(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165629
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】クロロプレンゴム組成物およびボールジョイント用ダストカバー
(51)【国際特許分類】
C08L 11/00 20060101AFI20241121BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20241121BHJP
C08K 5/18 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C08L11/00
C08L91/06
C08K5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081982
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000143307
【氏名又は名称】株式会社荒井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】藤山 正道
(72)【発明者】
【氏名】川崎 弘志
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC091
4J002AE032
4J002AE053
4J002DA030
4J002DE070
4J002DE100
4J002EN076
4J002FD072
4J002FD076
4J002GM00
(57)【要約】
【課題】ボールジョイント用ダストカバーに用いられるゴム組成物において、耐熱性および耐オゾン性を向上すべくクロロプレンゴムを用いたうえで、金属との接着性にすぐれ、さらには一段と高い耐オゾン性が得られるクロロプレンゴム組成物を提供する。
【解決手段】クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部、好ましくは4~6重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部、好ましくは8~10重量部を配合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部、好ましくは4~6重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部、好ましくは8~10重量部とを配合したことを特徴とするクロロプレンゴム組成物。
【請求項2】
融点90℃以下の炭化水素系ワックスが、マイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする請求項1に記載のクロロプレンゴム組成物。
【請求項3】
芳香族第二級アミン系老化防止剤が、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミンまたはN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンであることを特徴とする請求項1または2に記載のクロロプレンゴム組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のクロロプレンゴム組成物からなるボールジョイント用ダストカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロロプレンゴム組成物に関し、さらに詳しくは、自動車用ボールジョイントにおいてダストや雨水等の異物の侵入を防ぐためのダストカバーに用いて好適なクロロプレンゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ボールジョイントにおいては、例えば特許文献1に開示されるように、ダストや雨水等の異物の侵入を防ぐためのダストカバーが装着されている。
【0003】
このようなボールジョイント用ダストカバーの材料には一般にゴム材が用いられるが、その中でも特に耐熱性および耐オゾン性にすぐれたゴム材料としてクロロプレンゴムが好適である。ボールジョイント用ダストカバーに類するものとして特許文献2には、クロロプレンゴムを材料に用いた等速ジョイントブーツが開示されており、ここではクロロプレンゴム100重量部に対して3重量部以下のp-フェニレンジアミンを添加し、さらに0.8重量部以下のパラフィンワックスを添加したクロロプレンゴム組成物の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-252519号公報
【特許文献2】特開2000-291798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような特許文献2のクロロプレンゴム組成物をボールジョイント用ダストカバーに適用する場合、ゴムと金属との接着性が課題となる。すなわち、特許文献1に開示されるようにボールジョイント用ダストカバーではゴムに金属環が内設されており、ここではゴムと金属環とが確実に接着されている必要があるが、これに関しては特許文献2では特に考慮されていない。
【0006】
さらにボールジョイント用ダストカバーでは近年、地球環境の悪化と、それに伴う信頼性向上要求により、一段と高い耐オゾン性が必要となってきている。すなわち、従来はオゾン濃度が50pphmで30%伸長の静的オゾン劣化試験(JIS K 6259)で500時間以上亀裂の生じないクロロプレンゴム組成物で十分であったが、近年これでは満足されず、オゾン濃度が50pphmで0~30%伸長の動的オゾン劣化試験(JIS K 6259)で500時間以上亀裂の生じないクロロプレンゴム組成物からなるダストカバーが求められている。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ボールジョイント用ダストカバーに用いられるゴム組成物において、耐熱性および耐オゾン性を向上すべくクロロプレンゴムを用いた上で、金属との接着性にすぐれ、さらには一段と高い耐オゾン性が得られるクロロプレンゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究の結果、クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部とを配合することにより、金属との接着性がよく、かつオゾン濃度が50pphmで0~30%伸長の動的オゾン劣化試験(JIS K 6259)において500時間以上亀裂が発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、第1の発明のクロロプレンゴム組成物は、クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部、好ましくは4~6重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部、好ましくは8~10重量部とを配合したことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、融点90℃以下の炭化水素系ワックスが、マイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、芳香族第二級アミン系老化防止剤が、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミンまたはN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンであることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明に記載のクロロプレンゴム組成物からなるボールジョイント用ダストカバーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部とを配合せしめることにより、金属との接着性にすぐれ、さらにはオゾン濃度が50pphmで0~30%伸長の動的オゾン劣化試験(JIS K 6259)で500時間以上亀裂の生じないクロロプレンゴム組成物を得ることができ、これをボールジョイント用ダストカバーに適用することで、一段と高い耐オゾン性を有するダストカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用されるボールジョイントの全体縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すボールジョイント1は、例えば自動車の操舵装置と車輪との間に使用されるものであり、操舵装置側のハウジング2と、ハウジング2に設けられた軸受部材3と、軸受部材3に傾動かつ回転可能に軸支されたボール部4aを一端に有するボールスタッド4とを有する。ボールスタッド4の軸部4bには車輪側のナックルアーム5が締結手段6a,6bをもって固定され、これによりハウジング2に対しナックルアーム5がボール部4aを支点として傾動かつ回転可能に連結された構造となっている。
【0013】
このボールジョイント1においては、ハウジング2とナックルアーム5の間に、外部からダストや雨水等の異物が侵入することを防止するためのゴム製のダストカバー7が装着される。ダストカバー7は全体として筒袋状をなし、一端側の大径部7aと、他端側の小径部7bと、外方に膨らむ中央部7cとが一体に成形され、大径部7aがハウジング2の座部2aに圧入固定されると共に、小径部7bがナックルアーム5と接するようにボールスタッド4の軸部4bに圧入固定される。なお、この圧入固定を確実なものとするため、ダストカバー7の大径部7aと小径部7bには、夫々金属環8aと8bが内設されている。また、ダストカバー7の内部には、ハウジング2の軸受部材3とボールスタッド4のボール部4aとの間を潤滑するグリースが封入される。
【0014】
本発明によるクロロプレンゴム組成物は、上記の如く構成されるボールジョイント1のダストカバー7に用いて好適なものであり、ここではゴムと金属環との間ですぐれた接着性を確保しつつ、耐オゾン性を一段と向上させるため、そのゴム組成に新規の配合を採用している。
すなわち本発明は、クロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部、好ましくは4~6重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部、好ましくは8~10重量部とを配合してなるものである。
【0015】
クロロプレンゴムは、クロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)を重合させることにより得られるゴムであり、耐熱老化性、耐候性、耐薬品性などに優れた汎用特殊合成ゴムである。本発明でクロロプレンゴムとしては、市販品、例えば、デンカクロロプレンM-40,M-120,EM-40,S-40V,DCR-30,DCR-35,DCR-36,DCR-37,DCR-40A,DCR-42A,DCR-66,PM-40NS(以上、デンカ株式会社製商品名)、スカイプレン505,630,640,B-5,B-5A,B-10,B-10H,B-11,B-12,B-25,B-30,B-31,E-20,E-20H,E-33,R-10,R-22,TSR-41,TSR-42,TSR-44,TSR-48,TSR-51,TSR-52,TSR-54,TSR-57,TSR-61,TSR-70,P-90,Y-30S,Y-31(以上、東ソー株式会社製商品名)、ショウプレンGW,SND5,SND22,SND37,TRT,TW,TW100,W,WB,WHV,WHV100,WK,WRT,WXJ,WXJK(以上、昭和電工株式会社製商品名)などが例示され、これらのクロロプレンゴムが単独あるいは数種類のグレードをブレンドして用いられる。
【0016】
本発明における必須成分である炭化水素系ワックスは、直鎖状パラフィンを主成分とする高純度のパラフィンワックスと、直鎖状パラフィンに分岐状パラフィンや環状パラフィンなどの副成分を多数含むマイクロクリスタリンワックスに分類される。
パラフィンワックスとしては、例えば、パラフィンワックス115°F(融点48℃),120°F(融点50℃),125°F(融点53℃),130°F(融点56℃),135°F(融点59℃),140°F(融点61℃),145°F(融点63℃),150°F(融点66℃),155°F(融点69℃)(以上、日本精鑞株式会社製商品名)が例示される。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、サンタイトR(融点68℃),サンタイトC(融点72℃),サンタイトS(融点73℃),サンタイトZ(融点81℃)(以上、精工化学株式会社製商品名)、サンノックP(融点70℃),サンノック(融点77℃)(以上、大内新興化学工業株式会社製商品名)などが例示され、炭化水素系ワックスとしてはパラフィンワックスよりマイクロクリスタリンワックスの方が耐オゾン性がよい。
本発明では融点が90 ℃ 以下の炭化水素系ワックスが用いられ、融点がこれより高いワックスを用いると耐オゾン性の効果を達成することが難しくなる。なお、ここでいうマイクロクリスタリンワックスの融点はTGA(熱重量分析)で測定した。
【0017】
本発明において炭化水素系ワックスは、クロロプレンゴム100重量部に対して、3.5~10重量部の割合で用いられる。ワックスがこれより多い割合で用いられると、金属との接着性が悪化し、一方これより少ない割合で用いられると耐オゾン性の効果を達成することが難しくなる。
【0018】
本発明において、芳香族第二級アミン系老化防止剤がN-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミンまたはN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンであることを特徴とする。すなわち、本発明におけるもう一つの必須成分である芳香族第二級アミン系老化防止剤は、アンモニアの水素原子を炭化水素基または芳香族原子団で二個置換した化合物で、これには特にN-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(ノクラック810-NA(大内新興化学工業株式会社製商品名),オゾノン3C(精工化学株式会社製商品名),アンテージ3C(川口化学工業株式会社製商品名))や、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製商品名),オゾノン6C(精工化学株式会社製商品名),アンテージ6C(川口化学工業株式会社製商品名))が好適に用いられる。その他にも、フェニル-1-ナフチルアミン(ノクラックPA(大内新興化学工業株式会社製商品名))、オクチル化ジフェニルアミン(ノクラックAD-F(大内新興化学工業株式会社製商品名),ノンフレックスOD-3(精工化学株式会社製商品名))、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ノクラックCD(大内新興化学工業株式会社製商品名))、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン(ノクラックTD(大内新興化学工業株式会社製商品名))、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン(ノクラックWhite(大内新興化学工業株式会社製商品名),ノンフレックスF(精工化学株式会社製商品名))、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(ノクラックDP(大内新興化学工業株式会社製商品名),ノンフレックスH(精工化学株式会社製商品名),アンテージDP(川口化学工業株式会社製商品名))、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン(ノクラックG-1(大内新興化学工業株式会社製商品名))などを用いてもよい。
【0019】
本発明において芳香族第二級アミン系老化防止剤は、クロロプレンゴム100重量部に対して、5~12重量部の割合で用いられる。芳香族第二級アミン系老化防止剤がこれより多い割合で用いられると、スコーチなどの不具合を誘発し、一方これより少ない割合で用いられると耐オゾン性の効果を達成することが難しくなる。
【0020】
クロロプレンゴム組成物中には、必須成分である炭化水素系ワックスおよび芳香族第二級アミン系老化防止剤以外に、補強材、増量充填剤、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、老化防止剤等、ゴム工業で一般的に用いられている各種配合剤が適宜添加される。
【0021】
本発明では、クロロプレンゴム100重量部に対して、0~80重量部、好ましくは0~40重量部程度のカーボンブラックやシリカ系充填剤などの補強剤を添加してもよい。80重量部を越える使用は、ゴムの混練り性が悪くなるので好ましくない。
【0022】
カーボンブラックとしては、旭#90(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN110,N134(以上、昭和キャボット株式会社製商品名)、シースト9(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイヤブラック-A(三菱化学製商品名)などのSAFカーボン(平均粒径18~22μm)、シースト9H(東海カーボン株式会社製商品名)などのSAF-HSカーボン(平均粒径20μm前後)、旭#80(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN220(昭和キャボット株式会社製商品名)、シースト6(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイヤブラック I,N220M(以上、三菱化学株式会社製商品名)などのISAFカーボン(平均粒径19~29μm)、旭#75(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN339(昭和キャボット株式会社製商品名)、シーストKH(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックN339(三菱化学株式会社製商品名)などのN-339カーボン(平均粒径24μm前後)、旭#80L(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN219(昭和キャボット株式会社製商品名)、シースト600(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックLI(三菱化学株式会社製商品名)などのISAF-LSカーボン(平均粒径21~24μm)、旭#78(旭カーボン株式会社製商品名)、シースト5H(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラック II(三菱化学株式会社製商品名)などのI-ISAF-HSカーボン(平均粒径21~31μm)、旭#70(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN330(昭和キャボット株式会社製商品名)、シーストS(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラック-H(三菱化学株式会社製商品名)などのHAFカーボン(26~30μm)、旭#70H(旭カーボン株式会社製商品名)、シースト3H(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラック-SH(三菱化学株式会社製商品名)などのHAF-HSカーボン(平均粒径22~30μm)、旭#70IH(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN351(昭和キャボット株式会社製商品名)、シーストNH(東海カーボン株式会社製商品名)などのN-351カーボン(平均粒径29μm前後)、旭70L(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN326(昭和キャボット株式会社製商品名)、シースト300(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックLH(三菱化学株式会社製商品名)などのHAF-LSカーボン(平均粒径25~29μm)、旭70IN(旭カーボン株式会社製商品名)、シーストN(東海カーボン製商品名)などのLI-HAFカーボン(平均粒径29μm前後)、旭60H(旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックMAF(昭和キャボット株式会社製商品名)、シースト116(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックN550M,SF,M(以上、三菱化学株式会社製商品名)などのMAFカーボン(平均粒径30~35μm)、旭#60,#60U(以上、旭カーボン株式会社製商品名)、ショウブラックN550(昭和キャボット株式会社製商品名)、シーストSO,FM(以上、東海カーボン株式会社製商品名)、ダイヤブラック-E,EY(以上、三菱化学株式会社製商品名)などのFEFカーボン(平均粒径40~52μm)、旭#50,#50U,#51(以上、旭カーボン株式会社製商品名)、シーストS(東海カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックR(三菱化学株式会社製商品名)などのSRFカーボン(平均粒径58~94μm)、旭#35(旭カーボン株式会社製商品名)、ダイアブラックN760M,LR(以上、三菱化学株式会社製商品名)などのSRF-LMカーボン、旭#55(旭カーボン株式会社製商品名)、シーストV(東海カーボン株式会社製商品名)などのGPFカーボン(49~84μm)が例示される。
【0023】
シリカ系充填剤としては、アエロジル130,200,300,380,R972,R974(以上、日本アエロジル株式会社製商品名)やレオロシールQS13,QS30,QS38,QS102(以上、株式会社トクヤマ製商品名)の如き乾式シリカ、カープレックス#67,#80,#100,#1120,XR,22S,CS-5,CS-7(以上、シオノギ製薬株式会社製商品名)やシルトンA,R-2(以上、水沢化学工業株式会社製商品名)やトクシールAL-1,Gu,U,UR,US(以上、株式会社トクヤマ製商品名)やニップシールAQ,ER,LP,NA,NP,NS-K,VN3(以上、日本シリカ株式会社製商品名)やUltrasil VN3(デグッサ(Degussa)(ドイツ)社製商品名)やHi-Sil233(ピー・ピー・ジー・インダストリーズ(PPG Industries)(アメリカ)社製商品名)の如き湿式シリカなどが例示される。
【0024】
また、白艶華CC,DD,O,U(以上、白石工業株式会社製商品名)の如き活性化炭酸カルシウム、白艶華A,AA(以上、白石工業株式会社製商品名)の如き特殊炭酸カルシウム、ミストロンペーパー(日本ミストロン株式会社製商品名)の如きマグネシウム・シリケート、ハイトロン,ハイトロンA,ミクロライト,US-100,US-150S,US-150SS,ハイラック,ハイラックSS(以上、竹原化学工業株式会社製商品名)の如きケイ酸マグネシウムなどを適時併用してもよい。
【0025】
本発明のクロロプレンゴム組成物には、必要に応じて、寸法安定性や低価格などを目的として、ベースゴム100重量部に対して、5~100重量部程度の増量充填剤を添加してもよい。
【0026】
増量充填剤としては、Green Ball(井上石灰工業株式会社製商品名)やタマパールTP-121,TP-121R,TP222H,TP-222HS,TP-123,TP-123CS(以上、奥多摩工業株式会社製商品名)やシルバーW(白石工業株式会社製商品名)の如き軽質炭酸カルシウム、ホワイトロンSSB,SB,S(以上、白石カルシウム株式会社製商品名)やサンライト#100,#300,#700,#800,#1000,#1500,#2000,#2200,#2500(以上、竹原化学工業株式会社製商品名)やNS#100,NS#200,NS#400,NS#600,NS#1000,NS#2300,NS#2500,NS#2700,NS#3000,SS#30,SS#80,NN#200,NN#500(以上、日東粉化工業株式会社製商品名)やスーパーS,SS,SSS,4S,#1500,#1700,#2000(以上、丸尾カルシウム株式会社製商品名)の如き重質炭酸カルシウム、JET-S(浅田製粉株式会社製商品名)やクリスタライトAA,VX-S,VX-S-2,VX-SR(以上、株式会社龍森製商品名)やMin-U-Sil 5,10,15,30(以上、ユー・エス・シリカ(U.S.Silica)(アメリカ)社製商品名)やImsil A-10,A-15,A-25,A-108(以上、イリノイ・ミネラルズ(Illinois Minerals)(アメリカ)社製商品名)の如き石英粉、JA-30W,325M(以上、浅田製粉株式会社製商品名)やNYAD325,400,1250,G(以上、ナイコ(NYCO)(アメリカ)社製商品名)の如きウォラストナイト(メタケイ酸カルシウム)、Celite 270,281,501,503,505,535,545,560,577,FC,SSC,Super Floss,SnowFloss(以上、ジョンズ-マンビル(Johns-Manville)(アメリカ)社製商品名)やラジオライト#100,#200,#300,#500,#500S,#600,#700,#800,#800-S,#900,F,SPF,ファインフローA,ファインフローB(以上、昭和化学工業株式会社製商品名)の如きケイ藻土、亜鉛華2種(堺化学工業株式会社製商品名)の如き酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、二硫化モリブデンなどが例示され、通常は1~数種類が補強性充填剤と共に併用される。
【0027】
加硫促進剤としては、チオ尿素系化合物が用いられ、具体的にはチオカルバニド(ノクセラーC(大内新興化学工業株式会社製商品名))、エチレンチオウレア(アクセル22-S(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラー22-C(三新化学工業株式会社製商品名))、ジエチルチオウレア(ノクセラーEUR(大内新興化学工業株式会社製商品名)、アクセルEUR(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラーEUR(三新化学工業株式会社製商品名))、ジブチルチオウレア(アクセルBUR-F(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラーBUR(三新化学工業株式会社製商品名))、ジラウリルチオウレア(アクセルLUR(川口化学工業株式会社製商品名))、トリメチルチオウレア(ノクセラーTMU(大内新興化学工業株式会社製商品名),サンセラーTMU(三新化学工業株式会社製商品名))等が挙げられる。これらのチオ尿素系化合物は、クロロプレンゴム100重量部当り約0.25~5重量部、好ましくは0.5~1重量部の割合で用いられる。
【0028】
加硫促進助剤としては、ジベンゾチアジルジスルフィド(ノクセラーDM(大内新興化学工業株式会社製商品名),アクセルDM(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラーDM(三新化学工業株式会社製商品名)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(ノクセラーTS(大内新興化学工業株式会社製商品名),アクセルTS(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラーTS(三新化学工業株式会社製商品名))、テトラメチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTT(大内新興化学工業株式会社製商品名),アクセルTMT(川口化学工業株式会社製商品名),サンセラーTT(三新化学工業株式会社製商品名))等がクロロプレンゴム100重量部当り0.5~1重量部程度用いられる。架橋促進剤がこれより多い場合には、未加硫ゴムの保管安定性が損なわれるので好ましくない。
【0029】
本発明の組成物には、加工安定性、加硫速度の調整、あるいは酸受容体として耐老化性向上のために金属酸化物を添加する必要があり、通常はクロロプレンゴム100重量部当り酸化マグネシウムを4重量部程度、酸化亜鉛を5重量部程度が添加される。
【0030】
本発明において、ロール作業性や金型離型性を改善するために、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸やその金属塩を添加することもでき。その添加量は、クロロプレンゴム100重量部に対して0.5~5重量部程度である。
【0031】
本発明において、硬度調整や可塑性を付与するために可塑剤を添加してもよい。可塑剤としてはクロロプレンゴムと相溶性のあるものであれば、特に制限はないが、具体的には、菜種油などの植物油、フタレート系可塑剤、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、DOA(アジピン酸ジオクチル)、エステル系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤、チオエーテル系可塑剤、アロマ系オイル、ナフテン系オイルなどが例示され、その添加量は、クロロプレンゴム100重量部に対して5~50重量部程度である。
【0032】
以上の如き配合で調製されたクロロプレンゴム組成物は、例えば約150~200℃ で約3~30分間のプレス架橋などで加硫成型され、これによって
図1に示すようなボールジョイント1におけるダストカバ7ーが作製される。
【実施例0033】
次に、本発明の実施例を表1~表4に示す。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
〔実施例1〕
クロロプレンゴム(昭和電工製ショウプレンW) 100重量部
酸化亜鉛 5重量部
酸化マグネシウム 4重量部
FEFカーボンブラック 40重量部
可塑剤(菜種油) 20重量部
加硫促進剤(川口化学製アクセル22-S) 1重量部
加硫促進助剤(大内新興化学製ノクセラーTT) 1重量部
老化防止剤(大内新興化学製ノクラック810-NA) 5重量部
ワックス(精工化学製サンタイトS) 3.5重量部
【0039】
以上の各成分をオープンロールにより混練し、得られたクロロプレンゴム組成物を、170℃で10分間の条件で加熱架橋し、2mm厚のテストピースを作成した。
併せて、得られたクロロプレンゴム組成物を射出成型して
図1に示す如きボールジョイント用ダストカバーを成型した。
【0040】
作成したテストピースを用い、オゾン濃度が50pprmで30%伸長の静的オゾン劣化試験(JIS K 6259)と、オゾン濃度が50pprmで0~30%伸長の動的オゾン劣化試験(JIS K 6259)とで評価したところ、静的オゾン劣化試験と動的オゾン劣化試験の双方とも500時間以上でNC(亀裂なし)であった。
また、成型したダストカバーにおいては、ゴムと金属環とが確実に接着され、特に問題点は見当たらなかった。
【0041】
〔実施例2〕
実施例1から老化防止剤の大内新興化学製ノクラック810-NAの配合を8重量部に変更し、実施例1と同様に評価したところ、静的オゾン劣化試験と動的オゾン劣化試験の双方とも500時間以上でNC(亀裂なし)であった。
また実施例1と同様に、成型したダストカバーにおいては、ゴムと金属環とが確実に接着され、特に問題点は見当たらなかった。
【0042】
〔実施例3~28〕
以下同様に、老化防止剤とワックスの配合を表に記した内容に変えて評価したところ(実施例17~28ではワックスを大内新興化学製サンノックに変更した)、静的オゾン劣化試験と動的オゾン劣化試験の双方とも500時間以上でNC(亀裂なし)であった。
また実施例1と同様に、成型したダストカバーにおいては、ゴムと金属環とが確実に接着され、特に問題点は見当たらなかった。
【0043】
以上、説明のとおり、クロロプレンゴム組成物からなるボールジョイント用ダストカバーが可能となる。
次に、以上の実施例に対する比較例を表5~表7に示す。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
〔比較例1~17〕
表5~表7に記した内容で実施例と同様に評価したところ、静的オゾン劣化試験は500時間以上でNC(亀裂なし)であったが、動的オゾン劣化試験は表に記載した時間で亀裂が発生し、耐久性に劣ることが分かった。
【0048】
以上の結果から、本発明の効果、すなわちクロロプレンゴム100重量部に対して、融点90℃以下の炭化水素系ワックスを3.5~10重量部と、芳香族第二級アミン系老化防止剤を5~12重量部とを配合することにより、動的オゾン劣化試験(JIS K 6259)において500時間以上亀裂が生じることがなく、耐オゾン性にすぐれた効果が確認された。よって、このゴム組成物をボールジョイント用ダストカバーに適用することで、長期にわたってオゾンによる亀裂の発生しない高品質のダストカバーを得ることができる。
これにより本発明において、クロロプレンゴム組成物からなるボールジョイント用ダストカバーが可能となる。
本発明に係るクロロプレンゴム組成物を用いた架橋ゴムは、良好な耐オゾン性、特に動的オゾン性に優れているため、ボールジョイント用ダストカバーに限ることなく、それ以外の各種カバー部材にも有効に適用することができる。