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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165623
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】分別装置、及び、分別方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 15/00 20060101AFI20241121BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20241121BHJP
   H02G 1/12 20060101ALI20241121BHJP
   B23D 25/14 20060101ALI20241121BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01B15/00
B09B3/35
H02G1/12 048
B23D25/14 Z
B23D15/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081973
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高田 和彦
【テーマコード(参考)】
3C039
4D004
5G353
【Fターム(参考)】
3C039AA05
3C039EA41
4D004AA22
4D004AB03
4D004CA04
4D004CA07
4D004CA12
4D004CB13
5G353AB01
5G353AC01
5G353CA01
5G353CA07
5G353DA03
5G353EA10
(57)【要約】
【課題】雑ナゲットから線状導体をできるだけ回収してワイヤハーネスリサイクルの歩留まりを向上させることができる分別装置を提供する。
【解決手段】雑ナゲットの分別装置1は、フレーム2と、メッシュ51を有し、雑ナゲットが投入される第1のふるい5と、第1のふるい5のメッシュ51の目から突き出た線状導体を切断するトリミング部8と、第1のふるい5に残留した雑ナゲットを細断する細断部6と、第1のふるい5よりも目が細かいメッシュ71を有し、細断部6で細断された雑ナゲットが投入される第2のふるい7と、第1のふるい5のメッシュ51、第2のふるい7のメッシュ71を通過してふるい落とされた線状導体や、トリミング部8によって切断された線状導体を集める回収部9と、制御部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状導体、及び端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在したものである雑ナゲットの分別装置であって、
メッシュを有し、前記雑ナゲットが投入される第1のふるいと、
前記第1のふるいに残留した雑ナゲットを細断する細断部と、
前記第1のふるいよりも目が細かいメッシュを有し、前記細断部で細断された雑ナゲットが投入される第2のふるいと、
前記第1のふるい、前記第2のふるいのメッシュをそれぞれ通過してふるい落とされた線状導体を集める回収部と、を備えている
ことを特徴とする分別装置。
【請求項2】
前記第1のふるい又は前記第2のふるいのメッシュの目から突き出た線状導体を切断するトリミング部を備え、
前記トリミング部によって切断された線状導体を前記回収部が集める
ことを特徴とする請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記細断部が前記第2のふるいに連結されており、
前記第1のふるいと前記細断部とを連通させる連通部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の分別装置。
【請求項4】
前記第1のふるいと前記連通部との間に配置されて両者を連通した状態又は非連通状態にする蓋部と、
前記連通部と前記細断部との間に配置されて両者を連通した状態又は非連通状態にする蓋部と、を備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の分別装置。
【請求項5】
前記第1のふるい及び前記第2のふるいが、それぞれ円筒状の前記メッシュを有し、
前記第1のふるいの中心軸と前記第2のふるいの中心軸とが同一直線上に配置されており、
前記第1のふるいをその中心軸周りに回転させる第1の駆動部と、
前記第2のふるいをその中心軸周りに回転させる第2の駆動部と、
前記第1のふるい、前記連通部、前記細断部、及び前記第2のふるいを支持した支持部を回転させる第3の駆動部と、を備え、
前記第3の駆動部は、前記第1のふるい及び前記第2のふるいの中心軸が水平方向になるように、また、鉛直方向になるように回転させる
ことを特徴とする請求項3に記載の分別装置。
【請求項6】
前記第1のふるい又は前記第2のふるいは、正転方向に第1の角度回転し、次に反転方向に前記第1の角度とは異なる第2の角度回転し、次に正転方向に前記第1の角度及び前記第2の角度とは異なる第3の角度回転する動作を含む回転パターンで回転する
ことを特徴とする請求項5に記載の分別装置。
【請求項7】
前記細断部が、互いに重ねられて互いに逆回転する第1の回転刃及び第2の回転刃を有し、
前記第1の回転刃が前記第1のふるいと共に前記第1の駆動部によって回転し、
前記第2の回転刃が前記第2のふるいと共に前記第2の駆動部によって回転する
ことを特徴とする請求項5に記載の分別装置。
【請求項8】
前記トリミング部が、前記第1のふるい又は前記第2のふるいのメッシュに近接配置される固定刃と、前記固定刃に対して回転する回転刃と、を有し、
前記トリミング部は、前記メッシュの目から突き出た線状導体を前記固定刃と前記回転刃の間に挟んで該線状導体を切断する
ことを特徴とする請求項2に記載の分別装置。
【請求項9】
線状導体、及び端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在したものである雑ナゲットの分別方法であって、
メッシュを有する第1のふるいに前記雑ナゲットを投入し、該第1のふるいによって線状導体をふるい落とす一次ふるい工程と、
前記一次ふるい工程の後、前記第1のふるいに残留した雑ナゲットを細断する細断工程と、
前記第1のふるいよりも目が細かいメッシュを有する第2のふるいに前記細断工程で細断された雑ナゲットを投入し、該第2のふるいによって線状導体をふるい落とす二次ふるい工程と、
前記第1のふるい、前記第2のふるいのメッシュをそれぞれ通過してふるい落とされた線状導体を集める回収工程と、を有する
ことを特徴とする分別方法。
【請求項10】
前記一次ふるい工程の後又は前記二次ふるい工程の後、前記第1のふるい又は前記第2のふるいのメッシュの目から突き出た線状導体を切断するトリミング工程を有し、
前記回収工程では、前記トリミング工程で切断された線状導体も集める
ことを特徴とする請求項9に記載の分別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状導体、及び端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在した雑ナゲットの分別装置、及び、分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、車載機器同士の接続を行うためにワイヤハーネスが搭載されている。ワイヤハーネスは、例えば、純銅製の線状導体が絶縁被覆で覆われた電線と、電線の端末に接続された銅合金製の端子と、端子を収容した樹脂製コネクタハウジング等を備えている。このようなワイヤハーネスは、廃車から取り外されてリサイクルされている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-9280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤハーネスのリサイクル工程において、端子等の異種金属が混入していない純銅被覆電線のみの廃材料は、廃プラと純銅(線状導体)に分別が可能である。しかし、端子等の異種金属が混入している廃材料は分別が困難であるため、廃プラを取り除いたもの(線状導体及び端子等の非線状物が混在したもの)を「雑ナゲット」として回収している。雑ナゲットは純銅度が92~97%程度であり、電線材料としての再利用はできない。また、電解精錬等の既存方法で純銅を抽出するにはコストがかかりすぎて現実的ではない。
【0005】
そこで、本発明は、雑ナゲットから線状導体をできるだけ回収してワイヤハーネスリサイクルの歩留まりを向上させることができる分別装置、及び、分別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、線状導体、及び端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在したものである雑ナゲットの分別装置であって、メッシュを有し、前記雑ナゲットが投入される第1のふるいと、前記第1のふるいに残留した雑ナゲットを細断する細断部と、前記第1のふるいよりも目が細かいメッシュを有し、前記細断部で細断された雑ナゲットが投入される第2のふるいと、前記第1のふるい、前記第2のふるいのメッシュをそれぞれ通過してふるい落とされた線状導体を集める回収部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明は、線状導体、及び端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在したものである雑ナゲットの分別方法であって、メッシュを有する第1のふるいに前記雑ナゲットを投入し、該第1のふるいによって線状導体をふるい落とす一次ふるい工程と、前記一次ふるい工程の後、前記第1のふるいに残留した雑ナゲットを細断する細断工程と、前記第1のふるいよりも目が細かいメッシュを有する第2のふるいに前記細断工程で細断された雑ナゲットを投入し、該第2のふるいによって線状導体をふるい落とす二次ふるい工程と、前記第1のふるい、前記第2のふるいのメッシュをそれぞれ通過してふるい落とされた線状導体を集める回収工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1のふるいによってふるい落とせなかった線状導体を第2のふるいによってふるい落とすことができ、雑ナゲットから線状導体をより多く回収してワイヤハーネスリサイクルの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる雑ナゲットの分別装置の斜視図である。
図2図1の分別装置の平面図である。
図3図1の分別装置の側面図である。
図4図2の分別装置の要部拡大図である。
図5図4中のA-A線に沿った断面図である。
図6図5の分別装置の要部拡大図である。
図7図1の第1のふるいの斜視図である。
図8図4中のB-B線に沿った断面図である。
図9図8のトリミング部の回転刃が回転した状態を示す断面図である。
図10図9の回転刃が回転してメッシュの目から突き出た線状導体を切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる「分別装置」及び「分別方法」について、図1~10を参照して説明する。
【0011】
図1~4に示す分別装置1は、廃車から取り外されたワイヤハーネスが幾つかの解体工程を経て得られた「雑ナゲット」の分別装置である。前記雑ナゲットは、絶縁被覆が除去された純銅製の線状導体、及び銅合金製の端子を含む非線状物が切断されてこれらが混在したものである。この雑ナゲットに含まれる線状導体は、直径0.2mm、長さが数mm程度のものである。分別装置1は、前記雑ナゲットから純銅(線状導体)を回収するものである。
【0012】
分別装置1は、フロア上に設置されたフレーム2、第1のふるい5、細断部6、第2のふるい7、連通部41、支持部4、蓋部11~14、モータ30~32、トリミング部8、回収部9、複数のエアシリンダ、制御部(図示を省略)等を備えている。
【0013】
第1のふるい5は、上記雑ナゲットが投入され、この雑ナゲットに含まれる線状導体をふるい落とすものである。第1のふるい5は、図5に示すように、円筒状のメッシュ51と、メッシュ51の一端側の開口に取り付けられた板部52と、メッシュ51の他端側の開口に取り付けられた板部53と、板部52及び板部53に連結された支柱50と、を有している。
【0014】
メッシュ51は、目開きが0.44mmである。支柱50は、第1のふるい5の中心軸を通るように設けられている。板部52は、メッシュ51における一端側、即ち第2のふるい7と反対側の開口に取り付けられている。板部52は、円板状に形成されて前記開口を塞いでいるが、図7に示すように、雑ナゲットを投入するための貫通孔52aが形成されている。
【0015】
また、図5,7に示すように、板部52の外面には、円板状の蓋部11が重ねられている。蓋部11は、板部52に対して回転可能に設けられている。蓋部11には、板部52の貫通孔52aと重なる貫通孔11aが形成されている。第1のふるい5に雑ナゲットを投入する際は、これら貫通孔52a,11a同士が重なる位置に位置付けられ、投入後は貫通孔52a,11a同士が重ならない位置に位置付けられる。このような貫通孔52aの開閉は、蓋部11を動かないように固定した状態で、第1のふるい5を回転させることで行っている。
【0016】
また、蓋部11の固定は、フレーム2に取り付けられた一対のエアシリンダ35(図2参照)によって行っている。エアシリンダ35は、突没可能なピン35aを有している。ピン35aが蓋部11に向かって伸長し、蓋部11に形成された穴11bに挿入されることで、蓋部11がフレーム2に対して固定される。ピン35aが蓋部11から遠ざかる方向に収縮し、穴11bから抜けることで、蓋部11の固定が解除される。このようなエアシリンダ35の動作は、上記制御部によって制御されている。
【0017】
なお、図7においては、板部52の貫通孔52aを可視化するために蓋部11を破線で描いているが、この破線で描かれた蓋部11は実際に存在している。
【0018】
このような第1のふるい5は、モータ31(「第1の駆動部」に相当)によってその中心軸(支柱50)周りに回転される。モータ31の駆動は上記制御部によって制御されている。また、モータ31の回転力は、図6に示す歯車15やシャフト16等を介して第1のふるい5に伝達される。雑ナゲットが投入された状態の第1のふるい5がその中心軸周りに回転することで、線状導体がメッシュ51の目を通過して落下する。
【0019】
細断部6は、第1のふるい5によってふるい落とされずに第1のふるい5内部に残留した雑ナゲットを細断するものである。細断部6は、図5,6に示すように、有底円筒状のケース61と、ケース61に取り付けられたカッター62と、を有している。ケース61とカッター62とは、互いの間に空間を形成している。この空間は、供給された雑ナゲットを収容するためのものである。ケース61は第2のふるい7に連結されており、カッター62が第2のふるい7に隣接している。
【0020】
カッター62は、互いに重ねられた3枚の回転刃62a,62b,62cで構成されている。3枚のうちの中央の第2の回転刃62bは、ケース61に固定されている。第2の回転刃62bを挟んだ第1の回転刃62aと第3の回転刃62cは、ケース61に対して回転可能に設けられている。第1の回転刃62aと第2の回転刃62bは互いに逆回転し、第1の回転刃62aと第3の回転刃62cは同方向に回転する。各回転刃62a,62b,62cは、回転時にあるタイミングで互いに重なる孔が形成されている。これら孔に雑ナゲットが通された状態で回転刃62a,62bと回転刃62bとが逆回転することで雑ナゲットが切断されるように設けられている。
【0021】
また、各回転刃62a,62b,62cの前記孔は、互いに重なるタイミングで第2のふるい7の内部空間と連通する。よって、切断された雑ナゲットが第2のふるい7の内部空間に位置付けられることになる。
【0022】
また、第1の回転刃62aと第3の回転刃62cは、第1のふるい5と共にモータ31によって回転する。第2の回転刃62bは、第2のふるい7及びケース61と共にモータ32(「第2の駆動部」に相当)によって回転する。このように本例では回転刃とふるいとを共通のモータによって回転させることでモータの数を減らしているが、回転刃及びふるいが専用のモータによって回転される構成であっても構わない。
【0023】
第2のふるい7は、細断部6で細断された雑ナゲットが投入され、この雑ナゲットに含まれる線状導体をふるい落とすものである。第2のふるい7は、図5に示すように、円筒状のメッシュ71と、メッシュ71の一端側の開口に取り付けられた板部72と、メッシュ71の他端側の開口に取り付けられた板部73と、板部72及び板部73に連結された支柱70と、を有している。
【0024】
メッシュ71は、目開きが0.385mmであり、第1のふるい5のメッシュ51よりも目が細かい。第2のふるい7のメッシュ71の目が第1のふるい5のメッシュ51よりも細かい理由は、細断部6によって細断された雑ナゲット中の非線状物(線状導体以外のものであり、端子等)がメッシュ71の目を通過することを防ぐためである。
【0025】
支柱70は、第2のふるい7の中心軸を通るように設けられている。板部72は、メッシュ71における一端側、即ち細断部6側の開口に取り付けられている。板部72は、円板状に形成されて前記開口を塞いでいるが、細断部6からの雑ナゲットを通すための貫通孔が形成されている。板部73は、メッシュ71における他端側、即ち細断部6と反対側の開口に取り付けられている。板部73は円板状に形成されて前記開口を塞いでいるが、第2のふるい7によってふるい落とされずに第2のふるい7内部に残留した雑ナゲットを排出するための貫通孔が形成されている。
【0026】
また、図5に示すように、板部73の外面には、円板状の蓋部14が重ねられている。蓋部14は、板部73に対して回転可能に設けられている。蓋部14には、板部73の前記貫通孔と重なる貫通孔が形成されている。雑ナゲットを排出する際は、これら貫通孔同士が重なる位置に位置付けられ、排出時以外は貫通孔同士が重ならない位置に位置付けられる。このような貫通孔の開閉は、蓋部14を動かないように固定した状態で、第2のふるい7を回転させることで行っている。蓋部14の固定は、蓋部11の固定と同様に、フレーム2に取り付けられた一対のエアシリンダ36(図2参照)によって行っている。エアシリンダ36の動作は、エアシリンダ35の動作と同様であり、上記制御部によって制御されている。
【0027】
このような第2のふるい7は、モータ32によってその中心軸(支柱70)周りに回転される。モータ32の駆動は上記制御部によって制御されている。また、モータ32の回転力は、図6に示す歯車17やシャフト18等を介して第2のふるい7に伝達される。雑ナゲットが投入された状態の第2のふるい7がその中心軸周りに回転することで、線状導体がメッシュ71の目を通過して落下する。
【0028】
支持部4は、第1のふるい5と細断部6との間に配されており、第1のふるい5、細断部6、第2のふるい7、及びモータ31,32を回転可能に支持し、連通部41を回転不能に支持している。連通部41は、第1のふるい5と細断部6とを連通させて雑ナゲットを通過させる部位である。支持部4に支持された第1のふるい5及び第2のふるい7は、それぞれの中心軸が同一直線(図4等に示す一点鎖線P2)上に配置されている。
【0029】
支持部4は、フレーム2に取り付けられたモータ30(「第3の駆動部」に相当)のシャフト30aが連結されている。支持部4は、シャフト30aを中心に回転する。シャフト30aの中心線を図4中に一点鎖線P1で示す。シャフト30aは、水平方向に延びている。モータ30は、第1のふるい5及び第2のふるい7の中心軸が水平方向になるように、また、鉛直方向になるように支持部4を回転させる。モータ30の駆動は上記制御部によって制御されている。
【0030】
蓋部12は、図6に示すように、第1のふるい5と連通部41との間に配置されており、第1のふるい5と連通部41を連通した状態又は非連通状態にするものである。蓋部12は円板状に形成されており、第1のふるい5の板部53の外面に重ねられている。蓋部12は、板部53に対して回転可能に設けられている。蓋部12には、板部53に形成された貫通孔53aと重なる貫通孔12aが形成されている。これら貫通孔53a,12a同士が重なる位置に位置付けられることで第1のふるい5と連通部41が連通し、雑ナゲットが通過可能となる。貫通孔53a,12a同士が重ならない位置に位置付けられることで第1のふるい5と連通部41が非連通状態になり、雑ナゲットが通過不能となる。
【0031】
このような貫通孔53aの開閉は、蓋部12を動かないように固定した状態で、第1のふるい5を回転させることで行っている。蓋部12の固定は、支持部4に固定された不図示のエアシリンダによって行っている。前記エアシリンダの動作は、上述したエアシリンダ35,36の動作と同様であり、上記制御部によって制御されている。
【0032】
蓋部13は、図6に示すように、連通部41と細断部6との間に配置されており、連通部41と細断部6を連通した状態又は非連通状態にするものである。蓋部13は円板状に形成されており、細断部6のケース61の外面に重ねられている。蓋部13は、ケース61に対して回転可能に設けられている。蓋部13には、ケース61に形成された貫通孔61aと重なる貫通孔13aが形成されている。これら貫通孔61a,13a同士が重なる位置に位置付けられることで連通部41と細断部6が連通し、雑ナゲットが通過可能となる。貫通孔61a,13a同士が重ならない位置に位置付けられることで連通部41と細断部6が非連通状態になり、雑ナゲットが通過不能となる。
【0033】
このような貫通孔61aの開閉は、蓋部13を動かないように固定した状態で、ケース61を回転させることで行っている。蓋部13の固定は、支持部4に固定された不図示のエアシリンダによって行っている。前記エアシリンダの動作は、上述したエアシリンダ35,36の動作と同様であり、上記制御部によって制御されている。
【0034】
トリミング部8は、第1のふるい5のメッシュ51の目から突き出た線状導体を切断するものである。トリミング部8は、図4,8~10に示すように、回転刃81と、固定刃82と、固定刃82に固定された固定部材83と、固定部材83に連結されたアーム84と、シャフト85と、モータ33,34と、を有している。
【0035】
回転刃81は、円柱部材の外周部に切欠き81aが形成されたものであり、上記制御部に制御されたモータ33によってその中心軸P3周りに回転するように設けられている。中心軸P3は、第1のふるい5の中心軸P2と平行である。
【0036】
固定刃82は、第1のふるい5のメッシュ51に近接配置される。固定刃82は、回転刃81におけるメッシュ51との対向部位を露出させ、それ以外の部分を囲むように設けられている。
【0037】
アーム84は、シャフト85によってフレーム2に回動可能に取り付けられている。また、上記制御部に制御されたモータ34の回転力がシャフト85を介してアーム84に伝達されることで、アーム84がシャフト85を中心に回動する。アーム84が回動することによって、回転刃81及び固定刃82がメッシュ51の近接位置又は離間位置に配置される。
【0038】
図8~10に示すように回転刃81が固定刃82に対して回転し、メッシュ51の目から突き出た線状導体10が固定刃82のエッジ82bと回転刃81のエッジ81bとの間に挟まれることで線状導体10が切断される。切断された線状導体10の破片は、切欠き81a内に位置付けられて回転刃81と共に移動し、固定刃82に形成された貫通孔82a、固定部材83に形成された貫通孔83aを通過して落下する(トリミング工程)。
【0039】
回収部9は、第1のふるい5のメッシュ51、第2のふるい7のメッシュ71をそれぞれ通過してふるい落とされた線状導体や、トリミング部8によって切断された線状導体を集めるものである。回収部9は、フレーム2に取り付けられたコンベア91と、第1のふるい5、第2のふるい7から落下した線状導体をコンベア91側に集めるガイド板92と、コンベア91の一端側に配されたスロープ93と、回収容器等を備えている。
【0040】
上記回収容器は、線状導体を回収するものと、第2のふるい7から排出された雑ナゲットを回収するものが備わっている。線状導体用の回収容器は、スロープ93の下方に配置されている。雑ナゲット用の回収容器は、コンベア91の他端側に配置されている。コンベア91が正転することで線状導体が線状導体用の回収容器に回収され、コンベア91が反転することで雑ナゲットが雑ナゲット用の回収容器に回収される。
【0041】
第2のふるい7からの雑ナゲットの排出は、第1のふるい5及び第2のふるい7のふるい工程の後に行われ、コンベア91上で線状導体と雑ナゲットが混ざることが回避されている。これら雑ナゲットの排出工程やコンベア91の回転制御は、上記制御部によって制御されている。
【0042】
上記分別装置1を用いた分別方法の一例を説明する。まず、第1のふるい5に雑ナゲットが投入される。投入後、第1のふるい5が予めプログラムされた回転パターンによって回転し、線状導体をふるい落とす(一次ふるい工程)。この一次ふるい工程が所定時間行われた後、トリミング部8の回転刃81及び固定刃82がメッシュ51の離間位置から近接位置に移動され、上述したトリミング工程が行われる。また、一次ふるい工程とトリミング工程に平行して回収部9が稼働され、コンベア91上に集められた線状導体が線状導体用の回収容器に回収される(回収工程)。
【0043】
トリミング工程が所定時間行われた後、連通部41によって第1のふるい5と細断部6とが連通された状態とされる。そして、モータ30の駆動によって連通部41が傾けられることで第1のふるい5から細断部6に雑ナゲットが移動される。
【0044】
続いて、細断部6によって雑ナゲットの細断工程が行われる。モータ30の駆動によって細断部6を上、第2のふるい7を下に位置付けた状態でカッター62を稼働させることで細断された雑ナゲットが第2のふるい7に供給される。一度第2のふるい7に供給された雑ナゲットを細断部6に移動させ、細断工程を複数回行ってもよい。第2のふるい7から細断部6への雑ナゲットの移動は、モータ30の駆動によって細断部6を下、第2のふるい7を上に位置付けることで可能となる。
【0045】
細断された雑ナゲットが第2のふるい7に供給された後、第2のふるい7が予めプログラムされた回転パターンによって回転し、線状導体をふるい落とす(二次ふるい工程)。また、二次ふるい工程に平行して回収部9が稼働され、コンベア91上に集められた線状導体が線状導体用の回収容器に回収される(回収工程)。この二次ふるい工程の終了後、コンベア91が停止し、第2のふるい7に残留した雑ナゲットの排出が行われる。コンベア91上に雑ナゲットが排出されると、コンベア91が反転して雑ナゲットが雑ナゲット用の回収容器に回収される。上述した一連の工程は、予め設定されたプログラムを上記制御部が実行することにより行われる。
【0046】
また、上述した第1のふるい5による一次ふるい工程、第2のふるい7による二次ふるい工程においては、下記回転パターンが実行される。即ち、各ふるい5,7は、正転方向に第1の角度回転し、次に反転方向に第1の角度とは異なる第2の角度回転し、次に正転方向に第1の角度及び第2の角度とは異なる第3の角度回転する動作を含む回転パターンで回転する。前記第1の角度は、例えば270度であり、前記第2の角度は、例えば90度であり、前記第3の角度は、例えば180度である。このような回転パターンとすることで、各ふるい5,7の一部の箇所に線状導体が滞留することを回避したり、メッシュ51,71に引っかかった線状導体を通過させることができる。
【0047】
上述した分別装置1は、第1のふるい5によってふるい落とせなかった線状導体を、細断部6による細断後に第2のふるい7によってふるい落とすことができる。また、第2のふるい7のメッシュ71は第1のふるい5のメッシュ51よりも目が細かいため、細断部6によって細断された雑ナゲット中の非線状物(線状導体以外のものであり、端子等)がメッシュ71の目を通過することを防止でき、純銅度を高く保つことができる。よって、雑ナゲットから線状導体をより多く回収してワイヤハーネスリサイクルの歩留まりを向上させることができる。
【0048】
上述した実施形態では、メッシュ51の目開きが0.44mmであり、メッシュ71の目開きが0.385mmであったが、これは、上記実施形態の太さ0.2mmの線状導体に対して好適な目開き寸法である。本発明では、線状導体の太さ、線状導体の目標回収率・純度に応じてメッシュの目開き寸法を変更可能である。
【0049】
上述した実施形態では、トリミング部8が第1のふるい5に対してのみ設けられていたが、第2のふるい7に対してトリミング部8が設けられていてもよいし、第1のふるい5及び第2のふるい7それぞれに対してトリミング部8が設けられていてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、分別装置1が純銅製の線状導体を回収するために用いられていたが、本発明の線状導体は純銅製に限らず、例えばアルミニウム製であってもよい。そして、分別装置1がアルミニウム製の線状導体を回収するために用いられてもよい。
【0051】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 分別装置
2 フレーム
4 支持部
5 第1のふるい
6 細断部
7 第2のふるい
8 トリミング部
9 回収部
41 連通部
51,71 メッシュ
図1
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