(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165562
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
E21D 9/00 20060101AFI20241121BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20241121BHJP
E21D 21/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
G01B11/02 H
E21D21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081844
(22)【出願日】2023-05-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】水田 武利
(72)【発明者】
【氏名】神田 銀平
(72)【発明者】
【氏名】吉野 優磨
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 さやか
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩紀
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA12
2F065AA22
2F065AA23
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ08
2F065QQ23
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR08
2F065SS02
2F065SS09
(57)【要約】
【課題】複数個所に打設される棒状の支持部材の配置状況を、安全にかつ短時間で測定できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 管理システムは、建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理する管理システムであって、視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得部と、第1の画像とは異なる第2の画像であって、複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得部と、第1の画像と第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成部と、合成画像に基づいて複数の端部の配置間隔を測定する測定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理する情報処理システムであって、
前記視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得部と、
前記第1の画像とは異なる第2の画像であって、前記複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得部と、
前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成部と、
前記合成画像に基づいて前記複数の端部の配置間隔を測定する測定部と、を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記合成画像及び前記配置間隔を画面に表示する表示部をさらに備え、
前記表示部は、表示された前記合成画像に含まれる前記複数の端部の中から選択された、少なくとも2つの端部の配置間隔を前記画面に表示する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記配置間隔に関する設計値が記憶された記憶部をさらに備え、
前記表示部は、前記配置間隔と、前記設計値とを関連付けて表示する請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記配置間隔と前記配置間隔に関する設計値との差を算出する差算出部をさらに備え、
前記表示部は、前記差が所定の範囲に含まれない場合に、警告メッセージを表示する請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
過去に測定した前記複数の端部の前記配置間隔を履歴情報として記憶する記憶部をさらに備え、
前記過去に測定した前記複数の端部と同じ前記複数の端部の配置間隔を測定した場合に、前記表示部は、当該複数の端部の配置間隔と、前記履歴情報とを前記画面に関連付けて表示する請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記配置間隔と前記配置間隔に関する設計値とが関連付けられた調書を作成する調書作成部をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記調書作成部は、前記配置間隔、前記設計値、及び、前記配置間隔と前記設計値との差が関連付けられた前記調書を作成する請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記建造物は一方向に延伸する建造物であって、
前記調書作成部は、前記建造物の延伸する方向に配置された前記視認可能な状態にある複数の支持部材の端部の配置間隔及び前記建造物の延伸する方向とは異なる方向に配置された前記視認可能な状態にある複数の支持部材の端部の配置間隔の少なくとも一方と、前記設計値とが関連付けられた調書を作成する請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理するコンピュータに、
前記視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得ステップと、
前記第1の画像とは異なる第2の画像であって、前記複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得ステップと、
前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成ステップと、
前記合成画像に基づいて前記複数の端部の配置間隔を測定する測定ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項10】
建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理するコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得ステップと、
前記第1の画像とは異なる第2の画像であって、前記複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得ステップと、
前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成ステップと、
前記合成画像に基づいて前記複数の端部の配置間隔を測定する測定ステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルや切土補強土等の工事で使用される支保材には、ロックボルトが広く用いられている。ロックボルトは、地山の変形や地すべりを抑制するために使用される棒状のボルトで、削孔された地山に鋼材のプレートを挟んで差込むことで、地山と一体化して安定させることができる。例えば、特許文献1には、地山に打設されるロックボルトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックボルトに関して、国土交通省や各地方自治体等によって配置間隔の出来高管理基準および規格値が定められている。ロックボルトは、これらに則って管理される必要がある。作業員は、トンネル内に打設されたロックボルトの配置間隔を、スケールを用いて計測しているため、計測に相当な時間を要する。また、作業員は、トンネル壁面などで人の手では届かない位置に打設されたロックボルトの配置間隔を計測する際には、高所作業車や足場を使用する必要があるため、墜落災害や、高所作業車のバスケット移動時における挟まれ災害といった安全面でのリスクが懸念される。
【0005】
開示技術は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数個所に打設される棒状の支持部材の配置状況を、安全にかつ短時間で測定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示技術の一態様である情報処理システムは、建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理する情報処理システムであって、視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得部と、第1の画像とは異なる第2の画像であって、複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得部と、第1の画像と第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成部と、合成画像に基づいて複数の端部の配置間隔を測定する測定部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、情報処理システムは、視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得し、第1の画像とは異なる第2の画像であって、複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する。管理システムは、第1の画像と第2の画像とに基づいて合成画像を生成し、合成画像に基づいて複数の端部の配置間隔を測定する。よって、ユーザは、スケールを用いた手作業による計測や高所作業車や足場を使用した計測を行う必要がなくなる。したがって、ユーザは、ロックボルトを代表とした同一の工事において複数個所に打設される棒状の支持部材の配置状況を、安全にかつ短時間で測定可能である。
【0008】
上記情報処理システムにおいて、合成画像及び配置間隔を画面に表示する表示部をさらに備え、表示部は、表示された合成画像に含まれる複数の端部の中から選択された、少なくとも2つの端部の配置間隔を画面に表示してもよい。
【0009】
この態様によれば、情報処理システムが、支持部材の配置間隔を画面に表示することで、ユーザは、配置間隔を確認するために目視でスケールの目盛を読み取る必要がなくなる。したがって、ユーザは、画面上で配置間隔の測定結果を容易に確認することができる。
【0010】
上記情報処理システムにおいて、配置間隔に関する設計値が記憶された記憶部をさらに備え、表示部は、配置間隔と、設計値とを関連付けて表示してもよい。
【0011】
この態様によれば、情報処理システムが、配置間隔と設計値とを関連付けて画面に表示することで、ユーザは、配置間隔と設計値との比較を画面上で容易に行うことが可能となる。したがって、ユーザは、支持部材が設計値どおりの配置間隔で建造物に埋め込まれているかどうかを確認することができる。
【0012】
上記情報処理システムにおいて、配置間隔と配置間隔に関する設計値の差を算出する差算出部をさらに備え、表示部は、差が所定の範囲に含まれない場合に、警告メッセージを表示してもよい。
【0013】
この態様によれば、情報処理システムが、配置間隔と配置間隔に関する設計値の差が所定の範囲に含まれない場合に、警告メッセージを画面に表示することで、ユーザは、人的な配置ミスや地山の変状といった異常を認識することが可能となる。したがって、ユーザは、支持部材が、許容できない範囲の配置間隔で埋め込まれていることを容易に把握することができる。
【0014】
上記情報処理システムにおいて、過去に測定した複数の端部の配置間隔を履歴情報として記憶する記憶部をさらに備え、過去に測定した複数の端部と同じ複数の端部の配置間隔を測定した場合に、表示部は、当該複数の端部の配置間隔と、履歴情報とを画面に関連付けて表示してもよい。
【0015】
この態様によれば、情報処理システムが、配置間隔と履歴情報を関連付けて画面に表示することで、ユーザは、過去に計測した配置間隔の測定結果と現状の測定結果を比較することが可能となる。したがって、ユーザは、時間の経過による配置間隔の変化を容易に確認することができる。
【0016】
上記情報処理システムにおいて、配置間隔と配置間隔に関する設計値とが関連付けられた調書を作成する調書作成部をさらに備えてもよい。
【0017】
この態様によれば、情報処理システムが、配置間隔と設計値とが関連付けられた調書を作成することで、ユーザは、配置間隔と配置間隔に関する設計値の差の算出や、規格値との整合性の確認といった作業を手作業で行うる必要がなくなる。したがって、ユーザは、調書作成を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0018】
上記情報処理システムにおいて、調書作成部は、配置間隔と、設計値と、配置間隔及び設計値に対応する差とが関連付けられた調書を作成してもよい。
【0019】
この態様によれば、情報処理システムが、配置間隔と、設計値と、配置間隔及び設計値に対応する差とが関連付けられた調書を作成する。よって、ユーザは、手作業で調書に差を入力する必要がなくなる。また、ユーザは、調書作成部が作成した配置間隔と設計値との差が入力された調書を取得することができる。したがって、ユーザは、配置間隔と設計値との差が入力された調書を迅速に作成することができる。また、ユーザは、情報処理システムが作成した調書で配置間隔と設計値との差を容易に確認することが可能となる。
【0020】
上記情報処理システムにおいて、建造物は一方向に延伸する建造物であって、調書作成部は、建造物の延伸する方向に配置された視認可能な状態にある複数の支持部材の端部の配置間隔及び建造物の延伸する方向とは異なる方向に配置された視認可能な状態にある複数の支持部材の端部の配置間隔の少なくとも一方と、設計値とが関連付けられた調書を作成してもよい。
【0021】
この態様によれば、情報処理システムが、建造物の延伸する方向に埋め込まれた支持部材の端部の配置間隔と、建造物の延伸する方向とは異なる方向に埋め込まれた支持部材の端部の配置間隔の少なくとも一方と、設計値とが関連付けられた調書を作成する。したがって、ユーザは、作成された調書を用いることで、建造物における支持部材の立体的な配置状況を確認することができる。
【0022】
本開示の他の態様に係るプログラムは、建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理するコンピュータに、視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得ステップと、第1の画像とは異なる第2の画像であって、複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得ステップと、第1の画像と前記第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成ステップと、合成画像に基づいて複数の端部の配置間隔を測定する測定ステップと、を実行させる。
【0023】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、建造物に端部が視認可能な状態で埋め込まれている棒状の複数の支持部材の配置状況を管理するコンピュータが実行する情報処理方法であって、視認可能な状態にある複数の支持部材の端部に関する第1の画像を取得する第1取得ステップと、第1の画像とは異なる第2の画像であって、複数の端部に関する距離画像を含む第2の画像を取得する第2取得ステップと、第1の画像と第2の画像とに基づいて合成画像を生成する生成ステップと、合成画像に基づいて複数の端部の配置間隔を測定する測定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、棒状の複数の支持部材の配置状況を、安全にかつ短時間で測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る管理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】ロックボルトが埋め込まれたトンネルの一例を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るRGB画像情報の一例を示す図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る距離画像情報の一例を示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る表示部が配置間隔の測定結果情報を表示する一例を示す図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る表示部が測定結果情報と、設計値情報とを関連付けて表示する一例を示す図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る表示部が測定結果情報と、測定結果情報と同じ端部の履歴情報を関連付けて表示する一例を示す図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る調書の一例を示す図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る管理システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第1実施形態に係る配置間隔測定部の処理に関するフローチャートである。
【
図12】本開示の第2実施形態に係る管理システムの概要を説明するための図である。
【
図13】本開示の第2実施形態に係る通信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
<第1実施形態>
添付図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
<システム概要>
図1は、第1実施形態に係る管理システム100(情報処理システム)の概要を説明するための図である。
図1に示す例では、管理システム100は、例示的に、情報処理装置10と、通信端末Mとを備える。
【0028】
図1においては、作業員Uが、通信端末M(例えば、タブレット端末)を用いて、地山や岩塊などを掘削して建造されたトンネルTに埋め込まれた支持部材の配置状況の調査を行っている。支持部材は、例えば、地山の変形や地すべりを抑制するために使用される棒状のボルトであるロックボルトを含む。ロックボルトは、削孔された地山に鋼材のプレートを挟んで差込むことで、地山と一体化して安定させることができる。以下では、支持部材としてロックボルトを例に挙げて説明するが、これに限られない。トンネルTの建造過程では、ロックボルトは、端部E1及びE2がトンネルTの内壁面から突出し、視認できるように配置される。なお、作業員Uは、「ユーザ」とも呼ぶ。限定でなく例として、ユーザは、作業員Uの他、トンネルTの施工業者であってもよいし、支持部材の配置状況の調査を委託された業者であってもよいし、国や各地方自治体の職員であってもよい。
【0029】
作業員Uは、通信端末Mが備えるカメラを用いてトンネルTの壁面を撮像し、複数のロックボルトの配置間隔(例えば、端部E1と端部E2との間隔)を測定する。また、測定した配置間隔に関するデータは、ネットワークNを介して情報処理装置10に送信される。情報処理装置10は、例えば、ロックボルトの配置状況の測定結果に関する調書を作成するパーソナルコンピュータである。なお、ネットワークNは、限定でなく例として、インターネット、LAN、専用線、電話回線、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0030】
図1に示す支保工Sは、トンネルTの崩落を防ぐために、トンネルTの延伸する方向に一定間隔で配置されるアーチ状の構造物である。また、支保工Sには、それぞれを識別するための番号SNが書かれてある。
【0031】
図2は、ロックボルトが埋め込まれたトンネルTの一例を示す図である。
図2に示す例では、ロックボルトRB1及びRB2を含む複数のロックボルトRBは、トンネルTの形状に合わせて、2つの支保工Sの間にアーチ状に埋め込まれる。例えば、トンネルTの形状に合わせて支保工S1と支保工S2の間に、16本のロックボルトRBがアーチ状に埋め込まれている。なお、「ロックボルトRB1」及び「ロックボルトRB2」等を含む複数のロックボルトを区別することなく説明する場合には、符号を一部省略して単に「ロックボルトRB」と呼ぶ。
【0032】
<機能構成>
次に、
図3を参照して、第1実施形態に係る通信端末Mの構成について説明する。
図3は、第1実施形態に係る通信端末Mの構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
通信端末Mは、例として、情報処理部11、及び、記憶部21を含んで構成される。
【0034】
情報処理部11は、例として、RGB画像取得部12(第1取得部)、距離画像取得部13(第2取得部)、合成画像生成部14(生成部)、配置間隔測定部15(測定部)、表示部16、及び、差算出部17を含む。
【0035】
情報処理部11が備える上記各部は、例えば
図14(ハードウェア構成)に示す通信インターフェース4により実現されてもよいし、通信インターフェース4に加えてCPU2がメモリ3に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。CPU2がプログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0036】
RGB画像取得部12は、RGB画像情報22を取得する。RGB画像情報22は、
図2に示す、トンネルTにおける複数のロックボルトRBの端部Eに関する画像情報である。なお、「端部E1」及び「端部E2」等を含む複数の端部を区別することなく説明する場合には、符号を一部省略して単に「端部E」と呼ぶ。
【0037】
RGB画像取得部12は、例えば、通信端末Mに搭載されたデプスカメラに含まれるRGB画像用カメラよって実現される。デプスカメラは、例えば、色彩を判別するRGB画像用カメラと、2眼カメラ(ステレオカメラ)とを含んで構成される。デプスカメラは、ステレオ法にて距離画像を取得してもよい。なお、デプスカメラは、例えば、色彩を判別するRGB画像用カメラと、視認できない赤外線パターンを照射する機器と、赤外線パターンを受信できる2眼カメラとを含んで構成されてもよい。作業員Uは、通信端末Mが備えるデプスカメラでトンネルTの壁面を撮影すると、RGB画像情報22と、後述する距離画像情報23とを取得することができる。
【0038】
より具体的には、RGB画像取得部12は、RGB画像用カメラによって、
図4に示すトンネルTの壁面に埋め込まれた複数のロックボルトの視認可能な複数の端部Eを撮像して、カラーの静止画像であるRGB画像情報22を取得する。RGB画像情報22には、支保工Sを区別する番号SNは含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、RGB画像情報22は、RGB画像情報22は、白黒の静止画像やモノクロの静止画像等、その他の可視画像であってもよい。なお、
図4に示すRGB画像情報22における破線Aで囲まれた領域は、トンネルTの壁面に対応する領域である。また、
図4に示すRGB画像情報22における破線Bで囲まれた領域は、トンネルT内の地面に対応する領域である。RGB画像取得部12は、取得したRGB画像情報22を記憶部21に記憶する。
【0039】
距離画像取得部13は、距離画像情報23を取得する。距離画像情報23は、複数のロックボルトRBが埋め込まれたトンネルT内の所定の領域の大きさに関する画像情報である。距離画像取得部13は、例えば、通信端末Mに搭載されたデプスカメラに含まれる距離画像用カメラによって実現される。
【0040】
図5は、距離画像情報23の一例を示す図である。
図5に示す例では、距離画像取得部13は、距離画像用カメラと撮像対象との距離を計測することで、距離画像用カメラを起点として3次元空間座標情報である距離画像情報23を取得することができる。すなわち、距離画像用カメラと撮像対象である複数のロックボルトの端部Eを含むトンネルTの壁面との距離だけでなく、撮像対象の大きさを判別することもできる。距離画像情報23は、例えば、「1ピクセルあたりの撮像対象の縦及び横の長さは5mm」といった情報を有する。距離画像取得部13は、取得した距離画像情報23を記憶部21に記憶する。
【0041】
また、
図5に示す距離画像情報23の破線Aで囲まれた領域(
図5において破線Bで囲まれた領域より明るい色で示される領域)と、
図4に示すRGB画像情報22の破線Aで囲まれた領域とは対応する。また、
図5に示す距離画像情報23の破線B(
図5において破線Aで囲まれた領域より暗い色で示される領域)で囲まれた領域と、
図4に示すRGB画像情報22の破線Bで囲まれた領域とは対応する。ここで、
図5に示す距離画像情報23では、暗明は、距離画像用カメラと撮像対象との距離に対応している。より具体的には、距離画像情報23においては、距離画像用カメラと撮像対象との距離がより小さい場合には、より暗く表示され、距離画像用カメラと撮像対象との距離がより大きい場合には、より明るく表示される。つまり、
図4において破線Bで囲まれた領域に対応する地面部分(
図5において破線Bで囲まれた領域)は、
図4において破線Aで囲まれた領域に対応するトンネルTの壁面部分(
図5において破線Aで囲まれた領域)よりも距離画像用カメラからの距離が小さいことが理解できる。
【0042】
合成画像生成部14は、RGB画像情報22と距離画像情報23とに基づいて、合成画像情報24を生成する。例えば、合成画像生成部14は、RGB画像情報22に距離画像情報23を重ね合わせて、合成画像情報24を生成する。
【0043】
配置間隔測定部15は、合成画像情報24に基づいて、複数の端部Eの配置間隔を測定する。配置間隔測定部15は、例えば、合成画像生成部14が生成した合成画像情報24に含まれる隣り合う複数の端部Eの配置間隔を測定する。配置間隔測定部15は、例えば、隣り合う所定の端部E同士を結ぶ線分の長さを算出する。配置間隔測定部15は、例えば、測定する線分の2端点のピクセルに対応する3次元座標から、線分の3次元距離を求める。また、配置間隔測定部15は、測定した配置間隔を測定結果情報26として記憶部21に記憶する。
【0044】
配置間隔測定部15は、合成画像情報24に含まれる選択された複数の端部Eの配置間隔を測定してもよい。例えば、ユーザが、合成画像情報24に含まれる少なくとも2つの隣り合う端部Eを選択して、配置間隔測定部15が選択された端部Eの配置間隔を測定してもよい。より具体的には、通信端末Mの画面がタッチパネルである場合、ユーザは、画面に表示された合成画像情報24に含まれる端部Eをタップして選択してもよい。また、通信端末Mがマイクを備える場合、ユーザは、音声入力により端部Eを指定して選択してもよい。また、通信端末Mがインカメラを備える場合、ユーザは、目線の動きをインカメラに読み取らせることで端部Eを選択してよい。また、配置間隔測定部15が、合成画像情報24に含まれる少なくとも2つの隣り合う端部Eを自動で選択してもよい。より具体的には、配置間隔測定部15は、合成画像情報24を画像解析して、合成画像情報24に含まれる端部Eを自動認識して選択してもよい。
【0045】
以上より、管理システム100は、視認可能な状態にある複数のロックボルトRBの端部Eに関するRGB画像情報22を取得し、複数の端部Eに関する距離画像情報23を取得する。管理システム100は、RGB画像情報22と距離画像情報23とに基づいて合成画像情報24を生成する。管理システム100は、合成画像情報24に基づいて複数の端部Eの配置間隔を測定し、測定結果として測定結果情報26を取得する。よって、ユーザは、スケールを用いた手作業による計測や高所作業車や足場を使用した計測を行う必要がなくなる。したがって、ユーザは、同一の工事において複数個所に打設されるロックボルトRBの配置状況を、安全にかつ短時間で測定可能である。
【0046】
通信端末Mは、表示部16を含んでもよい。表示部16は、合成画像情報24及び測定結果情報26を画面に表示する。表示部16は、
図14に示す入出力インターフェース5により実現される。
【0047】
表示部16は、表示された合成画像情報24に含まれる複数の端部Eの中から選択された、少なくとも2つの端部Eの配置間隔を画面に表示してもよい。
【0048】
図6は、
図3に示す表示部16が配置間隔の測定結果情報26を表示する一例を示す図である。
図6に示す例では、ユーザが通信端末Mの画面に表示された合成画像情報24に含まれる複数の端部Eの中から隣り合う少なくとも2つの端部Eを選択する。表示部16は、選択された2つの端部Eの配置間隔を画面に表示する。例えば、ユーザによって
図6に示す端部E3及び端部E4が選択されると、表示部16は、画面上に端部E3及び端部E4を結ぶ線分を表示し、配置間隔の測定結果情報26として「計測値:1145mm」をさらに表示する。
【0049】
続いて、ユーザが
図6に示す端部E5を選択すると、表示部16は、端部E3と端部E5を結ぶ線分を表示し、端部E3と端部E5の配置間隔の測定結果情報26として「計測値:972mm」をさらに表示する。さらに続いて、ユーザが
図6に示す端部E6を選択すると、表示部16は、端部E4と端部E6を結ぶ線分を表示し、端部E4と端部E6の配置間隔の測定結果情報26として「計測値:983mm」を画面に表示する。さらに、表示部16は、端部E5と端部E6を結ぶ線分を表示し、端部E5と端部E6の配置間隔の測定結果情報26として「計測値:1122mm」を表示する。また、隣り合う2つ端部Eの測定結果情報26が表示される位置は、例えば、当該2つの端部Eの間又は端部E同士を結ぶ線分上である。また、表示部16は、端部E同士を結ぶ線分を必ずしも表示しなくてもよい。
【0050】
ユーザが画面に表示された端部Eを選択する方法は、上述したとおり、画面上に表示された端部Eをタップして選択する方法、音声入力により選択する方法、及び、通信端末Mのインカメラにより目線を読み取らせて端部Eを選択する方法などがある。また、通信端末Mが合成画像情報24に含まれる端部Eを自動で認識して選択してもよい。
【0051】
以上より、管理システム100が、ロックボルトRBの配置間隔を画面に表示することで、ユーザは、配置間隔を確認するために目視でスケールの目盛を読み取る必要がなくなる。したがって、ユーザは、画面上で配置間隔の測定結果を容易に確認することができる。
【0052】
表示部16は、配置間隔と、配置間隔に関する設計値とを関連付けて表示してもよい。表示部16は、例えば、記憶部21から設計値情報25を取得し、測定結果情報26と、設計値情報25とを関連付けて表示する。設計値情報25は、端部Eの配置間隔に関する予め定められた設計値である。設計値の定め方は任意であり、例えば、設計値は、政府や各地方自治体等が定めた規格に基づいて設定されてもよいし、トンネルTの施工業者が設計値を定めてもよい。
【0053】
図7は、表示部16が測定結果情報26と、設計値情報25とを関連付けて表示する一例を示す図である。表示部16は、例えば、端部E3と端部E4の配置間隔の測定結果情報26である「計測値:1145mm」に関連付けて、設計値情報25である「設計値:1140mm」を表示する。同様に、端部E3と端部E5、端部E5と端部E6、及び、端部E4と端部E6においても、表示部16は、測定結果情報26に、設計値情報25である「設計値:970mm」、「設計値:1120mm」、及び、「設計値:983mm」を関連付けて表示する。
【0054】
図7に示す例では、測定結果情報26と設計値情報25とが上下に隣接することで関連付けられているがこれに限られない。例えば、表示部16は、測定結果情報26と設計値情報25とを左右に隣接する位置に表示して関連付けてもよい。また、表示部16は、一の測定結果情報26と一の設計値情報25とを一の色の文字で表示し、かつ、他の測定結果情報26と他の設計値情報25とを他の色の文字で表示してそれぞれの情報を関連付けてもよい。
【0055】
以上より、管理システム100が、測定結果情報26と設計値情報25とを関連付けて画面に表示することで、ユーザは、測定結果情報26と設計値情報25との比較を画面上で容易に行うことが可能となる。したがって、ユーザは、ロックボルトRBが設計どおりの配置間隔でトンネルTに埋め込まれているかを確認することができる。
【0056】
通信端末Mは、測定結果情報26と設計値の差を算出する差算出部17をさらに含んでもよい。例えば、差算出部17は、
図6及び
図7に示す端部E3と端部E4の配置間隔と設計値の差を算出する。より具体的には、端部E3と端部E4の配置間隔の測定結果(例えば1145mm)と、設計値(例えば1140mm)の差(5mm)を算出する。
【0057】
表示部16は、差算出部17によって算出された当該差が所定の範囲(例えば50mm)に含まれない場合に、警告メッセージを表示する。例えば、表示部16は、測定された配置間隔が1200mmである場合、当該配置間隔と設計値(1140mm)との差が60mmであり、所定の範囲(例えば50mm)を超えるときに、通信端末Mの画面に警告メッセージを表示する。
【0058】
以上より、管理システム100が、配置間隔と配置間隔に関する設計値の差が所定の範囲に含まれない場合に、警告メッセージを画面に表示することで、ユーザは、人的な配置ミスや地山の変状といった異常を認識することが可能となる。したがって、ユーザは、ロックボルトRBが許容できない範囲の配置間隔で埋め込まれていることを容易に把握することができる。
【0059】
表示部16は、過去に測定した複数の端部Eと同じ複数の端部Eの配置間隔を測定した場合に、当該複数の端部Eの配置間隔の測定結果情報26と、履歴情報27とを画面に関連付けて表示してもよい。例えば、履歴情報27は、過去に測定した複数の端部Eの配置間隔に関する情報である。表示部16は、例えば、記憶部21から履歴情報27を取得し、測定結果情報26と、測定結果情報26と同じ端部Eの履歴情報27を関連付けて表示する。
【0060】
図8は、表示部16が測定結果情報26と、測定結果情報26と同じ端部Eの履歴情報27を関連付けて表示する一例を示す図である。表示部16は、例えば、端部E3と端部E4の配置間隔の測定結果情報26である「計測値:1145mm」に関連付けて、過去に測定した端部E3と端部E4の配置間隔の履歴情報27である「PAST:1135mm」を表示する。同様に、端部E3と端部E5、端部E5と端部E6、及び、端部E4と端部E6においても、表示部16は、測定結果情報26に、履歴情報27である「PAST:975mm」、「PAST:1120mm」、及び、「PAST:983mm」を関連付けて表示する。また、表示部16は、測定結果情報26と、測定結果情報26に関する設計値情報25と、履歴情報27とをそれぞれ関連付けて表示してもよい。
【0061】
表示部16がどの程度過去の履歴情報27を表示するかは任意である。表示部16は、例えば、所定期間(例えば、数日、数週間)に測定した配置間隔を履歴情報27として表示してもよい。また、表示部16は、複数の履歴情報27を測定結果情報26に関連付けて表示してもよい。例えば、表示部16は、1年前及び2年前の履歴情報27を測定結果情報26に関連付けて表示してもよい。これにより、ユーザは、時間の経過による配置間隔の変化の傾向を容易に確認することができる。
【0062】
以上より、管理システム100が、測定結果情報26と履歴情報27とを関連付けて画面に表示することで、ユーザは、過去に計測した配置間隔の測定結果と現状の測定結果を比較することが可能となる。したがって、ユーザは、時間の経過による配置間隔の変化を容易に確認することができる。
【0063】
管理システム100は、調書作成部18を含む。管理システム100は、例えば、複数の端部Eの配置間隔と設計値とが関連付けられた調書を作成する調書作成部18を備える。本実施形態では、
図1に示すように、情報処理装置10が調書作成部18を備える。なお、後述するように第2実施形態では、情報処理装置10ではなく、通信端末Mが調書作成部18を備える。
【0064】
情報処理装置10は、通信端末Mから測定結果情報26及び設計値情報25を取得して、調書を作成する。また、情報処理装置10は、設計値情報25を予め保有していてもよく、その場合は、通信端末Mから設計値情報25を取得する必要はない。例えば、情報処理装置10がトンネルTの施工業者のコンピュータである場合、
図1に示す作業員Uは、自らが操作する通信端末Mから測定結果情報26を当該コンピュータに送信する。当該コンピュータは、測定結果情報26を受信して、予め保有している設計値情報25と関連付けて調書を作成してもよい。また、情報処理装置10は、差算出部17が算出した配置間隔と、配置間隔に関する設計値との差を通信端末Mから取得してもよい。
【0065】
図9は、調書作成部18が作成する調書の一例を示す図である。
図9に示す例では、調書作成部18は、
図2が示す支保工S1と支保工S2の間にトンネルTの形状に合わせてアーチ状に埋め込まれた16本のロックボルトRB(
図2参照)に関する電子的な調書Reを作成する。例えば、
図9に示す(1)はロックボルトRB1(
図2参照)に対応し、(2)はロックボルトRB2(
図2参照)に対応する。さらに、
図9に示す例では、調書作成部18は、隣り合うロックボルトRBの端部Eの配置間隔と設計値とが関連付けられた調書Reを作成する。例えば、調書作成部18は、測定した(1)のロックボルトRBの端部Eと(2)のロックボルトRBの端部Eとの配置間隔((1)―(2)の測定値が示す100.000)と、設計値((1)―(2)の設計値が示す111.000)とを関連付けた調書Reを作成する。同様に、調書作成部18は、(3)~(16)のロックボルトRBにおいても同様に、隣り合う端部Eの配置間隔と、設計値とを関連付けた調書Reを作成する。
【0066】
以上より、管理システム100が、配置間隔と設計値とが関連付けられた調書Reを作成することで、ユーザは、配置間隔と配置間隔に関する設計値の差の算出や、規格値との整合性の確認といった作業を手作業で行う必要がなくなる。したがって、ユーザは、調書作成を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0067】
調書作成部18は、複数の端部Eの配置間隔と、設計値と、配置間隔及び設計値に対応する差とが関連付けられた調書Reを作成してもよい。
図9を参照すると、調書作成部18は、例えば、測定した(1)のロックボルトRBの端部Eと(2)のロックボルトRBの端部Eとの配置間隔((1)―(2)の測定値が示す100.000)と、設計値((1)―(2)の設計値が示す111.000)と、配置間隔の測定値と設計値との差((1)―(2)の設計値との差が示す11.000)と、を関連付けた調書Reを作成する。同様に、調書作成部18は、(3)~(16)のロックボルトRBにおいても、隣り合う端部Eの配置間隔と、設計値と、配置間隔と設計値に対応する差とを関連付けた調書Reを作成する。
【0068】
以上より、管理システム100が、配置間隔と、設計値と、配置間隔及び設計値に対応する差とが関連付けられた調書Reを作成する。よって、ユーザは、手作業で調書Reに差を入力する必要がなくなる。また、ユーザは、調書作成部18が作成した配置間隔と設計値との差が入力された調書Reを取得することができる。したがって、ユーザは、配置間隔と設計値との差が入力された調書Reを迅速に作成することができる。また、ユーザは、管理システム100が作成した調書Reで配置間隔と設計値との差を容易に確認することが可能となる。
【0069】
調書作成部18は、トンネルTの延伸する方向に配置された視認可能な状態にある複数のロックボルトRBの端部Eの配置間隔及びトンネルTの延伸する方向とは異なる方向に配置された視認可能な状態にある複数のロックボルトRBの端部Eの配置間隔の少なくとも一方と、設計値とが関連付けられた調書Reを作成してもよい。
【0070】
図9を参照すると、調書作成部18は、例えば、(1)のロックボルトRBの端部EとトンネルTの延伸する方向に隣り合うロックボルトRBの端部Eとの配置間隔(ロックボルト間隔(延長方向)DI2における(1)の測定値)と、設計値(ロックボルト間隔(延長方向)DI2における(1)の設計値)とが関連付けられた調書Reを作成する。なお、延長方向とは、トンネルTの延伸する方向である。(2)~(16)のロックボルトRBにおいても同様に、調書作成部18は、ロックボルトRBの端部EとトンネルTの延伸する方向に隣り合うロックボルトRBの端部Eとの配置間隔と、設計値とが関連付けられた調書Reを作成する。
【0071】
調書作成部18は、(1)のロックボルトRBの端部EとトンネルTの延伸する方向とは異なる方向に隣り合うロックボルトRBである(2)のロックボルトRBの端部Eとの配置間隔(
図9に示すロックボルト間隔(周方向)DI1における(1)―(2)の測定値)と、設計値(
図9に示すロックボルト間隔(周方向)DI1における(1)―(2)の設計値)とが関連付けられた調書Reを作成してもよい。
【0072】
以上より、管理システム100が、トンネルTの延伸する方向に埋め込まれたロックボルトRBの端部Eの配置間隔と、トンネルTの延伸する方向とは異なる方向に埋め込まれたロックボルトRBの端部Eの配置間隔の少なくとも一方と、設計値とが関連付けられた調書Reを作成する。したがって、ユーザは、作成された調書Reを用いることで、トンネルTにおけるロックボルトRBの立体的な配置状況を確認することができる。
【0073】
<動作処理>
次に、
図10及び
図11を参照して、実施形態に係る動作について説明する。
図10は、実施形態に係る管理システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS11で、RGB画像取得部12は、RGB画像情報22を取得する。
【0075】
ステップS12で、距離画像取得部13は、距離画像情報23を取得する。
【0076】
ステップS13で、合成画像生成部14は、RGB画像情報22と距離画像情報23とに基づいて、合成画像情報24を生成する。
【0077】
ステップS14で、配置間隔測定部15は、合成画像情報24に基づいて、複数の端部Eの配置間隔を測定する。
【0078】
ステップS15で、表示部16は、合成画像情報24及び測定結果情報26を画面に表示する。
【0079】
図11を参照して、配置間隔測定部15の処理の詳細な例について説明する。
図11は、本実施形態に係る配置間隔測定部15の処理に関するフローチャートである。同図に示す例では、ステップS21で、配置間隔測定部15は、合成画像生成部14から合成画像情報24を取得する。
【0080】
ステップS22で、ユーザが、合成画像情報24に含まれる少なくとも2つの隣り合う端部Eを選択する。ユーザは、例えば、通信端末Mの画面に表示された合成画像情報24に含まれる端部Eをタップして選択する。また、音声入力や目線の動きにより端部Eを選択してもよい。また、配置間隔測定部15が、合成画像情報24に含まれる少なくとも2つの隣り合う端部Eを自動で選択してもよい。この場合、配置間隔測定部15は、例えば、合成画像情報24を画像解析して、合成画像情報24に含まれる端部Eを自動認識して選択する。
【0081】
ステップS23で、配置間隔測定部15は、選択された隣り合う端部Eの配置間隔を測定する。
【0082】
<第2実施形態>
図12は、本開示の第2実施形態の管理システム200(情報処理システム)の概要を説明するための図である。
図12に示す例では、管理システム200は、管理システム100とは異なり、情報処理装置10を含まない。したがって、第2実施形態では、通信端末Mが調書作成部18を備える。
【0083】
図13は、第2実施形態に係る通信端末Mの構成の一例を示すブロック図である。
図13に示す例では、情報処理部11は、調書作成部18をさらに備える。また、記憶部21は、調書情報28をさらに記憶する。
【0084】
調書情報28は、例えば、
図9に示す設計値、測定値、及び、設計値との差の各数値が空欄である調書Reである。
【0085】
調書作成部18は、記憶部21から調書情報28を取得し、上記第1実施形態の説明で示した調書作成部18と同様の処理を適用して調書Reを作成する。
【0086】
以上より、通信端末Mが調書作成部18を備えることにより、ユーザは、通信端末Mにおいて、ロックボルトRBの端部Eの配置間隔の測定に加えて、調書Reの作成も実行可能となる。
【0087】
<ハードウェア構成>
次に、
図14を参照して、管理システム100に係る各装置のハードウェア構成について説明する。
【0088】
ハードウェア1は、限定でなく例として、CPU(Central Processing Unit)2、メモリ3、通信インターフェース4、及び、入出力インターフェース5がバス6によって相互に接続されることで構成される。
【0089】
CPU2は、メモリ3に記録されているプログラムにしたがって、各ハードウェアの動作に関する各種演算処理を実行し、各情報の取得や生成等を実行する。
【0090】
メモリ3には、CPU2が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。メモリ3は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる。
図3及び
図13に示す記憶部21は、メモリ3に対応する。
【0091】
通信インターフェース4は、CPU2からの指示にしたがって、他のハードウェアと各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0092】
入出力インターフェース5は、各ハードウェアに対する各種操作を入力する入力装置、及び、各ハードウェアで処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入出力インターフェース5は、入力装置と出力装置が一体化していてもよいし、入力装置と出力装置とに分離していてもよい。
【0093】
入力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(目線の動きによる操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。出力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定でなく例として、液晶ディスプレイ、OELD(Organic Electroluminescence Display)など)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよい)に画像やテキスト情報等を表示可能な装置、スピーカ(音声出力)、プリンターなどを含む。なお、これらの出力装置は、3Dで表示データを表示可能であってもよい。
【0094】
<変形例>
上記実施形態又は各実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、上記実施形態又は各実施例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよい。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0095】
上記実施形態において、表示部16は、画面に各情報等を表示すると説明したが、これに限られない。表示部16は、例えば、通信端末Mが備えるスピーカによって、各情報を出力してもよい。より具体的には、表示部16は、上述した設計値情報25、測定結果情報26、履歴情報27、警告メッセージの少なくとも一つをスピーカにより音声出力してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…ハードウェア、2…CPU、3…メモリ、4…通信インターフェース、5…入出力インターフェース、6…バス、10…情報処理装置、11…情報処理部、12…RGB画像取得部、13…距離画像取得部、14…合成画像生成部、15…配置間隔測定部、16…表示部、17…差算出部、18…調書作成部、21…記憶部、22…RGB画像情報、23…距離画像情報、24…合成画像情報、25…設計値情報、26…測定結果情報、27…履歴情報、28…調書情報、100、200…管理システム、DI1…ロックボルト間隔(周方向)、DI2…ロックボルト間隔(延長方向)、E…端部、E1~E6…端部、M…通信端末、N…ネットワーク、RB、RB1、RB2…ロックボルト、Re…調書、S、S1、S2…支保工、SN…番号、T…トンネル、U…作業員