(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165547
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A47J27/00 109B
A47J27/00 109M
A47J27/00 109P
A47J27/00 109Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081826
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 優司
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055AA08
4B055BA05
4B055CD42
4B055CD73
4B055GB11
4B055GD02
(57)【要約】
【課題】本発明は、内蔵時計が時刻情報を持たない場合と時刻情報を持つ場合とで、予約設定を変更できる電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器10は、非通電時に計時機能のバックアップ電源を持たない内蔵時計61と、外部機器70に接続して現在時刻情報を取得し、内蔵時計の現在時刻を設定する時刻取得手段62と、操作部50と、予約設定の時間が到来すると作動又は作動完了する処理手段22と、制御装置60と、を具える電子機器であって、制御装置は、時刻取得手段が、外部機器に接続できず、内蔵時計が時刻情報を持たない場合、予約設定を時間入力として現時点から減算するタイマー予約設定とし、時刻取得手段が、外部機器に接続して現在時刻情報を取得でき、内蔵時計が時刻情報を持つ場合には、予約設定をタイマー予約設定又は出来上がり時刻入力とする時刻予約設定の何れかから選択可能とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非通電時に計時機能のバックアップ電源を持たない内蔵時計と、
外部機器に接続して現在時刻情報を取得し、前記内蔵時計の前記現在時刻を設定する時刻取得手段と、
ユーザーが予約設定を行なう操作部と、
前記予約設定の時間が到来すると作動又は作動完了する処理手段と、
制御装置と、
を具える電子機器であって、
前記制御装置は、
前記時刻取得手段が、前記外部機器に接続できず、前記内蔵時計が時刻情報を持たない場合、前記操作部による前記予約設定を時間入力として現時点から減算するタイマー予約設定とし、
前記時刻取得手段が、前記外部機器に接続して前記現在時刻情報を取得でき、前記内蔵時計が時刻情報を持つ場合には、前記操作部による前記予約設定を前記タイマー予約設定又は出来上がり時刻入力とする時刻予約設定の何れかから選択可能とする、
電子機器。
【請求項2】
前記時刻取得手段は、前記制御装置に通電が行なわれる毎、及び/又は、所定時間毎に前記外部機器に接続を試みて、前記現在時刻情報の取得を行なう、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記時刻取得手段は、無線通信機器経由で外部機器であるクラウド又はサーバーに接続可能であって、
前記時刻取得手段は、前記クラウド又は前記サーバーから前記現在時刻情報を取得する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
外部機器は無線通信機器であり、
前記時刻取得手段は、前記無線通信機器の有する前記現在時刻情報を取得する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、調理器であり、前記処理手段は加熱手段である、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵時計のバックアップ電源を持たない電子機器に関するものであり、より具体的には、無線通信によって外部機器と接続し、現在時刻情報を取得できる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理器などの電子機器は、内蔵時計を具備しており、ユーザーが予約設定などで出来上がり時刻を入力することで、当該時刻に炊飯が完了することができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
内蔵時計は、リチウム電池やコンデンサなどのバックアップ電源を有し、電子機器を商用電源から取り外した状態でも計時ができるようにしている。
【0004】
電子機器の構成の簡素化、部品点数減が求められており、内蔵時計のバックアップ電源を削減する要求がある。この場合、電子機器を商用電源から取り外すと時刻情報は消失するから、再び商用電源に接続しても、現在時刻を表示することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在時刻の情報を持たないため、電子機器の予約設定の際には、出来上がり時刻を入力する時刻予約設定を行なうことはできない。このため、予約設定では、ユーザー自ら、出来上がり時刻から現時点の時刻を減算したタイマー予約設定とせざるを得ない。しかしながら、タイマー予約設定は手間が掛かり、また、計算間違いにより誤った時間で予約設定されてしまうミスが生じることがある。
【0007】
一方で、IoT化により、無線LANやWi-Fi、Bluetooth(登録商標)等を経由してルーターやクラウド、サーバー等に接続し、現在時刻情報を取得することで、バックアップ電源のない電子機器の内蔵時計でも、ユーザーによる時刻設定なしに、現在時刻を表示することができる。
【0008】
本発明の目的は、内蔵時計が時刻情報を持たない場合と、内蔵時計が外部機器から取得した時刻情報を持つ場合とで、予約設定を変更できる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、
非通電時に計時機能のバックアップ電源を持たない内蔵時計と、
外部機器に接続して現在時刻情報を取得し、前記内蔵時計の前記現在時刻を設定する時刻取得手段と、
ユーザーが予約設定を行なう操作部と、
前記予約設定の時間が到来すると作動又は作動完了する処理手段と、
制御装置と、
を具える電子機器であって、
前記制御装置は、
前記時刻取得手段が、前記外部機器に接続できず、前記内蔵時計が時刻情報を持たない場合、前記操作部による前記予約設定を時間入力として現時点から減算するタイマー予約設定とし、
前記時刻取得手段が、前記外部機器に接続して前記現在時刻情報を取得でき、前記内蔵時計が時刻情報を持つ場合には、前記操作部による前記予約設定を前記タイマー予約設定又は出来上がり時刻入力とする時刻予約設定の何れかから選択可能とする。
【0010】
前記時刻取得手段は、前記制御装置に通電が行なわれる毎、及び/又は、所定時間毎に前記外部機器に接続を試みて、前記現在時刻情報の取得を行なうことができる。
【0011】
前記時刻取得手段は、無線通信機器経由で外部機器であるクラウド又はサーバーに接続可能であって、
前記時刻取得手段は、前記クラウド又は前記サーバーから前記現在時刻情報を取得することができる。
【0012】
外部機器は無線通信機器であり、
前記時刻取得手段は、前記無線通信機器の有する前記現在時刻情報を取得することができる。
【0013】
前記電子機器は、調理器であり、前記処理手段は加熱手段とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子機器によれば、現在時刻情報が取得できず、内蔵時計が時刻情報を持たない場合と、時刻取得手段が外部機器から現在時刻情報を取得して、内蔵時計が時刻情報を持つ場合とで、予約設定の手法を変更している。これにより、ユーザーによる予約設定ミスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器である圧力調理器の斜視図である。
【
図2】
図2は、圧力調理器の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、表示部と操作部を拡大して示す説明図である。
【
図5】
図5は、タイマー予約設定時の表示部の表示フローを示している。
【
図6】
図6は、時刻予約設定時の表示部の表示フローを示している。
【
図7】
図7は、通電開始から待機に至る圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、待機から予約調理に至る圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、予約調理から予約待機に至る圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、予約待機から予約再加熱に至る圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、予約再加熱から保温に至る圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明を行なう。本実施形態では、電子機器として加圧加熱調理が可能な電気圧力調理鍋、炊飯器などの圧力調理器10を例に挙げて説明を行なうが、電子機器は内蔵時計61を具備する構成であれば圧力調理器10に限らず、その他の電気調理器であってもよい。また、電子機器は、電気調理器以外の機器、たとえば、洗濯機やエアコン等であってもよい。
【0017】
図1は、圧力調理器10の斜視図、
図2は蓋体30を開いた状態の斜視図である。図に示すように圧力調理器10は、調理器本体20の上部に蓋体30を開閉可能に装着して構成される。調理器本体20には食材が投入される内釜21が着脱可能に配置されており、内釜21を加熱するヒーター22や、内釜21の温度を測定する温度センサー23が内装される(
図4参照)。ヒーター22は、本発明における圧力調理器10の加熱手段であって、電子機器の処理手段に相当する。
【0018】
蓋体30は、調理器本体20にヒンジ接続され、開閉レバー31の操作によって開閉する。蓋体30の内側には、内釜21を気密に塞ぐ内蓋32が着脱可能となっており、当該内蓋32には、
図2に示すように、蓋体30の上面に形成された蒸気孔33と連通する排気口34が形成されており、排気口34は加圧弁35により開閉可能となっている。加圧弁35は、ユーザーが操作する加圧操作部36に連繋されており、加圧操作部36を操作することで、加圧弁35が排気口34を塞いで内釜21を気密に維持する加圧モードと、加圧弁35が排気口34を開いて内釜21を大気と連通する非加圧モードを採ることができる。
【0019】
また、圧力調理器10には、
図1、
図2に示すように、調理器本体20の前面に調理メニューや現在時刻、炊き上がり時刻などを表示する表示部40と、圧力調理器10の各種操作を行なう操作部となる操作ボタン50を具える。なお、表示部40や操作ボタン50は蓋体30に配置することもでき、これらの形状、大きさは図示の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図3は、表示部40と操作ボタン50を拡大して示す説明図である。表示部40は、たとえば液晶型のものを採用できる。図示の表示部40は、上部に調理メニューの代表例「うま圧、高速、無水、スロー、温め、発酵、ベイク」と「保温」、「予約」の文字列41、左欄に加熱や保温の強さを示す「強、中、弱」の表示42がある。また、表示部40の中央には午前・午後を判別する「AM、PM」の表示43と現在時刻やタイマー時間などを表示する「数字のセグメント」44が配置されている。数字のセグメント44は、内蔵時計61から時刻情報を受けてたとえば現在時刻、出来上がりまでの残時間などを表示する。表示部40の右欄には調理メニューがオートメニューかどうかの表示「オート」、調理中かどうかの表示「調理中」、加圧モードかどうかの表示「圧力中」の文字列45が表示可能となっている。もちろん、これらの表示は一例であり、種々変更可能である。
【0021】
操作ボタン50は、中央に押圧スイッチである「Start/決定」キー51が配置されたダイヤル52と、周囲に「保温」53、「取消」54、「マニュアル/オート」55、「予約」56の操作キーが配置されている。操作キーはたとえばタクトスイッチとすることができる。勿論、操作ボタン50の種類や構成は一例であり、種々変更可能である。
【0022】
上記したヒーター22、温度センサー23、表示部40、及び、操作ボタン50などは、調理器本体20の適所に配置された制御装置60に電気的に接続される。
図4は、制御装置60のブロック図を示している。制御装置60は、マイコン制御ユニットやメモリ等を具え、ヒーター22等を制御する。
【0023】
また、本発明の圧力調理器10は、
図4に示すように、制御装置60に接続された内蔵時計61と時刻取得手段62、通信部63を具える。
【0024】
内蔵時計61は、計時機能を有する。たとえば、計時機能は水晶発振子を含む構成とすることができる。内蔵時計61は、時刻取得手段62からの現在時刻情報を受信して、現在時刻が設定され、計時を行なって、時刻情報を表示部40に表示等する。なお、内蔵時計61リチウム電池やコンデンサなどのバックアップ電源を有さない構成であり、圧力調理器10を商用電源から取り外した非通電状態では時刻情報は消失する。バックアップ電源のない構成とすることで、圧力調理器10の構成を軽量化でき、持ち運びの利便性を向上できる。
【0025】
時刻取得手段62は、通信部63から無線通信機器であるルーター71、或いは、ルーター71経由でクラウド72やサーバー73に接続したときに、これらら外部機器70が保有する現在時刻情報を取得する。時刻取得手段62が取得した現在時刻情報は制御装置60から内蔵時計61に送信され、内蔵時計61は現在時刻を設定する。時刻取得手段62が、現在時刻情報を取得するタイミングは、たとえば、通信部63が外部機器70と通信するタイミングとすることができる。このタイミングについては後述する。
【0026】
時刻取得手段62は、通信部63が外部機器70に接続できず、現在時刻情報を取得できない場合には、制御装置60にその旨を送信する。制御装置60は、内蔵時計61がすでに時刻情報を保持している場合にはそのまま計時を進め、内蔵時計61が時刻情報を持たない場合には計時を行なうことなく、表示部40の数字のセグメント44を点滅させる等の処理を行なう。
【0027】
通信部63は、圧力調理器10を外部機器70と無線通信により接続し、外部機器70から各種情報を取得する通信機器である。たとえば、以下の説明では、通信部63は、無線通信を無線LANで行なうものとしており、無線LANに準拠したモジュールやアダプターで構成できる。Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)の場合には、通信部63は、これらに準拠したモジュールやアダプターである。無線通信の種類は、例示した3種類に限定されるものではなく、920MHzz帯無線(たとえばIEEE802.15.4g)やZigBee(登録商標:IEEE802.15.4)などであってもよい。
【0028】
通信部63が外部機器70から現在時刻情報を取得するタイミングは、たとえば、圧力調理器10が、たとえば、圧力調理器10が商用電源に接続されたとき、すなわち、制御装置60に通電が行なわれたときや、所定時間毎(たとえば毎午前0時)とすることができる。また、ユーザーが操作ボタン50を操作したときに、通信部63が外部機器70と接続する構成としてもよい。
【0029】
通信部63が外部機器70と接続する用途として、本発明で説明するように時刻取得手段62が現在時刻情報を取得する以外に、新たな調理メニューのダウンロード、スマートフォン等の携帯型電子端末を用いた圧力調理器10の操作や作動状況の確認などがある。
【0030】
通信部63は、
図4に示すように、無線LANによってルーター71と接続し、ルーター71経由でクラウド72やサーバー73と通信する。本明細書では、通信部63と通信可能な機器、たとえば、ルーター71やクラウド72、サーバー73などであって、現在時刻情報を持つ機器を外部機器70と称する。外部機器70は、通信部63と通信する際に、現在時刻情報を配信して動機させるプロトコル(たとえばNetwork Time Protocol:NTP)に準拠したサーバー(NTPサーバー)や、NTPサーバーと同期した現在時刻情報を有するクラウド72、ルーター71等である。
【0031】
通信部63が外部機器70と通信することで、現在時刻情報を受信し、内蔵時計61の時刻情報を更新する。
【0032】
また、制御装置60は、圧力調理器10の基本機能として、調理メニューに従ったヒーター22の制御を行なう。たとえば、うま圧メニュー(
図3参照)の場合、昇温工程と加熱加圧工程と減圧工程を有し、加圧弁35を閉じた加圧モードで内釜21内を気密に維持し、ヒーター22を内蔵時計61のカウント値と温度センサー23の検知値を参照しながら各工程でオン・オフ制御する。また、オートメニューでは、ユーザーがダイヤル52の操作によって、具体的な調理メニュー(たとえば、ポークカレー、豚の角煮、肉じゃがなど)を選択することで、予め記憶されているプログラムに沿って調理が進行する。その他、各調理メニューの詳細についての説明は省略するが、加圧モード、非加圧モードをユーザー操作により設定して、選択された調理メニューが実行される。
【0033】
これら調理メニューは、予約設定可能としている。本発明では、予約設定は、減算方式のタイマー予約設定と、出来上がり時刻を入力する時刻予約設定の二種類としている。まず、タイマー予約設定と時刻予約設定の設定方法の概要について説明し、その後に、内蔵時計61の状態によって選択可能な予約設定について説明する。
【0034】
タイマー予約設定は、現時点から何分又は何時間後に調理が出来上がるかをユーザーが演算して時間入力し、現時点から減算する予約設定である。予約に先立ち、予めダイヤル52の操作により調理メニューを選択する。
図5では、D1に示すように、オートメニューの「01」(たとえば、ポークカレー)を選択している。この状態から、(必要に応じて予約キー56を操作し、)ダイヤル52を左右に回転する。ダイヤル52を右に回すと、出来上がり時間がインクリメントされ(D3、D4)、逆に左に回すと、出来上がり時間がデクリメントされる(ゼロ以下は出来上がり時間の最大時間に遷移する)。そして、所望の出来上がり時間が設定されると、Start/決定キー51を操作することで、出来上がり時間をカウントダウンした調理メニュー(予約調理)がスタートする(D4)。なお、調理の詳細については、後述するフローチャート
図9~
図11を用いて説明する。
【0035】
時刻予約設定は、設定した時刻(たとえば、午後12:10)に調理が出来上がる予約設定である。予約に先立ち、予めダイヤル52の操作により調理メニューを選択する。具体的には、
図6では、D1に示すように、オートメニューの「01」(たとえば、ポークカレー)を選択している。この状態から、(必要に応じて予約キー56を操作し、)ダイヤル52を左右に回転する。ダイヤル52を右に回すと、現在時刻から出来上がり時刻がインクリメントされ(D5、D6)、逆に左に回すと、出来上がり時刻がデクリメントされる。そして、所望の出来上がり時刻が入力されると、Start/決定キー51を操作することで、出来上がり時間をカウントダウンした調理メニュー(予約調理)がスタートする(D7)。なお、調理の詳細については、実施例にてフローチャートを用いて説明する。
【0036】
上記したタイマー予約設定と時刻予約設定について、タイマー予約設定では、内蔵時計61が現在の時刻情報を持たない場合でも、タイマー時間からのカウントダウンであるため設定可能である。一方、時刻予約設定は、出来上がり時刻を設定するものであるから、内蔵時計61が現在の時刻情報を持たない場合には設定できない。そこで、本発明では、内蔵時計61が現在の時刻情報を持たない場合みは、タイマー予約設定のみ、時刻情報を持つ場合にはタイマー予約設定と時刻予約設定から選択して設定できるようにしている。
【0037】
内蔵時計61が現在の時刻情報を持つか持たないかは、たとえば、圧力調理器10を商用電源に接続して、通電を開始したときに無線LAN接続できるかどうかにより判断できる。具体的には、フローチャート
図7に示すように、通電を開始した後(ステップS01)、通信部63が無線LAN接続を開始する(ステップS02)。このとき、無線LAN接続が成功すれば(ステップS03のYES)、クラウド72やサーバー73などから現在時刻情報を取得して(ステップS04)、内蔵時計61の時刻情報を更新し、待機状態へと遷移できる(ステップS05)。一方で、ステップS03にて無線LAN接続ができなかった場合には(ステップS03のNO)、内蔵時計61の時刻情報のないまま、待機状態へと遷移する(ステップS05)。
【0038】
次に、ユーザーが調理メニューの予約設定を行なうフローを
図8に示す。予め調理メニューを選択し(ステップS11)、Start/決定キー51を操作(ステップS15またはS26)することで、調理(予約調理)が開始される。
【0039】
ユーザーが予約設定ではなく、ダイレクトに調理開始を所望する場合には、調理メニューを選択後(ステップS11のYES)、予約キー56やダイヤル52を操作せず、直接Start/決定キー51を操作すればよい。内蔵時計61が時刻情報を持たない場合(ステップS12のNO)であれば、ステップS14はNO、ステップS15はYESとなって予約調理が開始される(ステップS16)。内蔵時計61が時刻情報を持つ場合も(ステップS12のYES)、ステップS18、S22がNOとなり、ステップS26はYESとなって予約調理が開始される(ステップS26のYES)。予約調理については後述する(フローチャート
図9)。
【0040】
一方、ユーザーが予約設定を希望する場合には、内蔵時計61が時刻情報を持つか持たないかで、選択できる設定が変更される。
【0041】
具体的には、フローチャート
図8に示すように、待機状態(S05、
図7も参照)から、ユーザーが調理メニューを選択した後(ステップS11)、内蔵時計61が時刻情報を持たない場合には(ステップS12のNO)、時刻予約設定は不可であるから、予約設定はタイマー予約設定となり(ステップS13)、ユーザーがダイヤル52の操作により、タイマー予約時間が変更、設定される(ステップS14のYES、上記した
図5も参照)。そして、タイマー予約時間を設定の後、Start/決定キー51を押下することで(ステップS16のYES)、予約調理が開始される(ステップS16)。
【0042】
一方、待機状態(S05、
図7も参照)から、ユーザーが調理メニューを選択した後(
図8のステップS11)、内蔵時計61が時刻情報を持つ場合には(ステップS12のYES)、予約設定は時刻予約設定とタイマー予約設定から選択可能となる(ステップS17)。時刻予約設定とタイマー予約設定は、たとえばデフォルトを時刻予約設定とし、予約キー56の押下によって、時刻予約設定(ステップS20)とタイマー予約設定(ステップS21)が交互に切り替えられる(ステップS18~21)。
【0043】
そして、ダイヤル52を左右に回すことで(ステップS22のYES)、設定に応じた時間設定が行なわれる。具体的には、設定が時刻予約設定の場合には(ステップS23のYES)、出来上がり時刻が変更、設定される(ステップS24、上記した
図6も参照)。一方、設定がタイマー予約設定の場合には(ステップS23のNO)、タイマー予約時間が変更、設定される(ステップS25のYES、上記した
図5も参照)。
【0044】
時刻予約設定の場合には出来上がり時刻(ステップS24)、タイマー予約設定の場合には設定予約時間(ステップS25)が設定された後、Start/決定キー51を操作するとおで、予約調理が開始される(ステップ16)。
【0045】
上記のように、本発明によれば、内蔵時計61が時刻情報を持たない場合にはタイマー予約設定、時刻情報を持つ場合にはタイマー予約設定と出来上がり時刻設定予約から予約設定を選択することができる。これにより、ユーザーの利便性を向上でき、予約設定ミスも低減できる。
【0046】
図8で遷移した予約調理(ステップS16)について、その具体例を説明する。本発明で説明する圧力調理器10では、食材を投入した後、ユーザーが設定したタイマー時間または出来上がり時刻が到来したときに、調理が完了するようにしている。食材を内釜21に投入したまま室温で保持されて時間経過すると、食材が傷む可能性がある。そこで、本実施形態の圧力調理器10では、食材を投入し、予約設定が行なわれた後、先に加熱又は加圧加熱調理を実行し(フローチャート
図9)、調理完了後は、タイマー時間または出来上がり時刻前に一旦再加熱を行なった後、保温するようにしている(フローチャート
図10、
図11)。
【0047】
具体的には、予約調理は、フローチャート
図9に示すように、ステップS16(
図8)から調理メニューのプログラムに従って、ヒーター22を制御し、非加圧モードであれば加熱調理、加圧モードであれば加圧加熱調理が行なわれる(ステップS31、S32のNO)。そして、調理が終了すると(ステップS32のYES)、ヒーター22をオフにして、予約待機(ステップS33)に遷移する。予約調理により、食材を加熱して調理を済ましておくことで、調理物の痛みを防止できる。
【0048】
そして、フローチャート
図10に示すように、予約待機状態(ステップS33)では、予約設定が出来上がり時刻予約設定の場合に(ステップS41のYES)、出来上がり時刻の所定時間前(たとえば30分)が到来(ステップS42のYES)、また、予約設定がタイマー予約設定の場合には(ステップS41のNO)、残時間が所定時間(たとえば30分)となったときに(ステップS43のYES)、フローチャート
図11に示す予約再加熱に遷移する(ステップS44)。なお、所定時間は一例であり、調理メニューによって変更できる。下記のとおり、所定時間は、出来上がり時刻ちょうど、または、タイマー予約の残時間がゼロになるタイミング(
図11のステップS52)の再加熱を終了する時間が望ましい。
【0049】
予約再加熱(ステップS44)は、フローチャート
図11に示すように、ヒーター22に通電を行ない、調理済みの調理物を再加熱するステップである(ステップS51、S52のNO)。これにより、出来上がり時刻またはタイマー予約時間が経過する前に、調理物を温めて、できたての状態とすることができる。再加熱が終了すると(ステップS52のYES)、調理完了である。たとえば、出来上がり時刻ちょうど、または、タイマー予約の残時間がゼロになるタイミングでステップS52の再加熱を終了させることで、最もできたての状態で調理を完了できる。調理完了後(ステップS52のYES)、ヒーター22を所定時間毎にオン・オフ制御する保温工程に遷移すればよい(ステップS53)。
【0050】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 圧力調理器(電子機器)
20 調理器本体
22 ヒーター(処理手段)
23 温度センサー
30 蓋体
35 加圧弁
40 表示部
50 操作部(操作ボタン)
60 制御装置
61 内蔵時計
62 時刻取得手段
63 通信部
70 外部機器
71 ルーター
72 クラウド
73 サーバー