(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165601
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/22 20060101AFI20241121BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E06B7/22 B
E06B1/18 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081927
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】金森 英晃
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036BA01
2E036DA02
2E036DA09
2E036EB07
2E036EC03
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB05
(57)【要約】
【課題】建物の開口部に配置される開口部装置として、製造が容易な開口部装置を提供する。
【解決手段】上枠と、障子を備え,上枠は、上框を呑み込む溝状部を有しており、溝状部内には、障子を案内するレールを有しておらず、障子は、上框が上枠の溝状部に呑み込まれて左右方向に摺動し、上枠は、溝状部の内周面から垂下して上框に当接するヒレ状のタイト材が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、障子を備え,
上枠は、上框を呑み込む溝状部を有しており、溝状部内には、障子を案内するレールを有しておらず、
障子は、上框が上枠の溝状部に呑み込まれて左右方向に摺動し、
上枠は、溝状部の内周面から垂下して上框に当接するヒレ状のタイト材が設けられている開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に配置される開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される開口部装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の開口部に配置される開口部装置として、製造が容易な開口部装置が求められている。
【0005】
本発明は、建物の開口部に配置される開口部装置として、製造が容易な開口部装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、上枠と、障子を備え,上枠は、上框を呑み込む溝状部を有しており、溝状部内には、障子を案内するレールを有しておらず、障子は、上框が上枠の溝状部に呑み込まれて左右方向に摺動し、上枠は、溝状部の内周面から垂下して上框に当接するヒレ状のタイト材が設けられている開口部装置である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物の開口部に配置される開口部装置として、製造が容易な開口部装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】一実施形態の引違い窓の上枠部分の図であり、(a)は分解縦断面図であり、(b)は縦断面図である。
【
図5】一実施形態の引違い窓の気密ラインを説明するための横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の開口部装置について、建物等の開口部に配置され、内、外障子2,3を開閉自在に支持してなる引違い窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
本実施形態の引違い窓は、
図1に示すように、上枠11,下枠12及び左、右縦枠13,14を四周に組んでなる枠体1と、上框21,31、下框22,32及び左、右縦框23,33,24,34を四周に組んだ框体の内周に複層ガラス等のパネル体25,35が嵌め込まれてなる内、外障子2,3を備えている。
【0011】
枠体1を構成する上枠11及び下枠12は、
図2に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側枠材と室内側枠材が樹脂製のブリッジ材で連結されて形成された上枠材111及び下枠材121と、上枠材111及び下枠材121の内周に取り付けられる樹脂製の樹脂上枠材112及び樹脂下枠材122、123を有している。
【0012】
枠体1は、下枠12に内、外下レール12a,12bが設けられており、上枠11に内、外障子2,3の上框21,31を案内する室内側及び室外側の溝状部11a,11bが形成されている。
上枠11は、溝状部11a,11bの内周面に、内、外障子2,3を案内する上レールが垂下されていない。
【0013】
上枠11は、溝状部11a,11bの内周面に垂下するヒレ状のタイト材71,72が設けられており、内、外障子2,3の閉鎖状態において、タイト材71,72が内、外障子2,3の上框21,31に当接している。
【0014】
枠体1を構成する左、右縦枠13,14は、
図3に示すように、アルミ合金等の金属製の左、右縦枠材131,141と、左、右縦枠材131,141の内周に取り付けられる樹脂製の樹脂左縦枠材132,樹脂右縦枠材142を有している。
【0015】
左縦枠13の左縦枠材131は、建物開口部の内周に配置される見込壁131aと、見込壁131aの見込方向で室外側から内周方向に延設された見付壁(引き寄せ片)131bを有している。
右縦枠14の右縦枠材141は、建物開口部の内周に配置される見込壁141aと、見込壁141aの見込方向で室内側から内周方向に延設された見付壁(引き寄せ片)141bを有している。
【0016】
内障子2を構成する上框21、下框22、左縦框(召合框)23及び右縦框(戸先框)24は、
図2,3に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側上框211、室外側下框221、室外側左縦框231及び室外側右縦框241と、室外側上框211、室外側下框221、室外側左縦框231及び室外側右縦框241の室内側に取り付けられる樹脂製の室内側上框212,室内側下框222,室内側左縦框232及び室内側右縦框242を有している。
【0017】
外障子3を構成する上框31、下框32及び左縦框(戸先框)33は、
図2,3に示すように、アルミ合金等の金属製の室外側上框311、室外側下框321及び室外側左縦框331と、室外側上框311、室外側下框321及び室外側左縦框331の室内側に取り付けられる樹脂製の室内側上框312,室内側下框322及び室内側左縦框332を有している。外障子3を構成する右縦框(召合框)34は、アルミ合金等の金属製であり、室内側に樹脂製の部材は取り付けられていない。
【0018】
内、外障子2,3は、下框22,32に戸車92,93が設けられており、下枠12に設けられた内、外下レール12a,12b上に摺動自在に配置されており、内、外障子2,3の閉鎖時には、戸先框24,33に取り付けられた図示しない引寄せブロック6,6が左、右縦枠13,14に設けられた見付壁(引き寄せ片)131b,141bに当接することでそれぞれ室内側に引寄せられて閉鎖する。
【0019】
内、外障子2,3は、室外側下框221,321の室外側下端に室内側に向かう気密材s22,s32が設けられている。
内、外障子2,3は、閉鎖状態において、気密材s22,s32が下枠12の内、外下レール12a,12bに当接するとともに、下枠12に設けられた風止め材(図示はない)と連続しており、下枠12と内、外障子2,3との間における気密ラインが形成されている。
【0020】
内障子2は、戸先框24の室外側右縦框241の室外側外周端に室内側に向かう気密材s24が設けられており、外障子3は、戸先框33の室外側左縦框の室外側外周端に室内側に向かう気密材s33が設けられている。
内、外障子2,3は、閉鎖状態において、気密材s24,s33が右縦枠14,左縦枠13の見付壁(引き寄せ片)131b,141bに当接しており、左、右縦枠13,14と内、外障子2,3との間における気密ラインが形成されている。
【0021】
また、外障子3は、召合框34の室内側面に室内側に向かう気密材s34が設けられており、閉鎖状態において、気密材s34が内障子2の召合框23に当接しており、内、外障子2,3の召合部における気密ラインが形成されている。
【0022】
以上説明した引違い窓は、内、外障子2,3が、下框22,32に設けられた戸車92,93が下枠12の内、外下レール12a,12b上に載置され、上框21,31が上枠11の溝状部11a,11bに呑み込まれて、左右方向に摺動自在に配置されている。
そして、引違い窓の上枠11と内、外障子2,3との間、左右縦枠13,14と内、外障子2,3との間、及び、下枠12と内、外障子2,3との間には、それぞれ気密ラインが形成されており、引違い窓が気密されている。
以下、本実施形態の引違い窓の枠体と障子との間の気密構造について、更に説明する。
【0023】
本実施形態の上枠11の上枠材111は、
図4(a)に示すように、建物開口部の内周に配置される見込壁111aと、見込壁111aの室内側端から下方に延設された室内側見付壁111bと、見込壁111aの室外側端から下方に延設された室外側見付壁111cと、見込壁111aの見込方向で中間位置から下方に延設された中間見付壁111dを有している。
【0024】
上枠材111は、見込壁111aと室内側見付壁111bと中間見付壁111dによって、下方に開口する室内側の溝が形成されており、室内側見付壁111bの内周端及び中間見付壁111dの内周端にそれぞれ室内側被係止部111e及び室外側被係止部111fが形成されている。
また、上枠材111は、見込壁111aと中間見付壁111dと室外側見付壁111cによって、下方に開口する室外側の溝が形成されており、室外側見付壁111cの室内側面に外障子3の摺動を安定させる案内壁部111gが形成されている。
上枠材111は、室外側の溝を形成する見込壁111aの内周面に下方に開口するタイト材取付溝111hが設けられている。
【0025】
上枠11の樹脂上枠材112は、見込壁112aと、見込壁112aの室内側端から下方に延設された室内側見付壁112bと、見込壁112aの室外側端から下方に延設された室外側見付壁112cを有している。
【0026】
樹脂上枠材112は、室内側見付壁112bの室内側で高さ方向中間に室内側係止部112eが形成されており、室外側見付壁112cの下方に中空壁112fが形成されているとともに、中空壁112fの上方で室外側に室外側係止部112gが形成されている。
樹脂上枠材112は、見込壁112aの内周面に下方に開口するタイト材取付溝112hが設けられている。
【0027】
上枠11は、
図4(b)に示すように、上枠材111の室内側の溝に樹脂上枠材112が嵌め込まれて形成されている。具体的には、上枠11は、上枠材111の室内側の溝に樹脂上枠材112が見込壁112aを上にして下方から挿入され、樹脂上枠材112の室内側係止部112eが上枠材111の室内側被係止部111eに係止され、樹脂上枠材112の室外側係止部112gが上枠材111の室外側被係止部111fに係止されて形成されている。
【0028】
上枠材111と樹脂上枠材112によって形成された上枠11は、全体として上枠材111の中間見付壁111d(樹脂上枠材112の中空壁112f)の室内側と室外側にそれぞれ内障子2及び外障子3の上框21,31を呑み込んで、内障子2及び外障子3の上框21,31を摺動自在に保持する溝状部11a,11bが形成されている。
【0029】
上枠11は、樹脂上枠材112の内周面に形成されたタイト材取付溝112hにヒレ状のタイト材71が取り付けられており、室内側の溝状部11aの内周面から垂下して内障子2の上框21の上面に当接するヒレ状のタイト材71が設けられている。
また、上枠11は、上枠材111の内周面に形成されたタイト材取付溝111hにタイト材72が取り付けられており、室外側の溝状部11bの内周面から垂下して外障子3の上框31の上面に当接するヒレ状のタイト材72が設けられている。
【0030】
室内側の溝状部11aの内周面に設けられたタイト材71は、
図5に示すように、右縦枠14と内障子2との間の気密ラインと一致するように、例えば、内障子2の戸先框(右縦框)24に設けられた気密材s24と見込方向で重複するように設けられており、左右方向で右縦枠14と内、外障子2,3の召合部との間に設けられている。
また、室外側の溝状部11bの内周面に設けられたタイト材72は、左縦枠13と外障子3との間の気密ラインと一致するように、例えば、外障子3の戸先框(左縦框)33に設けられた気密材s33と見込方向で重複するように設けられており、左右方向で左縦枠13と内、外障子2,3の召合部との間に設けられている。
【0031】
そして、本実施形態の引違い窓は、室内側の溝状部11aの内周面に設けられたタイト材71と、室外側の溝状部11bの内周面に設けられたタイト材72が、内、外障子2,3の召合せ部の上方位置に設けられた召合部気密材(風止め材)73によって連続しており、上枠11と内、外障子2,3との間における気密ラインが形成されている。
【0032】
以上のように、本実施形態の引違い窓は、上枠11に設けられたヒレ状のタイト材71、72及び召合部気密材(風止め材)73によって上枠11と内、外障子2,3の上框21,31との間の気密ラインが形成されており、ヒレ状のタイト材71,72及び召合部気密材(風止め材)73の他に上枠11と内、外障子2,3の上框21,31との間の気密ラインを形成するタイト材は設けられていない。
【0033】
そして、引違い窓は、上枠11の室内側の溝状部11aの内周面に設けられたヒレ状のタイト材71と内障子2の右縦框(戸先框)24に設けられた気密材s24が連続し、上枠11の室外側の溝状部11bの内周面に設けられたヒレ状のタイト材72と外障子3の左縦框(戸先框)33に設けられた気密材s33が連続しているで、上枠11と内、外障子2,3との気密ラインと、左、右縦枠13,14と内、外障子2,3との気密ラインを連続させることができる。
【0034】
(本実施形態の引違い窓の効果)
本実施形態の引違い窓は、上枠に障子を案内するレールを設けずに、障子を上枠に設けられた溝状部に建て込むだけで、建具が施工できるとともに、上枠と上框との気密ラインを形成することができるので、上レールを設ける必要がなく製造が容易である。
【0035】
本実施形態の引違い窓は、障子の上框に上枠に設けられたレールを案内するための案内溝を設ける必要がないので、障子の開口面積を大きく形成することができ、採光性に優れており、意匠性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態の引違い窓は、上枠の溝状部の内周面に障子の上框に当接するタイト材が設けられており、該タイト材の見込方向の位置を縦枠と障子の縦框との間に設けられた気密材と重複させているので、縦枠と障子との間を気密する気密ラインと、上枠と障子との間を気密する気密ラインを容易に連続させることができ、構成を複雑にすることなく、窓全体の気密性を維持することができる。
【0037】
(他の実施形態の開口部装置)
本実施形態の開口部装置のタイト材71,72は、下方が室内側に曲がって下端に膨らみ部が設けられており、内、外障子2,3のケンドンによる建て込み時にタイト材71,72の安定した変形を促しているが、上枠の溝状部内に配置されるタイト材71,72の形状は限定されない。
【0038】
開口部装置は、内、外障子2,3の上框21,31と上枠11との間に、上枠11の溝状部11a,11b内における上框21,31のガタつきなどを抑える弾性部材など何らかの防振部材を配置してもよい。
【0039】
開口部装置は、縦枠と障子との間、もしくは下枠と障子との間の気密ラインを形成する気密材は、枠体に設けてもよく、縦枠と障子との間、もしくは下枠と障子との間の気密ラインを形成するための気密材の構成は限定されない。
【0040】
開口部装置は、枠材の構成は何ら限定されるものではなく、金属製の枠材であってもよく、金属製の枠材の内周に樹脂製の枠材を取り付けた複合枠であってもよい。
【0041】
開口部装置は、引違い窓に限定されるものではなく、一方の障子がFIXされた片引き窓など、一つの開閉する障子を備えた開口部装置であってもよい。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
11 :上枠
11a :溝状部
11b :溝状部
21 :上框
31 :上框
71 :タイト材
72 :タイト材