特開 2024-165600 開口部装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024165600

(43)【公開日】2024-11-28

(54)【発明の名称】開口部装置

(51)【国際特許分類】

   E06B 3/62 20060101AFI20241121BHJP

【ＦＩ】

E06B3/62 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023081926

(22)【出願日】2023-05-17

(71)【出願人】

【識別番号】000175560

【氏名又は名称】三協立山株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100184066

【弁理士】

【氏名又は名称】宮崎 恭

(72)【発明者】

【氏名】金森 英晃

【テーマコード（参考）】

2E016

【Ｆターム（参考）】

2E016AA03

2E016BA03

2E016CA01

2E016CB01

2E016CC02

2E016DA01

2E016DB09

2E016DC02

2E016DD07

2E016DD09

(57)【要約】

【課題】グレイジングチャンネルを介してパネル体をガラス間口に保持する開口部装置に対して、パネル体の保持を確実に維持する。
【解決手段】枠材と、パネル体と、グレイジングチャンネルを備え，パネル体は、対向する側縁の室内側で側縁の長手方向中間位置のみに抜け止め材が設けられており、グレイジングチャンネルは、室内側の見付壁の内面の内周側に突起部を有しており、パネル体を枠材のガラス間口に対して保持するものであり、パネル体に設けられた抜け止め材が突起部の外周側に位置している。
【選択図】 図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

枠材と、パネル体と、グレイジングチャンネルを備え，
パネル体は、対向する側縁の室内側で側縁の長手方向中間位置のみに抜け止め材が設けられており、
グレイジングチャンネルは、室内側の見付壁の内面の内周側に突起部を有しており、パネル体を枠材のガラス間口に対して保持するものであり、パネル体に設けられた抜け止め材が突起部の外周側に位置している開口部装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、建物の開口部に配置される開口部装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、建物の開口部に配置され、グレイジングチャンネルを介してパネル体をガラス間口に保持する開口部装置が知られている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００９－１３３１９５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

グレイジングチャンネルを介してパネル体をガラス間口に保持する開口部装置に対して、パネル体の保持を確実に維持することが求められている。

【0005】

本発明は、グレイジングチャンネルを介してパネル体をガラス間口に保持する開口部装置に対して、パネル体の保持を確実に維持することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

一実施形態は、枠材と、パネル体と、グレイジングチャンネルを備え，パネル体は、対向する側縁の室内側で側縁の長手方向中間位置のみに抜け止め材が設けられており、グレイジングチャンネルは、室内側の見付壁の内面の内周側に突起部を有しており、パネル体を枠材のガラス間口に対して保持するものであり、パネル体に設けられた抜け止め材が突起部の外周側に位置している開口部装置である。

【発明の効果】

【0007】

本実施形態によれば、グレイジングチャンネルを介してパネル体をガラス間口に保持する開口部装置に対して、パネル体の保持を確実に維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】一実施形態の引違い窓の内観図である。

【図2】一実施形態の引違い窓の縦断面図である。

【図3】一実施形態の引違い窓の横断面図である。

【図4】（ａ）は、実施形態の引違い窓の障子の縦框の横断面図であり、（ｂ）は、他の実施形態の窓の障子の縦框の横断面図である。

【図5】一実施形態のパネル体の一部拡大断面図であり、（ａ）はグレイジングチャンネルにパネル体を嵌め込む前の図であり、（ｂ）は嵌め込んだ後の図であり、（ｃ）はグレイジングチャンネルに対するパネル体の抜け止め状態を説明する図である。

【図6】実施形態の窓の障子の模式図であり、（ａ）は縦框に操作部がある障子における平常時の図であり、（ｂ）は縦框に操作部がある障子における開閉操作時の図であり、（ｃ）は縦框に操作部がある障子における抜け止め材を設ける位置を示した図であり、（ｄ）は下框に操作部がある障子における平常時の図であり、（ｅ）は下框に操作部がある障子における開閉操作時の図であり、（ｆ）は下框に操作部がある障子における抜け止め材を設ける位置を示した図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

一実施形態の開口部装置について、建物等の開口部に配置され、内、外障子２，３を開閉自在に支持してなる引違い窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。

【0010】

本実施形態の引違い窓は、図１に示すように、上枠１１，下枠１２及び左、右縦枠１３，１４を四周に組んでなる枠体１と、上框２１，３１、下框２２，３２及び左、右縦框２３，３３，２４，３４を四周に組んだ框体の内周に複層ガラス等のパネル体２５，３５が嵌め込まれてなる内、外障子２，３を備えている。

【0011】

枠体１を構成する上枠１１及び下枠１２は、図２に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側枠材と室内側枠材が樹脂製のブリッジ材で連結されて形成された上枠材１１１及び下枠材１２１と、上枠材１１１及び下枠材１２１の内周に取り付けられる樹脂製の樹脂上枠材１１２，１１３及び樹脂下枠材１２２、１２３を有している。

【0012】

枠体１は、下枠１２に内、外障子２，３の下框２２，３２に配置された戸車９２，９３を案内する内、外下レール１２ａ，１２ｂが設けられており、上枠１１に内、外障子２，３の上框２１，３１を案内する内、外上レール１１ａ，１１ｂが設けられている。

【0013】

枠体１を構成する左、右縦枠１３，１４は、図３に示すように、アルミ合金等の金属製の左、右縦枠材１３１，１４１と、左、右縦枠材１３１，１４１の内周に取り付けられる樹脂製の樹脂左縦枠材１３２，樹脂右縦枠材１４２を有している。

【0014】

左縦枠１３の左縦枠材１３１は、建物開口部の内周に配置される見込壁１３１ａと、見込壁１３１ａの見込方向で室外側から内周方向に延設された見付壁（引き寄せ片）１３１ｂを有している。
右縦枠１４の右縦枠材１４１は、建物開口部の内周に配置される見込壁１４１ａと、見込壁１４１ａの見込方向で室内側から内周方向に延設された見付壁（引き寄せ片）１４１ｂを有している。

【0015】

内障子２を構成する上框２１、下框２２、左縦框（召合框）２３及び右縦框（戸先框）２４は、図２，３に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側上框２１１、室外側下框２２１、室外側左縦框２３１及び室外側右縦框２４１と、室外側上框２１１、室外側下框２２１、室外側左縦框２３１及び室外側右縦框２４１の室内側に取り付けられる樹脂製の室内側上框２１２，室内側下框２２２，室内側左縦框２３２及び室内側右縦框２４２を有している。

【0016】

外障子３を構成する上框３１、下框３２及び左縦框（戸先框）３３は、図２，３に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側上框３１１、室外側下框３２１及び室外側左縦框３３１と、室外側上框３１１、室外側下框３２１及び室外側左縦框３３１の室内側に取り付けられる樹脂製の室内側上框３１２，室内側下框３２２及び室内側左縦框３３２を有している。外障子３を構成する右縦框（召合框）３４は、アルミ合金等の金属製であり、室内側に樹脂製の部材は取り付けられていない。

【0017】

内、外障子２，３は、下框２２，３２に戸車９２，９３が設けられ、下枠１２に設けられた内、外下レール１２ａ，１２ｂ上に摺動自在に配置されており、内、外障子２，３の閉鎖時には、戸先框２４，３３に取り付けられた図示しない引寄せブロック６，６が左、右縦枠１３，１４に設けられた見付壁（引き寄せ片）１３１ｂ，１４１ｂに当接することでそれぞれ室内側に引寄せられて閉鎖する。

【0018】

以上説明した引違い窓においては、例えば、外障子３の左縦框３３は、図４（ａ）に示すように、室外側左縦框３３１と室内側左縦框３３２によって内周側にガラス間口３３ａが形成されており、ガラス間口３３ａにグレイジングチャンネル８を介してパネル体３５が保持されている。

【0019】

ここで、本実施形態の引違い窓の外障子３は、左縦框（戸先框）３３の室内側に把手部３３ｂが設けられており、使用者は、図６（ａ）に示す把手部３３ｂの高さ方向で中間部位４をつかんで外障子３の開閉操作を行っているが、左縦框（戸先框）３３の中間部位４をつかんで外障子３の開閉操作が行われることにより、図６（ｂ）に示すように、左縦框３３が撓み、パネル体３５とグレイジングチャンネル８との間の気密が損なわれる可能性があった。

【0020】

本実施形態の引違い窓の障子は、パネル体及びグレイジングチャンネルを工夫することで、框材からパネル体が抜け出すこと、及び、障子の框材の変形を抑制している。
以下、本実施形態の引違い窓の障子のグレイジングチャンネルによるパネル体の保持構成について、外障子３の左縦框３３を例に挙げて、図面を参考に説明する。
なお、以下の説明において、グレイジングチャンネルのパネル体が嵌め込まれる側を内側といい、框材に嵌る側を外側という。

【0021】

本実施形態の引違い窓の外障子３の左縦框３３のガラス間口３３ａ内に配置されるグレイジングチャンネル８は、図５（ａ）に示すように、弾性を有する硬質の樹脂材料等からなる本体部８１と、パネル体３５の室内側面及び室外側面に当接する軟質の樹脂材料等からなる気密部８２，８２を有している。

【0022】

グレイジングチャンネル８の本体部８１は、底壁８１ａと、底壁８１ａの室内側端及び室外側端から内周方向に延設された見付壁８１ｂ，８１ｂを有しており、見付壁８１ｂ，８１ｂの内周側がそれぞれ外側に向かってに屈曲して気密部取付部８１ｃ，８１ｃが形成されている。

【0023】

グレイジングチャンネル８の気密部８２，８２は、本体部８１の気密部取付部８１ｃ，８１ｃの内側に取り付けられており、内側方向に突出してパネル体３５の見付面に当接する二片の気密保持片８２ａ，８２ｂと、気密保持片８２ｂ，８２ｂの外周側に設けられ内側方向に突出する突起部８２ｃを有している。

【0024】

グレイジングチャンネル８は、本体部８１の気密部取付部８１ｃ，８１ｃの内側に気密部８２，８２が取付けられて形成されており、全体として、底壁と室内外の見付壁を有する断面略Ｕ字状の長尺部材である。

【0025】

一方、本実施形態の引違い窓の外障子３のパネル体３５は、左右方向もしくは上下方向に対向する側縁の室内側で側縁の長手方向中間位置、具体的には、図５（ａ）,図６（ｃ）に示すように、左右の側縁の室内側面で上下方向中間の位置、に抜け止め材５が設けられている。
抜け止め材５は、例えば、短尺の強力両面テープ等が用いられ、パネル体３５の左右の側縁の室内側面で上下方向中間の位置のみに貼付されている。

【0026】

グレイジングチャンネル８は、本体部８１の弾性を利用して抜け止め材５が貼付されたパネル体３５の側縁に嵌め込まれ、図５（ｂ）に示すように、パネル体３５の側端面がグレイジングチャンネル８の底壁８１ａに近接もしくは当接するまで挿入されている。

【0027】

グレイジングチャンネル８は、側端部が嵌め込まれたパネル体３５の側縁の室内側面及び室外側面に、二片の気密保持片８２ａ，８２ｂが当接しており、さらに突起部８２ｃがパネル体３５の側縁の室内側面及び室外側面に当接している。
なお、グレイジングチャンネル８の突起部８２ｃは、必ずしもパネル体３５の側縁の室内側面及び室外側面に当接していなくてもよい。

【0028】

グレイジングチャンネル８に側端部が嵌め込まれたパネル体３５は、抜け止め材５がグレイジングチャンネル８の突起部８２ｃの外周側に間隔ｔを開けて配置されるとともに、グレイジングチャンネル８の本体部８１の室内側の見付壁８１ｂに接着されている。

【0029】

以上説明した引違い窓は、外障子３の開閉時に把手部３３ｂの中間部位４をつかんで左右方向に操作されることで、外障子３の左縦框３３を変形させようとする力が働くが、特に外障子３の閉鎖時に、図６（ｂ）に示すように、左縦框３３を膨らませる方向に力が働く。
しかし、外障子３は、パネル体３５の室内側面で上下方向中間の位置に強力両面テープ等の抜け止め材５が取り付けられているので、左縦框３３に働く力は、グレイジングチャンネル８及び抜け止め材５を介してパネル体３５によって支持されて、左縦框３３の変形を抑制することができる。

【0030】

そして、外障子３は、所定以上の力が加わることで、パネル体３５とグレイジングチャンネル８との接着状態が維持できずに、パネル体３５がグレイジングチャンネル８から外れる方向に移動しても、図５（ｃ）に示すように、パネル体３５に設けた抜け止め材５がグレイジングチャンネル８の突起部８２ｃに外周側から当接することでそれ以上の抜けが抑制される。

【0031】

（本実施形態の開口部装置の効果）
本実施形態の開口部装置は、パネル体の室内側で側縁の長手方向中間位置に抜け止め材が設けられるとともに、框材に配置されるグレイジングチャンネルの内面に突起部を有しており、パネル体に設けられた抜け止め材が突起部の外周側に位置しているので、框材に対するパネル体の抜けを防止して框材の変形を抑制することができる。

【0032】

本実施形態の開口部装置は、抜け止め材が短尺の両面テープによって形成されているので、パネル体に対する抜け止め部材の取付が容易であり、製造や施工を煩雑にすることなく框材の変形を抑制し、気密性を維持することができる。
また、パネル体の抜け止め材は、障子を開閉する際に框材の操作される位置に対応するように、パネル体の側縁の長手方向中間位置のみに設けられるので、開閉操作によってかかる力に対して効果的、効率的に抜け止めを抑制することができる。

【0033】

（他の実施形態の開口部装置）
グレイジングチャンネル８の気密部８２，８２は、本体部８１に取付けられていればよく、本体部８１に対して接着によって取付けてもよく、もしくは材料の異なる本体部８１と気密部８２を押出一体形成等によって取付けてもよく、取付の方法については何ら限定されない。
また、グレイジングチャンネルの本体部８１及び気密部８２の材料は、限定されるものではなく、全体を同一の材料で形成した一体物であってもよい。

【0034】

また、抜け止め材５は、両面テープに限るものではなく、パネル体３５の室内側面に固定され、パネル体３５がグレイジングチャンネル８から外れる方向に移動することで、グレイジングチャンネル８の突起部８２ｃに当接することができればよく、通常状態でグレイジングチャンネル８の見付壁８１ｂに当接もしくは近接しているものでもいい。

【0035】

障子の框材は、金属製の室外側部材と樹脂製の室内側部材とから構成されるものに限るものではなく、例えば、図４（ｂ）に示すように、金属製の框材に配置されるグレイジングチャンネルとパネル体に対して、適用してもよい。

【0036】

開口部装置は、引違い窓に限定されるものではなく、図６（ｄ），（ｅ）に示すような、障子の上辺にヒンジを有し、パネル体がセッティングブロックにより支持されており、障子の下方が室外側もしくは室外側に開く開き窓等、どのような開口部装置に適用してもよい。
その場合には、框体の操作部（ハンドル等）４が設けられる框材、具体的には、操作部４の力がかかる障子の下框２２の変形を抑えるために、図６（ｆ）に示すように、パネル体の上辺及び下辺の左右方向で中央位置に抜け止め材５を設けることが好ましい。
以上の実施形態は，請求項に記載された発明を限定するものではなく，例示として取り扱われることはいうまでもない。

【符号の説明】

【0037】

５ ：抜け止め材
８ ：グレイジングチャンネル
３５ ：パネル体
８１ ：本体部
８１ａ ：底壁
８１ｂ ：見付壁
８２ ：気密部
８２ｃ ：突起部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】