分を組み合わせることで塩味や苦味の抑制効果が示されたことは非常に予想外であった。
【0034】
[任意成分]
本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料は、さらにフルーツフレーバー成分を含んでいてもよい。本明細書において、「フルーツフレーバー成分」とは、ゼリー飲料にフルーツフレーバー(例えばフルーツ風味)を付与できれば特に限定されず、果汁、フルーツエキス、果肉破砕物またはフルーツ香料であってもよく、そのフルーツの種類は特に限定されない。果汁はフルーツの搾汁液(ストレート果汁)またはその濃縮液であり、フルーツエキスはフルーツをアルコールや水などの溶媒を用いて抽出したものであり、果肉破砕物はフルーツの果肉をチョッパーや破砕機などで細かくしたものであり、フルーツ香料は、フルーツの風味をもたらす香料であり、天然香料でも合成香料でもよい。本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料におけるフルーツフレーバー成分は、カシスフレーバー成分、ストロベリーフレーバー成分、レモンフレーバー成分、オレンジフレーバー成分、アップルフレーバー成分、グレープフレーバー成分、グレープフルーツフレーバー成分、ライムフレーバー成分、パイナップルフレーバー成分、ラズベリーフレーバー成分、ブルーベリーフレーバー成分、クランベリーフレーバー成分、グァバフレーバー成分、バナナフレーバー成分、アセロラフレーバー成分、パパイヤフレーバー成分、パッションフルーツフレーバー成分、マンゴーフレーバー成分、ピーチフレーバー成分、メロンフレーバー成分、キウイフルーツフレーバー成分、アンズフレーバー成分および梨フレーバー成分からなる群から選択される1種以上を含む。本発明の好ましい一態様におけるゼリー飲料は、カシスフレーバー成分、ストロベリーフレーバー成分、レモンフレーバー成分またはオレンジフレーバー成分を含む。
【0035】
本発明の一態様におけるゼリー飲料が果汁を含む場合、果汁はストレート果汁であってもよく、濃縮果汁であってもよい。濃縮果汁は、加熱濃縮法および冷凍濃縮法のいずれによって調製されたものであってもよい。本発明の一態様におけるゼリー飲料における果汁の含有量は、果汁率で40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、1~40%、1~35%、1~30%、1~25%、1~20%、1~15%、1~10%、5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%または5~10%であってもよい。本明細書において、「果汁率」とは、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度であり、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される糖用屈折計示度の基準(°Bx)または酸度の基準(%)に基づいて換算できる。
【0036】
代表的な果実の糖用屈折計示度の基準(単位:°Bx)の値としては、オレンジ:11、ミカン:9、グレープフルーツ:9、パイナップル:11、クランベリー:7、ブルーベリー、グァバ:8、バナナ:23、パパイヤ:9、パッションフルーツ:14、マンゴー:13、リンゴ:10、ブドウ:11、桃:8、日本梨:8、西洋梨:11、アンズ:7、メロン、キウイフルーツ:10である。また、代表的な果実の酸度の基準(単位:%)としては、レモン:4.5、ライム:6、梅:3.5、カボス:3.5である。
【0037】
具体的には、100mLのゼリー飲料中に配合される果汁配合量(g)と、上記糖用屈折計示度の基準(°Bx)または酸度の基準(%)から算出される果汁の濃縮倍率から、下記換算式によって算出することができる。
[果汁率(%)]=[果汁配合量(g)]×[濃縮倍率]/100mL×100
例えば、オレンジ果汁は、JAS規格がBx11°であるから、Bx55°の濃縮オレンジ果汁をゼリー飲料中6.0wt%配合した場合、果汁率は30%となる。なお、果汁の果汁率をJAS規格の糖用屈折計示度に基づいて換算する際には、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
【0038】
本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料がフルーツエキスを含む場合、その含有量はゼリー飲料にフルーツフレーバーを付与することができる量であれば特に限定されないが、例えば0.1~10g/L、0.1~9g/L、0.1~8g/L、0.1~7g/L、0.1~6g/L、0.1~5g/L、0.1~4g/L、0.1~3g/L、0.1~2g/L、0.1~1g/L、0.1~0.5g/L、0.2~10g/L、0.2~9g/L、0.2~8g/L、0.2~7g/L、0.2~6g/L、0.2~5g/L、0.2~4g/L、0.2~3g/L、0.2~2g/L、0.2~1g/Lまたは0.2~0.5g/Lであってもよい。ゼリー飲料中のフルーツエキスの含有量は原料の添加量から算出することができる。
【0039】
本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料は、さらに他のビタミンを含んでいてもよい。例えば、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択される1種以上をさらに含んでいてもよい。ビタミンB5(パントテン酸とも称される)とビタミンB6は、いずれも皮膚や粘膜の健康維持に寄与することが知られている。
【0040】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、酸味料を含む。酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、マレイン酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸およびコハク酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0041】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は水を含む。水は、特に限定されず、風味に悪影響を与えない限りあらゆる水が使用できるが、例えば水道水、イオン交換水、軟水、蒸留水、炭酸水、逆浸透水(RO水)、処理水、精製水および脱塩水が挙げられる。
【0042】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、さらに上記の高甘味度甘味料以外の甘味料を含んでいてもよい。そのような甘味料としては、例えば、グルコース、キシリトール、スクロース、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)、乳糖、プシコース、アロース、タガトース、キシロースまたはリボースが挙げられる。これらの甘味料の含有量は特に限定されないが、上述のとおり、ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で25以下(例えば、8~12)であることが好ましい。例えば、スクロースの甘味度を1とすると、グルコースは約0.6~約0.7、キシリトールは約1、フルクトースは約1.3~約1.7、マルトースは約0.4、フラクトオリゴ糖は約0.6、マルトオリゴ糖は約0.3、イソマルトオリゴ糖は約0.4~約0.5、ガラクトオリゴ糖は約0.7、果糖ぶどう糖液糖(HFCS)は約0.75、乳糖は約0.2~0.3、プシコースは約0.7、アロースは約0.8、タガトースは約0.9の甘味度をそれぞれ有する。スクロースの甘味度1に対する各種甘味料の甘味度の相対比のうち、本明細書において記載されていないものは、公知の砂糖甘味換算表等から求めることができる。ゼリー飲料中に高甘味度甘味料が含まれる場合は、ゼリー飲料のスクロース当量は高甘味度甘味料によってもたらされる甘さとの合計値である。
【0043】
[他の任意成分]
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記の成分以外に通常のゼリー飲料に添加可能な成分を含有していてもよい。そのような成分として、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、調味料、エキス類、曇り剤(cloudifier)、pH調整剤、品質安定化剤などが挙げられる。
【0044】
[特性]
本発明のいくつかの態様におけるゼリー飲料のpHは、好ましくは2.5~5であり、3.0~4.8、3.2~4.8、3.4~4.8、3.6~4.8、3.8~4.8、3.2~4.6、3.4~4.6、3.6~4.6、3.8~4.6、3.2~4.4、3.4~4.4、3.6~4.4、3.8~4.4または3.8~4.2であってもよい。pHをこの範囲に調整することで、微生物の繁殖を抑えつつ、ゲルのテクスチャーとのど越しを良好に維持することができる。
【0045】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料のBrix(可溶性固形分量)は、好ましくは2~20であり、より好ましくは2~14であり、さらに好ましくは2~8である。ゼリー飲料のBrix(可溶性固形分量)は、糖度屈折計で測定することができる。
【0046】
本発明のいくつかの態様によるゼリー飲料のゲル強度は特に限定されないが、例えば、30~200gfである。ゲル強度は、40~180gf、50~160gfまたは60~150gfであってもよい。ゲル強度はテクスチャーアナライザーによって測定することができる。
【0047】
[容器および殺菌]
本発明の一態様におけるゼリー飲料の形態は限定されず、例えば缶、瓶、PETボトル、パウチ、紙パックおよびプラスチック容器等の容器に封入して容器詰めされた容器詰ゼリー飲料の形態としてもよい。容器詰めした後に加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えば転倒殺菌、UHT殺菌およびレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65~130℃、好ましくは80~120℃で、1~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0048】
[本発明のゼリー飲料の例示的な態様]
以下に本発明の例示的な態様を示すが、本発明は下記の態様に制限されるものではない。
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満、好ましくは0.3~14mg/100ml、より好ましくは0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlであり、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で25未満である、ゼリー飲料が提供される。
【0049】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100ml、好ましくは0.8~20mg/100ml、より好ましくは1~15mg/100mlであり、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で25未満である、ゼリー飲料が提供される。
【0050】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が1~15mg/100mlであり、ガラナ抽出物、コーラ抽出物、カカオ豆抽出物、コーヒー豆抽出物および茶葉抽出物からなる群から選択される1種以上の天然カフェイン含有成分を含む、ゼリー飲料が提供される。
【0051】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.3~23mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100ml、好ましくは0.8~20mg/100ml、より好ましくは1~15mg/100mlであり、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で20未満である、ゼリー飲料が提供される。
【0052】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
高甘味度甘味料とを含み、
カフェインの含有量が0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が1~15mg/100mlであり、ガラナ抽出物を含み、
前記高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムK 、アドバンテーム、サッカリン、アスパルテーム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム、ソーマチン、ステビア抽出物、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、羅漢果抽出物およびモグロシドVからなる群から選択される1種以上の甘味料を含み、
前記ゼリー飲料の甘さがスクロース当量で1~18である、ゼリー飲料が提供される。
【0053】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満であり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が0.1~30mg/100mlであり、
前記保存料の含有量が0.05~1g/L、好ましくは0.1~0.8g/L、より好ましくは0.2~0.6g/Lであるゼリー飲料が提供される。
【0054】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が1~15mg/100mlであり、ガラナ抽出物を含み、
前記保存料の含有量が0.05~1g/L、好ましくは0.1~0.8g/L、より好ましくは0.2~0.6g/Lであるゼリー飲料が提供される。
【0055】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が1~15mg/100mlであり、ガラナ抽出物を含み、
前記保存料が安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸カリウムからなる群から選択される1種以上の保存料を含み、
前記保存料の含有量が0.1~0.8g/Lであるゼリー飲料が提供される。
【0056】
本発明の一態様によれば、
ゼリー飲料であって、
カフェインと
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと
保存料とを含み、
カフェインの含有量が0.4~12mg/100mlであり、
ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの含有量が1~15mg/100mlであり、ガラナ抽出物を含み、
前記保存料が安息香酸または安息香酸塩を含み、
前記保存料の含有量が安息香酸換算0.05~1g/L、好ましくは0.1~0.8g/L、より好ましくは0.2~0.6g/Lであるゼリー飲料が提供される。
【0057】
2.ゼリー飲料の製造方法
本発明は、一側面として、本発明のゼリー飲料の製造方法であって、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、カフェイン含有成分と、高甘味度甘味料および/または保存料とを配合することを含む、方法(以下、「本発明のゼリー飲料の製造方法」ともいう)を提供する。
【0058】
本発明の一態様の製造方法は、上記の成分を配合してゼリー飲料を得られれば特に限定されないが、好ましくは、加熱工程と、冷却工程とをさらに含む。例えば、本発明の一態様の製造方法は、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせと、カフェイン含有成分と、高甘味度甘味料および/または保存料をゲル化剤およびゲル化促進剤と共に配合し、得られた配合物を水に溶解させたうえで加熱し、その後冷却することでゲル化させてゼリー飲料を得る。カフェイン含有成分としては、「1.ゼリー飲料」の項で記載したカフェイン製剤を用いてもよく、天然カフェイン含有成分を用いてもよい。各成分は配合前に水に溶解させてもよく、配合後に水に溶解させてもよい。
【0059】
本発明の一態様による製造方法における加熱では、配合によって得られた混合液を好ましくは70~100℃、より好ましくは80~100℃に加熱する。加熱時間は適宜選択することができるが、例えば10秒~10分である。後述の冷却によってゲル化剤をゲル化させるために一旦混合液を加熱する。加熱後に容器に充填してもよく、また、加熱が殺菌処理を兼ねていてもよい。
【0060】
本発明の一態様による製造方法における冷却では、加熱した混合液を好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下に冷却する。冷却時間は適宜選択することができるが、例えば10~60分である。この冷却によってゲル化剤がゲル化し、本発明の一態様によるゼリー飲料が得られる。
【0061】
(任意処理)
本発明の一態様による製造方法において、加熱前または加熱後の調合液を容器に充填し、その後冷却してもよい。殺菌処理は上述のとおり加熱と共に行ってもよく、加熱・充填後に別途行ってもよい。殺菌処理としては、例えば、転倒殺菌、UHT殺菌およびレトルト殺菌が挙げられる。
【0062】
本発明の一態様の製造方法において、「ゲル化剤」、「ゲル化促進剤」、「カフェイン」、「ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせ」、「高甘味度甘味料」、「保存料」、「任意成分」および「他の任意成分」は、上記「1.ゼリー飲料」の項目で述べた記載が当てはまり、その数値は上記ゼリー飲料の項目で述べた数値がそのまま当てはまる。
【0063】
3.ゼリー飲料の風味改善方法
本発明は、一側面として、高甘味度甘味料および/または保存料を含むゼリー飲料の風味改善方法であって、前記飲料に0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満のカフェインと、0.1~30mg/100mlのニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせを含有させる、方法(以下、「本発明のゼリー飲料の風味改善方法」ともいう)を提供する。
【0064】
本発明の一態様によるゼリー飲料の風味改善方法によれば、高甘味度甘味料および/または保存料を含むゼリー飲料において感じられるネガティブな味質の1つ以上が改善される。例えば、高甘味度甘味料による甘味後引きおよび保存料による苦味と塩味の1つ以上の味質が改善される。理論に拘束されることを望むものではないが、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせとカフェインとの組み合わせにより、高甘味度甘味料による甘味後引きおよび保存料による苦味と塩味の1つ以上の味質を改善する作用を奏しているものと考えられる。後述の実施例において実証されているように、これらの成分を組み合わせることで高甘味度甘味料による甘味後引きおよび保存料による苦味と塩味の1つ以上の味質の改善効果が示されたことは非常に予想外であった。
【0065】
本発明の一態様における方法において、「前記飲料に0.1mg/100ml以上、15mg/100ml未満のカフェインと、0.1~30mg/100mlのニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせを含有させる」とは、最終的にゼリー飲料に含まれるカフェインとニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせがこれらの範囲に含まれていればよく、これらの成分の添加順序やタイミングは問わない。例えば、カフェインをカフェイン含有原料として複数回に分けて添加してもよく、あるいは、飲用前にカフェインを別途添加してもよい。
【0066】
本発明の一態様における方法において、ゼリー飲料に含有させるカフェインの量は、好ましくは、0.1~14mg/100ml、0.1~13mg/100ml、0.1~12mg/100ml、0.1~11mg/100ml、0.1~9mg/100ml、0.1~7mg/100ml、0.1~5mg/100ml、0.1~3mg/100ml、0.2~14mg/100ml、0.2~13mg/100ml、0.2~12mg/100ml、0.2~11mg/100ml、0.2~9mg/100ml、0.2~7mg/100ml、0.2~5mg/100ml、0.2~3mg/100ml、0.3~14mg/100ml、0.3~13mg/100ml、0.3~12mg/100ml、0.3~11mg/100ml、0.3~9mg/100ml、0.3~7mg/100ml、0.3~5mg/100mlまたは0.3~3mg/100mlであり、より好ましくは、0.4~12mg/100ml、0.4~10mg/100ml、0.4~5mg/100ml、0.5~12mg/100ml、0.5~10mg/100ml、0.5~5mg/100ml、0.6~12mg/100ml、0.6~10mg/100ml、0.6~5mg/100ml、0.7~12mg/100ml、0.7~10mg/100mlまたは0.7~5mg/100mlであってもよい。
【0067】
本発明の一態様における方法において、ゼリー飲料に含有させるニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせの量は、好ましくは、0.1~25mg/100ml、0.1~20mg/100ml、0.1~15mg/100ml、0.1~13mg/100ml、0.1~10mg/100ml、0.1~8mg/100ml、0.1~5mg/100ml、0.4~30mg/100ml、0.4~25mg/100ml、0.4~20mg/100ml、0.4~15mg/100ml、0.4~13mg/100ml、0.4~10mg/100ml、0.4~8mg/100ml、0.4~5mg/100ml、0.8~30mg/100ml、0.8~25mg/100ml、0.8~20mg/100ml、0.8~15mg/100ml、0.8~13mg/100ml、0.8~10mg/100ml、0.8~8mg/100ml、0.8~5mg/100ml、1~30mg/100ml、1~25mg/100ml、1~20mg/100ml、1~15mg/100ml、1~13mg/100ml、1~10mg/100ml、1~8mg/100ml、1~5mg/100ml、1.2~30mg/100ml、1.2~25mg/100ml、1.2~20mg/100ml、1.2~15mg/100ml、1.2~13mg/100ml、1.2~10mg/100ml、1.2~8mg/100ml、1.2~5mg/100ml、1.5~30mg/100ml、1.5~25mg/100ml、1.5~20mg/100ml、1.5~15mg/100ml、1.5~13mg/100ml、1.5~10mg/100ml、1.5~8mg/100mlまたは1.5~5mg/100mlであってもよい。
【0068】
本発明の一態様の製造方法において、「ゲル化剤」、「ゲル化促進剤」、「カフェイン」、「ニコチン酸、ニコチンアミドまたはその組み合わせ」、「高甘味度甘味料」、「保存料」、「任意成分」および「他の任意成分」は、上記「1.ゼリー飲料」の項目で述べた記載が当てはまり、その数値は上記ゼリー飲料の項目で述べた数値がそのまま当てはまる。
【0069】
本明細書において、「約」との文言は、主体が「約」に続く数値の±25%、±10%、±5%、±3%、±2%または±1%の範囲に存在することを意味する。例えば「約10」は、7.5~12.5の範囲を意味する。また、本明細書において、「重量%」は「質量%」と同視し得る。
【実施例0070】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0071】
[実施例1-A]高甘味度甘味料を含むゼリー飲料の味質評価
I.ゼリー飲料サンプルの調製
ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび高甘味度甘味料を含むゼリー飲料(A1~A17)を、下記の表1に示す組成にしたがって調製した。使用した原料は下記のとおりである:ナイアシンアミド製剤(高純度ニコチンアミド)(DSM社製、「Niacinamide FCC」)、高甘味度甘味料(アスパルテーム(Nantong Changai Food Additive社製、「Aspartame Granule」)およびアセスルファムK(Anhui Jinhe Industrial社製、「Acesulfame K」))、ゼリー粉末(コンニャク粉末:18.0重量%、カラギーナン:18.0重量%、塩化カリウム:9.0重量%、クエン酸三カリウム:38.0重量%、クエン酸三ナトリウム:17.1重量%の混合物)、ガラナ抽出物(Neturex社製、「Guarana 10% PE WS」(カフェイン含有量:9~11重量%))、水(処理水)。ナイアシンアミド製剤はニコチン酸を少量含み得る。アスパルテームとアセスルファムKの甘味度をそれぞれ200として、各ゼリー飲料の甘さをスクロース当量で9.72に調整した。
【0072】
ゼリー飲料の調製は下記の手順にしたがって行った。
[調製手順]
1)ゼリー粉末および高甘味度甘味料(アセスルファムカリウムおよびアスパルテーム)を含む乾燥ミックスゼリー粉末を調製する。組成は表1に記載のとおりである。
2)総容量1Lのうちの30%(すなわち、300ml)の室温の水(28~35℃)に対してナイアシンアミド製剤とガラナ抽出物を溶解させ、それを2分間混合し、次いで上記乾燥ミックスゼリー粉末を添加して3分間撹拌する。
3)上記工程2)の後に、十分に溶解していることを確認し、250mlのお湯(70~80℃)を添加し、1Lに達するまで室温の水(28~35℃)を加えつつ、5~6分撹拌する。
4)工程3)で得られた液体を、93±2℃の温度で20秒間殺菌する。
5)殺菌後の液体を充填温度78~83℃でカップに充填する。
6)製品温度が34~37℃に達するまでサンプルを冷却する。
7)サンプルを室温で24時間以上熟成させて、カップに詰められたゼリー飲料を得る。
【表1】
【0073】
II.ゼリー飲料サンプルの官能評価
上記手順で得られたゼリー飲料サンプルの甘味後引きを、官能評価について訓練された5名のパネリストが以下の基準に基づいて評価した。試験を行う前に、パネリスト同士で十分に上記評価基準についてすり合せを行った。結果を表2にまとめる。
【0074】
[官能評価基準]
A: 甘味後引きを全く感じず、クリーンな味質である。
B: 甘味後引きをほとんど感じることができない。
C: 甘味後引きを若干感じる。
D: 甘味後引きを十分感じる。
E: 甘味後引きを強く感じる。
【表2】
【0075】
[実施例2-A]様々な甘さの高甘味度甘味料を含むゼリー飲料の味質評価
実施例1-Aと同様の手順で、ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび高甘味度甘味料を含むゼリー飲料(A18~A55)を、下記の表3~6に示す組成にしたがって調製した。使用した原料は実施例1-Aで用いたものと同じである。また、実施例1-Aと同様の手順で官能評価を行った。官能評価結果も表3~6に示す。
【表3】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
[実施例3-A]合成カフェインと高甘味度甘味料を含むゼリー飲料の味質評価
実施例1-Aと同様の手順で、ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび高甘味度甘味料を含むゼリー飲料(A56~A63)を、下記の表7に示す組成にしたがって調製した。ガラナ抽出物の代わりに合成カフェイン(純度99.9%、Hebei Guangxiang Pharmaceutical社製、「Caffeine」)を使用した以外は、実施例1-Aで用いたものと同じ原料を使用した。また、実施例1-Aと同様の手順で官能評価を行った。官能評価結果も表7に示す。
【表7】
【0080】
[実施例1-B]保存料を含むゼリー飲料の味質評価
I.ゼリー飲料サンプルの調製
ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび保存料を含むゼリー飲料(B1~B17)を、下記の表8に示す組成にしたがって調製した。使用した原料は下記のとおりである:ナイアシンアミド製剤(高純度ニコチンアミド)(DSM社製、「Niacinamide FCC」)、保存料(安息香酸ナトリウム(Way Talented Chemical Hubei社製、「Sodium Benzoate」))、ゼリー粉末(コンニャク粉末:18.0重量%、カラギーナン:18.0重量%、塩化カリウム:9.0重量%、クエン酸三カリウム:38.0重量%、クエン酸三ナトリウム:17.1重量%の混合物)、ガラナ抽出物(Neturex社製、「Guarana 10% PE WS」(カフェイン含有量:9~11重量%))、水(処理水)。ナイアシンアミド製剤はニコチン酸を少量含み得る。
【0081】
ゼリー飲料の調製は下記の手順にしたがって行った。
[調製手順]
1)ゼリー粉末および保存料(安息香酸ナトリウム)を含む乾燥ミックスゼリー粉末を調製する。組成は表8に記載のとおりである。
2)総容量1Lのうちの30%(すなわち、300ml)の室温の水(28~35℃)に対してナイアシンアミド製剤とガラナ抽出物を溶解させ、それを2分間混合し、次いで上記乾燥ミックスゼリー粉末を添加して3分間撹拌する。
3)上記工程2)の後に、十分に溶解していることを確認し、250mlのお湯(70~80℃)を添加し、1Lに達するまで室温の水(28~35℃)を加えつつ、5~6分撹拌する。
4)工程3)で得られた液体を、93±2℃の温度で20秒間殺菌する。
5)殺菌後の液体を充填温度78~83℃でカップに充填する。
6)製品温度が34~37℃に達するまでサンプルを冷却する。
7)サンプルを室温で24時間以上熟成させて、カップに詰められたゼリー飲料を得る。
【表8】
【0082】
II.ゼリー飲料サンプルの官能評価
上記手順で得られたゼリー飲料サンプルの保存料による苦味と塩味を、官能評価について訓練された5名のパネリストが以下の基準に基づいて評価した。試験を行う前に、パネリスト同士で十分に上記評価基準についてすり合せを行った。結果を表9にまとめる。
【0083】
[官能評価基準]
A: 苦味と塩味を全く感じない。
B: 苦味と塩味をほとんど感じることができない。
C: 苦味と塩味を若干感じる。
D: 苦味と塩味を十分感じる。
E: 苦味と塩味を強く感じる。
【表9】
【0084】
[実施例2-B]様々な量の保存料を含むゼリー飲料の味質評価
実施例1-Bと同様の手順で、ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび保存料を含むゼリー飲料(B18~A63)を、下記の表10~14に示す組成にしたがって調製した。使用した原料は実施例1-Bで用いたものと同じである。また、実施例1-Bと同様の手順で官能評価を行った。官能評価結果も表10~14に示す。
【表10】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
[実施例3-B]合成カフェインと保存料を含むゼリー飲料の味質評価
実施例1-Bと同様の手順で、ニコチン酸、ニコチンアミド、カフェインおよび保存料を含むゼリー飲料(B64~B72)を、下記の表15に示す組成にしたがって調製した。ガラナ抽出物の代わりに合成カフェイン(純度99.9%、Hebei Guangxiang Pharmaceutical社製、「Caffeine」)を使用した以外は、実施例1-Bで用いたものと同じ原料を使用した。また、実施例1-Bと同様の手順で官能評価を行った。官能評価結果も表15に示す。
【表15】