(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165549
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】穀物乾燥機の監視システム
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20241121BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F26B25/00 C
F26B9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081828
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】西山 恭介
(72)【発明者】
【氏名】福本 亮
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB04
3L113AC04
3L113AC58
3L113AC69
3L113BA03
3L113CA08
3L113CB03
3L113CB37
3L113DA21
(57)【要約】
【課題】従来よりも広範囲の過熱異常を判定可能な穀物乾燥機の監視システムを提供する。
【解決手段】熱風を発生させるバーナボックス30と、バーナボックス30により生成した熱風を用いて穀物の乾燥を行う乾燥部5と、穀物乾燥機2を撮像領域IAとする熱画像を撮像するサーモカメラ73と、を有する穀物乾燥機2の監視システム1は、穀物乾燥機2の過熱異常の有無を判定する異常判定部61を備える。撮像領域IAには、複数の監視領域MAが設定される。異常判定部61は、監視領域MA毎に設定された第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cと熱画像に基づく監視領域MA毎のサーモカメラ温度t4とを用いて、監視領域MA毎に過熱異常の有無を判定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風を発生させる熱風発生部と、前記熱風発生部により生成した熱風を用いて穀物の乾燥を行う乾燥部と、を有する穀物乾燥機の監視システムであって、
前記穀物乾燥機を撮像領域とする熱画像を撮像する撮像部と、
前記穀物乾燥機の過熱異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、
前記撮像領域には、複数の監視領域が設定され、
前記異常判定部は、前記監視領域毎に設定された基準温度と前記熱画像に基づく前記監視領域毎の測定温度とを用いて、前記監視領域毎に過熱異常の有無を判定することを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の穀物乾燥機の監視システムにおいて、
外気温度、前記熱風の設定温度、及び、前記監視領域の風量に基づいて、前記基準温度を変更する変更部を更に備えていることを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の穀物乾燥機の監視システムにおいて、
前記基準温度は、第1基準温度と、前記第1基準温度よりも高い温度の第2基準温度と、を含み、
前記異常判定部は、
前記測定温度が前記第1基準温度以下の場合は、前記過熱異常が発生していないと判定し、
前記測定温度が前記第1基準温度よりも高く、かつ、前記第2基準温度以下の場合は、オペレータに報知し、
前記測定温度が前記第2基準温度よりも高い場合は、前記過熱異常が発生していると判定するとともに、前記穀物乾燥機を停止させることを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の穀物乾燥機の監視システムにおいて、
前記熱風発生部は、バーナを備え、
前記監視領域は、第1監視領域と、前記第1監視領域よりも前記バーナから離隔した位置に設定された第2監視領域と、を含み、
前記第2監視領域の基準温度は、前記第1監視領域の基準温度よりも低い温度に設定されていることを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の穀物乾燥機の監視システムにおいて、
前記監視領域は、前記熱風発生部を含むことを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の穀物乾燥機の監視システムにおいて、
前記熱風発生部は、複数のバーナを備えていることを特徴とする穀物乾燥機の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱風を発生させる熱風発生器と、該熱風発生器により生成した熱風を用いて穀物を循環させながら乾燥を行う乾燥室と、を備える穀物乾燥機が知られている。例えば、特許文献1に開示されている穀物乾燥機では、その内部に一対の温度検出器(例えば、サーミスタ)が備えられ、該一対の温度検出器の温度差と熱風発生器の出力とが所定の適正範囲にあるか否かにより、乾燥異常の有無を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の穀物乾燥機では、例えば、温度検出器から比較的離れた位置において発生する穀物乾燥機の過熱異常を判定するのが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来よりも広範囲の過熱異常を判定可能な穀物乾燥機の監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、熱風を発生させる熱風発生部と、前記熱風発生部により生成した熱風を用いて穀物の乾燥を行う乾燥部と、を有する穀物乾燥機の監視システムであって、前記穀物乾燥機を撮像領域とする熱画像を撮像する撮像部と、前記穀物乾燥機の過熱異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、前記撮像領域には、複数の監視領域が設定され、前記異常判定部は、前記監視領域毎に設定された基準温度と前記熱画像に基づく前記監視領域毎の測定温度とを用いて、前記監視領域毎に過熱異常の有無を判定する。
このように構成された本発明によれば、撮像部により撮像された熱画像を用いて撮像領域内にある穀物乾燥機の過熱異常の有無が判定されるようになる。これにより、従来よりも広範囲の穀物乾燥機の過熱異常の有無を判定することができる。また、本発明によれば、撮像領域には複数の監視領域が設定されており、監視領域毎の基準温度と測定温度とを用いて該監視領域毎に穀物乾燥機の過熱異常の有無が判定されるようになる。これにより、従来よりも広範囲の穀物乾燥機の過熱異常の有無を判定しつつ、その判定精度を確保することが可能となる。
【0007】
本発明において、好ましくは、外気温度、前記熱風の設定温度、及び、前記監視領域の風量に基づいて、前記基準温度を変更する変更部を更に備えている。
このように構成された本発明によれば、基準温度が外気温度、熱風の設定温度、及び、撮像領域の風量に基づいて変更されるようになるので、例えば、熱風の設定温度が比較的高い温度に設定されたことに起因して測定温度が高くなっている場合において、穀物乾燥機の過熱異常が発生していると誤判定してしまうのを抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、前記基準温度は、第1基準温度と、前記第1基準温度よりも高い温度の第2基準温度と、を含み、前記異常判定部は、前記測定温度が前記第1基準温度以下の場合は、前記過熱異常が発生していないと判定し、前記測定温度が前記第1基準温度よりも高く、かつ、前記第2基準温度以下の場合は、オペレータに報知し、前記測定温度が前記第2基準温度よりも高い場合は、前記過熱異常が発生していると判定するとともに、前記穀物乾燥機を停止させる。
このように構成された本発明によれば、測定温度が第1基準温度よりも高く、かつ、第2基準温度以下の場合、オペレータに報知されるようになる。これにより、オペレータに穀物乾燥機を点検するように促すことが可能となるので、前記過熱異常の初期段階に穀物乾燥機の停止等の対策をとることができる。また、測定温度が第2基準温度よりも高い場合、穀物乾燥機が過熱異常状態であるので、停止されるようになる。これにより、例えば、オペレータの操作無しに過熱異常状態の穀物乾燥機を早期に停止することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記熱風発生部は、バーナを備え、前記監視領域は、第1監視領域と、前記第1監視領域よりも前記バーナから離隔した位置に設定された第2監視領域と、を含み、前記第2監視領域の基準温度は、前記第1監視領域の基準温度よりも低い温度に設定されていることを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、各監視領域とバーナとの距離に応じて各基準温度を適切に設定することができる。これにより、上記距離に応じて測定温度が変化した場合であっても、該測定温度の変化が上記過熱異常の有無の判定に影響を与えるのを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記監視領域は、前記熱風発生部を含む。
このように構成された本発明によれば、熱風発生部において発生し易い過熱異常を適切に判定することが可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記熱風発生部は、複数のバーナを備えている。
このように構成された本発明によれば、バーナが複数備えられることで、穀物乾燥機内において熱風が流れる経路が複数存在する場合であっても、例えば、その経路等を撮像した熱画像を用いて穀物乾燥機の過熱異常を適切に判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明の穀物乾燥機の監視システムによれば、従来よりも広範囲の穀物乾燥機の過熱異常の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る監視システムを構成する穀物乾燥機を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る監視システムを示すブロック図である。
【
図6】コンピュータの制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る監視システム1を構成する穀物乾燥機2を示す。該穀物乾燥機2は、循環式穀物乾燥機であって、乾燥機本体3と、乾燥機本体3の後側に設けられた排気部20と、乾燥機本体3の前側に設けられたバーナボックス30と、を備えている。該排気部20には、排風ファン(不図示)が設けられている。そして、排風ファンを回転させると、バーナボックス30において加熱された空気、つまり、熱風が、バーナボックス30、乾燥機本体3、排気部20の順に流れるようになる。換言すると、バーナボックス30により生成した(発生させた)熱風は乾燥機本体3内に供給された後、排気部20から乾燥機本体3の外部に排気される。このとき、乾燥機本体3内に供給される熱風は、穀物(例えば、籾、小麦)の乾燥に用いられる。
【0016】
乾燥機本体3は、略直方体状をなしている。また、乾燥機本体3には、
図2に示すように、上部に貯留部4、下部に乾燥部5がそれぞれ備えられている。
【0017】
貯留部4は、穀物を貯留可能なタンクである。該貯留部4の下方には、該貯留部4に連続して乾燥部5が設けられている。
【0018】
乾燥部5は、一対の穀物乾燥室6と、熱風室7と、排風室8とを備えている。一対の穀物乾燥室6は、略V字状の断面形状をなしており、各々の上端が貯留部4の下部と接続している。これにより、貯留部4の穀物がその自重により穀物乾燥室6内を流下するようになっている。
【0019】
熱風室7は、一対の穀物乾燥室6間に設けられており、略菱形状の断面形状をなしている。また、熱風室7の略中央部には、略円筒状をなす案内隔壁7aが配設されている。該案内隔壁7aの一端は、バーナボックス30と対峙している。一方、案内隔壁7aの他端は、熱風室7内に開口している。また、案内隔壁7aの外周面には、赤外線放射塗料が塗布されている。そして、案内隔壁7aには、その一端からバーナボックス30において加熱された空気(熱風)が案内隔壁7a内に導入されるようになっている。該熱風は、案内隔壁7aの他端から熱風室7に導入されるようになっている。熱風が案内隔壁7aを通過すると、該案内隔壁7aが高温となり、遠赤外線を放射するようになる。該遠赤外線の放射により、一対の穀物乾燥室6を流下する穀物の乾燥が促進されるようになっている。
【0020】
一対の穀物乾燥室6と熱風室7との間は、通風可能な多孔壁からなる一対の第1スクリーン9(例えば、丸穴スクリーン)によって仕切られている。これにより、熱風室7の熱風は、第1スクリーン9に設けられた孔を介して穀物乾燥室6に導入され、該穀物乾燥室6内を流下する穀物を乾燥させるのに用いられるようになっている。
【0021】
排風室8は、一対の穀物乾燥室6の外方、つまり、熱風室7の反対側に設けられており、略V字状の断面形状をなしている。一対の穀物乾燥室6と排風室8との間は、通風可能な多孔壁からなる一対の第2スクリーン10(例えば、丸穴スクリーン)によって仕切られている。これにより、第1スクリーン9に設けられた孔を介して熱風室7から穀物乾燥室6に導入され、かつ、該穀物乾燥室6内を流下する穀物の乾燥に用いられた熱風は、第2スクリーン10に設けられた孔を介して排風室8に導入される。該排風室8に導入された熱風は、該排風室8に接続された排気部20(
図1参照)から乾燥機本体3の外部に排気されるようになっている。
【0022】
また、一対の穀物乾燥室6の下端には、図示しないモータにより間欠的に回転駆動されるロータリバルブ11が設けられている。該ロータリバルブ11が間欠的に回転動作することにより、穀物乾燥室6の穀物が排風室8に繰り出される。
【0023】
ロータリバルブ11の下方には、排風室8の底部を構成するホッパ状の集穀板12が設けられている。該集穀板12の底部には、図示しないモータにより回転駆動される下側スクリューコンベア13が設けられている。穀物乾燥機2の前側には、揚穀機14が付設されている。そして、下側スクリューコンベア13が回転動作することにより、穀物が揚穀機14の内部の下部領域に搬送されるようになっている。揚穀機14は、乾燥部5の下部から横搬送されてきた穀物を上方に搬送、つまり、揚穀するように構成されている。
【0024】
貯留部4の上部には、図示しないモータにより回転駆動される上側スクリューコンベア15と拡散盤16とが設けられている。揚穀機14により揚穀された穀物は、上側スクリューコンベア15により横搬送されて拡散盤16に搬送された後、該拡散盤16が回転することで、貯留部4内に貯留されるようになっている。
【0025】
該貯留部4内に貯留された穀物は、ロータリバルブ11の間欠的な回転動作により下方に徐々に移動し、穀物乾燥室6に導入されるようになる。そして、該穀物乾燥室6を流下する際に熱風室7から導入される熱風が供給されることで、該穀物に含まれる水分が取り除かれていくようになっている。その後、穀物乾燥室6の穀物は、ロータリバルブ11、排風室8、下側スクリューコンベア13、揚穀機14、上側スクリューコンベア15、拡散盤16の順に送られた後、貯留部4に戻されるようになる。つまり、穀物は、貯留部4、乾燥部5、排風室8、揚穀機14の順に循環しながら乾燥されるようになっている。
【0026】
次に、バーナボックス30の詳細構造について説明する。
【0027】
バーナボックス30は、
図3に示すように、乾燥機本体3の前面における揚穀機14の右側の位置であって、熱風室7の前側の開口(不図示)を覆うように設けられている。また、バーナボックス30には、その前側の開口(不図示)を覆う前面カバー31が取り付けられている。該前面カバー31には、略矩形板状をなし、かつ、バーナボックス30内に外気を導入するための外気導入口32が複数設けられている。
【0028】
また、バーナボックス30は、
図4に示すように、天板33、底板34、第1側板35、第2側板36、第1仕切板37、及び、第2仕切板38を備えている。
【0029】
天板33及び底板34は、それぞれの厚み方向が上下方向を向く姿勢において、上下方向に所定の間隔を空けて配設されている。
【0030】
第1側板35及び第2側板36は、それぞれの厚み方向が乾燥機本体3の幅方向(左右方向)に向く姿勢において、該幅方向に所定の間隔を空けて配設されている。天板33と底板34の上記幅方向の各端部同士は、第1側板35と第2側板36とによりそれぞれ連結されている。
【0031】
第1仕切板37及び第2仕切板38は、それぞれの厚み方向が上下方向を向く姿勢において、天板33と底板34との上下方向間に配設されている。天板33、第1仕切板37、第2仕切板38及び底板34は、互いに上下方向に所定の間隔空けて配設されている。
【0032】
また、バーナボックス30内には、第1収容部39、第2収容部40及び第3収容部41が設けられている。本実施形態では、3つのバーナ42(第1バーナ43、第2バーナ44及び第3バーナ45)が備えられており、第1収容部39、第2収容部40及び第3収容部41にそれぞれバーナ42が設置されるようになっている。
【0033】
第1収容部39は、天板33、第1側板35、第2側板36及び第1仕切板37により形成される空間である。また、第1収容部39には、第1火口43aを有する第1バーナ43が備えられている。
【0034】
第2収容部40は、第1側板35、第2側板36、第1仕切板37及び第2仕切板38により形成される空間であって、第1収容部39の下方に設けられている。また、第2収容部40には、第2火口44aを有する第2バーナ44が備えられている。
【0035】
第3収容部41は、第1側板35、第2側板36、第2仕切板38及び底板34により形成される空間であって、第2収容部40の下方に設けられている。また、第3収容部41には、第3火口45aを有する第3バーナ45が備えられている。
【0036】
バーナ42(第1バーナ43、第2バーナ44及び第3バーナ45)は、外気導入口32(
図3参照)から導入した外気(空気)を用いて灯油等の液体燃料を燃焼させることで、該外気を加熱して熱風を発生させるようになっている。該液体燃料は、燃料タンク(不図示)に貯留されており、該燃料タンクの液体燃料が燃料ポンプ(不図示)により、各バーナ42に供給されるようになっている。
【0037】
バーナ42(第1バーナ43、第2バーナ44及び第3バーナ45)において液体燃料を燃焼させることにより発生した熱風は、第1収容部39、第2収容部40及び第3収容部41に接続された案内隔壁7aと、熱風室7とを介して穀物乾燥室6に供給され(
図2参照)、穀物の乾燥に用いられるようになっている。なお、本実施形態では、第1バーナ43の第1火口43a、第2バーナ44の第2火口44a及び第3バーナ45の第3火口45aは、各燃焼炎Fを幅方向において揚穀機14の反対側(右側)に噴射するように構成されている。
【0038】
次に、
図5を用いて監視システム1について説明する。
【0039】
監視システム1は、穀物乾燥機2、コンピュータ60、報知部71、他のプラント機器72及びサーモカメラ73を備えている。
【0040】
穀物乾燥機2には、バーナボックス30及びバーナ42に加えて、操作部46、外気温度センサ47、第1風量センサ48、第2風量センサ49及び制御部50が備えられている。
【0041】
操作部46は、例えば、オペレータが操作可能なタッチパネルである。また、操作部46では、穀物乾燥機2の運転と停止とを切り換えること、及び、バーナ設定温度t3(
図6参照)、つまり、バーナボックス30において発生させる熱風の設定温度を変更することが可能となっている。そして、操作部46は、バーナ設定温度t3などを制御部50及びコンピュータ60に送信するように構成されている。本実施形態では、バーナ設定温度t3は、例えば、20℃~70℃の範囲で変更可能となっている。
【0042】
外気温度センサ47は、外気温度(穀物乾燥機2の周囲の温度)を検出するセンサである。本実施形態では、外気温度センサ47は、前面カバー31に取り付けられている(
図3を参照)。また、外気温度センサ47は、検出した外気温度を制御部50及びコンピュータ60に送信するように構成されている。
【0043】
第1風量センサ48及び第2風量センサ49は、バーナボックス30内の風量を検出可能なセンサである。各センサは、検出した風量を制御部50及びコンピュータ60に送信するように構成されている。第1風量センサ48は、第1収容部39に配設されている(
図4参照)。また、第2風量センサ49は、第2収容部40に配設されている(
図4参照)。
【0044】
制御部50は、図示しないプロセッサ及びメモリ等を備えている。そして、プロセッサがメモリに記憶された制御プログラムを実行することで、例えば、操作部46から取得したバーナ設定温度t3に基づいてバーナ42を制御するように構成されている。
【0045】
コンピュータ60は、図示しないプロセッサ及びメモリ等を備えている。そして、プロセッサがメモリに記憶された制御プログラムを実行することで、穀物乾燥機2の過熱異常の有無を判定するように構成されている。また、コンピュータ60は、異常判定部61及び変更部62を備えている。
【0046】
報知部71は、例えば、オペレータへ報知可能なディスプレイ(不図示)やスピーカ(不図示)である。該報知部71は、コンピュータ60からの指令により、ディスプレイに表示、或いは、スピーカから警告音等を出力することで、オペレータに穀物乾燥機2の状態を報知することが可能となっている。
【0047】
他のプラント機器72は、穀物乾燥機2が設置されている同一のプラント(例えば、穀物加工施設)に設置されている機器(例えば、粗精選機、計量機、籾摺機)である。該他のプラント機器72は、コンピュータ60からの指令により制御することが可能となっている。
【0048】
サーモカメラ73は、物質等が発する遠赤外線を検出することで、非接触で物質等の温度を測定可能となっている。また、サーモカメラ73は、
図1に示すように、穀物乾燥機2の前側に設置され、かつ、穀物乾燥機2の前面を撮像するように構成されている。
【0049】
さらに、サーモカメラ73は、その撮影方向がバーナボックス30に向いている(
図1参照)。また、サーモカメラ73の撮像領域IAは、バーナボックス30とその周囲とを含む領域に設定されている(
図4参照)。さらに、サーモカメラ73は、撮像領域IAを撮像した熱画像をコンピュータ60に送信するように構成されている。
【0050】
撮像領域IAには、複数の監視領域MAが設定されている。該監視領域MAは、オペレータ等が、穀物乾燥機2のバーナ42の数、設置環境などを考慮して、穀物乾燥機2の過熱異常が発生し易い領域に予め設定するようになっている。本実施形態では、監視領域MAとして、第1監視領域MA1、第2監視領域MA2及び第3監視領域MA3が設定されている(
図4参照)。
【0051】
第1監視領域MA1は、第1収容部39に設定されている。また、第1監視領域MA1は、第1バーナ43の第1火口43aから噴射される燃焼炎Fが含まれるように設定されている。さらに、第1監視領域MA1は、第1風量センサ48が含まれるように設定されている。
【0052】
第2監視領域MA2は、第2収容部40及び第3収容部41に設定され、かつ、第1監視領域MA1よりも上下方向に広い領域が設定されている。また、第2監視領域MA2は、第2バーナ44の第2火口44aから噴射される燃焼炎F及び第3バーナ45の第3火口45aから噴射される燃焼炎Fが含まれるように設定されている。さらに、第2監視領域MA2は、第2風量センサ49及び第2仕切板38の一部が含まれるように設定されている。
【0053】
第3監視領域MA3は、バーナボックス30の下側の領域に設定され、かつ、第1監視領域MA1及び第2監視領域MA2よりも幅方向に広い領域が設定されている。また、第3監視領域MA3は、第1監視領域MA1及び第2監視領域MA2と異なり、バーナ42から噴射される燃焼炎Fを含まない領域に設定されている。換言すると、第3監視領域MA3は、第1監視領域MA1及び第2監視領域MA2よりもバーナ42から離隔した位置に設定されている。
【0054】
次に、
図6を用いて、コンピュータ60のプロセッサが実行する制御処理について説明する。
図6に示す制御処理は、穀物乾燥機2が運転している状態、つまり、穀物乾燥機2において穀物の乾燥が行われている状態において実行される。なお、
図6のステップS4が変更部62の処理である。また、
図6のステップS6~S12が異常判定部61の処理である。
【0055】
ステップS1では、外気温度センサ47から外気温度t2を取得する。
【0056】
ステップS2では、操作部46からバーナ設定温度t3を取得する。
【0057】
ステップS3では、第1風量センサ48及び第2風量センサ49から監視領域MAの風量Qを取得する。
【0058】
ステップS4では、監視領域MA毎に基準温度として、第1基準温度t1a(中限)、第2基準温度t1b(上限)及び第3基準温度t1c(最上限)を設定する。
【0059】
第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cは、以下の数式1~3に基づいて設定される。
(数式1)第1基準温度t1a=t2+t3×q+t5a
(数式2)第2基準温度t1b=t2+t3×q+t5b
(数式3)第3基準温度t1c=t2+t3×q+t5c
上記の数式1~3において、t2は外気温度、t3はバーナ設定温度、qは風量Qに依存する定数、t5は温度測定部位に依存する定数である。また、t5a、t5b及びt5cにおけるt5以外の部分(a、b及びc)は、a<b<cの関係が成り立つように設定されている。
【0060】
本実施形態では、第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cは、監視領域MA毎に設定される。なお、説明の便宜上、全ての監視領域MAの基準温度を指す場合は、第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cとする。一方、監視領域MA毎の基準温度を指す場合は、第1監視領域MA1は、第1基準温度t1a1、第2基準温度t1b1及び第3基準温度t1c1とし、第2監視領域MA2は、第1基準温度t1a2、第2基準温度t1b2及び第3基準温度t1c2とし、第3監視領域MA3は、第1基準温度t1a3、第2基準温度t1b3及び第3基準温度t1c3とする。
【0061】
t2(外気温度)及びt3(バーナ設定温度)が高いほど、全ての監視領域MAにおけるサーモカメラ73の測定温度(サーモカメラ温度t4)が高くなる傾向にある。そのため、上記の数式1~3では、t2(外気温度)及びt3(バーナ設定温度)が高いほど、各監視領域MAの第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cが高い温度に変更されるようになっている。
【0062】
風量Qが高くなるほど、全ての監視領域MAにおけるサーモカメラ73の測定温度(サーモカメラ温度t4)が低くなる傾向にある。そのため、上記の数式1~3では、風量Qが高くなるほど、q(定数)は低くなっている。これにより、風量Qが高くなるほど、各監視領域MAの第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cが低い温度に変更されるようになっている。また、第1監視領域MA1の各基準温度t1a1~t1c1は、第1風量センサ48から取得した風量Qに基づいて設定される。さらに、第2監視領域MA2の各基準温度t1a2~t1c2は、第2風量センサ49から取得した風量Qに基づいて設定される。さらに、第3監視領域MA3の各基準温度t1a3~t1c3は、第1風量センサ48或いは第2風量センサ49から取得した風量Q、又は、図示しない他の風量センサから取得した風量Qに基づいて設定される。
【0063】
t5(定数)は、温度測定部位に応じて設定される。本実施形態では、各監視領域MAとバーナ42との距離に応じて設定される。第1監視領域MA1及び第2監視領域MA2は、バーナボックス30を含む領域、つまり、バーナ42から比較的近い(近接している)領域に設定されているため、バーナ42の燃焼炎Fの影響によりサーモカメラ73の測定温度(サーモカメラ温度t4)が高くなる傾向にある。そのため、第1監視領域MA1の各基準温度t1a1~t1c1及び第2監視領域MA2の各基準温度t1a2~t1c2を設定する場合は、t5は比較的大きい値が用いられる。一方、第3監視領域MA3は、バーナボックス30を含まない領域、つまり、バーナ42から比較的遠い(離隔している)領域に設定されているため、バーナ42の燃焼炎Fの影響が少なく、サーモカメラ73の測定温度(サーモカメラ温度t4)が比較的低くなる傾向にある。そのため、第3監視領域MA3の各基準温度t1a3~t1c3を設定する場合は、t5として比較的小さい値(第1監視領域MA1及び第2監視領域MA2のt5よりも小さい値)が用いられる。
【0064】
ステップS5では、サーモカメラ74が撮像した熱画像から各監視領域MAの測定温度(サーモカメラ温度t4)を取得する。本実施形態では、各監視領域MA内において熱画像に基づいて測定される最大温度を各監視領域MAのサーモカメラ温度t4として取得する。換言すると、ステップS5では、第1監視領域MA1の最大温度、第2監視領域MA2の最大温度及び第3監視領域MA3の最大温度をサーモカメラ温度t4として取得する。なお、説明の便宜上、全ての監視領域MAのサーモカメラ温度を指す場合は、t4とする。一方、監視領域MA毎のサーモカメラ温度を指す場合は、第1監視領域MA1のサーモカメラ温度はt41とし、第2監視領域MA2のサーモカメラ温度はt42、第3監視領域MA3のサーモカメラ温度はt43とする。
【0065】
ステップS6では、ステップS5において取得したサーモカメラ温度t4がステップS4で設定した第1基準温度t1a以下であるか否かを判断する。具体的には、ステップS6では、第1監視領域MA1のサーモカメラ温度t41と第1監視領域MA1の第1基準温度t1a1とを比較し、第2監視領域MA2のサーモカメラ温度t42と第2監視領域MA2の第1基準温度t1a2とを比較し、かつ、第3監視領域MA3のサーモカメラ温度t43と第3監視領域MA3の第1基準温度t1a3とを比較する。
【0066】
ステップS6の判断がYesの場合、つまり、全ての監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)が第1基準温度t1a(t1a1~t1a3)以下である場合、ステップS7へ進む。一方、ステップS6の判断がNoの場合、つまり、監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)の少なくとも1つが第1基準温度t1a(t1a1~t1a3)よりも大きい場合、ステップS8に進む。
【0067】
ステップS7では、穀物乾燥機2が正常状態、つまり、全ての監視領域MAにおいて過熱異常が発生していないと判定される。それゆえ、コンピュータ60は、穀物乾燥機2の通常運転を継続して行うように制御部50に指令した後、エンドに進む。
【0068】
ステップS8では、ステップS5において取得したサーモカメラ温度t4がステップS4で設定した第2基準温度t1b以下であるか否かを判断する。具体的には、ステップS8では、第1監視領域MA1のサーモカメラ温度t41と第1監視領域MA1の第2基準温度t1b1とを比較し、第2監視領域MA2のサーモカメラ温度t42と第2監視領域MA2の第2基準温度t1b2とを比較し、かつ、第3監視領域MA3のサーモカメラ温度t43と第3監視領域MA3の第2基準温度t1b3とを比較する。
【0069】
ステップS8の判断がYesの場合、つまり、全ての監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)が第2基準温度t1b(t1b1~t1b3)以下である場合、ステップS9へ進む。一方、ステップS8の判断がNoの場合、つまり、監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)の少なくとも1つが第2基準温度t1b(t1b1~t1b3)よりも大きい場合、ステップS10に進む。
【0070】
ステップS9では、穀物乾燥機2が要注意状態であると判定される。該要注意状態は、少なくとも1以上の監視領域MAにおいて通常状態よりも温度が高くなっていることから、その旨をオペレータに報知する必要がある。それゆえ、コンピュータ60は、オペレータに報知するよう報知部71に指令する。例えば、報知部71は、穀物乾燥機2が要注意状態であること、及び、遠隔監視端末(不図示)の表示された熱画像を確認することをオペレータに報知する。該報知を受けたオペレータが遠隔監視端末等を確認し、穀物乾燥機2の運転継続或いは停止を判断する。また、ステップS9では、コンピュータ60は、穀物乾燥機2の運転を継続するように制御部50に指令した後、エンドに進む。
【0071】
ステップS10では、ステップS5において取得したサーモカメラ温度t4がステップS4で設定した第3基準温度t1c以下であるか否かを判断する。具体的には、ステップS8では、第1監視領域MA1のサーモカメラ温度t41と第1監視領域MA1の第3基準温度t1c1とを比較し、第2監視領域MA2のサーモカメラ温度t42と第2監視領域MA2の第3基準温度t1c2とを比較し、かつ、第3監視領域MA3のサーモカメラ温度t43と第3監視領域MA3の第3基準温度t1c3とを比較する。
【0072】
ステップS10の判断がYesの場合、つまり、全ての監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)が第3基準温度t1c(t1c1~t1c3)以下である場合、ステップS11へ進む。一方、ステップS10の判断がNoの場合、つまり、監視領域MA(MA1~MA3)のサーモカメラ温度t4(t41~t43)の少なくとも1つが第3基準温度t1c(t1c1~t1c3)よりも大きい場合、ステップS12に進む。
【0073】
ステップS11では、穀物乾燥機2が危険状態であると判定される。該危険状態は、少なくとも1以上の監視領域MAにおいて要注意状態よりも温度が高くなっていることから、穀物乾燥機2を自動停止する(オペレータによる穀物乾燥機2を停止させる操作が無いにもかかわらず該穀物乾燥機2を停止させる)必要がある。それゆえ、コンピュータ60は、穀物乾燥機2を自動停止させるように制御部50に指令する。また、コンピュータ60は、例えば、穀物乾燥機2が危険状態であること、及び、穀物乾燥機2を自動停止したことをオペレータに報知するように報知部71に指令する。その後、エンドに進む。
【0074】
ステップS12では、穀物乾燥機2が異常状態(過熱異常)であると判定される。該異常状態は、少なくとも1以上の監視領域MAにおいて危険状態よりも温度が高く、穀物乾燥機2の過熱異常が発生しているため、全てのプラント機器(穀物乾燥機2及び他のプラント機器72)を自動停止させる必要がある。それゆえ、コンピュータ60は、穀物乾燥機2を自動停止するように制御部50に指令するとともに、自動停止するように他のプラント機器72に指令する。また、コンピュータ60は、例えば、穀物乾燥機2が異常状態(過熱異常)であること、及び、全てのプラント機器(穀物乾燥機2及び他のプラント機器72)を自動停止したことをオペレータに報知するように報知部71に指令する。その後、エンドに進む。
【0075】
以上より、本実施形態によれば、サーモカメラ73により撮像された熱画像を用いて撮像領域IA内にある穀物乾燥機2の過熱異常の有無が判定されるようになる。これにより、従来よりも広範囲の穀物乾燥機2の過熱異常の有無を判定することができる。また、本実施形態によれば、撮像領域IAには複数の監視領域MAが設定されており、監視領域MA毎の第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cとサーモカメラ温度t4とを用いて監視領域MA毎に穀物乾燥機2の過熱異常の有無が判定されるようになる。これにより、従来よりも広範囲の穀物乾燥機2の過熱異常の有無を判定しつつ、その判定精度を確保することが可能となる。
【0076】
また、第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cが外気温度t2、バーナ設定温度t3、及び、風量Qに基づいて変更されるようになるので、例えば、バーナ設定温度t3が比較的高い温度に設定されたことに起因してサーモカメラ温度t4が高くなっている場合において、穀物乾燥機2の過熱異常が発生していると誤判定してしまうのを抑制することができる。
【0077】
また、特許文献1の如き穀物乾燥機では、該穀物乾燥機に過熱異常が発生した場合に、軽微な異常であるか、大きな異常であるか分からない、といった問題がある。したがって、穀物乾燥機に過熱異常が発生した場合に、その異常が初期レベル(初期段階)か否かを判定することができる穀物乾燥機の監視システムを提供することが求められている。これに対して本実施形態では、サーモカメラ温度t4が第1基準温度t1aよりも高く、かつ、第2基準温度t1b以下の場合(
図6のステップS8の判断がYesの場合)、オペレータに報知されるようになる(
図6のステップS9を参照)。これにより、オペレータに穀物乾燥機2を点検するように促すことが可能となるので、前記過熱異常の初期段階に穀物乾燥機2の停止等の対策をとることができる。また、サーモカメラ温度t4が第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cよりも高い場合(
図6のステップS10の判断がNoの場合)、穀物乾燥機2が過熱異常状態であるので、停止されるようになる(
図6のステップS12を参照)。これにより、例えば、オペレータの操作無しに過熱異常状態の穀物乾燥機2を早期に停止することができる。また、穀物乾燥機2の過熱異常の初期段階(要注意状態)等の過熱異常レベルを検知して、オペレータへの報知や穀物乾燥機2の停止等が実行されることで、特に、穀物乾燥機2の夜間の無人運転時や遠隔運転制御において安全性を向上させることができる。
【0078】
また、各監視領域MAとバーナ42との距離に応じて第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1cを適切に設定することができる。これにより、上記距離に応じてサーモカメラ温度t4が変化した場合であっても、該サーモカメラ温度t4の変化が上記過熱異常の有無の判定に影響を与えるのを抑制することができる。
【0079】
また、監視領域MAにバーナボックス30を含むことにより、バーナボックス30において発生し易い過熱異常を適切に判定することが可能となる。
【0080】
また、バーナ42が複数備えられることで、穀物乾燥機2内において熱風が流れる経路が複数存在する場合であっても、例えば、その経路等を撮像した熱画像を用いて穀物乾燥機2の過熱異常を適切に判定することが可能となる。
【0081】
また、サーモカメラ温度t4を監視領域MAにおける最も高い温度とすることにより、例えば、監視領域MA内の平均温度をサーモカメラ温度t4として用いる場合よりも、サーモカメラ温度t4が高くなるので、早期に穀物乾燥機2の過熱異常を判定することが可能となる。
【0082】
また、監視領域MAがバーナ42の火口(第1火口43a、第2火口44a及び第3火口45a)から噴射された燃焼炎Fを含むことにより、バーナ42の燃焼炎F付近において発生し易い過熱異常を適切に判定することができる。
【0083】
<変形例>
なお、本実施形態では、穀物乾燥機2の一例として揚穀機14が付設された循環式穀物乾燥機の例を説明したが、循環式穀物乾燥機以外の穀物乾燥機を用いてもよい。また、精米機等の付帯設備として設けられる穀物乾燥機を用いてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、監視領域MAには設定されていなかったが、バーナボックス30全体を監視領域MAに設定してもよく、或いは、バーナボックス30を構成する天板33、底板34、第1側板35、第2側板36、第1仕切板37、第2仕切板38及びバーナ42の少なくとも1つが含まれるように監視領域MAを設定してもよい。このようにすることで、監視領域MAに含まれる天板33等の過熱異常の有無を判定することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、バーナボックス30とその周囲とを含む領域に撮像領域IA及び監視領域MAが設定されていたが、穀物乾燥機2におけるバーナボックス30とその周囲とを含む領域以外の領域(例えば、一対の穀物乾燥室6と、熱風室7と、排風室8)に撮像領域IA及び監視領域MAを設定してもよい。このようにすることで、撮像領域IA(監視領域MA)内にある穀物乾燥機2(例えば、一対の穀物乾燥室6など)の過熱異常の有無を判定することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態では、3つの監視領域MAが設定されていたが、3つ以外の数の監視領域MAを設定してもよく、また、監視領域MAの範囲(例えば、形状、大きさ)を個別に異なるように設定してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、バーナボックス30に3つのバーナ42が備えられる例について説明したが、3つ以外の数のバーナ42を備えるようにしてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナ42の例について説明したが、気体燃料或いは固体燃料で燃焼させるバーナを用いてもよく、或いは、バーナ以外の熱風を発生させる手段(例えば、電気式ヒータやヒートポンプ等)を用いてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、3つの基準温度(第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1c)が設定されていたが、3つ以外の数の基準温度を設定してもよい。穀物乾燥機2の軽微な異常(通常時よりも温度が高い要注意状態)をオペレータに報知する観点から、2つ以上の基準温度を設定するのが好ましい。換言すると、少なくとも要注意状態を判定するための第1の基準温度と、異常状態(過熱異常)を判定するための第2の基準温度とを設定するのが好ましい。
【0090】
また、本実施形態では、
図6のステップS4において、外気温度t2、バーナ設定温度t3及び定数qを用いて基準温度(第1基準温度t1a、第2基準温度t1b及び第3基準温度t1c)を設定していたが、外気温度t2、バーナ設定温度t3及び定数qを用いずに上記基準温度を設定してもよく、外気温度t2、バーナ設定温度t3及び定数qの少なくとも1つを用いて上記基準温度を設定してもよく、或いは、外気温度t2、バーナ設定温度t3、定数q以外(例えば、湿度)を用いて上記基準温度を設定してもよい。
【0091】
また、本実施形態の
図6では、第1監視領域MA1、第2監視領域MA2及び第3監視領域MA3の過熱異常の判定を行う例について説明したが、監視領域MA毎の過熱異常の判定をそれぞれ独立して行うようにしてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、サーモカメラ73は、熱画像を撮像可能に構成されていたが、熱画像に加えて可視画像を撮像可能としてもよい。この場合、サーモカメラ73は、熱画像と、可視画像と、熱画像及び可視画像の合成画像とをコンピュータ60に送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、穀物乾燥機の監視システムに適している。
【符号の説明】
【0094】
1 監視システム
2 穀物乾燥機
5 乾燥部
30 バーナボックス(熱風発生部)
42 バーナ
61 異常判定部
62 変更部
73 サーモカメラ(撮像部)
IA 撮像領域
MA 監視領域
MA1 第1監視領域
MA3 第3監視領域(第2監視領域)
Q 風量(監視領域の風量)
t1a 第1基準温度
t1c 第3基準温度(第2基準温度)
t2 外気温度
t3 バーナ設定温度(熱風の設定温度)