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特開2024-165603サンプリング装置及びサンプリング方法
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  • 特開-サンプリング装置及びサンプリング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165603
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】サンプリング装置及びサンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/08 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01N1/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081930
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197848
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 良一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】森岩 寛稀
(72)【発明者】
【氏名】深谷 正明
(72)【発明者】
【氏名】森 拓雄
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 繁
(72)【発明者】
【氏名】梅本 叡史
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA19
2G052AC04
2G052AD12
2G052BA28
2G052CA02
2G052CA16
2G052DA22
(57)【要約】
【課題】土系材料を従来よりも効率的・効果的にサンプリングすることが可能な、サンプリング装置及びサンプリング方法を提供する。
【解決手段】土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材2と、前記前方カラー部材2の挿入方向後方に連結されるとともに、前記土系材料の試料を前記前方カラー部材2の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材1と、前記モールド部材1の挿入方向後方に連結されるとともに、ピストン部材4を備える後方カラー部材3と、を有し、前記ピストン部材4は、前記前方カラー部材2及び前記モールド部材1の内径と略同径のピストン部42を備え、前記前方カラー部材2及び前記モールド部材1の内空を摺動可能であることを特徴とするとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材と、
前記前方カラー部材の挿入方向後方に連結されるとともに、前記土系材料の試料を前記前方カラー部材の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材と、
前記モールド部材の挿入方向後方に連結されるとともに、ピストン部材を備える後方カラー部材と、を有し、
前記ピストン部材は、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内径と略同径のピストン部を備え、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内空を摺動可能である
ことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記後方カラー部材は、前記ピストン部材を前記サンプリング装置の挿入方向に付勢する付勢手段を備え、前記前方カラー部材及び前記モールド部材に充填される試料を前記ピストン部によって押圧しながら挿入方向後方へ移動する
請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記後方カラー部材は、前記ピストン部材を固定することが可能な固定手段を備えている
請求項1又は2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である
請求項1又は2に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である
請求項3に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材と、前記土系材料の試料を前記前方カラー部材の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材と、ピストン部材を備える後方カラー部材とを、それぞれ連結してサンプリング装置を組み立てるステップと、
前記ピストン部材の、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内径と略同径のピストン部を、前記前方カラー部材の挿入方向の前方端部に配置するステップと、
前記前方カラー部材の挿入方向の前方端部を、前記土系材料の表面に対して略直角方向から押し当て、前記ピストン部が前記後方カラー部材に収容されるまで前記サンプリング装置を前記土系材料に挿入するステップと、
前記サンプリング装置を前記土系材料から抜き取り、前記前方カラー部材及び後方カラー部材を前記モールド部材から取り外し、該モールド部材に充填された前記土系材料の試料を採取するステップと、を有する
ことを特徴とするサンプリング方法。
【請求項7】
前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である
請求項6に記載のサンプリング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土系材料、特に礫を含む緩く堆積した材料を好適にサンプリングすることが可能な、サンプリング装置及びサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤の原位置における試料の採取装置として種々の装置が利用されている。例えば、特許文献1には、深層混合処理工法による未硬化の改良地盤に対して利用可能な試料の採取装置が開示されている。具体的には、試料採取容器内にピストンを備えており、当該ピストンが下降する際に生じる吸引作用によって、上記試料採取容器の試料取り入れ口から試料を採取するものである。
【0003】
また従来、礫を含む緩く堆積した材料から試料を採取する場合は、材料が堆積する前に予め試料採取用のモールドを所定の場所に設置し、モールド上に材料が堆積した後に、スコップ等でモールドを掘り出して試料を採取していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-204861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された採取装置は、ピストンが下降する際に生じる吸引作用によって採取ができるような高含水比の材料に限り使用が可能であり、このほかの性状を有する材料のサンプリングには使用することができない。
【0006】
また、前述した試料採取用のモールドを予め設置し、モールド上に材料が堆積した後に、スコップ等でモールドを掘り出して試料を採取する方法にあっては、材料の堆積が最終的に完了した後ではなく、モールド上に材料が堆積した堆積途中の段階でサンプリングを行うことになる。したがって、本来求めたい堆積後の材料定数が正確に得られないという問題がある。
【0007】
加えて、モールドの掘り出しにあっては、試料を乱さいないように慎重な作業が求められることから、人力によって丁寧に時間をかけてモールドを掘り出す必要があり、作業負担が大きいという問題もある。
【0008】
そこで本願発明は、上記した問題点等に鑑み、土系材料を従来よりも効率的・効果的にサンプリングすることが可能な、サンプリング装置及びサンプリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)に係る発明は、土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材と、前記前方カラー部材の挿入方向後方に連結されるとともに、前記土系材料の試料を前記前方カラー部材の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材と、前記モールド部材の挿入方向後方に連結されるとともに、ピストン部材を備える後方カラー部材と、を有し、前記ピストン部材は、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内径と略同径のピストン部を備え、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内空を摺動可能であることを特徴とするサンプリング装置である。
【0010】
(2)に係る発明は、前記後方カラー部材は、前記ピストン部材を前記サンプリング装置の挿入方向に付勢する付勢手段を備え、前記前方カラー部材及び前記モールド部材に充填される試料を前記ピストン部によって押圧しながら挿入方向後方へ移動する上記(1)に記載のサンプリング装置である。
【0011】
(3)に係る発明は、前記後方カラー部材は、前記ピストン部材を固定することが可能な固定手段を備えている上記(1)又は上記(2)に記載のサンプリング装置である。
【0012】
(4)に係る発明は、前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である上記(1)又は上記(2)に記載のサンプリング装置である。
【0013】
(5)に係る発明は、前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である上記(3)に記載のサンプリング装置である。
【0014】
(6)に係る発明は、土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材と、前記土系材料の試料を前記前方カラー部材の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材と、ピストン部材を備える後方カラー部材とを、それぞれ連結してサンプリング装置を組み立てるステップと、前記ピストン部材の、前記前方カラー部材及び前記モールド部材の内径と略同径のピストン部を、前記前方カラー部材の挿入方向の前方端部に配置するステップと、前記前方カラー部材の挿入方向の前方端部を、前記土系材料の表面に対して略直角方向から押し当て、前記ピストン部が前記後方カラー部材に収容されるまで前記サンプリング装置を前記土系材料に挿入するステップと、前記サンプリング装置を前記土系材料から抜き取り、前記前方カラー部材及び後方カラー部材を前記モールド部材から取り外し、該モールド部材に充填された前記土系材料の試料を採取するステップと、を有することを特徴とするサンプリング方法である。
【0015】
(7)に係る発明は、前記土系材料は、礫を含む緩く堆積した材料である上記(6)に記載のサンプリング方法である。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)及び(6)に係る発明によれば、土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材と、モールド部材と、後方カラー部材とを連結してサンプリング装置を構成したことにより、サンプリングに際し、上記前方カラー部材や上記後方カラー部材の内部で試料が乱れてしまった場合でも、上記モールド部材内に充填した試料を乱すことなく、効率的・効果的に試料を採取することができる。
【0017】
加えて、サンプリング装置の後方カラー部材は、ピストン部材を備えるとともに、前方カラー部材及びモールド部材の内径と略同径のピストン部を備え、当該前方カラー部材及びモールド部材の内空を摺動可能に構成されている。これにより、サンプリング装置内における土系材料の充填状況を容易に把握することができる。
【0018】
上記(2)に係る発明によれば、ピストン部材をサンプリング装置の挿入方向に付勢する付勢手段を備えたことにより、サンプリング装置内に充填される試料にピストン部を確実に接触させることが可能となる。これによって、土系材料の充填状況を正確に把握することができるほか、充填される試料の乱れを抑制することが可能となる。
【0019】
上記(3)に係る発明によれば、後方カラー部材において、ピストン部材を固定する固定手段を設けたことで、試料を採取した後、モールド部材から後方カラー部材を取り外す際に、ピストン部が不用意に動いてモールド部材内の試料を乱してしまう事態を防ぐことが可能となる。
【0020】
上記(4)及び(5)、(7)に係る発明によれば、本発明のサンプリング装置を、従来、サンプリングが難しかった礫を含む緩く堆積した土系材料のサンプリングに使用することで、従来よりも効率的・効果的に乱れのない試料を採取することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における、サンプリング装置の一例を示す側面図である。
図2】サンプリング装置の土系材料に対する挿入態様の一例を示す側面図である。
図3】前方カラー部材への試料の充填態様を説明する側面図である。
図4】前方カラー部材及びモールド部材、後方カラー部材への試料の充填態様を説明する側面図である。
図5】挿入されたサンプリング装置の抜き取り態様を説明する側面図である。
図6】前方カラー部材を取り外した後の、試料の整形態様を説明する側面図である。
図7図6に示した整形後に、底板を設置して反転させる態様を説明する側面図である。
図8】後方カラー部材を取り外した後の、試料の整形態様を説明する側面図である。
図9】本発明の一実施形態において、付勢手段と固定手段を設けた例であって、(a)はピストン部が後方カラー部材に収容されて固定されている状態の側面図、(b)はピストン部が付勢力によって前方に配置されている状態の側面図である。
図10】本発明の一実施形態において、後方カラー部材に挿入補助手段を設けた状態の側面図である。
図11】本発明の一実施形態において、異なる長さの前方カラー部材を取り付けたサンプリング装置であって、(a)は比較的に長い前方カラー部材を取り付けたサンプリング装置、(b)は比較的に短い前方カラー部材を取り付けたサンプリング装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明のサンプリング装置及びサンプリング方法の一実施形態について説明する。
【0023】
図1には、本発明の一実施形態におけるサンプリング装置100の側面図が示されている。図示されるように、本実施形態のサンプリング装置100は、土系材料に挿入される円筒形状の前方カラー部材2と、当該前方カラー部材2の挿入方向後方に連結されるとともに、土系材料の試料を上記前方カラー部材2の内空を介して充填することが可能な円筒形状のモールド部材1と、当該モールド部材1の挿入方向後方に連結されるとともに、ピストン部材4を備える後方カラー部材3とを、少なくとも有している。
【0024】
さらに、上記ピストン部材4は、上記前方カラー部材2及び上記モールド部材1の内径と略同径のピストン部42を備え、上記前方カラー部材2及び上記モールド部材1の内空を少なくとも摺動可能に構成されている。
である
【0025】
また、図示される例では、前方カラー部材2の挿入方向の前方端部に、鋭角部21を形成し、サンプリング装置100の挿入時における抵抗を低減するように構成している。なお、鋭角部21の形成は必須のものではない。
【0026】
また、前方カラー部材2とモールド部材1との第一連結部5と、モールド部材1と後方カラー部材3との第二連結部6は、互いに螺合するように構成してもよいし、凹凸嵌合させて外側から粘着テープで固定するように構成してもよく、公知の連結手段を適用することが可能である。
【0027】
本実施形態のピストン部材4は、木材から成る円柱形状のピストン部42と、当該ピストン部42の中心部に固定される木製の棒状部41とから構成されている。ピストン部42は、前方カラー部材2及びモールド部材1の内径と略同径で形成され、前方カラー部材2及びモールド部材1の内空を摺動可能に構成されている。なお、ピストン部材4の材質は木製に限定されるものではなく、種々の素材を利用することが可能である。
【0028】
本実施形態では、前方カラー部材2、モールド部材1、後方カラー部材3、いずれも金属製の円筒形状を有しており、内径100mmの内空を有している。また、後述するように採取する試料を充填するモールド部材1の寸法・形状は、図1に示されるように、厚さ5mm、長さが100mm、その両端部の継手部分がそれぞれ15mmとなっている。
【0029】
(サンプリング方法)
次に、本発明のサンプリング装置を用いたサンプリング方法の一実施形態について説明する。
【0030】
まず、土系材料のサンプリングに先立って、前述したように前方カラー部材2と、モールド部材1と、後方カラー部材3とをそれぞれ連結してサンプリング装置100を組み立てる。
【0031】
続いて、図2に示されるように、ピストン部材4のピストン部42を、前方カラー部材2の挿入方向の前方端部に配置し、土系材料の表面に対して略直角方向から挿入を始める。
【0032】
サンプリング装置100の挿入を続けることで、図3に示されるように、前方カラー部材2へ試料が充填され、それにともなってピストン部42が押し上げられる。これにより、サンプリング装置100内の試料の充填状態を容易に把握することが可能となるほか、充填途中で試料が乱れることを抑制することが可能となる。
【0033】
サンプリング装置100の挿入を継続することで、図4に示されるように、ピストン部42が後方カラー部材に収容され、前方カラー部材2、モールド部材1、後方カラー部材3のそれぞれへ試料が充填される。その後、図5に示されるように、ゆっくりとサンプリング装置100を土系材料から抜き取る。
【0034】
図5に示されるように、サンプリング対象が例えば礫を含む緩く堆積した材料の場合、サンプリング装置100を抜き取ることで、図示されるような崩落に加え、前方カラー部材2内からの試料の滑り出しが生じる。しかし、本実施形態のサンプリング装置100では、所定の長さを有する前方カラー部材2内での試料の滑り出しにとどまり、最終的に試料を採取するモールド部材1内の試料を乱すことなく、サンプリング装置100を抜き取ることが可能となっている。
【0035】
続いて、図6に示されるように、モールド部材1と前方カラー部材2との連結を解除し、当該前方カラー部材2を取り外す。その後、ストレートエッジ10にてモールド部材1の上面の試料を整形する。
【0036】
次に、図7に示されるように、整形されたモールド部材1の上面にベースプレート20を載置し、サンプリング装置100を反転させる。反転した後は、図8に示されるように、モールド部材1と後方カラー部材3との連結を解除し、当該後方カラー部材3をピストン部材4とともに取り外す。その後、図示されるようにストレートエッジ10にてモールド部材1の上面の試料を整形する。
【0037】
以上のような手順により、乱れのない土系材料の試料を従来よりも効率的・効果的にサンプリングすることが可能となる。
【0038】
(各実施形態)
以上、本発明のサンプリング装置及びサンプリング方法について説明したが、必ずしも前述した構成に限定されるものではなく、以下のような変更が可能である。
【0039】
例えば、図9に示されるように、ピストン部材4をサンプリング装置100の挿入方向に付勢する付勢手段43を設け、少なくとも前方カラー部材2及びモールド部材1に充填される試料をピストン部42によって押圧しながら挿入方向後方へ移動するように構成することができる。
【0040】
図9(a)はピストン部が後方カラー部材に収容されて固定されている状態の側面図、図9(b)はピストン部が付勢力によって前方に配置されている状態の側面図が示されているが、付勢手段43を設けることで、サンプリング装置内に充填される試料にピストン部42を確実に接触させることが可能となる。これによって、土系材料の充填状況が棒状部41の突出度合いによって正確に把握することができるほか、充填される試料の乱れをピストン部42によって抑制することが可能となる。
【0041】
加えて、図9に示されるように、後方カラー部材3に、ピストン部材4を固定することが可能な固定手段31を設けることが可能である。図示される実施例では、螺着されるネジによってピストン部材4の棒状部41を固定するように構成されている。
【0042】
ピストン部材4を固定する固定手段31を設けたことで、試料を採取した後、モールド部材1から後方カラー部材3を取り外す際や、サンプリング装置100を採取場所から抜き取る際などに、ピストン部42が不用意に動いてモールド部材1内の試料を乱してしまう事態を防ぐことが可能となる。
【0043】
なお、上記付勢手段43及び上記固定手段31を図の実施形態に基づいて説明したが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、適宜、他の方法によって付勢手段43及び固定手段31を設けるようにしてもよい。
【0044】
次に、図10に示されるように、サンプリング装置100に挿入補助手段32を設けることが可能である。図示される実施形態では、後方カラー部材3に挿入補助手段32を設けているが、これにハンマーなどで打撃を加えてよいし、ハンドル部を設けて押圧力を加えてもよい。これにより、サンプリング装置100の挿入をより効率的に行うことが可能となる。
【0045】
また、図11に示されるように、後方カラー部材3の長さを適宜変更可能に構成してもよい。すなわち、土系材料の採取箇所におけるサンプリング装置100の挿入角度が大きい場合や、サンプリング対象が非常に緩い場合は、図11(a)に示されるように長めの後方カラー部材3を連結することで、試料の滑り出しによる、モールド部材1内の試料の乱れを防ぐことが可能となる。
【0046】
一方、土系材料の採取箇所におけるサンプリング装置100の挿入角度が小さい場合や、サンプリング対象が特段緩いわけではない通常状態の場合は、図11(b)に示されるように短めの後方カラー部材3を連結しても、試料の滑り出しによる、モールド部材1内の試料の乱れを防ぐことが可能である。短めの後方カラー部材3を使用した場合、サンプリング装置100がコンパクトとなり、試料採取の作業性も向上する。
【0047】
前述した各実施形態では、礫を含む緩く堆積した材料を例に、本発明のサンプリング装置及びサンプリング方法について説明したが、本発明は特にこのような材料の試料採取に好適に利用することが可能である。しかしながら、必ずしもこのような材料に限定されるものではなく、装置構成を見ても明らかなように、種々の土系材料のサンプリングに利用することができる。
【0048】
以上、本発明の各実施形態等について説明した。本発明の範囲は、上記した各実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。また、上記実施形態に記載された具体的な材質、寸法形状等は本発明の課題を解決する範囲において、変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 モールド部材
2 前方カラー部材
3 後方カラー部材
4 ピストン部材
5 第一連結部
6 第二連結部
10 ストレートエッジ
20 ベースプレート
21 鋭角部
31 固定手段
32 挿入補助手段
41 棒状部
42 ピストン部
43 付勢手段
100 サンプリング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11