(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165643
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ケーブルドラム用のブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 49/00 20060101AFI20241121BHJP
F16D 69/00 20060101ALI20241121BHJP
F16D 69/02 20060101ALI20241121BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20241121BHJP
F16D 121/14 20120101ALN20241121BHJP
F16D 125/64 20120101ALN20241121BHJP
F16D 125/68 20120101ALN20241121BHJP
【FI】
F16D49/00 Z
F16D69/00 B
F16D69/02 A
F16D65/16
F16D121:14
F16D125:64
F16D125:68
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082006
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】507351850
【氏名又は名称】育良精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 清
(72)【発明者】
【氏名】曽根 栄二
(72)【発明者】
【氏名】大槻 芳朗
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA03
3J058AA06
3J058AA18
3J058AA23
3J058AA30
3J058AA37
3J058BA68
3J058BA71
3J058CA31
3J058CA37
3J058CC08
3J058EA15
3J058GA12
3J058GA17
3J058GA92
(57)【要約】
【課題】 ケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性が高く、ケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができ、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となることができるケーブルドラム用のブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、ゴムストリップと、ゴムストリップの一側の一部を支持する一側支柱と、ゴムストリップの他側の一部を支持する他側支柱と、一側支持位置と他側支持位置との間のゴムストリップに張力を付与することができるゴムストリップ張力付与機構と、を備える。ゴムストリップ張力付与機構は、ゴムストリップの側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら、一側支持位置と他側支持位置との間のゴムストリップを持ち上げる。一側支柱と他側支柱とがベース部材に折り畳み可能に接続されており、ベース部材の一側先端部に回転ローラが設けられており、ベース部材は二つ折りに折り畳み可能である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルドラムの軸線方向に垂直な水平方向において一方側から他方側へ当該ケーブルドラムの鍔部の下方をくぐるように配置可能な、平面視で細長状のゴムストリップと、
前記ゴムストリップの一側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い一側支持位置において支持する一側支柱と、
前記ゴムストリップの他側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い他側支持位置において支持する他側支柱と、
前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップに張力を付与することができるゴムストリップ張力付与機構と、
前記一側支柱と前記他側支柱とが上面側に接続されたベース部材と、
前記ベース部材の一側または他側の先端部に設けられた回転ローラと、
を備え、
前記ゴムストリップ張力付与機構は、前記ゴムストリップの他側の端部を前記他側支持位置から遠ざかる方向に移動させることによって、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップの側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップを持ち上げるようになっており、
前記一側支柱及び前記他側支柱は、前記ベース部材に対して折り畳み可能であり、
前記ベース部材は、下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能である
ことを特徴とするケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項2】
前記ベース部材は、ヒンジ部を介して、二つ折りに折り畳み可能となっており、
前記ベース部材には、前記ヒンジ部の近傍において、折り畳み動作及び折り畳み解除動作のための補助ハンドルが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項3】
前記ベース部材の左右の一方側に、当該ブレーキ装置の持ち運びのための主ハンドルが設けられており、
前記ベース部材の左右の他方側に、当該ブレーキ装置の静置のためのスペーサ台が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項4】
前記ゴムストリップは、合成ゴムと綿とを有する材料からなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ゴムストリップは、合成ゴムの複数の層と綿の複数の層とが交互に積層された部分を含む
ことを特徴とする請求項4に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ゴムストリップは、4~7mmの範囲内の厚さを有している
ことを特徴とする請求項4に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項7】
前記ゴムストリップ張力付与機構は、
回動移動部と、
前記回動移動部に設けられた手動レバーまたは手動レバー取付用の取付部と、
前記回動移動部に設けられた足操作可能なペダルと、
を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【請求項8】
前記ゴムストリップには、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の略中間位置において、両側縁から立ち上がる一対の側方ガイドが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のケーブルドラム用のブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラムを制動するためのケーブルドラム用のブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルドラムは、一般に、ケーブルが巻き回される円筒部と、当該円筒部の左右両端に設けられた鍔部(大径フランジ部)と、を有している(いわゆる「糸巻き」のような形状を有している)。
【0003】
そして、円筒部の中心孔に棒が通されて、当該棒を回転可能に支持することによって、棒とケーブルドラムとを共に回転可能に支持することができる。
【0004】
例えば、本件出願人によって特許文献1に開示されたケーブルジャッキは、上方に開口する筒状の内部空間を有する本体部と、下方側が前記内部空間に収容されて当該内部空間に沿って上下動する押上棒と、前記押上棒の上部に設けられたヘッドローラー支持部と、前記ヘッドローラー支持部に軸支された一対のヘッドローラーと、前記一対のヘッドローラーの更に上方であって当該一対のヘッドローラーと対向するガード領域に配置可能な飛び出しガード部材と、前記飛び出しガード部材を前記ガード領域に係止する係止機構と、を備えている。
【0005】
例えば延線工事の際など、ケーブルドラムが回り過ぎてしまうと、ケーブルが撓んでしまって、スムーズに工事を進めることが困難となる。また、ケーブルに不所望の傷が付いてしまう可能性もある。これは、工事の品質に関わる問題となり得るし、事故の原因にもなり得る。
【0006】
一方、ケーブルドラムは、重量がかなり大きく、すなわち、慣性が大きい。このため、回転中のケーブルドラムを制動する際には、安全性への配慮も不可欠である。
【0007】
図16は、株式会社東和サプライから市販されているブレーキ装置(商品名は「ケーブルドラム補助ブレーキ」)の写真図である。
図16に示すブレーキ装置は、ケーブルドラムの軸線方向に垂直な水平方向において一方側から他方側へ(
図16の手前側から奥側へ)、当該ケーブルドラムの鍔部の下方をくぐるように配置されるものであり、
図16に示すように複数の金属トレイが平面視で細長状に関節接続されて構成されている。各金属トレイの底面に、鍔部制動用のゴム板(黒ゴム)が配置されている。
【0008】
関節接続された複数の金属トレイの手前側の端部は、専用の一側接続片を介して、一側支柱によって、鍔部の下端位置よりも高い位置に支持されている。略対称的に、関節接続された複数の金属トレイの奥側の端部は、専用の他側接続片と引張チェーンとを介して、他側支柱によって、やはり鍔部の下端位置よりも高い位置に支持されている。これにより、関節接続された複数の金属トレイは、側面視で、円弧に近い多角形の複数辺(金属トレイの数に等しい数の辺)の形態となっている。
【0009】
そして、最奥側に設けられた手動レバーは、更に奥側に回動可能となっており、当該回動操作に連動して、引張チェーンが、関節接続された複数の金属トレイの奥側の端部を、一側支柱から遠ざかる方向に引っ張るようになっている。この時、関節接続された複数の金属トレイは、直線状態に近づくように(より曲率半径が大きい円弧に近づくように)変形し、すなわち、中間領域が上方側に持ち上げられる。これにより、中間領域のいずれかの金属トレイの底面に配置されたゴム板が、ケーブルドラムの鍔部に当接して、両者の摩擦抵抗を利用してケーブルドラム(の鍔部)が制動される。
【0010】
図16に示すブレーキ装置は、十分な制動機能を発揮するものとして、市場での人気も上々である。しかしながら、部品点数が多くて重量が大きいため、持ち運びの際などに多少の負担があった。
【0011】
また、関節接続された複数の金属トレイは、関節接続を利用して全体的に変形することは可能であるが、各々の金属トレイ自体(すなわち各々のゴム板自体)が鍔部に沿うような円弧状に変形する訳ではない。このため、ゴム板と鍔部との当接は常に狭い領域に限定され、局所的な摩耗を生じやすく、当該摩耗の進行が早い。(もっとも、
図16に示すブレーキ装置には、ゴム板の摩耗の進行が許容レベルを超えた場合、当該ゴム板(または当該ゴム板を含む金属トレイ)のみを交換すれば良い、という利点もある。)
【0012】
そこで、本件発明者は、ケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができるケーブルドラム用のブレーキ装置を開発し、特許を取得した(特許文献2)。
【0013】
特許文献2に開示された発明は、ケーブルドラムの軸線方向に垂直な水平方向において一方側から他方側へ当該ケーブルドラムの鍔部の下方をくぐるように配置可能な、平面視で細長状のゴムストリップと、前記ゴムストリップの一側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い一側支持位置において支持する一側支柱と、前記ゴムストリップの他側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い他側支持位置において支持する他側支柱と、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップに張力を付与することができるゴムストリップ張力付与機構と、を備え、前記ゴムストリップ張力付与機構は、前記ゴムストリップの他側の端部を前記他側支持位置から遠ざかる方向に移動させることによって、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップの側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップを持ち上げるようになっており、前記ゴムストリップは、合成ゴムと綿とを有する材料からなることを特徴とするケーブルドラム用のブレーキ装置である。
【0014】
特許文献2に開示された発明によれば、一側支持位置から他側支持位置まで渡されているのはゴムストリップのみであるから、部品点数が少なく、十分な軽量化が実現できる。また、ゴムストリップは、側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら持ち上げられるため、鍔部に沿うような円弧状形態(但し、曲率半径は異なる)で当該鍔部に当接することができ、すなわち、ゴムストリップと鍔部との当接がより長い(広い)領域において生じ、局所的な摩耗の程度を軽減することができる。これにより、ゴムストリップの交換無しでケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができる。(もっとも、ゴムストリップの交換が必要な場合、ゴムストリップの全体を交換する必要がある、という不利点もある。但し、特許文献2に開示された発明によれば、ゴムストリップの交換が必要になるまでの時間(ゴムストリップの製品寿命)が十分に長い。)
【0015】
特許文献2に開示された発明のゴムストリップは、側面視で鍔部に沿うような円弧状形態に変形できるたけの柔軟性と、鍔部と当接する際に十分な摩擦抵抗を生じさせつつ当該摩擦抵抗に耐えられるだけの自身の耐久性と、を有している必要がある。合成ゴムと綿とを有する材料からなるゴムストリップであれば、そのような要件を満たすことが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2018-188293
【特許文献2】特許第7231239号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献2に開示されたケーブルドラム用のブレーキ装置は、各種の建設現場等において高く評価されている。
【0018】
しかしながら、本件発明者は、当該ケーブルドラム用のブレーキ装置の利便性を更に顕著に改善する方策を見出した。
【0019】
具体的には、本件発明者は、一側支柱と他側支柱とをベース部材に接続した態様のブレーキ装置において、ベース部材の一側または他側の先端部に回転ローラを設けておくことによって、当該回転ローラが地面上を転がるように当該ブレーキ装置を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性を顕著に高められることを見出した(
図6及び
図7参照)。
【0020】
また、本件発明者は、そのような態様のブレーキ装置において、ベース部材が下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能であれば、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となって好ましいこと(
図11乃至
図15参照)、更にこのような場合に前述のような回転ローラが存在すれば、折り畳み動作及び折り畳み解除動作も容易であること(
図9及び
図10参照)、を見出した。
【0021】
更にこのような場合に、本件発明者は、一側支柱及び他側支柱がベース部材に対して折り畳み可能であれば、収納時や持ち運び時により一層コンパクトな形態となってより好ましいことをも見出した。
【0022】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、ケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性が高く、ケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができ、且つ、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となることができるケーブルドラム用のブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、ケーブルドラムの軸線方向に垂直な水平方向において一方側から他方側へ当該ケーブルドラムの鍔部の下方をくぐるように配置可能な、平面視で細長状のゴムストリップと、前記ゴムストリップの一側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い一側支持位置において支持する一側支柱と、前記ゴムストリップの他側の一部を、前記鍔部の下端位置よりも高い他側支持位置において支持する他側支柱と、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップに張力を付与することができるゴムストリップ張力付与機構と、前記一側支柱と前記他側支柱とが上面側に接続されたベース部材と、前記ベース部材の一側または他側の先端部に設けられた回転ローラと、を備え、前記ゴムストリップ張力付与機構は、前記ゴムストリップの他側の端部を前記他側支持位置から遠ざかる方向に移動させることによって、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップの側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の前記ゴムストリップを持ち上げるようになっており、前記一側支柱及び前記他側支柱は、前記ベース部材に対して折り畳み可能であり、前記ベース部材は、下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能であることを特徴とするケーブルドラム用のブレーキ装置である。
【0024】
本発明によれば、ゴムストリップは、側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら持ち上げられるため、鍔部に沿うような円弧状形態(但し、曲率半径は異なる)で当該鍔部に当接することができ、すなわち、ゴムストリップと鍔部との当接がより長い(広い)領域において生じ、局所的な摩耗の程度を軽減することができる(
図8参照)。これにより、ゴムストリップの交換無しでケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができる。
【0025】
そして、本発明によれば、ベース部材の一側または他側の先端部に回転ローラが設けられているため、当該回転ローラが地面上を転がるように当該ブレーキ装置を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性を顕著に高められる(
図6及び
図7参照)。
【0026】
また、本発明によれば、ベース部材が下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となり(
図11乃至
図15参照)、更に前述の回転ローラの存在によって、折り畳み動作及び折り畳み解除動作も容易である(
図9及び
図10参照)。
【0027】
更に、本発明によれば、一側支柱及び他側支柱がベース部材に対して折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時により一層コンパクトな形態となる(
図9乃至
図15参照)。
【0028】
また、本発明において、前記ベース部材は、ヒンジ部を介して、二つ折りに折り畳み可能となっており、前記ベース部材には、前記ヒンジ部の近傍において、折り畳み動作及び折り畳み解除動作のための補助ハンドルが設けられていることが好ましい。
【0029】
この場合、そのような補助ハンドルの存在によって、折り畳み動作及び折り畳み解除動作がより一層容易である。
【0030】
また、本発明において、前記ベース部材の左右の一方側に、当該ブレーキ装置の持ち運びのための主ハンドルが設けられており、前記ベース部材の左右の他方側に、当該ブレーキ装置の静置のためのスペーサ台が設けられていることが好ましい。
【0031】
この場合、主ハンドルの存在によって、持ち運びがより一層容易であり、また、スペーサ台の存在により、安定的な静置保管が可能である。
【0032】
また、特許文献2の発明と同様に、本発明のゴムストリップは、側面視で鍔部に沿うような円弧状形態に変形できるたけの柔軟性と、鍔部と当接する際に十分な摩擦抵抗を生じさせつつ当該摩擦抵抗に耐えられるだけの自身の耐久性と、を有している必要があるが、合成ゴムと綿とを有する材料からなるゴムストリップであれば、そのような要件を満たすことが容易である。特に、合成ゴムの複数の層(例えば約0.6mm程度の厚さの層を5層)と綿の複数の層(例えば約0.6mm程度の厚さの層を4層)とが交互に積層された部分を含むゴムストリップであれば、高い柔軟性と高い耐久性とを両立できる。
【0033】
また、特許文献2の発明と同様に、ゴムストリップの全体厚さに関して、高い柔軟性と高い耐久性とを両立するためには、4~7mmの範囲内が好適である。
【0034】
また、特許文献2の発明と同様に、前記ゴムストリップ張力付与機構は、回動移動部と、前記回動移動部に設けられた手動レバーまたは手動レバー取付用の取付部と(手動レバー自体は含まない(現場で適当なパイプ等を取り付ける)製品として販売することも可能である)、前記回動移動部に設けられた足操作可能なペダルと、を有していることが好ましい。
【0035】
この場合、手での操作に加えて、足での操作も可能となり、操作性が向上する。また、回動移動部に対して手動レバーを鋭角に(平行でなく)取り付ければ、足の踏み込み方向と手のレバー操作方向とを別方向とすることもできる。すなわち、足の踏み込み方向と手のレバー操作方向とを、それぞれ独立に設計することが可能である。
【0036】
また、特許文献2の発明と同様に、前記ゴムストリップには、前記一側支持位置と前記他側支持位置との間の略中間位置において、両側縁から立ち上がる一対の側方ガイドが設けられていることが好ましい。
【0037】
これによれば、一対の側方ガイドによって、制動中にゴムストリップが鍔部から外れてしまうことを効果的に防止できるため、より安定的に鍔部を制動することができる。なお、一対の側方ガイドは、一側支持位置と他側支持位置との間のゴムストリップの略中間位置にあれば足りる。(
図16のブレーキ装置のように全てのゴム板(全ての金属トレイ)の側方に設けられる必要はない。)
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ゴムストリップは、側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら持ち上げられるため、鍔部に沿うような円弧状形態(但し、曲率半径は異なる)で当該鍔部に当接することができ、すなわち、ゴムストリップと鍔部との当接がより長い(広い)領域において生じ、局所的な摩耗の程度を軽減することができる(
図8参照)。これにより、ゴムストリップの交換無しでケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができる。そして、本発明によれば、ベース部材の一側または他側の先端部に回転ローラが設けられているため、当該回転ローラが地面上を転がるように当該ブレーキ装置を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性を顕著に高められる(
図6及び
図7参照)。また、本発明によれば、ベース部材が下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となり(
図11乃至
図15参照)、更に前述の回転ローラの存在によって、折り畳み動作及び折り畳み解除動作も容易である(
図9及び
図10参照)。更に、本発明によれば、一側支柱及び他側支柱がベース部材に対して折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時により一層コンパクトな形態となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態に係るケーブルドラム用のブレーキ装置の側面図である。
【
図4】
図1のブレーキ装置の平面図対応写真である。
【
図5】
図1のブレーキ装置の斜視図対応写真である。
【
図6】
図1のブレーキ装置をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する動作を示す写真である。
【
図7】
図1のブレーキ装置をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する動作を示す写真である。
【
図8】
図1のブレーキ装置のゴムストリップが鍔部に当接する様子を示す説明図である。
図8(a)は、鍔部に当接する前の状態を示し、
図8(b)は、鍔部に当接した後の状態を示している。
【
図9】
図1のブレーキ装置の折り畳み動作/折り畳み解除動作を示す写真である。
【
図10】
図1のブレーキ装置の折り畳み動作/折り畳み解除動作を示す写真である。
【
図11】
図1のブレーキ装置の折り畳み状態での平面図対応写真である。
【
図12】
図1のブレーキ装置の折り畳み状態での斜視図対応写真である。
【
図13】
図1のブレーキ装置の持ち運び状態での斜視図対応写真である。
【
図14】
図1のブレーキ装置の静置保管状態での斜視図対応写真である。
【
図15】
図1のブレーキ装置の静置保管状態での斜視図対応写真である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[構成]
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルドラム用のブレーキ装置1の側面図であり、
図2は、
図1のブレーキ装置1の平面図であり、
図3は、
図1のブレーキ装置1の底面図である。また、
図4は、
図1のブレーキ装置1の平面図対応写真であり、
図5は、
図1のブレーキ装置1の斜視図対応写真である。
【0041】
図1乃至
図5に示すように、本実施形態のブレーキ装置1は、平面視で細長状のゴムストリップ10を備えている。当該ゴムストリップ10は、幅12.5cm、長さ141cm、厚さ5.5mmである。
【0042】
ゴムストリップ10は、詳細には、合成ゴムの5層(各々約0.6mm程度の厚さ)と綿の4層(各々約0.6mm程度の厚さ)とが交互に積層された材料からなっている。また、鍔部に対する摩擦抵抗を増大させるために、表面に露出した合成ゴム層は編目状になっている(その下の綿層が見えている)。
【0043】
ゴムストリップ10の
図1乃至
図5の左側(一側)の端部(一部)が、一側支柱20の上端部に支持されている。具体的には、一側支柱20の上端部に回動可能に取り付けられたゴムストリップ固定部21によって、ゴムストリップ10の左側の端部が固定されている。
【0044】
ゴムストリップ固定部21は、各々回動孔が設けられた一対の側方片22と、当該一対の側方片22の下端同士を連絡する底板と、当該底板との間でゴムストリップを挟み込んで固定する上側固定板23と、を有している。
【0045】
側方片22の回動孔には、一側支柱20の上端部に固定された円筒ピン28が挿通されており、これにより、一対の側方片22(すなわちゴムストリップ固定部21)が円筒ピン28回りに回動可能となっている。
【0046】
一方、ゴムストリップ10の
図1乃至
図5の右側(他側)の一部が、他側支柱30の上端部に支持されている。具体的には、ゴムストリップ10の右側は、他側支柱30の上端部に取り付けられた円筒ピン38と頂上板39との間(この領域が他側支持位置に相当する)を通過しており、後述する回動移動部61に回動可能に取り付けられたゴムストリップ固定部31によって、ゴムストリップ10の右側の端部が固定されている。
【0047】
ゴムストリップ固定部31は、ゴムストリップ固定部21と同一の構成を有している。すなわち、ゴムストリップ固定部31は、各々回動孔が設けられた一対の側方片32と、当該一対の側方片32の下端同士を連絡する底板と、当該底板との間でゴムストリップを挟み込んで固定する上側固定板33と、を有している。
【0048】
側方片32の回動孔には、回動移動部61に固定された円筒ピン48が挿通されており、これにより、一対の側方片32(すなわちゴムストリップ固定部31)が円筒ピン48回りに回動可能となっている。
【0049】
本実施形態では、一側支柱20の下端部は、ベース部材50に回動可能に(折り畳み可能に)接続されており、同様に、他側支柱30の下端部も、ベース部材50に回動可能に(折り畳み可能に)接続されている(
図9乃至
図15参照)。
【0050】
ベース部材50の底面から一側支柱20の上端までの高さは、例えば18cmである。同様に、ベース部材50の底面から他側支柱30の上端までの高さは、例えば18cmである。ベース部材50の長さは、例えば160cmであり、一側支柱20と他側支柱30との離間距離は、約120cmである。
【0051】
ベース部材50には、床面に対する固定のため、
図1乃至
図5の左右2箇所に固定板51が設けられている。各固定板51には、床面に対する固定のため、2つの高さ調整ネジ52が設けられている。各固定板51は、例えば、長さ26cm、幅10cmである。
【0052】
そして、ベース部材50の右端部に、円筒ピン58を介して、回動移動部61が回動可能に設けられている。回動移動部61の右端部(遠位端部)は、足操作可能なペダル61pとして構成されている。ペダル61pのサイズは、前後(
図1乃至
図5の左右方向)約20cm、左右(
図2及び
図4の上下方向)約14cmである。また、回動移動部61の中腹の位置に、手動レバー(例えば単管パイプ)取付(差込)用の取付部61mが設けられている。
【0053】
本実施形態では、足の踏み込み方向と手のレバー操作方向とが、それぞれ独立に設計されている。
【0054】
回動移動部61の回動操作(足の踏み込み、または、手のレバー操作)により、ゴムストリップ10の右側の端部が、他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)から遠ざかる方向に移動するようになっている。これにより、左側のゴムストリップ固定部21(一側支持位置に相当する)と他側支持位置との間のゴムストリップ10に張力を付与することができるようになっている。すなわち、回動移動部61(ペダル61p、取付部61mを伴う)が、ゴムストリップ張力付与機構を構成している。
【0055】
また、回動移動部61には、不図示の戻りバネが内蔵されており、ペダル61pまたは手動レバーの操作が解除された時には、回動移動部61は元の位置(
図1乃至
図5に示す位置)に戻るようになっている。
【0056】
また、ゴムストリップ10には、一側支柱20と他側支柱30との間の略中間位置において、両側縁から立ち上がる一対の側方ガイド19が設けられている(
図2参照)。側方ガイド19の長さは、約10cmであり、高さは、約5cmである。
【0057】
そして、ベース部材50の
図1乃至
図5の左側(一側)の先端部に、一対の回転ローラ72が設けられている。これにより、
図6及び
図7に示すように、当該回転ローラ72が地面上を転がるようにブレーキ装置1を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置1をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性を顕著に高められる。回転ローラ72の直径は、例えば4cmである。
【0058】
また、ベース部材50は、ヒンジ部71によって、下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能となっている。これにより、一側支柱20及び他側支柱30がベース部材50に対して折り畳み可能であることと相俟って、
図11乃至
図15に示すように、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となる。また、
図9及び
図10に示すように、折り畳み動作及び折り畳み解除動作の際、回転ローラ72が地面上を転がることによって当該動作が助けられる。
【0059】
更に、ベース部材50には、ヒンジ部71の近傍に一対の補助ハンドル75が設けられている。これにより、折り畳み動作及び折り畳み解除動作がより一層容易となっている。
【0060】
また、ベース部材50の左右の一方側(本実施形態では、
図2の上側(
図3の下側))に、当該ブレーキ装置1の持ち運びのための主ハンドル74が設けられており、ベース部材の左右の他方側(本実施形態では、
図2の下側(
図3の上側))に、当該ブレーキ装置の静置のための4個のスペーサ台73(中空のフレーム枠体からなる)がバランス良く配置されている。このような主ハンドル74の存在によって、持ち運びがより一層容易であり(
図13参照)、また、このようなスペーサ台73の存在により、安定的な静置保管が可能となっている(
図14及び
図15参照)。
【0061】
[作用]
次に、
図6乃至
図8を参照して、本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1の動作を説明する。
図6及び
図7は、本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する動作を示す写真であり、
図8は、本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1のゴムストリップ10が鍔部に当接する様子を示す説明図であって、
図8(a)は、鍔部に当接する前の状態を示し、
図8(b)は、鍔部に当接した後の状態を示している。
【0062】
(設置)
まず、
図6及び
図7に示すように、一側支柱20がベース部材50に対して折り畳まれた状態として(他側支柱30は、折り畳まれていても折り畳まれていなくても、どちらでもよい)、ゴムストリップ10及びベース部材50が、ケーブルジャッキに支持されたドラムシャフト(棒)及びケーブルドラムの軸線方向に垂直な水平方向において一方側から他方側へ、ケーブルドラムの鍔部の下方をくぐるように配置される。
【0063】
この時、
図6及び
図7に示すように、回転ローラ72が地面上を転がるようにブレーキ装置1を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置1をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業が顕著に容易に実施され得る。
【0064】
そして、一対の側方ガイド19が、鍔部の下端に対応するように、且つ、当該鍔部の両側に位置するように、位置決めされる(必要であれば、ケーブルジャッキの上下動操作がなされ得る)。位置決め後、固定板51の高さ調整ネジ52を用いて、ベース部材50が床面に固定される。また、一側支柱20が(他側支柱30が折り畳まれていた時には、他側支柱30も)ベース部材50に対する直立位置に戻される。
【0065】
本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1は、鍔部の直径が1700mmまでのケーブルドラムに使用可能である。すなわち、ケーブルドラムの直径やケーブルジャッキのサイズ等に依らないで、幅広く適用可能である。
【0066】
(操作)
回転中のケーブルドラムを制動する必要が生じた時、ペダル61pが足操作される、あるいは、取付部61mに手動レバー(例えば単管パイプ)を取り付けておいて当該手動レバーが手動で操作される。これにより、回動移動部61が回動して、ゴムストリップ10の右側の端部が、他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)から遠ざかる方向に移動する(
図8(b)参照)。
【0067】
これにより、ゴムストリップ10に張力が付与され、一側支持位置(ゴムストリップ固定部21)と他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)との間のゴムストリップ10の側面視の円弧状形態が、その曲率半径を徐々に大きくするように変形されていく。これに伴って、一側支持位置(ゴムストリップ固定部21)と他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)との間のゴムストリップ10が持ち上げられていく。
【0068】
そして、ゴムストリップ10は、鍔部に沿うような円弧状形態(但し、曲率半径は異なる)で当該鍔部に当接する。これにより、制動作用が開始される。
【0069】
この時、ゴムストリップ10と鍔部との当接は、比較的長い(広い)領域において生じるため、局所的な摩耗の程度を軽減することができる。これにより、ゴムストリップ10の交換無しでケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができる。
【0070】
また、一対の側方ガイド19によって、制動中にゴムストリップ10が鍔部から外れてしまうことが効果的に防止されるため、より安定的に鍔部を制動することができる。
【0071】
(操作解除)
回転中のケーブルドラムが十分に制動された時、あるいは、回転中のケーブルドラムを制動する必要が解消された時、ペダル61pの足操作が解除される、あるいは、取付部61mに取り付けられた手動レバーの手動操作が解除される。これにより、戻りバネの作用により回動移動部61が元の位置に戻り、すなわち、ゴムストリップ10の右側の端部が、他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)に近づく方向に移動する(
図8(a)参照)。
【0072】
これにより、ゴムストリップ10の張力が緩和され、一側支持位置(ゴムストリップ固定部21)と他側支持位置(円筒ピン38と頂上板39との間)との間のゴムストリップ10の持ち上げ作用が消失する。
【0073】
(設置解除)
高さ調整ネジ52を外した後、側方ガイド19と鍔部とが干渉(衝突)しないように留意しつつ(必要であれば、ケーブルジャッキの上下動操作がなされ得る)、再び
図6及び
図7に示すように、一側支柱20がベース部材50に対して折り畳まれた状態として(他側支柱30は、折り畳まれていても折り畳まれていなくても、どちらでもよい)、ゴムストリップ10及びベース部材50がケーブルドラムの鍔部の下方から引き戻される。
【0074】
この時、
図6及び
図7に示すように、回転ローラ72が地面上を転がるようにブレーキ装置1を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置1をケーブルドラムの鍔部の下方から引き戻す作業が顕著に容易に実施され得る。
【0075】
[保守作業の目安]
なお、ゴムストリップ10において、摩耗痕が目視で視認できるようになったら、当該ゴムストリップ10を交換することが好ましい。更に、ゴムストリップ10において、摩耗による貫通孔が目視で視認できるようになったら、当該ゴムストリップ10の使用を禁止することが好ましい。
【0076】
[折り畳み]
ベース部材50は、ヒンジ部71を利用して、下面側を内側にして二つ折りに折り畳まれる。この時、
図9及び
図10に示すように、回転ローラ72が地面上を転がるように作業することで、折り畳み動作が顕著に容易に実施され得る。
【0077】
ベース部材50の折り畳み状態は、例えばベース部材50の側方に設けられた互いに対応し合うフック81及びピン82(
図1乃至
図3参照)によって、任意に係止され得る。
【0078】
一側支柱20及び他側支柱30のベース部材50に対する折り畳み動作が、ベース部材50を二つ折りにする折り畳み動作よりも先行される。
【0079】
一側支柱20、他側支柱30及びベース部材50の全てが折り畳まれた状態では、ブレーキ装置1は非常にコンパクトな形態となり、
図13に示すように、主ハンドル74を利用することで、持ち運びが極めて容易であり、また、
図14及び
図15に示すように、4個のスペーサ台73を利用することで、ゴムストリップ10が地面等に接触して擦れてしまう虞なしで、安定的に静置保管可能である。
【0080】
[折り畳み解除]
フック81及びピン82の係合を解除した後、ベース部材50は、再びヒンジ部71を利用して(回動方向が折り畳み動作時の逆である)、折り畳み状態を解除される。この時、再び
図9及び
図10に示すように、回転ローラ72が地面上を転がるように作業することで、折り畳み解除動作が顕著に容易に実施され得る。
【0081】
ベース部材50の折り畳み解除動作が、一側支柱20及び他側支柱30のベース部材50に対する折り畳み解除動作よりも先行される。
【0082】
[効果の纏め]
以上のような本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1によれば、ゴムストリップ10が、側面視の円弧状形態の曲率半径を徐々に大きくさせながら持ち上げられるため、鍔部に沿うような円弧状形態(但し、曲率半径は異なる)で当該鍔部に当接することができ、すなわち、ゴムストリップ10と鍔部との当接がより長い(広い)領域において生じ、局所的な摩耗の程度を軽減することができる。これにより、ゴムストリップ10の交換無しでケーブルドラムを制動する機能を比較的長く維持することができる。
【0083】
また、本実施形態のブレーキ装置1によれば、ベース部材50の一側の先端部に回転ローラ72が設けられているため、当該回転ローラ72が地面上を転がるように当該ブレーキ装置1を傾けながら移動させることで、当該ブレーキ装置1をケーブルドラムの鍔部の下方に配置する作業の利便性を顕著に高められる(
図6及び
図7参照)。
【0084】
また、本実施形態のブレーキ装置1によれば、ベース部材50が下面側を内側にして二つ折りに折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時にコンパクトな形態となり(
図11乃至
図15参照)、更に回転ローラ72の存在によって、折り畳み動作及び折り畳み解除動作も容易である(
図9及び
図10参照)。
【0085】
更に、本実施形態のブレーキ装置1によれば、一側支柱20及び他側支柱30がベース部材50に対して折り畳み可能であるため、収納時や持ち運び時により一層コンパクトな形態となる(
図9乃至
図15参照)。
【0086】
また、本実施形態のゴムストリップ10は、合成ゴムの5層(各々約0.6mm程度の厚さ)のと綿の4層(各々約0.6mm程度の厚さ)とが交互に積層された材料からなっているため、高い柔軟性と高い耐久性とを両立できる。
【0087】
また、本実施形態のケーブルドラム用のブレーキ装置1は、手での操作に加えて、足での操作も可能であるため、操作性が向上されている。また、回動移動部61に対して手動レバーを鋭角に(平行でなく)取り付けるため、足の踏み込み方向と手のレバー操作方向とが別方向となっている。すなわち、足の踏み込み方向と手のレバー操作方向とが、それぞれ独立に、操作しやすいように設計されている。
【0088】
また、本実施形態のゴムストリップ10には、一側支持位置と他側支持位置との間の略中間位置において、両側縁から立ち上がる一対の側方ガイド19が設けられている。これにより、制動中にゴムストリップ10が鍔部から外れてしまうことが効果的に防止され、より安定的に鍔部を制動することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 ブレーキ装置
10 ゴムストリップ
19 側方ガイド
20 一側支柱
21 ゴムストリップ固定部
22 側方片
23 上側固定板
28 円筒ピン
30 他側支柱
31 ゴムストリップ固定部
32 側方片
33 上側固定板
38 円筒ピン
39 頂上板
48 円筒ピン
50 ベース部材
51 固定板
52 高さ調整ネジ
58 円筒ピン
61 回動移動部
61m 取付部
61p ペダル
71 ヒンジ部
72 回転ローラ
73 スペーサ台
74 主ハンドル
75 補助ハンドル
81 フック
82 ピン