(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165570
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20241121BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20241121BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081858
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】増井 出
【テーマコード(参考)】
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS13
5H730ZZ01
5H730ZZ04
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H730ZZ17
5H770AA15
5H770AA21
5H770BA01
5H770JA13W
5H770JA13Y
5H770PA12
5H770PA44
5H770QA11
5H770QA13
5H770QA21
5H770QA25
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】電流ばらつきが抑制された電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置100は、配列された六つのリアクトル部品10と、各リアクトル部品と入力バスバ30を介して接続された入力端子部21と、各リアクトル部品と出力バスバ40を介して接続された出力端子部22と、を備えている。入力端子部は、複数のリアクトル部品における配列方向の一端に配置された第1リアクトル部品10aに隣り合って配置されている。出力端子部は、複数のリアクトル部品における配列方向の他端に配置された第2リアクトル部品10bに隣り合って配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を変換する電力変換装置であって、
配列された複数のリアクトル部品(10)と、
各リアクトル部品と入力配線(30)を介して接続された入力端子部(21)と、
各リアクトル部品と出力配線(40)を介して接続された出力端子部(22)と、を備え、
前記入力端子部は、複数の前記リアクトル部品における配列方向の一端に配置された第1リアクトル部品に隣り合って配置され、
前記出力端子部は、前記配列方向の他端に配置された第2リアクトル部品に隣り合って配置されている電力変換装置。
【請求項2】
前記入力端子部は、複数の前記リアクトル部品を挟んで前記出力端子部と反対側に配置されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記入力端子部は、前記配列方向に対する直交方向において前記第1リアクトル部品に対向する第1対向領域(OA1)に配置され、
前記出力端子部は、前記直交方向において前記第2リアクトル部品に対向する第2対向領域(OA2)に配置されている請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
複数の前記リアクトル部品は、前記直交方向の位置を揃えて配置されている請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
複数の前記リアクトル部品は、前記入力端子部から前記出力端子部にかけて斜めに配列されている請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記入力端子部は、前記配列方向において前記第2リアクトル部品に対向する第3対向領域(OA3)に配置され、
前記出力端子部は、前記配列方向において前記第1リアクトル部品に対向する第4対向領域(OA4)に配置されている請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
電力を変換する電力変換装置であって、
配列された二つのリアクトル部品(10)と、
各リアクトル部品と入力配線(30)を介して接続された入力端子部(21)と、
各リアクトル部品と出力配線(40)を介して接続された出力端子部(22)と、を備え、
前記入力端子部は、二つの前記リアクトル部品を挟んで前記出力端子部と反対側に配置され、かつ、配列方向において二つの前記リアクトル部品における中央に配置され、
前記出力端子部は、前記配列方向において二つの前記リアクトル部品における中央に配置されている電力変換装置。
【請求項8】
二つの前記リアクトル部品と、前記入力配線と、前記入力端子部と、前記出力配線と、前記出力端子部とを一つのリアクトル装置とし、
複数の前記リアクトル装置を備えた請求項7に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、複数のリアクトル部品を備えた装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力変換装置は、複数のリアクトル部品のそれぞれに配線が接続されている構成が考えられる。その配線は、入力端子部と各リアクトル部品とを接続する入力配線と、出力端子部と各リアクトル部品とを接続する出力配線とを含む。しかしながら、電力変換装置は、各リアクトル部品と入力端子部と出力端子部との位置関係によっては、各リアクトル部品に接続された配線ごとに長さが異なることもある。よって、電力変換装置は、各リアクトル部品で電流がばらつく虞がある。
【0005】
開示される一つの目的は、電流ばらつきが抑制された電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電力変換装置は、
電力を変換する電力変換装置であって、
配列された複数のリアクトル部品(10)と、
各リアクトル部品と入力配線(30)を介して接続された入力端子部(21)と、
各リアクトル部品と出力配線(40)を介して接続された出力端子部(22)と、を備え、
入力端子部は、複数のリアクトル部品における配列方向の一端に配置された第1リアクトル部品に隣り合って配置され、
出力端子部は、配列方向の他端に配置された第2リアクトル部品に隣り合って配置されていることを特徴とする。
【0007】
これによって、電力変換装置は、入力配線と出力配線における複数のリアクトル部品のそれぞれに接続された部分の長さを等しく、もしくは差を小さくできる。よって、電力変換装置は、各リアクトル部品に流れる電流のばらつき抑制できる。
【0008】
ここに開示された他の電力変換装置は、
電力を変換する電力変換装置であって、
配列された二つのリアクトル部品(10)と、
各リアクトル部品と入力配線(30)を介して接続された入力端子部(21)と、
各リアクトル部品と出力配線(40)を介して接続された出力端子部(22)と、を備え、
入力端子部は、二つのリアクトル部品を挟んで出力端子部と反対側に配置され、かつ、配列方向において二つのリアクトル部品における中央に配置され、
出力端子部は、配列方向において二つのリアクトル部品における中央に配置されていることを特徴とする。
【0009】
これによって、電力変換装置は、入力配線と出力配線における二つのリアクトル部品のそれぞれに接続された部分の長さを等しく、もしくは差を小さくできる。よって、電力変換装置は、各リアクトル部品に流れる電流のばらつき抑制できる。
【0010】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における電力変換装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図1のIII‐III線に沿う断面図である。
【
図4】複数のリアクトル部品と入力端子部と出力端子部との位置関係を示す平面図である。
【
図5】第2実施形態における電力変換装置の概略構成を示す平面図である。
【
図6】第3実施形態における電力変換装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向を一方向として場合、Y方向は、一方向に対する直交方向といえる。
【0013】
<電力変換装置>
図1,
図3を用いて、電力変換装置100に関して説明する。電力変換装置100は、電力を変換する装置である。電力変換装置100は、たとえば、昇圧コンバータやインバータなどに適用できる。ここでは、電力変換装置100の一例として昇圧コンバータを採用する。さらに、本実施形態では、昇圧コンバータとして、複数のリアクトル部品10が並列に接続された多相コンバータを採用する。電力変換装置100は、たとえば電源電圧VLを出力電圧VH(>VL)に昇圧する回路である。電力変換装置100は、たとえば電気自動車や燃料電池自動車などの車両に搭載可能である。
【0014】
図1に示すように、電力変換装置100は、電気的構成要素として、配列された複数のリアクトル部品10、入力端子部21、出力端子部22、入力バスバ30、出力バスバ40を備えている。また、電力変換装置100は、電気的構成要素として、端子台50、スイッチング部60、コンデンサ70、第1バスバ81、第2バスバ82などを備えている。さらに、電力変換装置100は、電気的構成要素を収容するケース90を備えている。
【0015】
ケース90は、金属などを主成分として構成されている。ケース90は、たとえば、底部91と底部91に連なる環状の側壁92とを有する。側壁92は、底部91から一方側に突出して設けられている。ケース90は、底部91と側壁92とで、電気的構成要素を収容する収容空間が形成される。
【0016】
図1,
図3に示すように、ケース90は、収容部とは反対側に冷媒が流れる溝が設けられている。冷媒は、冷却水などの液状のものである。溝は、カバー94で覆われている。ケース90は、溝がカバー94で覆われることで冷媒流路93が形成される。冷媒流路93は、カバー94で覆われていない流入口93aと流出口93bが設けられている。流入口93aは、ケース90におけるX方向の一端に設けられている。流出口93bは、ケース90におけるX方向の他端に設けられている。よって、冷媒流路93は、X方向に沿って設けられている。
【0017】
冷媒は、流入口93aから冷媒流路93に流れ込み流出口93bから流出される。冷媒流路93は、主に、複数のリアクトル部品10を冷却するために設けられている。底部91における冷媒流路93に対向する部位は、冷却部ともいえる。そのため、冷却部は、X方向に沿って設けられる。なお、
図1に二点鎖線で示した冷媒流路93は、底部91の冷却部とみなすこともできる。
【0018】
なお、流入口93aと流出口93bとの位置関係は、
図1の構成に限定されない。また、冷媒流路93の構成は、上記に限定されない。
【0019】
本実施形態では、六つのリアクトル部品10を備えた構成を採用する。また、電力変換装置100は、6相分のリアクトル部品10を備えているといえる。電力変換装置100は、大電流化のために複数のリアクトル部品10を備えている。
【0020】
リアクトル部品10は、ケース90の一部である冷却部に取り付けられる。各リアクトル部品10のそれぞれは、1相リアクトル部品、2相リアクトル部品、3相リアクトル部品、4相リアクトル部品、5相リアクトル部品、6相リアクトル部品ともいえる。
図1などでは、後ほど説明する入力端子部21側から1相リアクトル部品、2相リアクトル部品、3相リアクトル部品、4相リアクトル部品、5相リアクトル部品、6相リアクトル部品の順で配置されている。
【0021】
なお、リアクトル部品10の個数は、これに限定されない。電力変換装置100は、複数のリアクトル部品10を備えていればよい。しかしながら、電力変換装置100は、三つ以上のリアクトル部品10を備えていると好ましい。
【0022】
各リアクトル部品10は、入力バスバ30を介して入力端子部21と接続されている。また、リアクトル部品10は、出力バスバ40を介して出力端子部22と接続されている。入力バスバ30は、入力配線に相当する。出力バスバ40は、出力配線に相当する。なお、リアクトル部品10の構成および配置に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0023】
入力端子部21は、たとえば、入力端子と、入力端子が設けられた端子ケースとを備えている。入力バスバ30は、入力端子部21の入力端子と接続されている。符号21aは、入力端子部21における入力端子を含む端子接続部を示している。入力バスバ30は、端子接続部21aから突出しているといえる。
【0024】
入力バスバ30は、板状の導電性部材などによって構成されている。入力バスバ30は、複数のリアクトル部品10に対して共通に設けられている。つまり、電力変換装置100は、一つの入力バスバ30を備えているといえる。入力バスバ30は、ベース部37に対して、複数の接続部31~36が設けられている。ベース部37と複数の接続部31~36は、一体的に設けられている。各接続部31~36は、各リアクトル部品10のリアクトル端子12と個別に接続されている。
【0025】
なお、接続部31は、1相リアクトル部品10と接続される部位である。接続部32は、2相リアクトル部品10と接続される部位である。接続部33は、3相リアクトル部品10と接続される部位である。接続部34は、4相リアクトル部品10と接続される部位である。接続部35は、5相リアクトル部品10と接続される部位である。接続部36は、6相リアクトル部品10と接続される部位である。
【0026】
本開示は、これに限定されず、各リアクトル部品10に対して個別に入力バスバ30が設けられていてもよい。この場合、電力変換装置100は、リアクトル部品10の個数と同数の入力バスバ30を備えることになる。
【0027】
出力端子部22は、たとえば、出力端子と、出力端子が設けられた端子ケースとを備えている。出力バスバ40は、出力端子部22の出力端子と接続されている。符号22aは、出力端子部22における出力端子を含む端子接続部を示している。出力バスバ40は、端子接続部22aから突出しているといえる。
【0028】
出力バスバ40は、板状の導電性部材などによって構成されている。出力バスバ40は、複数のリアクトル部品10に対して個別に設けられている。つまり、電力変換装置100は、六本の出力バスバ40を備えているといえる。ここでは、各相出力バスバ41~46をまとめて出力バスバ40と称している。
【0029】
各相出力バスバ41~46は、各リアクトル部品10のリアクトル端子13と個別に接続されている。なお、符号41を1相出力バスバ、符号42を2相出力バスバ、符号43を3相出力バスバ、符号44を4相出力バスバ、符号45を5相出力バスバ、符号46を6相出力バスバとも称する。
【0030】
なお、各相における入力バスバ30と出力バスバ40は、相バスバともいえる。つまり、各相バスバは、入力バスバ30における各相のリアクトル部品10と入力端子部21との間の部位と、出力バスバ40における各相のリアクトル部品10と出力端子部22との間の部位とから構成される。たとえば、入力バスバ30における接続部31と、出力バスバ40における1相出力バスバ41は、1相バスバといえる。また、入力バスバ30における接続部31の一部、ベース部37、接続部36と、出力バスバ40における6相出力バスバ46は、6相バスバといえる。
【0031】
端子台50は、第1バスバ81と第1バスバ81が設けられた樹脂ケースとを備えている。第1バスバ81は、出力端子部22と接続されている。また、第1バスバ81は、スイッチング部60と接続されている。スイッチング部60は、第2バスバ82を介してコンデンサ70と接続されている。本実施形態では、一例として、電流センサ51が設けられた端子台50を採用している。なお、第1バスバ81および第2バスバ82は、簡略化して図示している。
【0032】
スイッチング部60は、複数のスイッチング素子を含んでいる。また、スイッチング部60は、各スイッチング素子を冷却する冷却器を備えていてもよい。スイッチング素子は、各リアクトル部品10に対応して設けられている。よって、電力変換装置100は、六相分のスイッチング素子を備えているといえる。複数のスイッチング素子は、並列に接続されている。
【0033】
また、各リアクトル部品10に対して、直列接続された二つのスイッチング素子が設けられていてもよい。つまり、二つのスイッチング素子は、高電位側の配線と低電位側の配線との間で直列接続されている。この場合、二つのスイッチング素子間にリアクトル部品10が接続される。
【0034】
コンデンサ70は、平滑コンデンサなどを含んでいる。平滑コンデンサは、複数のリアクトル部品10の出力側に設けられている。平滑コンデンサは、高電位側の配線と低電位側の配線とに接続されている。そして、平滑コンデンサは、複数のスイッチング素子に並列接続されている。なお、ここまでに説明した電力変換装置100の構成は一例に過ぎない。
【0035】
<リアクトル部品>
図1~
図4を用いて、リアクトル部品10に関して説明する。
図2では、図面を簡略化するためにケース90などを省略してる。
図4では、リアクトル部品10と各端子部21,22との位置関係をわかりやすくするために、他の部品を省略してる。
【0036】
図1などに示すように、リアクトル部品10は、コアに巻き回されたコイル11、コアとコイル11を固定する樹脂部14を備える。コイル11は、樹脂部14の一部から露出している。コイル11は、少なくともリアクトル端子12,13が樹脂部14から露出している。なお、複数のリアクトル部品10は同一の構成を有している。
【0037】
図1などに示すように、複数のリアクトル部品10は、X方向に並んで配置(配列)されている。また、本実施形態では、一例として、複数のリアクトル部品10が一列に並べられた構成を採用している。
【0038】
なお、端子台50、スイッチング部60、コンデンサ70は、Y方向に並んで配置されている。端子台50は、複数のリアクトル部品10における端に配置された第2リアクトル部品10bに対向して配置されている。以下、複数のリアクトル部品10が配列された方向を配列方向とも称する。本実施形態では、配列方向はX方向と一致している。また、配列方向に対する直交方向は、Y方向と一致している。よって、複数のリアクトル部品10は、直交方向の位置を揃えて配置されているといえる。また、
図2に示すように、複数のリアクトル部品10は、Z方向の位置を揃えて配置されている。
【0039】
図1,
図3に示すように、複数のリアクトル部品10は、冷媒流路93(冷却部)上に配置されている。よって、複数のリアクトル部品10は、冷媒によって冷却される。なお、複数のリアクトル部品10は、冷却風で冷却する構成(空冷)も考えられる。空冷の場合、複数のリアクトル部品10の配置自由度が比較的高い。これに対して、本実施形態では、冷媒による冷却である。そのため、複数のリアクトル部品10は、冷媒流路93の対向領域に配置する必要がある。よって、電力変換装置100は、複数のリアクトル部品10の配置自由が空冷よりも低いといえる。
【0040】
図1,
図4に示すように、入力端子部21は、複数のリアクトル部品10を挟んで出力端子部22と反対側に配置されている。電力変換装置100は、Y方向において、入力端子部21、複数のリアクトル部品10、出力端子部22の順で配置されている。
【0041】
これによって、電力変換装置100は、入力バスバ30や出力バスバ40の形状が複雑化することを抑制できる。言い換えると、電力変換装置100は、入力バスバ30と出力バスバ40の引き回しを簡略化できる。つまり、電力変換装置100は、複数のリアクトル部品10を基準として、入力端子部21と出力端子部22とが同一側に配置された構成(比較例)よりも、入力バスバ30と出力バスバ40の引き回しを簡略化できる。さらに、電力変換装置100は、比較例よりも、入力バスバ30もしくは出力バスバ40の長さを短くできる。
【0042】
しかしながら、入力端子部21と出力端子部22は、これに限定されず、複数のリアクトル部品10に対してX方向またはZ方向に対向する位置に設けられていてもよい。
【0043】
また、
図4に示すように、入力端子部21は、複数のリアクトル部品10における配列方向の一端に配置された第1リアクトル部品10a(1相リアクトル部品)に隣り合って配置されている。つまり、入力端子部21は、第1リアクトル部品10aとの間に、他のリアクトル部品10が配置されない位置に設けられている。また、入力端子部21と第1リアクトル部品10aとの間に、それら以外の部品が配置されていても隣り合っているといえる。なお、それら以外の部品は、たとえば電流センサ51などの検出素子や回路素子などである。
【0044】
ここでは、一例として、第1リアクトル部品10aに対向する第1対向領域OA1に入力端子部21が配置された例を採用する。第1対向領域OA1は、配列方向に対する直交方向における第1リアクトル部品10aの対向領域である。また、入力端子部21の少なくとも一部が第1対向領域OA1に配置されていればよい。特に、入力端子部21は、端子接続部21aが第1対向領域OA1に配置されていると好ましい。
【0045】
一方、出力端子部22は、複数のリアクトル部品10における配列方向の他端に配置された第2リアクトル部品10b(6相リアクトル部品)に隣り合って配置されている。つまり、出力端子部22は、第2リアクトル部品10bとの間に、他のリアクトル部品10が配置されない位置に設けられている。また、出力端子部22と第2リアクトル部品10bとの間に、それら以外の部品が配置されていても隣り合っているといえる。なお、それら以外の部品は、たとえば電流センサ51などの検出素子や回路素子などである。
【0046】
ここでは、一例として、第2リアクトル部品10bに対向する第2対向領域OA2に出力端子部22が配置された例を採用する。第2対向領域OAは、配列方向に対する直交方向における第2リアクトル部品10bの対向領域である。また、出力端子部22の少なくとも一部が第2対向領域OA2に配置されていればよい。特に、出力端子部22は、端子接続部22aが第2対向領域OA2に配置されていると好ましい。なお、第2対向領域OA2は、Y方向において、第1対向領域OA1とは反対方向の領域である。これによって、電力変換装置100は、対向領域OA1,OA2外に各端子部21,22が配置された構成よりも、入力バスバ30と出力バスバ40の長さを短くできる。
【0047】
このように、入力端子部21と出力端子部22は、XY平面において、複数のリアクトル部品10に対して対角線上に配置されている。また、出力端子部22は、端子台50を介してスイッチング部60と接続される。そのため、出力端子部22は、端子台50に近い位置に配置することが望ましい。したがって、出力端子部22は、第2対向領域OA2に配置されている。そして、入力端子部21は、各相における入力バスバ30と出力バスバ40の長さが等しく、もしくは差が小さくなるように出力端子部22から遠ざけた位置に設けられているといえる。なお、出力端子部22は、端子台50を介さずにスイッチング部60と接続されてもよい。また、出力端子部22は、端子台50に含まれていてもよい。
【0048】
<効果>
電力変換装置100は、入力端子部21が第1リアクトル部品10aに隣り合って配置され、出力端子部22が第2リアクトル部品10bに隣り合って配置されている。そのため、電力変換装置100は、入力バスバ30と出力バスバ40における複数のリアクトル部品10のそれぞれに接続された部分の長さを等しく、もしくは差を小さくできる。また、電力変換装置100は、各相の入力バスバ30と出力バスバ40の長さの合計を等しく、もしくは差を小さくできるといえる。つまり、電力変換装置100は、各相バスバの長さを等しく、もしくは差を小さくできる。
【0049】
たとえば、1相バスバは、6相バスバや他の相バスバと長さが等しい、もしくは差が小さい。また、電力変換装置100は、たとえば中央に位置するリアクトル部品10の対向領域に入力端子部21や出力端子部22が配置された構成よりも、各相バスバの長さを等しく、もしくは差を小さくできる。また、電力変換装置100は、冷媒による冷却される複数のリアクトル部品10であっても、各相バスバの長さを等しく、もしくは差を小さくできる。
【0050】
ところで、各リアクトル部品10は、電流値がばらつくことを前提として設計した場合、体格が大きくなる。しかしながら、電力変換装置100は、各相バスバの長さを等しく、もしくは差を小さくできるため、各相の直流抵抗値のばらつきを低減できる。そのため、電力変換装置100は、各リアクトル部品10に流れる電流のばらつき抑制できる。言い換えると、電力変換装置100は、各相での電流値のばらつきを低減できる。よって、電力変換装置100は、各リアクトル部品10が大型化することを抑制できる。
【0051】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態、第3実施形態に関して説明する。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0052】
(第2実施形態)
図5を用いて、第2実施形態の電力変換装置100に関して説明する。本実施形態では、主に第1実施形態と異なる箇所を説明する。本実施形態は、複数のリアクトル部品10の配列、および各端子部21,22の位置が第1実施形態と異なる。
【0053】
複数のリアクトル部品10は、入力端子部21から出力端子部22にかけて斜めに配列されている。つまり、複数のリアクトル部品10は、Y方向の位置をずらして配置されている。また、複数のリアクトル部品10は、X方向に対して傾斜して配置されているともいえる。さらに、複数のリアクトル部品10は、第1実施形態で説明した配列方向に対して斜めに配置されているといえる。よって、本実施形態における複数のリアクトル部品10が配置された方向は、第1実施形態の配列方向とは異なる。なお、各端子部21,22のX方向における位置は、第1実施形態と同様である。
【0054】
電力変換装置100は、このように複数のリアクトル部品10が配置されていても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
しかしながら、電力変換装置100は、デッドスペースが形成される。そこで、電力変換装置100は、そのデッドスペースを有効に活用するために、各端子部21,22を配置している。デッドスペースは、第3対向領域OA3と第4対向領域OA4である。
【0056】
第3対向領域OA3は、X方向において第2リアクトル部品10bに対向する領域である。詳述すると、第3対向領域OA3は、X方向において第2リアクトル部品10bに対向する領域であり、かつ、Y方向において第1リアクトル部品10aなど他のリアクトル部品10に対向する領域である。
【0057】
第4対向領域OA4は、X方向において第1リアクトル部品10aに対向する領域である。詳述すると、第4対向領域OA4は、X方向において第1リアクトル部品10aに対向する領域であり、かつ、Y方向において第2リアクトル部品10bなど他のリアクトル部品10に対向する領域である。
【0058】
入力端子部21は、第3対向領域OA3に配置されている。また、入力端子部21の少なくとも一部が第3対向領域OA3に配置されていればよい。特に、入力端子部21は、端子接続部21aが第3対向領域OA3に配置されていると好ましい。
【0059】
一方、出力端子部22は、第4対向領域OA4に配置されている。また、出力端子部22の少なくとも一部が第4対向領域OA4に配置されていればよい。特に、出力端子部22は、端子接続部22aが第4対向領域OA4に配置されていると好ましい。
【0060】
これによって、電力変換装置100は、デッドスペースを有効活用できる。そのため、電力変換装置100は、Y方向の体格を小型化できる。
【0061】
(第3実施形態)
図6を用いて、第3実施形態の電力変換装置100に関して説明する。本実施形態では、主に第1実施形態と異なる箇所を説明する。本実施形態は、リアクトル部品10の個数、および各端子部21,22の位置が第1実施形態と異なる。
【0062】
本実施形態の電力変換装置100は、配列された二つのリアクトル部品10を備えている。なお、電力変換装置100は、二つのリアクトル部品10のみを一組としたリアクトル部を備えているともいえる。二つのリアクトル部品10は、X方向に配列されている。よって、二つのリアクトル部品10の配列方向は、第1実施形態と同様である。
【0063】
入力端子部21は、二つのリアクトル部品10を挟んで出力端子部22と反対側に配置されている。また、入力端子部21は、配列方向において二つのリアクトル部品10における中央に配置されている。
図6の一点鎖線CLは、二つのリアクトル部品10の中央を通る中央線である。よって、入力端子部21の少なくとも一部が中央線CL上に配置されていればよい。特に、入力端子部21は、端子接続部21aが中央線CL上に配置されていると好ましい。
【0064】
同様に、出力端子部22は、配列方向において二つのリアクトル部品10における中央に配置されている。出力端子部22の少なくとも一部が中央線CL上に配置されていればよい。特に、出力端子部22は、端子接続部22aが中央線CL上に配置されていると好ましい。
【0065】
これによって、電力変換装置100は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0066】
なお、二つのリアクトル部品10、入力端子部21、出力端子部22、入力バスバ30、出力バスバ40を備えた構造体は、リアクトル装置ともいえる。そして、電力変換装置100は、複数のリアクトル装置を備えていてもよい。このように構成された電力変換装置100であっても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0068】
10…リアクトル部品、21…入力端子部、22…出力端子部、30…入力バスバ、40…出力バスバ、100…電力変換装置