(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165642
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池、組電池および電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20241121BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20241121BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241121BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241121BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0587
H01M4/13
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082005
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】西出 太祐
(72)【発明者】
【氏名】野村 奈央
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ10
5H029HJ15
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050EA23
5H050EA28
5H050FA05
5H050GA03
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA10
5H050HA15
(57)【要約】
【課題】幅広の電極体を含み、電極体の極板積層方向に圧力が掛けられている非水電解質二次電池であって、出力抵抗が低く、サイクル特性の低下が抑制された非水電解質二次電池、これを含む組電池及び電池モジュールを提供すること。
【解決手段】捲回型電極体と電解液とを含み、正極板は正極活物質層を備え、負極板は負極活物質層を備え、正極活物質層及び負極活物質層の少なくともいずれか一方は、電極体の捲回軸方向における寸法が150mm以上であり、電解液は電解質塩とLiFSO
3とを含み、電解質塩はLiPF
6及びLiBF
4の少なくともいずれか一方を含み、電解液中のLiFSO
3の濃度B(mol/L)に対するLiPF
6及びLiBF
4の総濃度A(mol/L)の比率A/B比が5以上12以下であり、電極体は極板積層方向に0.5MPa以上の圧力が掛けられている、非水電解質二次電池。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、電解液とを含み、
前記電極体は、正極板と負極板とがセパレータを介して捲回された捲回型電極体であり、
前記正極板は、正極活物質層を備え、
前記負極板は、負極活物質層を備え、
前記正極活物質層及び前記負極活物質層の少なくともいずれか一方は、前記電極体の捲回軸方向における寸法が150mm以上であり、
前記電解液は、電解質塩と、LiFSO3とを含み、
前記電解質塩は、LiPF6及びLiBF4の少なくともいずれか一方を含み、
前記電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度をA(mol/L)、LiFSO3の濃度をB(mol/L)としたとき、Bに対するAの比率であるA/B比が5以上12以下であり、
前記電極体は極板積層方向に0.5MPa以上の圧力が掛けられている、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記A/B比は6.7以上10以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度Aは、1~1.5mol/Lである、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記電解液中のLiFSO3の濃度Bは、0.1~0.25mol/Lである、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記電極体は、捲回軸に平行な方向の長さが180mm以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
請求項1に記載の非水電解質二次電池を含む、組電池。
【請求項7】
請求項1に記載の非水電解質二次電池を含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解質二次電池に関し、さらにはこれを含む組電池及び電池モジュールにも関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池における耐久後の入出力特性及びインピーダンス特性の改善を目的として、特許文献1にはLiPF6及びLiFSO3を含む非水系電解液が提案され、特許文献2には、PF6のモル含有量に対するFSO3のモル含有量の比を特定の範囲とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-152956号公報
【特許文献2】特開2011-187440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幅広(例えば長手方向における活物質層の寸法が15cm以上)の電極体を含む非水電解質二次電池において、電極体の極板積層方向に圧力が掛けられている場合、ハイレートサイクルでの塩濃度ムラが発生しやすく、正極電位の上昇が大きくなり、容量劣化が生じ易くなる傾向にある。LiFSO3を含む電解液を用いる場合、SO3F-が正極活物質表面に吸着し、電解質塩由来のLiF被膜の形成が阻害され易くなる傾向にあり、及びセルサイズが大きい場合、ハイレート充電サイクルによる塩濃度ムラが顕著となり、極板端部の塩濃度が低下し易くなる傾向にある。この結果、正極板端部における電位が上昇し、正極活物質と酸性度の強いSO3F-とが反応する電位に達し、LiF被膜の形成が不十分な正極活物質からの遷移金属の溶出が起こり、負極板上に堆積するためであると推測される。
【0005】
本開示の目的は、幅広の電極体を含み、電極体の極板積層方向に圧力が掛けられている非水電解質二次電池であって、出力抵抗が低く、サイクル特性の低下が抑制された非水電解質二次電池、これを含む組電池及び電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の非水電解質二次電池、組電池及び電池モジュールを提供する。
[1] 電極体と、電解液とを含み、
前記電極体は、正極板と負極板とがセパレータを介して捲回された捲回型電極体であり、
前記正極板は、正極活物質層を備え、
前記負極板は、負極活物質層を備え、
前記正極活物質層及び前記負極活物質層の少なくともいずれか一方は、前記電極体の捲回軸方向における寸法が150mm以上であり、
前記電解液は、電解質塩と、LiFSO3とを含み、
前記電解質塩は、LiPF6及びLiBF4の少なくともいずれか一方を含み、
前記電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度をA(mol/L)、LiFSO3の濃度をB(mol/L)としたとき、Bに対するAの比率であるA/B比が5以上12以下であり、
前記電極体は極板積層方向に0.5MPa以上の圧力が掛けられている、非水電解質二次電池。
[2] 前記A/B比は6.7以上10以下である、[1]に記載の非水電解質二次電池。
[3] 前記電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度Aは、1~1.5mol/Lである、[1]又は[2]に記載の非水電解質二次電池。
[4] 前記電解液中のLiFSO3の濃度Bは、0.1~0.25mol/Lである、[1]~[3]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
[5] 前記電極体は、捲回軸に平行な方向の長さが180mm以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の非水電解質二次電池を含む、組電池。
[7] [1]~[5]のいずれかに記載の非水電解質二次電池を含む、電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、幅広の電極体を含み、電極体の極板積層方向に圧力が掛けられている非水電解質二次電池であって、出力抵抗が低く、サイクル特性の低下が抑制された非水電解質二次電池、これを含む組電池及び電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における組電池の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における電池モジュールの一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施例における電池の拘束方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0010】
なお、本明細書において、単数形で表現される要素は、特に断りの無い限り、複数形も含む。例えば「粒子」は「1つの粒子」のみならず、「粒子の集合体(粉体、粉末、粒子群)」も意味し得る。
【0011】
図1は、本実施形態における電池の構成の一例を示す概略図である。電池100は、任意の用途で使用され得る。電池100は、例えば電動車両等において、主電源又は動力アシスト用電源として使用されてもよい。複数個の電池100が連結されることにより、電池モジュール又は組電池が形成されてもよい。電池モジュール及び組電池については後述される。電池100は、例えば1~300Ahの定格容量を有していてもよい。
【0012】
電池100は、電極体50と電解液とを含む。
図1に示すように、電池100は外装体90をさらに含むことができる。外装体90は、電極体50と電解液(不図示)とを収納している。外装体90は角形(扁平直方体状)である。外装体90は、例えばアルミニウム(Al)合金製であってもよい。電極体50は極板積層方向(
図1のD軸方向)に0.5MPa以上の圧力が掛けられている。圧力は電極体50の外部から掛けられていてよい。電極体に掛けられる圧力は、
図4に示す電極体面積Sで示す領域であってよい。
図4の説明は後述される。電極体50は、外装体90内で拘束された状態であってよい。電極体50を拘束する力は上記圧力であってよい。電極体50を拘束する力は、例えば後述の電池モジュールにおいて、複数の電池及びセル間セパレータを拘束する力であってもよい。
【0013】
外装体90は、例えば封口板91と外装缶92とを含んでいてもよい。封口板91は、外装缶92の開口部を塞いでいる。例えばレーザ加工等により、封口板91と外装缶92とが接合されていてもよい。なお、外装体90は任意の形態を有し得る。外装体90は、例えばパウチ形等であってもよい。すなわち外装体90は、Alラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。
【0014】
封口板91には、正極端子81と負極端子82とが設けられている。封口板91に、注入口(不図示)、ガス排出弁(不図示)等がさらに設けられていてもよい。注入口から外装体90の内部に電解液が注入され得る。注入口は、例えば封止栓等によって閉塞され得る。正極集電部材71は、正極端子81と電極体50とを接続している。正極集電部材71は、例えばAl板等であってもよい。負極集電部材72は、負極端子82と電極体50とを接続している。負極集電部材72は、例えば銅(Cu)板等であってもよい。
【0015】
電極体50は、正極板と負極板とがセパレータを介して捲回された捲回型電極体である。正極板、負極板及びセパレータは、例えば帯状の平面形状を有する積層体を構成し得る。帯状の積層体が渦巻き状に巻回されることにより、巻回体が形成され得る。巻回体は、例えば筒状であってもよい。筒状の巻回体が径方向に圧縮されることにより、扁平状の電極体50が形成され得る。電極体50の巻回軸方向(以下、幅方向ともいう)(
図1中、W軸方向)における寸法は例えば180mm以上であってよく、180mm以上300mm以下であってもよい。
【0016】
図2は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略図である。
図2の電極体50はW軸方向に平行な巻回軸Rを有する巻回型電極体である。電極体50は積層体40を含む。電極体50は、実質的に積層体40からなっていてもよい。積層体40は、正極板10と負極板20とセパレータ30とを含む。セパレータ30の少なくとも一部は、正極板10と負極板20との間に介在している。セパレータ30は、正極板10と負極板20とを分離している。正極板10及び負極板20はそれぞれセパレータ30と接着されていてもよい。積層体40は、1枚のセパレータ30を単独で含んでいてもよい。積層体40は、2枚のセパレータ30を含んでいてもよい。例えば正極板10が2枚のセパレータ30に挟まれていてもよい。例えば負極板20が2枚のセパレータ30に挟まれていてもよい。積層体40は、例えば、セパレータ30(第1セパレータ)と、負極板20と、セパレータ30(第2セパレータ)と、正極板10とがこの順序で積層されることにより形成されていてもよい。
【0017】
図3は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略断面図である。
図3には巻回軸と直交する断面が示されている。電極体50は、湾曲部51と平坦部52とを含む。湾曲部51においては、積層体40が湾曲している。湾曲部51において、積層体40は弧を描いていてもよい。平坦部52においては、積層体40が平坦である。平坦部52は、2つの湾曲部51に挟まれている。平坦部52は、2つの湾曲部51を接続している。積層体40の厚さは、積層体40に含まれる正極板10、負極板20及びセパレータ30の厚さの合計を示す。積層体40は、例えば100~400μmの厚みを有していてもよいし、1~300μmの厚みを有していてもよい。積層体40の厚みは、電極体積層方向(
図3のD軸方向)の厚みである。
【0018】
電極体50において、正極板10は任意の積層数を有し得る。正極板10の積層数は、電極体50を積層方向に横断する直線が、正極板10と交差する回数を示す。積層方向は、電極体50において、正極板10、負極板20及びセパレータ30が積層される方向を示す。巻回型の電極体50における積層方向は、平坦部52における正極板10、負極板20及びセパレータ30の厚み方向(
図3のD軸方向)と平行である。
【0019】
電極体50は、
図4に示すように、正極板10と負極板20とを、セパレータ30を介し、両端部のそれぞれに正極板のアルミ箔及び負極板の銅箔が露出するように積層して積層体を作製し、積層体の一端を巻回軸Rとして積層体を巻回することにより電極体50を作製することができる。
【0020】
正極板10は、例えば2~100の積層数を有していてもよい。負極板20は、例えば2~100の積層数を有していてもよい。セパレータ30は、例えば4~200の積層数を有していてもよい。負極板20及びセパレータ30の積層数も、正極板10の積層数と同様に計数され得る。
【0021】
正極板10は、正極活物質層を備える。
図1において、電極体50の巻回軸方向(W軸方向)に平行な方向における正極活物質層の寸法は150mm以上であり、例えば180mm以上又は200mm以上又は220mm以上であってよく、300mm以下であってよい。正極活物質層については後述される。
【0022】
負極板20は、負極活物質層を備える。
図1において、電極体50の巻回軸方向(W軸方向)に平行な方向における負極活物質層の寸法は150mm以上であり、例えば180mm以上又は200mm以上又は220mm以上であってよく、300mm以下であってよい。負極活物質層については後述される。
【0023】
正極板10は、正極芯材11と正極活物質層12とを含む(
図2参照)。正極活物質層12は正極芯材11の表面に配置されていてもよい。正極活物質層12は、正極芯材11の片面のみに配置されていてもよい。正極活物質層12は、正極芯材11の表裏両面に配置されていてもよい。正極芯材11は導電性シートである。正極芯材11は、例えば純Al箔、Al合金箔等を含んでいてもよい。正極芯材11は、例えば10~30μmの厚みを有していてもよい。電極体50の幅方向(
図2のW軸方向)において、一方の端部に正極芯材11が露出していてもよい。正極芯材11が露出した部分には、正極集電部材71が接合され得る(
図1参照)。正極板10の厚みは、例えば20~290μmであってよく、50~250μmであってよく、100~200μmであってよい。正極板10の長手方向の寸法は、例えば0.5~10mであってよく、1~5mであってよい。
【0024】
正極活物質層12の厚みは、積層体40に含まれる正極活物質層12の厚みの合計を示す。例えば、正極板10の両面に正極活物質層12が形成されている場合、正極活物質層12の厚みは、両面(2つ)の正極活物質層12の厚みの合計を示す。正極活物質層12は、例えば10~260μmの厚みを有していてもよいし、20~60μmの厚みを有していてもよいし、30~50μmの厚みを有していてもよい。なお、片面(1つ)の正極活物質層12の厚みは、例えば5~130μmの厚みを有していてもよいし、10~30μmであってもよいし、15~25μmであってもよい。
【0025】
正極活物質層12は、リチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。リチウム遷移金属複合酸化物は、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiCoMn)O2、Li(NiCoAl)O2、及びLiFePO4からなる群より選択される少なくとも1種を含む。例えば「Li(NiCoMn)O2」等の組成式においては、括弧内の組成比の合計が1である。すなわち「CNi+CCo+CMn=1」の関係が満たされている。例えば「CNi」はNiの組成比を示す。組成比の合計が1である限り、各成分の組成比は任意である。正極活物質層12は、正極活物質粒子を含むことができる。正極活物質粒子は任意の成分を含み得る。正極活物質粒子は、上述のリチウム遷移金属複合酸化物を含み得る。
【0026】
正極活物質層12は正極活物質粒子に加えて、例えば、導電材、バインダ等をさらに含んでいてもよい。例えば正極活物質層12は、実質的に、質量分率で0.1~10%の導電材と、0.1~10%のバインダと、残部の正極活物質粒子とからなっていてもよい。導電材は、例えば炭素材料等を含んでいてもよい。バインダは任意の成分を含み得る。バインダは、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を含んでいてもよい。正極活物質層12の充填密度(圧縮後)は、例えば2.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であってよい。
【0027】
負極板20は負極芯材21と、負極活物質層22とを含む(
図2参照)。負極活物質層22は負極芯材21の表面に配置されていてもよい。負極芯材21の片面のみに負極活物質層22が配置されていてもよい。負極芯材21の表裏両面に負極活物質層22が配置されていてもよい。負極芯材21は導電性のシートである。負極芯材21は、例えば純Cu箔、Cu合金箔等を含んでいてもよい。負極芯材21は、例えば5~30μmの厚みを有していてもよい。負極板20の幅方向(
図2のW軸方向)において、一方の端部に負極芯材21が露出していてもよい。負極芯材21が露出した部分には、負極集電部材72が接合され得る(
図1参照)。負極板20の厚みは、例えば20~290μmであってよく、50~250μmであってよく、100~200μmであってよい。負極板20の長手方向の寸法は、例えば0.5~10mであってよく、1~5mであってよい。
【0028】
負極活物質層22の厚みは、積層体40に含まれる負極活物質層22の厚みの合計を示す。例えば、負極板20の両面に負極活物質層22が形成されている場合、負極活物質層22の厚みは、両面(2つ)の負極活物質層22の厚みの合計を示す。負極活物質層22は、例えば10~260μmの厚みを有していてもよいし、40~80μmの厚みを有していてもよいし、50~70μmの厚みを有していてもよい。なお、片面(1つ)の負極活物質層22の厚みは、例えば5~130μmの厚みを有していてもよいし、20~40μmであってもよいし、25~35μmであってもよい。負極活物質層22の充填密度(圧縮後)は、例えば1.0g/cm3以上1.8g/cm3以下であってよい。
【0029】
負極活物質層22は、例えば、黒鉛、珪素、酸化珪素、錫、酸化錫、及びLi4Ti5O12からなる群より選択される少なくとも1種を負極活物質として含んでいてもよい。負極活物質層22は負極活物質粒子を含むことができる。負極活物質粒子は上述の負極活物質を含み得る。負極活物質層22は、実質的に負極活物質粒子からなっていてもよい。負極活物質粒子は、例えば複合粒子であってもよい。負極活物質粒子は、例えば基材粒子と皮膜とを含んでいてもよい。皮膜は基材粒子の表面を被覆し得る。基材粒子は、例えば黒鉛等を含んでいてもよい。皮膜は、例えば非晶質炭素等を含んでいてもよい。
【0030】
負極活物質層22は、負極活物質粒子に加えて、導電材、バインダ等をさらに含んでいてもよい。例えば負極活物質層22は、実質的に、質量分率で0~10%の導電材と、0.1~10%のバインダと、残部の負極活物質粒子とからなっていてもよい。導電材は任意の成分を含み得る。導電材は、例えば炭素材料等を含んでいてもよい。バインダは任意の成分を含み得る。バインダは、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
【0031】
セパレータ30は樹脂フィルムを含む。セパレータ30は、実質的に樹脂フィルムから構成され得る。セパレータ30は、1つの樹脂フィルムからなる単層構造であってよく、2以上の樹脂フィルムからなる多層構造であってもよい。セパレータ30が多層構造である場合、樹脂フィルムは、互いに異なった種類の樹脂フィルムであってよい。樹脂フィルムは、例えば、実質的にポリオレフィン系材料からなっていてもよい。ポリオレフィン系材料は、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよい。セパレータ30が多層構造である場合、セパレータ30は、例えばPPからなる樹脂フィルム/PEからなる樹脂フィルム/PPからなる樹脂フィルムから構成される3層構造を有していてよい。樹脂フィルムは、例えば10~50μmの厚みを有していてもよいし、10~30μmの厚みを有していてもよいし、10~20μmの厚みを有していてもよい。樹脂フィルムは多孔質であってよい。
【0032】
電解液は液体電解質である。電解液は、電解質塩と、LiFSO3とを含む。電解質塩は、電解液中において後述の溶媒に溶解していてよい。
【0033】
電解質塩は、LiPF6及びLiBF4の少なくともいずれか一方を含む。電解質塩は、LiPF6を単独で含んでよく、LiBF4を単独で含んでよく、LiPF6及びLiBF4をいずれも含んでよい。電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度をA(mol/L)、LiFSO3の濃度をB(mol/L)としたとき、Bに対するAの比率であるA/B比は5以上12以下である。A/Bを上記範囲内とすることにより、LiFSO3に対しLiPF6及びLiBF4の少なくともいずれか一方が十分に存在することとなり、正極活物質表面に十分なLiF膜が形成され、LiFSO3起因による活物質遷移金属の溶出が生じにくくなり、その結果、低い出力抵抗と良好なサイクル特性を発揮できる電池を得られると推測される。A/B比は出力抵抗及びサイクル特性の観点から好ましくは5以上10以下、より好ましくは6.7以上10以下である。
【0034】
電解液中のLiPF6及びLiBF4の総濃度Aは、例えば1.0~1.5mol/Lであってよい。電解液中のLiFSO3の濃度Bは、例えば0.1~0.25mol/Lであってよい。
【0035】
電解液は溶媒を含むことができる。溶媒は非プロトン性である。溶媒は任意の成分を含み得る。溶媒は、カーボネート系溶媒、1,2-ジメトキシエタン(DME)、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)、及びγ-ブチロラクトン(GBL)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。溶媒は、好ましくはカーボネート系溶媒を含む。カーボネート系溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。
【0036】
本開示の電池は、サイクル特性の評価において容量維持率が90%以上であることができる。サイクル容量維持率が90%以上である場合、電池は、良好なサイクル特性を有することができる。サイクル特性の評価は、後述の実施例の欄において説明する方法に従って行われる。
【0037】
電池の製造方法は、例えば電極体を外装体に収容する収容工程と、電解液を注液する注液工程とを含むことができる。収容工程において、正板集電部材のアルミ箔と電極体の外部集電用アルミ板とを溶接し、負極板集電部材の銅箔と電極体の外部集電用銅板とを溶接し、アルミニウムラミネートフィルムの外挿体内に挿入することができる。注液工程において、上述の電解液を注液することができる。注液後、封缶溶接することにより電池を得ることができる。
【0038】
(組電池)
図5は、組電池200の斜視図である。
図5に示す組電池200は、電池100と、セル間セパレータ201とを含む。電池100とセル間セパレータ201とは、Y軸方向(第1の方向)に沿って交互に配列されている。
【0039】
電池100は、角形の電池セルであって、Y軸方向に沿って複数設けられる。複数の電池100は、図示しないバスバーを介して互いに電気的に接続される。
【0040】
セル間セパレータ201は、複数の電池100の間に設けられる。セル間セパレータ201は、隣接する電池100の意図しない電気的導通を防止する。セル間セパレータ201は、隣接する電池100の電気的絶縁性を確保する。
【0041】
(電池モジュール)
図6は、電池モジュール300の斜視図である。
図3に示すように、電池モジュール300は、電池100と、セル間セパレータ201と、拘束部材301と、エンドプレート302とを備える。
【0042】
Y軸方向(第1方向)に沿って交互に配列された電池100およびセル間セパレータ201は、エンドプレート302によって押圧され、2つのエンドプレート302の間で拘束されている。
【0043】
エンドプレート302は、Y軸方向の両端に配置されている。エンドプレート302は、電池モジュール300を収納するケースなどの基台に固定される。拘束部材301は、2つのエンドプレート302を互いに接続し、複数の電池100およびセル間セパレータ201をY軸方向に沿って拘束する。
【0044】
電池100、セル間セパレータ201およびエンドプレート302の積層体に対してY軸方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材301をエンドプレート302に固定し、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート302を接続する拘束部材301に引張力が働く。その反作用として、拘束部材301は、2つのエンドプレート302を互いに近づける方向に押圧する。これにより、電池モジュール300が構成される。
【0045】
電池モジュール300をパックケースに収納することにより、電池パックが構成される(Cell-Module-Pack構造)。これに代えて、
図5に示す組電池200をパックケースの壁面が直接支持する構造(Cell-to-Pack構造)としてもよい。
【実施例0046】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
【0047】
<実施例1>
[正極板の作製]
合材組成がLiNiCoMnO
2:AB:pVdF=100:1:1wt%である正極活物質層用合剤とNMPとを混合し、正極合剤スラリーを作製した。正極集電体のアルミ箔上に塗布、乾燥後、所定の厚みに圧縮し、所定の幅に切り出すことで、幅方向において、アルミ箔上に正極活物質層が形成された部分と、活物質層が形成されていない部分とで構成された正極板を作製した。正極活物質層が形成されている幅を150mmとした。
[負極板の作製]
負極活物質として黒鉛を用いた。合剤組成が黒鉛:SBR:CMC=100:1:1wt%である負極活物質層用合剤と水とを混合し、負極合剤スラリーを作製した。負極集電体の銅箔上に、負極合剤スラリーを塗布し、乾燥後、所定の厚みに圧縮し、所定の幅に切り出すことで、銅箔上に負極活物質層が形成された部分と、活物質層が形成されていない部分とで構成された負極板を作製した。負極活物質層が形成されている幅を154mmとした。
[電極体の作製]
図4に示す構成を有する電極体を次のとおり作製した。正極板と負極板とを、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの三層からなるセパレータを介し、両端部に正極アルミ箔及び負極銅箔が露出するように積層して積層体を作製し、積層体の一端を巻回軸として積層体を巻回することにより構成し、電極体を作製した。
【0048】
[非水電解質二次電池の作製]
正板集電体のアルミ箔と外部集電用のアルミ板とを溶接、負極板集電体の銅箔と外部集電用の銅板とを溶接し、アルミニウムラミネートフィルムの外挿体内に挿入し、下記の電解液1を注液し、ラミネートフィルムを封止した。
(電解液1)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.1mol/L
【0049】
次いで、
図7に示すように、電極体の捲回軸と垂直方向となる電池の両側面をステンレス製の拘束板で挟み、これら拘束板間をネジとナットで拘束板の四隅を締結し、
図4に示す電極体面積S(幅方向は正極活物質層形成幅)に0.5MPaの拘束圧力が印可されるよう荷重を調整し、電池を拘束し、非水電解質二次電池を作製した。
【0050】
<比較例1>
実施例1において、正極板の作製において正極活物質層が形成されている幅を100mmとしたこと、負極板の作製において負極活物質層が形成されている幅を104mmとしたこと及び電解液1を下記の電解液2に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液2)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3:無し
【0051】
<比較例2>
実施例1において、正極板の作製において正極活物質層が形成されている幅を100mmとしたこと、負極板の作製において負極活物質層が形成されている幅を104mmとしたこと及び電解液1を下記の電解液3に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液3)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.08mol/L
【0052】
<比較例3>
実施例1において、正極板の作製において正極活物質層が形成されている幅を100mmとしたこと、負極板の作製において負極活物質層が形成されている幅を104mmとしたこと及び電解液1を下記の電解液4に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液4)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.1mol/L
【0053】
<比較例4>
実施例1において、正極板の作製において正極活物質層が形成されている幅を100mmとしたこと、負極板の作製において負極活物質層が形成されている幅を104mmとしたこと及び電解液1を下記の電解液5に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液5)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.2mol/L
【0054】
<比較例5>
実施例1において、正極板の作製において正極活物質層が形成されている幅を100mmとしたこと、負極板の作製において負極活物質層が形成されている幅を104mmとしたこと及び電解液1を下記の電解液6に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液6)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.25mol/L
【0055】
<比較例6>
実施例1において、電解液1を電解液2に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0056】
<比較例7>
実施例1において、電解液1を電解液3に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0057】
<実施例2>
実施例1において、電解液1を下記の電解液7に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液7)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.15mol/L
【0058】
<実施例3>
実施例1において、電解液1を電解液5に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0059】
<比較例8>
実施例1において、電解液1を電解液6に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0060】
<実施例4>
実施例1において、電解液1を下記の電解液8に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液8)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
LiPF6濃度(濃度A):1.5mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.25mol/L
【0061】
<実施例5>
実施例1において、電解液1を下記の電解液9に変えたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(電解液9)
溶媒:EC/EMC(体積比1:3)
濃度A=1.0mol/L
LiPF6濃度:0.9mol/L
LiBF4濃度:0.1mol/L
LiFSO3濃度(濃度B):0.2mol/L
【0062】
<比較例9>
実施例1において、電解液1を電解液7に変えたこと、及び電池の拘束を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
【0063】
<非水電解質二次電池の初期活性化>
各実施例で記載した方法で非水電解質二次電池を作製後、25℃環境下にて、C/10の電流値で4.2Vcccvで充電し、60℃で24時間保存し、C/10の電流値で3Vまで放電することで電池の初期の活性化を行った。
【0064】
<非水電解質二次電池の評価方法>
[出力抵抗測定]
25℃の環境下にて、C/3の電流値でSOC50%まで充電し、休止30分後の電池電圧を測定(=V0)。その後、25℃の環境下で2Cの電流値で10秒間放電を実施した。その際の10秒目の電池電圧を測定(=V1)し、下記式:
抵抗=(V0-V1)/2C電流値
に従って電池の出力抵抗を算出した。比較例1~5は比較例1を100%とした相対値、実施例1~5及び比較例6~9は比較例6を100%とした相対値として表1に出力抵抗を示す。
【0065】
[サイクル特性の評価]
上記出力抵抗の測定後、サイクル試験を実施した。サイクル試験条件は、25℃環境下にて2Cの電流値で4.2Vcccvで充電し、C/2の電流値で3Vまでの放電を実施し、これを1サイクルとする充放電を繰り返し行った。1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の維持率をサイクル容量維持率とした。
容量維持率=(500サイクル目放電容量/1サイクル目放電容量)×100(%)
結果を表1に示す。
【0066】
【0067】
比較例1~5では、正極活物質層の幅が100mmであり、電極体幅が比較的狭いため、LiFSO3濃度が増加すると、出力抵抗の低減及びサイクル容量維持率の向上がみられるものの、A/B比による特異的な影響は見られなかった。これは電極体幅が比較的狭いことで2Cという比較的レートの高い充電サイクルにおいても、電極体の幅方向での塩濃度ムラが生じにくく、結果として正極の電位上昇も生じにくくなり、正極活物質からの遷移金属溶出が小さく、LiFSO3の添加による抵抗低減効果と共にサイクル容量維持率が若干向上していると推測される。比較例1~5では、少なくともサイクル維持率の低下は見られなかった。
【0068】
比較例6~8及び実施例1~5では、正極活物質層の幅が150mmであり、電極体幅が比較的広い比較例6~8及び実施例1~5では、LiFSO3濃度の増加により、出力抵抗の低減及びサイクル容量維持率の向上が得られる傾向が見られた。実施例1~3のA/B比が5~10の範囲では、特異的な出力抵抗の低減効果と共に、90%以上のサイクル容量維持率が得られている。実施例1~3のA/B比の範囲においては、LiFSO3の出力抵抗の低減及びサイクル容量維持率の向上が得られている。一方、LiFSO3の濃度が比較的高く、A/B比が4.0である比較例8では、サイクル容量維持率が大きく低下している。これは、正極活物質層の幅が150mmと広くなったことで、2Cの比較的レートの高い充電サイクルの影響により、セルの幅方向での塩濃度ムラが顕著となり、充電時の正極電位が増加したためと推測される。その状態に対し、実施例1~3においては、LiFSO3濃度に対し、LiPF6濃度が十分であるため、正極活物質表面に十分なLiF被膜が形成され、結果、正極活物質の遷移金属溶出が抑制され、サイクルの容量維持率が高く維持されたものと推測される。一方、比較例8では、LiFSO3濃度に対し、LiPF6濃度が低くなるため、正極活物質表面のLiF被膜が不十分と予測され、その結果、正極活物質と酸性度の強いSO3F-の反応電位に達し、LiF被膜が不十分なところにおいて、正極活物質の遷移金属が溶出し、負極上に堆積し、容量維持率が低下したものと推測される。A/B比が5~10の範囲である実施例1~3において、出力抵抗の低減と共に、90%以上のサイクル容量維持率が得られている。また、実施例4及び実施例5においても良好な結果が得られている。
【0069】
電池を拘束していない比較例9においては、A/B比が6.7あるものの、出力抵抗は高く、サイクル容量維持率も低い結果となっている。これは、電池が拘束されていないため電解液の流れがスムーズになることからサイクル試験における塩濃度ムラについては生じにくいと推測されるが、電池が拘束されていないために極間が広がりやすく、その結果抵抗が高くなり、さらにはサイクル試験において容量劣化が大きくなったものと推測される。
10 正極板、11 正極芯材、12 正極活物質層、20 負極板、21 負極芯材、22 負極活物質層、30 セパレータ、40 積層体、50 電極体、51 湾曲部、52 平坦部、71 正極集電部材、72 負極集電部材、81 正極端子、82 負極端子、90 外装体、91 封口板、92 外装缶、100 電池、111 負極外部端子、112 正極外部端子、113 拘束板、114 ネジ、200 組電池、201 セル間セパレータ、300 電池モジュール、301 拘束部材、302 エンドプレート、W 幅方向、R 巻回軸、S 電極体面積。