(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165538
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】空調用レジスタ
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20241121BHJP
F24F 13/075 20060101ALI20241121BHJP
F24F 13/12 20060101ALI20241121BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20241121BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20241121BHJP
F24F 8/50 20210101ALI20241121BHJP
【FI】
F24F13/15 D
F24F13/075
F24F13/15 B
F24F13/12
B60H1/34 611B
B60H3/00 J
B60H3/00 F
B60H3/00 Z
F24F8/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081816
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高木 宏典
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081EA01
3L081EA03
3L081FA04
3L081HA01
3L081HB04
3L211BA09
3L211BA11
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】体格の増大を抑えつつ、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材を駆動させることができる空調用レジスタを提供する。
【解決手段】空調用レジスタ100は、リテーナ10に取り付けられるとともに、互いに異なる方向に可動する複数の上流フィン40及びスライドカバー60と、モータMと、モータMの回動を複数の上流フィン40及びスライドカバー60の各々が可動する方向の運動に変換することで複数の上流フィン40及びスライドカバー60を駆動させる第1変換機構70及び第2変換機構を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の通風路を形成するリテーナを備えた空調用レジスタであって、
前記リテーナに取り付けられるとともに、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材と、
回動することで複数の前記可動部材を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータの回動を複数の前記可動部材の各々が可動する方向の運動に変換することで複数の前記可動部材を駆動させる複数の変換機構と、を備える、
空調用レジスタ。
【請求項2】
複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギアにより間欠駆動される従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含む、
請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
複数の前記可動部材は、前記リテーナの前記通風路内において互いに平行に延びる複数のフィン軸を中心に第1方向に回動可能に設けられた複数のフィンを含み、
複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第1方向の回動に変換することで複数の前記フィンを駆動させる第1変換機構を含み、
前記第1変換機構は、複数の前記フィンの並び方向に延びるとともに、前記並び方向にスライド可能に支持され、前記並び方向に並んで設けられる複数の歯を有するラックギアと、複数の前記フィンの各々に設けられ、前記ラックギアに噛合する複数のピニオンギアと、を備え、前記アクチュエータの回動を前記ラックギアの直線運動を介して複数の前記ピニオンギアの回動に変換することによって、複数の前記フィンを各々の前記フィン軸を中心に前記第1方向に回動させるように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の空調用レジスタ。
【請求項4】
前記リテーナは、外面から前記通風路に向けて貫通する貫通孔を有しており、
複数の前記可動部材は、前記リテーナに対して前記第1方向とは異なる第2方向にスライド可能に支持され、前記貫通孔を開閉するスライドカバーを含み、
複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第2方向の直線運動に変換することで前記貫通孔を閉じる閉位置から前記貫通孔を開く開位置まで前記スライドカバーをスライド駆動させる第2変換機構を含み、
前記スライドカバーは、薬剤を収容するとともに、前記スライドカバーが前記開位置にあるときに前記貫通孔を介して前記通風路と連通する収容部を備えている、
請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項5】
前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギア及び前記ラックギアの双方に噛合して前記原動ギアにより間欠駆動されることで前記原動ギアの回動を前記並び方向における前記ラックギアの直線運動に間欠的に変換する従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含むとともに、前記原動ギアが第1位相から第2位相まで回動する間に、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合することにより複数の前記フィンを前記第1方向に回動させる一方で、前記原動ギアが前記第2位相から、前記第1位相とは反対側の第3位相まで回動する間に、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合しないことで複数の前記フィンの回動を停止させるように構成されており、
前記第2変換機構は、前記原動ギアが前記第1位相から前記第2位相まで回動される間は、前記スライドカバーが前記閉位置から前記開位置にスライド駆動されることを規制する一方で、前記原動ギアが前記第2位相から前記第3位相まで回動される間は、前記スライドカバーが前記閉位置から前記開位置にスライド駆動されることを許容する規制機構を備えている、
請求項4に記載の空調用レジスタ。
【請求項6】
前記ピニオンギアの歯数は、複数の前記フィンのうち前記並び方向に隣り合うフィン同士が互いに当接して重なり合うフィンシャット位置まで前記フィンが回動可能となるように設定されており、
前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して前記原動ギアが前記第1位相から前記第2位相まで回動するとき、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合することにより複数の前記フィンを前記フィンシャット位置から回動させるように構成されている、
請求項5に記載の空調用レジスタ。
【請求項7】
前記第2変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記原動ギアの回動を介して前記第2方向の直線運動に変換することで前記スライドカバーを前記閉位置から前記開位置までスライド駆動させるように構成されている、
請求項5に記載の空調用レジスタ。
【請求項8】
前記フィンを上流フィンとし、前記フィン軸を第1フィン軸とするとき、
複数の前記可動部材は、前記通風路内において複数の前記上流フィンよりも前記空調用空気の流れ方向の下流側に配置されるとともに、複数の前記上流フィンの前記並び方向に延びる第2フィン軸を中心に第2方向に回動可能に設けられた複数の下流フィンを含み、
複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第2方向の回動に変換することで複数の前記下流フィンを駆動させる第2変換機構を含む、
請求項3に記載の空調用レジスタ。
【請求項9】
前記第2変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギアに噛合される中間ギアと、前記中間ギアに噛合され、前記中間ギアを介して前記原動ギアにより間欠駆動される従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含むとともに、前記中間ギアが所定の角度回動されるごとに前記従動ギアが間欠駆動されることにより複数の前記下流フィンを前記第2方向に回動させるように構成されている、
請求項8に記載の空調用レジスタ。
【請求項10】
前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記原動ギアの回動を介して前記並び方向における前記ラックギアの直線運動に変換することで複数の前記上流フィンを各々の前記第1フィン軸を中心に前記第1方向に回動させるように構成されている、
請求項9に記載の空調用レジスタ。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記第1フィン軸に平行な軸線を中心に前記第1方向に回動するものであり、
前記第2変換機構は、前記リテーナに対して前記第2方向に回動可能に支持されるアーム部と、複数の前記第2フィン軸の各々の端部に連結されて複数の前記下流フィンを前記第2方向に回動させる複数の駆動ギアと、前記アーム部の延在方向の一端に設けられて前記アーム部と複数の前記駆動ギアとを連結する連結部と、を備える下流フィン駆動機構と、前記アクチュエータの回動に連動して前記第1方向に回動する第1ギアと、前記第1ギアの回動する軸線を中心に前記第1ギアと一体に前記第1方向に回動可能に設けられたプレート部と、を有する回動面変換機構と、を備え、
前記アーム部の前記延在方向の他端には、前記第2フィン軸に平行に延びる係合凸部が設けられており、
前記プレート部には、前記係合凸部を収容するとともに、前記第1ギアの回動に連動して前記プレート部が前記第1方向に回動する際に前記係合凸部が摺動することで前記下流フィン駆動機構を前記第2方向に回動させるように構成された長孔が形成されている、
請求項8に記載の空調用レジスタ。
【請求項12】
前記リテーナは、外面から前記通風路に向けて貫通する貫通孔を有しており、
複数の前記可動部材は、前記リテーナに対して第1方向にスライド可能に支持され、前記貫通孔を開閉するスライドカバーを含み、
複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第1方向の直線運動に変換することで前記貫通孔を閉じる閉位置から前記貫通孔を開く開位置まで前記スライドカバーをスライド駆動させる第1変換機構を含み、
前記スライドカバーは、薬剤を収容するとともに、前記スライドカバーが前記開位置にあるときに前記貫通孔を介して前記通風路と連通する収容部を備えている、
請求項1または請求項2に記載の空調用レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、風向調整装置が開示されている。この風向調整装置は、風を吹き出す吹出口を有する外ケースと、外ケースに収容され、外ケースに対して相対回転する回転ユニットとを備えている。
【0003】
回転ユニットは、空調された風を吹き出す内吹出口を備える内ケースと、左右方向に風の流れを変更する左右方向ルーバと、上下方向に風の流れを変更する上下方向ルーバとを備えている。左右方向ルーバは、内ケース内の内吹出口に隣接する位置に回転可能に配置されている。上下方向ルーバは、内ケース内において左右方向ルーバよりも内部に固定されている。
【0004】
また、回転ユニットは、左右方向ルーバを回転駆動する左右駆動モータと、回転ユニットを回転駆動する上下駆動モータとを備えている。
こうした空調装置によれば、左右駆動モータにより左右方向ルーバが回転駆動されることで、吹き出し口から吹き出される左右方向の風向が変更される。また、上下駆動モータにより回転ユニットが駆動されることで、内ケースの内吹出口が外ケースの吹出口に対して上下方向に移動する。これにより、吹出口に対する上下方向ルーバの角度が変更される。すなわち、吹出口から吹き出される上下方向の風向が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうした風向調整装置においては、風向を上下方向及び左右方向に調整するためのモータ等のアクチュエータがそれぞれ別々に設けられている。そのため、風向調整装置の構成が複雑化するとともに、その体格が大きくなるといった問題がある。なお、こうした問題は、風向を左右方向及び上下方向に調整するために複数のアクチュエータを備える風向調整装置に限定されない。例えば、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材を駆動するための複数のアクチュエータを備える風向調整装置であれば、同様に生じるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための空調用レジスタの各態様を記載する。
[態様1]空調用空気の通風路を形成するリテーナを備えた空調用レジスタであって、前記リテーナに取り付けられるとともに、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材と、回動することで複数の前記可動部材を駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータの回動を複数の前記可動部材の各々が可動する方向の運動に変換することで複数の前記可動部材を駆動させる複数の変換機構と、を備える、空調用レジスタ。
【0008】
上記構成によれば、複数の変換機構により1つのアクチュエータの回動が複数の可動部材の各々が可動する方向の運動に変換されることで複数の可動部材が駆動される。したがって、複数のアクチュエータにより複数の可動部材を駆動させる場合に比べて、空調用レジスタの体格の増大を抑えつつ、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材を駆動させることができる。
【0009】
[態様2]複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギアにより間欠駆動される従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含む、[態様1]に記載の空調用レジスタ。
【0010】
上記構成によれば、間欠駆動機構を含む変換機構では、アクチュエータの回動が原動ギア及び従動ギアを介して可動部材が可動する方向への運動に変換される。したがって、アクチュエータにより駆動される複数の可動部材のうち1つまたは複数の可動部材を間欠的に駆動させることができる。
【0011】
[態様3]複数の前記可動部材は、前記リテーナの前記通風路内において互いに平行に延びる複数のフィン軸を中心に第1方向に回動可能に設けられた複数のフィンを含み、複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第1方向の回動に変換することで複数の前記フィンを駆動させる第1変換機構を含み、前記第1変換機構は、複数の前記フィンの並び方向に延びるとともに、前記並び方向にスライド可能に支持され、前記並び方向に並んで設けられる複数の歯を有するラックギアと、複数の前記フィンの各々に設けられ、前記ラックギアに噛合する複数のピニオンギアと、を備え、前記アクチュエータの回動を前記ラックギアの直線運動を介して複数の前記ピニオンギアの回動に変換することによって、複数の前記フィンを各々の前記フィン軸を中心に前記第1方向に回動させるように構成されている、[態様1]または[態様2]に記載の空調用レジスタ。
【0012】
上記構成によれば、第1変換機構によりアクチュエータの回動が上記並び方向におけるラックギアの直線運動を介して複数のピニオンギアの回動に変換される。これにより、複数のフィンが各々のフィン軸を中心に第1方向に回動される。したがって、リテーナから吹き出される空調用空気の風向をアクチュエータの駆動力により容易に変更できる。
【0013】
[態様4]前記リテーナは、外面から前記通風路に向けて貫通する貫通孔を有しており、複数の前記可動部材は、前記リテーナに対して前記第1方向とは異なる第2方向にスライド可能に支持され、前記貫通孔を開閉するスライドカバーを含み、複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第2方向の直線運動に変換することで前記貫通孔を閉じる閉位置から前記貫通孔を開く開位置まで前記スライドカバーをスライド駆動させる第2変換機構を含み、前記スライドカバーは、薬剤を収容するとともに、前記スライドカバーが前記開位置にあるときに前記貫通孔を介して前記通風路と連通する収容部を備えている、[態様3]に記載の空調用レジスタ。
【0014】
上記構成によれば、第2変換機構によりアクチュエータの回動が第2方向の直線運動に変換されることでスライドカバーが第2方向にスライド駆動される。これにより、スライドカバーは、閉位置から開位置までスライド駆動される。ここで、開位置のスライドカバーにおいては、薬剤を収容する収容部とレジスタの通風路とが貫通孔を介して連通している。そのため、薬剤が貫通孔を介して通風路に流入するようになる。したがって、リテーナから吹き出される空調用空気に対して薬剤により様々な機能を付与することができる。
【0015】
[態様5]前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギア及び前記ラックギアの双方に噛合して前記原動ギアにより間欠駆動されることで前記原動ギアの回動を前記並び方向における前記ラックギアの直線運動に間欠的に変換する従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含むとともに、前記原動ギアが第1位相から第2位相まで回動する間に、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合することにより複数の前記フィンを前記第1方向に回動させる一方で、前記原動ギアが前記第2位相から、前記第1位相とは反対側の第3位相まで回動する間に、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合しないことで複数の前記フィンの回動を停止させるように構成されており、前記第2変換機構は、前記原動ギアが前記第1位相から前記第2位相まで回動される間は、前記スライドカバーが前記閉位置から前記開位置にスライド駆動されることを規制する一方で、前記原動ギアが前記第2位相から前記第3位相まで回動される間は、前記スライドカバーが前記閉位置から前記開位置にスライド駆動されることを許容する規制機構を備えている、[態様4]に記載の空調用レジスタ。
【0016】
上記構成によれば、アクチュエータの回動に連動して原動ギアが第1位相から第2位相まで回動する間、原動ギアと従動ギアとが噛合する。これにより、原動ギアの回動が従動ギアを介して並び方向におけるラックギアの直線運動に変換される。その結果、複数のフィンが各々のフィン軸を中心に第1方向に回動される。このとき、第2変換機構では、原動ギアの回動は第2方向の直線運動に変換され続ける一方で、規制機構によりスライドカバーが閉位置から開位置までスライド駆動されることが規制される。続いて、原動ギアが第2位相から第3位相まで回動される間、原動ギアと従動ギアとが噛合しないため、従動ギアの回動が停止する。これにより、複数のフィンの回動が停止される。このとき、スライドカバーは、第2変換機構の規制機構により閉位置から開位置にスライド駆動することが許容される。したがって、1つのアクチュエータだけで、複数のフィンを駆動させてリテーナからの空調用空気の風向を変更することと、スライドカバーを開位置にして同空調用空気に薬剤により様々な機能を付与することとを各別に行うことができる。
【0017】
[態様6]前記ピニオンギアの歯数は、複数の前記フィンのうち前記並び方向に隣り合うフィン同士が互いに当接して重なり合うフィンシャット位置まで前記フィンが回動可能となるように設定されており、前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して前記原動ギアが前記第1位相から前記第2位相まで回動するとき、前記原動ギアと前記従動ギアとが噛合することにより複数の前記フィンを前記フィンシャット位置から回動させるように構成されている、[態様5]に記載の空調用レジスタ。
【0018】
上記構成によれば、複数のフィンがフィンシャット位置まで回動されることで、互いに当接して重なり合うフィン同士により通風路が塞がれるため、リテーナからの空調用空気の吹き出しが停止される。また、アクチュエータの回動に連動して原動ギアが第1位相から第2位相まで回動すると、複数のフィンがフィンシャット位置から各々のフィン軸を中心に第1方向に回動される。これにより、リテーナからの空調用空気の吹き出しが開始されるとともに、同空気の風向が変更される。したがって、リテーナからの空調用空気の吹き出しを開始し、且つその風向を変更することと、スライドカバーを開位置にして同空調用空気に薬剤により様々な機能を付与することとを各別に行うことができる。
【0019】
[態様7]前記第2変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記原動ギアの回動を介して前記第2方向の直線運動に変換することで前記スライドカバーを前記閉位置から前記開位置までスライド駆動させるように構成されている、[態様5]または[態様6]に記載の空調用レジスタ。
【0020】
上記構成によれば、アクチュエータの回動が第1変換機構の原動ギアを介して第2変換機構に伝達されることで第2方向の直線運動に変換される。これにより、アクチュエータの回動に連動して回動することで同アクチュエータの回動を伝達する手段を第2変換機構に個別に設ける必要がない。したがって、第2変換機構の構成を簡単にすることができる。
【0021】
[態様8]前記フィンを上流フィンとし、前記フィン軸を第1フィン軸とするとき、
複数の前記可動部材は、前記通風路内において複数の前記上流フィンよりも前記空調用空気の流れ方向の下流側に配置されるとともに、複数の前記上流フィンの前記並び方向に延びる第2フィン軸を中心に第2方向に回動可能に設けられた複数の下流フィンを含み、複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第2方向の回動に変換することで複数の前記下流フィンを駆動させる第2変換機構を含む、[態様3]に記載の空調用レジスタ。
【0022】
上記構成によれば、第2変換機構によりアクチュエータの回動が第2方向の回動に変換されることで複数の下流フィンが上記並び方向に延びる各々の第2フィン軸を中心に第2方向に回動される。したがって、リテーナから吹き出される空調用空気の風向をアクチュエータの駆動力により一層容易に変更できる。
【0023】
[態様9]前記第2変換機構は、前記アクチュエータの回動に連動して連続的に回動する原動ギアと、前記原動ギアに噛合される中間ギアと、前記中間ギアに噛合され、前記中間ギアを介して前記原動ギアにより間欠駆動される従動ギアと、を備える間欠駆動機構を含むとともに、前記中間ギアが所定の角度回動されるごとに前記従動ギアが間欠駆動されることにより複数の前記下流フィンを前記第2方向に回動させるように構成されている、[態様8]に記載の空調用レジスタ。
【0024】
上記構成によれば、アクチュエータの回動に連動して中間ギアが所定の角度回動されるごとに、中間ギアと従動ギアとが噛合する。これにより、中間ギアの回動が従動ギアを介して第2方向の回動に変換される。その結果、複数の下流フィンが各々の第2フィン軸を中心に第2方向に回動される。また、中間ギアと従動ギアとが噛合しない間は、従動ギアの回動は停止する。すなわち、複数の下流フィンの回動は停止される。一方で、複数の上流フィンは、アクチュエータが回動する間、第1変換機構により同アクチュエータの回動が第1方向の回動に変換され続けるため、第1方向に連続的に回動される。したがって、1つのアクチュエータだけで、上流フィンのみを駆動させる態様と、上流フィン及び下流フィンの双方を駆動させる態様とを各別に行うことができる。また、上記所定の角度を調整することで、原動ギアが回動される間の空調用空気の風向の軌道を適宜変更することができる。
【0025】
[態様10]前記第1変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記原動ギアの回動を介して前記並び方向における前記ラックギアの直線運動に変換することで複数の前記上流フィンを各々の前記第1フィン軸を中心に前記第1方向に回動させるように構成されている、[態様9]に記載の空調用レジスタ。
【0026】
上記構成によれば、アクチュエータの回動が第2変換機構の原動ギアを介して第1変換機構に伝達されることで第1方向の回動に変換される。これにより、アクチュエータの回動に連動して回動することで同アクチュエータの回動を伝達する手段を第1変換機構に個別に設ける必要がない。したがって、変換機構の構成を簡単にすることができる。
【0027】
[態様11]前記アクチュエータは、前記第1フィン軸に平行な軸線を中心に前記第1方向に回動するものであり、前記第2変換機構は、前記リテーナに対して前記第2方向に回動可能に支持されるアーム部と、複数の前記第2フィン軸の各々の端部に連結されて複数の前記下流フィンを前記第2方向に回動させる複数の駆動ギアと、前記アーム部の延在方向の一端に設けられて前記アーム部と複数の前記駆動ギアとを連結する連結部と、を備える下流フィン駆動機構と、前記アクチュエータの回動に連動して前記第1方向に回動する第1ギアと、前記第1ギアの回動する軸線を中心に前記第1ギアと一体に前記第1方向に回動可能に設けられたプレート部と、を有する回動面変換機構と、を備え、前記アーム部の前記延在方向の他端には、前記第2フィン軸に平行に延びる係合凸部が設けられており、前記プレート部には、前記係合凸部を収容するとともに、前記第1ギアの回動に連動して前記プレート部が前記第1方向に回動する際に前記係合凸部を摺動させることで前記下流フィン駆動機構を前記第2方向に回動させるように構成された長孔が形成されている、[態様8]~[態様10]のいずれか一つに記載の空調用レジスタ。
【0028】
上記構成によれば、アクチュエータの第1方向の回動が、長孔を有するプレート部の第1方向の回動と、それに伴う係合凸部の長孔における摺動とによって、下流フィン駆動機構の第2方向の回動に変換される。したがって、第2変換機構を回動面変換機構と、下流フィン駆動機構とによって容易に具体化することができる。
【0029】
[態様12]前記リテーナは、外面から前記通風路に向けて貫通する貫通孔を有しており、複数の前記可動部材は、前記リテーナに対して第1方向にスライド可能に支持され、前記貫通孔を開閉するスライドカバーを含み、複数の前記変換機構は、前記アクチュエータの回動を前記第1方向の直線運動に変換することで前記貫通孔を閉じる閉位置から前記貫通孔を開く開位置まで前記スライドカバーをスライド駆動させる第1変換機構を含み、前記スライドカバーは、薬剤を収容するとともに、前記スライドカバーが前記開位置にあるときに前記貫通孔を介して前記通風路と連通する収容部を備えている、
[態様1]または[態様2]に記載の空調用レジスタ。
【0030】
上記構成によれば、第1変換機構によりアクチュエータの回動が第1方向の直線運動に変換されることでスライドカバーが第1方向にスライド駆動される。これにより、スライドカバーは、閉位置から開位置までスライド駆動される。ここで、開位置のスライドカバーにおいては、薬剤を収容する収容部とレジスタの通風路とが貫通孔を介して連通している。そのため、薬剤が貫通孔を介して通風路に流入するようになる。したがって、リテーナから吹き出される空調用空気に対して薬剤により様々な機能を付与することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、空調用レジスタの体格の増大を抑えつつ、互いに異なる方向に可動する複数の可動部材を駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】空調用レジスタの第1実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1の空調用レジスタの正面図であって、リテーナを中心に示す図である。
【
図5】第1実施形態の第1変換機構及び上流フィンを中心に示す平面図であって、原動ギアが第1位相にある状態を示す図である。
【
図6】
図5に対応する平面図であって、原動ギアが第2位相にある状態を示す図である。
【
図7】
図5に対応する平面図であって、原動ギアが第3位相にある状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態の原動ギア、第2変換機構、及びスライドカバーを中心に示す平面図であって、原動ギアが第1位相にある状態を示す図である。
【
図9】
図8に対応する平面図であって、原動ギアが第2位相にある状態を示す図である。
【
図10】
図8に対応する平面図であって、原動ギアが第3位相にある状態を示す図である。
【
図11】空調用レジスタの第2実施形態を示す平面図である。
【
図12】第2実施形態の第2変換機構について、回動面変換機構及び下流フィン駆動機構を中心に示す側面図である。
【
図13】
図12の下流フィン駆動機構について、駆動ギア及び連結部を中心に示す図である。
【
図14】
図12の下流フィン駆動機構について、駆動ギア及び連結部を中心に示す図である。
【
図15】第2実施形態の第1変換機構及び上流フィンを中心に示す平面図である。
【
図16】
図15から上流フィンが回動された状態を示す図である。
【
図17】第2実施形態の第2変換機構について、中間ギアと従動ギアとが噛合した状態を示す平面図である。
【
図18】回動面変換機構及び下流フィン駆動機構を中心に示す平面図であって、
図11から回動面変換機構が回動した状態を示す図である。
【
図19】
図18の回動面変換機構及び下流フィン駆動機構を示す側面図である。
【
図20】
図3から空調用空気の風向が変更された際の下流フィンの状態を示す断面図である。
【
図22】
図21の回動面変換機構及び下流フィン駆動機構を中心に示す側面図である。
【
図23】
図3から空調用空気の風向が変更された際の下流フィンの状態を示す断面図である。
【
図24】第2実施形態の空調用レジスタについて、空調用空気の風向の軌道の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図10を参照して、空調用レジスタの第1実施形態について説明する。本実施形態では、例えば自動車のインストルメントパネルに設けられ、空調装置から車室内に流れる空調用空気Aの風向を変更する車両用の空調用レジスタ100として本発明を具体化している。
【0034】
<空調用レジスタ100の基本構成>
図1~
図4に示すように、空調用レジスタ100は、空調用空気Aの流路(以下、通風路10A)を形成する筒型のリテーナ10を備えている。
【0035】
なお、以降では、通風路10Aを流れる空調用空気Aの流れ方向を流れ方向Xとし、流れ方向Xにおける「上流」及び「下流」を単に「上流」及び「下流」として説明する。また、リテーナ10の厚み方向のうち通風路10Aに近づく方向を「内側」等とし、通風路10Aから遠ざかる方向を「外側」等として説明する。
【0036】
空調用レジスタ100は、通風路10Aに設けられた複数の上流フィン40及び複数の下流フィン50と、いずれもリテーナ10の外側に取り付けられたスライドカバー60と、モータMと、第1変換機構70と、規制機構80Aとを備えている。
【0037】
なお、第1実施形態では、複数の上流フィン40及びスライドカバー60が本発明に係る可動部材に相当する。また、モータMは、回動することで上記の各々の可動部材を駆動するものであり、本発明に係るアクチュエータに相当する。
【0038】
以下、各構成について詳細に説明する。
<リテーナ10>
図1~
図4に示すように、リテーナ10は、通風路10Aの上流端に位置する上流側開口11と、通風路10Aの下流端に位置する下流側開口12とを有している。
【0039】
図2に示すように、上流側開口11及び下流側開口12は、正面から視て長方形状を成している。より詳しくは、上流側開口11は角の丸い長方形状を成している。なお、以降では、開口12(11)のうち一対の短辺12b(11b)の並ぶ方向を長手方向Yとし、一対の長辺12a(11a)の並ぶ方向を短手方向Zとして説明する。
【0040】
図2に示すように、下流側開口12の寸法は、流れ方向X及び長手方向Yの両方向において上流側開口11の寸法よりも大きい。
図1~
図4に示すように、リテーナ10は、上流側開口11を有する上流側リテーナ20と、下流側開口12を有する下流側リテーナ30と、下流側開口12に取り付けられるベゼル13とを備えている。
【0041】
図2及び
図3に示すように、ベゼル13は、全体として角の丸い長方形状を成す平板であり、下流側開口12に沿って延びる本体部13Aと、本体部13Aにより囲まれて形成されるベゼル開口14とを有している。本体部13Aの下流側の面は、レジスタ100の意匠面を構成している。ベゼル開口14は、下流側開口12に連通してレジスタ100における空調用空気Aの吹出口を構成している。なお、本実施形態では、ベゼル開口14の寸法は、長手方向Y及び短手方向Zの両方向において下流側開口12の寸法より小さい。
【0042】
<上流側リテーナ20>
図3に示すように、上流側リテーナ20は、上流側開口11を構成する上流側周壁21を有している。
【0043】
上流側周壁21は、上流側開口11の長辺11aを構成する一対の第1壁部21aと、短辺11bを構成する一対の第2壁部21bとを有している。
図1及び
図3に示すように、一対の第1壁部21aのうち短手方向Zの一側(
図3の上下方向における上側)に位置するものには、取付部22、第2ガイド凸部23、第1ガイドレール24、第2ガイドレール25、及び貫通孔26が設けられている。
【0044】
取付部22は、モータMを取り付けるためのものであり、例えば取付部22のねじ孔22aと、モータMの締結孔M1とにねじ(図示略)を螺入することにより取付部22に対してモータMが固定される。本実施形態では、第1壁部21aに3つの取付部22が設けられている。
【0045】
第2ガイド凸部23は、後に説明する第2ラックギア81を支持するためのものであり、第1壁部21aから短手方向Zの一側(
図3の上側)に突出している。第2ガイド凸部23は、本実施形態では2つ設けられており、長手方向Yにおいて間隔をあけて並んでいる(
図1参照)。なお、本実施形態では、2つの第2ガイド凸部23は、長手方向Y及び短手方向Zの両方向において第1壁部21aの中央部に配置されている。
【0046】
図1及び
図3に示すように、第1ガイドレール24は、流れ方向Xにおいて互いに間隔をあけて並ぶ上流側レール24a及び下流側レール24bを有している。
上流側レール24aは、第1壁部21aから短手方向Zの一側(
図3の上側)に突出するとともに下流側に屈曲している。
【0047】
下流側レール24bは、第1壁部21aから短手方向Zの一側(
図3の上側)に突出するとともに上流側に屈曲している。
上流側レール24a及び下流側レール24bは、ともに長手方向Yに延びている。
【0048】
図1に示すように、第2ガイドレール25は、上流側レール25aと、下流側レール25bとを有しており、第1ガイドレール24と同様の構造を成している。
第1ガイドレール24及び第2ガイドレール25は、長手方向Yにおいて間隔をあけて配置されている。また、第1ガイドレール24及び第2ガイドレール25は、一対の第2ガイド凸部23よりも上流側に配置されている。なお、本実施形態では、第1ガイドレール24は、長手方向Yにおいて一対の第2ガイド凸部23の間に位置している。また、第2ガイドレール25は、一対の第2ガイド凸部23よりも長手方向Yの一側(
図1の左右方向における右側)に配置されている。
【0049】
図1及び
図3に示すように、貫通孔26は、第1壁部21aの外面から通風路10Aに向けて短手方向Zに貫通する孔である。
貫通孔26は、流れ方向Xにおいて上流側レール24a,25aと、下流側レール24b,25bとの間、且つ長手方向Yにおいて第1ガイドレール24と、第2ガイドレール25との間に配置されている(
図1参照)。
【0050】
<下流側リテーナ30>
図1~
図4に示すように、下流側リテーナ30は、上流側リテーナ20の下流側に接続されるアウタリテーナ31と、アウタリテーナ31の内側に配置されるインナリテーナ36とを有している。
【0051】
アウタリテーナ31は、上流側リテーナ20の下流側の外面から突出する連結壁32と、連結壁32から屈曲して延びるとともに下流側開口12の一部を構成する下流側周壁33とを有している。
【0052】
連結壁32は、上流側周壁21の周方向全体にわたって設けられている。
下流側周壁33のうち短手方向Zに並ぶ一対の第1外壁部33aは、下流側周壁33のうち長手方向Yに並ぶ一対の第2外壁部33bよりも下流側に延びるとともに下流側開口12の一対の長辺12aを構成している。
【0053】
図3に示すように、一対の第1外壁部33aは、連結壁32及びベゼル13の本体部13Aとともに下流側リテーナ30内に空間S1,S2を形成している。
図2に示すように、レジスタ100は、正面視においてベゼル13の本体部13Aにより空間S1,S2の内部が隠蔽されるように構成されている。
【0054】
図1に示すように、一対の第1外壁部33aのうちの一方(
図1の紙面直交方向における手前側)には、短手方向Zに貫通するとともに、連結壁32の切欠部34に連なる開口部35が設けられている。
【0055】
図1~
図4に示すように、インナリテーナ36は、短手方向Zに並ぶ一対の第1内壁部37と、長手方向Yに並ぶとともに下流側開口12の一対の短辺12bを構成する一対の第2内壁部38とを有している。
【0056】
図1及び
図3に示すように、一対の第1内壁部37は、長手方向Yに長い長方形状の平板であり、空間S1及び空間S2内に配置されている(
図3参照)。一対の第1内壁部37は、長手方向Yにおける両端が第2内壁部38に連結されている(
図1参照)。
【0057】
図1及び
図3に示すように、空間S1内に配置された第1内壁部37Aには、複数の軸孔37aと、複数の第1ガイド凸部37cとが設けられている。
複数の軸孔37aは、短手方向Zに第1内壁部37Aを貫通している。本実施形態では、10個の軸孔37aが長手方向Yにおいて互いに等間隔に並んでいる。
【0058】
なお、
図3に示すように、空間S2内に配置された第1内壁部37Bには、軸孔37bが設けられている。軸孔37bは、軸孔37aと短手方向Zに延びる同一軸線上に並んでいる。
【0059】
複数の第1ガイド凸部37cは、複数の軸孔37aよりも下流側において短手方向Zの一側(
図3の上側)に突出している。本実施形態では、10個の第1ガイド凸部37cが長手方向Yにおいて互いに間隔をあけて並んでいる。
【0060】
なお、
図1に示すように、複数の第1ガイド凸部37cのうち開口部35と対応する位置に位置するものは、その他の第1ガイド凸部37cよりも下流側に配置されている。
図1及び
図3に示すように、第2内壁部38には、短手方向Zの両端縁から短手方向Zに沿って切り欠かれた一対の第1切欠部38a,38b及び一対の第2切欠部38c,38dを有している。
【0061】
一対の第2切欠部38c,38dは、一対の第1切欠部38a,38bよりも上流側に配置されている。
<上流フィン40>
図1及び
図3に示すように、各上流フィン40は、短手方向Zに延びる第1フィン軸41と、第1フィン軸41に一体に設けられた平板状のフィン本体42とを有している。
【0062】
図3に示すように、第1フィン軸41の一端41aは、第1内壁部37Aの軸孔37aに挿通されている。また、第1フィン軸41の他端41bは、第1内壁部37Bの軸孔37bに挿通されている。これにより、上流フィン40は、通風路10A内において第1フィン軸41を中心に回動方向R1に回動可能に支持されている。なお、本実施形態では、回動方向R1が本発明に係る第1方向に相当する。
【0063】
図1に示すように、本実施形態では、10枚の上流フィン40が、長手方向Yに互いに等間隔に並んで配置されている。より詳しくは、10枚の上流フィン40のフィン本体42同士が互いに平行に延びた状態で配置されている。なお、本実施形態では、長手方向Yが本発明に係るフィンの並び方向に相当する。
【0064】
ここで、
図5に示すように、回動方向R1において、複数の上流フィン40のうち長手方向Yに隣り合うフィン同士のフィン本体42が互いに当接して重なり合うまで各上流フィン40が回動した位置を、上流フィン40のフィンシャット位置とする。
【0065】
<下流フィン50>
図3及び
図4に示すように、複数の下流フィン50は、通風路10A内において複数の上流フィン40よりも下流側に配置されている。
【0066】
複数の下流フィン50は、一対の第1下流フィン51,52と、一対の第2下流フィン53,54とを有している。
第1下流フィン51,52は、長手方向Yに延びる第2フィン軸51a,52aと、第2フィン軸51a,52aから下流側に延びる平板状のフィン本体51b,52bとを有している。
【0067】
第2フィン軸51aの両端は、それぞれ一対の第2内壁部38の各々に形成された第1切欠部38aに挿通されている。これにより、第1下流フィン51は、通風路10A内において第2フィン軸51aを中心に回動方向R2に回動可能に支持されている。
【0068】
第2フィン軸52aの両端は、それぞれ一対の第2内壁部38の各々に形成された第1切欠部38bに挿通されている。これにより、第1下流フィン52は、通風路10A内において第2フィン軸51aを中心に回動方向R2に回動可能に支持されている。
【0069】
図4に示すように、フィン本体51b及びフィン本体52bは、ともに同一形状であり、長手方向Yに長い長方形状を成している。
図3に示すように、第1下流フィン51,52同士は、短手方向Zに対向した状態で配置されている。
【0070】
図3及び
図4に示すように、第2下流フィン53,54は、長手方向Yに延びる第2フィン軸53a,54aと、第2フィン軸53a,54aから下流側に延びる平板状のフィン本体53b,54bとを有している。
【0071】
第2フィン軸53aの両端は、それぞれ一対の第2内壁部38の各々に設けられた第2切欠部38cに挿通されている。これにより、第2下流フィン53は、通風路10A内において第2フィン軸53aを中心に回動方向R2に回動可能に支持されている。
【0072】
第2フィン軸54aの両端は、それぞれ一対の第2内壁部38の各々に設けられた第2切欠部38dに挿通されている。これにより、第2下流フィン54は、通風路10A内において第2フィン軸54aを中心に回動方向R2に回動可能に支持されている。
【0073】
図4に示すように、フィン本体53b及びフィン本体54bは、ともに同一形状であり、長手方向Yに長い長方形状を成している。
図3に示すように、第2下流フィン53,54同士は、短手方向Zに対向した状態で配置されている。
【0074】
第2下流フィン53は、第1下流フィン51の上流側に配置されている。また、第2下流フィン54は、第1下流フィン52の上流側に配置されている。
第1下流フィン51及び第2下流フィン53は、下流側リテーナ30の空間S1内に収容されている。また、第1下流フィン52及び第2下流フィン54は、下流側リテーナ30の空間S2内に収容されている。
【0075】
<スライドカバー60>
図1及び
図3に示すように、スライドカバー60は、平板状のカバー本体61と、カバー本体61から突出する収容部62とを有している。
【0076】
カバー本体61は、長手方向Yに延びる平面視長方形状である(
図1参照)。
カバー本体61は、流れ方向Xにおける両端縁61aを第1ガイドレール24と第1壁部21aとの間、及び第2ガイドレール25と第1壁部21aとの間に挿入されている。これにより、スライドカバー60は、上流側リテーナ20に対して長手方向Yにスライド可能に支持されている。なお、第1実施形態においては、長手方向Yが本発明に係る第2方向に相当する。
【0077】
図1及び
図3に示すように、収容部62は、薬剤としての芳香剤Fを収容するものであり、全体として短手方向Zの一側(
図3の上側)に開口部63を有する箱型を成している。
【0078】
収容部62は、開口部63を構成する立壁部64と、開口部63と対向する底壁65とを有している。
立壁部64は、開口部63を介して収容部62内に芳香剤Fを出し入れ可能となるように構成されている。
【0079】
図1に示すように、底壁65は、所謂格子状を成しており、流れ方向Xに延びるとともに長手方向Yに等間隔に並ぶ複数の隙間部66を有している。長手方向Yにおける各隙間部66の幅は、芳香剤Fよりも小さく設定されている。
【0080】
スライドカバー60は、
図1及び
図8に示すように、カバー本体61が短手方向Zにおいて貫通孔26の全体を覆う位置から、
図10に示すように、収容部62の底壁65が短手方向Zにおいて貫通孔26の全体を覆う位置までスライド移動可能に構成されている。
【0081】
ここで、
図1及び
図8に示すように、カバー本体61が短手方向Zにおいて貫通孔26の全体を覆う位置を貫通孔26を閉じる閉位置とする。
また、
図10に示すように、収容部62の底壁65が短手方向Zにおいて貫通孔26の全体を覆う位置にあるとき、隙間部66及び貫通孔26を介して収容部62内と通風路10A内とが連通した状態となっている。このことから、以降では、上記位置を貫通孔26を開く開位置とする。
【0082】
<第1変換機構70>
図1に示すように、第1変換機構70は、モータMの回動を複数の上流フィン40の各々が回動する回動方向R1の運動に変換する機構である。なお、モータMの回動軸P1は回動方向R1に回動するものである。
【0083】
図1及び
図5~
図7に示すように、第1変換機構70は、原動ギア72及び従動ギア75を備える間欠駆動機構71と、第1ラックギア76と、複数のピニオンギア77とを有している。
【0084】
原動ギア72は、回動軸P1に連結されて同回動軸P1を中心にモータMの回動に連動して連続的に回動するものである。
図5~
図7に示すように、原動ギア72は、ギア本体72Aと、欠け円板73と、第1ピン74とを有している。
【0085】
ギア本体72Aは、周方向(回動方向R1)に並んで設けられる複数の歯72aを有している。
欠け円板73は、ギア本体72Aよりも径の小さい円板であり、ギア本体72Aと同軸上に一体形成されている。
【0086】
欠け円板73は、外周面に凹面73aと、凹面73a以外の部分である一般面73bとを有している。
第1ピン74は、ギア本体72Aから短手方向Zの一側(
図5の紙面直交方向における手前側)に向かって突出している。
【0087】
第1ピン74は、径方向において欠け円板73よりも外側に配置されている。より詳しくは、第1ピン74は、欠け円板73の凹面73aと径方向において対応する位置に設けられている。
【0088】
凹面73a及び第1ピン74は、回動軸P1を挟んでギア本体72Aの複数の歯72aとは反対側に配置されている。
従動ギア75は、原動ギア72に噛合して同原動ギア72により間欠駆動されるものである。
【0089】
従動ギア75は、下流側リテーナ30の開口部35内に収容され(
図1参照)、回動軸P1と平行に延びる回動軸P2を中心に回動方向R1に回動するように構成されている。
以下、従動ギア75の形状についてより詳細に説明する。
【0090】
図5~
図7に示すように、従動ギア75の外周面には、第1凸面75a、第2凸面75b、及び一対の第3凸面75cと、第1溝部75d及び第2溝部75eと、一対の第1凹面75f及び一対の第2凹面75gとを有している。
【0091】
第2凸面75bは、第1凸面75aと回動軸P2を挟んで反対側に位置している。第2凸面75bは、第1凸面75aよりも回動軸P2から径方向に離れた位置に設けられている。
【0092】
一対の第3凸面75cは、周方向において第1凸面75aと第2凸面75bとの間に位置している。
第1溝部75dは、第1凸面75aの突端から回動軸P2に向かって延びている。
【0093】
第2溝部75eは、第2凸面75bの突端から回動軸P2に向かって延びている。
一対の第1凹面75fは、第1凸面75aと一対の第3凸面75cとの間に位置している。
【0094】
一対の第2凹面75gは、第2凸面75bと一対の第3凸面75cとの間に位置している。
図5~
図7に示すように、従動ギア75は、第1溝部75d内に原動ギア72の第1ピン74が収容されるとともに、原動ギア72が回動する際に第1ピン74が第1溝部75d内を摺動することで、回動軸P2を中心に回動するように構成されている。
【0095】
なお、
図6に示すように、原動ギア72の凹面73aは、従動ギア75が回動する際に第1凸面75aを逃がすように機能する。
一方で、
図5及び
図7に示すように、従動ギア75は、原動ギア72と噛合しない、すなわち第1ピン74が第1溝部75d内に収容されない間、一対の第1凹面75fのいずれか一方が一般面73bに沿って滑ることで、原動ギア72の回動に合わせて回動しないように構成されている。
【0096】
なお、以降では、モータMの回動に連動して原動ギア72が
図5に実線で示す位置から回動方向R1の一側に回動して
図5の二点鎖線にて示す位置(原動ギア72と従動ギア75とが噛合を開始する位置)まで回動する間を第1位相として説明する。また、
図6に示すように、原動ギア72と従動ギア75とが噛合する間を第2位相して説明する。また、モータMの回動に連動して原動ギア72が
図7に二点鎖線で示す位置(原動ギア72と従動ギア72とが噛合を終える位置)から回動方向R1の一側に回動して
図7の実線にて示す位置まで回動する間を第3位相として説明する。
【0097】
図1及び
図3に示すように、第1ラックギア76は、長手方向Yに延びる平板状であり、アウタリテーナ31の第1外壁部33aとインナリテーナ36の第1内壁部37Aとの間に収容されている。
【0098】
第1ラックギア76は、ギア本体76Aと、第1ガイド孔76bと、第2ピン76cとを有している。
ギア本体76Aは、流れ方向Xの上流側の縁部において長手方向Yに並んで設けられる複数の歯76aを有している。
【0099】
第1ガイド孔76bは、長手方向Yに長い孔である。
第1ガイド孔76bは、複数の第1ガイド凸部37cの各々と対応する位置に1つずつ設けられて第1ガイド凸部37cを収容している。これにより、第1ラックギア76は、第1内壁部37Aに対して長手方向Yにスライド可能に支持されている。
【0100】
第2ピン76cは、ギア本体76Aから短手方向Zの一側(
図3の上側)に突出している。第2ピン76cは、開口部35と対応する位置に配置されている(
図1参照)。
図5~
図7に示すように、第1ラックギア76は、第2溝部75e内に第1ラックギア76の第2ピン76cが収容されるとともに、従動ギア75が回動する際に第2ピン76cが第2溝部75e内を摺動することで、長手方向Yに直線運動するように構成されている。
【0101】
図1及び
図5~
図7に示すように、ピニオンギア77は、アウタリテーナ31の第1外壁部33aとインナリテーナ36の第1内壁部37Aとの間に収容されており、第1ラックギア76の複数の歯76aに噛合する複数の歯77aを有している。
【0102】
図1及び
図3に示すように、ピニオンギア77は、複数の上流フィン40の各々に取り付けられている。より詳しくは、ピニオンギア77は、第1フィン軸41の一端41aに一体形成されている。これにより、第1ラックギア76が長手方向Yに直線運動した際に、複数のピニオンギア77及び複数の上流フィン40が各々の第1フィン軸41を中心に回動方向R1に回動される。
【0103】
ピニオンギア77の複数の歯77aの歯数は、複数の上流フィン40のフィン本体42が
図5に示すフィンシャット位置と、
図7に示す傾斜位置との間を回動可能となるように設定されている。
【0104】
図5及び
図6に示すように、第1変換機構70は、原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動する間に原動ギア72と従動ギア75とが噛合することにより、複数の上流フィン40をフィンシャット位置から回動方向R1に回動させるように構成されている。
【0105】
また、
図6及び
図7に示すように、第1変換機構70は、原動ギア72が第2位相から第3位相まで回動する間に、原動ギア72と従動ギア75とが噛合しないことで複数の上流フィン40の回動を停止させるように構成されている。
【0106】
<規制機構80A>
図1及び
図8~
図10に示すように、規制機構80Aは、第2ラックギア81と、ねじりコイルばね82とを有している。
【0107】
第2ラックギア81は、ギア本体81Aと、第2ガイド孔81bとを有している。
ギア本体81Aは、流れ方向Xの下流側の縁部において長手方向Yに並ぶ複数の歯81aを有している。
【0108】
複数の歯81aは、原動ギア72の複数の歯72aに噛合している。
第2ガイド孔81bは、長手方向Yに長い孔である。
第2ガイド孔81bは、一対の第2ガイド凸部23の各々と対応する位置に1つずつ設けられて第2ガイド凸部23を収容している。これにより、第2ラックギア81は、第1壁部21aに対して長手方向Yにスライド可能に支持されている。
【0109】
図8~
図10に示すように、ねじりコイルばね82は、コイル部83と、コイル部83から延びる第1腕部84及び第2腕部85とを有している。
第1腕部84の先端部84aは、第2ラックギア81に連結されている。より詳しくは、先端部84aは、長手方向Yにおけるギア本体81Aの中央部に連結されている。
【0110】
第2腕部85の先端部85aは、スライドカバー60に連結されている。より詳しくは、先端部85aは、長手方向Yにおいてカバー本体61の他側(
図8~
図10の左右方向における左側)に連結されている。
【0111】
規制機構80Aは、原動ギア72が第1位相から第2位相に回動される間、第2ラックギア81が長手方向Yの一側(
図8~
図10の右側)にスライド駆動するのに伴って、ねじりコイルばね82に対してコイル部83の巻き込み方向に負荷がかかるように構成されている。
【0112】
ここで、
図9に示すように、ねじりコイルばね82は、巻き込み方向に負荷がかかった際、第1腕部84と第2腕部85とのなす角度θが自由時における角度θ1からねじり角度θ2の分だけ小さくされる。また、ねじりコイルばね82は、角度θ2が所定のねじり角度まで巻き込まれる間、コイル部83の巻き戻し方向への弾性力を蓄積する。
【0113】
図8及び
図9に示すように、規制機構80Aは、上述したねじりコイルばね82の特性を利用して、角度θ2が所定の角度を迎えるまでの間、ねじりコイルばね82に弾性力を蓄積させることで、スライドカバー60が閉位置から開位置にスライド駆動されることを規制するように構成されている。
【0114】
一方で、
図10に示すように、規制機構80Aは、角度θ2が所定のねじり角度になると、上記弾性力の作用によりスライドカバー60が閉位置から開位置にスライド駆動されることを許容するように構成されている。
【0115】
規制機構80Aは、原動ギア72が第2位相から第3位相に回動される間に、角度θ2が上記所定の角度になるように構成されている。
本実施形態では、規制機構80Aと、原動ギア72の複数の歯72aとによって、モータMの回動をスライドカバー60の駆動する長手方向Yの直線運動に変換する機構である第2変換機構80が構成されている。
【0116】
次に、第1実施形態の作用効果について説明する。
(1-1)空調用レジスタ100は、モータMの回動を複数の上流フィン40が回動する回動方向R1の運動に変換する第1変換機構70と、モータMの回動をスライドカバー60が可動する長手方向Yの運動に変換する第2変換機構80とを備えている。
【0117】
こうした構成によれば、第1変換機構70及び第2変換機構80により1つのモータMの回動が回動方向R1の運動と、長手方向Yの運動に変換されることで複数の上流フィン40及びスライドカバー60が駆動される。したがって、複数のモータMにより複数の上流フィン40及びスライドカバー60を駆動させる場合に比べて、空調用レジスタ100の体格の増大を抑えることができる。
【0118】
(1-2)第1変換機構70は、モータMの回動に連動して連続的に回動する原動ギア72と、原動ギア72により間欠駆動される従動ギア75とを備える間欠駆動機構71を含んでいる。
【0119】
こうした構成によれば、間欠駆動機構71を含む第1変換機構70では、モータMの回動が原動ギア72及び従動ギア75を介して複数の上流フィン40が回動する回動方向R1への運動に変換される。したがって、複数の上流フィン40を間欠的に駆動させることができる。
【0120】
(1-3)第1変換機構70は、第1ラックギア76と、複数の上流フィン40の各々に設けられ、第1ラックギア76に噛合する複数のピニオンギア77とを備えている。第1変換機構70は、モータMの回動を第1ラックギア76の直線運動を介して複数のピニオンギア77の回動に変換することによって、複数の上流フィン40を回動方向R1に回動させるように構成されている、
こうした構成によれば、第1変換機構70によりモータMの回動が長手方向Yにおける第1ラックギア76の直線運動を介して複数のピニオンギア77の回動に変換される。これにより、複数の上流フィン40が各々の第1フィン軸41を中心に回動方向R1に回動される。したがって、リテーナ10から吹き出される空調用空気Aの風向をモータMの駆動力により容易に変更できる。
【0121】
(1-4)リテーナ10は、貫通孔26を有している。第2変換機構80は、モータMの回動を長手方向Yの直線運動に変換することで貫通孔26を閉じる閉位置から貫通孔26を開く開位置までスライドカバー60をスライド駆動させる。スライドカバー60は、薬剤としての芳香剤Fを収容するとともに、スライドカバー60が開位置にあるときに貫通孔26を介して通風路10Aと連通する収容部62を備えている。
【0122】
こうした構成によれば、第2変換機構80によりモータMの回動が長手方向Yの直線運動に変換されることでスライドカバー60が長手方向Yにスライド駆動される。これにより、スライドカバー60は、閉位置から開位置までスライド駆動される。ここで、開位置のスライドカバー60においては、芳香剤Fを収容する収容部62と通風路10Aとが隙間部66及び貫通孔26を介して連通している。そのため、芳香剤Fの香りが貫通孔26を介して通風路10Aに流入するようになる。したがって、リテーナ10から吹き出される空調用空気Aに対して芳香剤Fの香りを付与することができる。
【0123】
(1-5)第1変換機構70は、原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動する間に、原動ギア72と従動ギア75とが噛合することにより複数の上流フィン40を回動方向R1に回動させるように構成されている。一方で、第1変換機構70は、原動ギア72が第2位相から、第1位相とは反対側の第3位相まで回動する間に、原動ギア72と従動ギア75とが噛合しないことで複数の上流フィン40の回動を停止させるように構成されている。第2変換機構80の規制機構80Aは、原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動される間は、スライドカバー60が閉位置から開位置にスライド駆動されることを規制する。一方で、規制機構80Aは、原動ギア72が第2位相から第3位相まで回動される間は、スライドカバー60が閉位置から開位置にスライド駆動されることを許容する。
【0124】
こうした構成によれば、モータMの回動に連動して原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動する間、原動ギア72と従動ギア75とが噛合する。これにより、原動ギア72の回動が従動ギア75を介して長手方向Yにおける第1ラックギア76の直線運動に変換される。その結果、複数の上流フィン40が各々の第1フィン軸41を中心に回動方向R1に回動される。このとき、第2変換機構80では、原動ギア72の回動は第2ラックギア81の長手方向Yの直線運動に変換され続ける一方で、ねじりコイルばね82によりスライドカバー60が閉位置から開位置までスライド駆動されることが規制される。
【0125】
続いて、原動ギア72が第2位相から第3位相まで回動される間、原動ギア72と従動ギア75とが噛合しないため、従動ギア75の回動が停止する。これにより、複数の上流フィン40の回動が停止される。このとき、スライドカバー60は、規制機構80Aにより閉位置から開位置にスライド駆動することが許容される。
【0126】
したがって、1つのモータMだけで、複数の上流フィン40を駆動させてリテーナ10からの空調用空気Aの風向を変更することと、スライドカバー60を開位置にして同空調用空気Aに芳香剤Fの香りを付与することとを各別に行うことができる。
【0127】
(1-6)ピニオンギア77の歯数は、フィンシャット位置まで上流フィン40が回動可能となるように設定されている。第1変換機構70は、モータMの回動に連動して原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動するとき、原動ギア72と従動ギア75とが噛合することにより複数の上流フィン40をフィンシャット位置から回動させるように構成されている。
【0128】
こうした構成によれば、複数の上流フィン40がフィンシャット位置まで回動されることで、互いに当接して重なり合うフィン同士により通風路10Aが塞がれるため、リテーナ10からの空調用空気Aの吹き出しが停止される。また、モータMの回動に連動して原動ギア72が第1位相から第2位相まで回動すると、複数の上流フィン40がフィンシャット位置から各々の第1フィン軸41を中心に回動方向R1に回動される。これにより、リテーナ10からの空調用空気Aの吹き出しが開始されるとともに、同空気Aの風向が変更される。したがって、リテーナ10からの空調用空気Aの吹き出しを開始し、且つその風向を変更することと、スライドカバー60を開位置にして同空調用空気Aに芳香剤Fの香りを付与することとを各別に行うことができる。
【0129】
(1-7)第2変換機構80は、モータMの回動を原動ギア72の回動を介して長手方向Yの直線運動に変換することでスライドカバー60を閉位置から開位置までスライド駆動させるように構成されている。
【0130】
こうした構成によれば、モータMの回動が第1変換機構70の原動ギア72を介して第2変換機構80に伝達されることで長手方向Yの直線運動に変換される。これにより、モータMの回動に連動して回動することでモータMの回動を伝達する手段を第2変換機構80に個別に設ける必要がない。したがって、第2変換機構80の構成を簡単にすることができる。
【0131】
<第2実施形態>
次に、
図11~
図24を参照して、空調用レジスタの第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または対応する構成については、第1実施形態の各符号「**」に「100」を加算した符号「1**」を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0132】
<空調用レジスタ200の基本構成>
図11に示すように、空調用レジスタ200は、リテーナ110の外側に取り付けられた第1変換機構270と、第2変換機構280とを備えている。
【0133】
なお、第2実施形態では、複数の上流フィン140及び複数の下流フィン150が本発明に係る可動部材に相当する。
以下、各構成について説明する。
【0134】
<第1変換機構270>
図11に示すように、第1変換機構270は、スコッチヨーク機構271と、第1ラックギア176と、複数のピニオンギア177とを有している。
【0135】
スコッチヨーク機構271は、下流側リテーナ130の開口部135内に収容されるギア部272及びU字状のロッド部275を有している。
図15及び
図16に示すように、ギア部272は、回動軸P1と平行に延びる回動軸P3を中心に回動方向R1に回動するものであり、ギア本体272Aと、円板部273と、第1ガイド凸部274とを有している。
【0136】
ギア本体272Aは、外周面に周方向(回動方向R1)に並んで設けられる複数の歯272aを有している。複数の歯272aは、ギア本体272Aの外周面に周方向の全体にわたって設けられている。
【0137】
円板部273は、ギア本体272Aよりも径の大きい円板であり、ギア本体272Aと同軸上に一体に形成されている。
第1ガイド凸部274は、円板部273から短手方向Zの他側(
図15及び
図16の紙面直交方向における奥側)に向かって突出している。
【0138】
図11に示すように、ロッド部275は、流れ方向Xに延びるガイド孔276を有している。ガイド孔276の下流側に連なるロッド部275の開口276aは、開口部135により塞がれている。
【0139】
図15及び
図16に示すように、ガイド孔276は、ギア部272の第1ガイド凸部274を収容している。
ロッド部275の下流側の一対の先端部275aは、ともに第1ラックギア176のギア本体176Aに一体に連結されている。詳しくは、先端部275aは、短手方向Zにおいて第1ラックギア176の一側(
図15及び
図16の紙面直交方向における手前側)の面に一体に連結されている。
【0140】
スコッチヨーク機構271は、ガイド孔276内に第1ガイド凸部274が収容されるとともに、ギア部272が回動する際に第1ガイド凸部274がガイド孔276内を摺動することで、ロッド部275が長手方向Yに直線運動するように構成されている。
【0141】
<第2変換機構280>
図11に示すように、第2変換機構280は、モータMの回動方向R1の回動を複数の下流フィン150の各々が回動する回動方向R2の運動に変換する機構である。なお、第2実施形態においては、回動方向R2が本発明に係る第2方向に相当する。
【0142】
第2変換機構280は、原動ギア282、中間ギア283、及び従動ギア286を備える間欠駆動機構281と、下流フィン駆動機構290と、回動面変換機構287とを有している。
【0143】
図11及び
図17に示すように、原動ギア282は、回動軸P1に連結されて同回動軸P1を中心にモータMの回動に連動して連続的に回動する歯車である。
図15及び
図16に示すように、原動ギア282は、ギア部272の複数の歯272aに噛合している。
【0144】
図11及び
図17に示すように、中間ギア283は、回動軸P1と平行に延びる回動軸P4を中心に回動方向R1に回動可能に支持されている。中間ギア283は、ギア本体283aと、円板部283bと、欠け円板284と、一対のピン285とを有している。
【0145】
ギア本体283a、円板部283b、及び欠け円板284は、同軸上に一体に形成されている。ギア本体283aは、原動ギア282よりも径の小さい歯車であり、原動ギア282に噛合している。
【0146】
円板部283b及び欠け円板284は、ともにギア本体283aよりも径の大きい円板である。
欠け円板284は、外周面に一対の凹面284aと、一対の凹面284a以外の一対の一般面284bとを有している。凹面284aの一方は、回動軸P4を挟んで他方の凹面284aとは反対側に配置されている。すなわち、一対の凹面284aは、互いに周方向において180度離れた位置に設けられている。
【0147】
一対のピン285は、円板部283bから短手方向Zの他側(
図11の奥側)に向かって突出している。
ピン285の各々は、欠け円板284の一対の凹面284aの各々と径方向において対応する位置に設けられている。すなわち、一対のピン285は、互いに周方向において180度離れた位置に設けられている。
【0148】
図11及び
図17に示すように、従動ギア286は、中間ギア283を介して原動ギア282により間欠駆動されるものである。従動ギア286は、回動軸P1と平行に延びる回動軸P5を中心に回動方向R1に回動可能に支持されている。
【0149】
従動ギア286は、第1ギア部286Aと、第2ギア部286Bとを有している。
第1ギア部286Aは、中間ギア283に噛合するものであり、複数の凸面286aと、放射状溝286bと、複数の凹面286cとを有している。
【0150】
複数の凸面286aは、周方向において第1ギア部286Aの外周面に等間隔に並んで設けられている。本実施形態では、6つの凸面286aが設けられている。
放射状溝286bは、複数の凸面286aの各々の突端から回動軸P5に向かって延びている。
【0151】
複数の凹面286cは、周方向において隣り合う凸面286a同士の間に位置している。
第2ギア部286Bは、第1ギア部286Aよりも径の小さい歯車であり、第1ギア部286Aと同軸上に一体に形成されている。
【0152】
図17に示すように、従動ギア286は、放射状溝286b内に中間ギア283のピン285が収容されるとともに、中間ギア283が回動する際にピン285が放射状溝286b内を摺動することで、回動軸P5を中心に回動するように構成されている。
【0153】
なお、中間ギア283の一対の凹面284aは、従動ギア286が回動する際に複数の凸面286aを逃がすように機能する。
一方で、
図11に示すように、従動ギア286は、中間ギア283と噛合しない、すなわちピン285が放射状溝286b内に収容されない間、凹面286cが一般面284bに沿って滑ることで、中間ギア283の回動に合わせて回動しないように構成されている。
【0154】
本実施形態では、間欠駆動機構281は、中間ギア283が回動方向R1に半回転するごとに、従動ギア286が回動方向R1に60度回転されるように構成されている。
<下流フィン駆動機構290>
次に、第2変換機構280の下流フィン駆動機構290について説明する。
【0155】
図12に示すように、下流フィン駆動機構290は、アーム部291と、一対の第1駆動ギア293,294と,一対の第2駆動ギア295,296と、連結部297とを備えている。
【0156】
図11及び
図12に示すように、アーム部291は、アウタリテーナ131の第2外壁部133bに対して回動軸P7を中心に回動方向R2に回動可能に支持されている。
アーム部291は、係合凸部292を有している。
【0157】
係合凸部292は、アーム部291の上流側の端部291aから長手方向Yの他側(
図11の左右方向における左側)に向かって突出している。なお、端部291aが本発明に係るアーム部の延在方向の他端に相当する。
【0158】
図11、及び
図12~
図14に示すように、一対の第1駆動ギア293,294は、第1下流フィン151,152を回動方向R2に回動させるものであり、第2フィン軸151a,152aの端部に固定されている。
【0159】
一対の第2駆動ギア295,296は、第2下流フィン153,154を回動方向R2に回動させるものであり、第2フィン軸153a,154aの端部に固定されている。
第1駆動ギア293と第2駆動ギア296とが互いに噛合している(
図14参照)。
【0160】
第1駆動ギア294と第2駆動ギア295とが互いに噛合している(
図13参照)。
一対の第2駆動ギア295,296には、突起295a,296aが設けられている。
突起295a,296aは、長手方向Yの一側(
図12の紙面直交方向の手前側)に向かって突出している。
【0161】
図11及び
図12に示すように、連結部297は、アーム部291の下流側の端部291bに固定されている。なお、端部291bが本発明に係るアーム部の延在方向の一端に相当する。
【0162】
図12~
図14に示すように、連結部297は、一対の第2ガイド孔297a,297bを有している。一対の第2ガイド孔297a,297bは、それぞれ突起295a,296aを収容している。これにより、連結部297は、アーム部291と、一対の第2駆動ギア295,296とを連結している。
【0163】
<回動面変換機構287>
次に、第2変換機構280の回動面変換機構287について説明する。
図11及び
図12に示すように、回動面変換機構287は、扇形ギア288と、プレート部289とを有している。
【0164】
扇形ギア288は、回動軸P1に平行な回動軸P6を中心に回動方向R1に回動可能に支持されている。扇形ギア288は、従動ギア286の第2ギア部286Bに噛合している。扇形ギア288が本発明に係る第1ギアに相当する。
【0165】
プレート部289は、回動軸P6を中心に扇形ギア288と一体に回動方向R1に回動可能に設けられている。
プレート部289は、支持部289aと、プレート本体289bとを有している。
【0166】
支持部289aは、プレート本体289bを支持するものであり、回動軸P6から扇形ギア288とは反対側に延びている。
プレート本体289bは、支持部289aの先端に連結されている。プレート本体289bは、回動方向R1に沿って湾曲している(
図11参照)。
【0167】
図12に示すように、プレート本体289bには、長孔289cが設けられている。長孔289cは、プレート本体289bの一対の対角線のうち、流れ方向Xの上流側ほど短手方向Zの一側(
図12の上下方向における上側)に位置するように傾斜する対角線(図示略)に沿って延びている。
【0168】
長孔289cは、アーム部291の係合凸部292を収容している。
図12、
図19、及び
図22に示すように、長孔289cは、扇形ギア288の回動に連動してプレート部289が回動方向R1に回動する際に係合凸部292を摺動させることで、アーム部291を回動軸P7を中心に回動方向R2に回動させるように構成されている。
【0169】
ここで、本実施形態では、第2変換機構280の各構成が
図11~
図14に示す位置にあるとき、複数の下流フィン150は
図3に示す中立位置にあるものとする。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0170】
モータMの回動に連動して原動ギア282が回動すると、第1変換機構270のスコッチヨーク機構271では、原動ギア282に噛合するギア部272が回動方向R1に回動する。
図15及び
図16に示すように、ギア部272が原動ギア282の回動に伴って回動すると、ロッド部275が長手方向Yにスライド駆動する。ここで、ロッド部275の先端部275aは、第1ラックギア176のギア本体176Aに一体に連結されている。そのため、第1ラックギア176は、ロッド部275と一体に長手方向Yにスライド駆動する。すなわち、スコッチヨーク機構271によって、原動ギア282の回動が第1ラックギア176の長手方向Yの直線運動に変換される。これにより、複数の上流フィン140が各々の第1フィン軸141を中心に回動方向R1に回動される。その結果、リテーナ110から吹き出される空調用空気Aの風向が、長手方向Y(
図15及び
図16における左右方向)において変更される。
【0171】
一方、第2変換機構280では、モータMの回動に連動して原動ギア282が回動すると、中間ギア283を介して従動ギア286が回動されることにより扇形ギア288が回動する。例えば、
図11及び
図18に示すように、扇形ギア288が回動方向R1の一側に回動すると、
図19に示すように、アーム部291の係合凸部292が
図12に示す中間位置から長孔289c内を一端側に向けて摺動する。そのため、アーム部291が回動軸P7を中心に回動方向R2の一側に回動する。このとき、第2駆動ギア295の突起295aは、第2ガイド孔297aの短手方向Zの一側(
図12及び
図19の上下方向における上側)の内周面により短手方向Zの他側(
図12及び
図19の下側)に向けて押圧される。そのため、第2駆動ギア295が
図13に示す位置から
図19に示す位置まで第2フィン軸153aを中心に回動方向R2の一側に回動される。また、第2駆動ギア295に噛合する第1駆動ギア294が第2フィン軸152aを中心に回動方向R2の他側に回動される。これにより、第1下流フィン152及び第2下流フィン153が、中立位置から
図20に示す傾斜位置まで回動される。その結果、リテーナ110から吹き出される空調用空気Aの風向が、短手方向Zの一側(
図20の上下方向における上側)に向けて変更される。
【0172】
また、第2変換機構280では、例えば、
図11及び
図21に示すように、扇形ギア288が回動方向R1の他側に回動すると、
図22に示すように、アーム部291の係合凸部292が
図12に示す中間位置から長孔289c内を他端側に向けて摺動する。そのため、アーム部291が回動軸P7を中心に回動方向R2の他側に回動する。このとき、第2駆動ギア296の突起296aは、第2ガイド孔297bの短手方向Zの他側(
図12及び
図22の上下方向における下側)の内周面により短手方向Zの一側(
図12及び
図22の上側)に向けて押圧される。そのため、第2駆動ギア296が
図14に示す位置から
図22に示す位置まで第2フィン軸154aを中心に回動方向R2の他側に回動される。また、第2駆動ギア296に噛合する第1駆動ギア293が第2フィン軸151aを中心に回動方向R2の一側に回動される。これにより、第1下流フィン151及び第2下流フィン154が、中立位置から
図23に示す傾斜位置まで回動される。その結果、リテーナ110から吹き出される空調用空気Aの風向が、短手方向Zの他側(
図23の上下方向における下側)に向けて変更される。
【0173】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)空調用レジスタ200は、可動部材としての複数の下流フィン150を有している。第2変換機構280は、モータMの回動を回動方向R2の回動に変換することで複数の下流フィン150を駆動させる。
【0174】
こうした構成によれば、第2変換機構280によりモータMの回動が回動方向R2の回動に変換されることで複数の下流フィン150が回動方向R2に回動される。したがって、リテーナ10から吹き出される空調用空気Aの風向をモータMの駆動力により一層容易に変更できる。
【0175】
(2-2)第2変換機構280は、モータMの回動に連動して連続的に回動する原動ギア282と、中間ギア283と、中間ギア283を介して原動ギア282により間欠駆動される従動ギア286とを備える間欠駆動機構281を含む。第2変換機構280は、中間ギア283が所定の角度回動されるごとに従動ギア286が間欠駆動されることにより複数の下流フィン150を回動方向R2に回動させるように構成されている。
【0176】
こうした構成によれば、モータMの回動に連動して中間ギア283が所定の角度回動されるごとに、中間ギア283と従動ギア286とが噛合する。これにより、中間ギア283の回動が従動ギア286を介して回動方向R2の回動に変換される。その結果、複数の下流フィン150が回動方向R2に回動される。また、中間ギア283と従動ギア286とが噛合しない間は、従動ギア286の回動は停止する。すなわち、複数の下流フィン150の回動は停止される。
【0177】
一方で、複数の上流フィン140は、モータMが回動する間、第1変換機構270により同モータMの回動が回動方向R1の回動に変換され続けるため、回動方向R1に連続的に回動される。
【0178】
したがって、1つのモータMだけで、上流フィン140のみを駆動させる態様(駆動態様1)と、上流フィン140及び下流フィン150の双方を駆動させる態様(駆動態様2)とを各別に行うことができる。
【0179】
なお、
図24には、リテーナ110から車室内に向けて吹き出される空調用空気Aの風向について、上述した駆動態様により描かれる軌道Lの一例を車室内の乗員Cを基準にして示している。駆動態様1の場合、長手方向Yに延びる軌道L1を描くこととなる。一方で、駆動態様2の場合、軌道L1に対して傾斜する軌道L2を描くこととなる。本実施形態の空調用レジスタ200においては、モータMの回動に連動して原動ギア282が連続的に回動する間、軌道L1と軌道L2とが交互に繰り返されることで一連の軌道Lを描くこととなる。
【0180】
また、上記構成によれば、上記所定の角度を変更することで、駆動態様1と駆動態様2とが切り替わるタイミングが変更される。したがって、原動ギア282が回動される間の空調用空気Aの風向の軌道Lを適宜変更できる。
【0181】
(2-3)第1変換機構270は、モータMの回動を原動ギア282の回動を介して長手方向Yにおける第1ラックギア176の直線運動に変換することで複数の上流フィン140を回動方向R1に回動させるように構成されている。
【0182】
こうした構成によれば、モータMの回動が第2変換機構280の原動ギア282を介して長手方向Yにおける第1ラックギア176の直線運動に変換される。これにより、複数のピニオンギア177が回動されるため、複数の上流フィン140が回動方向R1に回動される。その結果、モータMの回動に連動して回動することで同モータMの回動を伝達する手段を第1変換機構270に個別に設ける必要がない。したがって、第1変換機構270の構成を簡単にすることができる。
【0183】
(2-4)第2変換機構280は、アーム部291と、複数の下流フィン150を回動方向R2に回動させる複数の駆動ギア293,294,295,296と、連結部297とを備える下流フィン駆動機構290を備えている。また、第2変換機構280は、扇形ギア288と、扇形ギア288と一体に回動方向R1に回動可能に設けられたプレート部289とを有する回動面変換機構287を備えている。アーム部291には、係合凸部292が設けられている。プレート部289には、係合凸部292が摺動されることで下流フィン駆動機構290を回動方向R2に回動させるように構成された長孔289cが形成されている。
【0184】
こうした構成によれば、モータMの回動方向R1の回動が、長孔289cを有するプレート部289の回動方向R1の回動と、それに伴う係合凸部292の長孔289cにおける摺動とによって、下流フィン駆動機構290の回動方向R2の回動に変換される。したがって、第2変換機構280を回動面変換機構287と、下流フィン駆動機構290とによって容易に具体化することができる。
【0185】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0186】
・空調用レジスタ200は、乗員Cが車室内のタッチセンサパネルに映し出された画像としての軌道L上の任意の箇所を選択することで、モータMを回動させて実際の軌道L上の上記箇所と対応する箇所に風向を変更するように構成されたものであってもよい。
【0187】
・第1変換機構270は、原動ギア282とギア部272との間に、ギア部272と噛合するとともに原動ギア282の回動に連動して連続的に回動するギアを別途有するものであってもよい(変更1)。
【0188】
・第1変換機構270は、ギア部272が第2変換機構280の原動ギア282に噛合するものに限定されない。第1変換機構270は、モータMの回動に連動して回動することで同モータMの回動をギア部272の回動に変換する手段を個別に有していてもよい。
【0189】
・本発明に係る第1ギアは、第2実施形態に例示した扇形ギア288に限定されず、回動面変換機構287に適用できる範囲で適宜形状を変更してもよい。
・間欠駆動機構281は、原動ギア282、中間ギア283、及び従動ギア286により構成されるものに限定されない。例えば、原動ギア282と中間ギア283との間に1つまたは複数のギアを別途設けるようにしてもよい。また、複数のギアを設ける場合、当該複数のギアは、原動ギア282の回動に連動して連続的に回動するギアと、当該ギアにより間欠駆動されるギアとを含むものであってもよい。
【0190】
こうした構成によれば、上記変更1と組み合わせることで、モータMの配置を適宜変更することができる。
・間欠駆動機構281は、第2実施形態で例示したように、中間ギア283が180度回動するごとに、従動ギア286が60度回動するものでなくてもよい。中間ギア283のピン285の数と従動ギア286の放射溝の数とを変更することで、双方のギアが噛合するタイミングを変更してもよい。
【0191】
こうした構成によれば、軌道L1と軌道L2との切り替わるタイミングを任意に変更することができる。
・第2実施形態では、モータMにより駆動される複数の可動部材として複数の上流フィン140と複数の下流フィン150とを例示したが、空調用レジスタ200が備える複数の可動部材はこれらに限定されない。例えば、第1実施形態に例示した第2ラックギア81を原動ギア282を介して駆動させるようにすることで、モータMにより駆動される複数の可動部材としてスライドカバーを含めることもできる。
【0192】
・第2変換機構280は、間欠駆動機構281を含んでいなくてもよい。
・複数の下流フィン50は、第2実施形態に示した複数の下流フィン150のようにモータMにより駆動されるものであってもよいし、操作ノブ等を別途設けることにより手動で駆動されるものであってもよい。
【0193】
・第2変換機構80は、原動ギア72と第2ラックギア81との間に、第2ラックギア81と噛合するとともに原動ギア72の回動に連動して連続的に回動するギアを別途有するものであってもよい(変更2)。
【0194】
・第2変換機構80は、第2ラックギア81が第1変換機構70の原動ギア72に噛合するものに限定されない。第2変換機構80は、モータMの回動に連動して回動することで同モータMの回動を第2ラックギア81の長手方向Yの直線運動に変換する手段を個別に有していてもよい。
【0195】
・間欠駆動機構71は、原動ギア72及び従動ギア75により構成されるものに限定されない。例えば、回動軸P1に連結されて回動軸P1を中心に回動するギアと従動ギア75との間に1つまたは複数のギアを別途設けるようにしてもよい。この場合、従動ギアと噛合するギアの形状を原動ギア72と同様の形状にすればよい。また、複数のギアを設ける場合、当該複数のギアは、アクチュエータの回動に連動して連続的に回動するギアと、当該ギアにより間欠駆動されるギアとを含むものであってもよい。
【0196】
こうした構成によれば、上記変更2と組み合わせることで、モータMの配置を適宜変更できる。
・複数の上流フィン40は、隣り合うフィン本体42同士が互いに重なり合うフィンシャット位置まで回動可能なものでなくてもよい。
【0197】
・本発明に係る薬剤は、第1実施形態で例示した芳香剤Fに限定されず、例えば消臭剤や防虫剤等を用いてもよい。
・第1変換機構70は、間欠駆動機構71を含んでいなくてもよい。
【0198】
・本発明に係るアクチュエータは、本実施形態で例示した回動方向R1に回動する回動軸を有するモータMに限定されない。例えば、回動方向R2に回動する回動軸を有するモータであってもよい。また、本発明に適用できる範囲であれば、モータ以外の任意のアクチュエータを用いてもよい。
【0199】
・本発明に係る複数の可動部材は、第1実施形態で例示した複数の上流フィン40及びスライドカバー60、または第2実施形態で例示した複数の上流フィン140及び複数の下流フィン150の組み合わせに限定されない。例えば、リテーナに対して長手方向Yにスライド可能に支持され、貫通孔を開閉するスライドカバーと、第2フィン軸を中心に回動方向R2に回動可能に設けられた複数の下流フィンとの組み合わせにより具体化することもできる。この場合、長手方向Yが本発明に係る第1方向に相当し、回動方向R2が本発明に係る第2方向に相当する。
【0200】
・2種類以上の可動部材を有する空調用レジスタであれば本発明を適用することができる。この場合、各可動部材に対応する変換機構を設けるようにすればよい。また、この場合、複数の変換機構のうち任意の変換機構に対して間欠駆動機構を含ませるようにしてもよい。なお、上記実施形態で例示したもの以外の可動部材としては、例えば吹出口からの空調用空気の吹出し量を調整するためのシャットダンパが挙げられる。
【符号の説明】
【0201】
A…空調用空気
M…モータ
10,110…リテーナ
10A…通風路
40,140…上流フィン
50,150…下流フィン
60…スライドカバー
62…収容部
70…第1変換機構
71…間欠駆動機構
80…第2変換機構
80A…規制機構
100,200…空調用レジスタ
270…第1変換機構
280…第2変換機構
281…間欠駆動機構
287…回動面変換機構
290…下流フィン駆動機構