(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165548
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】圧力調理器の制御方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241121BHJP
A47J 27/08 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47J27/00 109P
A47J27/00 109A
A47J27/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081827
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 優司
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA08
4B055BA05
4B055CA65
4B055CD31
4B055CD51
4B055CD80
4B055GD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加圧モード下において、非加圧メニューのうち加圧モードで実行不可の加圧不可メニューでは調理に遷移せず、実行可能な加圧許可メニューは調理に遷移する圧力調理器の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、手動操作により内釜を気密に保持する加圧モードと、内釜を大気開放する非加圧モードを切替可能な圧力弁35と、圧力弁の位置を検出する弁位置検出器と、操作部50と、報知を行なう報知手段と、を具え、弁位置検出器の検知値と、操作部に入力されたメニューに基づいて、加熱手段を作動させる圧力調理器の制御方法であって、非加圧メニューは、加圧モードでの実行を許容する加圧許可メニューと、加圧モードでの実行を許容しない加圧不可メニューを含んでおり、圧力弁が加圧モードにあることを弁位置検出器が検出した状態で、加圧不可メニューが選択されると、報知手段は、誤操作である旨の報知を行なう。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体に収容された内釜を加熱可能な加熱手段と、
ユーザーの手動操作により前記内釜を気密に保持する加圧モードと、前記内釜を大気開放する非加圧モードを切替可能な圧力弁と、
前記圧力弁が前記加圧モードと前記非加圧モードの何れにあるかを検出する弁位置検出器と、
ユーザーが前記加圧モードに対応した加圧メニュー、または、前記非加圧モードに対応した非加圧メニューを入力する操作部と、
ユーザーに報知を行なう報知手段と、
を具え、前記弁位置検出器の検知値と、前記操作部に入力されたメニューに基づいて、前記加熱手段を作動させる圧力調理器の制御方法であって、
前記非加圧メニューは、前記加圧モードでの実行を許容する加圧許可メニューと、前記加圧モードでの実行を許容しない加圧不可メニューを含んでおり、
前記圧力弁が前記加圧モードにあることを前記弁位置検出器が検出した状態で、前記加圧不可メニューが選択されると、前記報知手段は、誤操作である旨の報知を行なう、
圧力調理器の制御方法。
【請求項2】
前記圧力弁が前記加圧モードにあることを前記弁位置検出器が検出した状態で、前記加圧許可メニューが選択された場合には、前記加圧許可メニューに沿って前記加熱手段を作動させた調理を行なう、
請求項1に記載の圧力調理器の制御方法。
【請求項3】
前記操作部は、取消キーを有し、
前記報知手段の前記誤操作である旨の報知は、前記報知は、ユーザーが前記取消キーを操作するか、ユーザーが前記圧力弁を非加圧モードに切り替えたことを前記弁位置検出器が検出したときに解除される、
請求項1に記載の圧力調理器の制御方法。
【請求項4】
前記取消キーの操作により、前記報知を解除した場合、前記操作部への入力を待つ待機状態に遷移する、
請求項3に記載の圧力調理器の制御方法。
【請求項5】
前記圧力弁を非加圧モードに切り替えたことで前記報知が解除されると、前記加圧不可メニューに沿って前記加熱手段を作動させた調理を行なう、
請求項3に記載の圧力調理器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内釜内を加圧して加熱調理を行なう加圧モードと、内釜を加圧せずに加熱調理を行なう非加圧モードをユーザーの手動操作により切り替えることができる圧力調理器の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内釜内を加圧して加熱調理を行なう圧力調理器では、加圧を行なうために加熱中は内釜内が気密に維持される必要がある。蓋体が調理器本体に正しく装着されていないと、内釜の気密性を維持できないから、たとえば、特許文献1では、蓋体の閉め忘れなどの場合に誤操作の報知や表示を行なって、加熱を実行しないようにしている。
【0003】
内釜を気密に維持するか、大気開放するかをユーザーが手動操作できる圧力弁を有する圧力調理器が提案されている。当該圧力調理器では、ユーザーが圧力弁を操作して、内釜内を加圧して加熱調理を行なう加圧モードと、内釜を加圧せずに加熱調理を行なう非加圧モードを切り替えることができる。圧力弁が、加圧モードと非加圧モードの何れの位置にあるかはマイクロスイッチで検知することができる。そして、圧力調理器の制御装置は、マイクロスイッチの検知値に基づき、予めプログラミングされた加圧モードに対応する加圧メニューと、非加圧モードに対応する非加圧メニューから、ユーザーが選択したメニューを実行するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非加圧メニューは、加圧メニューよりも内釜の加熱温度を高くした高温の調理メニューが設定可能である。しかしながら、高温の調理メニューは、圧力弁が加圧モードにあると、加熱により発生した蒸気が内釜内に留まって過加圧となり、調圧ユニット等から噴き零れが発生する虞れがある。従って、非加圧メニューのうち、一部の高温の調理メニューは加圧モードでの実行が許容されない加圧不可メニューである。
【0006】
一方で、非加圧メニューであっても、加圧モードで実行可能な加圧許可メニューも存在する。加圧許可メニューは、加圧モードで実行しても、噴き零れが生ずる程の高温にはならない調理メニューである。
【0007】
圧力調理器において、圧力弁が加圧モードにある状態で、非加圧メニューが選択されたときに、圧力弁の誤操作の報知や表示を行なって、一律に加熱を実行しない構成とすることが考えられる。しかしながら、非加圧メニューであっても、上記した加圧許可メニューであれば、加圧モードのままで加熱を行なって調理を進める方が利便性にすぐれる。
【0008】
本発明の目的は、加圧モード下において、非加圧メニューのうち加圧モードで実行不可の加圧不可メニューでは調理に遷移せず、実行可能な加圧許可メニューは調理に遷移する圧力調理器の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧力調理器の制御方法は、
調理器本体に収容された内釜を加熱可能な加熱手段と、
ユーザーの手動操作により前記内釜を気密に保持する加圧モードと、前記内釜を大気開放する非加圧モードを切替可能な圧力弁と、
前記圧力弁が前記加圧モードと前記非加圧モードの何れにあるかを検出する弁位置検出器と、
ユーザーが前記加圧モードに対応した加圧メニュー、または、前記非加圧モードに対応した非加圧メニューを入力する操作部と、
ユーザーに報知を行なう報知手段と、
を具え、前記弁位置検出器の検知値と、前記操作部に入力されたメニューに基づいて、前記加熱手段を作動させる圧力調理器の制御方法であって、
前記非加圧メニューは、前記加圧モードでの実行を許容する加圧許可メニューと、前記加圧モードでの実行を許容しない加圧不可メニューを含んでおり、
前記圧力弁が前記加圧モードにあることを前記弁位置検出器が検出した状態で、前記加圧不可メニューが選択されると、前記報知手段は、誤操作である旨の報知を行なう。
【0010】
前記圧力弁が前記加圧モードにあることを前記弁位置検出器が検出した状態で、前記加圧許可メニューが選択された場合には、前記加圧許可メニューに沿って前記加熱手段を作動させた調理を行なうことができる。
【0011】
前記操作部は、取消キーを有し、
前記報知手段の前記誤操作である旨の報知は、前記報知は、ユーザーが前記取消キーを操作するか、ユーザーが前記圧力弁を非加圧モードに切り替えたことを前記弁位置検出器が検出したときに解除することができる。
【0012】
前記取消キーの操作により、前記報知を解除した場合、前記操作部への入力を待つ待機状態に遷移することができる。
【0013】
前記圧力弁を非加圧モードに切り替えたことで前記報知が解除されると、前記加圧不可メニューに沿って前記加熱手段を作動させた調理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧力調理器によれば、加圧モード下において、非加圧メニューのうち、加圧不可メニューが選択された場合には、誤操作の報知が行なわれる。また、加圧許可メニューが選択された場合には調理に遷移するようにしている。これにより、加圧モード下において、一律に非加圧メニューを選択したときに、誤作動の報知を行なう場合に比べて、誤操作の報知を減らし、利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器である圧力調理器の斜視図である。
【
図2】
図2は、圧力調理器の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、表示部と操作部を拡大して示す説明図である。
【
図5】
図5は、加圧メニュー選択時の表示部の表示フローを示している。
【
図6】
図6は、加圧不可メニュー選択時の表示部の表示フローを示している。
【
図7】
図7は、加圧不可メニュー実行中に加圧モードに切り替えられた場合の表示部の表示フローを示している。
【
図8】
図8は、加圧許可メニュー選択時の表示部の表示フローを示している。
【
図9】
図9は、待機/時間設定から調理開始に至るまでの圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、調理開始から調理終了に至るまでの圧力調理器の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明を行なう。本実施形態の圧力調理器10は、加圧加熱調理が可能な電気圧力調理鍋、炊飯器などである。
【0017】
図1は、圧力調理器10の斜視図、
図2は蓋体30を開いた状態の斜視図である。図に示すように圧力調理器10は、調理器本体20の上部に蓋体30を開閉可能に装着して構成される。調理器本体20には食材が投入される内釜21が着脱可能に配置されており、内釜21を加熱するヒーター22や、内釜21の温度を測定する温度センサー23が内装される(
図4参照)。ヒーター22は、本発明における圧力調理器10の加熱手段に相当する。
【0018】
蓋体30は、調理器本体20にヒンジ接続され、開閉レバー31の操作によって開閉する。蓋体30の内側には、内釜21を気密に塞ぐ内蓋32が着脱可能となっており、当該内蓋32には、
図2に示すように、蓋体30の上面に形成された蒸気孔33と連通する排気口34が形成されており、排気口34は圧力弁35により開閉可能となっている。圧力弁35は、ユーザーが手動操作する加圧操作部36に連繋されており、加圧操作部36を操作することで、圧力弁35が排気口34を塞いで内釜21を気密に維持する加圧モードと、圧力弁35が排気口34を開いて内釜21を大気と連通する非加圧モードを採ることができる。圧力弁35が加圧モードにあるか、非加圧モードにあるかは、圧力弁35又は加圧操作部36の昇降移行路中に配置されたマイクロスイッチなどの弁位置検出器37(
図4参照)により検知することができる。
【0019】
また、内蓋32には、圧力弁35により排気口34が塞がれた状態で、内釜21が所定の圧力以上に加圧されると、圧力解放する調圧ユニットと、調圧ユニットが作動しない場合に圧力解放する安全弁ユニット(何れも図示せず)が配置される。これらユニットは、作動時に内釜21を蒸気孔33と連通する。
【0020】
また、圧力調理器10には、
図1、
図2に示すように、調理器本体20の前面に調理メニューや現在時刻、炊き上がり時刻などを表示する表示部40と、圧力調理器10の各種操作を行なう操作部となる操作ボタン50を具える。なお、表示部40や操作ボタン50は蓋体30に配置することもでき、これらの形状、大きさは図示の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図3は、表示部40と操作ボタン50を拡大して示す説明図である。表示部40は、たとえば液晶型のものを採用できる。図示の表示部40は、上部に調理メニューの代表例「うま圧、高速、無水、スロー、温め、発酵、ベイク」と「保温」、「予約」の文字列41、左欄に加熱や保温の強さを示す「強、中、弱」の表示42がある。また、表示部40の中央には午前・午後を判別する「AM、PM」の表示43と現在時刻やタイマー時間などを表示する「数字のセグメント」44が配置されている。数字のセグメント44は、現在時刻、出来上がりまでの残時間、選択された調理メニューのコードや誤操作のエラーコードなどを表示する。表示部40の右欄には調理メニューがオートメニューかどうかの表示「オート」、調理中かどうかの表示「調理中」、加圧モードであることの表示「圧力中」の文字列45が表示可能となっている。「圧力中」の表示は、弁位置検出器37の圧力弁35の検知値に対応して表示される。もちろん、これらの表示は一例であり、種々変更可能である。
【0022】
操作ボタン50は、中央に押圧スイッチである「Start/決定」キー51が配置されたダイヤル52と、周囲に「保温」53、「取消」54、「マニュアル/オート」55、「予約」56の操作キーが配置されている。操作キーはたとえばタクトスイッチとすることができる。勿論、操作ボタン50の種類や構成は一例であり、種々変更可能である。
【0023】
また、圧力調理器10は、ユーザーへ各種報知を行なう報知手段61を有する。報知手段61は、ユーザーに視覚を通じて報知する視覚報知手段と、聴覚を通じて報知する聴覚報知手段の一方又は両方を含むことができる。たとえば、視覚報知手段は、上記した表示部40の数字のセグメント44を兼用することができる。また、聴覚報知手段は、ビープ音や音声アナウンスを発報するスピーカー46とすることができる。
【0024】
上記したヒーター22、温度センサー23、弁位置検出器37、表示部40、報知手段61(40,46)、及び、操作ボタン50などは、調理器本体20の適所に配置された制御装置60に電気的に接続される。
図4は、制御装置60のブロック図を示している。制御装置60は、マイコン制御ユニットやメモリ等を具え、ヒーター22等を制御する。
【0025】
制御装置60は、ユーザーが選択した調理メニューに従ってヒーター22の制御を行なう。調理メニューの一例を表1に示す。たとえば、ユーザーがヒーター22の強さなどを調整可能なマニュアルメニューには、うま圧メニュー、高速メニュー、スローメニューが挙げられる。また、予め設定されたプログラムによって自動で実行されるオートメニューとして、たとえば、ポークカレー、豚の角煮、肉じゃが、おでん、ローストビーフ、スポンジケーキなどを例示できる。各メニューには、表示部40のセグメント44に表示するためのコード(01~07)が付されている。
【0026】
【0027】
表1には、上記した調理メニューがそれぞれ加圧モードで実行される加圧メニューであるのか、非加圧モードで実行される非加圧メニューであるのかを併せて示している。たとえば、うま圧メニューは加圧メニューであり、高速メニュー、スローメニューは非加圧メニューである。また、非加圧メニューについては、加圧モードでの実行を許可しない加圧不可メニューであるのか、加圧モードでの実行を許可する加圧許可メニューであるのか、すなわち、圧力弁35の誤操作を検出するのかどうかも付記している。たとえば、高速メニューは加圧不可メニューであって圧力弁35の誤操作を検出する調理メニューであり、スローメニューは加圧許可メニューであって圧力弁35の誤操作は検出しない調理メニューである。
【0028】
一般的な制御として、操作ボタン50をユーザーが操作し、圧力弁35を加圧モード、非加圧モードの何れかに手動出切り変えて、選択された調理メニューが実行される。
【0029】
上記調理メニューのうち、うま圧メニューは、加圧メニューであるから、加圧操作部36を操作して、圧力弁35で内蓋32の排気口34で気密を塞いでヒーター22に通電を行なう。高速メニューは、排気口34を開放した状態でヒーター22に通電を行なう調理メニューであって、他のメニューに比べて単位時間当たりの通電時間を長くして、内釜21を短時間で昇温させるメニューである。内釜21が高速で昇温するため、調理物が一気に昇温し、蒸気を発生するため、加圧不可メニューである。スローメニューは、排気口34を開放した状態でヒーター22に通電を行なう調理メニューであって、単位時間当りの通電時間を短くして、内釜21を徐々に昇温させるメニューである。昇温が緩やかであるから、蒸気の発生も緩やかで有り、加圧許可メニューである。
【0030】
その他、オートメニューについては説明を省略するが、ポークカレー、豚の角煮、肉じゃがは、うま圧メニューと同等の設定の調理メニュー、ローストビーフはスローメニューと同等の設定の調理メニューである。
【0031】
<加圧メニューの表示部40の表示フロー>
図5は、加圧メニュー(うま圧メニュー)を選択時の表示部40の表示例を示している。ダイヤル52を回転させて、セグメント44のコードを「01」(表1参照)に合わせる(
図5のA)。うま圧メニューは加圧メニューであるため、加圧操作部36を手動操作して、圧力弁35で排気口34を塞いだ加圧モードとする。加圧モードであることは、弁位置検出器37により検知でき、加圧モードにある場合には表示部40に「圧力中」と表示される。そして、この状態でStart/決定キー51を押すと、制御装置60は、加圧モードで調理を開始し、ヒーター22に通電が行なわれる。セグメント44にはたとえば出来上がりまでの残時間が表示される(
図5のB:圧力中)。なお、加圧メニューでは、加圧操作部36の操作を忘れて排気口34が開いた状態であっても、加熱が可能であるから、圧力弁35の誤操作とは判定せず、調理を進める設定とすることができる(
図5のC)。もちろん、次に説明する
図8と同様、圧力弁35の誤操作を報知し、取消キー54の操作または加圧操作部36の操作を待つようにしてもよい。
【0032】
<加圧不可メニューの表示部40の表示フロー>
図6は、非加圧メニューのうちの加圧不可メニュー(高速メニュー)を選択時の表示部40の表示例を示している。ダイヤル52を回転させて、セグメント44のコードを「02」(表1参照)に合わせる(
図6のA)。高速メニューは、非加圧メニューであるため、加圧操作部36を手動操作して、排気口34を開放した非加圧モードとする。非加圧モードであることは、弁位置検出器37により検知できる。そして、この状態でユーザーがStart/決定キー51を押すと、制御装置60は、弁位置検出器37の検知値を参照する。
【0033】
弁位置検出器37の検知値が、加圧モードである場合には、表示部40に「圧力中」との表示がなされる。この状態でヒーター22への通電を行なうことができないから、制御装置60は、表示部40のセグメント44に誤操作のコード(たとえば「U:01」)を表示する(
図6のB)。また、スピーカー46からビープ音を発する。これにより、ユーザーに誤操作であることを認識させる。ユーザーは、誤操作である旨の報知を受けると、取消キー54を操作する。これにより、制御装置60は、報知を止め、表示部40の表示は調理メニューのコード表示に戻し(
図6のA)、ユーザーが次の操作をするまで待機状態となる。続いて、ユーザーが加圧操作部36を操作することで、圧力弁35は排気口34を開放し、弁位置検出器37が非加圧モードであることを検知する。非加圧モードになると、制御装置60は、加圧不可メニューの調理プログラムを実行し、ヒーター22に通電が行なわれる(
図6のC)。なお、取消キー54の操作することなく、直接加圧操作部36を操作した場合にも調理が開始されるようにしてもよい。
【0034】
上記のように制御することで、加圧不可メニューでは、内釜21は大気開放しているから、内釜21内が過加圧状態となり、調圧ユニットや安全弁ユニットが作動して、蒸気孔33から調理物が噴き零れてしまうことを防止できる。
【0035】
加圧不可メニューにおいて正しく圧力弁35が操作されている場合には、制御装置60は、
図6のCに示すように、加圧モードで調理を開始し、ヒーター22に通電が行なわれる。
【0036】
なお、加圧不可メニューの調理中に(
図7のD)、ユーザーが加圧操作部36を操作することで、圧力弁35が排気口34を閉じた場合には、制御装置60は、ヒーター22への通電を停止し、
図7にEで示すように表示部40のセグメント44に誤操作のコード(たとえば「U:01」)を表示する。また、スピーカー46からビープ音を発する。これにより、ユーザーに誤操作であることを認識させる。そして、再度加圧操作部36が操作されるのを待ち、加圧操作部36が操作されて排気口34が開放すると、ヒーター22の加熱を再開すればよい(
図7のF)。一方、取消キー54が操作されたときには、誤操作のコード表示やビープ音の発報を停止して、待機状態に遷移することができる(
図7のD)。
【0037】
<加圧許可メニューの表示部40の表示フロー>
図8は、非加圧メニューのうちの加圧許可メニュー(スローメニュー)を選択時の表示部40の表示例を示している。ダイヤル52を回転させて、セグメント44のコードを「03」(表1参照)に合わせる(
図8のA)。スローメニューは、非加圧メニューであるため、加圧操作部36を手動操作して、排気口34を開放した非加圧モードとする。非加圧モードであることは、弁位置検出器37により検知できる。そして、この状態でユーザーがStart/決定キー51を押すと、ヒーター22への通電が行なわれ、調理が開始される(
図8のB)。加圧許可メニューでは、制御装置60は、弁位置検出器37の検知値を参照しない。従って、圧力調理器10が加圧モードにあっても非加圧モードにあっても調理が進行する(
図8のC:圧力中)。非加圧メニューの加圧許可メニューは、ヒーター22の単位時間当たりの通電時間が短いため、加圧モードで当該メニューを実行しても、内釜21から噴き零れが発生する虞れはないためである。これにより、ユーザーは、加圧許可メニューを選択したときに、加圧モードと非加圧モードを切り替える煩わしさから解放され、利便性を向上できる。
【0038】
上記が、各調理メニューを選択したときの表示部40の表示フローである。
【0039】
具体的な制御のフローチャートは、
図9及び
図10に示すとおりである。
【0040】
圧力調理器10が待機/時間設定の状態(ステップS01)から、ダイヤル52を回転させて所望する調理メニューのコードに表示部40のセグメント44を合わせ(
図5、
図6、
図8のA)、Start/決定キー51を押下する(ステップS02のYES)。
【0041】
このとき選択されたメニューが、加圧不可メニュー以外のメニューである場合には、圧力弁35が排気口34を塞いでいるかどうかは問題とならないため、ステップS11の調理に進む。なお、弁位置検出器37により圧力弁35の位置検知は行なわれる。
【0042】
一方、加圧不可メニューの場合には、制御装置60は、弁位置検出器37の検知値を参照し、圧力弁35が排気口34を塞いでいる加圧モードの場合には(ステップS04のYES)、誤操作の旨を表示部40とスピーカー46から報知・表示する(ステップS05、
図6のC)。ユーザーは、誤操作であることを知ると、取消キー54を押下して(ステップS06のYES)、報知を止めて(ステップS07)、表示部40の表示をコードに戻し(
図6のA)、加圧操作部36を操作して加圧モードに切り替えればよい(ステップS08)。これにより、内釜21は非加圧モードに変わるから、ステップS04がNOとなり、調理に進む(ステップS11)。なお、ステップS06において、取消キー54を押下せずに(ステップS06のNO)、直接加圧操作部36を操作して加圧モードに切り替えてもよい。これにより、内釜21は非加圧モードに変わるから、ステップS10がNOとなり、調理に進む(ステップS11)。
【0043】
図10に示すように、調理が開始されると(ステップS11)、所定の調理時間が経過するまで調理が進行する(ステップS12のNO)。選択されている調理メニューが加圧不可メニュー以外のメニューである場合には、圧力弁35が排気口34を塞いでいるかどうかは問題とならないため(ステップS13のNO)、調理時間が経過するまで調理が進行し、調理時間が経過すると調理を終了する(ステップS15)。
【0044】
一方、加圧不可メニューの場合には(ステップS13のYES)、加圧操作部36が操作されず、非加圧モードのままであれば(
図14のNO)、上記と同様、調理時間が経過するまで調理が進行し(
図5、
図8のB)、調理時間が経過すると調理を終了する(ステップS15)。
【0045】
一方で、加圧不可メニューを実行中に、ユーザーが加圧操作部36を操作してしまうと、圧力弁35が排気口34を塞いで加圧モードになる。圧力弁35の位置は、弁位置検出器37により検知されるから、弁位置検出器37が加圧モードであることを検知すると(ステップS14のYES)、制御装置60は、表示部40に誤操作の表示(
図7のE)と、スピーカー46からビープ音を発報する(ステップS16)。そして、ヒーター22への通電を止めて、調理を一時停止する(ステップS17)。ヒーター22への通電による調理物の噴き零れを防ぐためである。
【0046】
ユーザーは、報知により誤操作であることを知ると、取消キー54を押下して(ステップS18のYES)、報知を止める(ステップS22)。これにより、待機状態に遷移する(ステップS23)。そして、待機中にユーザーが加圧操作部36を操作して加圧モードに切り替えると(ステップS19)、内釜21は非加圧モードに変わるから、ステップS20がNOとなり、調理が再開される(ステップS21、
図7のF)。その後は、調理時間が経過するまで調理が進行し(
図5)、調理時間が経過すると調理を終了する(ステップS15)。
【0047】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0048】
たとえば、圧力調理器10の圧力弁35や加圧操作部36の構成は本実施形態に限定されるものではない。
【0049】
また、上記実施形態では、非加圧メニューは、加圧モードでの実行を許容する加圧許可メニューと、加圧モードでの実行を許容しない加圧不可メニューとしているが、非加圧メニュー自体を加圧モードでは実行しないように制御装置60を構成することもできる。この場合、上記したフローチャート
図9のステップS03は、「選択メニューが非加圧メニュー?」となり、非加圧メニューが選択されている場合には(ステップS03のYES)、弁位置検出器37の検知値が加圧モードか否かによって制御を行なえばよい(ステップS04)。同じく、
図10のフローチャートでは、ステップS13が「選択メニューが非加圧メニュー?」となって、非加圧メニュー実行中(ステップS13のYES)にユーザーが加圧操作部36を操作したときには(ステップS14のYES)、ステップS16以降の処理を実行すればよい。
【符号の説明】
【0050】
10 圧力調理器
20 調理器本体
22 ヒーター(加熱手段)
23 温度センサー
30 蓋体
35 圧力弁
36 加圧操作部
40 表示部(報知手段)
46 スピーカー(報知手段)
60 制御装置
61 報知手段