(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165587
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】シミュレーションモデル生成方法、シミュレーションモデル生成プログラムおよびシミュレーションモデル生成システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241121BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241121BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
B65G1/00 501Z
G06Q10/087
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081894
(22)【出願日】2023-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 和也
(72)【発明者】
【氏名】宗 広和
(72)【発明者】
【氏名】松原 亮
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022MM11
3F022MM21
3F022NN31
3F022NN38
3F522AA02
3F522BB22
3F522GG01
3F522LL01
3F522LL02
3F522LL11
3F522LL31
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成し、倉庫業務の利便性を向上する。
【解決手段】複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、指定に応じて、シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を倉庫管理システムから取得し、スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置が実行するシミュレーションモデル生成方法であって、
ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、
前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、
前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、
シミュレーションモデル生成方法。
【請求項2】
前記スロット情報に対して、前記演算装置が、前記倉庫管理システムが管理する倉庫ごとに同一又は異なるように使用されているスロット情報を共通化するためのデータ変換処理を行うことで変換スロット情報を生成し、
前記変換スロット情報に基づいて、前記シミュレーションモデルを生成する、
請求項1に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項3】
前記変換スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する通路の通路情報を生成する、
請求項2に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項4】
前記変換スロット情報と前記通路情報とに基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する少なくとも1つの所定領域の領域情報を生成する、
請求項3に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項5】
前記領域情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する壁の壁情報を生成する、
請求項4に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項6】
前記変換スロット情報、前記通路情報、前記領域情報および前記壁情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫のレイアウトを生成する、
請求項5に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項7】
前記スロットの識別子を用いて、シミュレーションの実行条件であるピックリストを生成する、
請求項1に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項8】
前記ピックリストに基づいて、前記スロットに格納された物品の在庫情報を生成する、
請求項7に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項9】
複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫情報を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置に、
ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付けさせ、
前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得させ、
前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成させる、
ためのプログラム。
【請求項10】
複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置を備えるシミュレーションモデル生成システムであって、
前記演算装置は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、
シミュレーションモデル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シミュレーションモデル生成方法、シミュレーションモデル生成プログラムおよびシミュレーションモデル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の配送拠点等の倉庫においては数多くの物品が管理され、要求に応じて、物品のピッキング等の業務が行われる。特許文献1では、荷の入出庫を行う自動倉庫における搬送台車システムの能力向上を図るために、シミュレーションの実行によってパレット搬送割付を最適化する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピッキング等の倉庫業務を最適化するためには、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルが有効であると考えられる。しかし、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルの生成には、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫のレイアウト、倉庫内の棚あるいは物品等の量および種類を調査する必要がある。しかし、倉庫内の棚あるいは物品等の量および種類は膨大な場合もあり、人力で調査するには手間がかかり得る。
【0005】
特許文献1では、シミュレーション対象の倉庫内の棚あるいは物品等の量および種類については考慮されていない。また、シミュレーション対象の倉庫それぞれに応じたシミュレーションモデルの生成は行っていなかった。
【0006】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成し、倉庫業務の利便性を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置が実行するシミュレーションモデル生成方法であって、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、シミュレーションモデル生成方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫情報を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置に、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付けさせ、前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得させ、前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成させる、ためのプログラムを提供する。
【0009】
また、本開示は、複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置を備えるシミュレーションモデル生成システムであって、前記演算装置は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、シミュレーションモデル生成システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成することができ、倉庫業務の利便性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るシミュレーションモデル生成システムの構成例を示すブロック図
【
図2】実施の形態1に係る演算装置の構成例を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係るシミュレーションモデル生成システムの処理のシーケンス図
【
図4】実施の形態1に係る演算装置による変換処理前後のデータを示すテーブル図
【
図5】実施の形態1に係るシミュレーションモデルを示す概略図
【
図6】実施の形態1に係る倉庫管理システムの処理のフローチャート
【
図7】実施の形態1に係るデータ変換処理のフローチャート
【
図8】実施の形態1に係るスロット情報変換処理のフローチャート
【
図9】実施の形態1に係る通路情報生成処理のフローチャート
【
図10】実施の形態1に係る通路情報生成処理を説明するための概略図
【
図11】実施の形態1に係る領域情報生成処理のフローチャート
【
図12】実施の形態1に係る領域情報生成処理を説明するための概略図
【
図13】実施の形態1に係る壁情報生成処理のフローチャート
【
図14】実施の形態1に係る壁情報生成処理を説明するための概略図
【
図15】実施の形態1に係るピックリスト生成処理のフローチャート
【
図16】実施の形態1に係る在庫情報生成処理のフローチャート
【
図17】実施の形態1に係るシミュレーションモデル生成およびシミュレーション実行処理のフローチャート
【
図18】実施の形態1に係るシミュレーション結果の一例を示す概略図
【
図19】実施の形態1に係るシミュレーション結果の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るシミュレーションモデル生成方法、シミュレーションモデル生成プログラムおよびシミュレーションモデル生成システムを具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
<実施の形態1>
[システム構成]
図1は、実施の形態1に係るシミュレーションモデル生成システム1の構成例を示すブロック図である。シミュレーションモデル生成システム1は、演算装置2、少なくとも1つの倉庫管理システム3-1,…,3-s(s:2以上の整数)を含んで構成される。シミュレーションモデル生成システム1は、演算装置2が、倉庫管理システム3-1~3-sに格納される倉庫の情報に基づいて倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成することにより、業務の最適化の検討を支援するシステムである。
【0014】
演算装置2は、汎用的なコンピュータ装置(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ)を用いて構成される。演算装置2は、1つまたは複数の倉庫管理システム3との間でデータの入出力を可能に接続している。演算装置2は、不図示のユーザ端末(例えば、PC)と接続可能であってもよい。
【0015】
倉庫管理システム3-1は、倉庫にて管理される物品の在庫状況および、倉庫の物品の搬出入等を管理するためのシステムである。倉庫管理システム3-1は、Warehouse Management System(以下、「WMS」と称する)と称される場合がある。また、倉庫管理システム3-1は、1つまたは複数の倉庫を管理可能であってよく、倉庫の管理のため、倉庫Personal Computer(以下、「PC」と称する)4-1-1,…,4-1-m(m:2以上の整数)と接続可能であってよい。他の倉庫管理システムは、倉庫管理システム3-1と同様である。例えば倉庫管理システム3-sは、倉庫PC4-s-1,…,4-s-n(n:2以上の整数)と接続可能であってよい。
【0016】
倉庫PC4-1-1は、例えば不図示の倉庫内に設置され、当該倉庫にて管理される物品の在庫状況等を記録する。倉庫PC4-1-1は例えば、ハンディターミナル等の端末から各種データを受信することで、在庫状況等をリアルタイムに記録してもよい。また、倉庫PC4-1-1は、倉庫管理システム3-1と接続可能であり、当該倉庫にて管理される物品の在庫状況等を倉庫管理システム3-1に送信可能である。他の倉庫PCは、倉庫PC4-1-1と同様である。例えば倉庫PC4-s-1は、倉庫管理システム3-sと接続可能であってよい。また、倉庫PC4-1-1~4-1-m、倉庫PC4-s-1~4-s-nは、それぞれ異なる倉庫内に設置されてよい。以下の説明において、倉庫管理システムおよび倉庫PCについて、個別に説明を要する場合には倉庫管理システム3-1および倉庫PC4-1-1を用い、まとめて説明する場合には符号を省略する。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る演算装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。演算装置2は、Central Processing Unit(以下、「CPU」と称する)5、メモリ6、記憶装置7、入出力部8、通信部9、外部インタフェース部10を含んで構成される。演算装置2が備える各部位は、内部バス11により通信可能に接続される。
【0018】
CPU5は、メモリ6あるいは記憶装置7に保持された各種データおよびプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現する。なお、CPU5は、Micro Processing Unit(以下、「MPU」と称する)、Digital Signal Processor(以下、「DSP」と称する)、Graphical Processing Unit(以下、「GPU」と称する)、あるいはField Programmable Gate Array(以下、「FPGA」と称する)等の他の演算回路であってもよいし、他の演算回路と併用されてもよい。
【0019】
メモリ6は、例えばRandom Access Memory(以下、「RAM」と称する)およびRead Only Memory(以下、「ROM」と称する)等の揮発性/不揮発性の記憶装置を用いて構成され、演算装置2の動作の実行に必要なプログラム、データ、更には、動作中に生成されたデータ又は情報を一時的に保持する。RAMは、例えば演算装置2の動作時に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば制御装置2を制御するためのプログラムおよびデータを予め記憶して保持する。
【0020】
記憶装置7は、各種データおよびプログラムを記憶、保持するための記憶領域であり、例えばHard Disk Drive(以下、「HDD」と称する)あるいはSolid State Drive(以下、「SSD」と称する)等から構成される。
【0021】
入出力部8は、例えば、不図示のキーボードおよびマウス等からユーザによる指示を受け付ける。また、入出力部8は、例えば、不図示のディスプレイ等により各種情報を出力する。
【0022】
通信部9は、不図示のネットワークを介して、倉庫管理システムあるいは不図示のユーザ端末等の外部装置との通信を行い、各種データあるいは信号の送受信を行う。通信部9は、有線通信および無線通信のいずれに対応してもよい。通信部9による通信方式は、例えばWide Area Network(以下、「WAN」と称する)、Local Area Network(以下、「LAN」と称する)、Long Term Evolution(以下、「LTE」と称する)、5G等の移動体通信、電力線通信、Wi-Fi(登録商標)およびBluetooth(登録商標)といった近距離無線通信等、もしくはこれらの組み合わせであってよい。
【0023】
外部インタフェース部10は、外部装置とのデータの送受信を行うためのインタフェースである。また、倉庫管理システムも演算装置2と同様のハードウェア構成にて実現されてよい。
【0024】
[処理シーケンス]
図3を用いて、実施の形態1に係るシミュレーションモデル生成システム1の処理シーケンスについて説明する。各処理シーケンスは、演算装置2および倉庫管理システムが連携して処理を行う。ただし、シーケンスの一部の処理は、ユーザの操作に基づいて実行される場合がある。
【0025】
演算装置2は、ユーザによるシミュレーション対象となる倉庫を指定する入力を受け付ける(ステップSt21)。入力される内容は、例えばシミュレーション対象倉庫の名称、居所、ID等の識別番号でよい。当該入力は、演算装置2に直接行われてもよいし、不図示のユーザ端末等から行われてもよい。ここで、シミュレーション対象倉庫には倉庫PC4-1-1が設置され、シミュレーション対象倉庫は倉庫管理システム3-1によって管理されているとして説明する。
【0026】
演算装置2は、ステップSt21の入力に基づいて、シミュレーション対象倉庫に関して、倉庫管理システム3-1に問い合わせる(ステップSt22)。問い合わせの内容は、シミュレーションモデルの自動生成のために必要な情報を要求するものである。当該情報については、
図4を用いて後述する。
【0027】
倉庫管理システム3-1は、演算装置2からの問い合わせに応じて、倉庫管理システム3-1内に格納されているシミュレーション対象倉庫の情報を取得する(ステップSt23)。倉庫管理システム3-1が当該情報を取得する方法は、特に限定しない。例えば、倉庫管理システム3-1が当該情報を取得する際、倉庫管理システム3-1の記憶装置等を検索して、当該情報を引き出してもよい。また、倉庫管理システム3-1は、必要な情報が見つからない場合、シミュレーション対象倉庫の倉庫PC4-1-1に問い合わせることで当該情報を取得してもよい。以下、倉庫管理システム3-1が取得した倉庫の情報のことを「倉庫情報」と呼ぶことがある。
【0028】
倉庫管理システム3-1は、ステップSt23で取得した倉庫情報を、演算装置2へ送信する(ステップSt24)。
【0029】
演算装置2は、ユーザから指示があった場合、ステップSt24で取得した倉庫情報に対してデータ変換処理を実行する(ステップSt25)。ユーザの指示は、演算装置に直接入力されてもよいし、不図示のユーザ端末等から行われてもよい。これは、以下のステップSt26、ステップSt28の処理においても同様である。以下、このデータ変換処理により得られる変換後の情報を、「変換済倉庫情報」と呼ぶことがある。変換済倉庫情報については、
図4を用いて後述する。また、データ変換処理の詳細は
図7~
図16を用いて後述する。
【0030】
演算装置2は、ユーザから指示があった場合、ステップSt25の変換処理により得られた変換済倉庫情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫での倉庫業務を仮想的に管理するためのシミュレーションモデルを自動生成する(ステップSt26)。シミュレーションモデルは、例えばサイバー空間に生成される。
【0031】
演算装置2は、シミュレーションモデルの生成が完了した場合、その旨をユーザへ通知する(ステップSt27)。演算装置2は、例えば不図示のディスプレイ等の入出力部8によってユーザに通知してよい。
【0032】
演算装置2は、ユーザから指示があった場合、生成したシミュレーションモデルに基づいて、シミュレーションを実行する(ステップSt28)。
【0033】
演算装置2は、実行したシミュレーションが終了した場合、シミュレーション結果を出力する(ステップSt29)。演算装置2は、例えば不図示のディスプレイ等にシミュレーション結果を表示させてよい。また、演算装置2は、例えばシミュレーション結果をテキストファイルとして出力してもよい。
【0034】
[倉庫情報]
図4は、演算装置2によるデータ変換処理前の倉庫情報とデータ変換処理後の変換済倉庫情報とを示すテーブル図である。
図3のステップSt23の処理で倉庫管理システム3-1が取得する倉庫情報は、シミュレーション対象倉庫が有する全スロットを構成する各スロットのスロット情報である。本明細書においてスロットとは、倉庫内に設置される棚において仕切り板あるいは棚板等によって分けられた、物品の収納空間の最小単位を指す。したがって、1つの棚には複数のスロットが含まれてよい。倉庫内の1つのスロットには、物品の格納の有無に拘わらず、当該スロットに対応するスロット情報が設けられる。
【0035】
スロット情報には、スロットID、スロット位置、スロットサイズ、ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDがデータとして含まれる。スロットIDは、スロットの識別子であり、スロットそれぞれに異なるスロットIDが付与されている。スロット位置は、倉庫におけるスロットの三次元位置を示し、例えば三次元座標を用いて表される。スロットサイズはスロットの大きさを示し、例えば三次元座標空間における二点間の距離を用いて表される。ピック位置は、作業者が当該スロットに格納されている物品をピッキングする際の三次元位置を示し、例えば三次元座標を用いて表される。ピック順は、作業者が当該スロットに格納されている物品をピッキングする順番を示し、例えば数字で表される。作業者は、同一のピックゾーンIDが付与されているスロットを対象に作業(例えばスロット内に配置されている物品のピッキング)を実行する。
【0036】
本明細書では、スロット情報にはスロットID、スロット位置、スロットサイズ、ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDが含まれるとして説明する。しかし、スロット情報のデータ構成およびデータ名等は倉庫管理システム毎に異なっていてよい。例えば、同種の情報を倉庫管理システム3-1と倉庫管理システム3-sとが格納しているとしても、両者が格納する当該情報のデータ構成およびデータ名は異なっていてよい。倉庫管理システムは様々な企業等により提供されているため、倉庫管理システム毎にデータのフォーマットは異なり得る。同様に、1つの同じ倉庫管理システムが管理する対象となる倉庫PC毎でも、その倉庫PCが管理する倉庫のスロット情報のデータ構成は異なり得る。したがって、倉庫管理システムから演算装置2に送信されるスロット情報のデータ構成およびデータ名を、スロットID、スロット位置、スロットサイズ、ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDに限定する意図はなく、これらに相当するデータが含まれていればよい。
【0037】
図3のステップSt25の処理で実行されるデータ変換処理により得られる変換済倉庫情報は、変換スロット情報、通路情報、壁情報、領域情報、ピックリスト、在庫情報を含む。倉庫管理システムから演算装置2に送信されるスロット情報は、倉庫管理システム毎に、あるいは倉庫PC毎にデータ構成等が異なり得る。そのため、演算装置2は、シミュレーションモデルを自動生成するにあたって、データ変換処理により当該情報を汎用化(言い換えると、共通化)する。これにより、倉庫管理システム3-1~3-sのうちどの倉庫管理システムから取得した情報からでも、汎用化した情報に基づいてシミュレーションモデルの自動生成が可能となる。
【0038】
変換スロット情報には、変換スロットID、変換スロット位置、変換スロットサイズ、変換ピック位置がデータとして含まれる。変換スロットIDは、匿名化処理されたスロットIDである。匿名化処理とは、スロットIDから顧客等の情報が取得されないようにする処理である。変換スロットIDの例として、「00001」等の整数値が挙げられる。変換スロット位置は、シミュレーションモデルの自動生成のためにスロット位置が修正されたものである。変換スロットサイズは、スロットサイズをシミュレーションモデルで使用される距離の単位系で表したものである。例えば、変換スロットサイズはメートルで表される。変換ピック位置は、スロット位置の変換スロット位置への修正に併せて、ピック位置が修正されたものである。
【0039】
通路情報には、通路ID、始点終点位置、通路幅、一方通行制限の有無がデータとして含まれる。作業者は、倉庫内に存在している通路を移動して作業を実行する。通路IDは、通路の識別子である。始点終点位置は、通路の始点と終点とを示し、例えば二次元座標で表される。通路幅は、通路の幅を示す。一方通行制限の有無は、通路が一方通行か否かを示す。
【0040】
壁情報には、壁ID、始点終点位置、壁高さ、可視性がデータとして含まれる。壁IDは、倉庫内に存在している壁の識別子である。始点終点位置は、壁の水平方向の始点および終点のそれぞれに対応する端部の位置を示し、例えば二次元座標で表される。壁高さは、壁の高さを示す。可視性は、壁を可視とするか否かを示す。
【0041】
領域情報は、待機領域、積込領域および倉庫領域の3つの情報を更に含み、それら3つの情報はそれぞれ始点終点位置をデータとして含む。倉庫領域は、シミュレーションモデルとして生成されるシミュレーション対象倉庫全体の領域を定義する。待機領域は、作業開始前の作業者が待機するための領域である。積込領域は、作業者がピッキングした1つ以上の物品をシミュレーション対象倉庫から出荷するための積込作業を行うための領域である。待機領域と積込領域とは、それぞれ倉庫領域の一部である。
【0042】
ピックリストには、ピックリストID、変換スロットID、アイテムID、ピックアイテム数がデータとして含まれる。ここで、アイテムとは、スロットに格納される物品のことを指す。ピックリストは、作業者等がどの棚(スロット)からどの物品をピッキングするかという情報を含む。作業者等は、ピックリストに基づいてピッキング作業を実施する。ピックリストIDは、ピックリストの識別子である。アイテムIDは、物品の識別子である。ピックアイテム数は、物品をピッキングする数量を示す。
【0043】
在庫情報には、変換スロットID、アイテムID、在庫アイテム数がデータとして含まれる。在庫アイテム数は、シミュレーション実行前の物品の在庫数を示す。
【0044】
[シミュレーションモデル例]
図5に、変換済倉庫情報に基づいてサイバー空間に生成された倉庫の3Dモデル30を示す。3Dモデル30は、シミュレーション対象倉庫がシミュレーションモデルとして可視化されたものである。3Dモデル30には、複数の棚31、複数の通路32、待機領域33、積込領域34、倉庫領域35、壁36-1、壁36-2、壁36-3、壁36-4、作業者37が含まれる。3Dモデル30において、棚31は、スロット情報に基づいて生成される。棚31は複数のスロットを含み、各スロットには在庫情報に基づいて物品が格納されている。通路32は、通路情報に基づいて生成される。待機領域33、積込領域34および倉庫領域35は、領域情報に基づいて生成される。壁36-1~4は、壁情報に基づいて、倉庫全体を囲むように生成される。作業者37は、シミュレーション実行時にピックリストに基づいて作業する。作業者37は、人で表されてもよいし、
図5に示すようにフォークリフト等の荷役運搬車両で表されてもよい。なお、
図5に示す3Dモデル30は一例であり、これに限定するものではない。また、本明細書において、X軸、Y軸、Z軸から構成される三次元座標系を用いて説明し、各図において三次元座標系の向きは対応しているものとする。各図において、図中に示した座標系の矢印の向きを正とし、矢印の反対方向を負とする。なお、各軸の構成は一例であり、これに限定するものではない。
【0045】
[倉庫管理システムの処理]
図6を用いて、実施の形態1に係る倉庫管理システムの処理のフローについて説明する。倉庫管理システムは、演算装置2からシミュレーション対象の倉庫に関する問い合わせを受信する(ステップSt41)。
【0046】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、スロットIDを取得する(ステップSt42)。スロットIDは、スロットに対して倉庫管理システムより付与されてもよい。
【0047】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、スロット位置を取得する(ステップSt43)。ここで取得されるスロット位置は、例えばスロットが直方体である場合、スロットの中心の三次元座標であってもよいし、スロットの6つの頂点のうち1つの三次元座標であってもよい。または、スロットの6つの頂点それぞれの三次元座標であってもよい。スロットのどの位置がスロット位置として取得されるかは、倉庫管理システムによって予め設定されていてよい。
【0048】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、スロットサイズを取得する(ステップSt44)。スロットサイズは、予め棚の種類等に応じて規定されていてもよい。例えば、棚のサイズ、棚の仕切り板および棚板のサイズに基づいて、予め規定されていてもよい。また、スロットサイズは、スロットの座標に基づいた演算によって求められてもよい。例えば、スロットが直方体である場合、スロットの6つの頂点の三次元座標に基づいて、スロットの各辺の長さが求められてもよい。
【0049】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、ピック位置を取得する(ステップSt45)。ピック位置は、スロットに対して予め規定されていてもよい。また、ピック位置は、例えばスロット位置に対応して決定されてもよい。例えば、スロット位置に対して所定の距離だけY軸の正方向/負方向に離れた位置がピック位置として決定されてもよい。
【0050】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、ピック順を取得する(ステップSt46)。ピック順は、スロットに対して予め規定されている。
【0051】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫に含まれるスロットについて、ピックゾーンIDを取得する(ステップSt47)。ピックゾーンIDは、スロットに対して予め規定されている。ステップSt42からステップSt47までの処理により、倉庫管理システムは、シミュレーション対象の倉庫に含まれるスロットそれぞれのスロット情報を取得できる。
【0052】
倉庫管理システムは、データにNULLを含むスロット情報を除外する(ステップSt48)。データがNULLであるとは、当該データに値が入っていない状態を表す。ここで、除外とは演算装置2へ送信されないようにすることを指す。任意のスロットのスロットID、スロット位置、スロットサイズ、ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDのうち少なくとも1つのデータがNULLである場合、当該スロットのスロット情報は除外される。
【0053】
倉庫管理システムは、シミュレーション対象倉庫が有する全スロットについてステップSt42~ステップSt48の処理を実行することで得た全スロットのスロット情報を倉庫情報として演算装置2へ送信する(ステップSt49)。そして、本処理フローを終了する。
【0054】
[データ変換処理]
図7を用いて、実施の形態1に係る演算装置2が実行するデータ変換処理のフローについて説明する。
図7に示す処理フローの開始時点で、
図6に示す倉庫管理システムのステップSt49の処理が完了している。演算装置2は、倉庫管理システムから送信された倉庫情報(
図6のステップSt49参照)を取得する(ステップSt51)。
【0055】
演算装置2は、ステップSt51で取得した倉庫情報を構成するスロットごとのスロット情報を変換し、変換スロット情報を生成する(ステップSt52)。本工程の詳細は
図8を用いて後述する。
【0056】
演算装置2は、ステップSt52で生成した変換スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する通路の通路情報を生成する(ステップSt53)。本工程の詳細は
図9、
図10を用いて後述する。
【0057】
演算装置2は、ステップSt52で生成した変換スロット情報とステップSt53で生成した通路情報とに基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する各種領域の領域情報を生成する(ステップSt54)。本工程の詳細は
図11、
図12を用いて後述する。
【0058】
演算装置2は、ステップSt54で生成した領域情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する1つ以上の壁の壁情報を生成する(ステップSt55)。本工程の詳細は
図13、
図14を用いて後述する。
【0059】
演算装置2は、ステップSt52で生成した変換スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫内で作業者がピッキングする対象となる1つ以上のスロットからなるピックリストを生成する(ステップSt56)。本工程の詳細は
図15を用いて後述する。
【0060】
演算装置2は、ステップSt56で生成したピックリストに基づいて、シミュレーション対象倉庫のピックリストを構成するスロット内に格納されている物品の在庫情報を生成する(ステップSt57)。そして、本処理フローを終了する。本工程の詳細は
図16を用いて後述する。
【0061】
(スロット情報変換)
図8を用いて、実施の形態1に係る演算装置2が実行するスロット情報変換処理のフローについて説明する。
図8に示す処理フローの開始時点で、演算装置2は、倉庫管理システムから送信された倉庫情報を取得済みである。
【0062】
演算装置2は、ステップSt51で取得した倉庫情報を構成するスロットごとのスロット情報のうちスロットIDの匿名化処理を実行する(ステップSt61)。匿名化処理により、スロットIDは変換スロットIDとなる。スロットIDは、例えば「00001」、「00002」、「00003」等の整数値が連番となるように変換されてよい。
【0063】
演算装置2は、ステップSt51で取得した倉庫情報を構成するスロットごとのスロット情報のうち距離の単位を含むデータを、シミュレーションモデル(
図5の3Dモデル30参照)において使用される距離の単位系に変換する(ステップSt62)。例えば、スロットサイズがインチで表されていて、シミュレーションモデルにおいてメートルが使用される場合、スロットサイズの単位はステップSt62の処理によりメートルに変換される。これにより、スロットサイズは変換スロットサイズになる。ステップSt62の処理完了時点で、スロット情報には、変換スロットID、スロット位置、変換スロットサイズ、ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDが含まれる。
【0064】
演算装置2は、ステップSt51で取得した倉庫情報を構成するスロットごとのスロット情報のうち、シミュレーション対象倉庫内のピックゾーンに含まれるスロットのスロット情報のみ抽出する(ステップSt63)。例えば、シミュレーション対象のピックゾーンにおいて、スロットのピックゾーンIDが「0001」であるとする。倉庫管理システムから送信された倉庫情報に、ピックゾーンIDが「0001」であるスロット情報と「0002」であるスロット情報とが含まれている場合、ピックゾーンIDが「0001」であるスロット情報のみ抽出される。抽出とは、以降の演算装置2の処理で取り扱われることを指す。シミュレーション対象のピックゾーンは、ユーザ等により予め設定されていてよい。
【0065】
演算装置2は、ステップSt63の処理で抽出されたスロット情報をピック順でソートする(ステップSt64)。以降の演算装置2の処理において、スロット情報はピック順でソートされている。
【0066】
演算装置2は、シミュレーションモデルにおける基準点に合わせて、スロット位置を修正する(ステップSt65)。例えば、演算装置2は、三次元座標系の原点が基準点である場合、シミュレーション対象のスロットのうち原点との距離が最も小さいスロットのスロット位置が原点に位置するように、シミュレーション対象のスロット全てのスロット位置を修正する。例えば、原点との距離が最も小さいスロットのスロット位置が、X座標が100、Y座標が200、Z座標が0である場合、シミュレーション対象のスロット全てのスロット位置のX座標を-100、Y座標を-200と修正する。これにより、スロット位置は変換スロット位置になる。
【0067】
演算装置2は、ステップSt65で行ったスロット位置の修正と同様の修正を、ピック位置に対しても実行する(ステップSt66)。ステップSt65の説明における例のように、演算装置2はスロット位置のX座標を-100、Y座標を-200と修正した場合、ピック位置のX座標も-100、Y座標も-200と修正する。これにより、ピック位置は変換ピック位置になる。そして、本処理フローを終了する。
【0068】
ステップSt61からステップSt66までの処理が完了した時点で、スロット情報には、変換スロットID、変換スロット位置、変換スロットサイズ、変換ピック位置、ピック順およびピックゾーンIDが含まれる。以降の処理では、演算装置2は変換スロットID、変換スロット位置、変換スロットサイズおよび変換ピック位置を含む変換スロット情報に基づいて、シミュレーションモデルの自動生成およびシミュレーションの実行に必要となる情報を生成する。なお、変換スロット情報はピック順でソートされている。
【0069】
変換スロット情報は、例えばComma Separated Values(以下、「CSV」と称する)ファイルとして生成されてよい。当該CSVファイルには、スロット毎(変換スロットID毎)のデータが含まれてよい。
【0070】
(通路情報生成)
図9および
図10を用いて、実施の形態1に係る演算装置2が実行する通路情報生成処理について説明する。
図9は、通路情報生成処理のフローチャートである。
【0071】
演算装置2は、通路IDを生成する(ステップSt71)。通路IDは、例えば「00001」、「00002」、「00003」のような、連番となる整数値であってよい。
【0072】
演算装置2は、スロットのピック順とステップSt66で取得した変換ピック位置とに基づいて、通路の始点終点位置を設定する(ステップSt72)。始点終点位置とは、始点および終点のそれぞれの座標を意味する。
図10は、通路情報の生成の一例を説明するための概略図である。
図10を用いて、通路の始点終点位置を設定する例を説明する。ここでは、
図10に示すスロット81およびスロット82を接続する通路の始点終点位置を設定する。スロット81およびスロット82を接続する通路とは、作業者等がスロット81とスロット82とにおける作業のために移動可能な通路である。スロット81およびスロット82のそれぞれのピック順は連続している。例えば、スロット81のピック順は1、スロット82のピック順は2である。
【0073】
図10の例では、通路の始点SP1と終点EP1とは、それぞれスロット81の変換ピック位置のXY座標、スロット82の変換ピック位置のXY座標に設定される。スロット81の変換ピック位置は、X座標が10、Y座標が10である。スロット82の変換ピック位置は、X座標が12、Y座標が10である。このように、ピック順が連続するスロットのうちピック順が先のスロットの変換ピック位置に基づいて始点が、ピック順が後のスロットの変換ピック位置に基づいて終点が設定される。例えば、通路IDが「00001」の通路の終点と、通路IDが「00002」の通路の始点が同じ位置となってよく、このように通路が繋がっていくことで倉庫全体の通路が生成されていく。なお、通路は、Z座標がシミュレーションモデルにおける基準点のZ座標と等しいXY平面上に生成されるように予めユーザ等により設定されてもよい。また、通路が生成されるXY平面のZ座標がユーザ等により予め設定されていてもよい。演算装置2は、設定した通路の始点終点位置を、ステップSt71で生成した通路IDに紐付ける。
【0074】
演算装置2は、ステップSt65で取得した変換スロット位置とステップSt72で設定した通路の始点終点位置とに基づいて、通路の幅を設定する(ステップSt73)。通路の幅は、例えばステップSt72で設定された始点または終点を挟むスロット間の距離に設定されてよい。例えば
図10の例では、スロット81とスロット81に対向するスロット85間の距離Lが通路の幅に設定される。ここでは、スロット81とスロット85間の距離は、点83と点84間の距離に等しい。点83はスロット81の頂点の1つであり、点84はスロット85の頂点の1つである。点83と点84とは、同一XY平面上にある。例えば点83のX座標が9、Y座標が11、点84のX座標が9、Y座標が9である場合、点83と点84間の距離は2となる。このとき、通路の幅は2メートルと設定されてよい。
【0075】
演算装置2は、ステップSt71~ステップSt73の処理を実行することで生成した通路毎に、通路の一方通行制限の有無を設定する(ステップSt74)。一方通行制限が設定された通路では、通路は始点から終点の方向への一方通行となる。例えば
図10の例では、始点SP1と終点EP1で構成される通路が一方通行制限されている場合、作業者等は始点SP1から終点EP1の方向へ移動できるが、逆方向への移動はできない。通路が一方通行制限されていない場合は、作業者等は終点EP1から始点SP1の方向へ移動できる。
【0076】
演算装置2は、ステップSt71~ステップSt74の処理を実行することで生成した全通路のうち長さが0となる通路を削除する(ステップSt75)。ここで、長さとは始点と終点間の距離を指す。例えば
図10の例では、始点SP1と終点EP1間の距離は2である。通路の長さが0となる場合の例として、例えばスロット81のピック順が1、スロット85のピック順が2であるように、変換ピック位置とピック順とに基づいて、始点と終点が同じ位置(より具体的には、ピッキングする時の向きは異なるがX座標およびY座標が同一となる位置)に設定される場合等が挙げられる。演算装置2は、ステップSt75の処理が完了したら、本処理フローを終了する。
【0077】
図10に示した例とは異なり、作業者等が始点から終点までを結ぶ直線上を移動できない位置に設定される場合があってもよい。例えば、始点と終点とを結ぶ直線上にスロットが存在する場合等が挙げられる。この場合、当該スロットを回避するように通路が生成される。このように、長さは始点と終点間の最短距離でなくてもよい。
【0078】
通路情報は、例えばCSVファイルとして生成されてよい。当該CSVファイルには、通路毎(通路ID毎)のデータが含まれてよい。
【0079】
(領域情報生成)
図11および
図12を用いて、実施の形態1に係る演算装置2が実行する領域情報生成処理について説明する。
図11は、領域情報生成処理のフローチャートである。
【0080】
演算装置2は、待機領域の始点終点位置を設定する(ステップSt91)。
図12は、領域情報の生成の一例を説明するための概略図である。演算装置2は例えば、始点SP2と終点EP2とを、それぞれ待機領域の始点と終点とに設定する。このとき、始点SP2と終点EP2とを対頂点とする四角形の内側の領域101が待機領域と定義されてよい。なお、領域101には、四角形の辺上も含まれてよい。例えば、SP2のX座標が10、Y座標が20であり、EP2のX座標が60、Y座標が40である場合、X座標が10から60までかつY座標が20から40までのXY平面が待機領域と定義される。待機領域のZ座標は、予めユーザ等により設定されていてもよい。例えば、待機領域は、Z座標が0のXY平面上の領域であると予め設定されていてよいし、待機領域のZ座標はシミュレーションモデルの基準点のZ座標と等しいと予め設定されていてもよい。これは、後述する積込領域および倉庫領域についても同様である。
【0081】
演算装置2は、ステップSt91の処理と同様に、積込領域の始点終点位置を設定する(ステップSt92)。積込領域の始点終点位置が設定されることで、積込領域が定義される。
【0082】
演算装置2は、作業者等がピッキング等の作業を開始するために待機領域から作業対象のスロットに移動できるように、ステップSt65で取得した変換スロット位置とステップSt91で定義した待機領域とに基づいて、待機領域とスロット間との通路を設定する(ステップSt93)。当該通路は、待機領域と待機領域との距離が最も短いスロットとを接続するように設定されてもよいし、待機領域とピック順が最初のスロットとを接続するように設定されてもよい。当該通路は、
図9に示した一連の処理によって設定されてよい。
【0083】
演算装置2は、ピッキング等の作業を完了した作業者等が出荷準備のために積込領域に移動できるように、ステップSt65で取得した変換スロット位置とステップSt92で定義した積込領域とに基づいて、積込領域とスロット間との通路を設定する(ステップSt94)。当該通路は、積込領域と積込領域との距離が最も短いスロットとを接続するように設定されてもよいし、積込領域とピック順が最後のスロットとを接続するように設定されてもよい。当該通路は、
図9に示した一連の処理によって設定されてよい。
【0084】
演算装置2は、ステップSt91の処理と同様に、倉庫領域の始点終点位置を設定する(ステップSt95)。倉庫領域は、サイバー空間に生成されるシミュレーションモデルのベースとなる領域である。したがって、倉庫領域を定義するX座標およびY座標の範囲内には、スロット、通路、待機領域および積込領域が含まれる。演算装置2は、ステップSt95の処理が完了したら、本処理フローを終了する。
【0085】
領域情報は、例えばCSVファイルとして生成されてよい。当該CSVファイルには、待機領域、積込領域および倉庫領域それぞれの始点終点位置が含まれてよい。また、ステップSt93およびステップSt94の処理において設定された通路のデータは、通路情報を含むファイル(例えば、CSVファイル)に追加されてよい。
【0086】
(壁情報生成)
図13および
図14を用いて、実施の形態1に係る演算装置2が実行する壁情報生成処理について説明する。
図13は、壁情報生成処理のフローチャートである。
【0087】
演算装置2は、壁IDを生成する(ステップSt201)。壁IDは、例えば「00001」、「00002」、「00003」のような、連番となる整数値であってよい。
【0088】
演算装置2は、ステップSt95で定義した倉庫領域に基づいて、倉庫全体を囲む4つの壁の始点終点位置を設定する(ステップSt202)。
図14は、壁情報の生成の一例を説明するための概略図である。ここで、領域211は倉庫領域である。領域211の4つの頂点は、点221、点222、点223および点224である。このとき、壁231の始点と終点とは、それぞれ点221と点222とに設定されてよい。また、壁232の始点と終点とは、それぞれ点222と点223とに設定されてよい。また、壁233の始点と終点とは、それぞれ点223と点224とに設定されてよい。また、壁234の始点と終点とは、それぞれ点224と点221とに設定されてよい。なお、点221、点222、点223および点224は、同一XY平面上の点である。壁の始点終点位置が設定されることで、壁が定義される。例えば、点221のX座標が0、Y座標が0であり、点222のX座標が60、Y座標が0である場合、壁231はX座標が0から60までかつY座標が0のXZ平面と定義される。壁の始点終点位置の設定の時点では、壁のZ座標は限定されなくてもよい。演算装置2は、設定した壁の始点終点位置を、ステップSt201で生成した壁IDに紐付ける。
【0089】
演算装置2は、ステップSt202で定義された壁の高さを設定する(ステップSt203)。演算装置2は、例えば壁の高さを1メートルと設定してよい。
図14の例では、壁231、壁232、壁233、壁234の高さが1メートルと設定されてよい。例えば、4つの壁の高さは別個に設定されてもよいし、一括で設定されてもよい。壁の高さと座標の関係は、ユーザ等により予め設定されていてよい。例えば、1メートルは、座標の変化量の1に相当すると設定されてもよい。また、壁の高さが設定されることにより、壁のZ座標も設定されてよい。例えば、壁231の高さが1メートルと設定された場合、壁231はX座標が0から60までかつY座標が0かつZ座標が0から100までのXZ平面と定義されてよい。壁の底辺のZ座標が0であるような設定が予めされていてもよいし、シミュレーションモデルにおける基準点のZ座標が壁の底辺のZ座標となるような設定が予めされていてもよい。
【0090】
演算装置2は、ステップSt202で定義された壁の可視性を設定する(ステップSt204)。壁が可視と設定された場合、ユーザは生成されたシミュレーションモデルにおいて壁を視認できる。演算装置2は、ステップSt204の処理が完了したら、本処理フローを終了する。
【0091】
壁情報は、例えばCSVファイルとして生成されてよい。当該CSVファイルには、倉庫全体を囲む4つの壁それぞれのデータが含まれてよい。
【0092】
(ピックリスト生成)
図15は、実施の形態1に係る演算装置2が実行するピックリスト生成処理のフローチャートである。ピックリストは、生成されたシミュレーションモデルを用いてシミュレーションを実行するために最低限必要な情報である。
【0093】
演算装置2は、ピックリストIDを生成する(ステップSt301)。ピックリストIDは、例えば「0001」、「0002」、「0003」のような、連番となる整数値であってよい。
【0094】
演算装置2は、アイテムIDを生成する(ステップSt302)。アイテムIDは、例えば「0001」、「0002」、「0003」のような、連番となる整数値であってよい。演算装置2は、例えばピックリストID「0001」にアイテムID「0002」を紐づける。
【0095】
演算装置2は、ステップSt301で生成したピックリストID毎に、変換スロットIDを割り当てる(ステップSt303)。ここで、変換スロットIDは、ランダムに割り当てられてよい。変換スロットIDがランダムに割り当てられることで、シミュレーションの実行により倉庫業務の最適化を検討できる。演算装置2は、例えばピックリストID「0001」に変換スロットID「00001」を割り当てる。このとき、ピックリストID「0001」にはアイテムID「0002」が紐づいているため、シミュレーションの実行の際、変換スロットID「00001」のスロットからアイテムID「0002」の物品がピッキングされることとなる。
【0096】
演算装置2は、ステップSt301で生成したピックリストID毎にピックアイテム数を設定する(ステップSt304)。演算装置2は、例えばピックリストID「0001」に対応してピックアイテム数を10と設定する。演算装置2は、ステップSt304の処理が完了したら、本処理フローを終了する。
【0097】
図15に示した一連の処理により、ピックリストが生成される。1つのピックリストには、ピックリストID、変換スロットID、アイテムIDおよびピックアイテム数がそれぞれ1つずつ含まれる。例えば、ピックリストに含まれるピックリストID、変換スロットID、アイテムIDおよびピックアイテム数がそれぞれ「0001」、「00001」、「0002」、10の場合、当該ピックリストは次の内容を意味する。すなわち、作業者等はピックリストID「0001」のピックリストに基づいて、変換スロットID「00001」のスロットに格納されているアイテムID「0002」の物品を10だけピッキングする。
【0098】
生成された全てのピックリストは、例えばピックリストファイルとして纏められてよい。ピックリストファイルは、例えばCSVファイルであってよい。
【0099】
(在庫情報生成)
図16は、実施の形態1に係る演算装置2が実行する在庫情報生成処理のフローチャートである。演算装置2は、
図15に示した一連の処理によって生成したピックリストに基づいて、在庫情報を生成する。本フローによって、スロットに格納されている物品の数をスロット毎に生成することができる。本フローの説明において、
図15の説明で例に挙げたピックリストID「0001」のピックリストに基づいて在庫情報を生成する。
【0100】
演算装置2は、変換スロットIDに対応するピックリストIDを参照する(ステップSt401)。例えば、演算装置2は、変換スロットID「00001」に対応するピックリストID「0001」を参照する。これにより、演算装置2は、ピックリストIDが「0001」のピックリストに含まれるアイテムIDおよびアイテム数を取得できる。
【0101】
演算装置2は、ステップSt401で参照したピックリストIDに対応するアイテムIDを取得する(ステップSt402)。例えば、演算装置2は、ピックリストID「0001」に対応するアイテムID「0002」を取得する。演算装置2は、取得したアイテムIDを在庫情報のデータとして設定する。
【0102】
演算装置2は、ステップSt402で取得したアイテムID毎に、在庫アイテム数を設定する(ステップSt403)。例えば、演算装置2は、アイテムID「0002」の物品の在庫アイテム数を10と設定する。
図15の説明で例に挙げたピックリストID「0001」のピックリストに従ってシミュレーションが実行された場合、変換スロットID「00001」のスロットに格納されるアイテムID「0002」の物品の数は次の通りになる。すなわち、シミュレーション実行前の在庫アイテム数が10であり、シミュレーションにおいて10だけピッキングされるので、シミュレーション実行完了後の残りは0となる。演算装置2は、シミュレーションを実行した際に、在庫不足によるエラーが生じることを防ぐように在庫アイテム数を設定してもよい。例えば、ある変換スロットIDの在庫アイテム数は、当該変換スロットIDのピックアイテム数以下に設定されるように、予めユーザによって設定されていてよい。演算装置2は、ステップSt403の処理が完了したら、本処理フローを終了する。
【0103】
在庫情報は、例えばCSVファイルとして生成されてよい。また、当該CSVファイルには、スロット毎(変換スロットID毎)の在庫数が含まれてよい。
【0104】
[シミュレーションモデル生成、シミュレーション実行]
図17は、実施の形態1に係る演算装置2が実行するシミュレーションモデルの生成およびシミュレーション実行処理のフローチャートである。本フローの開始時点で、演算装置2は、
図7に示した一連の処理を完了している。すなわち、データ変換処理を完了している。また、演算装置2は、ユーザからシミュレーションモデル自動生成の指示を受信している。
【0105】
演算装置2は、変換スロット情報、通路情報、壁情報、領域情報に基づいて、倉庫レイアウトを生成する(ステップSt501)。これにより、サイバー空間上に倉庫を模した3Dモデルが生成される(
図5参照)。
【0106】
演算装置2は、在庫情報に基づいて、スロットに格納されている物品の初期在庫を設定する(ステップSt502)。スロットの在庫情報によっては、当該スロットに何も格納されていなくてもよい。また、在庫情報とピックリストとによっては、シミュレーション実行後のスロットに何も格納されていない状態になり得る。ユーザがスロットに何らかの物品が格納されていることが視認できるように、サイバー空間上に生成されたスロットの表示態様が予め設定されてもよい。例えば、物品が格納されているスロットと格納されていないスロットとで異なる色で表示されてもよいし、スロットに在庫数が表示されてもよい。
【0107】
演算装置2は、シミュレーションにおいて作業者等が従う1つまたは複数のピックリストを設定する(ステップSt503)。ここで、演算装置2は、複数のピックリストが纏められたピックリストファイルを読み込むことにより、シミュレーション対象のピックリストを設定してもよい。
【0108】
演算装置2は、シミュレーションモデルの自動生成が完了した場合、その旨をユーザに通知する(ステップSt504)。
【0109】
演算装置2は、ユーザからシミュレーション実行の指示を受信した場合、シミュレーションを実行する(ステップSt505)。シミュレーション実行中は、例えば、シミュレーションモデル上で作業者等が移動したり、ピッキング作業をしたりする様子がユーザによって確認可能であってよい。
【0110】
演算装置2は、シミュレーションが完了した場合、シミュレーション結果を出力する(ステップSt506)。そして、本処理フローを終了する。出力されたシミュレーション結果については、
図18、
図19を用いて後述する。
【0111】
[シミュレーション結果の例]
図18は、実施の形態1に係るシミュレーション結果の一例を示す概略図である。
図18に示すウィンドウ600は、例えば不図示のディスプレイ等に表示される。ウィンドウ600には、シミュレーションモデルが表示されている。また、ウィンドウ600には、レイアウト条件601、実行条件602、実行結果603およびシミュレーション実行ボタン604が表示されている。ここで、「SIM」とはシミュレーションを意味する。なお、
図18に示すウィンドウ600はシミュレーション結果の一例に過ぎず、シミュレーション結果の出力内容について限定する意図ではない。
【0112】
レイアウト条件601はレイアウト条件を示す。
図18の例では、「slot.csv」というCSVファイルに基づいてスロットが生成されている。また、「aisle.csv」というCSVファイルに基づいて通路が生成されている。また、「region.csv」というCSVファイルに基づいて各領域が生成されている。また、「wall.csv」というCSVファイルに基づいて壁が生成されている。
【0113】
実行条件602はシミュレーションの実行条件を示す。
図18の例では、「picklist.csv」というCSVファイルに基づいてシミュレーションが実行されている。また、「stock.csv」というCSVファイルに基づいて各スロットに格納される物品の初期在庫数が設定されている。
【0114】
実行結果603はシミュレーション実行結果を示す。ここで、ピック距離は、シミュレーションにおいて作業者等が移動した距離を示す。ピック時間は、シミュレーションにおいて作業者等が作業を開始してから完了するまでの時間を示す。
【0115】
ユーザは、例えば不図示のマウスによりシミュレーション実行ボタン604をクリックすることで、シミュレーションを実行してもよい。または、不図示のキーボード等を操作することで、シミュレーションを実行してもよい。
【0116】
図19は、実施の形態1に係るシミュレーション結果の一例を示す概略図である。演算装置2は、シミュレーション結果を
図19に示すテキストファイル700のように出力してよい。
【0117】
図19の例では、テキストファイル700には、シミュレーション実行日時701、シミュレーション実行条件702およびシミュレーション実行結果703が記載されている。なお、
図19に示すテキストファイル700はシミュレーション結果の一例に過ぎず、シミュレーション結果の出力内容について限定する意図ではない。
【0118】
シミュレーション実行日時701には、例えば
図18に示したシミュレーション実行ボタン604のような、シミュレーションを実行するためのボタンを押下した日時が記載される。また、シミュレーション実行日時701には、シミュレーションが完了した日時が記載される。
【0119】
シミュレーション実行条件702には、シミュレーションを実行するためのファイルが記載される。
図19の例では、「***.alp」というALPファイルにより、シミュレーションが実行されたことを示す。なお、シミュレーションの実行ファイルの種類については、これに限定されない。また、シミュレーション実行条件702には、
図18に示したレイアウト条件601および実行条件602に相当する記載に加えて、ピックリストの数が記載される。
【0120】
シミュレーション実行結果703には、シミュレーションにおいて作業者等が移動した距離が総移動距離として記載される。また、シミュレーションにおいて作業者等が作業を開始してから完了するまでの時間が作業時間として記載される。更に、ピックリスト毎の移動距離および作業時間とシミュレーション実行後のスロット毎の在庫状況とが記載される。
【0121】
<その他の実施形態>
上記の実施の形態において、ピックリストIDが「0001」、変換スロットIDが「00001」、アイテムIDが「0002」、ピックアイテム数が10であるピックリストを例に挙げて説明した。このとき、当該ピックリストと異なるピックリストのアイテムIDが「0002」であってもよい。例えば、ピックリストIDが「0002」、変換スロットIDが「00002」、アイテムIDが「0002」、ピックアイテム数が10であるピックリストが生成されてよい。同一のアイテムIDの存在をいくつまで許可するかは、予めユーザ等により設定されていてよい。
【0122】
これにより、複数のスロットに同じ物品が格納されている場合が考慮されたシミュレーションを行える。
【0123】
また、上記の実施の形態において、シミュレーションモデルを可視化することで、サイバー空間上に倉庫の3Dモデルを生成する例を示した。しかしこれに限定するものではなく、演算装置2は、シミュレーションモデルの生成とは関わらず、サイバー空間上に倉庫の3Dモデルを生成してもよい。この場合、演算装置2は例えば、変換スロット位置、変換スロットサイズ、領域情報、壁IDを除いた壁情報に基づいて、倉庫の3Dモデルを生成してよい。
【0124】
これにより、シミュレーションモデルの自動生成と比較して低い処理負荷で、例えば倉庫のレイアウトの検討等が可能になる。
【0125】
また、上記の実施の形態の思想を、工場あるいは小売店等に適用してもよい。
【0126】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態1の記載により、下記技術が開示される。
【0127】
<技術1>
複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、指定に応じて、シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を倉庫管理システムから取得し、スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する。
【0128】
これにより、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成し、倉庫業務の利便性を向上できる。
【0129】
<技術2>
演算装置は、技術1に記載の演算装置において、スロット情報に対して、倉庫管理システムが管理する倉庫ごとに同一又は異なるように使用されているスロット情報を共通化するためのデータ変換処理を行うことで変換スロット情報を生成し、変換スロット情報に基づいて、シミュレーションモデルを生成してよい。
【0130】
これにより、スロット情報が倉庫管理システムあるいは倉庫ごとに異なる場合でも、スロット情報を共通化することができる。
【0131】
<技術3>
演算装置は、技術2に記載の演算装置において、変換スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する通路の通路情報を生成してよい。
【0132】
これにより、シミュレーション対象倉庫内に存在する通路をシミュレーションモデルの一部として生成することができる。
【0133】
<技術4>
演算装置は、技術3に記載の演算装置において、変換スロット情報と通路情報とに基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する少なくとも1つの所定領域の領域情報を生成してよい。
【0134】
これにより、シミュレーション対象倉庫内に存在する少なくとも1つの所定領域をシミュレーションモデルの一部として生成することができる。
【0135】
<技術5>
演算装置は、技術4に記載の演算装置において、領域情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫内に存在する壁の壁情報を生成してよい。
【0136】
これにより、シミュレーション対象倉庫内に存在する壁をシミュレーションモデルの一部として生成することができる。
【0137】
<技術6>
演算装置は、技術5に記載の演算装置において、変換スロット情報、通路情報、領域情報および壁情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫のレイアウトを生成してよい。
【0138】
これにより、シミュレーション対象倉庫のレイアウトをシミュレーションモデルの一部として生成することができる。
【0139】
<技術7>
演算装置は、技術1から6のうちいずれか1つに記載の演算装置において、スロットの識別子を用いて、シミュレーションの実行条件であるピックリストを生成してよい。
【0140】
これにより、シミュレーションを実行することで倉庫業務の最適化の検討ができる。
【0141】
<技術8>
演算装置は、技術7に記載の演算装置において、ピックリストに基づいて、スロットに格納された物品の在庫情報を生成してよい。
【0142】
これにより、例えば在庫状況のエラーの発生を防ぐことができる。
【0143】
<技術9>
プログラムは、複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫情報を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置に、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付けさせ、指定に応じて、シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を倉庫管理システムから取得させ、スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成させる。
【0144】
これにより、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成し、倉庫業務の利便性を向上できる。
【0145】
<技術10>
複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置を備えるシミュレーションモデル生成システムにおいて、演算装置は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、指定に応じて、シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を倉庫管理システムから取得し、スロット情報に基づいて、シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する。
【0146】
これにより、シミュレーション対象の倉庫に応じて、倉庫業務の管理のためのシミュレーションモデルを自動生成し、倉庫業務の利便性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示の技術は、シミュレーションモデル生成方法、シミュレーションモデル生成プログラムおよびシミュレーションモデル生成システムとして有用である。
【符号の説明】
【0148】
1 シミュレーションモデル生成システム
2 演算装置
3-1、3-s 倉庫管理システム
4-1-1、4-1-m、4-s-1、4-s-n 倉庫PC
5 CPU
6 メモリ
7 記憶装置
8 入出力部
9 通信部
10 外部インタフェース部
30 3Dモデル
31 棚
32 通路
33 待機領域
34 積込領域
35 倉庫領域
36-1、36-2、36-3、36-4 壁
37 作業者
600 ウィンドウ
700 テキストファイル
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫が保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置が実行するシミュレーションモデル生成方法であって、
シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、
前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、
シミュレーションモデル生成方法。
【請求項2】
前記倉庫管理システムは、複数の倉庫のそれぞれが保管する物品の在庫状態を管理し、
前記シミュレーションモデル生成方法は、ユーザ操作により、シミュレーション対象倉庫の指定を受け付け、
前記指定に応じて、前記シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロット情報を前記倉庫管理システムから取得する、
請求項1に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項3】
前記スロット情報に対して、前記演算装置が、前記倉庫管理システムが管理する倉庫ごとに同一又は異なるように使用されているスロット情報を共通化するためのデータ変換処理を行うことで変換スロット情報を生成し、
前記変換スロット情報に基づいて、前記シミュレーションモデルを生成する、
請求項1に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項4】
前記変換スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する通路の通路情報を生成する、
請求項3に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項5】
前記変換スロット情報と前記通路情報とに基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する少なくとも1つの所定領域の領域情報を生成する、
請求項4に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項6】
前記領域情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫内に存在する壁の壁情報を生成する、
請求項5に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項7】
前記変換スロット情報、前記通路情報、前記領域情報および前記壁情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫のレイアウトを生成する、
請求項6に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項8】
前記スロットの識別子を用いて、シミュレーションの実行条件であるピックリストを生成する、
請求項1に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項9】
前記ピックリストに基づいて、前記スロットに格納された物品の在庫情報を生成する、
請求項8に記載のシミュレーションモデル生成方法。
【請求項10】
倉庫が保管する物品の在庫情報を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置に、
シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得させ、
前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成させる、
ためのプログラム。
【請求項11】
倉庫が保管する物品の在庫状態を管理する倉庫管理システムとデータ通信可能に接続された演算装置を備えるシミュレーションモデル生成システムであって、
前記演算装置は、シミュレーション対象倉庫が保管する物品を格納するスロットの位置とサイズとを含むスロット情報を前記倉庫管理システムから取得し、前記スロット情報に基づいて、前記シミュレーション対象倉庫における業務を管理するためのシミュレーションモデルを生成する、
シミュレーションモデル生成システム。