(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165606
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】転倒防止器具
(51)【国際特許分類】
H04N 5/655 20060101AFI20241121BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H04N5/655
A47B97/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081934
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】海老原 仁
(72)【発明者】
【氏名】前畑 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知之
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 真也
(72)【発明者】
【氏名】山本 貢一郎
(57)【要約】
【課題】載置台を加工することなく、物品の転倒を防止し得る転倒防止器具を提供する。
【解決手段】転倒防止器具は、物品に取り付けられ得る被取付部と、前記被取付部に一方端が取り付けられた紐状部と、前記紐状部の他方端が取り付けられており、載置台に設けられた貫通孔の周囲部に係止され得る被係止部と、を備え、前記被係止部は、前記貫通孔の前記周囲部に係止され得る第1状態および前記貫通孔を通過可能な第2状態のそれぞれに変化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられ得る被取付部と、
前記被取付部に一方端が取り付けられた紐状部と、
前記紐状部の他方端が取り付けられており、載置台に設けられた貫通孔の周囲部に係止され得る被係止部と、を備え、
前記被係止部は、前記貫通孔の前記周囲部に係止され得る第1状態および前記貫通孔を通過可能な第2状態のそれぞれに変化する、
転倒防止器具。
【請求項2】
前記紐状部は、前記被取付部と前記被係止部との間の前記紐状部の長さを変更可能に前記被取付部および前記被係止部のそれぞれに取り付けられている、
請求項1に記載の転倒防止器具。
【請求項3】
前記被係止部は、前記貫通孔を通過し得る基準部と、前記基準部に対して開閉可能に取り付けられた開閉部と、を含み、
前記被係止部は、前記開閉部が開かれることにより、前記第1状態に変化し、前記開閉部が閉じられることにより、前記第2状態に変化する、
請求項1に記載の転倒防止器具。
【請求項4】
前記紐状部は、前記開閉部に取り付けられた、
請求項3に記載の転倒防止器具。
【請求項5】
前記被係止部は、それぞれが前記貫通孔を通過可能な複数の部材が組立てられたものである、
請求項1に記載の転倒防止器具。
【請求項6】
前記被係止部は、前記紐状部が通過し得る紐通し孔、または、前記紐状部が引っ掛けられ得るフックもしくは切欠きを有している、
請求項5に記載の転倒防止器具。
【請求項7】
前記紐状部は、前記複数の部材を束ねるように前記複数の部材に取り付けられている、
請求項5に記載の転倒防止器具。
【請求項8】
前記被係止部は、前記載置台の内部から前記載置台の外部へケーブルを通過させ得るケーブル用孔を有する、
請求項1に記載の転倒防止器具。
【請求項9】
前記被係止部は、前記ケーブル用孔にケーブルを挿入し得るスリットを有する、
請求項8に記載の転倒防止器具。
【請求項10】
前記物品は、テレビジョン受像機である、
請求項1に記載の転倒防止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転倒防止器具に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機等の物品の開発が進められている。それに伴って、たとえば、下記の特許文献1に開示されているように、物品の転倒防止器具の提案もなされている。転倒防止器具は、たとえば、テレビジョン受像機を載置台に固定することによって、テレビジョン受像機の載置台上での画面側への転倒を防止するものである。
【0003】
この転倒防止器具によれば、テレビジョン受像機の載置台の内部から延びるバンドを載置台の開口部を通して載置台の外部へ出し、バンドの先端に取り付けられた金具と載置台の内部に設けられたボルトとを接合する。それにより、テレビジョン受像機と載置台との位置関係が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された転倒防止器具によれば、載置台の内部に設けるボルトを必要とする。そのため、載置台の内部にボルトが設けられていない載置台の場合、ビス穴を明けることにより、ボルト等の接続部を載置台に取り付けるための加工が必要となる。したがって、レールを設けるための加工を行うことができない部材が載置台の被把持部に用いられている場合、テレビジョン受像機等の物品の転倒を防止することができない。また、レールを設けるための加工を行うことができる部材が載置台の被把持部に用いられている場合であっても、載置台の加工手間が生じてしまう。
【0006】
本開示は、上述の問題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、載置台を加工することなく、物品の転倒を防止し得る転倒防止器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の転倒防止器具は、物品に取り付けられ得る被取付部と、前記被取付部に一方端が取り付けられた紐状部と、前記紐状部の他方端が取り付けられており、載置台に設けられた貫通孔の周囲部に係止され得る被係止部と、を備え、前記被係止部は、前記貫通孔の前記周囲部に係止され得る第1状態および前記貫通孔を通過可能な第2状態のそれぞれに変化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の転倒防止器具が載置台上の物品の一例のテレビジョン受像機の転倒を防止する状態を示す側面図である。
【
図2】実施の形態1の転倒防止器具が載置台上の物品の一例のテレビジョン受像機の転倒を防止する状態を示す背面図である。
【
図3】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す横断面図(
図3のIV-IV線断面)である。
【
図5】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す横断面図(
図5のVI-VI線断面)である。
【
図7】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す横断面図(
図7のVIII-VIII線断面)である。
【
図9】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す横断面図(
図9のX-X線断面)である。
【
図11】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部の開閉部が基準部に対して閉じられた状態を示す斜視図である。
【
図12】実施の形態1の転倒防止器具の被係止部の開閉部が基準部に対して開かれた状態を示す斜視図である。
【
図13】実施の形態2の転倒防止器具の被係止部の分解斜視図である。
【
図14】実施の形態2の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態2の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す斜視図である。
【
図16】実施の形態2の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す斜視図である。
【
図17】実施の形態2の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す斜視図である。
【
図18】実施の形態2の転倒防止器具の変形例1を示す斜視図である。
【
図19】実施の形態2の転倒防止器具の変形例2を示す斜視図である。
【
図20】実施の形態2の転倒防止器具の変形例3を示す斜視図である。
【
図21】実施の形態3の転倒防止器具の分解斜視図である。
【
図22】実施の形態3の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す斜視図である。
【
図23】実施の形態3の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す斜視図である。
【
図24】実施の形態3の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す斜視図である。
【
図25】実施の形態3の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す斜視図である。
【
図26】実施の形態3の転倒防止器具の変形例を示す斜視図である。
【
図27】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す斜視図である。
【
図28】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第1工程を示す横断面図(
図27のXXVIII-XXVIII線断面)である。
【
図29】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す斜視図である。
【
図30】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第2工程を示す横断面図(
図29のXXX-XXX線断面)である。
【
図31】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す斜視図である。
【
図32】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第3工程を示す横断面図(
図31のXXXII-XXXII線断面)である。
【
図33】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す斜視図である。
【
図34】実施の形態4の転倒防止器具の被係止部を載置台の貫通孔に挿入し、貫通孔の周囲部に係止させるための第4工程を示す横断面図(
図33のXXXIV-XXXIV線断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態の転倒防止器具を、図面を参照しながら説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図12を用いて、実施の形態1の転倒防止器具100を説明する。
【0011】
図1は、実施の形態1の転倒防止器具100が載置台300上の物品200の一例のテレビジョン受像機の転倒を防止する状態を示す側面図である。
図2は、実施の形態1の転倒防止器具100が載置台300上の物品200の一例のテレビジョン受像機の転倒を防止する状態を示す背面図である。
【0012】
図1および
図2に示されるように、転倒防止器具100は、載置台300上に置かれた物品200の白抜き矢印ARで示されるような画面211側への転倒を防止するために、物品200および載置台300のそれぞれに取り付けられ得るものである。物品200は、本実施の形態においては、テレビジョン受像機であるが、電気スタンドまたは写真立て等であってもよい。
【0013】
物品200は、ディスプレイパネル210およびスタンド220を含んでいる。ただし、物品200は、ディスプレイパネル210およびスタンド220からなるものでなくてもよい。物品200は、転倒に起因した損傷のおそれがあるために、転倒を防止することが効果的であるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0014】
ディスプレイパネル210は、図示されていないが、画面211側から見れば、つまり、物品200の正面視において、横長の長方形をなしている。ただし、ディスプレイパネル210の形状は、特に限定されない。ディスプレイパネル210は、画面211に画像を表示する装置であれば、いかなるものであってもよい。
【0015】
スタンド220は、ディスプレイパネル210を支持している。言い換えると、ディスプレイパネル210は、載置台300の被載置部310の上面311上に載置されるスタンド220によって支持されている。スタンド220は、載置台300の上面311上に載置されている。スタンド220は、ベース221および立上がり部222を含んでいる。
【0016】
ベース221は、載置台300の被載置部310の上面311上に載置され得る平板状の部材である。立上がり部222は、ベース221の後方位置から斜め上方に向かって延びる円柱状の部材である。立上がり部222の上端部がディスプレイパネル210の背面にビス(図示せず)等によって固定されている。
【0017】
ただし、スタンド220は、ベース221および立上がり部222を含むものに限定されず、ディスプレイパネル210のような部品を支持するものであれば、いかなるものであってもよい。
【0018】
載置台300は、被載置部310と支持部320とを備えている。載置台300は、本実施の形態においては、事務机または学習机である。被載置部310は、事務机または学習机の天板である。支持部320は、事務机または学習机の側板である。
【0019】
被載置部310は、水平面に沿って広がる板部材である。支持部320は、図示されていない床などから鉛直方向に立ち上がる板部材である。図示されていないが、支持部320の下端は、床等の上に載置される。被載置部310の端部が支持部320の上端から外側へ水平方向に突出している。
【0020】
本実施の形態においては、転倒防止器具100は、スタンド220の立上がり部222および支持部320のそれぞれに取り付けられている。ただし、転倒防止器具100は、物品200のいずれの位置に取り付けられてもよい。また、転倒防止器具100は、載置台300のいずれの位置に取り付けられてもよい。
【0021】
図1および
図2に示されるように、本実施の形態の転倒防止器具100は、被取付部10、紐状部20、および被係止部30を備えている。
【0022】
被取付部10は、物品200のスタンド220に取り付けられ得る部分である。本実施の形態においては、被取付部10は、スタンド220のベース221から立ち上がる立上がり部222に固定されている。
【0023】
被取付部10は、物品200に取り付けられ得る部分である。被取付部10は、使用時には、紐状部20を挟んでいる。被取付部10は、紐状部20を挟んだ状態になったり、紐状部20を挟んでいない状態になったりし得るように、ネジ孔(図示せず)に螺合されたボルト11(
図1および
図2参照)を備えている。
【0024】
使用者は、ボルト11を回転させることにより、被取付部10が紐状部20を挟んでいる状態にしたり、被取付部10が紐状部20を挟んでいない状態にしたりすることができる。
【0025】
被取付部10は、紐状部20の挟みを解除した状態で、被取付部10から突出する紐状部20の先端部20Aの長さが変更された後に、再度、紐状部20を挟むことができる。したがって、被取付部10のボルト11を締めたり緩めたりすることにより、被取付部10と被係止部30との間の紐状部20の長さを変更することができる。
【0026】
紐状部20は、細長くかつ柔軟性のある部材である。本実施の形態においては、紐状部20は、断面が円形であるワイヤーである。しかしながら、紐状部20は、複数の紐状部が撚り合わされたロープであってもよく、また、横断面が線状をなしており、全体としてバンド状をなしてもよい。紐状部20の一方端は、被取付部10に取り付けられている。紐状部20の他方端は、被係止部30に取り付けられている。
【0027】
被係止部30は、紐状部20の他方端が取り付けられ得る部分である。被係止部30は、載置台300に設けられた貫通孔300Aの周囲部322に係止され得る部分である。被係止部30は、貫通孔300Aの周囲部322に係止され得る第1状態および貫通孔300Aを通過可能な第2状態のそれぞれに変化する。
【0028】
貫通孔300Aは、本実施の形態においては、載置台300の支持部320に設けられている。しかしながら、貫通孔300Aは、被載置部310に設けられていてもよい。
【0029】
上記のような本実施の形態の転倒防止器具100によれば、載置台300を加工することなく、テレビ受像機のような物品200の転倒を防止することができる。
【0030】
紐状部20は、前述したように、被取付部10と被係止部30との間の紐状部20の長さを変更可能に被取付部10および被係止部30のそれぞれに取り付けられている。そのため、被取付部10と被係止部30との間の紐状部20の長さを変更することにより、スタンド220と載置台300との間の位置関係を変更することができる。
【0031】
被係止部30は、貫通孔300Aを通過し得る基準部31と、基準部31に対して開閉可能に取り付けられた2つの開閉部32と、を含んでいる。基準部31は、被係止部30を平面視した場合に、T字形状を有している。T字形状は、第1平板部31Aと、第1平板部31Aの中央位置から第1平板部31Aに対して垂直方向に延びる第2平板部31Bと、により構成される。第2平板部31Bは、その厚さ方向に延びる紐通し孔31Bthを有している。
【0032】
2つの開閉部32のそれぞれは、第1平板部31Aの端部に取り付けられた平板部である。開閉部32は、基準部31の端部に取り付けられたヒンジ34に取り付けられている。したがって、開閉部32は、ヒンジ34の回転軸まわりに回転することによって、基準部31に対して開いたり閉じたりする。
【0033】
被係止部30は、2つの開閉部32の双方が開かれることにより、被係止部30は、第1状態(T字状)に変化する。一方、2つの開閉部32の双方が閉じられることにより、被係止部30は、第2状態(M字状)に変化する。そのため、使用者が手で開閉部32の開閉動作を行うだけの簡単な機構によって、被係止部30を第1状態および第2状態のそれぞれに変化させることができる。
【0034】
図3~
図10は、実施の形態1の転倒防止器具100の被係止部30を載置台300の貫通孔300Aに挿入し、貫通孔300Aの周囲部322(
図9および
図10参照)参照)に係止させるための第1~第5工程を示す斜視図および横断面図である。
【0035】
図3および
図4に示されるように、被係止部30の開閉部32を閉じることにより、転倒防止器具100を第2状態(M字状)に変化させる。
図3および
図4において白抜き矢印S1で示されるように、第2状態の転倒防止器具100を載置台300の外側から載置台300の内側へ貫通孔300Aを通過させる。それにより、転倒防止器具100は、
図5および
図6に示される状態になる。
【0036】
次に、使用者が、
図5および
図6に黒矢印で示される方向に、手で被係止部30の開閉部32を開く。それにより、
図7および
図8に示されるように、転倒防止器具100が第1状態(T字状)に変化する。
【0037】
その後、使用者が、
図7および
図8に白抜き矢印S2で示されるように、被係止部30を貫通孔300Aに向かって移動させる。それにより、
図9および
図10に示されるように、被係止部30は、貫通孔300Aの周囲部322に係止される。このとき、開閉部32が周囲部322に当接する。その後、基準部31の紐通し孔31Bthに環状部20Cが通され、その後、環状部20Cに先端部20Aが通される。それにより、締付輪部20Bが基準部31を締め付ける。その後、被係止部30は、開閉部32が周囲部322に当接するように、紐状部20によって引っ張られる。
【0038】
上記のように、被係止部30は、貫通孔300Aの周囲部322に係止され得る第1状態および貫通孔300Aを通過可能な第2状態のそれぞれに変化する。それにより、転倒防止器具100は、物品200の転倒を防止する第1状態および物品200の転倒を防止しない第2状態のそれぞれに変化する。
【0039】
図11は、実施の形態1の転倒防止器具100の被係止部30の開閉部32が基準部31に対して閉じられた状態を示す斜視図である。
図12は、実施の形態1の転倒防止器具100の被係止部30の開閉部32が基準部31に対して開かれた状態を示す斜視図である。
【0040】
図11および
図12から分かるように、基準部31と開閉部32とは、ヒンジ34に対して、相対的に回転する。基準部31と開閉部32とは、互いに直交する閉状態と、直線状になる開状態とに変化する。基準部31の継手と開閉部32の継手とは、開状態では互いに噛合って、基準部31と開閉部32との直線状態が維持されるように構成されている。
【0041】
(実施の形態2)
図13~
図21を用いて、実施の形態2の転倒防止器具100を説明する。なお、下記において実施の形態の転倒防止器具100と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の転倒防止器具100は、以下の点で、実施の形態1の転倒防止器具100と異なる。
【0042】
図13は、実施の形態2の転倒防止器具100の被係止部30の分解斜視図である。
【0043】
図13に示されるように、被係止部30は、それぞれが貫通孔300Aを通過可能な複数の部材30A,30Bが組立てられたものである。本実施の形態の転倒防止器具100によれば、複数の部材30A,30Bの組立という簡単な作業によって、周囲部322に係止され得る第1状態および貫通孔300Aを通過可能な第2状態のいずれかに変化させることができる。このような本実施の形態の転倒防止器具100によっても、載置台300を加工することなく、テレビ受像機のような物品200の転倒を防止することができる。
【0044】
具体的には、2つの部材30A,30Bのそれぞれは、相対的に長い直線部の端部と相対的に短い直線部の端部とが接続され、相対的に長い直線部と相対的に短い直線部とのなす角が直角であるL字形状をなしている。
【0045】
2つのL字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部は、それぞれ、厚さ方向に延びる紐通し孔30Ath,30Bthを有している。
【0046】
図14~
図17は、実施の形態2の転倒防止器具100の被係止部30を載置台300の貫通孔300Aに挿入し、貫通孔300Aの周囲部322に係止させるための第1~第4工程を示す斜視図である。
【0047】
まず、
図14に示されるように、黒矢印で示されるように、一方のL字形状の部材30Aの相対的な長い直線部が貫通孔300Aの中に入れられる。次に、
図15に示されるように、他方のL字形状の部材30Bの相対的な長い直線部が貫通孔300Aの中に入れられる。
【0048】
その後、
図16に示されるように、L字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部同士が互いに接触し、かつ、L字形状の部材30A,30Bの相対的に長い直線部が一直線状に延びるように、L字形状の部材30A,30Bの状態を変化させる。次に、
図16に白抜き矢印で示される方向に、U字形状の部材30Cを移動させる。
【0049】
それにより、
図17に示されるように、2つL字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部をU字形状の部材30Cに嵌合させる。その結果、L字形状の部材30Aの紐通し孔30Ath、L字形状の部材30Bの紐通し孔30Bth、およびU字形状の部材30Cの2つの紐通し孔30Cthが連通する。
【0050】
図17に示されるように、紐状部20の一方の先端の環状部20Cが紐通し孔30Ath、30Bth、30Cthに通された後、環状部20Cに紐状部20の他方の先端部20Aが環状部20Cに通される。それにより、2つのL字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部およびU字形状の部材30Cが締付輪部20Bによって締め付けられる。
【0051】
本実施の形態の被係止部30は、紐状部20が通過し得る紐通し孔30Ath,30Bth,30Cthを有している。これによれば、紐状部20の締付輪部20Bによって複数の部材30A,30B,30Cを束ねることができる。そのため、組み立てられた複数の部材30A,30B,30Cが使用者の意に反して分解されてしまうことを抑制することができる。
【0052】
図18は、実施の形態2の転倒防止器具100の変形例1を示す斜視図である。
【0053】
L字形状の部材30Aが、紐通し孔30Athの代わりに、紐状部20が引っ掛けられ得る切欠き30Anを有している。L字形状の部材30Bが、紐状部20が通過し得る紐通し孔30Bthの代わりに、紐状部20が引っ掛けられ得る切欠き30Bnを有している。
【0054】
U字形状の部材30Cが、紐状部20が通過し得る紐通し孔30Cthの代わりに、紐状部20が引っ掛けられ得る切欠き30Cnを有している。これによれば、紐状部20を連通する切欠き30An,30Bn,30Cnに引っ掛けるだけで、紐状部20を被係止部30に容易に取り付けることができる。
【0055】
図19は、実施の形態2の転倒防止器具100の変形例2を示す斜視図である。
【0056】
図19に示されるように、L字形状の部材30Aは、L字形状の相対的に短い直線部に、互いに嵌合する円筒状の嵌合突起30Acvおよび円柱状の嵌合孔30Acnを備えている。L字形状の部材30Bは、L字形状の相対的に短い直線部に、円柱状の嵌合孔30Bcnおよび嵌合突起30Bcvを備えている。嵌合突起30Acvと嵌合孔30Bcnとが嵌合する。嵌合突起30Bcvと嵌合孔30Acnとが嵌合する。
【0057】
この場合、嵌合突起30Acvに設けられた紐通し孔30Athおよび嵌合突起30Bcvに設けられた紐通し孔30Bthのいずれかに紐状部20の環状部20Cが通された後、紐状部20の他方の先端部20Aが環状部20Cに通される。それにより、締付輪部20Bが形成される。その締付輪部20BによってL字形状の部材30AとL字形状の部材30Bとが紐状部20に束ねられる。
【0058】
図20は、実施の形態2の転倒防止器具100の変形例3を示す斜視図である。
【0059】
図20に示されるように、貫通孔300Aは、載置台300の被載置部310に設けられていてもよい。この場合、被係止部30は、被載置部310の貫通孔300Aの周囲部によって係止される。
【0060】
(実施の形態3)
図21~
図26を用いて、実施の形態3の転倒防止器具100を説明する。なお、下記において実施の形態の転倒防止器具100と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の転倒防止器具100は、以下の点で、実施の形態1の転倒防止器具100と異なる。
【0061】
図21は、実施の形態3の転倒防止器具100の分解斜視図である。
【0062】
図21に示されるように、本実施の形態においても、実施の形態3と同様に、被係止部30は、それぞれが貫通孔300Aを通過可能な複数の部材30A,30Bが組立てられたものである。本実施の形態の転倒防止器具100によっても、複数の部材30A,30Bの組立という簡単な作業によって、被係止部30を、周囲部322に係止され得る第1状態および貫通孔300Aを通過可能な第2状態のいずれかに変化させることができる。また、このような本実施の形態の転倒防止器具100によっても、載置台300を加工することなく、テレビ受像機のような物品200等の物品の転倒を防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態においても、2つの部材30A,30Bのそれぞれは、相対的に長い直線部の端部と相対的に短い直線部の端部とが接続され、相対的に長い直線部と相対的に短い直線部とのなす角が直角であるL字形状をなしている。
【0064】
ただし、本実施の形態においては、部材30AのL字形状を構成する相対的に短い直線部が半割円筒部30Ahcである。部材30BのL字形状を構成する相対的に短い直線部が半割円筒部30Bhcである。2つの部材30A,30Bの2つの半割円筒部30Ahc,30Bhcが互いに合せられることにより、ケーブル用孔30Hを形作る円筒部が形成される。
【0065】
つまり、本実施の形態の複数の部材30A,30Bが組み立てられた被係止部30は、載置台300の内部から載置台300の外部へコネクタおよびケーブル等を通過させ得るケーブル用孔30Hを有している。そのため、ケーブル用孔30Hを利用して載置台300の内部から載置台300の外部へコネクタおよびケーブル等を引き出すことができる。
【0066】
本実施の形態の被係止部30は、紐通し孔30Ath,30Bth,30Cthまたは切欠き30An,30Bn,30Cnの代わりに、紐状部20が引っ掛けられ得るフック30FA,30FBを有している。これによっても、紐状部20を被係止部30に容易に取り付けることができる。この場合、フック30FA,30FBに紐状部20の環状部20Cが引っ掛けられてもよい。また、前述の締付輪部20Bがフック30FA,30FBにひっかけられてもよい。
【0067】
図22~
図25は、実施の形態3の転倒防止器具100の被係止部30を載置台300の貫通孔300Aに挿入し、貫通孔300Aの周囲部322に係止させるための第1~第4工程を示す斜視図である。
【0068】
まず、
図22に示されるように、一方のL字状の部材30Aの相対的な長い直線部が貫通孔300Aの中に入れられる。次に、
図23に示されるように、他方のL字状の部材30Bの相対的な長い直線部が貫通孔300Aの中に入れられる。
【0069】
その後、
図24に示されるように、L字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部が互いに接触し、かつ、L字形状の部材30A,30Bの相対的に長い直線部が一直線状に延びるように、L字形状の部材30A,30Bを移動させる。このとき、複数の部材30A,30Bの2つL字形状の部材30A,30Bの相対的に短い直線部の凹凸が互いに嵌合する。最後に、
図25に示されるように、紐状部20の一方の先端の環状部20Cに通された締付輪部20Bがフック30FA,30FBに取り付けられる。
【0070】
図26は、実施の形態3の転倒防止器具100の変形例を示す斜視図である。
【0071】
図26に示されるように、被係止部30は、スリット30Nを有していてもよい。スリット30Nは、ケーブル用孔30Hの内側の空間までHDMI(High-Definition Multimedia Interface)<登録商標>端子400のケーブルC1および電力コネクタ450のケーブルC2を挿入し得る幅を有している。これによれば、HDMI端子400または電力コネクタ450等がケーブル用孔30Hを通過することができないほど大きい場合にも、ケーブルC1,C2を、スリット30Nを経由して、ケーブル用孔30Hの内側の空間に入れることができる。
【0072】
(実施の形態4)
図27~
図34を用いて、実施の形態2の転倒防止器具100を説明する。なお、下記において実施の形態の転倒防止器具100と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の転倒防止器具100は、以下の点で、実施の形態1の転倒防止器具100と異なる。
【0073】
図27~
図34から分かるように、本実施の形態の転倒防止器具100においては、紐状部20は、開閉部32に取り付けられている。具体的に言うと、紐状部20は、被係止部30の基準部31に設けられた紐通し孔31thを通過して開閉部32に固定されている。さらに詳細に言うと、紐状部20の環状部20Cは、開閉部32の外側面の凹部32C内の棒状部32Fを囲むように、棒状部32Fに取り付けられている。ただし、前述の締付輪部20Bが棒状部32Fに取り付けられてもよい。
【0074】
本実施の形態において、使用者が開閉部32を手で閉じることにより、被係止部30が第2状態(M字状)になれば、紐状部20は、紐通し孔31th内を開閉部32側へ移動する。一方、使用者が基準部31の先端から突出する紐状部20を手で引っ張れば、被係止部30は、開閉部32が開いた第1状態(T字状)になる。このように、使用者は、開閉部32を手で開くことなく、紐状部20を引っ張るという簡単な動作によって、開閉部32を開くことができる。
【0075】
上記したような本実施の形態の転倒防止器具100によっても、載置台300を加工することなく、テレビ受像機のような物品200の転倒を防止することができる。
【0076】
図27~
図34は、実施の形態4の転倒防止器具100の被係止部30を載置台300の貫通孔300Aに挿入し、貫通孔300Aの周囲部322に係止させるための第1~第4工程を示す斜視図および横断面図である。
【0077】
図27および
図28に示されるように、被係止部30の開閉部32を閉じることにより、転倒防止器具100を第2状態(M字状)に変化させる。
図27および
図28において白抜き矢印S1で示されるように、第2状態の転倒防止器具100を載置台300の外側から載置台300の内側へ貫通孔300Aを通過させる。それにより、転倒防止器具100は、
図29および
図30に示される状態になる。
【0078】
図29および
図30に黒矢印で示される方向に被係止部30の開閉部32を開く。それにより、
図31および
図32に示されるように、転倒防止器具100を第1状態(T字状)に変化させる。
【0079】
図31および
図32に白抜き矢印S2で示されるように、被係止部30を貫通孔300Aに向かって移動させる。それにより、
図33および
図34に示されるように、被係止部30は、貫通孔300Aの周囲部322に係止される。具体的には、開閉部32が周囲部322に当接する。なお、被係止部30は、開閉部32が周囲部322に当接するように、紐状部20によって引っ張られている。
【0080】
上記の方法によって、被係止部30は、貫通孔300Aの周囲部322に係止され得る第1状態および貫通孔300Aを通過可能な第2状態のそれぞれに変化する。それにより、転倒防止器具100は、物品200の転倒を防止する第1状態および物品200の転倒を防止しない第2状態のそれぞれに変化する。
【符号の説明】
【0081】
10 被取付部
20 紐状部
20A 先端部
30 被係止部
30A,30B,30C 部材
30Ath,30Bth,30Cth 紐通し孔
30An,30Bn,30Cn 切欠き
30FA,30FB フック
30N スリット
30H ケーブル用孔
31 基準部
32 開閉部
100 転倒防止器具
200 物品(テレビジョン受像機)
220 スタンド
300 載置台
300A 貫通孔
322 周囲部
C1,C2 ケーブル