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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165572
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】位置判定装置、位置判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01S13/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081862
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】竹中 仁子
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB14
5J070AC01
5J070AC02
5J070AE09
5J070AF03
5J070BC05
(57)【要約】
【課題】携帯デバイスの位置判定にかかる消費電力を低減可能な技術を提供する。
【解決手段】位置判定装置は、携帯デバイスと近距離通信にて接続すると、車両に搭載された複数のアンカーを起動して携帯デバイスと測距通信を実行させる。また、位置判定装置は複数のアンカーと携帯デバイスとの測距通信の結果をもとに、デバイス位置を判定する。位置判定装置は、デバイス位置の最新の判定結果に基づいて、測距通信を停止させてもよいアンカーを選択し、節電状態へと移行させる。その後、残ったアンカー2を用いてデバイス位置の判定を定期的に実施し、携帯デバイスが移動したことを検知した場合には、節電状態を解除する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する携帯デバイスの位置を判定する位置判定装置であって、
前記車両に搭載された複数のアンカー(2)と通信するための通信インターフェース(15)と、
前記通信インターフェースを介して複数の前記アンカーの動作を制御する制御部(11)と、を備え、
前記アンカーは、所定の無線プロトコルを使用して携帯デバイスと測距通信を実施可能に構成された通信機であり、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して複数の前記アンカーから前記測距通信の結果を取得することと、
複数の前記アンカーから取得する前記測距通信の結果をもとに、複数の前記アンカーの中から、節電状態に設定する前記アンカーである節電対象を選択することと、
前記節電対象を前記節電状態に移行させることと、を実施するように構成されている位置判定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記測距通信の結果をもとに、前記車両に予め設定されている複数のエリアの中から、前記携帯デバイスが存在するエリアである滞在エリアを特定し、
前記滞在エリアを特定した場合には、前記滞在エリアに関連付けられていない前記アンカーを前記節電状態に移行させるように構成されている、請求項1に記載の位置判定装置。
【請求項3】
前記制御部には、前記エリアごとに、前記携帯デバイスが存在するかの判定に必要な前記アンカーを示すデータが登録されており、
前記制御部は、前記滞在エリアを特定した場合、当該滞在エリアに前記携帯デバイスが存在するか否かの判定に必要な前記アンカーは前記節電状態には設定せず、且つ、前記滞在エリアに前記携帯デバイスが存在するか否かの判定に不要な前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、請求項2に記載の位置判定装置。
【請求項4】
複数の前記アンカーは、前記車両の外面部に配置された前記アンカーである外側アンカーを複数含み、
前記エリア毎に1つの前記外側アンカーが関連付けられており、
前記制御部は、前記滞在エリアを特定した場合、前記滞在エリアに関連付けられている1つの前記外側アンカーを除く全ての前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、請求項2に記載の位置判定装置。
【請求項5】
複数の前記アンカーは、前記車両の外面部に配置された前記アンカーである複数の外側アンカーと、車内に配置された前記アンカーである少なくとも1つの内部アンカーと、を含み、
前記エリア毎に、1つの前記外側アンカーと少なくとも1つの前記内部アンカーが関連付けられており、
前記制御部は、前記滞在エリアを特定した場合、前記滞在エリアに関連付けられている1つの前記外側アンカーと少なくとも1つの前記内部アンカーを除く、全ての前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、請求項2に記載の位置判定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記節電状態の前記アンカーがある場合、前記節電状態ではない前記アンカーを用いて、前記携帯デバイスが前記滞在エリアとは別のエリアに移動したか否かを判定し、
前記携帯デバイスが前記滞在エリアとは別のエリアに移動したと判定した場合、前記節電状態の前記アンカーを前記測距通信が可能な通常状態に移行させるように構成されている、請求項2に記載の位置判定装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記節電状態が一定時間継続した前記アンカーを、前記測距通信が可能な状態である通常状態に移行させるように構成されている、請求項1に記載の位置判定装置。
【請求項8】
前記携帯デバイスとデータ通信可能に構成されている無線通信モジュール(14)をさらに備え、
前記制御部には、第1の前記携帯デバイスである第1デバイスの情報と、第2の前記携帯デバイスである第2デバイスの情報とが登録されており、
前記制御部は、
前記無線通信モジュールを介して前記携帯デバイスと通信接続し、
複数の前記アンカーには、通信接続している前記携帯デバイスと前記測距通信を実施させ、
前記第1デバイスと通信接続しており且つ前記節電状態に設定している前記アンカーが存在する状況において、前記第2デバイスと通信接続した場合には、前記節電状態の前記アンカーを、前記測距通信が可能な状態である通常状態に移行させるように構成されている、請求項1に記載の位置判定装置。
【請求項9】
前記無線通信モジュールは、前記アンカーが対応している前記無線プロトコルとは異なる無線プロトコルを用いて前記携帯デバイスとデータ通信可能に構成されている、請求項8に記載の位置判定装置。
【請求項10】
前記節電状態は、電源がオフの状態、又は、電源がオンであるものの前記測距通信を実行しない待機状態である、請求項1から9の何れか1項に記載の位置判定装置。
【請求項11】
前記測距通信は、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)通信にて実行される、請求項1から9の何れか1項に記載の位置判定装置。
【請求項12】
車両に対する携帯デバイスの位置を判定するための位置判定方法であって、
所定の無線プロトコルを使用して携帯デバイスと測距通信を実施可能に構成されている複数のアンカーから、前記測距通信の結果を取得することと、
複数の前記アンカーから取得する前記測距通信の結果をもとに、複数の前記アンカーの中から、節電状態に設定する前記アンカーである節電対象を選択することと、
前記節電対象を前記節電状態に移行させることと、を含む位置判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に対する携帯デバイスの位置を判定する位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両が携帯デバイスと超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)通信を用いた測距通信を行うことにより、車両に対する携帯デバイスの位置を判定するシステムが記載されている。特許文献1に開示の構成では、車両に搭載された複数のUWB通信機のそれぞれが所定の間隔で定期的に携帯デバイスと測距通信を実行することにより、携帯デバイスの位置が定期的に判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-104962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に測距用の通信機が複数搭載されている場合、消費電力が問題となりうる。複数の測距用通信機のそれぞれが携帯デバイスと測距のための信号を送受信するためである。車両に搭載される測距用通信機が多いほど、位置判定のための消費電力は増大しうる。なお、ここでの測距用通信機とは、携帯デバイスと測距通信を行うための通信機である。前述のUWB通信機などが測距用通信機に該当しうる。
【0005】
本開示は、上記の検討に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、携帯デバイスの位置判定にかかる消費電力を低減可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される1つの位置判定装置は、車両に対する携帯デバイスの位置を判定する位置判定装置であって、車両に搭載された複数のアンカー(2)と通信するための通信インターフェース(15)と、通信インターフェースを介して複数のアンカーの動作を制御する制御部(11)と、を備え、アンカーは、所定の無線プロトコルを使用して携帯デバイスと測距通信を実施可能に構成された通信機であり、制御部は、通信インターフェースを介して複数のアンカーから測距通信の結果を取得することと、複数のアンカーから取得する測距通信の結果をもとに、複数のアンカーの中から、節電状態に設定するアンカーである節電対象を選択することと、節電対象を節電状態に移行させることと、を実施するように構成されている。
【0007】
上記の位置判定装置によれば、常に全てのアンカーが携帯デバイスと測距通信を実施するのではない。一部のアンカーは、測距通信の結果を受けて節電状態となる。よって、携帯デバイスの位置判定にかかる消費電力を低減することができる。
【0008】
本開示に含まれる1つの位置判定方法は、車両に対する携帯デバイスの位置を判定するための位置判定方法であって、所定の無線プロトコルを使用して携帯デバイスと測距通信を実施可能に構成されている複数のアンカーから、測距通信の結果を取得することと、複数のアンカーから取得する測距通信の結果をもとに、複数のアンカーの中から、節電状態に設定するアンカーである節電対象を選択することと、節電対象を節電状態に移行させることと、を含む。
【0009】
上記の位置判定方法は、上記の位置判定装置に対応する方法である。上記の位置判定方法に依れば位置判定装置と同様の作用により、同様の効果が得られる。
【0010】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両用電子キーシステムの全体像を示す図である。
図2】車載システムの構成を示すブロック図である。
図3】携帯デバイスの構成を示すブロック図である。
図4】アンカーの配置パターンの一例を示す図である。
図5】車外エリアの区分例を示す図である。
図6】エリア毎の存在判定に使用されるアンカーの組み合わせの一例を示す図である。
図7】通信接続から測距開始までのシステム作動を説明するためのシーケンス図である。
図8】アンカー管理処理のフローチャートである。
図9】アンカー選択処理のフローチャートである。
図10】複数の携帯デバイスの位置判定を行う場合の位置判定装置の作動を説明するためのフローチャートである。
図11】エリア毎の存在判定に使用されるアンカーの組み合わせの他の例を示す図である。
図12】エリア毎の存在判定に使用されるアンカーの組み合わせの他の例を示す図である。
図13】エリア毎の存在判定に使用されるアンカーの組み合わせの他の例を示す図である。
図14】エリアに応じた節電対象の設定例を示す図である。
図15】アンカーの配置パターンの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の1つの実施形態が図を用いて説明される。本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。以下に開示される構成は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施されてよい。種々の変形例は、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施されてよい。本開示には、複数の変形例を組み合わせてなる、明示しない構成も含まれる。以下の説明においては、同一の機能を有する部材に対し、同一の符号を付し、その具体的説明を省略することがある。構成の一部のみに言及している場合、他の部分については他の箇所に記載の説明が適用されてよい。
【0013】
<全体構成について>
本実施形態の車両用電子キーシステムは、図1に示すように、車載システム10と携帯デバイス9を含む。車載システム10は車両Hvに搭載されたシステムである。車載システム10は、図2に示すように、位置判定装置1と複数のアンカー2を含む。
【0014】
携帯デバイス9は、ユーザが携帯する無線通信端末である。携帯デバイス9は、位置判定装置1と紐付けられている。すなわち、位置判定装置1には携帯デバイス9のデバイス情報が登録されている。デバイス情報は、デバイスの識別番号(以降、デバイスID)を含む。デバイスIDは、デバイスアドレス又はUUID(Universally Unique Identifier)等であってよい。複数の携帯デバイス9が、位置判定装置1と紐付けられていてもよい。
【0015】
位置判定装置1は、車両Hvに対する携帯デバイス9の位置を判定する装置である。位置判定装置1と携帯デバイス9はいずれも近距離通信モジュールを含む。近距離通信モジュールは、近距離通信を実施可能するための通信モジュールである。ここでの近距離通信とは、実質的な通信可能距離が5mから50m、最大でも100m程度となる所定の無線通信規格に準拠した通信を指す。近距離通信は、Bluetooth(登録商標)Low Energy(以降、Bluetooth LE)や、Wi-Fi(登録商標)等であってよい。以下の説明及び図面では近距離通信を、SRC(Short Range Communication)あるいはSRWC(Short Range Wireless Communication)と記載することがある。また、本開示では近距離通信にて送受信される信号を近距離通信信号、SRC信号、又はSRWC信号と記載することがある。
【0016】
以下では近距離通信がBluetooth LEである場合を例にとって、各部の作動を説明する。さらに以下では、携帯デバイス9がBluetooth LEにおけるセントラル(マスター)として作動し、位置判定装置1がペリフェラル(スレーブ)として振る舞うように設定されている。携帯デバイス9と位置判定装置1の役割は入れ替えられてよい。
【0017】
車両Hvに搭載されているアンカー2は、携帯デバイス9と測距通信を実施するための通信モジュールである。本開示における測距通信とは、通信装置間の距離を計測するための無線通信を意味する。本実施形態の複数のアンカー2及び携帯デバイス9は何れも、UWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)方式の無線通信であるUWB通信によって測距通信を実施可能に構成されている。つまりアンカー2と携帯デバイス9は、UWB通信で使用されるインパルス状の電波(以降、インパルス信号)を送受信可能に構成されている。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間(例えば2ns)であって、かつ、500MHz(厳密には499.2MHz)以上の帯域幅(つまり超広帯域幅)を有する信号であってよい。以降におけるUWB信号とは、UWB通信でやり取りされる信号と解されて良い。UWB信号及び近距離通信信号のヘッダ領域には、後述するデバイスID又は車両IDなど、宛先を指定する情報が含まれていて良い。
【0018】
<携帯デバイス>
携帯デバイス9は、近距離通信機能を備えた、携帯可能な情報処理端末であってよい。携帯デバイス9は、スマートフォンやウェアラブルデバイスといった、多様な通信端末であってよい。携帯デバイス9は、ユーザデバイスやキーデバイス等と呼ぶこともできる。
【0019】
携帯デバイス9は、車両Hvの電子キーとしての専用デバイスであるスマートキーであってもよい。スマートキーは、車両Hvの購入時に、車両Hvとともにオーナーに譲渡されるデバイスである。スマートキーは車両Hvの付属物の1つと解することができる。スマートキーは、扁平な直方体型や、扁平な楕円体型(いわゆるフォブタイプ)、カード型等、多様な形状を採用可能である。スマートキーは、車両用携帯機、キーフォブ、キーカード、アクセスキー等と呼ばれうる。携帯デバイス9は、位置判定装置1と近距離通信を用いた無線認証を実施することによって、車両Hvの鍵として機能してよい。
【0020】
携帯デバイス9は、図3に示すように、デバイス制御部91、SRCモジュール92、及びUWBモジュール93を備える。デバイス制御部91は、携帯デバイス9全体の動作を制御するモジュールである。デバイス制御部91は、デバイスプロセッサ、メモリ、ストレージ、及び入出力回路を備えた、コンピュータとして構成されていてよい。デバイスプロセッサは、種々の演算処理を行う構成である。デバイスプロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってよい。メモリは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体である。ストレージは、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む記録装置である。
【0021】
ストレージには、位置判定装置1のデバイスIDといった、ペアリングによって位置判定装置1から受信したパラメータが保存されている。また、ストレージには、車両IDが保存されていて良い。車両IDは、通信対象とする車両/車載システムの識別情報に相当する。車両IDはシステムIDと言い換えられて良い。車両IDは、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよいし、VINとは異なる種類の番号であって良い。車両IDは、所定の規則で割り当てられた、グローバル識別番号であって良い。ストレージには、位置判定装置1との無線認証に使用される鍵コードが保存されていてよい。鍵コードは暗号キーとも呼ばれうる。
【0022】
SRCモジュール92は、携帯デバイス9が備える近距離通信モジュールである。SRCモジュール92は、受信データをデバイス制御部91に出力する。また、SRCモジュール92は、デバイス制御部91からの指示に基づき送信データに対応するSRC信号を送信する。
【0023】
UWBモジュール93は、UWB通信を実施するための通信モジュールである。UWBモジュール93は、受信データをデバイス制御部91に出力する。また、UWBモジュール93は、デバイス制御部91からの指示に基づき送信データに対応するUWB信号を送信する。UWBモジュール93の動作はデバイス制御部91によって制御される。
【0024】
デバイス制御部91は、SRCモジュール92を用いて定期的にスキャンを行い、位置判定装置1との接続を試行する。デバイス制御部91は、SRCモジュール92が位置判定装置1からのアドバタイズ信号(例えばADV_IND)を受信したことを受けて、位置判定装置1に接続要求信号(いわゆるCONNECT_IND)を送信し、位置判定装置1と通信接続する。
【0025】
デバイス制御部91は、位置判定装置1と通信接続が完了すると、近距離通信にて測距設定データを交換する。測距設定データは、測距通信のためのパラメータである測距パラメータを含むデータセットである。測距設定データは、測距通信の実行間隔などを含む。そして、デバイス制御部91は、測距設定に従った態様にてUWBモジュール93に各アンカー2と測距通信を実施させる。測距通信の具体的な手順は別途後述される。
【0026】
なお、デバイス制御部91は、位置判定装置1と近距離通信で接続していない場合には、UWBモジュール93をスリープさせてよい。UWBモジュール93のスリープ状態とは、消費電力削減のために、一部又は全ての機能を停止した状態であってよい。デバイス制御部91は、位置判定装置1と近距離通信で接続したことに基づいてUWBモジュール93をアクティブ状態に移行させてよい。アクティブ状態は、UWB信号を送受信可能な状態である。当該制御により、待機中の消費電力が低減されうる。その他、デバイス制御部91は、位置判定装置1との通信接続が確立したことに基づいて、近距離通信による認証処理(つまり無線認証)を実施してもよい。無線認証はチャレンジ-レスポンス方式によって実施されてよい。
【0027】
<車載システム>
車載システム10は、図2に示すように、位置判定装置1と複数のアンカー2に加えて、ボディECU3といった他の装置を有してよい。位置判定装置1は複数のアンカー2のそれぞれと専用の通信ケーブルで接続されている。また、位置判定装置1は、車内ネットワークを介して、ボディECU3と接続されている。車内ネットワークは、車両Hv内に構築されている通信ネットワークである。車内ネットワークの規格は、Controller Area Network(CANは登録商標)、Ethernet(登録商標)、又はFlexRay(登録商標)等であってよい。ここに開示する装置同士の接続形態は一例であって適宜変更されてよい。位置判定装置1と複数のアンカー2は車内ネットワークを介して接続されていても良い。
【0028】
位置判定装置1は、アンカー2との協働により、デバイス位置を判定するECUである。本開示でのデバイス位置とは、車両Hvに対する携帯デバイス9の相対位置を意味する。携帯デバイス9はユーザに対応するものであるため、デバイス位置を判定することはユーザの位置を判定することに相当する。よって、デバイス位置との記載はユーザ位置と読み替えられても良い。位置判定装置1は、複数のアンカー2の動作を個別に制御する。
【0029】
位置判定装置1は、プロセッサ11、メモリ12、ストレージ13、無線通信モジュール14、及び車内通信回路15を備える。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)であってよい。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体であってよい。ストレージ13は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。
【0030】
ストレージ13には、位置判定プログラムが保存されている。位置判定プログラムは、コンピュータを位置判定装置1として機能させるためのインストラクションを含むプログラムである。また、ストレージ13には、携帯デバイス9のデバイスID及び各アンカー2の車両Hvにおける搭載位置を示すデータ、及び、携帯デバイス9を認証するためのデータ(例えば鍵コード)が格納されていてよい。プロセッサ11が位置判定プログラムを実行することは位置判定方法が実行されることに相当する。
【0031】
無線通信モジュール14は、位置判定装置1に内蔵された近距離通信モジュールである。無線通信モジュール14は、近距離通信用のアンテナ、送受信回路、及びSRCコントローラを含む。SRCコントローラは、近距離通信にかかるデータ処理を実行するマイクロコンピュータである。
【0032】
無線通信モジュール14には、走行用電源がオフに設定されている間も、車載バッテリの電力が供給される。無線通信モジュール14は、車載バッテリから供給される電力を用いて、定期的にアドバタイズを行い、携帯デバイス9との接続を試行する。アドバタイズは、所定のチャネルを用いてアドバタイズ信号を送信する処理である。アドバタイズ信号は、自分自身の存在を他のデバイスに通知するための無線信号である。アドバタイズ信号は、通信接続のための信号と解されて良い。無線通信モジュール14は、携帯デバイス9からの接続要求信号を受信した場合に、携帯デバイス9と通信接続する。
【0033】
車内通信回路15は、プロセッサ11が複数のアンカー2のそれぞれと通信するための回路である。また、車内通信回路15は、プロセッサ11が車内ネットワークを介しての他の車載装置と通信するための回路を含んでいて良い。車内通信回路15は、車内ネットワークの通信規格に準拠したPHYチップ等を含んでいてよい。車内通信回路15が通信インターフェースに相当する。
【0034】
位置判定装置1は、携帯デバイス9と通信接続したことを受けて各アンカー2に携帯デバイス9との測距通信を実施させる。位置判定装置1は、複数のアンカー2のそれぞれから測距通信の結果を示すデータ(以降、測距結果データ)を取得する。測距結果データは、測距を行った携帯デバイス9のID、及び、アンカー2から携帯デバイス9までの距離を示すデータを含む。測距通信によって定まる、アンカー2から携帯デバイス9までの距離を示す値を、本開示では測距値と記載することがある。位置判定装置1は、各アンカー2から提供される測距結果データに基づいて、デバイス位置を判定する。位置判定装置1による位置判定の詳細は別途後述される。
【0035】
アンカー2は、前述の通り、携帯デバイス9と測距通信を実施するための装置である。アンカー2は、UWB通信を実施可能に構成されている。本実施形態の車載システム10は、アンカー2として図4に示すように、アンカー2A、2B、2C、2D、2P、2Qを備える。アンカー2Aは、車両Hvの右前座席用の外側ドアハンドルに内蔵されたアンカー2である。アンカー2Aは、右Bピラー、右サイドミラー、右サイドシル、又はルーフの右縁部に配置されていても良い。アンカー2Aは右アンカー又は第1アンカー等と言い換えられてよい。アンカー2Aは車両Hvの右エリアに関連付けられたアンカー2に相当する。なお、アンカー2の搭載位置の説明における或る部材の付近とは、当該部材から0.3m以内となる範囲と解されて良い。
【0036】
アンカー2Bは、左前座席用の外側ドアハンドルに内蔵されたアンカー2である。アンカー2Bは、左Bピラーや、左サイドミラー、左サイドシル、又はルーフの左縁部に配置されていても良い。アンカー2Bは左アンカー又は第2アンカーと言い換えられて良い。アンカー2Bは車両Hvの左エリアに関連付けられたアンカー2に相当する。アンカー2Cは、リアバンパの中央部又はトランクドアハンドル、あるいは、リアウインドウの上端又は下端に配置されたアンカー2である。アンカー2Cは、後方アンカー又は第3アンカーと言い換えられて良い。アンカー2Cは車両Hvの後方エリアに関連付けられたアンカー2に相当する。アンカー2Dは、フロントバンパの中央部又はフロントグリル、あるいは、エンブレムの裏側に配置されたアンカー2である。アンカー2Dは、前方アンカー又は第4アンカーと言い換えられて良い。アンカー2Dは車両Hvの前方エリアに関連付けられたアンカー2に相当する。アンカー2A~2Dは何れも車両Hvの外面部に取り付けられていることから、室外機あるいは外側アンカーと言い換えられて良い。
【0037】
アンカー2P、2Qは車内に配置されているアンカー2である。アンカー2Pは、車室内において、アンカー2Qよりも前方に配置されている。アンカー2Pは、インストゥルメントパネル、フロントガラスの上端部、又はセンターコンソール等に配置されていてよい。アンカー2Pは、室内前方アンカー又は第5アンカーと言い換えられてよい。アンカー2Qは、車内において、アンカー2Pよりも後方に配置されたアンカー2である。アンカー2Qは、後部座席の中央部、後部座席の上方に位置する天井部、又はトランク等といった、後方寄りの位置に配置されていてよい。アンカー2Qは、室内後方アンカー又は第6アンカーと言い換えられてよい。本実施形態ではアンカー2P、2Qは全てのエリアと関連付けられたアンカー2に相当する。アンカー2P、2Qは何れも車内に取り付けられていることから、室内機あるいは車内アンカーと言い換えられて良い。
【0038】
複数のアンカー2の構成及び性能は実質的に同一であってよい。各アンカー2は、UWB通信用のアンテナ、送受信回路、及びUWBコントローラを含む。送受信回路は、変調及び復調にかかる信号処理を行う回路である。UWBコントローラは、測距通信にかかる処理を実行するマイクロコンピュータである。UWBコントローラは、携帯デバイス9と測距通信を実施することによって測距結果データを生成し、当該測距結果データを位置判定装置1に送信(報告)する。測距結果データは、測距値と通信相手の情報を含む。
【0039】
測距通信は、アンカー2から携帯デバイス9までの電波の伝搬時間(換言すれば飛行時間)を計測するための通信であってよい。測距通信は、携帯デバイス9がポール信号をブロードキャストする工程と、アンカー2がポール信号を受信したことを受けてレスポンス信号を送信する工程と、を含んでいてよい。また、測距通信は、携帯デバイス9がレスポンス信号を受信したことを受けてファイナル信号を送信する工程を含んでいてよい。ポール信号は、レスポンダに応答(レスポンス)の返送を要求する信号である。レスポンス信号はアンサー信号と言い換えられて良い。
【0040】
測距通信において、携帯デバイス9は、車両Hvに向けてポール信号を送信してから、車両Hvからのレスポンス信号を受信するまでの経過時間であるラウンドトリップ時間(以降、RTT)を計測する。RTTはRound Trip Timeの略である。携帯デバイス9は、測距通信を実行することで計測されたRTTから測距値を算出し、近距離通信にて位置判定装置1に送信してよい。他方、アンカー2は、レスポンス信号を送信してから、携帯デバイス9からのファイナル信号を受信するまでの経過時間をもとに、測距値を算出し、位置判定装置1に報告する。
【0041】
なお、測距通信では、携帯デバイス9がイニシエータとして作動し、かつ、車両Hv(実際には各アンカー2)はレスポンダとして作動する。イニシエータとは、測距通信を主導する役割を担う装置である。測距通信における役割分担も適宜変更されて良い。複数アンカー2が個別にイニシエータとして携帯デバイス9と測距通信を実施しても良い。また、測距通信は、ポール信号の送信に先立って、イニシエータが測距を開始することを通知するためのUWB信号であるプレポール信号を送信する工程を含んでいても良い。また、測距通信は、イニシエータが、ファイナル信号の送信後において、測距が正常に実行されたことを示すUWB信号であるファイナルデータ信号を送信する工程を含んでいてもよい。
【0042】
アンカー2は、動作状態として、電源オフ状態と、待機状態と、測距可能状態と、を有する。電源オフ状態は、アンカー2の電源がオフであって、完全に動作が停止している状態に相当する。待機状態は、電源はオンであるものの、測距通信は実行しない状態に相当する。待機状態は、受信機能又は送信機能が停止している状態と解されても良い。待機状態は、通信相手が不定(未設定)の状態であっても良い。測距可能状態は、携帯デバイス9と測距通信を実施可能な状態である。測距可能状態は、携帯デバイス9からのポール信号を受信したことに基づいてレスポンス信号を返送可能な状態と解されて良い。アンカー2の動作状態は、位置判定装置1から入力される制御信号に基づいて切り替えられる。
【0043】
ボディECU3は、ヘッドライトや、ドアロックモータ、パワーウィンドウモータ、サイドミラーモータといった、ボディ系設備を制御するECU(Electronic Control Unit)である。ボディECU3は、位置判定装置1が判定しているデバイス位置情報をもとに、ドアのアンロック/ロックを制御する。ドアのアンロック/ロックを制御することは、車両Hvの施錠状態を制御することに対応する。ボディECU3は、位置判定装置1との協働により、パッシブエントリ(Passive Entry)機能を提供するECUと解されて良い。パッシブエントリ機能は、ドアハンドルのタッチといった車両Hvへの所定のユーザアクションに反応して車両Hvをアンロックする機能である。なお、ボディECU3は、統合ECU、ゾーンECU、又はドメインECUに置き換えられても良い。また、ボディECU3と位置判定装置1は統合されていても良い。車載システム10内の機能配置は適宜変更されて良い。
【0044】
位置判定装置1には、上記以外にも多様な車載デバイスが直接的に又は間接的に接続されうる。位置判定装置1は、電源ECU、スタートスイッチ、ロックスイッチ、及びアンロックスイッチと接続されていてよい。電源ECUは、車両電源のオン/オフを制御するECUである。スタートスイッチは、車両電源のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。スタートスイッチは、車内のインストゥルメントパネル等に配置されていて良い。ロックスイッチは、ユーザが車両Hvを施錠するためのスイッチである。アンロックスイッチは、ユーザが車両Hvを開錠するためのスイッチである。アンロックスイッチ及びロックスイッチは、外側ドアハンドル等に配置されていてよい。アンロックスイッチ及びロックスイッチは、プッシュスイッチであっても良いしタッチセンサであってもよい。
【0045】
<位置判定>
位置判定装置1は、各アンカー2から提供される測距結果データに基づいて、近距離通信で接続している携帯デバイス9が、車両Hvに事前に設定されている複数のエリア/ゾーンの何れに存在するかを判定する。本実施形態の位置判定装置1は、車内、右近傍エリアRn、左近傍エリアLn、後方近傍エリアBn、前方近傍エリアFn、右中間エリアRm、左中間エリアLm、後方中間エリアBm、前方中間エリアFm、及び、その他エリアの何れに携帯デバイス9が存在するかを判定する。右近傍エリアRn、左近傍エリアLn、後方近傍エリアBn、前方近傍エリアFn、右中間エリアRm、左中間エリアLm、後方中間エリアBm、前方中間エリアFm、及び、その他エリアは、車外を細分化したものである。図5は右近傍エリアRn等を概念的に示した図である。
【0046】
車内には、トランク内を含めることができる。他の態様において車内は、車室内とトランク内とに区分されていても良い。右近傍エリアRnは、車外のうち、車両Hvの右側面部が備える基準点からの距離が所定の第1閾値未満となる領域である。基準点は、右ドアハンドル、右Bピラーなどであってよい。基準点は、アンカー2Aの取り付け位置であってもよい。第1閾値は1.0m、1.5m、1.7m、又は2.0m等に設定されていてよい。左近傍エリアLnは、車外のうち、車両Hvの左側面部が備える基準点からの距離が第1閾値未満となる領域である。基準点は、左ドアハンドル、左Bピラーなどであってよい。後方近傍エリアBnは、車外のうち、車両Hvの背面部が備える基準点からの距離が第1閾値未満となる領域である。基準点は、トランクドアハンドル、又はリアバンパの中央などに設定されていて良い。前方近傍エリアFnは、車外のうち、車両Hvの前端部が備える基準点からの距離が第1閾値未満となる領域である。基準点は、エンブレム、又はフロントバンパの中央などに設定されていて良い。
【0047】
右近傍エリアRn、左近傍エリアLn、後方近傍エリアBn、及び前方近傍エリアFnは、まとめて近傍エリアと呼ばれてよい。近傍エリアは、パッシブエントリ機能が有効なエリアと解されてよい。第1閾値は、車外のうちの近傍エリアを規定するパラメータと解されて良い。
【0048】
右中間エリアRmは、車外のうち、右側面部の基準点からの距離が第1閾値以上、第2閾値距離未満となる領域であってよい。第2閾値は、車両Hv周辺に携帯デバイス9は存在しないと判定するためのパラメータである。第2閾値は、第1閾値よりも1m以上大きい値に設定されていて良い。第2閾値は例えば5.0m、5.5m、6.0m、又は10mなどに設定されていてよい。左中間エリアLmは、車外のうち、左側面部の基準点からの距離が第1閾値以上、第2閾値距離未満となる領域であってよい。後方中間エリアBmは、車外のうち、背面部の基準点からの距離が第1閾値以上、第2閾値距離未満となる領域であってよい。前方中間エリアFmは、車外のうち、前端部の基準点からの距離が第1閾値以上、第2閾値距離未満となる領域であってよい。
【0049】
右中間エリアRm、左中間エリアLm、後方中間エリアBm、及び前方中間エリアFmは、まとめて中間エリアと呼ばれてよい。中間エリアは、当該エリアへの携帯デバイス9の進入を受けて、所定のウェルカム制御が実行されるウェルカムエリアであってよい。ウェルカム制御は、車外照明の点灯などであってよい。中間エリアは、携帯デバイス9との無線通信による認証を実行/開始するエリア、又は、車両Hvを遠隔操作で駐車/出庫させる機能をユーザが利用可能なエリアであってもよい。中間エリアは、スタンバイエリアや周辺エリアなどと言い換えられても良い。その他エリアは、中間エリアのさらに外側となる領域である。その他エリアは遠方エリアと言い換えられても良い。
【0050】
以降では、便宜上、右近傍エリアRnと右中間エリアRmとを右エリアと総称する。また、左近傍エリアLnと左中間エリアLmとを左エリアと総称する。後方近傍エリアBnと後方中間エリアBmとを後方エリアと総称する。前方近傍エリアFnと前方中間エリアFmとを前方エリアと総称する。
【0051】
位置判定装置1は、各アンカー2で観測された測距値を組み合わせることにより、携帯デバイス9が存在するエリア(以降、滞在エリア)を判定する。滞在エリアは、存在エリア又は注目エリアと言い換えられて良い。
【0052】
例えば位置判定装置1は、アンカー2Aでの測距値が第1閾値未満であり、且つ、アンカー2P、2Qでの測距値がアンカー2Aでの測距値よりも大きい場合に、携帯デバイス9が右近傍エリアRnに存在すると判定してよい。また、アンカー2Aでの測距値が第1閾値以上第2閾値未満であり、且つ、アンカー2P、2Qでの測距値がアンカー2Aでの測距値よりも大きい場合に、携帯デバイス9が右中間エリアRmに存在すると判定してよい。
【0053】
左近傍エリアLn、後方近傍エリアBnなどについての存在判定も、位置判定装置1は、エリア毎に事前に設定されているアンカー2の測距値に基づいて実行する。位置判定装置1は、エリアごとに異なるアンカー2を用いて、エリアごとの存在判定を実施する。或るエリアについての存在判定は、当該エリア内に携帯デバイス9が存在するか否かを判定する処理と解されて良い。存在判定は、存否判定と言い換えられて良い。デバイス位置判定は、エリア毎の存在判定を含んでよい。
【0054】
図6は、エリアごとの存在判定に使用するアンカー2の組み合わせを示す図である。或るエリアの行においてチェックされているアンカー2が、当該エリアの存在判定に使用される(つまり必要な)アンカー2である。図6に示す例は、位置判定装置1は右エリアの存在判定にはアンカー2A、2P、2Pの測距値を使用する一方、左エリアの存在判定にはアンカー2B、2P、2Pの測距値を使用するパターンを示している。また、図6は、位置判定装置1は後方エリアの存在判定にはアンカー2C、2Qの測距値を使用する一方、前方エリアの存在判定にはアンカー2D、2Pの測距値を使用するパターンを例示している。図中の「A」はアンカー2Aを、「B」はアンカー2Bを、「C」はアンカー2Cを、「D」はアンカー2Dをそれぞれ表す。「P」はアンカー2Pを、「Q」はアンカー2Qをそれぞれ表す。
【0055】
エリアに紐付けられているアンカー2の測距値が所定の存在判定条件を充足している場合に、位置判定装置1は当該エリアを滞在エリアと判定する。存在判定条件は、エリアごとに異なっていてよい。エリアごとの存在判定に使用するアンカー2の組み合わせ及び存在判定条件を示すデータは、ストレージ13に保存されていて良い。
【0056】
なお、携帯デバイス9が車内に存在するか否かの判定に使用されるアンカー2の組み合わせは、最終外側位置に応じて異なりうる。最終外側位置は、車外における最後に判定されたデバイス位置を意味する。例えば最終外側位置が右エリアである場合、位置判定装置1はアンカー2A、2P、2Qを用いて、車内に携帯デバイス9があるか否かを判定する。また、最終外側位置が左エリアである場合、位置判定装置1はアンカー2B、2P、2Qを用いて、車内に携帯デバイス9があるか否かを判定する。
【0057】
このように位置判定装置1は、エリアごとに存在判定を実施する。或るエリアの存在判定に使用されるアンカー2が、当該エリアに関連付けられたアンカー2に相当する。なお、位置判定装置1は、右エリア、左エリア、後方エリア、前方エリア、及び車内の何れにも携帯デバイス9は存在しないと判定した場合、携帯デバイス9はその他エリア(つまり遠方)に存在すると判定して良い。位置判定装置1は、過去の判定結果を用いて現在のデバイス位置(換言すれば滞在エリア)を特定してよい。位置判定装置1は、過去N回分(例:N=3)の判定結果の多数決によって最新の滞在エリアを決定して良い。なお、位置判定装置1が通信接続している携帯デバイス9が1つだけである状況において、複数のエリアにおいて存在判定条件が充足された場合、位置判定装置1は、デバイス位置は不明としても良い。
【0058】
なお、位置判定装置1は、複数の携帯デバイス9と通信接続している場合には、複数の携帯デバイス9のそれぞれについての滞在エリアを判定する。位置判定装置1は、特定した携帯デバイス9の位置情報をボディECU3に提供する。
【0059】
<通信接続~測距通信>
図7は、通信接続から測距通信を開始するまでのシステム全体の作動を表すシーケンス図である。図7に示すシーケンスを開始する時点において携帯デバイス9は車両Hvから十分に離れており、位置判定装置1と携帯デバイス9は通信接続していない。つまり図7に示すシーケンスを開始する時点において位置判定装置1は待機状態である。待機状態とは携帯デバイス9とも通信接続していない状態を指す。
【0060】
待機状態において、位置判定装置1は、定期的にアドバタイズ信号を送信する(S11)。ユーザの移動に伴って、携帯デバイス9が位置判定装置1の近距離通信エリアに入ると、携帯デバイス9は、車両Hv(位置判定装置1)が発するアドバタイズ信号を受信しうる。携帯デバイス9は、位置判定装置1からのアドバタイズ信号を受信したことを受けて接続要求信号を送信し(S12)、位置判定装置1との接続を確立する。
【0061】
携帯デバイス9と位置判定装置1は、近距離通信で通信接続したことを受けて、測距設定データを交換する。例えば携帯デバイス9は、近距離通信で位置判定装置1と接続すると、位置判定装置1に向けて、測距設定要求信号を送信する(S13)。測距設定要求信号は、測距設定データの送信を要求するSRC信号である。位置判定装置1は、携帯デバイス9から測距設定要求信号を受信したことを受けて、測距設定データを携帯デバイス9に返送する(S14)。なお、ステップS13は任意の要素であって省略されても良い。位置判定装置1は携帯デバイス9と通信接続したことを受けて測距設定データを送信するように構成されていても良い。
【0062】
携帯デバイス9は、位置判定装置1から測距設定データを受信したことを受けて、肯定的な応答(いわゆるAck)を返送する(S15)。位置判定装置1は携帯デバイス9からのAckを受信したことに基づいて、測距設定データ及び通信相手となる携帯デバイス9の情報を全てのアンカー2に通知し、且つ、全てのアンカー2を測距可能状態に移行させる(S16)。なお、ステップS16の前には、電源オフ状態のアンカー2を待機状態に移行させるステップがあってもよい。
【0063】
一部又は全部の測距パラメータは、携帯デバイス9が決定してもよい。ステップS14は、携帯デバイス9が位置判定装置1に測距設定データを送信するステップ、換言すれば、携帯デバイス9が位置判定装置1に対して測距設定を提案するステップであってもよい。
【0064】
測距設定の交換、あるいは、測距設定の合意が完了すると、反復的な測距通信が開始される。すなわち、携帯デバイス9と各アンカー2が測距用のUWB信号を送受信する(S17)。測距用のUWB信号には、前述のポール信号、レスポンス信号、及びファイナル信号等が含まれる。なお、測距用のUWB信号には、プレポール信号及びファイナルデータ信号などが含まれてもよい。
【0065】
1回の測距通信が完了するたびに、各アンカー2は、測距通信の結果として定まるアンカー計測結果を位置判定装置1に送信する(S18)。なお、携帯デバイス9も、近距離通信にて、各アンカー2までの距離(つまり測距結果)を示すデータを位置判定装置1に送信しても良い(S19)。ステップS19は任意の要素であって、省略されても良い。
【0066】
ステップS18又はS19以降においては、所定の終了条件が成立するまでは、ステップS17~S18(又はS17~S19)が繰り返される。終了条件が成立した場合、携帯デバイス9と車両Hvとによる反復的な測距通信は終了される。終了条件は、位置判定装置1と携帯デバイス9との通信接続の切断であってよい。位置判定装置1は、携帯デバイス9からの信号を受信しない状態が所定時間(例えばSuper Vision Time)継続した場合に、携帯デバイス9との接続を解除(つまり切断)しうる。また、携帯デバイス9から近距離通信にて終了要求信号(TERMINATE_IND)を受信した場合に、位置判定装置1は終了条件が成立したと判定しても良い。
【0067】
<アンカー管理処理>
本実施形態の位置判定装置1は、常に全てのアンカー2を用いてデバイス位置の判定を行うのではなく、複数のアンカー2の一部を一時的に休止させることにより、消費電力の低減を図るように構成されている。換言すれば、位置判定装置1は、携帯デバイス9と通信接続中、測距可能状態を維持するアンカー2の組み合わせを動的に変更する。本開示では、測距可能状態を維持するアンカー2の組み合わせを動的に変更するための制御(処理)は、アンカー管理処理とも表現されうる。
【0068】
図8はアンカー管理処理の流れを示すフローチャートである。アンカー管理処理は図8に示すようにステップS101~S110を含む。ステップS101は、位置判定装置1が全てのアンカー2に携帯デバイス9と測距通信を実行させるステップである。ステップS101は前述のステップS17に対応する。ステップS101は、位置判定装置1が各アンカー2から測距値を取得するステップを含んでいてよい。また、ステップS101は位置判定装置1が携帯デバイス9から各アンカー2についての測距値を示すデータを受信するステップを含んでいても良い。ステップS101が完了すると位置判定装置1はステップS102を実行する。
【0069】
ステップS102は、位置判定装置1がアンカー2ごとの測距値に基づいて、デバイス位置を判定するステップである。ステップS102は、位置判定装置1が滞在エリアを特定するステップと解されて良い。ステップS102が完了すると、位置判定装置1がアンカー選択処理を実行するステップである。アンカー選択処理は、複数のアンカー2の中から、節電対象を選択する処理である。節電対象とは、測距可能状態から節電状態に切り替えるアンカー2である。節電状態は、待機状態であってもよいし、電源オフ状態であってもよい。節電状態は測距通信を実行しないことによって、消費電力が低減される状態であってよい。以降では、複数のアンカー2のいずれかが節電状態である車載システム10の状態も、節電状態と記載する。
【0070】
位置判定装置1は、動作を停止させてもデバイス位置の判定に支障が生じない/支障が少ないアンカー2を節電対象として選択する。節電対象は、一時的に非必須又は不要なアンカー2、あるいは停止可能なアンカー2と言い換えられて良い。節電対象は、ステップS102でのデバイス位置の判定結果に応じて決定される。
【0071】
以降では、節電対象以外のアンカー2を残存アンカーとも記載する。残存アンカーは必須アンカーと言い換えられて良い。残存アンカーは、ステップS102で判定された滞在エリアに携帯デバイス9が残存しているか、滞在エリアから離脱したのかの判定に必要なアンカー2と解されて良い。アンカー選択処理は、別の観点においては、必要なアンカー2と、一時的に不要なアンカー2とを区分する処理に相当する。
【0072】
アンカー選択処理は、例えば図9に示すようにステップS201~S213を含む。ステップS201は、右エリアが滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。ステップS201は、先のステップS102にて携帯デバイス9が右エリアに存在すると判定されたか否かを位置判定装置1が判定するステップと解されて良い。右エリアが滞在エリアである場合、処理はステップS202を経由してステップS203に進む。一方、右エリアが滞在エリアではない場合、処理はステップS202を経由せずに、ステップS203に進む。ステップS202は、アンカー2A、2P、2Qを必須アンカーに設定するステップである。
【0073】
ステップS203は、ステップS102の判定結果を参照し、左エリアが滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。左エリアが滞在エリアである場合、処理はステップS204を経由してステップS205に進む。一方、左エリアが滞在エリアではない場合、処理はステップS204を経由せずに、ステップS205に進む。ステップS205は、アンカー2B、2P、2Qを必須アンカーに設定するステップである。
【0074】
ステップS205は、ステップS102の判定結果を参照し、後方エリアが滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。後方エリアが滞在エリアである場合、処理はステップS206を経由してステップS207に進む。一方、後方エリアが滞在エリアではない場合、処理はステップS206を経由せずに、ステップS207に進む。ステップS206は、アンカー2C、2P、2Qを必須アンカーに設定するステップである。
【0075】
ステップS207は、ステップS102の判定結果を参照し、前方エリアが滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。前方エリアが滞在エリアである場合、処理はステップS208を経由してステップS209に進む。一方、前方エリアが滞在エリアではない場合、処理はステップS208を経由せずに、ステップS209に進む。ステップS208は、アンカー2D、2P、2Qを必須アンカーに設定するステップである。
【0076】
ステップS209は、ステップS102の判定結果を参照し、車内が滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。車内が滞在エリアである場合、処理はステップS210を経由してステップS211に進む。一方、車内が滞在エリアではない場合、処理はステップS210を経由せずに、ステップS211に進む。ステップS210は、アンカー2P、2Qと、車外における最後のデバイス位置に応じたアンカー2を、必須アンカーに設定するステップである。図中の「X」は、車外における最後のデバイス位置に応じたアンカー2を表している。
【0077】
ステップS211は、ステップS102の判定結果を参照し、その他エリアが滞在エリアであるか否かを位置判定装置1が判定するステップである。その他エリアが滞在エリアである場合、処理はステップS212を経由してステップS213に進む。一方、その他エリアが滞在エリアではない場合、処理はステップS212を経由せずに、ステップS213に進む。ステップS212は、全てのアンカー2を必須アンカーに設定するステップである。なお、位置判定装置1は、その他エリアが滞在エリアである場合、必ずしも全てのアンカー2を必須アンカーに設定しなくとも良い。位置判定装置1は、4つの外側アンカーと、1つの車内アンカー(例えばアンカー2P)を必須アンカーに設定してよい。位置判定装置1は、その他エリアが滞在エリアである場合、何れのアンカー2も必須アンカーに設定しなくとも良い。あるいは、位置判定装置1は、その他エリアが滞在エリアである場合、所定の1つの車内アンカーのみを必須アンカーに設定しても良い。
【0078】
ステップS213は位置判定装置が1、ステップS201からステップS212までの一連の処理で必須アンカーに設定されなかったアンカー2を、節電対象に設定として選択するステップである。例えばステップS102にて右エリアのみに携帯デバイス9が存在すると判定されている場合、アンカー2B、2C、2Dが節電対象に設定される。
【0079】
位置判定装置1によるアンカー選択処理が完了すると、処理はステップS104に進む。ステップS104は、節電対象に設定したアンカー2を位置判定装置1が節電状態に移行させるステップである。測距可能状態から節電状態への切り替えは、アンカー2に向けて位置判定装置1が所定の制御信号を送信することで実現されて良い。ステップS102~S104は節電処理と言い換えられて良い。
【0080】
節電対象を節電状態に移行させた後は、残存アンカーのみが、測距間隔にて定期的に携帯デバイス9と測距通信を実行する(S105)。残存アンカーは、測距可能状態が維持されているアンカー2と解されて良い。アンカー選択処理にて必須アンカーと判定されたアンカー2が残存アンカーに対応する。
【0081】
残存アンカーが携帯デバイス9と測距通信を実施すると、位置判定装置1は当該測距通信の結果をもとに、ステップS106を実行する。ステップS106は、残存アンカーから報告される測距値をもとに、デバイス位置を判定するステップである。ステップS103~S104の節電処理により、滞在エリアの存在判定に使用しないアンカー2は節電状態となっている。ステップS105では、滞在エリアの存在判定に使用されるアンカー2からのみ、測距値が提供される。そのため、ステップS106では、ステップS102で特定された滞在エリアに携帯デバイス9がまだ残存しているか、又は、滞在エリアから別のエリアと移動(離脱)したかが判定される。滞在エリアから別のエリアと移動したと判定する場合とは、残存アンカーから提供される測距値が、滞在エリアの存在判定情景を充足していない場合である。滞在エリアから別のエリアと移動したと判定する場合とは、滞在エリアに携帯デバイス9が存在しないと判定することに対応する。このようなステップS106は、位置判定装置1は、デバイス位置が変化したかを判定するステップと解されて良い。また、ステップS106は、ステップS102の判定結果と、最新の位置判定結果が一致するか否かを判定するステップと解されても良い。
【0082】
ステップS106にて携帯デバイス9が滞在エリアから別のエリアに移動したと判定された場合(S106 YES)、処理はステップS108に進む。一方、ステップS106にて携帯デバイス9が滞在エリアから離脱していない(つまりまだ残存している)と判定された場合(S106 NO)、処理はステップS107に進む。
【0083】
ステップS107は、節電継続時間(Tsv)が所定の復帰閾値(Th)以上となったか否かを判定するステップである。節電継続時間は、ステップS104にて一部のアンカー2を節電状態に設定してからの経過時間である。図8中の「Tsv」は節電継続時間を、「Th」は復帰閾値をそれぞれ表している。節電継続時間は、タイマー等を用いて計測されて良い。節電継続時間が復帰閾値以上となった場合(S107 YES)、位置判定装置1はステップS108を実行する。一方、節電継続時間が復帰閾値未満である場合(S107 NO)、処理はステップS105に戻る。つまり、節電継続時間が復帰閾値以上となるか、携帯デバイス9が別のエリアに移動したことが検出されるまでは、残存アンカーだけを用いた測距通信及び位置判定が繰り返される。なお、復帰閾値は、3秒や5秒、7秒などに設定されていてよい。
【0084】
ステップS108は終了条件が成立したか否かを位置判定装置1が判定するステップである。終了条件は、前述の通り、通信接続の終了などであってよい。終了条件が成立した場合(S108 YES)、位置判定装置1は、全てのアンカー2を電源オフ状態に設定してフローを終了する。一方、終了条件が成立していない場合(S108 NO)、位置判定装置1はステップS109において節電状態であるアンカー2を測距可能状態に移行させる。つまり、位置判定装置1は節電状態を解除する。ステップS109が完了すると、ステップS101以降の処理が再実行される。なお、ステップS108は随時実行されて良い。
【0085】
<節電状態の解除条件>
以上では、節電状態が一定時間継続した場合、又は、携帯デバイス9の滞在エリアが変化した場合に、節電状態を解除する制御例について述べた。しかしながら、節電状態を解除する条件は上記に限定されない。
【0086】
位置判定装置1は、通信接続済みの携帯デバイス9とは異なる携帯デバイス9と通信接続した場合にも、節電状態を解除してよい。節電状態を解除することは、全てのアンカー2を測距可能状態に移行させることと解されて良い。便宜上、先に位置判定装置1と通信接続する携帯デバイス9を第1デバイスと称する。また、第1デバイスと車両Hvとが測距通信を実行している状況において、位置判定装置1と通信接続する他の携帯デバイス9を第2デバイスと称する。第1、第2デバイスはともに位置判定装置1と紐付けられている携帯デバイス9である。
【0087】
図10は上記の技術的思想に対応する位置判定装置1の作動例を示すフローチャートである。図10に示すステップS301は第1デバイスと近距離通信にて接続するステップである。ステップS301は、先に説明したステップS11~S12に対応するステップと解されて良い。ステップS301は第1デバイスが位置判定装置1の通信エリアに入ったことに基づいて実行されて良い。ステップS301が完了すると処理はステップS302に進む。ステップS302は位置判定装置1が、第1デバイスと測距設定データを交換し、各アンカー2に第1デバイスとの定期的な測距通信を開始させるステップである。ステップS302は各アンカー2を測距可能状態に設定するステップと解されて良い。アンカー2を測距可能状態に設定するステップは、アンカー2に測距設定データを配布することを含んでいて良い。アンカー2に配布する測距設定データは、測距パラメータの設定値に加えて、通信相手を示すデータを含んでいてよい。
【0088】
ステップS302が完了すると、位置判定装置1は第1デバイスの位置に応じた節電処理を実行する(S302)。ステップS303の具体的内容は、ステップS101~S110と解されて良い。位置判定装置1は、第2デバイスと通信接続するまでは、第1デバイスの位置に応じた節電処理を実施しつつ、定期的に第1デバイスの位置判定を行う。
【0089】
上記の状況において位置判定装置1は、第2デバイスと通信接続すると(S304 YES)、ステップS305を実行する。ステップS305は、節電状態を解除するステップである。ステップS305は、各アンカー2を第1、第2デバイスのそれぞれと測距通信可能な状態に設定するステップと解されて良い。ステップS305は、各アンカー2に、第1デバイス用の測距設定データと、第2デバイス用の測距設定データを送信することを含んでいてよい。
【0090】
ステップS306は、各アンカー2が第1デバイス及び第2デバイスと定期的な測距通信を開始するステップである。ステップS306の実行を受けてステップS307が実行される。ステップS307は位置判定装置1が、全てのアンカー2を用いた第1、第2デバイスの位置の判定結果をもとに、節電処理を実行するステップである。例えば位置判定装置1は、第1デバイスが右エリアに存在すると判定し、第2デバイスが左エリアに存在すると判定した場合、アンカー2A、2B、2P、2Qは必須アンカーに設定し、且つ、アンカー2C、2Dを節電対象として選択する。そして、位置判定装置1はアンカー2C、2Dを節電状態に移行させる。
【0091】
上記のケースにおいて位置判定装置1は、アンカー2A、2B、2P、2Qを用いて第1、第2デバイスの位置判定を定期的に実行する。位置判定装置1は、第1デバイス又は第2デバイスの移動を検出した場合に、節電状態を解除してよい。ステップS106の判定は、通信接続している携帯デバイス9毎に実行されて良い。また、位置判定装置1は、節電状態が一定時間経過する場合に、節電状態を解除して良い。
【0092】
上記の制御例によれば、車両Hvの周りに複数の携帯デバイス9(ユーザ)が存在する場合においても、各携帯デバイス9の位置を追跡しつつ、消費電力を低減することができる。
【0093】
その他、位置判定装置1は、車両Hvを使用するためのアクションをユーザが実施したことを検出した場合に、節電状態を解除しても良い。上記のアクションとは、開錠操作、施錠操作、ドアの開閉、又は電源オン操作などであってよい。開錠操作は、車両Hvを開錠するための操作である。開錠操作が行われたことはアンロックスイッチの出力信号に基づき検出されて良い。施錠操作は、車両Hvを施錠するための操作である。施錠操作が行われたことはロックスイッチの出力信号に基づき検出されて良い。ドアの開閉は、カーテシスイッチの出力信号に基づいて検出されて良い。電源オン操作は、スタートスイッチの出力信号に基づいて検出されて良い。
【0094】
位置判定装置1は、滞在エリアは車内と判定した後は、ドアが開かれるか、車内アンカーの測距値が所定値以上となるまでは、外側アンカーを節電状態に設定しても良い。位置判定装置1は、待機状態においては、ドアが開かれるか、何れかの外側アンカーの測距値が所定値未満となるまでは、車内アンカーを節電状態に設定しても良い。これらの制御によれば、消費電力はより一層低減される。
【0095】
<効果>
上記の構成によれば、携帯デバイス9と位置判定装置1とが通信接続している間、全てのアンカー2を稼働させ続けるわけではない。携帯デバイス9が特定のエリアに存在すると判定した場合、当該エリアに関連付けられているアンカー2は通常通り稼働させる一方、その他のアンカー2は節電状態に移行させる。このような構成によれば、車載システム10の消費電力が低減される。
【0096】
また、上記制御の結果として、一部のアンカー2を節電状態に設定している場合には、位置判定装置1の機能は縮退しうる。しかしながら、上記の位置判定装置1は、節電継続時間が経過したことを受けて、節電状態を解除する。このような構成によれば、位置判定装置1は定期的に本来の能力でデバイス位置を判定できる。よって、デバイス位置をご判定し続ける恐れは低減される。
【0097】
さらに、上記の位置判定装置1は、一部のアンカー2を節電状態に設定している状況において、残存アンカーでの測距結果をもとにデバイス位置の変化を検出した場合にも、節電状態を解除する。それにより、次の測距通信においては、全てのアンカー2を用いてデバイス位置が判定可能となる。その結果、位置判定装置1が携帯デバイス9(ユーザ)の位置をロストし続ける時間を短縮できる。
【0098】
また、位置判定装置1は、第1デバイスと測距通信を定期的に実施している状況において、第2デバイスと近距離通信接続した場合にも、節電状態を解除する。このような構成によれば、第2デバイスの位置が不明であり続ける時間が短縮される。換言すれば、車両Hvへの第2デバイスの接近に対し、第2デバイスの位置判定が開始されるまでの遅延時間が低減される。
【0099】
<変形例>
エリア毎の存在判定に使用されるアンカー2の組み合わせは図6に例示するものに限定されない。エリア毎の存在判定に使用されるアンカー2の組み合わせは適宜変更されて良い。例えば図11に示すように近傍エリアと中間エリアとで使用されるアンカー2の組み合わせは変更されて良い。図11に示す例では、右近傍エリアRnの存在判定にはアンカー2A、2P、2Qが使用され、右中間エリアRmの存在判定にはアンカー2A、2C、2Dが使用される。携帯デバイス9が中間エリアから車内に遷移する可能性は低い。そのため、位置判定装置1は、上記設定のように滞在エリアは中間エリアと判定した場合、車内アンカーを節電状態に設定してもよい。
【0100】
また、図12に示すように各エリアの判定に使用されるアンカー2は、1つの外側アンカーと、1つの車内アンカーの組み合わせであってよい。図12に示す例では、右エリアの存在判定にはアンカー2A、2Pのみが使用され、且つ、左エリアの存在判定にはアンカー2B、2Pのみが使用される。位置判定装置1は、後方エリアの存在判定にはアンカー2C、2Qのみを使用し、且つ、前方エリアの存在判定にはアンカー2D、2Pのみを使用するように構成されていてよい。携帯デバイス9が車内にあるか否かの切り分けは、先に説明した実施形態と同様に、最終外側位置の判定結果に応じて決定されて良い。例えば最終外側位置が右、左、前方エリアの何れかである場合、位置判定装置1はアンカー2Pと、最終外側位置に対応する外側アンカーを用いて、車内に携帯デバイス9があるか否かを判定してよい。また、最終外側位置が前方エリアである場合、位置判定装置1はアンカー2D、2Pを用いて車内に携帯デバイス9があるか否かを判定してよい。また、最終外側位置が後方エリアである場合、位置判定装置1はアンカー2C、2Qを用いて車内に携帯デバイス9があるか否かを判定してよい。
【0101】
上記の通り、各エリアに関連付けられている外側アンカーと車内アンカーは1つずつであって良い。位置判定装置1は、滞在エリアに関連付けられている1つの車外通信機と、1つの車内通信機は測距可能状態を維持させる一方、その他のアンカー2は節電状態に移行させるよう構成されていて良い。当該構成によれば、システムが節電状態であっても、位置判定装置1は携帯デバイス9が車内にあるのか否かを判別可能である。
【0102】
なお、各エリアに関連付けられているアンカー2は、図13に示すように、1つだけであってよい。位置判定装置1は、滞在エリアが右、左、後方、前方エリアの何れかと判定した場合、そのエリアに関連付けられている1つの外側アンカーのみを動作させ、その他は全て節電状態に設定してもよい。上記構成によれば、車外におけるデバイス位置を概略的に推定する機能は維持されつつ、消費電力がより一層低減されうる。
【0103】
位置判定装置1はエリアごとに節電状態に設定するアンカー2が定義されたデータを用いて、滞在エリアに応じたアンカー管理処理を実行しても良い。図14は、エリア毎の節電対象の設定例を示す。図14は、滞在エリアは右と判定した場合にはアンカー2Bを節電状態に設定し、且つ、滞在エリアは後方と判定した場合にはアンカー2Dを節電状態に設定するパターンを例示している。このように位置判定装置1は、滞在エリアとは反対側に設置されているアンカー2を節電状態に設定するように構成されていて良い。
【0104】
また、位置判定装置1は図14の(5)に示すように、滞在エリアは車内であると判定している場合には、アンカー2C、2Dを節電状態に設定してもよい。ユーザ位置が車室内から右エリア又は左エリアを経由せずに、いきなり前方エリア又は後方エリアへと遷移する可能性は低い。よって、滞在エリアが車内と判定している場合には、アンカー2C、2Dを節電状態に設定しても、ユーザの利便性は低下しにくい。上記構成によれば、利便性を維持しつつ消費電力が低減される。また、携帯デバイス9が車両Hvから十分に離れている場合、携帯デバイス9がいきなり車内に遷移する可能性は低い。よって、位置判定装置1は図14の(6)に示すように、滞在エリアはその他エリアにあると判定している場合には、全ての車内アンカー(アンカー2P、2Q)を節電状態に設定してもよい。
【0105】
<アンカーの搭載パターン>
アンカー2の搭載位置は、図4に示すパターンに限定されない。例えば車外アンカーは、図15に示すように車両Hvの4つのコーナー部に設けられていて良い。図15に示すアンカー2Eは、車両Hvの右前コーナー部に配置されたアンカー2である。アンカー2Eは、フロントバンパの右端、又は右サイドミラー等に配置されていて良い。アンカー2Fは、車両Hvの左前コーナー部に配置されたアンカー2である。アンカー2Fは、フロントバンパの左端、又は左サイドミラー等に配置されていて良い。アンカー2Gは、車両Hvの右後ろコーナー部に配置されたアンカー2である。アンカー2Gは、リアバンパの右端等に配置されていて良い。アンカー2Hは、車両Hvの左後ろコーナー部に配置されたアンカー2である。アンカー2Hは、リアバンパの左端等に配置されていて良い。図4に示す配置パターンと図15に示す配置パターンは、部分的に又は全体的に組み合わせられて良い。車内アンカーは1つだけであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0106】
<UWB通信>
UWB通信では、IEEE802.15.4zで規定されているように、複数のチャネルが利用されうる。IEEE(登録商標)は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略であって、米国電気電子学会を意味する。アンカー2と携帯デバイス9は、UWB通信の第3チャネル、第5チャネル、第9チャネル、又は、その他のチャネルを用いて通信可能に構成されていて良い。アンカー2と携帯デバイス9は複数のチャネルを選択的に用いて通信可能に構成されていても良い。第3チャネルは、中心周波数が4492MHzのチャネルであり、第5チャネルは中心周波数が6489.6MHzのチャネルである。第9チャネルは中心周波数が7987.2MHzのチャネルである。各チャネルは中心周波数から±250MHzの周波数帯に相当する。UWB通信では、3.1GHz~4.8GHz、及び6.0GHz~10.6GHz等が使用されうる。UWB通信の変調方式は、オンオフ変調(OOK:On Off Keying)方式やパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)方式、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)等であってよい。オンオフ変調方式はインパルス信号の存在/欠如によって情報(例えば0と1)を表現する方式である。パルス位置変調方式はパルスの発生位置で変調を行う方式である。パルス幅変調方式はパルス幅によって情報を表現する方式である。アンカー2と携帯デバイス9とのUWB通信はOOK方式によって実施されてよい。UWB通信によるデータ送信は、複数のインパルス信号を用いて実現される。UWB信号は、複数のインパルスを含むため、パルス系列信号と言い換えられてよい。
【0107】
<無線通信プロトコル>
測距通信に使用される無線プロトコルは第1の無線プロトコル、データ通信(通信接続)に使用される無線プロトコルは第2の無線プロトコルとそれぞれ言い換えられて良い。測距通信は、UWB-IRに限定されず、Bluetooth LEや、Wi-Fiや、EnOcean(登録商標)、Zigbee(登録商標)などを用いて実行されて良い。例えばBluetooth LEによる測距通信は、CS(Channel Sounding)測距のための通信であってよい。CS測距のための通信は、複数のチャネルでCW(Continuous Wave)信号を送受信することを含む。CS測距は、チャネルごとの受信位相の差をもとに距離を測定することであってよい。CS測距は、High Accuracy Distance Measurement(HADM)、或いは位相差測距と呼ばれることがある。位置判定装置1と携帯デバイス9との通信方式も、Bluetooth LEに限定されず、Bluetooth ClassicやWi-Fiなどであって良い。本開示における無線プロトコル、通信規格、及び通信方式といった記載は、相互に置き換えられて良い。測距通信に使用される無線プロトコルと通信接続に使用される無線プロトコルは同じであっても良い。
【0108】
<付言(1)>
本開示には以下の技術的思想も含まれる。また、以下の技術的思想に対応する位置判定方法、プログラム、及び位置判定システムも、本開示の範囲に含まれる。
【0109】
[技術的思想1]
車両に対する携帯デバイスの位置を判定する位置判定装置であって、
前記車両に搭載された複数のアンカー(2)と通信するための通信インターフェース(15)と、
前記通信インターフェースを介して複数の前記アンカーの動作を制御する制御部(11)と、を備え、
前記アンカーは、所定の無線プロトコルを使用して携帯デバイスと測距通信を実施可能に構成された通信機であり、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して複数の前記アンカーから前記測距通信の結果を取得することと、
複数の前記アンカーから取得する前記測距通信の結果をもとに、複数の前記アンカーの中から、節電状態に設定する前記アンカーである節電対象を選択することと、
前記節電対象を前記節電状態に移行させることと、を実施するように構成されている位置判定装置。
【0110】
[技術的思想2]
前記制御部は、
前記測距通信の結果をもとに、前記車両に予め設定されている複数のエリアの中から、前記携帯デバイスが存在するエリアである滞在エリアを特定し、
前記滞在エリアを特定した場合には、前記滞在エリアに関連付けられていない前記アンカーを前記節電状態に移行させるように構成されている、技術的思想1に記載の位置判定装置。
【0111】
[技術的思想3]
前記制御部には、前記エリアごとに、前記携帯デバイスが存在するかの判定に必要な前記アンカーを示すデータが登録されており、
前記制御部は、
前記滞在エリアを特定した場合、当該滞在エリアに前記携帯デバイスが存在するか否かの判定に必要な前記アンカーは前記節電状態には設定せず、且つ、前記滞在エリアに前記携帯デバイスが存在するか否かの判定に不要な前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、技術的思想2に記載の位置判定装置。
【0112】
[技術的思想4]
複数の前記アンカーは、前記車両の外面部に配置された前記アンカーである外側アンカーを複数含み、
前記エリア毎に1つの前記外側アンカーが関連付けられており、
前記制御部は、前記滞在エリアを特定した場合、前記滞在エリアに関連付けられている1つの前記外側アンカーを除く全ての前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、技術的思想2に記載の位置判定装置。
【0113】
[技術的思想5]
複数の前記アンカーは、前記車両の外面部に配置された前記アンカーである複数の外側アンカーと、車内に配置された前記アンカーである複数の内部アンカーと、を含み、
前記エリア毎に、1つの前記外側アンカーと1つの前記内部アンカーが関連付けられており、
前記制御部は、前記滞在エリアを特定した場合、前記滞在エリアに関連付けられている1つの前記外側アンカーと1つの前記内部アンカーを除く、全ての前記アンカーを前記節電状態に設定するように構成されている、技術的思想2に記載の位置判定装置。
【0114】
[技術的思想6]
前記制御部は、
前記節電状態の前記アンカーがある場合、前記節電状態ではない前記アンカーを用いて、前記携帯デバイスが前記滞在エリアとは別のエリアに移動したか否かを判定し、
前記携帯デバイスが前記滞在エリアとは別のエリアに移動したと判定した場合、前記節電状態の前記アンカーを前記測距通信が可能な通常状態に移行させるように構成されている、技術的思想2から5の何れか1つに記載の位置判定装置。
【0115】
[技術的思想7]
前記制御部は、前記節電状態が一定時間継続した前記アンカーを、前記測距通信が可能な状態である通常状態に移行させるように構成されている、技術的思想1から6の何れか1項に記載の位置判定装置。
【0116】
[技術的思想8]
前記アンカーが対応している前記無線プロトコルとは異なる無線プロトコルを用いて前記携帯デバイスとデータ通信可能に構成されている無線通信モジュール(14)をさらに備え、
前記制御部には、第1の前記携帯デバイスである第1デバイスの情報と、第2の前記携帯デバイスである第2デバイスの情報とが登録されており、
前記制御部は、
前記無線通信モジュールを介して前記携帯デバイスと通信接続し、
複数の前記アンカーには、通信接続している前記携帯デバイスと前記測距通信を実施させ、
前記第1デバイスと通信接続しており且つ前記節電状態に設定している前記アンカーが存在する状況において、前記第2デバイスと通信接続した場合には、前記節電状態の前記アンカーを、前記測距通信が可能な状態である通常状態に移行させるように構成されている、技術的思想1から7の何れか1項に記載の位置判定装置。
【0117】
[技術的思想9]
前記無線通信モジュールは、前記アンカーが対応している前記無線プロトコルとは異なる無線プロトコルを用いて前記携帯デバイスとデータ通信可能に構成されている、技術的思想8に記載の位置判定装置。
【0118】
[技術的思想10]
前記節電状態は、電源がオフの状態、又は、電源がオンであるものの前記測距通信を実行しない待機状態である、技術的思想1から9の何れか1項に記載の位置判定装置。
【0119】
[技術的思想11]
前記測距通信は、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)通信にて実行される、技術的思想1から10の何れか1項に記載の位置判定装置。
【0120】
<付言(2)>
本開示に示す種々のフローチャートは何れも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順は適宜変更可能である。各フローチャートに示す制御は矛盾のない範囲で組み合わせて/並列的に実行されてよい。取得、判定、検出、生成、及び算出といった表現は相互に言い換えられて良い。或る装置が或るデータを取得することには、当該装置が他の装置/センサから入力された信号を元に当該データを生成することも含まれる。通信モジュールは、通信チップと言い換えられて良い。本開示における無線信号、データ、メッセージ、パケット、フレーム、パッケージ、データセット、及び情報といった記載は、互いに置き換えられてよい。
【0121】
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。プロセッサは、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)等、任意の演算コアであってよい。位置判定装置1及びアンカー2が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)、IC(Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)の何れかを用いて実現されていてもよい。
【0122】
コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションを含む。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてよい。コンピュータプログラムの記録媒体は、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等、多様な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0123】
1 位置判定装置(制御装置)、2 アンカー、9 携帯デバイス、10 車載システム(測距システム)、11 プロセッサ(制御部)、12 メモリ、13 ストレージ(記憶部)、14 無線通信モジュール、15 車内通信回路(通信インターフェース)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15