(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165571
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】リアクトル部品および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20241121BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01F37/00 A
H02M3/155 Y
H01F37/00 J
H01F37/00 T
H01F37/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081859
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】増井 出
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS04
5H730BB14
5H730ZZ01
5H730ZZ11
5H730ZZ17
(57)【要約】
【課題】体格を小型化できるリアクトル部品を提供すること。
【解決手段】リアクトル部品100は、コイル10と、上面から下面に達する複数の巻穴24,25が設けられ、各巻穴にコイルの一部が配置された状態でコイルが巻き付けられたコア20aと、コアとコイルを固定する樹脂部30aと、を備えている。コアは、上面と下面に連なる側面SS1,SS2に、周辺よりも窪んだ凹部23aが設けられている。樹脂部は、凹部に配置された部位であり取付対象に対する取付部31aを備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル(10)と、
一面(TS)から前記一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴に前記コイルの一部が配置された状態で前記コイルが巻き付けられたコア(20a~20e)と、
前記コアと前記コイルを固定する樹脂部(30a~30e)と、を備え、
前記コアは、前記一面と前記反対面に連なる側面に周辺よりも窪んだ凹部(23a~23e)が設けられ、
前記樹脂部は、前記凹部に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31a~31e)を備えているリアクトル部品。
【請求項2】
前記凹部は、前記側面として、複数の前記巻穴の並び方向に沿う第1側面(SS1,SS2)に設けられている請求項1に記載のリアクトル部品。
【請求項3】
前記凹部は、前記第1側面に連なる二つの第2側面(SS3,SS4)間の中央に設けられている請求項2に記載のリアクトル部品。
【請求項4】
前記凹部は、前記一面から前記反対面にわたって設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載のリアクトル部品。
【請求項5】
前記凹部は、前記コアにおける磁束密度が所定値以下である位置に設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載のリアクトル部品。
【請求項6】
前記凹部と前記巻穴との間隔は、隣り合う前記巻穴間の間隔の半分以上である請求項1~3のいずれか1項に記載のリアクトル部品。
【請求項7】
前記取付部は、取付用のボルトが挿入される挿入穴(32)が設けられている請求項1に記載のリアクトル部品。
【請求項8】
前記コアは、E型コアである請求項1~3のいずれか1項に記載のリアクトル部品。
【請求項9】
前記コアは、EI型コアである請求項1~3のいずれか1項に記載のリアクトル部品。
【請求項10】
リアクトル部品を備え電力を変換する電力変換装置であって、
前記リアクトル部品は、
コイル(10)と、
一面(TS)から前記一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴に前記コイルの一部が配置された状態で前記コイルが巻き付けられたコア(20a~20e)と、
前記コアと前記コイルを固定する樹脂部(30a~30e)と、を備え、
前記コアは、前記一面と前記反対面に連なる側面に周辺よりも窪んだ凹部(23a~23e)が設けられ、
前記樹脂部は、前記凹部に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31a~31e)を備えている電力変換装置。
【請求項11】
コイル(10)と、
一面(TS)から前記一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴に前記コイルの一部が配置された状態で前記コイルが巻き付けられ、前記一面と前記反対面に連なり複数の前記巻穴の並び方向に沿う二つの側面を有したコア(20f)と、
前記コアと前記コイルを固定する樹脂部(30f)と、を備え、
前記コアは、複数の前記巻穴における前記側面との対向端部を通る仮想平面と、各側面との間隔が同等であり、前記仮想平面と前記側面との間の領域において前記一面から前記反対面に達する貫通穴(23f)が設けられ、
前記樹脂部は、前記貫通穴に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31f)を備えているリアクトル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リアクトル部品および電力変換装置はに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リアクトル部品の一例として、特許文献1に開示された構成がある。リアクトル部品は、巻回されたコイルと、コイルの周囲を囲むとともにコイルの内側を通過しているコアと、コイルとコアを覆っている樹脂カバーを備えている。また、リアクトル部品は、樹脂カバーの位置に、取付対象に対する取付部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアクトル部品は、取付部がコアの外形よりも突出して設けられている。そのため、リアクトル部品は、体格が大きくなるという問題がある。
【0005】
開示される一つの目的は、体格を小型化できるリアクトル部品を提供することである。開示される他の目的は、体格を小型化できる電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された一つのリアクトル部品は、
コイル(10)と、
一面(TS)から一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴にコイルの一部が配置された状態でコイルが巻き付けられたコア(20a~20e)と、
コアとコイルを固定する樹脂部(30a~30e)と、を備え、
コアは、一面と反対面に連なる側面に周辺よりも窪んだ凹部(23a~23e)が設けられ、
樹脂部は、凹部に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31a~31e)を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように、リアクトル部品は、取付部の少なくとも一部がコアの凹部に設けられる。よって、リアクトル部品は、体格を小型化できる。
【0008】
ここに開示された電力変換装置は、
リアクトル部品を備え電力を変換する電力変換装置であって、
リアクトル部品は、
コイル(10)と、
一面(TS)から一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴にコイルの一部が配置された状態でコイルが巻き付けられたコア(20a~20e)と、
コアとコイルを固定する樹脂部(30a~30e)と、を備え、
コアは、一面と反対面に連なる側面に周辺よりも窪んだ凹部(23a~23e)が設けられ、
樹脂部は、凹部に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31a~31e)を備えていることを特徴とする。
【0009】
このように、電力変換装置は、リアクトル部品における取付部の少なくとも一部がコアの凹部に設けられる。よって、リアクトル部品の体格を小型化できる。そのため、電力変換装置は、体格を小型化できる。
【0010】
ここに開示された他のリアクトル部品は、
コイル(10)と、
一面(TS)から一面の反対面(US)に達する複数の巻穴(24,25)が設けられ、各巻穴にコイルの一部が配置された状態でコイルが巻き付けられ、一面と反対面に連なり複数の巻穴の並び方向に沿う二つの側面を有したコア(20f)と、
コアとコイルを固定する樹脂部(30f)と、を備え、
コアは、複数の巻穴における側面との対向端部を通る仮想平面と、各側面との間隔が同等であり、仮想平面と側面との間の領域において一面から反対面に達する貫通穴(23f)が設けられ、
樹脂部は、貫通穴に配置された部位であり取付対象に対する取付部(31f)を備えていることを特徴とする。
【0011】
このように、リアクトル部品は、取付部の少なくとも一部がコアの貫通穴に設けられる。よって、リアクトル部品は、体格を小型化できる。
【0012】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における電力変換装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態におけるコアの概略構成を示す平面図である。
【
図7】
図6のVII‐VII線に沿う断面図である。
【
図8】第2実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す断面図である。
【
図10】第4実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す断面図である。
【
図11】第5実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す断面図である。
【
図12】第6実施形態におけるリアクトル部品の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0015】
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面、Y方向とZ方向とによって規定される平面をYZ平面と示す。
【0016】
図1~
図7を用いて、本実施形態のリアクトル部品100、および電力変換装置1000に関して説明する。
【0017】
<電力変換装置>
電力変換装置1000は、電力を変換する装置である。電力変換装置1000は、たとえば、昇圧コンバータやインバータなどに適用できる。ここでは、電力変換装置1000の一例として昇圧コンバータを採用する。電力変換装置1000は、たとえば電気自動車などの車両に搭載可能である。
【0018】
図1に示すように、電力変換装置1000は、電気的構成要素として、リアクトル部品100、入力端子部210、出力端子部220、第1バスバ230、第2バスバ240を備えている。また、電力変換装置1000は、電気的構成要素として、端子台300、スイッチング素子400、コンデンサ600、第3バスバ510、第4バスバ520などを備えている。さらに、電力変換装置1000は、電気的構成要素を収容するケース700を備えている。
【0019】
リアクトル部品100は、第1バスバ230を介して入力端子部210と接続されている。また、リアクトル部品100は、第2バスバ240を介して出力端子部220と接続されている。リアクトル部品100は、ケース700の一部に取り付けられる。ケース700は、取付対象に相当する。
【0020】
端子台300は、第3バスバ510と第3バスバ510が設けられた樹脂ケースとを備えている。第3バスバ510は、出力端子部220と接続されている。また、第3バスバ510は、スイッチング素子400と接続されている。スイッチング素子400は、第4バスバ520を介してコンデンサ600と接続されている。なお、ここまでに説明した電力変換装置1000の構成は一例に過ぎない。たとえば、電力変換装置1000は、複数のリアクトル部品100が並列接続された多相コンバータであってもよい。この場合、スイッチング素子400は、各相ごとに設けられる。
【0021】
<リアクトル部品>
図2~
図7に示すように、リアクトル部品100は、コイル10、コア20a、樹脂部30aを備える。
【0022】
コイル10は、導電性の部材で構成されている。
図2、
図4、
図5に示すように、コイル10は、コア20aに巻き付けられている。また、コイル10は、コア20aに巻回されているともいえる。コイル10の一部は、コア20aの巻穴24,25に配置されている。コイル10は、両端がリアクトル端子11,12となっている。リアクトル端子11,12は、樹脂部30aから突出した部位である。一方のリアクトル端子11は、第1バスバ230と接続される。他方のリアクトル端子12は、第2バスバ240と接続される。
【0023】
コア20a(21a,22a)は、磁性体を含んで構成される。
図4~
図7に示すように、コア20aは、外形が六面体形状をなしている。コア20aは、上面TSと、下面USと、上面TSと下面USに連なる四つの側面SS1~SS4を有する。たとえば、上面TSと下面USは、XY平面に平行な面である。側面SS1,SS2は、XZ平面に平行な面である。側面SS3,SS4は、YZ平面に平行な面である。しかしながら、各側面SS1~SS4は、平坦面でなくてもよい。
【0024】
なお、上面TSは、一面に相当する。下面USは、反対面に相当する。側面SS1,SS2は、第1側面に相当する。側面SS3,SS4は、第2側面に相当する。
【0025】
図5,
図6に示すように、コア20aは、第1コア部21aと第2コア部22aとを組み合わせて形成されている。コア20aは、XY平面に沿う断面形状がE型である第1コア部21aと第2コア部22aとを有している。よって、コア20aは、E型コアといえる。
【0026】
コア部21a,22aは、同一の形状をなしている。コア部21a,22aは、組付けられる際に互いに対向する対向面OPWを有している。コア部21a,22aは、対向面OPWに二つの凹みが設けられている。その凹みは、後ほど説明する巻穴24,25を形成する部位である。
【0027】
図4,
図5などに示すように、コア20aは、上面TSから下面USに達する複数の巻穴24,25が設けられる。コア20aは、各巻穴24,25にコイル10の一部が配置された状態でコイル10が巻き付けられる。ここでは、一例として、二つの巻穴24,25が設けられたコア20aを採用する。
【0028】
巻穴24,25は、第1コア部21aと第2コア部22aとが組み合わされることで形成される。巻穴24,25は、矩形状の貫通穴である。詳述すると、巻穴24,25は、X方向よりもY方向に長い貫通穴である。また、コア20aは、巻穴24,25を形成する壁面を有しているともいえる。巻穴24,25は、X方向に並んで配置されている。そのため、巻穴24,25の並び方向は、X方向に一致している。
【0029】
コア20aは、X方向において、側面SS3と巻穴24との間の第1部位、側面SS4と巻穴25との間の第2部位、巻穴24と巻穴25との間の第3部位を有している。コア20aは、X方向における第1部位の幅WD1と、X方向における第2部位の幅WD1が同一である。また、コア20aは、X方向における第3部位の幅WD2が幅WD1の二倍である。
【0030】
なお、幅WD1は、X方向における側面SS3と巻穴24との間隔や、X方向における側面SS4と巻穴25との間隔ともいえる。幅WD2は、X方向における巻穴24と巻穴25との間隔ともいえる。
【0031】
本実施形態では、一例として、側面どうしが交差する部位(角部)が面取りされていないコア20aを採用している。側面SS1と側面SS3との交差部、および側面SS1と側面SS4との交差部は、たとえば直角である。また、側面SS2と側面SS3との交差部、および側面SS2と側面SS4との交差部は、たとえば直角である。
【0032】
しかしながら、コア20aは、角部が面取りされた構成、すなわち角部が曲面形状であってもよい。この場合、角部の曲がり具合は、コイル10に流す電流によって生じる磁束に基づいて設定されると好ましい。コア20aは、コイル10に流す電流による磁束が生じない領域が小さくなるように曲がり具合が設定される。これによって、コア20aの体格が必要以上に大型化することが抑制される。
【0033】
さらに、
図5~
図7に示すように、コア20aは、側面SS11,SS2に凹部23aが設けられている。凹部23aは、側面SS1,SS2における凹部23aの周辺よりも窪んだ部位である。凹部23aは、コア20aの側面として、巻穴24,25の並び方向に沿う側面SS1,SS2に設けられているといえる。凹部23aは、側面SS1,SS2に沿う仮想平面に開口が設けられた有底の穴である。凹部23aは、コア20aのXY平面に沿う断面形状がC字状の部位である。
【0034】
図6,
図7に示すように、凹部23aは、上面TSから下面USにわたって設けられている。つまり、コア20aは、側面SS1,SS2に溝状の凹部23aが形成されているといえる。
【0035】
図5,
図6に示すように、凹部23aは、二つの側面SS3,SS4間の中央に設けられている。また、凹部23aは、側面SS3と側面SS4の中央において、側面SS1と側面SS2に対して凹んだ部位といる。以下、この部位を中央端部とも称する。
図5のCLは、二つの側面SS3,SS4間の中央を通る基準線CLである。
【0036】
なお、基準線CLは、巻穴24,25間の中央を通るものであってもよい。凹部23aは、二つの巻穴24,25間の中央に設けられていてもよい。なお、この点は、後ほど説明する凹部23b~23eでも同様に適用してもよい。
【0037】
上記のように、コア20aは、コイル10に電流が流れることで磁束が生じる。磁束は、コア20aにおける各巻穴24,25の周囲に生じる。また、コア20aにおける磁束密度は、巻穴24,25間が高く、巻穴24,25から遠ざかるほど低くなる。そして、コア20aの中央端部は、磁束が生じにくい。リアクトル部品100は、コア20aの中央端部に凹部23aが設けられているためインダクタンス性能の低下を抑制できる。また、リアクトル部品100は、コア20aの体格を大型化することなく凹部23aが設けることができる。
【0038】
また、凹部23aは、コア20aにおける磁束密度が所定値以下である位置(領域)に設けられるとより一層好ましい。磁束密度が所定値以下の領域は、実験やシミュレーションなどによって決めることができる。これによっても、リアクトル部品100は、インダクタンス性能の低下を抑制できる。
【0039】
図5に示すように、凹部23aは、端部領域EA1,EA2に範囲内において、側面SS1,SS2から窪んでいる。領域EA1は、側面SS1と対向する巻穴24,25の対向端部を通る仮想平面と側面SS1との間の領域である。領域EA2は、側面SS2と対向する巻穴24,25の端部を通る仮想平面と側面SS2との間の領域である。
【0040】
なお、端部領域EA1と端部領域EA2は、Y方向の幅が同等である。コア20aは、巻穴24,25における各側面SS1,SS2との対向端部を通る仮想平面と、各側面SS1,SS2との間隔が同等ともいえる。つまり、巻穴24,25における側面SS1との対向端部を通る仮想平面と側面SS1との間隔は、巻穴24,25における側面SS2との対向端部を通る仮想平面と側面SS2との間隔が同等である。
【0041】
特に、凹部23aと巻穴24,25との間隔W3は、間隔WD2の半分以上であると好ましい。これによって、リアクトル部品100は、凹部23aがコア20aに生じる磁束を妨げることを抑制できる。このため、リアクトル部品100は、インダクタンス性能の低下を抑制できる。
【0042】
図2~
図5に示すように、樹脂部30aは、コイル10とコア20aとを一体的に覆っている。樹脂部30aは、コイル10とコア20aを覆うことで、コイル10とコア20aとを固定している。
【0043】
詳述すると、
図3に示すように、樹脂部30aは、コイル10とコア20aに接した状態で、コイル10とコア20aを部分的に覆っている。樹脂部30aは、リアクトル端子11,12が露出するようにコイル10とコア20aとを覆っている。また、
図4に示すように、樹脂部30aは、コイル10における上面TSの対向部の一部が露出するように開口部33が設けられている。また、樹脂部30aは、コイル10における下面USの対向部の一部が露出するように開口部34が設けられている。これによって、リアクトル部品100は、コイル10の放熱性を向上できる。なお、樹脂部30aに対するリアクトル端子11,12の突出方向は、
図3で示した方向に限定されない。
【0044】
図5に示すように、樹脂部30aは、側面SS1~SS4に接した状態で設けられている。また、樹脂部30aは、凹部23aに設けられている。樹脂部30aは、たとえば、側面SS1~SS4および凹部23に均一の厚みで設けられる。この場合、樹脂部30aは、凹部23aに配置された部位が側面SS1,SS2上の部位に対して凹んだ形状となる。つまり、樹脂部30aは、凹部23aを構成する溝に沿って、凹んだ部位を含んでいるといえる。なお、ここでの厚みは、XY平面に沿う断面における厚みである。
【0045】
しかしながら、
図3,
図5に示すように、樹脂部30aは、凹部23に配置された部位の少なくとも一部である取付部31aを有している。また、樹脂部30aは、凹部23aに配置された部位であり取付対象に対する取付部31aを備えているといえる。取付部31aは、側面SS1,SS2上の樹脂部30aよりも厚い部位である。取付部31aは、周辺よりも突出した部位ともいえる。このため、樹脂部30aは、凹部23に配置された部位の一部が、側面SS1,SS2上の部位に対して凹んでいなくてもよい。
【0046】
ここでは、取付部31aは、側面SS1,SS2上の部位と面一となっている例を採用する。よって、取付部31aは、凹部23a内に設けられているともいえる。
【0047】
図5に示すように、リアクトル部品100は、側面SS1~SS4上の樹脂部30aから突出することなく取付部31aが設けられている。そのため、樹脂部30aにおける各側面SS1~SS4上の部位は、平坦面となっている。
【0048】
なお、
図3に示すように、樹脂部30aは、Z方向における少なくとも一部に取付部31aが設けられていればよい。本実施形態では、上面TS側よりも下面US側に偏った位置に取付部31aが設けられた樹脂部30aを採用している。
【0049】
リアクトル部品100は、取付部31aを介して取付対象に取り付けられる。本実施形態では、一例として、ボルトによって取付対象に取り付けられる例を採用する。そのため、取付部31aには、取付用のボルトが挿入される挿入穴32が設けられている。この場合、取付部31aは、締結部ともいえる。また、取付部31aは、ステイ部ともいえる。さらに、取付部31aは、ナットを含んでいてもよい。
【0050】
<効果>
このように、リアクトル部品100は、取付部31aの少なくとも一部がコア20aの凹部23aに設けられる。よって、リアクトル部品100は、体格を小型化できる。
【0051】
図5には、比較例のリアクトル部品(以下、比較例)における取付部CEを二点鎖線で示している。比較例は、側面SS1~SS4上の樹脂部30aの一部が、コア20aから遠ざかる方に突出して取付部CEが設けられている。比較例のY方向の長さは、L11である。これに対して、リアクトル部品100のY方向の長さは、L1である。L1とL11の関係は、L1<L11となる。よって、リアクトル部品100は、比較例よりも体格を小型化できる。また、ここでの体格は、Y方向における体格を示している。
【0052】
なお、リアクトル部品100と比較例は、コイル10の大きさ、およびコア20aの外形の大きさは同様である。しかしながら、リアクトル部品100は、コイル10とコア20aとに対して樹脂部30が設けられた状態での体格が比較例よりも小型化できる。
【0053】
特に、本実施形態では、取付部31aの全体が凹部23aに設けられたリアクトル部品100を採用している。そのため、リアクトル部品100は、側面SS1~SS4上の樹脂部30aから取付部31aが突出することを防止できる。よって、リアクトル部品100は、体格をより一層小型化できる。
【0054】
また、リアクトル部品100は、樹脂部30aの一部が凹部23aに配置されて取付部31aが構成されている。よって、リアクトル部品100は、コイル10やコア20aを保護しつつ取付部31aを構成できる。
【0055】
さらに、電力変換装置1000は、体格を小型化できるリアクトル部品100を備えている。そのため、電力変換装置1000は、体格を小型化できる。また、電力変換装置1000は、ケース700内における、リアクトル部品100、入力端子部210、出力端子部220、端子台300、スイッチング素子400、コンデンサ600の配置自由度を向上できる。
【0056】
なお、上記コア20aの構成は、一例にすぎない。凹部23aは、側面SS1と側面SS2の一方のみに設けられていてもよい。凹部23aは、側面SS3や側面SS4に設けられていてもよい。また、凹部23aは、側面SS1や側面SS2と側面SS3との角部、および、側面SS1や側面SS2と側面SS4との角部の少なくとも一方に設けられていてもよい。凹部23aは、側面SS3側に偏った位置や、側面SS4側に偏った位置に設けられていてもよい。これらの点は、他の実施形態でも同様である。しかしながら、リアクトル部品100は、コア20aの中央端部に凹部23aが設けられた構成の方が、必要以上にコア20aの体格を大型化することなく、インダクタンス性能の低下を抑制しつつ体格を小型化できるので好ましい。
【0057】
さらに、凹部23aは、上面TSから下面USにわたって設けられていなくてもよい。つまり、凹部23aは、たとえば上面TSから下面USまでの途中に達するように設けられていてもよい。この場合、取付部31aは、取付対象に設けられた爪部から押圧される部位である。よって、リアクトル部品100は、ボルトによる取り付けではなく、爪部などによる押圧で取付対象に取り付けられる。よって、取付部31aは、挿入穴32が設けられていなくてもよい。この点は、他の実施形態でも同様である。
【0058】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態~第6実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2実施形態~第6実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0059】
(第2実施形態)
図8を用いて、第2実施形態のリアクトル部品110に関して説明する。ここでは、主に、リアクトル部品100と異なる箇所を説明する。
図8は、
図5に相当する断面図である。
【0060】
リアクトル部品110は、コア20bと樹脂部30bがリアクトル部品100と異なる。コア20bは、側面SS1のみに凹部23bが設けられている。つまり、第1コア部21bは、凹部23bが設けられている。一方、第2コア部22bは、凹部23bが設けられていない。なお、凹部23bの位置は、凹部23aの位置と同様である。
【0061】
樹脂部30bは、凹部23bの一部のみに取付部31bが設けられている。よって、取付部31bの一部は、側面SS1上の樹脂部30bから突出している。また、樹脂部30bは、側面SS2上の部位の一部がコア20bから遠ざかる方に突出して取付部35が設けられている。取付部35は、凹部23bに設けられていない。
【0062】
リアクトル部品110のY方向の長さは、L2である。L2とL11の関係は、L2<L11となる。よって、リアクトル部品110は、比較例よりも体格を小型化できる。
【0063】
なお、電力変換装置1000は、リアクトル部品100のかわりに、リアクトル部品110を備えていてもよい。また、電力変換装置1000は、リアクトル部品100のかわりに、後ほど説明するリアクトル部品120~150のいずれか一つを備えていてもよい。この場合、電力変換装置1000は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0064】
(第3実施形態)
図9を用いて、第3実施形態のリアクトル部品120に関して説明する。ここでは、主に、リアクトル部品110と異なる箇所を説明する。
図9は、
図5に相当する断面図である。
【0065】
リアクトル部品120は、コア20cがリアクトル部品110と異なる。なお、樹脂部30cは、樹脂部30bと同様である。しかしながら、実施形態が異なるため便宜的に符号を変えている。樹脂部30cは、樹脂部30bにおける対応する構成要素に、数字部分が同じ符号を付与している。つまり、取付部31cは、取付部31bと同様である。
【0066】
コア20cは、XY平面に沿う断面形状がE型である第1コア部21cと、XY平面に沿う断面形状がI型である第2コア部22cとを有している。そのため、コア20cは、EI型コアといえる。
【0067】
コア20cは、側面SS1のみに凹部23cが設けられている。つまり、第1コア部21cは、凹部23cが設けられている。一方、第2コア部22cは、凹部23cが設けられていない。なお、凹部23cの位置は、凹部23bの位置と同様である。
【0068】
リアクトル部品120は、リアクトル部品110と同様の効果を奏することができる。なお、リアクトル部品120は、リアクトル部品100,110と組み合わせて実施することもできる。つまり、リアクトル部品100,110は、E型コアのかわりにEI型コアを採用できる。
【0069】
(第4実施形態)
図10を用いて、第4実施形態のリアクトル部品130に関して説明する。ここでは、主に、リアクトル部品100と異なる箇所を説明する。
図10は、
図5に相当する断面図である。
【0070】
リアクトル部品130は、コア20dと樹脂部30dがリアクトル部品100と異なる。コア20dは、側面SS1,SS2の両方に凹部23dが設けられている。一方の凹部23dは、側面SS1に対して傾斜した二つの平坦面によって形成されている。他方の凹部23dは、側面SS2に対して傾斜した二つの平坦面によって形成されている。凹部23dは、コア20dに生じる磁束を妨げにくい形状とされている。凹部23dの形状は、シミュレーションなどによって磁束を解析することで決めることができる。なお、凹部23dの位置は、凹部23aの位置と同様である。樹脂部30dは、凹部23dに設けられた取付部31dを有している。
【0071】
リアクトル部品130は、リアクトル部品100と同様の効果を奏することができる。さらに、リアクトル部品130は、凹部23dが磁束を妨げることを抑制できる。よって、リアクトル部品130は、インダクタンス性能の低下をより一層抑制できる。
【0072】
(第5実施形態)
図11を用いて、第5実施形態のリアクトル部品140に関して説明する。ここでは、主に、リアクトル部品130と異なる箇所を説明する。
図11は、
図5に相当する断面図である。
【0073】
リアクトル部品140は、コア20eと樹脂部30eがリアクトル部品130と異なる。コア20eは、側面SS1,SS2の両方に凹部23eが設けられている。一方の凹部23dは、側面SS1に対して傾斜した二つの曲面によって形成されている。他方の凹部23dは、側面SS2に対して傾斜した二つの曲面によって形成されている。この曲面は、凸形状の曲面ともいえる。
【0074】
凹部23eは、コア20eに生じる磁束を妨げにくい形状とされている。つまり、凹部23eは、コア20eに生じる磁束に応じた曲面で形成されている。凹部23eの曲がり具合などは、シミュレーションなどによって磁束を解析することで決めることができる。なお、凹部23eの位置は、凹部23dの位置と同様である。樹脂部30eは、凹部23eに設けられた取付部31eを有している。
【0075】
リアクトル部品140は、リアクトル部品130と同様の効果を奏することができる。さらに、リアクトル部品140は、凹部23eが磁束を妨げることをより一層抑制できる。よって、リアクトル部品130は、インダクタンス性能の低下をより一層抑制できる。
【0076】
(第6実施形態)
図12を用いて、第6実施形態のリアクトル部品150に関して説明する。ここでは、主に、リアクトル部品100と異なる箇所を説明する。
図12は、
図5に相当する断面図である。
【0077】
リアクトル部品150は、コア20fと樹脂部30fがリアクトル部品100と異なる。コア20fは、コア20aと同様、端部領域EA1,EA2を有している。コア20fは、端部領域EA1,EA2において上面TSから下面SSに達する貫通穴23fが設けられている。また、貫通穴23fは、基準線CL上に設けられている。なお、貫通穴23fは、凹部23aと異なり、側面SS1や側面SS2に開口していない。
【0078】
樹脂部30fは、貫通穴23fに配置された部位であり取付対象に対する取付部31fを備えている。取付部31fは、取付部31aと同様、挿入穴32が設けられている。
【0079】
このように、リアクトル部品150は、取付部31fがコア20aの貫通穴23fに設けられる。よって、リアクトル部品150は、リアクトル部品100と同様、体格を小型化できる。
【0080】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0081】
10…コイル、20a~20f…コア、30a~30f…樹脂部、31a~31f…取付部、100~150…リアクトル部品、1000…電力変換装置