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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165556
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】粘着テープ用原紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/00 20060101AFI20241121BHJP
   D21H 17/37 20060101ALI20241121BHJP
   D21H 11/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
D21H27/00 A
D21H17/37
D21H11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081837
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】大沢 紘平
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AG72
4L055AH16
4L055EA04
4L055EA05
4L055EA08
4L055EA12
4L055EA32
4L055FA13
4L055FA15
4L055GA42
(57)【要約】
【課題】強度及び印刷適性が良好である粘着テープ用原紙を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る粘着テープ用原紙は、主成分であるパルプと、ポリアクリルアミドとを含有し、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であり、上記ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t以上10.0kg/t以下であり、上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、坪量が50g/m以上120g/m以下である。上記全パルプ成分に対する上記広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が20質量%以上30質量%以下であることが好ましい。上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上650ml以下であり、少なくとも一方の面のベック平滑度が5秒以上であることが好ましい。透気度が8秒以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分であるパルプと、ポリアクリルアミドとを含有し、
全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であり、
上記ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t以上10.0kg/t以下であり、
上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、
坪量が50g/m以上120g/m以下である粘着テープ用原紙。
【請求項2】
上記全パルプ成分に対する上記広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が20質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の粘着テープ用原紙。
【請求項3】
上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上650ml以下であり、
少なくとも一方の面のベック平滑度が5秒以上である請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ用原紙。
【請求項4】
透気度が8秒以上である請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ用原紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ用原紙に関する。
【背景技術】
【0002】
紙を粘着テープ用原紙とする紙粘着テープは、粘着テープ用原紙の片面に粘着剤を塗布し、一方の面に繰出性を持たせるように背面処理を施して、ロール状に巻き取ったものである。紙粘着テープの中でも粘着テープ用原紙としてクラフト伸張紙を用いたクラフト粘着テープは、広く用いられている。このクラフト粘着テープは、クラフト伸張紙の一方の面に、目止め層、剥離剤が順次積層されており、他方の面には粘着剤が設けられている。
【0003】
従来、クラフト粘着テープとしては、例えば針葉樹未晒クラフトパルプを含有するクラフト伸張紙(以下、クルパック紙ともいう。)の片面にポリビニルアルコールを含む水性塗工液を塗布してバリア層を形成したクラフト粘着テープが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-264039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、商品展開等を目的として粘着テープ用原紙にも印刷の需要が増加している。しかしながら、針葉樹未晒クラフトパルプは繊維が長く太いため、粘着テープ用原紙の強度を向上できるが、表面の平滑性が低くなることで、印刷適性が良好ではない。一方、広葉樹未晒パルプを配合する場合、針葉樹に比べて繊維が細く短いことで、粘着テープ用原紙の表面の平滑性が向上するが、強度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、強度及び印刷適性が良好である粘着テープ用原紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る粘着テープ用原紙は、主成分であるパルプと、ポリアクリルアミドとを含有し、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であり、上記ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t以上10.0kg/t以下であり、上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、坪量が50g/m以上120g/m以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強度及び印刷適性が良好である粘着テープ用原紙を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る粘着テープ用原紙は、主成分であるパルプと、ポリアクリルアミドとを含有し、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であり、上記ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t以上10.0kg/t以下であり、上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、坪量が50g/m以上120g/m以下である。
【0010】
当該粘着テープ用原紙は、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であることで、表面性状が良くなって平滑性が高くなるため、印刷適性を向上できる。上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であることで、当該粘着テープ用原紙の表面の平滑性及び強度を向上できる。当該粘着テープ用原紙の坪量が50g/m以上120g/m以下であることで、強度を高めつつ、適度な剛度を備えることができる。また、当該粘着テープ用原紙は、ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で1.0kg/t以上10.0kg/t以下であることで、当該粘着テープ用原紙の表面側のパルプの繊維間の結合が強まり、強度を向上できるとともに、表面性状が良好となり、印刷適性を向上できる。
従って、当該粘着テープ用原紙は、強度及び印刷適性が良好である。
【0011】
上記全パルプ成分に対する上記広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が20質量%以上30質量%以下であることが好ましい。上記広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が20質量%以上30質量%以下であることで、表面性状が良くなって平滑性が高くなるため、印刷適性をより向上できる。
【0012】
上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上650ml以下であり、少なくとも一方の面のベック平滑度が5秒以上であることが好ましい。上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上650ml以下であることで、当該粘着テープ用原紙の平滑性及び強度をより向上できる。少なくとも一方の面のベック平滑度が5秒以上であることで、印刷適性が向上できる。また、剥離剤が当該粘着テープ用原紙へ浸透することを抑制できる。JIS―P8119:1998に規定されるベック平滑度は、被測定物であるシートを光学的平面仕上げのガラス製試料台とゴム製押え板間に100kPaの圧力で挟み、10mlの空気が比較的広い10cmのガラス製標準面との間を通り、水銀柱約370mmlに減圧保持された器内に流入するのに要する時間で表され、いわゆる被測定物の面における平滑性を示す。ベック平滑度は、比較的広い面におけるマクロ的な平滑性を評価する。
【0013】
当該粘着テープ用原紙の透気度は8秒以上であることが好ましい。上記透気度が8秒以上であることで、剥離剤が当該粘着テープ用原紙へ過度に浸透することを抑制できる。上記透気度は、JIS-P8117:2009「紙及び板紙-透気度及び透気抵抗度試験法(中間領域)-ガーレー法」に準拠し、測定したものである。
【0014】
[本発明の実施形態の詳細]
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0015】
<粘着テープ用原紙>
本発明の一実施形態に係る粘着テープ用原紙は、主成分であるパルプと、ポリアクリルアミドとを含有する。
【0016】
[パルプ]
上記パルプは、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を含有する。全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量としては、5質量%以上50質量%以下であり、5質量%以上30質量%以下が好ましく、20質量%以上30質量%以下がより好ましい。上記広葉樹未晒クラフトパルプの含有量を上記範囲とすることで、パルプに含まれる微細な繊維が適度に配合されるので、粘着テープ用原紙の強度を維持しつつ、当該粘着テープ用原紙の表面性状を高めることで平滑性を向上し、印刷適性を良好にできる。
【0017】
パルプは、当該粘着テープ用原紙の強度向上の観点から上記広葉樹未晒クラフトパルプ以外のその他のパルプとして、針葉樹未晒クラフトパルプが好ましい。針葉樹の種類は特に限定されるものではないが、ダグラスファー、カラマツ、スプルース、ラジアータパイン等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
上記広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、500ml以上650ml以下が好ましい。広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml未満の場合、フリーネスが低く微細繊維が多いため、強度が低下するおそれがある。一方、上記広葉樹未晒クラフトパルプの未叩解広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが700mlを超えると、繊維が十分に叩解されていないため、当該粘着テープ用原紙の表面の平滑性が低下して印刷適性が低くなるおそれがある。
【0019】
[添加剤]
(ポリアクリルアミド)
当該粘着テープ用原紙は、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを含有する。当該粘着テープ用原紙は、ポリアクリルアミドを含有することで、当該粘着テープ用原紙のパルプの繊維間の結合が強められるので、強度をより向上できる。両性のポリアクリルアミドはカチオンモノマー、アニオンモノマーをアクリルアミドと重合したものであり、自らのカチオン基を介して、パルプ繊維に直接定着する。また、両性のポリアクリルアミドは、分子構造、分子量をコントロールできる特徴を有する。
【0020】
当該粘着テープ用原紙のポリアクリルアミドの添加量の下限としては、固形分換算で1.0kg/パルプtであり、2.0kg/パルプtが好ましい。上記ポリアクリルアミドの添加量が1.0kg/パルプt未満の場合、十分な強度が得られないおそれがある。当該粘着テープ用原紙のポリアクリルアミドの添加量の上限としては、固形分換算で10.0kg/パルプtであり、8.0kg/パルプtが好ましい。上記ポリアクリルアミドの添加量が9.9kg/パルプtを超えると、表面が固くなって印刷が均一になり難く、また引裂強度が低下するおそれがある。
【0021】
(その他の添加剤)
当該粘着テープ用原紙のパルプは、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種製紙用添加剤を含有させてもよい。各種製紙用添加剤としては、例えば内添サイズ剤、凝集剤(シリカ)等の薬品定着剤、ポリアミド等の歩留り向上剤、ポリアミン、エピクロルヒドリン等の耐水化剤、硫酸バンド等の薬品定着剤、消泡剤、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料等の公知の添加剤を単独又は2種以上を併用して添加することができる。
【0022】
上記内添サイズ剤としては、スチレン系内添サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、中性ロジン内添サイズ剤、ロジン内添サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも中性ロジン内添サイズ剤が好ましい。
【0023】
[粘着テープ用原紙の物性値]
(坪量)
当該粘着テープ用原紙の坪量の下限としては、50g/mであり、60g/mが好ましい。当該粘着テープ用原紙の坪量が50g/m未満の場合、当該粘着テープ用原紙の強度が低下するおそれがある。一方、当該粘着テープ用原紙の坪量の上限としては、120g/mであり、100g/mが好ましい。当該粘着テープ用原紙の坪量が120g/mを超えると、当該粘着テープ用原紙の剛度が高くなり過ぎるとともに、当該粘着テープ用原紙を用いた粘着テープの厚さが大きくなり、作業性が低下するおそれがある。
【0024】
(ベック平滑度)
当該粘着テープ用原紙の少なくとも一方の面のベック平滑度の下限としては、5秒が好ましく、8秒がより好ましく、10秒がさらに好ましい。当該粘着テープ用当該粘着テープ用原紙の少なくとも一方の面のベック平滑度が5秒未満の場合、印刷不良(カスレ)や紙ムケの発生のおそれがある。また、当該粘着テープ用原紙に対して剥離剤の浸透性が高まり、粘着テープでの使用時にシワが生じる等の不具合が発生するおそれがある。当該粘着テープ用原紙の表面のベック平滑度の調整は、広葉樹未晒クラフトパルプの配合量、広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネス、マシンカレンダー又はソフトカレンダーを用いることで調整することができる。
【0025】
(透気度)
当該粘着テープ用原紙の透気度は8秒以上であることが好ましく、9秒以上であることがより好ましい。上記透気度が8秒以上であることで、剥離剤が当該粘着テープ用原紙へ過度に浸透することを抑制できる。
【0026】
[粘着テープ用原紙の製造方法]
当該粘着テープ用原紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば叩解工程と、抄紙工程と、乾燥工程とを備える。
【0027】
(叩解工程)
叩解工程では、原料パルプを所望のフリーネスとなるように叩解する。始めに、パルプ繊維を水に分散させて得たスラリーに、添加剤を必要に応じ添加して混合し、紙料を調製する。
【0028】
(抄紙工程)
次に、これらの原料スラリーを用いて、粘着テープ用原紙のpHが6以上8以下になるように中性域で抄紙機にて抄紙する。上記抄紙工程では、走行するワイヤー上に噴出させたパルプ原料を抄紙する抄紙機を用いて原料パルプを抄紙する。抄紙機は特に限定されるものではなく、公知の抄紙機、例えば長網抄紙機、円網抄紙機、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等の抄紙機を使用することができる。
【0029】
(乾燥工程)
次に、ドライヤーシリンダーにて紙を乾燥する。
【0030】
最後にリールに巻き取り、粘着テープ用原紙の巻取を得る。
【0031】
当該粘着テープ用原紙によれば、強度及び印刷適性が良好である。
【0032】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。また、強度及び印刷適性が良好であるため、クラフト用途への袋にも転用可能である。
【実施例0033】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
[実施例1~実施例12及び比較例1~比較例9]
(パルプスラリー)
表1に記載のパルプ配合率でパルプスラリーを調製した。用いた原料は以下の通りである。
(1)広葉樹未晒クラフトパルプ
アカシア・マンギウム50%とユーカリ・グロビュラス50%の混合チップを、液比6、絶乾チップ重量当たり有効アルカリ19%、蒸解液の硫化度28%、蒸解温度170℃、蒸解時間60分の条件下で横型回転式オートクレーブ(熊谷理機工業株式会社製)を用いてクラフト蒸解して調製した。
(2)広葉樹未晒クラフトパルプ及び針葉樹未晒クラフトパルプについて、P8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に準じて測定した。広葉樹未晒クラフトパルプ及び針葉樹未晒クラフトパルプは標準型PFIミル(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、表1に記載のフリーネスとなるよう調整した。
(3)パルプの添加剤として、紙力増強剤であるポリアクリルアミド(ハリマ化成学工業株式会社製「ハーマイドND―760」、固形分濃度20%)を用いた。
【0035】
(抄紙)
表1に記載の坪量となるよう角型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)で湿紙を作成し、プレス及び乾燥処理して実施例1~実施例12及び比較例1~比較例9の粘着テープ用原紙を作成した。
【0036】
【表1】
【0037】
[評価]
得られた各粘着テープ用原紙に対して、下記方法にて評価した。
(1)パルプのフリーネス
粘着テープ用原紙を剥離し、パルプを離解し、JIS-P8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に準じて測定した。評価結果を表1に示す。
(2)粘着テープ用原紙の坪量
JIS-P8124:2011に準拠して坪量[g/m]を測定した。評価結果を表1に示す。
(3)引張強度
JIS-P8113:2006に準拠して縦方向及び横方向の引張強度[kN/m]を測定した。上記「縦方向」とは、抄紙方向を意味し、「横方向」とは、上記縦方向に垂直な方向を意味する。
(4)引裂強度
JIS-P8116:2000に準拠して縦方向及び横方向の引裂強度[mN]を測定した。
(5)層間強度
TAPPI-No.18-2に準拠して層間強度[mJ]を測定した。
(6)剛度
JIS-P8143:2009「紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法(クラーク法)」に記載の方法に準拠して、縦方向及び横方向の剛度(クラーク剛度)を測定した。
(7)透気度
JIS-P8117:2009「紙及び板紙-透気度及び透気抵抗度試験法(中間領域)-ガーレー法」に準拠して測定した。
(8)ベック平滑度
ベック平滑度は、JIS-P8119:1998の付属書Aに準拠して測定した。
(9)印刷適性
得られた各テープ用原紙について、製袋加工時に、袋の最表層にフレキソ印刷を施し、印刷面を肉眼で観察し4段階で評価した。A~Cの場合、合格とする。
A:印刷面に紙ムケが無く、印刷適性に特に優れる。
B:印刷面に紙ムケが僅かにあり、印刷適性に優れる。
C:印刷面に紙ムケが多少あるが、印刷適性が良い。
D:印刷面に紙ムケがあり、印刷適性が悪く、実使用できない。
(10)粘着テープ適性
得られた各テープ用原紙について、粘着テープ用原紙の表面に、剥離剤を10g/mを塗布した後に乾燥させて剥離層を積層した。次に、粘着テープ用原紙の裏面に粘着剤を30g/mを塗布して粘着層を形成し、積層体を作製した。この積層体を2つ準備して、第1積層体及び第2積層体とした。
そして、第1積層体の剥離層の表面に、第2積層体の粘着層が接するように第1積層体の表面に第2積層体を積層した。この第1積層体と第2積層体とを重ねたものを25mm幅にカットし、2kgの金属製ローラーで一往復させて圧着した。そして、20℃にて18g/cmの荷重をかけ、3時間放置し、評価用試料を作成した。使用した薬品は以下の通りである。
粘着剤:3M社製、強力デザインボンド「K/D/B」
剥離剤:信越化学工業社製、スプレー型離型剤「RELEASE」
この評価用試料において、第2積層体を第1積層体から剥離させた際の第2積層体の粘着テープ用原紙へのシワの入り具合を目視で以下のとおり評価した。続いて、剥離した第2積層体を市販のコピー用紙に貼合した際の作業性を評価した。
A:第2積層体の粘着テープ用原紙にシワが入っておらず、貼合途中においてシート断紙が発生せず貼合作業においても問題ない。
B:第2積層体の粘着テープ用原紙にわずかなシワが入っているが、貼合途中においてシート断紙もほぼ発生せず、貼合作業において問題ない。
C:第2積層体の粘着テープ用原紙に多少のシワが入っているが、貼合途中においてシート断紙も少なく、貼合作業が可能である。
D:第2積層体の粘着テープ用原紙に明らかなシワが入っているか、または、貼合途中でシート断紙が発生し、貼合作業が困難である。又は剥離した際に、粘着テープ用原紙が層間剥離し、粘着テープとしては不適である。
【0038】
【表2】
【0039】
上記表2に示されるように、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%以上50質量%以下であり、ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t以上10.0kg/t以下であり、広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml以上700ml以下であり、坪量が50g/m以上120g/m以下である実施例1~12実施例は、強度とともに、印刷適性及び粘着テープ適性が良好であった。
【0040】
一方、全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が50質量%を超える比較例1及び比較例2は、強度が低く、粘着テープ適性が劣っていた。
また、坪量が50g/m以上未満の比較例3は、強度及び剛度が低く、粘着テープ適性が劣っていた。坪量が120g/mを超える比較例4は、ベック平滑度が低いとともに、剛度が高くなり過ぎて粘着テープ適性が劣っていた。
全パルプ成分に対する広葉樹未晒クラフトパルプの含有量が5質量%未満の比較例5は、ベック平滑度が低く、印刷適性が劣っていた。
広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが500ml未満の比較例6は、引裂強度及びベック平滑度が低く、印刷適性が劣っていた。広葉樹未晒クラフトパルプのフリーネスが700mlを超える比較例7は、印刷適性及び粘着テープ適性がともに劣っていた。
ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で10.0kg/tを超える比較例8は、印刷適性及び粘着テープ適性がともに劣っていた。ポリアクリルアミドの含有量が固形分換算で、1.0kg/t未満の比較例9は、層間強度が低く、粘着テープ適性が劣っていた。
【0041】
以上の結果、当該粘着テープ用原紙は強度及び印刷適性が良好であることが示された。