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特開2024-1656483次元形状計測装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165648
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】3次元形状計測装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082011
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯島 成幸
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義弘
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065FF08
2F065FF67
2F065GG03
2F065GG07
2F065GG24
2F065HH06
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL62
2F065QQ16
(57)【要約】
【課題】測定時間の増大を抑制しつつ、計測対象との距離の範囲の広い3次元形状計測装置を提供する。
【解決手段】3次元形状計測装置100は、計測対象にピントが合うように調整されたカメラ2と、縞パターンを投影するプロジェクター1とを備える。プロジェクター1によって投影される縞パターンの周期は可変である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元形状計測装置であって、
計測対象にピントが合うように調整されたカメラと、
縞パターンを投影するプロジェクターとを備え、
前記プロジェクターによって投影される前記縞パターンの周期は可変である、3次元形状計測装置。
【請求項2】
前記縞パターンの周期は、前記計測対象と前記プロジェクターとの測定距離に応じて設定される、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項3】
前記縞パターンの周期は、前記計測対象と前記プロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルに基づいて、設定される、請求項2に記載の3次元形状計測装置。
【請求項4】
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、請求項3に記載の3次元形状計測装置。
【請求項5】
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体に均一パターンが投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、請求項3に記載の3次元形状計測装置。
【請求項6】
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に矩形波パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像をフーリエ変換することにより得られる周期成分と振幅との相関関係において、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上に対応する前記周期成分に設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、請求項3に記載の3次元形状計測装置。
【請求項7】
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に前記縞パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、前記輝度測定器にピントの合った2値画像を移動させながら投影したときに前記輝度測定器によって測定された第2輝度の振幅の50%以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、請求項3に記載の3次元形状計測装置。
【請求項8】
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記3次元形状計測装置から前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に前記縞パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、前記輝度測定器に均一パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第2輝度のばらつきの10倍以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、請求項3に記載の3次元形状計測装置。
【請求項9】
前記測定距離を計測する距離測定器をさらに備える、請求項2に記載の3次元形状計測装置。
【請求項10】
前記距離測定器は、前記計測対象の一部の範囲と前記プロジェクターとの距離を前記測定距離として計測し、
前記一部の範囲は、前記計測対象に投影された前記縞パターンの1周期分の長さを有する、請求項9に記載の3次元形状計測装置。
【請求項11】
前記計測対象に位相の異なる複数の縞パターンを投影したときに前記カメラから得られる複数の画像に基づいて前記測定距離を測定する距離測定部をさらに備える、請求項2に記載の3次元形状計測装置。
【請求項12】
前記距離測定部は、前記複数の画像の各々のうち前記プロジェクターの光軸の輝度を表す画素を含む一部の範囲を用いて前記測定距離を測定し、
前記一部の範囲は、前記計測対象に投影された前記縞パターンの1周期分の長さを有する、請求項11に記載の3次元形状計測装置。
【請求項13】
前記カメラは、オートフォーカス機構を有し、前記オートフォーカス機構によって前記計測対象にピントが合うように調整される、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項14】
互いに焦点距離の異なる複数のカメラを備え、
前記複数のカメラのうち、前記計測対象に対する合焦度の最も高い特定のカメラが前記カメラとして選択される、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項15】
前記縞パターンは、正弦波状である、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項16】
3次元形状計測に使用されるプロジェクターの制御方法であって、
計測対象と前記プロジェクターとの測定距離を取得することと、
前記測定距離に応じて、前記プロジェクターによって投影される縞パターンの周期を変更することとを備える、制御方法。
【請求項17】
前記縞パターンの周期を変更することは、
前記計測対象と前記プロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルの中から、前記測定距離に対応する周期候補を読み出すことと、
読み出された周期候補に基づいて、前記縞パターンの周期を設定することとを含む、請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
前記プロジェクターは、固定の焦点距離を有し、
前記制御方法は、前記テーブルを作成することをさらに備え、
前記テーブルを作成することは、前記複数の距離の各々について、
前記プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに、前記3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上となる前記縞パターンの周期範囲を決定することと、
前記周期範囲のうち最短の周期を前記周期候補として設定することとを含む、請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
前記プロジェクターは、固定の焦点距離を有し、
前記制御方法は、前記テーブルを作成することをさらに備え、
前記テーブルを作成することは、前記複数の距離の各々について、
前記プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに、前記3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体に均一パターンが投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上となる前記縞パターンの周期範囲を決定することと、
前記周期範囲のうち最短の周期を前記周期候補として設定することとを含む、請求項17に記載の制御方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項に記載の制御方法をコンピューターに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元形状計測装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位相シフト法の原理を用いて3次元形状を計測する装置(以下、「3次元形状計測装置」と称される)が開発されている(例えば、特開2013-88261号公報(特許文献1)、特開2016-31284号公報(特許文献2)、特開2021-85797号公報(特許文献3)および特開2005-214653号公報(特許文献4)参照)。位相シフト法を用いた3次元形状計測装置は、計測対象に光パターンを投影するプロジェクターと、光パターンが投影された計測対象を撮像するカメラとを備える。通常、3次元形状計測装置と計測対象との距離の範囲は、プロジェクターの光学系の焦点距離およびカメラの光学系の焦点距離に応じて制限される。そのため、一般に、ユーザーは、3次元形状計測装置からの距離が異なる複数種類の計測対象を計測したい場合、複数種類の3次元形状計測装置を使い分ける必要がある。
【0003】
特開2018-146521号公報(特許文献5)は、計測対象との距離の範囲を広げるために、平行光を光走査してパターン光を投影可能な投影部を備える装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-88261号公報
【特許文献2】特開2016-31284号公報
【特許文献3】特開2021-85797号公報
【特許文献4】特開2005-214653号公報
【特許文献5】特開2018-146521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献5に記載の装置によれば、平行光をラスタ走査しているため、広い範囲を測定するためには測定時間が大きくかかる。
【0006】
本開示の目的は、測定時間の増大を抑制しつつ、計測対象との距離の範囲の広い3次元形状計測装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う3次元形状計測装置は、計測対象にピントが合うように調整されたカメラと、縞パターンを投影するプロジェクターとを備える。プロジェクターによって投影される縞パターンの周期は可変である。
【0008】
好ましくは、縞パターンの周期は、計測対象とプロジェクターとの測定距離に応じて設定される。
【0009】
好ましくは、縞パターンの周期は、計測対象とプロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルに基づいて、設定される。
【0010】
好ましくは、プロジェクターは、固有の焦点距離を有する。テーブルにおいて、周期候補は、プロジェクターから複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に縞パターンを投影したときにカメラによって撮像された第1画像の振幅が、物体にピントの合った2値画像が投影されたときにカメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上を有するように設定される。テーブルにおいて、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0011】
好ましくは、プロジェクターは、固有の焦点距離を有する。テーブルにおいて、周期候補は、プロジェクターから複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に縞パターンを投影したときにカメラによって撮像された第1画像の振幅が、物体に均一パターンが投影されたときにカメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上を有するように設定される。テーブルにおいて、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0012】
好ましくは、プロジェクターは、固有の焦点距離を有する。テーブルにおいて、周期候補は、プロジェクターから複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に矩形波パターンを投影したときにカメラによって撮像された第1画像をフーリエ変換することにより得られる周期成分と振幅との相関関係において、物体にピントの合った2値画像が投影されたときにカメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上に対応する周期成分に設定される。テーブルにおいて、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0013】
好ましくは、プロジェクターは、固有の焦点距離を有する。テーブルにおいて、周期候補は、プロジェクターから複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に縞パターンを移動させながら投影したときの輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、輝度測定器にピントの合った2値画像を移動させながら投影したときに輝度測定器によって測定された第2輝度の振幅の50%以上を有するように設定される。テーブルにおいて、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0014】
好ましくは、プロジェクターは、固有の焦点距離を有する。テーブルにおいて、周期候補は、3次元形状計測装置から複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に縞パターンを移動させながら投影したときの輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、輝度測定器に均一パターンを移動させながら投影したときの輝度測定器によって測定された第2輝度のばらつきの10倍以上を有するように設定される。テーブルにおいて、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0015】
好ましくは、3次元形状計測装置は、測定距離を計測する距離測定器をさらに備える。
【0016】
好ましくは、距離測定器は、計測対象の一部の範囲とプロジェクターとの距離を測定距離として計測する。一部の範囲は、計測対象に投影された縞パターンの1周期分の長さを有する。
【0017】
好ましくは、3次元形状計測装置は、計測対象に位相の異なる複数の縞パターンを投影したときにカメラから得られる複数の画像に基づいて測定距離を測定する距離測定部をさらに備える。
【0018】
好ましくは、距離測定部は、複数の画像の各々のうちプロジェクターの光軸の輝度を表す画素を含む一部の範囲を用いて測定距離を測定する。一部の範囲は、計測対象に投影された縞パターンの1周期分の長さを有する。
【0019】
好ましくは、カメラは、オートフォーカス機構を有し、オートフォーカス機構によって計測対象にピントが合うように調整される。
【0020】
好ましくは、3次元形状計測装置は、互いに焦点距離の異なる複数のカメラを備える。複数のカメラのうち、計測対象に対する合焦度の最も高い特定のカメラがカメラとして選択される。
【0021】
好ましくは、縞パターンは、正弦波状である。
【0022】
本開示のある局面に係る3次元形状計測に使用されるプロジェクターの制御方法は、計測対象とプロジェクターとの測定距離を取得することと、測定距離に応じて、プロジェクターによって投影される縞パターンの周期を変更することとを備える。
【0023】
好ましくは、縞パターンの周期を変更することは、計測対象とプロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルの中から、測定距離に対応する周期候補を読み出すことと、読み出された周期候補に基づいて、縞パターンの周期を設定することとを含む。
【0024】
好ましくは、プロジェクターは、固定の焦点距離を有する。制御方法は、テーブルを作成することをさらに備える。テーブルを作成することは、複数の距離の各々について、プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に縞パターンを投影したときに、3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、物体にピントの合った2値画像が投影されたときにカメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲を決定することと、周期範囲のうち最短の周期を周期候補として設定することとを含む。
【0025】
好ましくは、プロジェクターは、固定の焦点距離を有する。制御方法は、テーブルを作成することをさらに備える。テーブルを作成することは、複数の距離の各々について、プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に縞パターンを投影したときに、3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、物体に均一パターンが投影されたときにカメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲を決定することと、周期範囲のうち最短の周期を周期候補として設定することとを含む。
【0026】
本開示のある局面に係るプログラムは、上記の方法をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、測定時間の増大を抑制しつつ、計測対象との距離の範囲の広い3次元形状計測装置、制御方法およびプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態に係る3次元形状計測装置が適用されるシステムの一例を概略的に示す図である。
図2】実施の形態に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】光変調装置によって生成される縞パターンの一例を示す図である。
図4】位相シフト量0,π/2,π,3π/2に対応する4つの撮影画像におけるある画素の輝度値と位相シフト量とを示す図である。
図5】輝度誤差による3次元形状計測への影響を説明する図である。
図6】計測対象に対する投影光学系および集光光学系の合焦度を変化させたときの撮影画像の例を示す図である。
図7】縞パターンの空間周波数に対する、撮影画像における縞パターンのコントラストと位相φから高さhへの換算精度との変化を示す図である。
図8】テーブルの一例を示す図である。
図9】周期候補の第1設定方法を説明する図である。
図10】周期候補の第2設定方法を説明する図である。
図11】周期候補の第3設定方法を説明する図である。
図12】プロセッサーによりプロジェクターの制御方法の流れを示すフローチャートである。
図13】変形例1に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成を示す図である。
図14】変形例2に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成を示す図である。
図15】撮影画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0030】
<3次元形状計測装置の適用例>
図1は、実施の形態に係る3次元形状計測装置が適用されるシステムの一例を概略的に示す図である。システム1000は、3次元形状計測装置100と、ロボット200とを備える。
【0031】
3次元形状計測装置100は、位相シフト法の原理を用いて、計測対象300の3次元形状を計測する。計測対象300は、トレー302と、トレー302にばら積みされた複数のワーク304とを含む。3次元形状計測装置100は、計測された3次元形状を示すデータ(以下、「3次元点群データ」と称する)をロボット200に出力する。
【0032】
ロボット200は、3次元形状計測装置100から受けた3次元点群データに基づいて、把持対象のワーク304を決定し、把持対象のワーク304に対するピックアンドプレース動作を行なう。具体的には、ロボット200は、トレー302上のワーク304を把持し、搬送ベルト500上にワーク304を置く。
【0033】
なお、3次元形状計測装置100が適用されるシステムは、図1に示すシステム1000に限定されない。3次元形状計測装置100は、様々な用途に利用される。
【0034】
<3次元形状計測装置の構成>
図2は、実施の形態に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、3次元形状計測装置100は、プロジェクター1と、カメラ2と、コンピューター3と、距離測定器4とを備える。
【0035】
プロジェクター1は、光源11と、光変調装置12と、投影光学系13とを含む。光源11から発せられた光束は、光変調装置12によって変調され、投影光学系13を通じて計測対象300に投影される。
【0036】
光源11は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、超高圧水銀灯またはハロゲンランプを含む。光源11は、白色光を出射する。
【0037】
光変調装置12は、光源11からの光を変調して、投影像を生成する。光変調装置12は、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device(DMD))を含む。本実施の形態において、光変調装置12は、投影像として縞パターンを生成し得る。
【0038】
図3は、光変調素子によって生成される縞パターンの一例を示す図である。図3の上部には、縞パターンの輝度分布が示される。図3の下部には、横軸が位置であり、縦軸が輝度値であるグラフが示される。グラフに示されるように、輝度値は、位置に応じて正弦波状に変化する。光変調装置12は、コンピューター3からの制御に従って、縞パターンの周期Lを変更する。すなわち、プロジェクター1によって投影される縞パターンの周期Lは可変である。
【0039】
投影光学系13は、光変調装置12によって生成された投影像を計測対象に拡大して投影する。投影光学系13は、1以上のレンズを有する。投影光学系13は、オートフォーカス機能を持たない。そのため、プロジェクター1は、固有の焦点距離を有する。
【0040】
図2に戻って、カメラ2は、計測対象を撮像し、画像データ(以下、「撮影画像」と称する)を生成する。カメラ2は、撮像素子21と、集光光学系22と、オートフォーカス(Auto Focus(AF))機構23とを含む。
【0041】
撮像素子21は、集光光学系22を通して得られた光の強度を電気信号に変換する。撮像素子21は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を含む。
【0042】
集光光学系22は、外部から入射する光を集光するための光学系であり、典型的には一以上のレンズを有する。
【0043】
オートフォーカス機構23は、計測対象にピントが合うように、集光光学系22の位置を制御する。オートフォーカス機構23によって、カメラ2は、計測対象300にピントが合うように調整される。
【0044】
距離測定器4は、計測対象300までの距離を測定する。距離測定器4は、プロジェクター1と同じ高さに配置される。そのため、距離測定器4は、プロジェクター1と計測対象300との距離を測定する。以下、距離測定器4によって測定された距離は、「測定距離」と称される。距離測定器4は、例えば、短時間で距離を測定できるミリ波センサー等によって構成される。ただし、距離測定器4は、これに限定されず、公知の測距センサーによって構成されてもよい。
【0045】
距離測定器4は、例えば、計測対象300の一部の範囲306までの距離を測定すればよい。測定範囲が限定されることにより、距離測定器4は、短時間で測定距離を測定できる。一部の範囲306は、例えば、計測対象300に投影された縞パターンの1周期分の長さを有する。
【0046】
コンピューター3は、プロジェクター1、カメラ2および距離測定器4を制御する。コンピューター3は、プロセッサー31と、メモリー32と、ストレージ33とを含む。
【0047】
プロセッサー31は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。メモリー32は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ33は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置で構成される。
【0048】
ストレージ33は、プログラム34を記憶する。プログラム34は、プロジェクター1、カメラ2および距離測定器4を制御するためのコンピューター読取可能な命令を含む。プロセッサー31は、プログラム34を実行することで、プロジェクター1、カメラ2および距離測定器4を制御し、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0049】
プログラム34は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う3次元形状計測装置100の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム34によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0050】
ストレージ33は、さらに、テーブル35を記憶する。テーブル35は、プロジェクター1によって投影される縞パターンの周期Lを制御するために使用される。
【0051】
<位相シフト法>
プロセッサー31は、例えば特許文献4に開示される位相シフト法の原理を用いて、計測対象300の3次元形状を計測する。具体的には、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御して、位相をシフトさせながら縞パターンを投影させる。プロセッサー31は、カメラ2から、縞パターンの複数の位相シフト量に対応する複数の撮影画像を取得する。例えば、プロセッサー31は、位相シフト量が0,π/2,π,3π/2のときの4つの撮影画像を取得する。
【0052】
複数の撮影画像における各画素の輝度値は、以下の式(1)で表される。
Ii=acos(φ+δi)+b 式(1)
Iiは、i番目の撮影画像における輝度値を表す。aは、コントラスト成分を表す。bは、オフセット成分を表す。δiは、i番目の撮影画像に対応する位相シフト量を表す。φは、位相を表す。
【0053】
式(1)において、未知数は、a,bおよびφである。そのため、プロセッサー31は、少なくとも3つの撮影画像を取得することにより、各画素について、a,b,φを算出できる。
【0054】
図4は、位相シフト量0,π/2,π,3π/2に対応する4つの撮影画像におけるある画素の輝度値と位相シフト量とを示す図である。プロセッサー31は、4つの撮影画像の輝度値および位相シフト量に近似する余弦曲線50を特定することにより、位相φを算出する。具体的には、位相シフト量0に対応する撮影画像における輝度値をI0、位相シフト量π/2に対応する撮影画像における輝度値をI1、位相シフト量πに対応する撮影画像における輝度値をI2、位相シフト量3π/2に対応する撮影画像における輝度値をI3とすると、位相φは、以下の式(2)に従って算出される。
tanφ=-(I3-I1)/(I2-I0) 式(2)
【0055】
位相φと、画素に写る計測対象300の高さhとは、以下の式(3)を満たす。
h=(p/sinα)×(φ+2nπ)/2π 式(3)
pは、縞パターンのピッチを表す。αは、縞パターンの投影角度を表す。nは、次数を表す。プロセッサー31は、式(3)に従って、位相φを高さhに換算し、画素ごとの高さhを示す3次元点群データを生成する。
【0056】
撮影画像によって示される各画素の輝度値には、カメラ2のノイズ等の影響により誤差が含まれ得る。以下、輝度値に含まれる誤差は、「輝度誤差」と称される。
【0057】
図5は、輝度誤差による3次元形状計測への影響を説明する図である。図5において、曲線52は、複数の撮影画像における輝度値および位相シフト量に近似する余弦曲線である。曲線52は、輝度誤差を含む輝度値を用いて特定される。図5において、曲線54は、輝度誤差を含まない理想の輝度値および位相シフト量に近似する余弦曲線である。図5に示されるように、輝度誤差の影響により、曲線52と曲線54との間に位相誤差Δφが生じる。すなわち、曲線52から算出される位相φには、位相誤差Δφが含まれる。
【0058】
位相誤差Δφの影響により、位相φから換算される高さhにも誤差が生じる。図5に示す例では、10°の位相誤差Δφが含まれることにより、位相φから換算される高さhには、10mmの誤差が含まれる。このように、輝度誤差の影響により、高さhにも誤差が発生する。
【0059】
輝度誤差が大きくなるほど、位相誤差Δφが大きくなる。その結果、位相φから換算される高さhに含まれる誤差も大きくなる。
【0060】
また、位相シフト量を変化させたときの輝度値の振幅が小さくなると、輝度誤差の影響が相対的に大きくなる。その結果、位相誤差Δφが大きくなり、位相φから換算される高さhに含まれる誤差も大きくなる。以下、高さhの誤差は、「計測誤差」とも称される。
【0061】
位相シフト量を変化させたときの輝度値の振幅は、撮影画像における縞パターンのコントラストと相関する。撮影画像における縞パターンのコントラストが低下すると、位相シフト量を変化させたときの輝度値の振幅が小さくなる。撮影画像における縞パターンのコントラストは、計測対象300に対する投影光学系13の合焦度と、計測対象300に対する集光光学系22の合焦度とに依存する。
【0062】
図6は、計測対象に対する投影光学系および集光光学系の合焦度を変化させたときの撮影画像の例を示す図である。図6の上部には、集光光学系22のピントが計測対象300に合っている状態を維持しながら、計測対象300に対する投影光学系13の合焦度を変化させたときの3つの撮影画像が示される。図6の下部には、投影光学系13のピントが計測対象300に合っている状態を維持しながら、計測対象300に対する集光光学系22の合焦度を変化させたときの3つの撮影画像が示される。
【0063】
図6の下部に示されるように、投影光学系13のピントが計測対象300に合っている状態で集光光学系22の合焦度が低い場合には、縞パターンおよび計測対象300の両方のコントラストが低下する。そのため、集光光学系22の合焦度が低い場合、計測対象300の高さhの計測精度が大きく低下し得る。したがって、本実施の形態のカメラ2は、上述したように、オートフォーカス機構23により計測対象300にピントが合うように調整される。これにより、計測対象300に対する集光光学系22の合焦度の低下に起因する計測精度の低下が抑制される。
【0064】
図6の上部に示されるように、集光光学系22のピントが計測対象300に合っている状態で投影光学系13の合焦度が低い場合には、計測対象300のコントラストは低下しないが、縞パターンのコントラストが低下する。投影光学系13にもオートフォーカス機構を適用することにより、縞パターンのコントラストの低下が防止される。あるいは、投影光学系13に特許文献5に開示の平行光を適用することによっても、縞パターンのコントラストの低下が防止される。しかしながら、オートフォーカス機構を投影光学系13に適用すると、測定時間が増大する。また、特許文献5に開示の構成を投影光学系13に適用する場合にも、平行光をラスタ走査するため、広い範囲を測定するためには測定時間が大きくかかる。そのため、本実施の形態に係る3次元形状計測装置100は、投影光学系13の焦点距離を固定とし、縞パターンのコントラストの低下による影響をなるべく小さくするように、縞パターンの周期Lを変更する。これにより、オートフォーカス機構や特許文献5に開示の構成を投影光学系13に適用する場合と比較して、測定時間の増大が抑制される。
【0065】
図7は、縞パターンの空間周波数に対する、撮影画像における縞パターンのコントラストと位相φから高さhへの換算精度との変化を示す図である。図7において、線60は、縞パターンの空間周波数に対する、撮影画像における縞パターンのコントラストの変化を示す。線60は、MTF(Modulation Transfer Function)特性を表す。線62は、縞パターンの空間周波数に対する、位相φから高さhへの換算精度の変化を示す。
【0066】
図7に示されるように、一般的に、縞パターンの空間周波数が高くなるほど、コントラストが低下する。言い換えると、縞パターンの周期Lが短くなるほど、コントラストが低下する。また、縞パターンの空間周波数が高くなるほど、位相φから高さhへの換算精度が高くなる。言い換えると、縞パターンの周期Lが短くなるほど、位相φから高さhへの換算精度が高くなる。これは、位相φから高さhへの換算に使用される上記の式(3)の右辺において、縞パターンのピッチpの係数が存在するためである。
【0067】
図7に示す特性から、計測対象300に対する投影光学系13の合焦度の低下に伴う、撮影画像における縞パターンのコントラストの低下は、縞パターンの周期Lを長くすることにより抑制される。しかしながら、縞パターンの周期Lを長くしすぎると、位相φから高さhへの換算精度が低下し、結果的に3次元形状の計測精度が低下する。そのため、本実施の形態に係る3次元形状計測装置100は、撮影画像における縞パターンのコントラストの低下と、位相φから高さhへの換算精度との両者を考慮して、高さhの誤差(計測誤差)がなるべく小さくなるように縞パターンの周期Lを設定する。
【0068】
<テーブル>
図8は、テーブルの一例を示す図である。図8に示されるように、テーブル35は、計測対象とプロジェクター1との複数の距離の各々と周期候補とを対応付ける。周期候補は、光変調装置12において生成される縞パターン(例えば、DMD上の縞パターン)の周期を表す。周期候補は、対応する距離だけプロジェクター1から離れた位置の計測対象300の3次元形状を計測する際の計測誤差が最も小さくなるように、予め設定される。以下、周期候補の第1~第3設定方法について説明する。
【0069】
(第1設定方法)
図9は、周期候補の第1設定方法を説明する図である。複数の距離のうちの対象距離に対応する周期候補を設定するとき、テーブル35の設定用に準備された物体がプロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に設置される。
【0070】
第1設定方法の第1ステップにおいて、物体にピントが合うように投影光学系13が調整される。上述したように、プロジェクター1は固有の焦点距離を有する。そのため、投影光学系13のピント調整は、手動で行なわれる。例えば、ユーザーは、投影光学系13の位置またはレンズ種を変更しながら、投影光学系13のピントを調整すればよい。
【0071】
次に、物体に投影光学系13のピントを合わせた状態で、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、2値画像80を投影させる。2値画像80は、暗領域と明領域とを含む。暗領域および明領域の各々において、輝度は均一である。
【0072】
プロセッサー31は、物体にピントを合わせた状態でプロジェクター1から2値画像80が投影されたときにカメラ2によって撮像された第1基準画像を取得する。第1基準画像は、「第2画像」の一例である。プロセッサー31は、第1基準画像における輝度の振幅(以下、「基準振幅」と称する)を算出する。
【0073】
第1設定方法の第2ステップにおいて、ユーザーは、投影光学系13のピントをデフォルトの状態に戻す。これにより、プロジェクター1は固有の焦点距離を有する状態に戻される。プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、互いに周期Lの異なる複数の縞パターンを順次投影させる。さらに、プロセッサー31は、プロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に置かれた物体に各縞パターンを投影したときにカメラ2によって撮像された撮影画像を取得する。撮影画像は、第1画像の一例である。プロセッサー31は、各撮影画像における輝度の振幅を算出する。以下、撮像画像の輝度の振幅は、「撮像画像の振幅」とも称される。
【0074】
プロセッサー31は、撮影画像の振幅が基準振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲を決定する。プロセッサー31は、決定した周期範囲のうち最短の周期を対象距離に対応する周期候補として設定する。
【0075】
このようにして、複数の距離の全てについて周期候補が設定される。図6を参照して説明したように、物体に対する投影光学系13の合焦度が低くなると、撮影画像において縞パターンのコントラストが低下する。すなわち、複数の距離のうちの対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、撮影画像において縞パターンのコントラストが低下する。図7を参照して説明したように、縞パターンの周期Lを長くすることにより、物体に対する投影光学系13の合焦度の低下に伴うコントラストの低下が抑制される。ただし、周期Lを長くしすぎると、位相φから高さhへの換算精度が低下するため、撮影画像の振幅が基準振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲の最短の周期が周期候補として設定される。撮影画像の振幅が基準振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲は、対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、周期が長くなる方向にシフトする。そのため、テーブル35において、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0076】
(第2設定方法)
図10は、周期候補の第2設定方法を説明する図である。第1設定方法と同様に、複数の距離のうちの対象距離に対応する周期候補を設定するとき、テーブル35の設定用に準備された物体がプロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に設置される。
【0077】
第2設定方法の第1ステップにおいて、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、均一パターン82を投影させる。均一パターン82は、輝度が全領域で均一なパターンである。プロセッサー31は、均一パターン82が投影されたときにカメラ2によって撮像された第2基準画像を取得する。第2基準画像は、「第2画像」の一例である。プロセッサー31は、第2基準画像における輝度ばらつきを算出する。輝度ばらつきは、例えば最小輝度値と最大輝度値との差によって表される。輝度ばらつきは、ノイズとも称される。
【0078】
第2設定方法の第2ステップにおいて、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、互いに周期Lの異なる複数の縞パターンを順次投影させる。さらに、プロセッサー31は、プロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に置かれた物体に各縞パターンを投影したときにカメラ2によって撮像された撮影画像を取得する。撮影画像は、第1画像の一例である。プロセッサー31は、各撮影画像の輝度の振幅を算出する。以下、撮像画像の輝度の振幅は、「撮像画像の振幅」とも称される。
【0079】
プロセッサー31は、撮影画像の振幅が輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲を決定する。プロセッサー31は、決定した周期範囲のうち最短の周期を対象距離に対応する周期候補として設定する。
【0080】
図5を参照して説明したように、撮影画像において縞パターンのコントラストが低下すると、輝度誤差の影響が相対的に大きくなる。第1ステップにおいて算出された輝度ばらつきは、輝度誤差に比例する。そのため、撮影画像の振幅が輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲が決定されることにより、決定された周期範囲内の周期の縞パターンのコントラストに対する輝度誤差の影響度が小さくなる。ただし、周期Lを長くしすぎると、位相φから高さhへの換算精度が低下するため、周期範囲のうち最短の周期が周期候補として設定される。
【0081】
図6を参照して説明したように、物体に対する投影光学系13の合焦度が低くなると、撮影画像において縞パターンのコントラストが低下する。すなわち、複数の距離のうちの対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、撮影画像において縞パターンのコントラストが低下する。ただし、図7を参照して説明したように、縞パターンの周期Lを長くすることにより、物体に対する投影光学系13の合焦度の低下に伴うコントラストの低下が抑制される。そのため、撮影画像の振幅が輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲は、対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、周期が長くなる方向にシフトする。そのため、テーブル35において、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0082】
(第3設定方法)
図11は、周期候補の第3設定方法を説明する図である。第1設定方法と同様に、複数の距離のうちの対象距離に対応する周期候補を設定するとき、テーブル35の設定用に準備された物体がプロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に設置される。
【0083】
第3設定方法の第1ステップは、第1設定方法の第1ステップと同じである。第1ステップが実行されることにより、プロセッサー31は、基準振幅を算出する。
【0084】
第3設定方法の第2ステップにおいて、ユーザーは、投影光学系13のピントをデフォルトの状態に戻す。これにより、プロジェクター1は固有の焦点距離を有する状態に戻される。その後、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、矩形波パターン84を投影させる。矩形波パターン84は、暗領域と明領域とが交互に繰り返されるパターンである。暗領域および明領域の各々において、輝度は均一である。
【0085】
プロセッサー31は、プロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に置かれた物体に矩形波パターン84を投影したときにカメラ2によって撮影された撮影画像86を取得する。撮影画像86は、「第1画像」の一例である。
【0086】
第3設定方法の第3ステップにおいて、プロセッサー31は、撮影画像86をフーリエ変換する。撮影画像86がフーリエ変換されることにより、周期成分と振幅との相関関係が得られる。周期成分と振幅との相関関係は、第1設定方法の第2ステップによって得られる、縞パターンの周期Lと振幅との相関関係に対応する。そのため、プロセッサー31は、周期成分と振幅との相関関係から、基準振幅の50%(閾値Th)以上の振幅に対応する周期成分範囲を決定する。プロセッサー31は、決定した周期範囲のうち最短の周期成分を周期候補として設定する。
【0087】
このようにして、複数の距離の全てについて周期候補が設定される。第3設定方法によれば、振幅が基準振幅の50%以上となる周期成分範囲の最短の周期成分が周期候補として設定される。第1設定方法と同様に、振幅が基準振幅の50%以上となる周期成分範囲は、対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、周期成分が長くなる方向にシフトする。そのため、テーブル35において、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0088】
第3設定方法によれば、互いに周期Lの異なる複数の縞パターンを順次投影させる必要がない。そのため、第3設定方法は、第1設定方法と比較して、少ない工数でテーブル35を作成できる。
【0089】
<プロジェクターの制御方法>
プロセッサー31によるプロジェクター1の制御方法は、上記の第1~第3設定方法のいずれかに従って、テーブル35を作成するステップを含む。テーブル35を作成する。テーブル35が作成された後、プロセッサー31は、図12に示すフローチャートに従ってプロジェクター1を制御する。
【0090】
図12は、プロセッサーによりプロジェクターの制御方法の流れを示すフローチャートである。ステップS1において、プロセッサー31は、距離測定器4から測定距離を取得する。次のステップS2において、プロセッサー31は、測定距離に応じて、プロジェクター1によって投影される正弦波状の縞パターンの周期Lを変更する。
【0091】
ステップS2は、ステップS21,S22を含む。ステップS21において、プロセッサー31は、計測対象とプロジェクター1との複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブル35の中から、測定距離に対応する周期候補を読み出す。次のステップS22において、プロセッサー31は、読み出された周期候補に基づいて、縞パターンの周期Lを設定する。
【0092】
例えば、プロセッサー31は、測定距離との差が規定範囲内の距離がテーブル35に存在する場合、当該距離に対応する周期候補を読み出し、読み出した周期候補を縞パターンの周期Lとして設定する。プロセッサー31は、測定距離との差が規定範囲内の距離がテーブル35に存在しない場合、測定距離との差が小さい2つの距離に対応する2つの周期候補を読み出し、読み出した2つの周期候補を用いた補間演算により、縞パターンの周期Lを設定する。
【0093】
<変形例1>
上記の第1設定方法および第2設定方法では、カメラ2から得られる撮影画像が用いられる。しかしながら、第1設定方法および第2設定方法は、撮影画像の代わりに、対応する距離だけ離れた位置における投影像の輝度値に基づいて、周期候補を設定してもよい。
【0094】
図13は、変形例1に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成を示す図である。変形例1に係る3次元形状計測装置100Aは、3次元形状計測装置100と比較して、輝度測定器5を備える点で相違する。
【0095】
輝度測定器5は、入射する光の輝度を測定する。輝度測定器5は、プロジェクター1からの距離が変更できるように、移動可能である。輝度測定器5は、例えばフォトダイオードまたは光パワーメータ等を含む。
【0096】
(変形例1に係る第1設定方法)
変形例1に係る第1設定方法では、プロジェクター1からの対象距離だけ離れた位置に輝度測定器5が設置される。
【0097】
変形例1に係る第1設定方法の第1ステップにおいて、輝度測定器5にピントが合うように投影光学系13が調整される。次に、輝度測定器5に投影光学系13のピントを合わせた状態で、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、2値画像80を移動させながら投影させる。
【0098】
プロセッサー31は、輝度測定器5にピントを合わせた状態で2値画像80を移動させながら投影されたときの輝度測定器5によって測定された輝度の振幅を基準振幅として算出する。
【0099】
変形例1に係る第1設定方法の第2ステップにおいて、ユーザーは、投影光学系13のピントをデフォルトの状態に戻す。これにより、プロジェクター1は固有の焦点距離を有する状態に戻される。プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、互いに周期Lの異なる複数の縞パターンを順次投影させる。さらに、プロセッサー31は、プロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器5に各縞パターンを移動させながら投影したときの輝度測定器5によって測定された輝度の振幅を算出する。
【0100】
プロセッサー31は、振幅が基準振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲を決定する。プロセッサー31は、決定した周期範囲のうち最短の周期を対象距離に対応する周期候補として設定する。
【0101】
変形例1に係る第1設定方法によっても、振幅が基準振幅の50%以上となる縞パターンの周期範囲は、対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、周期が長くなる方向にシフトする。そのため、テーブル35において、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0102】
(変形例1に係る第2設定方法)
変形例1に係る第2設定方法では、プロジェクター1からの対象距離だけ離れた位置に輝度測定器5が設置される。
【0103】
変形例1に係る第2設定方法の第1ステップにおいて、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、均一パターン82を移動させながら投影させる。プロセッサー31は、均一パターンを移動させながら投影されたときの輝度測定器5によって測定された輝度ばらつきを算出する。
【0104】
変形例1に係る第2設定方法の第2ステップにおいて、プロセッサー31は、プロジェクター1を制御し、互いに周期Lの異なる複数の縞パターンを移動させながら順次投影させる。さらに、プロセッサー31は、プロジェクター1から対象距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器5に各縞パターンを移動させながら投影したときの輝度測定器5によって測定された輝度の振幅を算出する。
【0105】
プロセッサー31は、輝度の振幅が輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲を決定する。プロセッサー31は、決定した周期範囲のうち最短の周期を対象距離に対応する周期候補として設定する。
【0106】
変形例1に係る第2設定方法によっても、輝度の振幅が輝度ばらつきの10倍以上となる縞パターンの周期範囲は、対象距離とプロジェクター1の焦点距離との差が大きくなるほど、周期が長くなる方向にシフトする。そのため、テーブル35において、対応する距離と焦点距離との差が大きいほど周期候補は長い。
【0107】
変形例1に係る3次元形状計測装置100Aによれば、テーブル35に周期候補を設定する際に、カメラ2の撮影画像から輝度を抽出する必要がない。そのため、工数が削減される。
【0108】
<変形例2>
上記の説明では、3次元形状計測装置100は、オートフォーカス機構23を含むカメラ2を用いるものとした。しかしながら、3次元形状計測装置は、オートフォーカス機構23を含むカメラ2を備える形態に限定されない。
【0109】
図14は、変形例2に係る3次元形状計測装置のハードウェア構成を示す図である。変形例2に係る3次元形状計測装置100Bは、3次元形状計測装置100と比較して、カメラ2の代わりに、複数のカメラ2Bを備える点で相違する。
【0110】
複数のカメラ2Bの各々は、カメラ2と比較して、オートフォーカス機構23を備えない点で相違する。すなわち、複数のカメラ2Bは、固有の焦点距離を有する。ただし、複数のカメラ2Bの焦点距離は互いに異なる。
【0111】
プロセッサー31は、複数のカメラ2Bのうち、計測対象300に対する合焦度の最も高い特定のカメラを選択し、特定のカメラの撮影画像を使用して3次元形状を計測する。具体的には、プロセッサー31は、距離測定器4から取得した測定距離に最も近い焦点距離を有するカメラ2Bを特定のカメラとして選択すればよい。これにより、計測対象300にピントが合うように調整されたカメラ2Bが使用される。
【0112】
<変形例3>
3次元形状計測装置は、距離測定器4を備えてなくてもよい。この場合、プロセッサー31は、位相シフト法の原理を用いて、計測対象300に位相の異なる複数の縞パターンを投影したときにカメラ2から得られる複数の撮影画像に基づいて、プロジェクター1と計測対象300との距離(測定距離)を測定すればよい。すなわち、プロセッサー31は、計測対象300とプロジェクター1との距離を測定する距離測定部として動作する。これにより、距離測定器4に要するコストが削減できる。
【0113】
なお、測定距離が不明であるため、プロセッサー31は、プロジェクター1からデフォルトの周期を有する縞パターンを投影させる。計測対象300との距離に応じた周期ではない可能性が高いため、測定距離の精度は低い。しかしながら、当該測定距離に応じて縞パターンの周期Lが変更されることにより、デフォルトの周期の縞パターンを用いるときと比べて、3次元形状の計測精度は高まる。
【0114】
図15は、撮影画像の一例を示す図である。プロセッサー31は、撮影画像70のうち、プロジェクター1の光軸の輝度を表す画素を含む一部の範囲72を用いて、測定距離を算出すればよい。一部の範囲72は、縞パターンの1周期分の長さを有する。
【0115】
プロジェクター1の光軸から離れる光ほど、レンズ歪みの影響を受けやすい。そのため、光軸の輝度を表す画素を含む一部の範囲72を用いて測定距離を算出することにより、測定距離の精度が向上する。
【0116】
<変形例4>
縞パターンは、正弦波状に限定されない。例えば、縞パターンは、複数の正弦波を合成したパターン、部分的に周波数を変更した正弦波状のパターン、または、階段状波のパターンであってもよい。
【0117】
<付記>
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0118】
[構成1]
3次元形状計測装置であって、
計測対象にピントが合うように調整されたカメラと、
縞パターンを投影するプロジェクターとを備え、
前記プロジェクターによって投影される前記縞パターンの周期は可変である、3次元形状計測装置。
【0119】
[構成2]
前記縞パターンの周期は、前記計測対象と前記プロジェクターとの測定距離に応じて設定される、構成1に記載の3次元形状計測装置。
【0120】
[構成3]
前記縞パターンの周期は、前記計測対象と前記プロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルに基づいて、設定される、構成2に記載の3次元形状計測装置。
【0121】
[構成4]
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、構成3に記載の3次元形状計測装置。
【0122】
[構成5]
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体に均一パターンが投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、構成3に記載の3次元形状計測装置。
【0123】
[構成6]
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた物体に矩形波パターンを投影したときに前記カメラによって撮像された第1画像をフーリエ変換することにより得られる周期成分と振幅との相関関係において、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上に対応する前記周期成分に設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、構成3に記載の3次元形状計測装置。
【0124】
[構成7]
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記プロジェクターから前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に前記縞パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、前記輝度測定器にピントの合った2値画像を移動させながら投影したときに前記輝度測定器によって測定された第2輝度の振幅の50%以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、構成3に記載の3次元形状計測装置。
【0125】
[構成8]
前記プロジェクターは、固有の焦点距離を有し、
前記テーブルにおいて、
前記周期候補は、前記3次元形状計測装置から前記複数の距離のうちの対応する距離だけ離れた位置に置かれた輝度測定器に前記縞パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第1輝度の振幅が、前記輝度測定器に均一パターンを移動させながら投影したときの前記輝度測定器によって測定された第2輝度のばらつきの10倍以上を有するように設定され、
前記対応する距離と前記焦点距離との差が大きいほど前記周期候補は長い、構成3に記載の3次元形状計測装置。
【0126】
[構成9]
前記測定距離を計測する距離測定器をさらに備える、構成2から7のいずれかに記載の3次元形状計測装置。
【0127】
[構成10]
前記距離測定器は、前記計測対象の一部の範囲と前記プロジェクターとの距離を前記測定距離として計測し、
前記一部の範囲は、前記計測対象に投影された前記縞パターンの1周期分の長さを有する、構成9に記載の3次元形状計測装置。
【0128】
[構成11]
前記計測対象に位相の異なる複数の縞パターンを投影したときに前記カメラから得られる複数の画像に基づいて前記測定距離を測定する距離測定部をさらに備える、構成2から7のいずれかに記載の3次元形状計測装置。
【0129】
[構成12]
前記距離測定部は、前記複数の画像の各々のうち前記プロジェクターの光軸の輝度を表す画素を含む一部の範囲を用いて前記測定距離を測定し、
前記一部の範囲は、前記計測対象に投影された前記縞パターンの1周期分の長さを有する、構成11に記載の3次元形状計測装置。
【0130】
[構成13]
前記カメラは、オートフォーカス機構を有し、前記オートフォーカス機構によって前記計測対象にピントが合うように調整される、構成1から12のいずれかに記載の3次元形状計測装置。
【0131】
[構成14]
互いに焦点距離の異なる複数のカメラを備え、
前記複数のカメラのうち、前記計測対象に対する合焦度の最も高い特定のカメラが前記カメラとして選択される、構成1から12のいずれかに記載の3次元形状計測装置。
【0132】
[構成15]
前記縞パターンは、正弦波状である、構成1から14のいずれかに記載の3次元形状計測装置。
【0133】
[構成16]
3次元形状計測に使用されるプロジェクターの制御方法であって、
計測対象と前記プロジェクターとの測定距離を取得することと、
前記測定距離に応じて、前記プロジェクターによって投影される縞パターンの周期を変更することとを備える、制御方法。
【0134】
[構成17]
前記縞パターンの周期を変更することは、
前記計測対象と前記プロジェクターとの複数の距離の各々と周期候補とを対応付けたテーブルの中から、前記測定距離に対応する周期候補を読み出すことと、
読み出された周期候補に基づいて、前記縞パターンの周期を設定することとを含む、構成16に記載の制御方法。
【0135】
[構成18]
前記プロジェクターは、固定の焦点距離を有し、
前記制御方法は、前記テーブルを作成することをさらに備え、
前記テーブルを作成することは、前記複数の距離の各々について、
前記プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに、前記3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体にピントの合った2値画像が投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の振幅の50%以上となる前記縞パターンの周期範囲を決定することと、
前記周期範囲のうち最短の周期を前記周期候補として設定することとを含む、構成17に記載の制御方法。
【0136】
[構成19]
前記プロジェクターは、固定の焦点距離を有し、
前記制御方法は、前記テーブルを作成することをさらに備え、
前記テーブルを作成することは、前記複数の距離の各々について、
前記プロジェクターから当該距離だけ離れた位置に置かれた物体に前記縞パターンを投影したときに、前記3次元形状計測に使用されるカメラによって撮像された第1画像の振幅が、前記物体に均一パターンが投影されたときに前記カメラによって撮像された第2画像の輝度ばらつきの10倍以上となる前記縞パターンの周期範囲を決定することと、
前記周期範囲のうち最短の周期を前記周期候補として設定することとを含む、構成17に記載の制御方法。
【0137】
[構成20]
構成17から19のいずれか1項に記載の制御方法をコンピューターに実行させる、プログラム。
【0138】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
1 プロジェクター、2,2B カメラ、3 コンピューター、4 距離測定器、5 輝度測定器、11 光源、12 光変調装置、13 投影光学系、21 撮像素子、22 集光光学系、23 オートフォーカス機構、31 プロセッサー、32 メモリー、33 ストレージ、34 プログラム、35 テーブル、50 余弦曲線、52,54 曲線、60,62 線、70,86 撮影画像、72,306 範囲、80 2値画像、82 均一パターン、84 矩形波パターン、100,100A,100B 3次元形状計測装置、200 ロボット、300 計測対象、302 トレー、304 ワーク、500 搬送ベルト、1000 システム。
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