(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016561
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、問合せ対応指示システム、問合せ対応指示方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240131BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118789
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515309885
【氏名又は名称】イグニション・ポイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常田 稔
(72)【発明者】
【氏名】安田 鉄平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】小売店における顧客からの問合せに対して好適な対応を行うことができ、かつすぐに対応できるスタッフを速やかに決定することができる。
【解決手段】本開示の一態様に係る情報処理装置は、小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得する取得部と、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて、前記問合せに対応する対応スタッフを決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得する取得部と、
前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて、前記問合せに対応する対応スタッフを決定する決定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記小売店情報は、前記小売店の商品構成および商品の配置に関する情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記小売店の前記小売店情報は、複数のパターンのいずれかに分類され、
前記決定部は、前記問合せを受け付けた小売店と同じパターンに分類される全ての小売店の前記スタッフの中から、前記対応スタッフを決定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記問合せを受け付けた第1小売店のスタッフの中から前記対応スタッフを決定し、前記第1小売店のスタッフの中から前記対応スタッフを決定できなかった場合に、前記第1小売店と同じパターンに分類される他の小売店の前記スタッフの中から、前記対応スタッフを決定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記小売店の顧客に関する情報、前記小売店の立地に関する情報、および前記小売店の業種に関する情報の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の小売店のそれぞれに対して前記小売店情報を設定する設定部をさらに備える、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記小売店の顧客に関する情報は、顧客の家族構成および顧客の住居形態を示す情報を含む、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記小売店の立地に関する情報は、前記小売店の立地、前記小売店の顧客の居住地の立地および交通アクセスを示す情報を含む、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記小売店の業種に関する情報は、流行および前記小売店の顧客の嗜好の変化を示す情報を含む、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記対応スタッフの候補となる候補スタッフを複数決定するとともに、決定した複数の候補スタッフのそれぞれに対し、前記問合せに適した度合いに基づく順位を付与し、前記順位が高い所定人数の前記候補スタッフを前記対応スタッフとして決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記対応スタッフに対し、前記問合せに対する対応の指示を行う指示部をさらに備え、
前記指示部は、前記順位が最も高い前記対応スタッフに対して、前記指示を行い、他の前記対応スタッフに関する情報を通知する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記指示部は、前記対応スタッフ全員に対して前記指示を行う、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得し、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、前記対応スタッフが有する端末装置へ前記問合せに対応する指示を行う情報処理装置と、
前記対応スタッフに対して前記指示を報知する端末装置と、
を備える、問合せ対応指示システム。
【請求項13】
小売店の顧客からの問合せに対応する指示を行う情報処理装置が実行する問合せ対応指示方法であって、
前記問合せに関する問合せ情報を取得し、
前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、
前記対応スタッフに対し、前記問合せに対応する指示を行う、
問合せ対応指示方法。
【請求項14】
小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得し、
前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、
前記対応スタッフに対し、前記問合せに対応する指示を行う、
手順をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、小売店における顧客からの問合せに対応する情報処理装置、問合せ対応指示システム、問合せ対応指示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店において、商品に関する問合せ、店舗に関する問合せ、店舗のスタッフに関する問合せなど、種々の問合せが顧客から寄せられることがある。このような問合せに対応するための技術が種々開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、通信ネットワークを介して顧客が使用する顧客端末およびスタッフが使用する事業者端末と接続されており、接客できるスタッフが不在であっても顧客の反応に応じた接客を自動で行うことができる情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの種類の商品を取り扱う小売店では、問合せの内容も多岐に亘る。このため、問合せの内容によっては、問合せに対して好適な対応を行うことができるスタッフが限られることがある。また、欠勤、外出中、他の業務など様々な理由により、問合せの内容に適したスタッフがすぐには対応できない場合がある。このため、問合せに対して好適な対応を行うことができ、かつすぐに対応できるスタッフを速やかに決定することが求められる。
【0006】
本開示は、小売店における顧客からの問合せに対して好適な対応を行うことができ、かつすぐに対応できるスタッフを速やかに決定することができる情報処理装置、問合せ対応指示システム、問合せ対応指示方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得する取得部と、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて、前記問合せに対応する対応スタッフを決定する決定部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る問合せ対応指示システムは、小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得し、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、前記対応スタッフが有する端末装置へ前記問合せに対応する指示を行う情報処理装置と、前記対応スタッフに対して前記指示を報知する端末装置と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る問合せ対応指示方法は、小売店の顧客からの問合せに対応する指示を行う情報処理装置が実行する問合せ対応指示方法であって、前記問合せに関する問合せ情報を取得し、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、前記対応スタッフに対し、前記問合せに対応する指示を行う。
【0010】
本開示の一態様に係る問合せプログラムは、小売店の顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得し、前記問合せ情報に含まれる前記問合せの内容、前記小売店に関する小売店情報、および前記小売店のスタッフに関するスタッフ情報に基づいて前記問合せに対応する対応スタッフを決定し、前記対応スタッフに対し、前記問合せに対応する指示を行う、手順をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、小売店における顧客からの問合せに対して好適な対応を行うことができ、かつすぐに対応できるスタッフを速やかに決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る問合せ対応指示システムの構成の一例を示す図
【
図4】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図
【
図5】顧客からの問合せを受け付けたときの問合せ対応指示システムの動作例を説明するフローチャート
【
図6】情報処理装置による決定処理について説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明などは省略する場合がある。
【0014】
[全体構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る問合せ対応指示システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、問合せ対応指示システム100は、情報処理装置1と、複数の店舗端末2と、を備える。なお、問合せ対応指示システム100は、複数の店舗を有する小売チェーンにおいて使用されることが想定されている。小売チェーンは、複数の店舗Sと、各店舗に業務上の指示を与える本部施設HQとにより構成される。本部施設HQには、情報処理装置1が設置されており、複数の店舗Sには、それぞれ店舗端末2が設置されている。
【0015】
店舗端末2は、デスクトップPC(Personal Computer)のような据置型のコンピュータであってもよいし、スマートデバイスやタブレット端末のようなモバイルコンピュータであってもよい。店舗端末2は、店舗Sの所定の位置(例えば店舗出入口付近、レジ付近、売り場の中など)に据え付けられていてもよいし、各スタッフがそれぞれ保持していてもよい。店舗端末2をスタッフが保持する場合、どの店舗端末2をどのスタッフが使用しているかを示す情報が、適宜生成されて情報処理装置1に送信されてもよい。情報処理装置1と複数の店舗端末2とは、インターネットなどの公衆ネットワークを介して、または介さずに、通信可能に接続されている。
【0016】
問合せ対応指示システム100は、小売チェーンの顧客による問合せに対応する指示を、店舗にて勤務するスタッフに与えるシステムである。なお、本明細書において、スタッフとは、役職などに関係なく、各店舗にて勤務する人員をすべて含むものとする。すなわち、スタッフには、店長や部門長などの責任者なども含まれ得る。また、スタッフには、売り場の作業を行う人員だけではなく、清掃や駐車場整理に従事する人員なども含まれ得る。さらに、スタッフには、店舗に対する問合せなどを受け付けるコールセンターに勤務する人員も含まれ得る。
【0017】
顧客からの問合せとは、商品、店舗、スタッフなどに関する種々の問合せを含む。顧客は、例えば店頭で直接、またはチャットやビデオ通話などを用いてオンラインで、スタッフに対して問合せを行うことが想定される。または、顧客は、小売チェーンが集客や販促などのために独自に提供するアプリケーション(以下、小売チェーンアプリ)を利用することで、問合せを行ってもよい。
【0018】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備えるコンピュータである。
【0019】
通信部11は、複数の店舗端末2と通信するための通信デバイスである。
【0020】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部12は、情報処理装置1が実行する各種処理に必要なデータや、制御部13により実行されるプログラムなどを記憶する。
【0021】
記憶部12には、小売チェーンの各店舗Sにて勤務するスタッフに関する情報により構成されるスタッフデータベース(DB)、小売チェーンの店舗に関する情報により構成される小売店DB、小売チェーンの顧客に関する情報により構成される顧客DBなどが構築されている。
【0022】
スタッフDBには、小売チェーンに所属する全スタッフの稼働状況、および、各スタッフの部門、職位、権限、業務の経験の有無、勤務する店舗のフォーマット、担当商品分野などが登録される。
【0023】
全スタッフの稼働状況は、問合せを受け付けた時点における全スタッフの稼働状況を示す。具体的には、稼働状況には、各スタッフが出勤しているか否か、在宅勤務であるか否か、どの店舗に出勤しているか、今どのような作業をしているか、現在位置はどこか(売り場なのか、倉庫なのか、外出しているのか)、などを示す情報が含まれる。
【0024】
また、稼働状況は、すぐに問合せに対応可能であるか否かを示す情報を含んでいてもよい。問合せに対応可能であるか否かの判断は、各スタッフが出勤しているか否か、在宅勤務であるか否か、どの店舗に出勤しているか、今どのような作業をしているか、現在位置はどこか、などを示す情報に基づいて、情報処理装置1またはスタッフが有する店舗端末2が自動で行ってもよいし、スタッフ自身が対応可能か否かを示すフラグを、店舗端末2を介して入力してもよい。
【0025】
稼働状況は、例えば各店舗に導入されている勤怠管理システム(図示せず)、各スタッフが店舗端末2などから自らの稼働予定を入力する稼働管理システム、店舗内や倉庫内に設置されたセンサ(カメラ、人感センサ、ビーコン、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の電波強度を計測するセンサなど)からの出力に基づいて各スタッフの現在位置や作業状況を監視する監視システム、などにより生成され、記憶部12のスタッフDBに随時登録される。
【0026】
各スタッフの部門および職位は、各スタッフが現在所属する部門、および各スタッフの現在の職位を示す。
【0027】
権限は、部門または職位などによって決まる、各スタッフが有する権限を示す。
【0028】
業務の経験の有無は、各スタッフが、複数の業務に携わった経験があるか否かを示す。
【0029】
フォーマットは、店舗における商品構成(どのような商品を販売しているか)、棚割(どの棚にどの商品を並べているか)、フロアレイアウト(棚、通路、レジ、カスタマーカウンターなどをどのように配置しているか)などを示す。フォーマットは、いくつかのパターンにあらかじめ分類されており、店舗の大きさ、立地(住所、交通アクセスなど)、店舗毎の顧客のタイプ(家族構成、住居形態、居住地の立地、嗜好など)、商品の流行などによって決まる。店舗毎のフォーマットは、例えば各店舗のスタッフによりあらかじめ設定され、記憶部12の小売店DBに登録されている。フォーマットは、例えばフォーマットがA,B,C,D,Eの5パターンある場合、各店舗がフォーマットA,B,C,D,Eのいずれに該当するかを示す。
【0030】
なお、本実施の形態では、スタッフDBには、スタッフ毎に、勤務する店舗のフォーマットとして、スタッフが現在勤務している店舗のフォーマットが登録されることが想定されている。しかしながら、本開示はこれに限られない。例えば、スタッフが異動を重ねるたびに店舗のフォーマットが追加登録され、過去に勤務したことがある店舗のフォーマットも参照できるようにしてもよい。
【0031】
また、スタッフがコールセンターに勤務している場合、業務の経験の有無として実店
舗の勤務経験有無を登録するとともに、勤務する店舗のフォーマットとして勤務経験のある実店舗のフォーマットを登録してもよい。
【0032】
スタッフの担当商品分野は、各スタッフ自身、または各スタッフが勤務する店舗の上長などによってあらかじめ入力され、記憶部12のスタッフDBに登録される。スタッフの担当商品分野に関する情報は、顧客から特定分野の商品に関する問い合わせがあった時、対応できるか否かを判断するために使用される。スタッフが現在担当している商品分野が入力されることを想定しているが、これに限らない。例えば、スタッフの担当商品分野が変わるたびに担当商品分野が追加入力され、過去の担当商品分野も参照できるようにしてもよい。
【0033】
小売店DBには、小売チェーンに属する全店舗のフォーマットが登録される。
【0034】
顧客DBには、例えば顧客の住所、連絡先などの個人情報の他、購入履歴、購入商品の傾向、現在位置情報などが登録される。これらの情報のうち、個人情報は、例えば顧客が小売チェーンの会員になった場合、または、小売チェーンアプリを介して自ら入力した場合などに、生成される。購入履歴や現在位置情報は、店舗に導入されているPOSシステムや監視システムなどにより生成され、顧客DBに登録される。
【0035】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶部12などの記憶装置から所望のプログラムや必要な情報を読み出して実行することで、種々の機能を実現する。
【0036】
制御部13は、機能ブロックとして、取得部131と、決定部132と、指示部133と、を有する。
【0037】
取得部131は、小売チェーンの顧客からの問合せに関する問合せ情報を取得する。問合せ情報には、問合せの内容に関する内容情報、問合せを受け付けた店舗に関する情報、問合せを受け付けたスタッフに関する情報、問合せを行った顧客に関する情報などが含まれる。
【0038】
内容情報は、例えばテキスト形式で問合せの内容を示す情報、または、あらかじめ分類された問合せのカテゴリや問い合わせに該当するキーワードのうち、該当するものを示す情報である。内容情報は、例えば問合せを受け付けたスタッフが、店舗端末2を用いて、問合せの内容を示すテキストを入力、または内容に該当するカテゴリやキーワードを選択することで、生成される。または、内容情報は、店舗端末2が有するマイクにより生成された顧客の音声データに基づく文字起こし処理などによって生成されてもよい。
【0039】
問合せを受け付けた店舗に関する情報、問合せを受け付けたスタッフを特定する情報および、問合せを行った顧客に関する情報は、例えばスタッフが顧客から問合せを受け付けた際に、店舗端末2を介して、自らが問合せを受け付けたことを示す情報を問合せの内容に関する情報などとともに入力することで、生成される。なお、顧客が小売チェーンアプリなどを介して問合せを行った場合、顧客は、問合せの入力時に問合せ先の店舗や自らを特定する情報を入力できるようにしてもよい。
【0040】
決定部132は、取得部131が取得した各種情報に基づいて、問合せの対応を行うスタッフを決定する。決定部132が決定するスタッフは、1人であってもよいし、複数人であってもよい。決定部132による、スタッフの決定方法の詳細については、後述する。
【0041】
指示部133は、決定部132により決定されたスタッフに対し、問合せの対応の指示を行う。決定部が複数人のスタッフを決定した場合、指示部133は、全スタッフに同様の内容の指示を行ってもよいし、実際に対応するスタッフと、対応のために待機するスタッフと、に異なる指示を行ってもよい。指示部133による、スタッフへの指示方法の詳細については、後述する。
【0042】
[店舗端末2]
店舗端末2は、上述したように、店舗Sに設置される据置型コンピュータ、または各店員が保持するモバイルコンピュータである。
図3は、店舗端末2の構成の一例を示す図である。
【0043】
図3に示すように、店舗端末2は、表示部21、操作部22、記憶部23、通信部24、および制御部25を有する。
【0044】
表示部21は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスである。操作部22は、店舗に勤務するスタッフの操作を受け付ける操作デバイスである。操作部22は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、各種スイッチやボタンなどで構成される。表示部21としての液晶または有機ELディスプレイと、操作部22としてのタッチパッドとが重ね合わされて、いわゆるタッチパネルが構成されてもよい。
【0045】
記憶部23は、HDD、SSD、またはフラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部23は、店舗端末2が実行する各種処理に必要なデータや、制御部25により実行されるプログラムなどを記憶する。
【0046】
通信部24は、情報処理装置1と通信するための通信デバイスである。
【0047】
制御部25は、例えばCPUなどのプロセッサであり、記憶部23などの記憶装置から所望のプログラムや必要な情報を読み出して実行することで、種々の機能を実現する。
【0048】
[コンピュータのハードウェア構成]
次に、情報処理装置1および店舗端末2を実現するコンピュータのハードウェア構成について説明する。
【0049】
図4は、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0050】
コンピュータ1000は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置1001、ディスプレイやスピーカーなどの出力装置1002、CPU1003、ROM(Read Only Memory)1004、RAM(Random Access Memory)1005、HDDやSSDなどの記憶装置1006、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置1007、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1008を備え、各部はバス1009により接続される。
【0051】
そして、読取装置1007は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1006に記憶させる。あるいは、送受信装置1008が、ネットワークに接続されたシステム装置と通信を行い、システム装置からダウンロードしたプログラムを記憶装置1006に記憶させる。
【0052】
そして、CPU1003が、記憶装置1006に記憶されたプログラムをRAM1005にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行することにより、情報処理装置1および店舗端末2の各機能が実現される。
【0053】
[動作例]
<全体の動作例>
次に、本実施の形態に係る問合せ対応指示システム100の動作例について説明する。
図5は、顧客からの問合せを受け付けたときの問合せ対応指示システム100の動作例を説明するフローチャートである。
【0054】
ステップS1において、対応指示システム100は、顧客からの問合せを受け付ける。
【0055】
スタッフが顧客からの問合せを直接受け付ける場合、スタッフは、問合せ内容を顧客から聞き取りながら、または聞き終わった後に、店舗端末2を用いて、問合せ情報を入力する。なお、スタッフが顧客からの問合せを直接受け付ける場合とは、スタッフが対面で顧客からの問合せを受け付ける場合、または店舗端末2を用いてオンラインで顧客からの問合せを受け付ける場合の両方を含む。
【0056】
また、スタッフは、店舗に設置された店舗端末2を用いて問合せ内容などを入力することで問合せを受け付けてもよい。また、店舗に設置された店舗端末2を用いて、チャットボットなどを介して顧客が自ら問合せ内容などを入力することで、問合せを受け付けてもよい。この場合、問合せを受け付けるスタッフはいなくてもよい。
【0057】
小売チェーンアプリなどを介して問合せの受け付けが行われる場合、顧客は自らが有する携帯端末やPCなどを用いて小売チェーンアプリを起動し、問合せを入力する機能を用いて、自ら問合せ情報を入力し、送信する。この際、顧客は、問合せの対象となる店舗を選択する必要がある。問合せの対象となった店舗では、店舗端末2において顧客からの問合せがあったことを示す通知がなされてもよい。顧客が入力した問合せ情報は、ネットワークを介して情報処理装置1に送信される。
【0058】
いずれの場合でも、顧客からの問合せに応じて問合せ情報が生成され、情報処理装置1に送信される。
【0059】
ステップS2において、情報処理装置1は、問合せ情報および記憶部12の各種データベースに登録された情報を用いて、問合せに対応するスタッフを決定する決定処理を行う。決定処理の詳細については、後出の
図6を用いて説明する。
【0060】
ステップS3において、情報処理装置1は、ステップS2の決定処理で決定したスタッフに対し、問合せに対する対応を指示する対応指示処理を行う。対応指示処理の詳細については、後述する。
【0061】
これにより、対応を指示されたスタッフは問合せに対する対応を速やかに実行することができる。なお、対応は問合せを行った顧客に対して対面で行われてもよいし、チャット、ビデオ通話、電話などにより非対面で行われてもよい。
【0062】
<決定処理>
図6は、情報処理装置1による決定処理について説明するフローチャートである。
【0063】
ステップS11において、情報処理装置1は、問合せ情報および記憶部12の各DBから、問合せに対応するスタッフを決定するために必要な情報を取得する。
【0064】
ステップS12において、情報処理装置1は、小売チェーンに属する全店舗の中から、問合せを受け付けた店舗と同じフォーマットの店舗を抽出する。具体的には、例えば問合せを受け付けた店舗がフォーマットAであった場合、情報処理装置1は、全店舗のフォーマットを参照して、全店舗の中から、フォーマットAの店舗を抽出すればよい。
【0065】
これにより、以下のような効果が得られる。上述したように、フォーマットは、店舗の商品構成、商品の配置、フロアレイアウトなどを示す。このため、問合せを受け付けた店舗と同じフォーマットの他の店舗は、問合せを受け付けた店舗と似たような商品構成、商品の配置、フロアレイアウトなどを有している。問合せに対応するスタッフを決定するにあたって、まずは問合せを受け付けた店舗とフォーマットが同じ店舗を抽出することにより、抽出された店舗に勤務するスタッフが、問合せの内容を理解しやすく、かつ問合せに対する好適な対応を行いやすいスタッフであることを期待できる。
【0066】
ステップS13において、情報処理装置1は、抽出された全店舗のスタッフ情報を参照し、問合せ内容に適したスタッフを抽出する。
【0067】
例えば問合せ内容が「青果分野の商品」に関するものであった場合、情報処理装置1は、抽出された店舗の全スタッフのスタッフ情報を参照し、担当商品分野が「青果」であるスタッフを抽出する。また、例えば問合せ内容が「清掃に関するクレーム」であった場合、情報処理装置1は、抽出された店舗の全スタッフのスタッフ情報を参照し、クレーム対応の研修を受けていたり、過去にクレーム対応の経験が豊富であったりするスタッフを抽出する。
【0068】
問合せ内容に適したスタッフが複数存在した場合、情報処理装置1は、該当する全てのスタッフを抽出する。
【0069】
ステップS14において、情報処理装置1は、抽出されたスタッフに関する情報を参照し、抽出されたスタッフの中で、すぐに問合せ対応が可能なスタッフをさらに抽出する。
【0070】
ステップS14における抽出は、スタッフの稼働状況に基づいて行われる。例えば、あるスタッフが店舗に出勤しており、軽い事務作業などを行っていることが稼働状況により明らかである場合、情報処理装置1は、そのスタッフが対応可能と判断し、そのスタッフを抽出する。また、あるスタッフが配達作業中で外出していることが稼働状況により明らかである場合、情報処理装置1は、そのスタッフが対応不可と判断し、そのスタッフを抽出しない。さらに、あるスタッフの稼働状況が、すぐに問合せの対応が可能であるフラグを含んでいる場合、情報処理装置1は、そのスタッフを抽出する。情報処理装置1が抽出するスタッフを判断する判断基準は、あらかじめ設定されていればよい。
【0071】
ステップS14において抽出されたスタッフが複数人であった場合、これらのスタッフは問合せに対応するスタッフの候補となる。以下の説明において、ステップS14で抽出されたスタッフを、候補スタッフと記載する。
【0072】
ステップS15において、情報処理装置1は、問合せの内容、稼働状況、および担当商品分野に基づいて、ステップS14で抽出された候補スタッフの順位付けを行う。例えば、情報処理装置1は、過去に問合せに対する対応の回数がより多い候補スタッフの順位が高くなるように順位付けを行う。また、情報処理装置1は、より職位が高い候補スタッフの順位が高くなるように順位付けを行う。また、情報処理装置1は、問合せを受け付けた店舗に勤務する候補スタッフがいる場合、その候補スタッフの順位を最上位としてもよい。なお、順位付けの基準については、小売チェーンの店舗運営方針などにより自由に設定が可能であり、あらかじめ問合せ対応指示システム100の管理者などによって設定されていればよい。
【0073】
ステップS16において、情報処理装置1は、順位に基づいて、候補スタッフの中から実際に対応を行わせる対応スタッフを決定する。例えば、情報処理装置1は、上位所定人数の候補スタッフを対応スタッフとすればよい。所定人数については適宜の人数に設定可能であり、例えば1人であってもよいし、5人など複数の人数であってもよい。
【0074】
以上のような動作により、情報処理装置1は、小売チェーンの全スタッフの中から、問合せに対して対応しやすいスタッフ、優れた対応を行うことができるスタッフを対応スタッフとして決定することができる。また、問合せを受け付けた店舗に勤務する候補スタッフがいる場合、当該候補スタッフに問合せの対応を行わせることができる。なお、問合せを受け付けた店舗に勤務する候補スタッフがいる場合には、他店舗に勤務する候補スタッフの中から順位に基づいて対応スタッフが決定されればよい。特に、決定処理においては、問合せを受け付けた店舗と同じフォーマットの店舗を抽出することで、小売チェーンに属する多数のスタッフの中から、効率よくかつ精度よく対応スタッフの決定を行うことができる。
【0075】
また、決定処理においては、全スタッフの中から、問合せに最適な1人のスタッフまで絞り込んでから問合せへの対応を行わせるのではなく、複数の候補スタッフを抽出してその中から対応を行わせるスタッフを決定している。このため、問合せに最適な1人のスタッフまで絞り込んでから問合せへの対応を行わせる場合と比較して、対応スタッフを決定するまでの時間が比較的短くて済む。これにより、顧客が問合せしてからスタッフの対応が開始されるまでの待ち時間を低減できる。
【0076】
<対応指示処理>
【0077】
以下では、対応指示処理について説明する。
【0078】
情報処理装置1は、対応スタッフのうち少なくとも1人が有する店舗端末2に対して、問合せに対応する指示を送信する。指示の具体例としては、問合せを行った顧客がいる店舗にて対応スタッフが勤務している場合、当該顧客に対し対面で問合せへの対応を行うような指示が挙げられる。
【0079】
また、指示の他の具体例として、問合せを行った顧客がいる店舗と対応スタッフが勤務している店舗とが異なる場合、顧客が有する携帯端末、または顧客の最寄りの店舗端末2に対してチャット、ビデオ通話、または電話などにより対応を行うような指示が挙げられる。なお、以降の説明において、スタッフが有する店舗端末2に対して指示を送信することを、簡単のため、単にスタッフに指示を送信する、と記載することがある。
【0080】
また、情報処理装置1は、対応スタッフに対し指示を行ったタイミングで、顧客から問合せを受け付けたスタッフに対して、問合せの対応に参加するようにさらに指示を行ってもよいし、受け付けを終了して他の業務に移行するように指示を行ってもよい。
【0081】
対応スタッフのうち、指示が送信されないスタッフは、指示が送信されるスタッフが何らかの理由で対応が困難となった場合に代わりに対応を行う、待機スタッフとされる。
【0082】
なお、情報処理装置1は、決定処理で決定された対応スタッフが複数人の場合、そのうちのいずれに指示を送信するか、および、いずれに指示を送信しないか、については、あらかじめ決定された問合せへの対応方針に基づいて決定すればよい。
【0083】
一例として、情報処理装置1は、複数人の対応スタッフのうち、決定処理で与えられた順位が最も高い対応スタッフに対してのみ指示を行えばよい。この場合、情報処理装置1は、他の候補スタッフに対しては、問合せがあったこと、他のスタッフが対応中であること、および、場合によっては対応する必要があるため待機する必要があることを通知すればよい。
【0084】
決定処理で与えられた順位が最も高い対応スタッフが問合せに対応している間、当該対応スタッフが有する店舗端末2には、待機中の候補スタッフに関する表示(待機中の候補スタッフの名前、店舗、部門、現在の稼働状況などの表示)、当該対応スタッフが問合せへの対応が困難な場合には待機中のスタッフへの対応の交代が可能であることを示す表示などが行われてもよい。
【0085】
そして、例えば問合せに対応している対応スタッフが、何らかの理由により対応が困難となった場合、対応スタッフが自らの店舗端末2を操作することにより、待機中の候補スタッフのいずれかに対応を交代できるようにしてもよい。これにより、例えば最初に対応した対応スタッフが問合せに対応したところ、問合せの内容に適したスタッフではなかったことが発覚した場合、速やかに他の適したスタッフに対応を交代することができる。このため、問合せに関する顧客満足度の向上を期待できる。
【0086】
また、他の例として、情報処理装置1は、複数人の対応スタッフの全員に対し、同時に、問合せへの対応を行うように指示を行ってもよい。複数人の対応スタッフがそれぞれ別の店舗にて勤務している場合、情報処理装置1は、複数人の対応スタッフが有する店舗端末2と、顧客が有する携帯端末との間で、オンラインでグループ通話を行うように指示を行ってもよい。
【0087】
[作用、効果]
以上説明した実施の形態に係る問合せ対応指示システム100によれば、問合せを受け付けた際に、店舗の商品構成、商品の配置、フロアレイアウトなどを示すフォーマット情報を用いて、小売チェーンに所属する全スタッフの中から、問合せに好適な対応を行うことができるスタッフの絞り込みを行っている。この絞り込みにより抽出された店舗に勤務するスタッフは、問合せの内容を理解しやすく、かつ問合せに対する好適な対応を行いやすいスタッフである可能性が高い。
【0088】
このため、問合せ対応指示システム100によれば、小売チェーンの全スタッフの中から、問合せに対して対応しやすいスタッフ、優れた対応を行うことができるスタッフを対応スタッフとして決定することができる。
【0089】
[変形例]
以上、本開示の実施の形態について説明した。上述した実施の形態は、本開示の一例に過ぎず、本開示は上述した実施の形態以外にも、請求の範囲内において種々の変形をすることができる。
【0090】
上述した実施の形態では、顧客からの問合せに対し、1件ずつ対応する場合について説明したが、本開示は、例えば同一の顧客から複数の問合せを一度に受け付けた場合にも対応が可能である。
【0091】
同一の顧客から複数の問合せを一度に受け付けた場合、情報処理装置は、1件目の問合せに対する対応スタッフと2件目の問合せに対する対応スタッフとを独立して決定し、指示を行う。そして、1件目の対応スタッフが問合せへの対応を行っている間、その対応スタッフの店舗端末2に、2件目の対応スタッフに関する情報を送信し、1件目の問合せへの対応が完了次第、2件目の対応スタッフに対して対応を依頼するよう、指示を行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示は、小売チェーンにおいて顧客からの問い合わせへの対応を指示する情報処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0093】
100 対応指示システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
21 表示部
22 操作部
23 記憶部
24 通信部
25 制御部
131 取得部
132 決定部
133 指示部
2 店舗端末